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2018年 08月の記事 (10)

思叫堂~ロア~ 2018/08/16 08:34

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思叫堂~ロア~ 2018/08/13 17:46

次回作:新体操少女、台本その4(エロパート)

次回作のエロパートその1の冒頭です!
続きは無料プランの方向けにこそっと公開中です……!

-=-=-=-=-=-=-

んっ……ちゅぅ、ずる……ちゅ、ぅ……くちゅぅ、れろ……はぁ、む。
ちゅぅ……ちゅぅ……れぇぇ……ろぉっ。

ちゅぷっ、ん……耳、しょっぱいわね。
すんっ……すんっ、すん……貴方、汗が残ってるんじゃない?
私は練習の後シャワーを浴びたけど……はむっ……ちゅぅ、ちゅぅぅぅ……っ。

ぷはっ……貴方は、そのままだった?
ふふっ……あっ……は♪ 不潔……体は綺麗にした方がいいわよ? ……ふふふ♪

私が汗臭いなんて言われたら、ちょっと気分悪いけど……んっ!
ちゅぅ……貴方の頬も、……ちゅぅ……顎も、……ちゅぅ……首も、ちゅぅ……ちゅっ……んっ、はぁ♪

胸元まで……貴方の匂いが汗っぽいのは、何となく嬉しいわね♪
……この塩気は、貴方が私に付き合った結果?
ふふ……そうなのかしら? そうなら……あぁ、よく分からないけど、うん……嬉しい、かも?

……ね、さっき言ったわよね?
私の柔らかさ……見て欲しいのよ。
貴方のお陰で……練習にずっと集中できてるから、私。
こんな風に……んっ。

《しゅる……きゅっ》

……ね?
前から足は広げられたけど、ここまでスムーズじゃなかったのよ?
……ここ数日は、特に念入りに柔軟もしてるから一段と、キレが上がったわ。
んっ……ほら、もっと近づいて見て頂戴よ。
貴方のお陰、これ……見て、ねぇ……触ってみて、頂戴?

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思叫堂~ロア~ 2018/08/08 00:14

次回作:新体操少女、台本その3

《ざわざわ……》

早瀬
「……毎日、よく飽きないわよね。
きちんと、こんな遅くまでわざわざ私を待って……私が言い出した事だけど、荷物まで持ってくれちゃってさ」

 ……練習が終え、すでに暗くなり始めた街を幼馴染……早瀬と共に帰る貴方。
昼から夜へと姿を変えていく町の中を、ただ2人で静かに歩き続ける。

早瀬
「……つき合わせておいて何だけど、迷惑だったら別に一緒にいなくて構わないのよ?
どうせ、もう何時(いつ)帰ろうが私には関係ないし。
お金は……保険とか、ママが遺してくれた分も結構あるしね」

 早瀬がほんの一瞬、隣を歩く貴方に視線を向けた。
そして気遣うと言うにはあまりに無愛想に、けれど……確かに貴方を気にして言葉を紡ぐ。

 何時帰っても問題ないのは、貴方も同じであった。
貴方の両親は転勤の関係で家には居らず、今は気侭な一人暮らしである。

 そして彼女の家の場合……生まれた頃に父親を亡くし、母子家庭であった彼女の家族。

 つい……先日の事であった。
彼女の唯一の肉親であった母親が……交通事故で亡くなったのは。

 葬儀では親戚に囲まれながらも、彼女は涙一つ見せる事なく……いつも通りなんて事はないという顔で毅然と、喪主をこなしていた。
日頃から、学校でも愛想が無さ過ぎると言われる……あのすました顔で。

 そもそも貴方自身、子供の頃ならば兎も角、家が隣であっても、彼女と接する事も無くなっていた。
本来ならば、そんな不幸な事故が起きたからと言って、こうして彼女と共に帰る生活を送る事もなかったはずである……けれど。

早瀬
「まったく……はぁ(溜息)。
誰もいない一人の家に帰るが寂しいなんて……そんな事言うつもりないのよ、私?」

 ……けれど、あの日。
彼女の母が亡くなったあの時……。
そんな事は知らず自分の家に帰り、扉を開け、今日は夜に何をしようかなどと考えながら扉を開けようとした時……視界に彼女を捕らえてしまったあの瞬間。

