yatsureCreate 2018/09/06 15:18

【ノベル】TSと親友と戸惑いと−2

逃げる様に自宅へと帰宅した自分は、それはそれは激しく後悔した。やっちまった。どうかしていたんだ。押し倒した時の、アイツの顔が思い浮かぶ。恐怖と戸惑いに満ちた、あの顔が。息が、胸が、苦しい。唯一の親友との関係を、自らぶち壊してしまったのだ。あんなに気心知れた友人は居ない。それなりに社交性があると自負しているが、友人と親友は明確に違う。それほどアイツとは、気が合った。同じ学校に通う親友と、帰りがけにコンビニのホットフードを買い食いしてはくだらない事で盛り上がり、次の日学校で眠そうに挨拶を交わす。休みの日にはパソコンパーツの店をふらついたり、同人誌を扱う店に行ったり、ゲームしたり。最近ハマったFPSゲームに至っては、学校が終わってからアイツの家に入り浸る生活が板についたもんだ。そんな、他愛なくも幸せで充実した時間を、もう二度と、過ごせないのかと思うと本当に胸が苦しい。だが、どうしようもない。どうしようもないというのは無論、TS病にかかったアイツへの思いだ。もう自分は、アイツを普通の友達として見る事はできない。それは、今日で確信に変わってしまった。これほど女遊びを特技として居なかった事を悔やんだ事はない。女に慣れていれば、アイツを男扱いすることも出来たのかも知れないが、現実の自分は女のカラダに興味津々の男である。性的な目で見ないなど不可能だ。TS病を発症したアイツが悪い訳では勿論ないが、思春期に性欲を我慢しろというのも暴論だろう。一通りの言い訳と後悔を頭に思い描き、一息つきながら自分の両手を眺める。柔らかかった。アイツの胸は、同じ人間のカラダなのかと思うほど柔らかく、気持ちよかった。服からつんっ、と浮き出た乳首。恥じらう女の顔。自分と同等に整った造形をした親友は、TSを発症した後の容姿が、もうどストライク。街で見かけたら目を奪われる程度には好みで、アイツに責任転嫁するわけではないが、例えばアイツがブサイク少女だったら、正直こんな事にはなって居ない。そう考えると、やっぱり悪いのは自分か。はは、酷いもんだ。

「・・・・抜こ。」

ムラムラする。先ほど親友に行った酷い行為が鮮明に思い出され、ズボンに愚息が突撃して痛い。柔らかかった揉み心地と、恥じらう姿と、漏れた声。たった1時間の間に3発もの自慰行為に耽り、冷静さを取り戻した。
そこでようやく、アイツの事をちゃんと考え始める。まず、現状の整理だ。というか、ハッキリ言ってしまえば、本当に考えたい事はただ一つ、アイツにとって、自分は脈があるのだろうか、という事。親友をオカズに自慰行為に及んでしまった今、もう言い訳の仕様もない。自分は間違いなく、アイツの事が好きなのだ。性的な意味で。まぁ、男に戻った場合については考えないが、少なくともアイツが女である以上、今自分が抱いている感情は恋心だ。見事に心が下にある。ストレートに物を申せばエッチしたい。それくらい、アイツに惚れてしまった。容姿が第一に来ている事も認めよう。綺麗事を宣いたい訳じゃないが、理想を語るなら、アイツと恋人同士になって、今までの様に遊びつつ、エッチもしたい。そんな感じだ。やっぱり、アイツと一緒にいるのは一番楽しいし、気が楽だから。ふと、思い至った。じゃあ、アイツは?そうだ、アイツは自分の事をどう思っているのだろうか。人の気持ちなんてわからないが、逆の立場で考えてみよう。もし、自分がTS病になって居たifを。多分、変わらずアイツと遊びたいとは思う。間違いない。でもきっと、チェリーのアイツの事だ、絶対、一揉みでいいからおっぱい触らせてくれ、とせがんでくるに違いない。自分も、気持ちがわかるだけに、仕方がねーなと揉ませてやるだろう。そんなん、思春期の男が女の胸を揉んで、情欲が溢れる事はあっても発散される事は皆無だ。ムラムラに限界が訪れ、無理矢理押し倒されてレ○プされてもおかしくない。でもきっと、アレで優しいアイツの事だ。ギリッギリの所で理性を働かせ、多分、押し倒した直後の自分の反応を伺うだろう。その時自分は、どう反応する・・・?

