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トポロジ変更を伴うメッシュ編集について(その2)

シェイプキーとトポロジ変更を伴うメッシュ編集について

 トポロジとトポロジ変更については前記事を参考にしてください。

シェイプキー付きメッシュオブジェクトのNG行為

 シェイプキーが付いたメッシュオブジェクトに対して編集作業を行う場合、頂点移動だけならなんら問題ありませんが、トポロジが変わる編集(頂点の追加or削除、頂点の繋ぎ替え)はNGです。編集箇所が直接シェイプキーで動かす頂点か否かに関わらず、高確率でシェイプキーが壊れます。

シェイプキー付きメッシュオブジェクトにトポロジ編集を行う方法

1. トポロジの変更をしたい箇所が、シェイプキーで動かしたい頂点の場合

 諦めてシェイプキーを削除し、メッシュ構造を変更した後に改めてシェイプキーを付け直します。

2. トポロジの変更をしたい箇所が、シェイプキーで動かしたい頂点ではない場合

 以下の方法で編集可能です。なお念の為編集するオブジェクトはバックアップを取っておくことをお勧めします。
1)トポロジの編集をしたい箇所を編集モードで選択し、別オブジェクトに分割(P)する



2)オブジェクトモードで分割したオブジェクトのシェイプキーを全て削除する


3)編集モードでメッシュデータを編集する

4)オブジェクトモードで分割先オブジェクト→分割元オブジェクトの順で選択し(分割元オブジェクトを黄色のアクティブ状態にする)、オブジェクトを合成する(Ctrl+J)


5)編集モードで頂点をマージ(M)し、分割されたメッシュを一纏めにする


以上

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トポロジ変更を伴うメッシュ編集について(その1)

トポロジ変更を伴うメッシュ編集について

トポロジとは

 トポロジーとは数学の用語ですが、3DCGにおいてはメッシュ(面や辺)の構造や繋がり方のことをトポロジーと呼んでいます。

綺麗なトポロジor汚いトポロジ

 メッシュの構成方法に正解はありませんが、面のつながり方の綺麗さは(ループカットなどの)編集作業やスキニングなどの後の作業の作業効率に影響が出てきます。


 一般的に円筒を縦横に単純に分割したトポロジの場合、ループカットなどの編集作業はやりやすいものの、筋肉の隆起などの表現を行いたい場合にウェイト塗りが難しいという側面があります。
 逆に筋肉や腱の流れに沿ったトポロジにすると、筋肉が交差する箇所に三角ポリゴンができてしまったり(※)ループ選択がやりづらかったりと別の問題が出てきます。結局は自分の目的に合った最適解を探すしかありません。


(※:三角ポリゴンの是非はまた別の機会に)

トポロジ修正の例

 今回、以前から気になっていたキャラモデルの足部分のトポロジを変更しました。
変更前:



変更後:


 足の甲のメッシュの流れを変更することで、足側面に走る辺ループが一周繋がるようになりました。この変更によってボディの変形などに直接影響はないのですが、今後足のメッシュをベースに靴下や靴のメッシュデータを作成する際にループ選択が行いやすくなります。(作業効率アップ)

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下着用リグ

下着用リグ

モデルの用途を考える

 今回の話は3Dキャラクターのモデルをゲームでリアルタイムに動かしたり、VRチャットなどでアバターとして利用する際にはあまり関係ない話です。今作っているモデルはプリレンダリングのアダルト動画のために使用するという明確な目的があるので、多少リグの構造が複雑になろうともエロ要素のために必要と思われるギミックは片っ端から盛り込んでいます。

下着を臀部の形にフィットさせ、かつアクティブに動かすためのリグ

 肌に密着した下着の変形は(こだわりはじめると)かなり難しくて、特に股関節と臀部の脂肪の変形を下着に適切に伝えるのは胴体側のボーンだけでは不可能に近いです。仮にシェイプキーを併用したとしても限界がありますし、シュリンクラップモディファイアもあくまで補助でしかありません。そこで下着には胴体とは別にアーマチュアを割り当てて、個別に動かせるようにしました。
(使用例)パンツの食い込みを直しているポーズ


ボーン構成

 パンツのボーンは操作ボーン、メカニカルヘルパー(MHボーン)、変形ボーン3本で1セットになっており、それぞれのセットが繋がる構造になっています。親子関係は操作ボーン>MHボーン>変形ボーンとなっており、操作ボーンを動かすと連動して変形ボーンまでが動くようになります。

操作ボーンとMHボーン

親子関係は操作ボーン(親)>MHボーン(子)。
MHボーンはコンストレイントなどを割り当てるボーンで普段は非表示にしておきます(ボーンレイヤーを分けておくと良い)。

MHボーンと変形ボーン

親子関係はMHボーン(親)>変形ボーン(子)。変形ボーンはMHボーンと大きさ向きを揃え、同じ位置に配置します。
変形のチェックをマークし、ウェイトペイント時以外は非表示にしておきます。

ボーンの配置

 3本1セットのボーンを複数セット用意しMHボーンのテールの位置に繋がるように配置します(ボーンの接続はオフのままで良い)。


ポーズモードでMHボーンに減衰トラックとストレッチのコンストレイントをつけます。

こうすることでMHボーンは両端の操作ボーンを動かして操作することができるようになります。

 このボーンセットを複数用意してぐるっと一周繋げたのがこちらのショーツのリグです。またこのボーン構造は瞼や唇などにも使用することができるので、リグの基本構造の一つとして覚えておいて損はないです。