貴方は、見てしまったのだ。

 庭先で顔を俯かせ、スマートフォンを強く強く……傍目からでも、痛いと思える程に強く握り締め。
何処かに連絡をすべきなのに、何かを今すぐしなければいけないのに。
起こってしまった事が受け入れらず……信じたくないと。

 普段の様子とはかけ離れた小さな子供のような、震えて……呆然と佇ずむ、彼女を。

早瀬
「ねぇ……黙らないでよ、何とか言ったらどうなの?
ちょっと……ねぇ、その顔止めて頂戴!
止めてったら……お願いよ、そんな困ったような顔…………私に向けないで」

 言葉に詰まり、要領を得ない彼女からどうにか事情を聞きだし、代わりに連絡をして……彼女の母親が搬送された病院へとタクシーの手配をしたのだ。
その間中、恐くて仕方が無いとでも言うかのように……早瀬は貴方の服を掴んで、放さなかった。

 昔の幼馴染であっただけの相手に取る態度ではない事は、お互いに分かっていた。
けれど、あの時の彼女は……そうしなければ、そうしていなければ……耐えられなかったのだと思う。

 そして、彼女に付き添い……彼女と母親の別れのその場に、立ち会う事になった貴方は。
それからこうして、彼女に寄り添い続けているのであった。

――好きでやってるんだ、早瀬に文句を言われたって止(や)めるつもりはないよ。

早瀬
「あっそ…………物好き」

眉を顰め(ひそめ)、まるで迷惑かのように顔を顰める(しかめる)早瀬。
けれど、眉を顰め(ひそめ)させたその瞬間……僅かに頬が上がるのを、貴方は確かに見たのだ。

早瀬
「ふんっ……今晩のご飯は何? ……あ、煮物がまだ残ってるんだっけ?
ん……貴方、意外とそういうの作れるのよね。 人参多めにして作ってくれたのは……嬉しかったわ」
(※弱い所を見せたくないと気を張るけれど、お礼はお礼でしなければという感じで少しだけ可愛らしい所が見える感じ)


 そんな、ささやかな会話をしながら……貴方たちは買い物をしながら帰路に着くのであった。


======================

《カチャン……》

早瀬
「ご馳走様……美味しかったわ」

 買い物を終えて帰宅した後、作り置きしていた煮物と合わせて簡単に夕食を済ませる貴方と早瀬。
早瀬は食べ物に拘りなどないという顔をしていたが、それでも煮物の中から人参を多く食べていたのは一緒に食べていた貴方にはよく分かった。

――お粗末様、気に入って貰えたなら何より。

 そう、箸を置く彼女に声を掛ける貴方。

 彼女の母親の件以来、貴方はずっと彼女の家で生活を送っている。
今は……新体操の事以外は考えたくないという彼女に対し、どうせ貴方の家族も転勤で誰もいないのだからと、一晩彼女を心配して付き添い……そのまま、ずるずると関係は続いていた。

早瀬
「私はシャワーでいいけど、貴方お風呂はどうするの?
入る? ……ん、じゃあ溜めておくわね……ソレくらいは私がやるわ」

 貴方が片付けをしていると、さして気に留めた様子もなく早瀬が問いかけてくる。
すでにこの生活も数日、風呂ぐらいでは気にしないという様子だ。
軽く頷けば、それで納得したと浴室に向かい姿を消す彼女。

 いつもながら、奇妙な関係だなと……妙な感慨のようなものが貴方の中に湧いていた。
貴方と幼馴染である早瀬とは、別に恋人である訳でも、気の置けない関係を続けていた友人同士という訳でもなかった。

 ただ、昔……子供の頃。
一緒に遊んでいた事があるだけの隣人(りんじん)……それだけの関係のはずだった。
それが、あれ以来……こうしていつも隣にいて、生活を共にしている……まるで家族のように。

