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麒麟がくるの記事 (44)

ぶるがり屋 2021/02/07 22:50

麒麟がくる 44話 最終回の感想

麒麟がくる 44話 最終回「本能寺の変」の感想です。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 終わった。
終わってしまった…

 戦乱の世、奪い奪われ多くの者が苦しみ、生きたいように生きられない、理不尽が人を殺す世界で。
謀反の人、明智十兵衛が理想を求めて生き抜き、
天下人、織田信長が十兵衛の中に光る理想を彼とともに世界を変える。
先達や同志、寄り添う人々も背負った、2人のドラマ、その終わり。

圧巻でした。
満足とはちょっと違いますが、重くて濃くて熱く凍える、本当に素晴らしいドラマでした。

 光秀と信長。
前回を見て、十兵衛の想いが信長に通じて欲しいと願いました。
そしたら開始数分でさらに何段も謀反の種を積み上げてて、辛いのにちょっと笑ってしまいました。
 その後の諫言も謀反を侵した光秀の痛切な想いは信長に、そして信長の行動の真意は光秀に-
正直、想いそのものは通じてないと思いますが(笑

 光秀の軍と戦う信長は強くて格好良くて、本当に嬉しそうで。
満足な死に顔で。
後ろから斬られそうな時は心配しちゃいましたし、撃たれた時には辛く、また近習が死んだ時の信長は辛そうで悲しくなりましたが、でも満足そうな笑顔に
「お前が全部悪いのに幸せに死んでんなー!」
とツッコんじゃいました(笑
でもきっと信長の幸せな死は、光秀にとって最大の慰めだと思うのです。

 信長が悪なのでなく、光秀が正義なのでなく。
彼ら2人が共に生き、戦い抜いて。
信長は光秀という人間を惚れ抜き、光秀は信長を戦友と同志と理想の体現と好いていて。
だからこそ道が違えたならば、2人で終わりにするしかなくて。
大事に思うから、殺し殺されて。

 (追記)信長が寺を燃やして首を渡さなかったのは、天下とは関係なく、光秀と自分の関係だからだったように、後ちょっとだけ意地悪だったように思います。
いやでも、私には信長の気持ちは分からないなぁ。
明文化されないからこそ、考えたくなります。

 長い戦乱の世を覆した2人の間に、余人はなく。
果てに信長を殺し、光秀も敗れ。
それでもその先に
京は彩美しく、街を生きる子らは笑顔で。
多くの者の血と願いを背負って、惑って苦しんで、成し得ずに消えたけれど。
それでも光秀と信長は、彼ららしく生き抜き、何かを遺したのだと。
麒麟がくる世を、遺したのだと。
そう思える最終回でした。

 信長の、怒りでも演技でもない漏れ出たような「長く眠りたい」。
強く激しく美しい戦いの中、赤く染めながらも輝く白衣。
今まで一番無垢なで満足そうな笑みと、胎児のように丸く屈んだ死に様。
 光秀の、OPと同じ肚を決めた鋭く昏く輝く眼光。
本能寺で信長の死を待つ中の、今にも泣きそうな面持ち。
灰と炭を前に救われたような儚い「もうよかろう」。
全てが鮮烈で。

 一年以上になりましたが、見続けて良かった……!
スタッフの皆様、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました!


 以下は演出とか。

 やっぱり駒ちゃんの立ち位置として、光秀の死または死後の見届け人が有りましたね。
同じ場所に足利義昭も、このドラマを見た人間として納得で嬉しかったです。
 煕子と左馬助は死んじゃうし、たまにすると細川藤孝の無干渉っぷりが味強過ぎますし。
また「民が安らげる、大きく平かな国」を理想とすることがテーマの主要素ですので、やっぱり必要な要素だったのだと思います。
 波乱万丈の人生の末に、菊丸と一緒に、荒事関係なく仲良く暮らして欲しいよ!

