官能物語 2020/05/28 14:00

息子の告白/32

「気持ちいい、久美子?」

乳首から唇を離した息子に、また名前を呼び捨てにされて、しかし、久美子はもうそのことに関しては言及しなかった。呼びたいなら呼ばせてやればいい、というよりも、久美子自身にもそう呼ばれたいという気持ちもあった。なにせ、このところ名前で呼んでもらえることなど、ほとんど無かったのだ。名前で呼ばれると、一個の人格として認められた気持ちになって、心地よかった。

呼び捨てはそれでいいとしても、気持ちいいかという問いに対して、素直に答えるのは恥ずかしくて黙っていたところ、乳首にびりっとした性の電流を得て、

「あんっ!」

と思わず、喘ぎ声を上げた。見ると、息子が再び、乳首に唇をつけている。ただ、指でつねられるだけでも相当に気持ちがいいというのに、そこに唇がつけられ、それだけではなく、レロレロと乳頭を舐められたり、あまつさえ、軽く歯を当てられるようにすると、

「ひああんっ!」

 軽くイッてしまった。

「はあっ……はあっ……」

 久美子は、目の前の若くたくましいオスに、抱き付くようにした。すると、今度は、もう片方の乳首が、また同じようにねぶられて、びくっ、びくっ、と体を震わせて、快感に耐えた。体の中心部には、熱い塊があって、その塊からは、常に快感が放射されている。久美子は、この状態が、生殺しであることに気がついた。乳首は確かに気持ちいいのだけれど、もっと本格的な快感を与えて欲しいところ、座位ではそれが得られない。これが、もしも息子が焦らしているのだとしたら、まだ救いがあるかもしれないが、おそらくは、ここから二人で気持ちよくなるやり方を知らないのだろう。そうして、久美子もそんなことはもちろん知らなかった。

――ああっ……奥を突いてほしい……。

 久美子は、正常位かあるいはバックで、さっきみたいにガシガシと秘奥を責め立ててもらいたいと思った。そう思って、なんてはしたないことを、とちょっと恥じ入る気持ちが芽生えたけれど、そのとき、折良くというべきかどうか、乳首に歯が当てられて、

「はあんっ!」

 びくんっ、とまた軽くイッてしまって、気持ちは吹き飛んだ。久美子は、自分の目がとろんとしているのが分かる気がした。そうして、だらしなく半開きになった口から、

「……もう来て……高典」
 息子を誘う声が出るのを聞いた。久美子は、ゆるやかに、ベッドに押し倒されるのを感じた。そうして仰向けにされたところ、高典の目に、肉食獣のそれのような色があるのが見えた。

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