下着用リグ
モデルの用途を考える
今回の話は3Dキャラクターのモデルをゲームでリアルタイムに動かしたり、VRチャットなどでアバターとして利用する際にはあまり関係ない話です。今作っているモデルはプリレンダリングのアダルト動画のために使用するという明確な目的があるので、多少リグの構造が複雑になろうともエロ要素のために必要と思われるギミックは片っ端から盛り込んでいます。
下着を臀部の形にフィットさせ、かつアクティブに動かすためのリグ
肌に密着した下着の変形は(こだわりはじめると)かなり難しくて、特に股関節と臀部の脂肪の変形を下着に適切に伝えるのは胴体側のボーンだけでは不可能に近いです。仮にシェイプキーを併用したとしても限界がありますし、シュリンクラップモディファイアもあくまで補助でしかありません。そこで下着には胴体とは別にアーマチュアを割り当てて、個別に動かせるようにしました。
(使用例)パンツの食い込みを直しているポーズ
ボーン構成
パンツのボーンは操作ボーン、メカニカルヘルパー(MHボーン)、変形ボーン3本で1セットになっており、それぞれのセットが繋がる構造になっています。親子関係は操作ボーン>MHボーン>変形ボーンとなっており、操作ボーンを動かすと連動して変形ボーンまでが動くようになります。
操作ボーンとMHボーン
親子関係は操作ボーン(親)>MHボーン(子)。
MHボーンはコンストレイントなどを割り当てるボーンで普段は非表示にしておきます(ボーンレイヤーを分けておくと良い)。
MHボーンと変形ボーン
親子関係はMHボーン(親)>変形ボーン(子)。変形ボーンはMHボーンと大きさ向きを揃え、同じ位置に配置します。
変形のチェックをマークし、ウェイトペイント時以外は非表示にしておきます。
ボーンの配置
3本1セットのボーンを複数セット用意しMHボーンのテールの位置に繋がるように配置します(ボーンの接続はオフのままで良い)。
ポーズモードでMHボーンに減衰トラックとストレッチのコンストレイントをつけます。
こうすることでMHボーンは両端の操作ボーンを動かして操作することができるようになります。
このボーンセットを複数用意してぐるっと一周繋げたのがこちらのショーツのリグです。またこのボーン構造は瞼や唇などにも使用することができるので、リグの基本構造の一つとして覚えておいて損はないです。
レンダリング結果
パンツの足ぐり部分にぐるっとボーンを仕込んでおり、尻肉に合わせて微調整が可能ですので、パンツの食い込みの表現やクロッチ部分をずらすことなども可能です。
上図に対して左尻の足ぐりを食い込み気味に、右尻の足ぐりを引っ張り気味に微調整したもの
クロッチの幅を自由に変更
クロッチずらし
胴体貫通の対策 〜シュリンクラップモディファイアの補助的利用〜
リグを入れたことでショーツのウェストと足ぐり部分の位置はボーンで調整可能になりましたがそれ以外にも面の部分がまだ残っています。面の部分の胴体貫通はウェイト塗りとボーンだけでは抑えきれません。またシェイプキーで対応しようにも限界がありますし、何よりもシェイプキーにはメッシュデータの運用が難しくなるという欠点があります。そこで胴体の貫通対策としてシュリンクラップモディファイアを使います。ゲームエンジンやMMDなどの外部利用はできなくなりますが、冒頭に書いた通りblender内での動画作成を目的としているので、便利なモディファイアはどんどん使っていきます。