母さんでもいいや/25
乳房に触れられるのは、里穂は、あまり好きではなかった。そもそも論として、乳房に触れられても別に気持ちよくないのである。それなのに、男性はそこに執着して、揉みしだくようにしてくる。それが滑稽であり、夢中でしているのを見ると、冷めるところもあった。
しかし、息子に乳房に触れられることは、これまでの経験とはまったく趣が異なっていた。まるで乳房を通して心臓をつかまれているような、自分の中心をしっかりと握られているかのようなそんな妖しい気持ちになるのだった。里穂の腰はますます激しさを増した。
「いいよ、母さん、上手だよ。ああ、イキそうだ」
言葉では「イキそうだ」と言っている割には、息子は、うっすらと笑みを浮かべていた。まだまだ余裕があるのかもしれない。対して、自分は余裕がほとんどない状態であることが、里穂には分かっていた。体の中に熱が溜まってきて、それがもう少しで破裂しそうな勢いである。
「ああっ、すごい……あんっ、あんっ、あんっ!」
里穂は自ら腰を動かしながら、声を上げた。自分で腰を振って、自分で声を上げる淫らさといったらない。自分の中にこんな淫性が眠っていたのかと思うと驚くばかりであるけれど、その驚きも快感の波間に消えてしまう。
「上手だよ、母さん。初めてとは思えないくらいだ」
息子の声がただただ嬉しくて、里穂は、腰を振り続けた。そのとき、乳房から離れた息子の手が、こちらの手を取るのを認めた。母子は、両手を握り合った。
自分が腰を振るたびに、息子のたくましいモノが、膣内のさまざまなところをこするようにしているのを感じながら、里穂は、絶頂に向かって加速していくのを感じた。どうやら、限界は近いらしい。
「あんっ、あんっ、あんっ、あんっ!」
里穂は、止めようもなく腰を動かしながら、喘ぎ声を上げ続けた。ぎゅっと息子の手を握るようにしながら、ベッドをきしませて、ぐちゅぐちゅといった淫猥な音を部屋中に響かせる。
「ああっ、イクッ、イクッ……ダメッ、ああっ、イグゥゥゥ!」
里穂は、にごった声を上げながら、オーガズムに達した。体を引き裂くような快感の一撃に打たれた里穂は、目の前が真っ白になるのを覚えた。何も考えられないし、体に力が入らない。
どのくらいそうしていたのか、気がつくと、里穂は、息子に抱き締められているのを感じた。いつのまにか体を倒して、ぴったりと彼と肌を合わせている。息子の体の熱が心地よく伝わってくるのを感じながら、里穂は、しばらくの間、抱き締められたままでいた。