母の浮気/35
「……ああ、またわたしだけイッちゃった」
母は、がっかりとした声を出したけれど、
「いいんだよ、それで。男性と女性の体の構造は違うわけだから。それに、そもそもぼくは一回出してるしね」
江藤さんは、笑顔で答えた。
「えっ、そうだっけ?」
「パイズリフェラで抜いてくれたじゃないか」
「あ、そっか、そっか。裕也、遅漏なのかなって、思っちゃった」
「それはひどいな」
「でも、早漏よりはマシなんじゃない?」
「いや、遅漏は遅漏で疲れるっていう話だよ。女性の方としても、あんまり遅いと、うるおいが少なくなって痛いんだって。遅漏の人とシたことは?」
「もおっ、そんなこと訊かないでよっ」
「ははっ、ごめん、ごめん」
なんだろう、このやりとりは。中年男女の甘いんだかなんだか分からないそれに、良太は心の中でげんなりしたが、体の方はまったく衰えることなく、依然としてギンギンに勃起していた。
江藤さんは、つながったままの状態で、母の尻たぶを撫でるようにしていた。すると、
「あっ、裕也さん、そこは……」
母が、焦った声を上げた。
「こっちではしたことある? あやか」
「聞かないでよぉ」
「これは聞いておきたいな。ここ、気持ちいいかい?」
「……昔、少しだけ……ああ、気持ちいいわ」
「エッチだな、あやかは」
「……嫌いになった?」
「いや、ますます好きになったよ」
良太には二人が話していることがどういうことかは分からなかった。それよりも、するならするで、続きを早くしてもらいたかった。ずっと、二人の会話を聞かされているだけだったら、そのうちに、ペニスもしぼんでしまう。まあ、しぼんでしまったらしまったで、それはそれで構わないのだけれど、せっかく硬くなったのにそれがただ柔らかくなってしまうのは、惜しかった。とはいえ、いつかのように射精したくはなくて、理想を言えば、彼らが続きをしたあとに、速やかに和室をあとにしてもらって、自室に戻って、二人の営みを思い出しつつ、オナニーしたい。
「じゃあ、次の機会があったら、こっちでさせてもらおうかな、あやか」
「……はい、裕也さん」
「可愛いな、あやかは。じゃあ、ぼくもイカせてもらうよ」
そう言うと、江藤さんは、母の足の間から自分の足を抜くようにして、母の体をさらに回転させて、母をうつ伏せにした。そうして、うつ伏せになった母の上にのしかかるようにする。いわゆる、寝バックという体位だったが、もちろん、良太は知らなかった。しかし、それが興奮を誘うものであることは、十二分に分かった。