 このドラマは、見せるべきものとの取捨選択が際立つ演出でした。
特にまぁ、最後の描写はホント見せませんでしたね(笑
羽柴秀吉や細川藤孝はだからこそ考えたくなるし黒田官兵衛との描写は短いからこそ凝縮してて最高でした。

 個人的には流石にもうちょっと、敗北や敗走、親族や配下の死に当たっての光秀の心情は見せて欲しかったですけど。
おかげで光秀と信長、2人のドラマだけに集中して見られたので、きっと正しい演出だったとは思いますがー
 と、唯一欲しくて足りなかった、本能寺の変とその後の顛末を知った帰蝶が総集編で見られそうです。
https://twitter.com/cinematoday/status/1358385027130613762
あと2時間外伝SPも欲しいです、お願いします!!
金ヶ崎の戦いや齋藤竜興との戦いとか!

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ぶるがり屋 2021/02/06 18:00

麒麟がくる 43話の感想

麒麟がくる 43話「闇に光る樹」の感想です。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 ああ、やっと、ついに。
ここまで来てしまったか…

 終わらない乱世の中、もがき生き抜いた斎藤道三、その遺志を託され乱世を終わらせる織田信長を育てた明智十兵衛光秀と帰蝶。
もがいてもがいてもがき抜いて、嫌いながら惹かれて、託されて目指した。
酷薄な奸計、理想のような乱世の終結と大きな国。
2人での「大嫌い」で、本当にこの物語は終わるのだ、と感じました。
嫌いだと笑って、胸中で色々な想いが渦巻いた最後、強く残った想いは
「あんなに嫌いだったやり方を今、自分は行おうとしている」
「道三は、こんなに苦しかったのか」

なように思います。
ああ、ああ。

 喜ぶだろうと殺し、首を贈る。
今回で、「織田信長は何も変わっていない」と改めてハッキリと描かれたのだと思い。
では光秀と帰蝶が変わって信長を取り残してしまった… のも間違いは無いのでしょうけど、これも腑に落ちず考えました。

 色々考えて、3人とも根っこは変わってないですよね…。
もちろん父と母に自分を一番褒めて欲しいだけの、望まれているだろう行動をして皆が喜ぶだろう贈り物を振舞っているだけの、信長は原点そのままの信長で、帰蝶と光秀は大人になって大事なものが増えたのも事実ですが、ではそこまで2人が大人になれたのか、信長との付き合い方がそこで変わったのかと言うと、
それは違うと思うのです。

 変わったのは多分、状況なのでは、と。
今思えば最初から3人の関係は「新しい時代を作る、大きな国を作る」目的で始まっていて、そこまでで。
「新しい時代を始めた、大きな国を作った」今では破綻してしまった、ということなのだと思うのです。
 世界を変える双六に上がる為の関係性なのに、上がった後も変わらなかった。
周りは彼らに天上人、大人な最大権力者としての生き方と関係性を求めているのに、彼ら3人は若く幼い感情と情熱のまま変わらず、成長も変化もできなかった…

 そして、一番凶暴で一番求められる立場の信長には、幼い激情のまま、暴走する道しかなかった…。

 いやもちろんダメなのは信長なのですけどね!
残酷で巨大な子供の信長を利用し育て、一緒に寄り添って世界を超えたのに、一緒に居続ける未来を想定していなかった、出来なかった。
最後まで寄り添える信長ではなかった。
この決裂は関係を構築した最初から約束されていた。
…やっぱり、そういうことなのだと思います。

 ここ何週間も胸や胃が痛くなる展開が続き、それでも決められなかった十兵衛光秀が、決められない理由をついに吐露し、追い詰め追い詰められて、行動にまで出してしまった…
もう、戻れない。
際gに残された道は、破滅への直線。

 本心を誰にも見せず心を許さない羽柴秀吉と、綺麗ごとを口にしながらも常に現実を捉え上手く立ち回りきる細川藤孝は、器用で大人だったのですねぇ。
 徳川家康はあのともに今川を倒して天下を取ろうと信長に宣言した時点で、自ら子供の殻を脱いで大人になったのでしょうね。
あー辛い。
子供のままでも大人になるのも辛いよ乱世!