レンダリング結果

パンツの足ぐり部分にぐるっとボーンを仕込んでおり、尻肉に合わせて微調整が可能ですので、パンツの食い込みの表現やクロッチ部分をずらすことなども可能です。


上図に対して左尻の足ぐりを食い込み気味に、右尻の足ぐりを引っ張り気味に微調整したもの

クロッチの幅を自由に変更


クロッチずらし

胴体貫通の対策 〜シュリンクラップモディファイアの補助的利用〜

 リグを入れたことでショーツのウェストと足ぐり部分の位置はボーンで調整可能になりましたがそれ以外にも面の部分がまだ残っています。面の部分の胴体貫通はウェイト塗りとボーンだけでは抑えきれません。またシェイプキーで対応しようにも限界がありますし、何よりもシェイプキーにはメッシュデータの運用が難しくなるという欠点があります。そこで胴体の貫通対策としてシュリンクラップモディファイアを使います。ゲームエンジンやMMDなどの外部利用はできなくなりますが、冒頭に書いた通りblender内での動画作成を目的としているので、便利なモディファイアはどんどん使っていきます。

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ドリクラ玲香モデルをMMDにする

DCC玲香モデルをMMDにする


 blenderでのドリクラ玲香モデルの制作は一応の完成にまで漕ぎ着けました。次は.blendフォーマットのこのモデルをMMDフォーマットに書き出す作業です。MMD化について色々と調べてみると話はそう単純ではないようで、現段階のデータから手直しが必要となりそうです。

とりあえずアーマチュアは一つにすべし

 先日の記事でリグを階層化して汎用性を確保する、といった記事を書きましたが、そもそもMMDにするにあたってはこの考え方は良くないようです。少なくともアーマチュアは一つにしないと書き出しがうまくいきません。よって、まずは複数に分けたアーマチュアを統合する必要が出てきました。統合するだけならばそれほど手間はかかりませんが、重複するボーンや不要になるボーンを整理するとなるとそれなりの工数がかかりそうです。MMDモデラーが衣装違いでデータを分けているのはそのためだったんだなと今になって知りました。MMDではボーン名称なども日本語化する必要がありますし、MMDコンバート用データは一旦別バージョンとして分け、今後はアーマチュアの統合やボーン名称の変更などの作業を行っていきます。

世に発表する際のフォーマットについて

 自分は基本的にはblender内で完結させるつもりで諸々の作業をしてきましたので致し方ない部分があるのですが、もしも最初から目的(Unityで使うか、MMDにするかなど)が決まっているようならば、当然ですが最初から目的に合わせた設計をする方が今回のように二度手間にならなくて良いと思います。

ギャラリー

 MMD化の作業はおいおい進めていくとして(もしかしたらMMD化に必要な工程に関しては記事にするかもしれません)、とりあえず現状データをblenderでレンダリングした画像がこちらです。





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リグの階層化について

リグの階層化について

 現在制作中のドリクラ玲香3Dモデルですが、衣装(制服、下着)のモデリングが終わり、リグの作成に取り掛かっています。一般的には(キャラクターモデル制作の入門書や動画を見る限りでは)、体のリグをそのまま用いて衣装を動かします。また髪の毛を動かすボーンは体のアーマチュアの延長として設計するのが基本のようです。

ベースモデルとしての汎用性を確保するために髪の毛のボーンを本体と分ける

 ただし、この構造はそのキャラクターモデルが衣装が一着のみで、髪型も変えないことが前提です。作成しているキャラクターモデルが複数の髪型パターンを持っている場合は、髪型に合わせて複数のボーンのセット(アーマチュア)に分ける方が良さそうです。また、髪の毛のアーマチュアを本体と別にすることは、作成した3Dモデルをベースにして別キャラクターのモデルを作成する場合にも都合が良いでしょう。

衣装のアーマチュアについて

 衣装のアーマチュアについても同様のことが言えます。ドリクラ玲香モデルの場合は、例えばエプロンやタイなど、体の動きとは別に動かしたい箇所が幾つか存在します。動画ならば物理演算で動かしますが、静止画の場合は好きな位置に止めるためにあえてボーンを仕込みます。そういった衣装専用のボーンを体のアーマチュアに含めてしまうと、別の衣装に切り替えたい時に無駄なボーンが発生してしまいます。

別々のアーマチュアを連動させる

 胴体、髪の毛、衣装、下着とアーマチュアを分けて作り、それぞれメッシュとペアレント化します。メッシュとアーマチュアの関係性はアーマチュアが一つの時と同じです。

 次に複数あるアーマチュアを関連づけ、連動するように設定します。複数のアーマチュアを関連づける方法は二つほどあります。一つはトランスフォームコピーコンストレイントを使う方法解説動画)で、もう一つは別アーマチュア内のボーン同士を親子関係にする方法解説動画)です。

 本体のアーマチュアを操作起点として、衣装や髪のアーマチュアは胴体のボーンの影響下で動かしますが(一部の専用ボーンは個別で動かせるようにします)、今回はトランスフォームコピーコンストレイントを使い、各所のボーンの動きを直接他アーマチュアのボーンにコピーして連動させる方法を取りました。

複数のアーマチュアに分けることのメリット&デメリット

 アーマチュアをグループに応じて分けることのメリットはベースモデルとしての汎用性が確保できること、一方でデメリットはモーション作成時に複数のアーマチュアを選択せねばならず、若干操作が面倒になること。またアーマチュア同士を連動して動かすための仕組み(ペアレント化もしくは変形コピーコンストレイント)を実装せねばならないため設計時に若干の手間がかかること、もデメリットになります。このメリットとデメリットの影響度合いは実際に運用してみないとなんとも言えません。ドリクラ玲香モデルと(今後作る予定の派生モデル)で、このアーマチュア構成を試してみて、使いづらいようならば、また次の汎用モデルからは一つにまとめます。

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