本当に奇妙な……言葉にしづらい関係だなと、ふっと改めて認識してしまう。


《たんたんたん……ぎぃ》


早瀬
「用意してきたわ……少し時間掛かりそうだったけど、溜まったら先に入ってもいいかしら?
……そっ? それじゃ有難く頂くわ」

 準備を終えた様子の早瀬が、ひょいと顔を覗かせて聞いてくる。
貴方がそれに一声頷けば、頷き返してくれて。
……それっきり喋る事がなくなったといった様子で、部屋に沈黙が広がる。

 最近の学校であった事など些細な会話は、初日の内にすぐに使い果たしてしまった。
だからお互い、何が必要なのかなど最低限の会話が終わってしまうと……最近はお互い黙ったままでいる事も多くなった。
恋人と言うにはお互いを知らず、友人と言うには離れ過ぎていて、家族と言うには……何処か遠慮があって、ぎこちがない。

――本当に……奇妙な関係だ。

 再び、貴方は心の中で呟く。
尤も……元々、彼女はコミュニケーションを取りたがる相手ではない事はよく分かっていたし、これはこれで……良好な関係といえるのかもしれない。
少なくとも、貴方にとっては……この明確な言葉に出来ない関係は、決して不快なものではなかった。

早瀬
「……ねぇ、そういえば、なんだけど」

 沈黙が続いている中……ふいに、早瀬が口を開いた。
普段ならば、そのまま静かな時間が過ぎていく事が多かっただけに、小さな驚きを覚えながら貴方は彼女を振り返る。
そこにはいつも通りの、すまし顔の彼女がそこにいた……が。

早瀬
「今日、コーチから……。
あぁ……多分告白、されたのかしら?」

早瀬
「”家の事で苦労してないか? 大変な事があればすぐに俺に言え。
練習では手は抜けんが、それ以外なら何でも手伝ってやる……何なら、俺の家に来てもいいぞ?
お前さえ良ければ……一生面倒をみてやってもいいと思ってるからな、俺は!”」

早瀬
「……って、言われて。
その時は考えておきますって言って練習に戻ったんだけど……ねぇ、これって貴方、どういう事だと思う?」

 唐突に、そんな爆弾発言を彼女は言い放った。

 驚きのあまり何をどう返していいかと混乱し、思わず言葉に詰まってしまった貴方。
早瀬は、それを観察するようにじっと貴方を見つめている。

 どんな態度を取るべきなのだろうか……なんて答えを返せばいいのだろうか?
気に掛けてくれてる事を祝福すべきなのか?
それとも……そんな怪しい男は止めておけとでも、叫ぶべきなのか?

 そんな1つに纏まってくれない考えがぐるぐると脳裏を駆け回り、何かをいうべきと口が開くが……結局言葉には出来ず、パクパクと空回ってしまう。
そんな時間が、暫し流れ……。

早瀬
「……ぷっ……ふふ、あは……はは♪
何よ、その顔……ふふ……困りきったみたいな、変な顔! ふふ、ふふふ……♪」

 堪らず噴出したといった様子で、早瀬が笑みを浮かべた。
当惑する貴方を尻目に、珍しくくすくすと楽しそうに……彼女が笑い続ける。

早瀬
「バカね……嘘、って訳じゃないけど……ふふ、別に悩んでなんかいないわ。
今……私、そんな事言われても考える余裕なんてないもの。
お世話にはなってるけど、別にコーチの事……そもそもそんな好きでもないし、ね」

 猫のようにゆっくりと……、早瀬が楽しんでいるといった様子で目を細める。

 何を楽しんでいるのだろうか……?
コーチを滑稽だと嗤っているのだろうか?
それともその事にショックを受けてくれた貴方の態度が……、嬉しいのだろうか?