 戦国乱世を壊すのは、信長と光秀でしか出来なかった。
でもそこまでで。
大きな国を作るのは、豊臣秀吉でしか出来ず。
大きな国を平らかにし麒麟を呼ぶのは、徳川家康しか出来ないのでしょう。

 長い物語の、長く重い苦難の果てに。
この救われない3人の物語が終わるのだと、ほっと解放された気持ちです。
この物語をもっと見たいという気持ちも強くありますが、もうここ一ヶ月以上…
辛かったんだよ!(笑
ちょっと間をおいて、金ヶ崎の戦いや齋藤竜興との戦いを克明に描く外伝2時間スペシャルとか欲しいです!とっても!

 次回、最終回
「本能寺の変」
せめて心だけは通じてくれ… お願い!!!!

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ぶるがり屋 2021/01/25 00:02

麒麟がくる 42話の感想

麒麟がくる 42話「離れゆく心」の感想です。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 い、痛い、辛い……
ここ数話ずっとですが、多くの者が織田信長を嫌い恐れ、そこから織田信長と明智光秀の隔絶が広がり。
今話でその隔絶が、当の2人にも分かってしまった。
信長自身は不器用な子供があてどもなく暴れるようで、そして被害者の多くの者が、自分たちでは出来ないからと真摯で優しい光秀に託していき、それが幾重にも積み重なっていく様が、
辛い…!

 皆に愛される十兵衛で、その愛や恩に報いる十兵衛だから。
まっすぐに嘘をつかない、そんなことすら出来ない時が来ようとは。
言ったら信長か天皇どちらかまた殺すか追放か、ですものね。

 松永久秀に絆に切り込まれ、正親町天皇に示唆されても、その上今回荒木村重・足利義昭・徳川家康に託されても。
それでも謀反の算段すら出来ない光秀の、その迷いを見抜いてしまったのは、信長が本当に光秀を頼みにしていて、大好きだからなのでしょう。
だから問い詰めて、宥めすかして、打ちのめして。
でも、迷いの理由だけは理解できないで。

 信長は自分の心の欠落を、他人の心を読まず慮らず、常識を打ち破り戦上手で、苛烈で不意に大事な人まで傷つけてしまう特徴を、とても心に病んでいて。
でもそんなところも魅力だと、愛してくれたのが、帰蝶と光秀なのですよね。
でも一番大事な帰蝶は去ってしまった… もう自分には光秀しかいない。
なのに!

 きっと平蜘蛛を売ると言ったように、光秀を苦しめて自分を一番にもうようにと、天皇に譲位を迫る。
大好きだから、信じていたから、もう憎い、信じられない。

 光秀からすると、信長の特徴も「武器になると認めた」ぐらいだと思うのですが。
それでもここまで耐え守り仕えてきたのは、責任や主君への忠節だけでなく、やっぱり「信長という人物に惹かれている」ことが一番大きいと思うのです。
大好きだから支え守り、他の大事な人たちの願いも希望も全部一人背負って。

 ですが、「大きな世のために」「麒麟を呼ぶために」信長を殺さねばならぬと判じた時に、責任や忠節は殺さない理由になりますが、「自分が信長を大好き」なことは、光秀にとって全く信長を殺さない理由にはならないのですよね。
大好きだから信じられず傷つけ合い、それでも繋がり続けるのに、殺す時には私情と片付ける。
ああもう!
この不器用主従が!!!!

 信長が徳川家康の子供時代からの恐ろしさや約束を忘れているのは、本当に「自分の意に沿うか」以外判断基準に無い、帰蝶と光秀だけが特別と言う証なように感じます。

 松永久秀、三条西実澄、正親町天皇、荒木村重、足利義昭、徳川家康と、
まさかの黒幕説全部ブッコミ、全員に期待されての本能寺とは(笑
 残りの黒幕説・羽柴秀吉だけは無いかなー。
最後の変の動きを見逃してやる可能性は高い気はしますが、彼だけは成り上がり、従来の権力者から奪うことが力の土台なので、信長が止まるのは困るのですよね。
古来の領地に戻ったり、幕府にある程度領地を献上してそこそこで生き延びることは、事実上も、彼の誇りも許さない…

 ただ本気で光秀に信長を除いて欲しいと願っている中、今編の義昭様だけは、夢物語として語った気がします。
こめかみの皺もうっすらと、一緒に鯛を釣った満面の笑顔は、理想を追っていたあの時代は良かったと懐かしんでいるだけだと思うのです。
軽やかで、茶目っ気たっぷりで、純粋な笑顔。
信長への怨嗟に身を燃やしていても、無為に日を過ごしていても、光秀が羨ましくても。
決して、光秀も死んでまで信長を殺して欲しかった訳でなく。
 ただ、それでも光秀が大好きだと言いたかっただけで。

