ぶるがり屋 2023/02/26 21:45

どうする家康 8話 の感想

どうする家康 8話
「三河一揆でどうする!」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 ぐへぇ〜〜
45分、過ちと罪と苦しみが積み上がるばっかりでした。
でも確かに、この過ちの末に、「どうする家康」は本当にドラマティックで、英雄に課すべき試練ですよ。
それは分かるけど辛いのよ!

若き家康

 誤算、軽視、足りない言葉、疑心暗鬼。
最初の失敗は、いきなりの強硬策の前の交渉の怠りか、その強硬策そのものの飯を奪ったことか。
積み上げた過ちは、自分は主人と民と配下の心に寄り添わなかったことか。

 飯を奪われれば死ぬ。
心の支えを奪われたら死ぬ。
神君家康の、今はまだ年若い御曹子なままの失敗なのだと感じました。

間違えたのは、誰だ

 そしてこの家康の未熟なゆえの過ちを、丁寧に丁寧に、そして鮮烈に見せてくれました。

 前回から3回も描写された、地に倒れ民に囲まれる家康。
配下は消え、傍らには町で見た若者の死体。
見上げれば人殺しにまだ慣れぬ、守るべき家族なはずの民たちが、血走った目で獲物を握りしめて、自分を殺そうと刃を下す。

 街で平穏に暮らしていた夫婦を、楽しげに笑っていた兄妹を、忠義に満ちていた夏目を長吉を、苦しめたのは誰だ、惑わせたのは誰だ、裏切らせたのは、死なせたのは、殺したのは。
家康だ。

救いと呪い

 ただ、同時に救いも感じました。
殺されようとする死の危険でなく、自分の過ちがこの悲劇を産んだのだと気づいて、家康は泣き叫んだことに。

 そして、その過ちを積み上げた家康を、慕う長吉が守ったことに。

 寺内町の惨状と、夏目と長吉の苦しみにやっと寄り添えて、自らの過ちを受け入れられるようになって。

 なのに、そこからの告白が、また……
長吉精一杯の忠義と贖罪の遺言が、家康の配下への信頼を奪う呪いの言葉にもなろうとは。
「何を聞いたのか」と問う酒井忠次に、私もつい疑ってしまいましたよ。
家康を心配して見守る家臣たちの目を、疑ってしまいましたよ。

裏切ったのは。

 家康が辛いなぁ、45分ずっと辛いなぁ、と思ってここまで書き連ねてきましたが、ふと。
裏切った家臣が本多正信なの、一番気が軽いのでは?
あれが裏切っても戦術的には厳しいけど心情的にはいちばんどーでもよく無い?(笑

 この後調停するのにも、もう一回こっちに裏切ってもくれそうだし。

家康が仰ぐ君主

 夢の啓示、国の主。
今川家を裏切っても刃を交えても、家康の君主としての理想像は今川義元なのですね。
未だ纏い、今回も家康を救った、黄金の具足のように、君主・家康そのものなんだ。

 民と文化を愛する今川義元の薫陶を受け、死に物狂いの民の強さと、寺の武力とは違う支配力を、痛みを以って知る。
江戸時代の治世術がどうして産まれたのか、痛いほどによく分かりました……。

どうする家康

 若さと幼さによって自ら産んでしまった苦難、治めなければいけない民と家臣たち。
積み上がるだけ積み上がり、涙目で惑い苦しむ家康。
英傑となるか、このまま歴史に埋もれるのか。
知っていても、心配になり、問うてしまいます。
どうする、家康。
どうにか穢土を浄土を作ってくれ、家康、と。

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