母さんでもいいや/20
「母さん、大丈夫?」
改めて声がかけられたけれど、里穂は答えられない。
息を喘がせるしかない母親に対して息子は、
「気持ちいい?」
と訊いてくる。
わずかに残った理性で、やはり答えを保留するようにしたところ、
「強情だなあ、母さんも」
と呆れたような声が上がって、ついで、膣奥にずんっと衝撃が走るのが分かった。
「ひああっ!」
体の中心が揺すぶられたような衝撃を得て、里穂は、思わず声を上げた。息子がそのたくましいモノをいったん引いたあとに、押し込んだのだ。なんという快感だろう。里穂は、その一突きだけで、意識が飛ばされそうになるのを感じた。
「ははっ、すげえエロい顔してるよ、母さん」
息子が楽しそうな声を上げた。
里穂は、相変わらずどこか遠くから聞こえてくるような息子の声を聞きながら、自分は今いったいどういう顔をしているのだろうかと思った。おそらくは快楽に歪んだメスの表情だろう。そんなはしたない顔を息子に見せているのかと思えば、しかし、さらに性感は高まってしまう。
「ほらっ、気持ちいいんだろ、母さん?」
息子は、腰を大きく使って、肉棒の出し入れを始めた。引いては入れ、引いては入れということを繰り返す。引かれるときには、そのカリ首で膣壁が引きずられるような気分になって、押し込まれると膣奥にずんと衝撃が響き、いずれにしても体中に性感がかけめぐる。
知らず、里穂は声を上げていた。
自分の声が誰か他の人間の発したもののように聞こえる。
「ああっ、すごい、はあああっ!」
息子は、しばらくの間激しい腰使いをしてきた。
里穂は、唇をだらしなく開いて、喘ぎ声を上げ続けた。
そうして、もう少しでイキそうというまさにそのときに、息子の腰の動きが止まった。
――ああっ、どうしてっ!?
里穂は、恨みがましい目で息子を見た。見られた息子の顔が、すぐ近くにある。
「イキそうだったの、母さん?」
親の欲目を差し引いても整った顔立ちが、にやりとした笑みを浮かべると、里穂は背筋がゾクゾクとするのを覚えた。こんなに美麗な男性に抱かれたことがない里穂は、思わず相手が息子であるということを忘れた。さらに、
「いつでもイッていいからな、里穂」
と耳元で囁かれたとき、里穂は、単なる快感ではなく、幸福感で満たされるのを覚えた。
里穂は、自分から、息子の体に抱き付いた。その背に手を回して、その腰に足を絡めるようにする。
「行くぞ、里穂」
「うん……」
素直にうなずいてしまう母親に対して、息子が再び腰を動かし始めた。