 皆に愛され信頼され、だからこそ多くの願いを託され苦しむ光秀。
そして本命(?)に気付かれて嫌われる様は、不謹慎ですが、ちょっと昔のギャルゲーの
「全員の好感度高くて本命失敗END」
を連想しました(笑

 …
いやホント辛いのです。
もう真っ直ぐではいられない光秀も痛々しいし、信長とのスレ違いコントも出来ないし、菊丸再登場してももう個人の幸せは潰えたっぽいし、
何か、何か救いを頂戴!

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ぶるがり屋 2021/01/18 00:26

麒麟がくる 41話の感想

麒麟がくる 41話「月にのぼる者」の感想です。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 自分らしく生きるとは、平かな世とは。
友情も情熱も理想もまだ残っているのに、明智十兵衛光秀と織田信長の絆が軋み広がり、隔絶した回でした。
胸が、痛い……

 ここで平蜘蛛と嘘を明かして、諫言するのがいかにも私たちがずっと見てきた十兵衛光秀で嬉しい。
この真面目堅物バカめー!
大好き!!!!
 と同時に、光秀が一番期待しない、予想外で驚き苦しむ応えで返す信長よ…
こちらから前も今回も何度も好意を表してるのに、嘘ついたのに、信頼を裏切ったのに、結局今も嫌な言い方をする。
そんな風に感じて、売り言葉に買い言葉で、信長は光秀が嫌がる応えをしたのかなぁ。

 例えば今回、今も戦をしない方策を求め問い続け流ように、光秀が理想と大義を掲げ誠実な生き方を貫くように。
信長もずっと、大好きな人たちに、褒めて認めて欲しい。
それだけなのかな。
 そう言う意味では決して光秀も他人を慮らないタチなので、それで青年時代に仲良くなったように、諫言しされ合う状態では、決して歩み寄れない。
やっぱり、最初からこの2人の友情と隔絶は約束されていたのでしょう。

 いや、それは分かってたけど!
ずっと丹念に幾重にも描かれてきたし分かっていたけれども!
信長は光秀が大好きで、でもそんな個人感情を大事に出来ない引きようなのが光秀で。
そんな2人の魅力を知っているから、…辛い!

 秀吉を暗躍をしっかり見抜いて釘をさす光秀、強くなったなぁ。
摂津晴門相手にはその後の算段もなく問い詰めてましたが、今回はほぼ完全に手玉に取ってましたね。
秀吉自身が言う通り悪いことじゃないですけど、やっぱりムカつきましたし(笑
 光秀も弟を「叱る」が「殺す」になるかもと予想はしてたでしょうけど、秀吉はやっぱり迷いなく殺しましたか。
弟の死んだ場所を、昔の自分のような子供たちを、そのどれでもない何かを睨む秀吉の輝く瞳が怖い。
秀吉が一番憎いのは、決して許さないのは、「貧乏で弱い自分」なように思います。
そんな自分に戻らないためには、何でも犠牲にするような……

 玉の父や母、家族への考え方と、細川忠興への輿入れ。
父光秀の危うさ、煕子さんの献身的な愛は子供心にも強く刻まれたのかな。
でも史実を知っていると、この結婚はせめてもの幸せに繋がる道だったと思います。
色々、本当に色々ありますけど、それでも多分一番幸せな未来への。

 そして多分、菊丸も退場。
これは秀吉の言う「平かな世」は決して光秀が望むものにはならないと言う示唆でもあったように思います。
力で邪魔者を消し、戦を終わらすでなく敵を消し去る世界。
戦国の世を息抜き、それでも人並みの静かな幸せを求める者を殺す世界。

 十兵衛光秀を一番近くで見続け、その理想の根元を知る菊丸は退場し。
最後の一人、駒ちゃんはどう生き、この物語の終わりに寄り添うのかな…

 ついに天皇との密会。
直接話せないほどの身分違いの場合、「通りすがりに」とか「庭に向かって言う」とはよく聞く話ですね。
形式として目通りでも会話でもない、と言う代物。

