母の浮気/16
良太は、抜き足差し足で、ダイニングに行こうとしていたのを変更して、リビングへと向かった。そうして、廊下から、そっと覗いてみると、父と母がソファに座って、キスしているところだった。父母のキスシーンは、良太にとっては、ちょっと微妙だった。どう微妙かと問われても分からないのだけれど、家族が唇を合わせているということに違和感があるのである。気持ち悪いとまでは思わないので、そのまま見ていると、
「もう……ホントにここでするのぉ?」
母が、甘えたような声を出した。本当にするのかと訊いてはいるけれど、すでにそれを受け入れている声である。
「いいだろ、たまには、こういうところでも」
「良太……起きないかなあ」
「見られたら見られたでいいじゃないか。夫婦が愛し合っている姿なんだから、恥じることは無いよ」
いや、その考えはどうなんだろう、と良太は思った。見る子が見たら、トラウマになるかもしれない。幸い、良太は、続きを見たいと思っており、心に傷を負うことは無さそうだが、普段はそう軽はずみではない父が今に限って適当なことを言うので、少し驚いてはいた。テーブルの上にお酒の瓶があって、二人で飲んでいたようであるので、酔いが手伝っているのかもしれなかった。
「こんなにトロトロにするなんて、しばらくシてなかったから、溜まってるんじゃないのか?」
父は、母のワンピースの裾の中へと、手を差し入れて、秘所を探っているようだった。
「あんっ、そんなこと言わないでよぉ……」
しばらくシていない、とはどのくらいシていないのだろうか。少なくとも、母の方は、二ヶ月前くらいには、友人の父親とシていたので、二ヶ月ぶりにはなるのだけれど、大人がどのくらいの頻度でセックスするのか知らない良太は、二人の営みがどのくらい久しぶりかは、想像しようがなかった。
「あなただって、こんなに大きくしてるじゃない」
母の手が、父のショートパンツの股間をさするようにしていた。
「おおっ……舐めてくれないか、あやか?」
「手より口の方がいいんだ。ふふっ、いいわよ。じゃあ、ズボンをおろしてね」
父が、ソファの上で、もぞもぞとしてズボンとトランクスをおろす。この仕草に、良太は、笑いそうになってしまった。以前も、母のセックスシーンを覗いているときに噴き出しそうになってしまった良太は、どうして、エロいことをしようとしているのに、笑えるシーンが出てくるのかが本気で不思議だった。
「あらあら、こんなにしちゃって」
母が楽しそうな声を出すのが聞こえた。