官能物語 2020/09/02 14:00

母の浮気/60

 肉棒をいじりながら、考えるのは、久司の母のことである。彼女がどのように自分を導いてくれるのか、童貞の自分を思うさま、翻弄してくれるところを妄想していると、すぐに達しそうになった。良太は、ベッドに腰かけるようにして、ズボンをおろした半裸の状態で、肉棒をこすり続けた。そうして、もう少しでイキそうだというそのときに、

「良太、入るよ」

 という声とほとんど同時に、ドアが開いて、あっ、と思う間もなく、良太は下半身丸出しで、オナニーしているところを実の母親に見られるという、男性にとっては、「あるあるネタ」と言えば言える状況にめでたく遭遇することになった。息子のあられない姿を見た母は、お盆を手にしていた。何かおやつでも持ってきてくれたのである。良太が、

「出て行ってくれよ」

 と言う前に、彼女は、

「ご、ごめんね!」

 と言って、ドアを閉めた。良太は、肉棒を握る手を、ゆるめた。萎えるというのは、まさにこのような状況のことを言うのであろうと、知りたくもない事実を一つ知って賢くなった少年は、先ほどまで猛り立っていた肉棒がへにゃりと力を失うのを感じながら、とりあえず下半身をズボンにおさめて、ベッドに横になった。

 いっぺんに色んなことが起きた日である。自ら選択したこととはいえ、休日だったのに、まったく休めなかった良太は、そのまま眠りについた。

「良太……良太……」

 コンコンと、ドアにノックの音がしたときには、すでに夜であるようだった。電気を点けていない部屋の中は、闇に閉ざされている。

 良太は、むくりと体を起こした。そうして、声に応じて、外に出ると、母がすまなさそうな顔をしている。ご飯時なのに米を炊くのを忘れでもしたのだろうかと、思った良太は、

「さっきはごめんね、良太。今度から、ちゃんとノックして、少ししてから部屋には入るから。怒らないで」

 と母が言ってくるので、寝ぼけた頭は、さきほどの自らの痴態を、鮮明に思い出した。

「怒ってないよ。メシは?」
「良太が好きな、ハンバーグにしたから」
「オヤジは?」
「もう帰ってるわよ」

 母と二人きりでないことをありがたく思った良太は、トイレに行ってから、食卓に加わった。父に、お帰りの挨拶をして、夕食を取り、がつがつと旺盛な食欲を披露してから、シャワーを浴びた。そのあと、部屋で学校の宿題などしていると、スマホがメッセージの着信を告げた。

「今日は本当にありがとう。おかげさまで気が楽になりました。お約束の件ですが、再来週の土曜日ではどうでしょうか」

 久司の母からのものだった。

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