母の浮気/8
母が自分から男を誘うようなことをするなんて、良太には信じられない思いだった。本当に、普段は、とてもそんなことをするような人ではないのだ。良太は、大人の……いや、女の怖さを知った思いだった。
「い、いいんですか、奥さん……」
男はごくりと唾を飲んだようである。
「いいわよ、本当にしたかったらだけど」
「し、したいですよ!」
「じゃあ、どうぞ……あ、ついでに、下着も脱がせてくれる? ふふっ」
母が促すと、男は素直にそれに従って、腰を下ろした。良太は、また噴き出しそうになった。というのも、男の股間が出しっ放しだったからである。ズボンのチャックから。
「あんっ……」
母が可愛らしい声を上げて、男に下着を脱がせてもらったようだった。
「ああ、これが、奥さんのおまんこ……」
男は感動したような声を出した。
良太は、みたび笑いをこらえた。これは、何がつぼに入ったのか分からない。ただ、大人の男が、子どもが口に出して喜ぶ淫語を使ったのが、面白かったのかもしれない。
「舐めたいんでしょ、いいわよ、舐めて」
母が、高慢な口調で言った。こんな母の声は聞いたことがなかった。出そうと思えば、こういう声を出すこともできるのである。良太は、母の新たな一面を知った思いだった。
「ああ、奥さん……」
男が、母の股間に顔を埋めるようにする。それを母が見下ろしている様子は、まるで、下僕にかしづかれている女王のように見えた。
「ああっ、気持ちいいわ、上手よ」
言葉通り、母はうわずったような声を出した。
男が女の股間を舐める様子は、女が男のモノを舐める様子より、良太を興奮させなかった。単純に、
――あんなことしたくねー。
と思ったからである。何が楽しいのか分からない。それが大人なんだろうなあ、とさめた気持ちを抱く一方で、
「はあっ、ああっ、いいっ、もっと、もっとよぉ……はああんっ!」
クンニに応じて上がる母の喘ぎ声には興奮した。良太のペニスは半ズボンの中で立ち上がっている。押し入れは覗き見スペースとして最高だけれど、ただ一つの難点は、覗き見しながらオナニーができないということだった。ごそごそするわけにはいかないし、仮に静かにしたとしても、後の処理に困ってしまう。
「ああっ、気持ちいいわ……もう、我慢できない……入れて」
後ろ手で支えていた体を、母は仰向けに倒した。
男の顔が、母の股間から離れる。