苺椎茸 2024/06/22 21:48

映画『数分間のエールを』感想

 脚本が花田十輝なので気になっていました。安心と信頼の花田十輝ですよ。現在放送中の響けユーフォニアム3でも脚本を担当しています。
 約1時間の映画なのでネタバレなしの感想を書きます。

 今年これで5本目の映画鑑賞なのだが、これがいまのところ今年のナンバーワンです。でも来週に対抗馬の『ルックバック』があるからな。ルックバックは原作を一度だけ読んだことがあるのでどんなストーリーなのかを知っているのですが、映画館で予告編を見たときにもうこみあげるものがありました。まだ予告編なのに。
 
 『数分間のエール』は期待してた以上におもしろかったです。おもしろかったっていうか、ぶっちゃけ、泣いてしまったよ。両隣に誰も座ってなくてよかった~と思った。感動の涙ではなく、台詞が心に刺さりまくって涙が出てしまったのだよ。これ、創作活動をしたことのない人は「これのどこで泣くん?」と思いそう。私自身、まさかこの映画で涙を流すことになるなんて思ってなかったんよ。ものづくりの孤独と苦しさが存分に表現されていたところがね、「やめろそのセリフは俺に効く」みたいな感じでダメージを受けた。
 なにかをつくったことがある人や現在つくっている人は絶対みるべき映画です。刺さりすぎて座席の上で身動きとれなくなりましたわ。

 観に行く前にネットで「専門学校のCMみたい」という感想を見てしまったので、最初はそうにしか見えなかった。だけどだんだんキャラクターに魂が宿ってきて、CMっぽさはなくなってきて、胸熱な感じで終わって、映画館から出て帰宅するときに一旦冷静になってみると「専門学校のCMみたいだったな・・・・・・」とか思っちゃった。
 
 3DCGって、キャラクターの細かい感情表現が苦手という印象があります。顔の表情が2Dにくらべるとのっぺりしているというか。3Dで立体感があるのになぜか表情のバリエーションがすくなくねえか?みたいな。2Dのほうが生き生きとしているようにみえるんですよね。想像力で補っているからだろうか。
 この映画は3DCGでつくられているので序盤は苦手意識があったのですが、だんだん慣れてきます。ちゃんとキャラクターに魂が宿ってたよ。色の使い方が素敵です。めっちゃきれいだった。
 
 光り輝くすばらしいものに出会ったときのキラキラした高揚感、頭の中にある壮大なイメージを言葉にして咀嚼して自分なりに表現する地道な作業、他人からの評価、才能への嫉妬、続けることの難しさ。創作活動をしたことのある人ならすでにこの感情を知っている。この映画で追体験できますよ。そういうのを思い出して私は涙を流した。あ、これ私知ってるわ・・・・・・この感情を知ってるわ・・・・・・身に覚えがありすぎるんよ・・・・・・。

 高校のとき、国語教師のおじさんがある日突然ギターを持ってきて授業中に1曲弾き語りしたのを思い出しました。当時学校に行くのが毎日つらかったけど、予想外のできごとがあると「行ってよかった」って思えた。というのをこの映画を観て思い出しました。
 

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