母さんでもいいや/24
欲しいのかと問われても、「はい、欲しいです」とは答えられない里穂が、答えないままでいると、
「欲しくないの?」
ともう一度訊いてから、息子は、再び乳首に口を落として、甘噛みしてきた。ビリッとした性の電流が体全体を打つけれど、それはいかにも小さく短いものだった。もっと大きく長く続くものが欲しいと思った里穂だったが、やはり自分からそれを伝えるには抵抗がある。
「母さんは、意地っ張りだな」
息子が、まるで子どもに向けて言うような口調で言うと、上半身をごろりとベッドに横たえた。そうして、手を頭の後ろで組んで手枕とし、母親を見上げた状態で、
「欲しかったら、自分で動いてみなよ」
と言ってきた。里穂は、息子の上にまたがった状態になった自分を認めた。騎乗位という体位であることは、知識としては知っていたけれど、この体位でセックスしたことは一度も無かった。
「ほら、どうしたんだよ、母さん?」
どうしたのかと言われても、やり方が分からないのである。分からないし、そもそも、この体位は、おそろしく恥ずかしい。男の上に乗るなどと、まるでこちらが彼のことを犯しているようではないか。よっぽどそこから下りたかったけれど、膣内からは常にゆるやかな快感が与えられていて、まるでぬるま湯に入っているかのようで、その状態から抜け出ようという気にならない。
「もしかして、したことないの?」
息子の問いに、里穂はまた、顔をそば向けることで、答えとした。これから、どれくらいこの所作を続けることになるのだろう、とそんなことをふと考えたときに、これからも何もこんなことはこれ一回きりでないといけないのだ、と思い直した。
「大丈夫だよ、好きなように動けばいいんだから」
はげますような言い方に力を得た里穂は、そんな場合ではないのだと思ったけれど、その思いとは裏腹に腰は自然と動いていた。腰を息子の体にこすりつけるように前後に動かすと、
「はあっ! ああっ!」
ただ挿入しているだけのときよりも何倍も大きな快感が、現われて、自然と声が出てしまう。
「ああ、気持ちいいよ、母さん。その調子で続けて」
気持ちいいと言ってもらえることが嬉しくなってしまった里穂は、その気分に応えるように腰の動きがスムーズになるのを感じた。まるで、何度もしたことがあるかのような滑らかさである。
「本当に気持ちいいよ、母さん。このままだと、イキそうだ」
息子がうっとりとした声を出す。
――ああっ、すごいっ……!
次の瞬間、里穂は、息子の腕が伸びてきて、その手が乳房を握るのを認めた。