 「月に上って手に入れる」ものは何か。
日ノ本の支配か、天皇を超える権力か、古来からの身分文化しきたりか。
 古きを尊ぶ光秀が絶対に正しいとは思いませんが、他人を顧みず自分の感情を満たすためだけの信長に任せるのだけは、そんな治世・平かでない世を認められないと言う形なのだと考えます。
 今の信長の世を作り終わらす責任と力は、光秀にある。
そう、雲上の存在に示されてしまった光秀の選択は。

 物語の終わりが、この物語が終わってしまうことが。
辛く楽しくまた期待してしまい、とても悲しいです。
 理想を追い求め走ってきた青年・光秀は、
自分だけを物差しに壊し作ってきた麒麟児・信長は、
傷だらけで生き抜いてきた彼らは、
ああせめて、笑顔で終わってくれるのか。

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ぶるがり屋 2021/01/11 00:18

麒麟がくる 40話の感想

麒麟がくる 40話「松永久秀の平蜘蛛」の感想です。


NHK大河ドラマ「麒麟がくる」オリジナル・サウンドトラック Vol.2
ジョン・グラム
2020/9/2

麒麟がくる

 やっぱり煕子さんが死んだのは、大きな、大きな転機だったのですね。
老後や引退後を思わせる明智光秀の変化が、ずっと張り詰めていた何か抜けてしまったような笑顔に、胸を締め付けられました。

 あんなに一緒だったのに もうあの頃に戻れない
明智光秀 織田信長 帰蝶
親世代の財産も願いも呪いも背負い、戦国時代を切り開いてきた3人のドラマの大きな転換点が今回でした。

 あまりに広い、広い部屋で
今までの低く狭い家屋とは全く違う、大きな寺や城と比べてもさらに広く美しい安土城で、美しく輝く衣装で身を包みながらも、信長があまりに小さく孤独で。
 嘘をつけなかったのに熟考の末迷いなく嘘を通し諫言もしなかった光秀も、見捨て逃げるように田舎へ戻る帰蝶も、何故じゃと悲しみながらも自分を省みられない信長も
もうあの野望と情熱に燃えた3人の絆は終わってしまったのだ、壊れてしまったのだと、幾重にも幾重にも見せつける45分でした。

 何故松永久秀が背いたのか、佐久間信盛が果たせなかったのか、聞いても変えず変わらず。
多分、帰蝶も独り帰ると決める前に、何度も降りよう終わりにしようと話したでしょう。
自分が降りれば考え直すかもと考えたのかな。
 でもきっと死ぬまで、いえ死んでも、信長には皆が離れていく理由は分からないのでしょう…

 史実では間違っていると分かっていても、
平蜘蛛爆死して欲しかった松永久秀(笑
その死は爆死ではなかったもの、烈しく美しく、でも信長とも光秀ともまみえない、遠い死でした。
 でもまさか遺された平蜘蛛が、信長と光秀の関係を壊す爆弾だとは(笑

 松永久秀の遺した平蜘蛛は、願いなのか信頼なのか。
確かに信長との関係を壊す目論見も有ったでしょう。
でも信長と戦えという願いよりは、信長に従い心を殺すでなく、光秀らし生きろ!という手向けだったように思います。
多分、久秀は光秀に死んで欲しくなかったと思うのです。
美しく生きる光秀の命も心も。

 でも、敬愛する久秀の死に、込められた呪いに光秀は狂い。
久秀の遺した願いに正気に戻ったように見えましたが、そうではなく、覚悟を決めたのだと思います。
 自らの理想は潰え、愛する妻は死に、ただただ続く戦さの日々に。
抑えていた自分の内にある本当の考えに気づき、やらねばならぬと決めてしまった。
そんな風に感じました。

 玉と細川忠興との婚約も、守りたいものが奪われる、離れていくだけに感じられたのでは。

 視聴時は気づきませんでしたが、「秘密裏に三条西実澄を通して天皇と会い、信長の未来を話し合う」という事実だけで、ほぼ暗殺決定ですよね…
やっぱり既に光秀は、決めてしまったのだろうなぁ…

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