「・・・・あ。」

言う。やめろ、と。なんでそんな事を口走るのか、まだわからない。でも多分、一旦やめろって言う。ぶっちゃけ言えば、レ○プされても文句はない。良しとはしないが。だが、それは嫌だ。なんで嫌だって、男、だから?本当にそうだろうか。男同士ならそう思うのも無理はない。それが本当に男に嫌悪を持っているのか、それとも周りの目を気にしてか、理由は如何にしても。だが、結局、今の体は女で、近い将来男に抱かれる未来の方が現実的だ。なら、男だから、と言う理由で拒むのは意味がわからない。だって、男の自分が女に欲情するのは、自分が男だから。当たり前過ぎる話だが、この前提条件を考えれば、TSを発症して女になった今、男だから、と言う理由で嫌悪するのはおかしい。そこそこ聡明なアイツのことだ、その辺りは考えただろう。いや、考えて居なかったのかも知れない。そりゃそうだ、まだ発症して3日そこそこ。そんなことまで考えないだろう。いや待て、じゃあ、それがわかった今、TSった自分はアイツに迫られて、どうする?多分、変わらない。やめろって言う。なんで?わからない。わからないけど、なんか、嫌だ。そう、なんか嫌なんだ。何が嫌かはわからないけど、なんか嫌なんだ。・・・ダメだ、なんかこう、これについては一旦スキップ。そうだ、脈があるかどうかなら、そもそも考えなければならない事があった。自分は、アイツに嫌われたのだろうか。アイツとのやりとりを思い出す。そうだ、頭が真っ白になってたからちゃんと聞けてなかったが、そう言えばアイツ、別れ際に"明日は、ゲームしよう"って、誘ってくれてなかったか?スマホでアイツにメッセを送って確認したいが、それは出来ない。でも、聞き間違いじゃなかったとしたら、少なくともアイツは、自分との縁を切りたい、とは思って居ない、と言う事だ。脈があるかどうかはわからないけど、嫌われてはいない・・・はずだ。

「・・・明日、確かめよう。」



学校で授業を受けていると、マナーモードのスマホがブーッと震える。アイツからの新着メッセージだと通知が見えると、心臓が跳ねる。授業中にも関わらず、こっそりと中を確認した。

「今日、何時くらいにくる?」

歓喜した。聞き間違いじゃなかったんだ。それに、いつもはこんな事聞いて来ない。これは多分、本当に多分だが、アイツからのお誘いだ。時間なんて言うのは建前で、本当に知りたいのは"自分が来るかどうか"だろう。単純に遊びたいだけなのか、それとも昨日の決着を着けたいのか、はたまた別の理由か。何れにしても今日、アイツは自分と会いたいらしい。その事実に、歓喜する。


ピンポーン

「・・・早かったな。上がれよ。」
「・・・・おう。」

長かった授業も終わり、半ば駆け足で駅まで向かい、最速で親友の家へと向かった。過去最短記録。行き慣れた道について、本当にこれが最短の道か?と改めて地図を確認するほど、急いだものだ。息を切らしているのは流石にドン引きだろうと、最後の100メートルは歩いて呼吸を整え平然を装ったが、そんな事よりなんだその服装は。街で見かける、ちょっとオシャレな女性のそれ。出かけていたのだろうか。服についてはあのお母さんだ、TSった息子の為に、ここぞとばかりに女物の服を買い漁る姿が目に浮かぶ。まいった。返事した時、声がうわずっていなかっただろうか。緊張しながら、アイツの後ろをついて部屋へと向かう。目線が、お尻に行ってしまい、頭を振った。冗談じゃない。昨日の二の舞だけはごめんだ。今にも後ろから抱きつき、襲いかかりたい衝動を抑える。ハッと、お邪魔しますの一言が抜けていたと思い出し、いつも通り親友のお母さんに届くように挨拶を発する。

「お邪魔しまーす!」
「ああ、母さん今日パート。遅番だって言ってたから、帰って来るのは10時頃かな。」
「え?あ、そうか・・・。」

どくんっ、と心臓が血液を頭に送る。待て。お母さんが居ない、と言うワード自体もなかなかの破壊力だが、それよりも気になった事がある。帰って来るのが、10時、つまり22時だと、なぜわざわざ教えた?普段から、ご両親の帰って来る時間なんて関係無しに遊んでいたし、自分はだいたい20〜21時には、いつも帰宅していたハズだ。ばくんっ、はくんっ、と鼓動が激しく、息が苦しい。落ち着け、これに深い意味はない。そうだ、考えすぎだ。そう思っていると、部屋の扉を開け、先に中に入った親友は、チラッと、ほんの一瞬、こちらを振り返り、自分の様子を伺った・・・様に見えた。その顔が、赤かったかどうかはもうわからない。なんとなくだが、親友は昨日の件に決着を着けたいのだと直感した。

「パブジーやろうぜ。」
「・・・は?・・・あっ!いや、おう、やろうぜ。」

部屋へと入り際に発した自分の発言に、素っ頓狂な声を発した親友は、ハッとした後、取り繕う様に同意した。自分の家にはゲームができるほどのスペックを有したパソコンがないので、今ハマっているゲームができないのだ。ただでさえ昨日もやり損ねたというのに。22時に帰って来るなら丁度いい、2〜3時間は出来る。いつもの定位置へと座ると、親友は何かを思い出した様に部屋を出て行った。多分、お菓子とジュースを取りに行ってくれたんだと思う。自分もトイレに行って一発抜いておこうか悩んだが、親友の家で事に及ぶのは、流石に・・・。戻って来た親友は、二人の間にお菓子とコップを並べると、専用の椅子へと腰をかけたのだった。レッツ、ゴリラAIM。

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