指の制御用リグ

指のリグ解説(YouTube連動記事)

はじめに

 この記事では私なりの指のリグの組み方を紹介します。指のボーンを一本一本動かしてもいいのですがモーションをつける際にそれでは効率が悪いので一括で簡単に手の形を変えられるようにリグを組みます。
 私のやり方では指のリグを二段階にしています。一段目のリグで指の曲げをコントロールして、二段目のリグで予め設定しておいたパターンを呼び出します。二段目のリグは、ポーズライブラリで代用できないこともないですが、使い勝手を考えるとコントローラをリグで持つ方が便利なので、設定は面倒ですが全てリグで用意しています。

ボーンの準備

(※:今回ボーンは左半身のみ作成します。ボーンの編集モードでツールプロパティにX軸ミラーにチェックが入っている場合は一旦オフにします。ボーンの数もコンストレイントの数も多いので時短と凡ミスの低減を兼ねて、一通り設定が終わった後でボーンの対称化機能を使って右半分のボーンを作成します)

 指コントローラーの土台となるボーン(I_hand_L)を作成します。このボーンは表示に利用するだけなので、ボーンタブの変形のチェックはオフにしておきます。ボーンの親は、表示位置を固定したいのならばルートボーン(root)に、手の動きに追従させたければ、手ボーン(hand_L)に設定します。(実際に運用してみたところ、手と一緒にコントローラー動くのは意外に使いづらかったので、私はコントローラの位置を固定しています)

 指コントローラーの土台となるボーン(I_hand_L)から、実際に指の曲げを制御するボーンを片手につき6本ずつ(E)キーで伸ばします。6本のボーンは親指制御用(C_f_thumb_L)、人差し指制御用(C_f_index_L)、中指制御用(C_f_middle_L)、薬指制御用(C_f_ring_L)、小指制御用(C_f_pinkie_L)、横方向への開閉制御用(C_f_wide_narrow_L)になります。

 さらにリラックス(C_h_pattern_relax_L)、握り手(C_h_pattern_grip_L)、剣持ち用(C_h_pattern_sword_L)、槍持ち用(C_h_pattern_lance_L)、銃持ち用(C_h_pattern_gun_L)の5パターンを呼び出すための切り替えスイッチ用ボーンも作成します。これらの11本(両手で22本)のボーンの親は全て指コントローラーの土台となるボーン(I_hand_L)です。

 ポーズモードに切り替え、ボーンにカスタムシェイプを割り当てて、視覚的にわかりやすくします。

制御用ボーンに位置制限を追加

 スイッチとなる制御用のボーンに位置制限コンストレイントを追加し、移動範囲を制限します。

指ボーンにトランスフォーム変換を追加

 指ボーンに2種類のコンストレイントを設定します。一つ目のコンストレイントは回転制限で、これで指の可動範囲を制限します。指の第一関節(DIP関節)と第二関節(PIP関節)は一軸可動に設定し、付け根の関節(MP関節)のみ横にも広げられるように二軸可動に設定します。
MP関節(二軸可動)


PIP関節(一軸可動)

 二つ目のコンストレイントはトランスレート変換コンストレイントで、こちらでは指コントローラの位置の変化を指の曲げる角度に変換します。これを全ての指のボーンに追加します。その際はコンストレイントのコピーを使うと早くてミスも発生しにくいです。(※:曲げる角度は人間の指の場合は、関節ごとに微妙に調整しますが、今回はロボットなので一律に設定しています)

指コントローラによる指の制御(動画)

制御用ボーンにトランスフォーム変換を追加

 以下の図のように、トランスフォーム変換を使って切り替えスイッチの移動を制御用ボーンの移動に変換します。これを5つの指コントローラ全てに同様に設定します。繰り返しますがコンストレイントのコピーを使うと楽です。なお、移動量で設定すると直感的に分かりづらいので、スライダーの動きは最大値で入力しておき、以下の設定例のように影響度で微調整する方が楽です。

リラックス状態スイッチを動かした時の設定


握り手スイッチを動かした時の設定

剣持ち手スイッチを動かした時の設定

槍持ち手スイッチを動かした時の設定

銃持ち手スイッチを動かした時の設定

パターンスイッチによる手の形の切り替え(動画)

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