しゅれでぃんがー 2020/04/20 21:00

昇竜が出ない

 今回は格闘ゲームの思い出でも語ろうかと思う。題材は『アンダーナイトインヴァース』(以下uni。一般的にはウニと呼ばれている。ユニとは聞いたことが無いが言ってる人もいるかもしれない)だ。

 このゲームは渡辺製作所という同人サークルがフランスパンという名前で商業に出てきて、初の自社タイトルとしてリリースしたタイトルである。フランスパンは渡辺製作所時代に『MELTY BLOOD』(以下メルブラ。『月姫』というタイプムーンの同人ゲームを格ゲーにした同人格ゲーだった。それでアーケードに参入し、一躍表舞台に躍り出た)の制作で蓄えたノウハウを使い、上手く自社タイトルにそれを取り入れた。見れば見るほどオマージュの塊だが、めちゃくちゃ頑張っていると思う。ついでだからその辺にも触れておこう。


 『MELTY BLOOD』は一週間が繰り返される、というシナリオだった。それはワラキアの夜という吸血鬼の仕業で、それのせいで過去に遠野志貴が倒したネロ・カオスやらミハエル・ロア・バルダムヨォンまで引っ張り出してくる万能設定であった。シナリオは奈須きのこ氏が担当していて、さすがは原作者だと思った。何でも出せるからキャラの広げ方が無限大である。ゲームにする方も大いに助かっただろう。ネコアルクが出るのもワラキアの仕業。七夜志貴がいるのもワラキアの仕業。軋間紅摩だってでてくる。だって、ワラキアのせいだもの。

 これの何がすごいかというと、続編を出してもストーリーを進める必要が無いということだ。一週間を繰り返している、という設定だから、毎回違う一週間を題材にすればそれでいい。それもで新作は新作である。同じところをぐるぐる回っているだけだとしても、同じ話ではない。だから許される。これは革新的な手法であった。

 uniでは、これを丸々受けついている。この作品では虚ろの夜という一週間を、何度も題材にしている。繰り返してるかどうかは申し訳ないが忘れてしまったが。キャラは増えても話は進んでない。でも、それでいいのである。そういうシナリオ上のシステムなのだから。金の鉱脈をフランスパンは、タイプムーンから受け継いだのである。

 メルブラでは私は七夜を使っていたが、当時の自分は昇竜コマンドすらまともに入力できなくて途中でやめてしまった記憶がある。コンボの締めに昇竜しないといけないキャラだったから、誤魔化しきれなかったのだ。でも、あの小パン(しゃがみAやら立ちAボタンのこと)をこすったりJC(ジャンプしてCボタン攻撃すること)を振り回して荒しまわるゲームはなかなか楽しかった気がする。


 そんな話はさておいて。登場キャラクターの戦闘方法も他の格闘ゲームのオマージュが多くみられる。カーマインという血を使って戦うキャラはギルティギアシリーズのテスタメントというキャラを元にしているように見える。メルブラでは実装されていないが、遠野四季という血を使うらしいキャラの戦闘スタイルももしかしたらこれだったのかもしれない。

 最新作の氷を使うキャラは、移動方法が『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』(以下電撃)の司馬美雪と同じらしい。戦い方も似ているのだろうか。触ってないから分からないが。電撃も自社が扱ってるタイトルだから、ソースやら調整内容のノウハウを流用しているのだろうか。

 電撃では私は平和島静雄を使おうと思っていたのだが、超必殺技に無敵がないだとか、技のフレームが1人だけ遅いとか色々可哀想なキャラだと聞いて断念。替わりに逢坂大河を使って遊んでいた。しかしシャナやら御坂美琴が強すぎてキレてそれっきり。でも4C(レバーを後ろに倒してCボタンを押すこと)でおもむろに中段(しゃがみガードできない攻撃のこと)をパなし、当たったらきゃっきゃと笑いながら喜べる。コンボもAボタン連打でできるから、今でも少し触れば思い出して遊べると思うくらいに遊びやすいゲーム性。困ったら切り札パなして当たったら勝ち、外れたら負け。逆にパなされて負けてキレるのも楽しい。そんなゲームだった。

 一個前の作品で登場したフォノンというキャラは、技がほとんどメルブラのシオンと一緒だった。判定はヤバかったが。メルブラのゲストキャラとしてエルトナムが参戦してるのにそれを出してしまっていいのか、と心配になったものである。まあ、このゲームのアセット運用の巧みさに触れるのはこの辺にしておこう。