 そんな何も分からず戸惑う貴方に、早瀬が一歩、近づいた。

早瀬
「……私、今は大会の事しか考えていたくないの。
それだけは、ママと……約束してた、から。
ずっと、自分のことみたいに、ママ楽しみにしててくれたから……これだけは、絶対手を抜きたくない。
本当、今は他に……何も考えたくないの。
でも……」

 呟くように言いながら、また一歩、早瀬が貴方に近づく。
もう、すぐ目の前に……目を細め、普段は何にも興味を示していないかのように振舞っていたはずの彼女が、笑みを湛えて。

早瀬
「だから、貴方には……。
あれから……私が恥を晒したあの時から、ずっと傍にいてくれて。
大会の事だけに集中させてくれようとしてる貴方には……我ながら驚く位、感謝……してるわ」

 目の前、そう表現するにも近過ぎる程……お互いの息が……吐息を感じられる程、近くに……彼女がいる。
息を吸うと……彼女の匂いが、鼻腔に満ちた。

早瀬
「お風呂が沸くまで時間もあるし、汗をかいてもすぐ流せるわ……ね?
今日までの、その……まっお礼代わり……かしら?
流石に実際に……そういうのは、”まだ”あげられないけれど。
……そう、ね? ……そう、なんて言い方をすればいいのか、私も……分からないのだけれど」

早瀬
「ね……?
貴方のお陰で、私……今どれだけ集中出来てるか。
私の体……柔らかくなってるか、確かめて……頂戴よ?
貴方の、手で……ね? はぁ……、むっ♪」

 そう言って、笑みの浮かべていた早瀬が顔の横に消える。
そして貴方の耳に……くちゅりと湿った音を伴って、彼女のお礼の合図が……絡みついた。

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思叫堂~ロア~ 2018/08/05 18:37

次回作:新体操少女、台本その2

ラブラブものの予定なんですが、なんか不穏になってるパート2です……あれぇ?


-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

《きゅ……きゅっ、きゅっ》

コーチ
「早瀬、体の反りが甘い!もっと動き自体を滑らかに、次の動作にシコりを残すな!もう一回っ……!」

早瀬
「はぁはぁ……、すぅ……はぁ、はい……コーチ」

 時間を潰しながらも練習が終わる頃を見計らい体育館に姿を見せた貴方。
厳しいコーチの叱責の声や、彼女が演舞のために床を擦らせる足音が響くのが聞こえてくる。
今日も、手を抜く事もなく必死に練習をしているらしい様子が、音からでもはっきりと分かるようであった。
もう暫くは時間が掛かりそうだと思った貴方が、体育館の壁に背を預けそっと終わるのを待っていると……。

部員1
「コーチ、今日も早瀬さんに厳しいよねぇ……?」

部員2
「個人でなら、うちのエースだし期待してんじゃないの?
ま……チームじゃ、むしろ邪魔だけどさぁ」

部員1
「ちょっとー、止めてあげなって……そりゃ、家族にご不幸があったんだし。
暫く休んでればいいのにっとは思うけどさぁ……」

部員2
「ねー?何頑張っちゃってるんだろ……可愛そうな私、頑張ってますアピール?
普段から、私は貴方たちとは違うみたいな顔してる癖に……。
あざといっていうかさぁ、本当に悲しんでるのって感じがして気持ち悪いよねぇ」


 貴方の耳に、そんな囁きが……薄っすらと届いた。
彼女の……部活の部員達の言葉であろう、その声。
元々異性にも同性にも、あまり感情を見せる様子もなく距離を取っていた彼女。
見た目は幼馴染として、普段から見掛ける事の多い貴方から見ても整っているだけに……同性からの反発は大きいという噂は聞いていたが、ここまでとは思っていなかった。

 彼女の、冷ややかな態度が原因で段々と距離を取っていってしまった貴方にとって……それは理解が出来てしまう言葉ではあった。
けれど……そう。
何故彼女が今頑張っているのか、あの日……それを知ってしまった貴方にとっては、それは歯痒く、もどかしい……意見であった。

早瀬
「……っ、ふぅ……はぁっ。
コーチ……今の捻り、もう一度いいですか?キャッチから、反らすまで……もう1ついけると思うんです」

コーチ
「そうだな……悪くは無かったが、お前なら今1ついけるだろう。
よし、もう1度最初から……!当たり前だが、見てる相手を釘付けにするつもりを忘れずにやってみろ!」

早瀬
「ふぅ、はい……分かりました」


 そんな愚痴とも悪意ともつかない言葉を吐き出されている事を知ってか知らずか、彼女……貴方の幼馴染たる少女、早瀬はただ黙々と練習をこなし続けていく。
その練習の音を聞きながら、彼女の悪評を振りまく部員達を止められぬ歯痒い思いを噛み締め、貴方だけはたった一人……彼女の練習が終わるのを待ち続けるのであった。

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思叫堂~ロア~ 2018/08/02 14:29

次回作:新体操少女、台本その1

前回は、次回作のプロットのご意見有難う御座いました!

