思叫堂~ロア~ 2023/01/01 20:47

次回作:剣士師弟もの台本00

次回作の冒頭部分となります。
今回は完全にストーリーの進行役をキャラとして存在させ、彼女が語ってくれるという形にしてみようと思ってます。

どうやれば、音声で聞いてもらう作品として自分でないキャラに感情移入しながら聞いて貰えるかなぁと新しい試みなどしてますので、
その辺りお楽しみいただけるようになっていれば幸いです。

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《ほー……ほー……》
(うっすらとしたフクロウの鳴き声)

《かん、……こん》
(同じく薄っすらとししおどしの音)

《がらがら……》
(その後、開く戸の開く音)

語り部
「おや、どちら様ですか?
今日は何か用事でもありましたでしょう……あぁ、しまったそうか。
……ようこそおいで下さいました。
ご挨拶遅れてしまい申し訳ありません。
久しぶりのお客様だったもので、無作法を晒してしまいました」

語り部
「こちらに来られたという事は、お客様という事でよろしいのですよね?
ふふ……ならば良かった。
語りと想像の庵(いおり)、語り部庵(かたりべあん)へ。
ようこそおいで下さいました。
ここでは、私ども(わたくしども)語り部として雇われた者がお客様の耳へと物語を想起……強くイメージさせる語りを行い、物語の疑似体験をして頂くことを商い(あきない)とさせて頂いております。
恥ずかしながら、私も一つだけそのような想起をさせる物語を一つ知っておりまして、その縁でこうしてここにいさせて頂いております。
さぁ、説明はこの程度にしてさっそく語りと致しましょう。ふふ……あまり長々話してもこういうものは楽しみを削いでしまいますしね?
ではさっそく……どうぞこちらに、私の膝の上に頭を置いて下さいませ」

語り部
「……あぁ、またやってしまいましたか。
急に膝と言われても、困ってしまいますよね。
ううん……今度は説明不足で申し訳ありません」

≪しゅる……≫
(体を動かした衣擦れの音)

語り部
「私共(わたくしども)の語りに耳を心を傾けて貰うために、こうして皆様の頭を膝の上に載せさせて頂き、
私共の声に耳を集中して頂くというのが、この店のルールとなっているのです。
ですのでどうぞ。遠慮なく、私(わたし)の膝の上に頭を預けて頂けますか?」

≪とすとすとす……しゅる≫
(ゆっくりと歩き、頭を預ける音)

語り部
「はい、ありがとうございます。
では、目を閉じ……ゆっくりと、呼吸をして下さい。
吸って、吐いて……吸って、吐いて……。
心を穏やかにして、しばしそのままに。
そして、これより語らせて頂く物語へと耳を傾け、どうぞ気持ちのままに想像の翼を広げて下さい。
お好きなように、お好きな形で、想像の羽を羽ばたかせ、物語る(ものがたる)ものを追体験するような心地になって、お聞き頂ければと幸いです」

《しゅる……っ》
(顔が耳に近づく衣擦れの音)

語り部
「では、今より語らせて頂きますのは、狂った剣士とその師弟のお話。
剣に狂い虎と呼ばれたある女と、その弟子として捕まえられたとある若者の話でございます」

語り部
「イメージを膨らませていると、ないはずの音が聞こえてきたりするかもしれませんが、あまり驚かれないでくださいね?
それでは、語り始めと致しましょう。
この話が、貴方の心の何かに触れて、思い出となって下されば……幸いです」

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