 私はこのゲームを一時期やりこんでいて、RIP130万(対戦で勝つとこの数値が溜まっていき、同じぐらいの相手とマッチングするシステムだった。全国何位かは忘れたが、20位ぐらいまでは行ったような行かなかったような)ぐらいまでは遊んでいた。そして、やめた。長々と色々書いてきたが、今日の本題はこの「何故やめたのか」である。

 私はこのゲームでアカツキを使っていた。理由はエヌアイン完全世界が好きで、そしてエヌアイン完全世界のシステムではアカツキで遊び続けるのがどうしても苦しい、と悟っていた時期だったからだ。だからその逃げ道として、他作品にアカツキが出たから飛びついたのだ。

 そして遊んでみた結果、見事に超弱キャラ(めちゃくちゃ弱いキャラという意味)で、アーケードで300戦した後、三万円分の百円玉と共にこのゲームを遊ぶ気持ちが消え去った。なぜ弱かったのかというと、単純に攻撃リーチが短かったからだ。uniではリーチが長いキャラほど強かった。強キャラは画面中央から攻撃振ったら、画面端まで届いていた。対して、アカツキはどれだけ足を伸ばしても人間キャラの2キャラ分くらいしか伸びない。これでどう戦えというのか。結論を言えば、それに尽きる。

 だが、私が心折れたのはそれが原因というわけではない。もっと根本的な部分に、このゲームにおけるアカツキの弱点があった。

 このゲームはダウン中のコマンド先行入力が無い。例えるとしたら、先行入力があるゲームは寝ころんだ状態から拳銃の装填、構え、照準ができる。しかし、先行入力が無いゲームは、起き上がった瞬間にホルスターから拳銃を抜かなければならない。これは格闘ゲームにおいて天と地ほどの違いがある。起き上がった後にしかレバー入力を受け付けないから、入力猶予がものすごく短いのだ。

 そしてアカツキの昇竜拳(無敵属性を持った技。起き上がりにこれをすれば、相手がなにか攻撃を重ねていた時に勝てる)は、コマンド入力が下二回である。同じ方向にレバーを二回入力しなければならないのだ。これで何が起こるかというと。他のキャラは昇竜拳の入力がだいたいは623(テンキー配置をレバー入力に見立ててこう一般的に表現する。この場合は右、下、斜め下だ)なので、入力はほぼ一瞬でできる。これでもかなりシビアだが。だが、アカツキの場合22なので、どうしたって623より入力が遅れてしまう。レバーを一旦中央付近まで戻さなくてはならないからだ。しかも、コンマ1秒でも寝転がり状態が残っている時に2を入れてしまうと、昇竜拳が発動しない。初めの2が消えてしまって、しゃがみ攻撃とか普通の攻撃に化けてしまう(想定と違う技が出ること)のだ。昇竜拳の時点で、他のキャラと大きな差があるのである。

 私は入力関係が緩いゲームが好きなので、この先行入力が無いという仕様自体にもかなりイライラしていたのだが。そこにこの昇竜拳の格差がのしかかり、キレてやめてしまった。似たような理由で、ストリートファイター系とか、KOFなんかはあまり好きではない。私は入力が緩いコンボゲーが好きなのだ。


 uniが今どういう状況で、流行っているのかいないのかも分からない。だが、私の中のuniというのは、率直に言って「ありとあらゆるシステムが不愉快なゲーム」だった。それこそ、エヌアイン完全世界を遥かに凌駕するほどに。だからといってあのゲームはダメだ、なんて言うつもりもないが。ただの思い出話なので、これぐらいは許してもらいたい。

 格闘ゲームはコンボができるようになると楽しい。対戦するのはなかなか厳しいゲーム(悲しいかな、格闘ゲームの経験値を持ってる相手には、生半可な努力では勝てないから)だけど、単純に長いコンボを完走したり、新しいコンボを考えるだけでも私は楽しかった。私が考えたコンボが他の人のコンボよりも火力が高かったりしたら、やっぱり嬉しくなる。私にとって格闘ゲームというのは、そういう楽しみ方をするゲームだ。


 今はもう時々友だちと年に数回エヌアイン完全世界を触る程度だが。格ゲーで遊ぶのはやっぱり面白い。熱くやりこむのも楽しかったけれど。今はそういう距離感がちょうどいい。

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