意見を色々お伺いした結果、今回は新体操少女で作っていきます!
大体はプロットの流れですが、ちょこちょこ分かり易く文章などは弄っていきますねー!

現状は、こんな感じで進めていますよ……!


-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=


《きーんこーんかーんこーん……ざわざわざわ》

友人1
「うーし終わった、とっとと帰ろうぜー?」


友人2
「腹減ったぁ……なー、今日ちょっと飯寄ってかねぇ?
あっ、お前もどうよ? 最近ほれ、なんか……忙しそうじゃん?
気晴らしにさぁ、付き合えよ! ……な?」

 ホームルームの終わった教室。
放課後をどう過ごすかとざわめきが広がる教室に、生徒達の賑わいが広がる。
貴方に声を掛けて来たのは、普段よくつるんでいる友人達だ。
ここ最近、貴方の自分の時間を作れていない様子を心配したのか、気遣うように声を掛けて来てくれたのだ。

――ありがとう、気持ちは嬉しいけど……でも。

《ガラガラ……》

《ざわ……ぴたっ》

早瀬
「あぁ、見つけた」

 貴方が感謝の言葉を返そうとした時、一人の少女が教室の扉を開けて入ってきた。
その瞬間、賑わっていた部屋中がしんと静まり返る。
少女……長い髪を首の後ろでゆるく結んで整えたシュっと引き締まったポニーテールの、意思の強さを表すようにキリリと冷ややかとすら思える程鋭く細められた瞳の、彼女。
周りの反応になど気にしないとばかりに、遠慮する様子もなく教室に足を踏み入れ、そのまま貴方の前にやってきて言葉を紡ぐ。

早瀬
「悪いけど、もうすぐ大会でやっぱり今日も練習に時間掛かりそうなの。
時間掛かっちゃうと思うけど……どうせ、貴方は今日も待つ気でしょう?
それなら帰りは荷物持ちをお願いしたいから……お願いね?」

《ガラガラ……ざわ……ざわざわ》

 言いたい事だけ言い終わると貴方の返事を待つ事もなく、それで用事は終わったとばかりに少女は踵を返し教室を出て行ってしまう。
彼女が外に出ると、ほっと安心でもしたかのように教室に何処か遠慮がちなざわめきが戻ってくる。
……まるで、彼女がいる事が望ましくないとでも言うかのように。

友人1
「……あっちゃ、今日もお前をご指名か。
ぁー……彼女も大変だけど、お前も災難だよなぁ」

友人2
「あれから毎日だろ……?
……はー、幾ら家が隣つったって全然お前と絡んでる所見たことねぇのに。
事情が事情だし、しゃーないけど……。性格もキツそうだし、シンドかったら断ってもいいと思うぜ?」


 彼女に言い付けられた貴方を気の毒そうにしながら、友人達が慰めの言葉を掛けてくれる。
貴方はそれに、取り繕うように曖昧な笑みを浮かべて返事をし……そして席を立った。

《がたり……》

 彼女を腫れ物のように扱うクラスメート達の同情の視線を感じながら、それでも彼女を追いかけるために。
何故なら……貴方だけは知っているのだから。
あの冷ややかな瞳の少女が……何にも傷付かないという顔のまま、今必死に足掻いている事を。

彼女は……早瀬沙穂(ハヤセサホ)は、貴方の同級生である学園の2年生の生徒。
新体操部に所属し期待のエースと言われ、厳しい練習の真っ最中の……つい先日悲しい不幸を経験する事になった、少女。
子供の頃には家が隣だと遊んでいた事もあり、ここ数年は疎遠となっていた、無愛想で……同性からすら可愛げのないと囁かれる、貴方の……幼馴染だ。

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