ぶるがり屋 2023/03/05 23:06

どうする家康 9話 の感想

どうする家康 9話
「守るべきもの」の感想です。


見逃し配信 - どうする家康 - NHK

【作】古沢良太
【音楽】稲本響
【出演】松本潤、岡田准一、有村架純、野村萬斎、イッセー尾形 ほか
【デザイン】GOO CHOKI PAR
(C)NHK

どうする家康

 若き神君家康の大きな過ち。
糾すのは、認めるのは、誰か。

 三河一向宗、決着。

臆病で怖がりな、おらが大将

 疑心暗鬼の主君、忠義を尽くしたいが、殿が殿であらねば裏切る算段もあり。
徳川家臣団は、他の英傑と比べて雰囲気がとても好きです。
「先祖代々」が弱くて緩いからこその、人と人で繋がる主従の絆が良いですよね。

 弱くて臆病ですぐ逃げて閉じこもって。
でも本気で話せば殺さないし本気で受け取ってくれる。
そして、臆病で戦が嫌いだから、本気で怖がりながら、導いていく。

 鳥居忠吉も、家康が不忠な話し方でも決して自分を殺さず、家臣を信じると、信じた。
信じると決めてそのまま言葉にして、おっかなびっくり戦場ヘ向かった。
ああ、この若く未熟な主君の背中を追おう、一緒に死のうと覚悟を決められた。
 俺が担ぎたいから、担ぐ。
家康は、そんな「おらが大将」なのですよね。

思い出の空は青く、指は赤く。

 戦国の世に、苦しむのは誰か。
奪われた者は、何を求めるのか。

子供の時に救えず、大人になって力を得ても救えず。
お玉が救えなかったのは何故だ、お玉を救えなかったのは誰の罪か。
今、お玉が救いを求めた寺内町を救えないのは、誰か。

 死んだお玉の指がただただ赤い。

家康を糾すのは、本多正信

 今回45分、本多正信主人公のドラマでした。
急な過去とか幼馴染とか
いやー少年漫画的演出!
でもこれがイイ!

 先週は「裏切られても殺しても一番気が楽じゃ無い?」と思った本多正信でしたが、それでも許したいのがこの白兎ですし、普段はちゃらんぽらんな正信が命を捨てて真っ正面から糾弾するからこそ、家康が罪を吐露できたのですよね。

 忠義なぞの為に命をかけられなくなった正信が、戦場から逃れちゃらんぽらんに生き。
それでもお玉が救われた寺内町を守るために命をかけて、守りきれなくて、
甘ったれの主君を、その過ちを、罪を、命を捨てて糾弾する。

 だから誰にも吐露できなかった自らの、分かっていたけど拭えない罪を、吐露する。
未熟であれば間違い、君主が間違えば、人は死に守るべき民が傷付いていく。
国を治める苦しみ、過ち、責任。
また一つ、家康が重い荷を負っていく。

 正信だから罪を吐露できた、家康だから苦しみを理解できた。
命がけで話したから、その苦しみも生き様も分かったから。
だから、2人は前を見られた、先へ進める。
良い国を作るために。

空誓が信じたのは

 裏切られると分かって和睦を受け入れる空誓の姿にも涙が滲みました。
人を救う側だから、将でないから反したけど、将でないから戦い続ける理由も薄いのですよね。
家康も空誓も、守りたいのは民だったのに。
民を傷付けて、何を守るというのか。

 面と向き合って、涙まじりで答えた家康の言葉に、空誓も信じきれた訳ではないと、私は思います。
それでも家康は苦渋の決断で約定を破るのだと、最善の道を選択するのだと、そう感じたのだと思うのです。

 救うだけでなく、飯を奪うだけでなく。
家康は将で主だから、誤っても苦しくても、それでも戦い治め続けなければならない。

望月千代女

 千代たち、やっぱり望月千代女で歩き巫女で武田の忍びでしたか。
いや先週でほぼ確定でしたが、武田信玄の前での語りや笑顔が、何より巫女たちの集まって歩く姿が妖しく美しい……!

 切られる吉良・松平は可哀想でしたが(笑
注目は何より一番は徳川家康評ですね。
肝が小さいが、それを誰より知っている。
苦しみ、その弱さの罪を背負っていく。
 「面白い」
信玄の言葉に全てがギュッと詰まって、面白いですよ。

どうする家康

 厭離穢土浄土。
家康自身が掲げ、それでもなお恥じ悩み苦しむ家康が、このドラマの主人公ですよ。
がむしゃらに抗い続ける白兎ですよ。

 許された家臣は家康を信じ、許す家康もまた救われたと思うのです。
三河が一つになった、それは確か。

 まだ妻との庭に逃げ込んじゃう小物な家康ですが、瀬名と別れる時が、英傑と呼ばれる器になる時なのでしょうか。
今作の主人公も、失って失って、背負って背負っていくのかと思うと、辛いですよ。

 いやまー史実の家康は晩年まで子作り健康促進国づくりに精を出してましたが(笑

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