母さんでもいいや/27
里穂は、徐々に思考力がなくなっていくのを感じた。息子のキスには魔法でも込められているのだろうか。あるいは、そうかもしれないけれど、その魔法は、プリンセスを目覚めさせるような清新なものではなく、何らか淫猥なものに相違なかった。
里穂は、キスされながら、体が倒されるのを感じた。唇が離れると、息子の顔が上に見える。その顔が、ニヤリと微笑の仮面をかぶったかと思うと、
「これから、里穂がおれのものだっていうことを、しっかりと思い知らせてやるからな」
そう言うと、彼は、両手を伸ばしてきた。その手が、ぎゅううっと両の乳房を握る。里穂は、痛みこそ感じないものの、圧迫感を得た。その圧迫感を母親に与えたまま、息子は腰を振り出した。
「ああっ、はあああっ!」
里穂は、声を上げた。凶暴なモノが、膣内をこすり上げるようにすると、性の電流が、体中をかけめぐるかのようである。
「どうだ、里穂、気持ちいいか?」
息子の声が、傲慢な調子を帯びているが、里穂は、それを非難することもできない。腰を動かされるたびに、肉棒を出し入れされるたびに、全身がしびれるようになって、喘ぎ声を上げることしかできなかった。
少しして、息子は腰を止めた。
里穂は、いきなり快感を中断されたその落差に痛みさえ覚えるほどだった。
「はあっ、はあっ……」
里穂は、大きく息を荒げた。そうして、すぐに、続きをしてほしい気持ちになった。そうやって腰を止められていると、じれったくてしょうがない。里穂は、知らないうちに自分から腰を動かすようにしていた。
「続けてほしいか、里穂?」
「…………」
「続けてほしかったら、続けてくださいって言うんだよ」
息子が、ニヤニヤしながら言った。そんなこと言えるはずがないという気持ちを込めて、里穂は、ぷいっと横を向いたけれど、その瞬間、肉棒をずんっと奥まで撃ち込まれて、
「ひああっ!」
びくんっ、と熟した体を震わせた。性感の波に洗われて、しかし、その波はまもなく、引いていった。もっともっとその波を受けたいと思ったけれど、次の波は与えられず、静かな凪となるだけである。
――どうして……。
里穂は、泣きたくなるような切なさを感じた。
「ちゃんとお願いしないと、ここまでだよ、里穂」
そう言うと、息子は体を倒して、母の耳にささやいた。
「おれの女になるから、続きをしてくださいって、はっきり言うんだ。そうしたら、してやるから」
息子の女になると誓って、行為をねだるなど、そんなことできるはずがない。一瞬だけカッとした里穂だったが、すぐさま、たくましい肉杭を再び奥まで撃ち込まれると、
「ああっ、いいっ!」
その快感の大きさに、息子に屈服する自分を認めざるを得なかった。