Jackalope 2022/02/05 20:00

翻訳サイトはどこを使うのが良さそうか、という話

最初に

今回は思いつきで、海外プラグインの説明を翻訳するならどこのサイトを使うのがいいのか、を雑に検証する記事を書きたいと思います。

『まぞトラ』の開発進捗に関しては、また来週あたりに上げるつもりでいます。



さて、その『まぞトラ』ですが、製作にはRPGツクールMZを使っていまして、そこに多くのプラグインを導入しています。
しかも私の場合、その半分くらいが海外製プラグインなのです。

自慢じゃありませんが、私の英語スキルは一般的な中学生にも劣るくらいなので、英語で書かれたプラグインの説明文など翻訳サイトの助けなしには読み解くことができません。

で、説明文の翻訳をしているうちにふと、複数ある翻訳サイトのうちどこが一番正確に訳せるのかな、と疑問に思ったので比べてみることにしました。
あくまで「ツクールのプラグインの説明文」を訳す場合に絞っての話になります。


検証には「VisuStella」のプラグインシリーズから、適当にいくつのか文章を抜き出してきて使用することにします。

VisuStellaプラグインはRPGツクールMVの「Yanflyプラグイン」に相当するもので、Yanfly氏を含む複数人のチームが作っている有料プラグインシリーズです。(※基礎プラグインは無料で使用可能)


使用する翻訳サイトは、以下の4つです。
「exciteはいらねーだろ」と思われるかもしれませんが、一応比較としてね。

ちなみに私は普段、DeepLをメインに使って翻訳しています。



翻訳例その1

・英語原文
「RPG Maker MZ by default has 4 Self Switches: A, B, C, D. For some types of games, this isn't enough. This plugin gives you the ability convert regular Switches into Self Switches so you could have more.
Self Variables also do not exist in RPG Maker MZ by default. Just like with Switches, you can turn regular Variables into Self Variables. 」

・Google翻訳
「RPGツクールMZには、デフォルトで4つのセルフスイッチ(A、B、C、D)があります。ゲームの種類によっては、これだけでは不十分です。 このプラグインを使用すると、通常のスイッチをセルフスイッチに変換できるため、さらに多くのスイッチを使用できます。
自己変数もデフォルトではRPGツクールMZには存在しません。 スイッチの場合と同様に、通常の変数を自己変数に変えることができます。」

・DeepL
「RPGツクールMZでは、デフォルトで4つのセルフスイッチを備えています。しかし、ゲームの種類によっては、これでは不十分な場合があります。このプラグインは、通常のスイッチをセルフスイッチに変換する機能を提供し、より多くのスイッチを持つことができるようになります。
また、RPGツクールMZにはデフォルトでセルフ変数が存在しません。スイッチと同じように、通常の変数を自己変数に変換することができます。」

・みらい翻訳
「RPG Maker MZには、デフォルトで4つのセルフスイッチ (A、B、C、D) があります。ゲームの種類によっては、これでは不十分です。このプラグインを使用すると、通常のスイッチをセルフスイッチに変換できるため、より多くのスイッチを使用できます。
RPG Maker MZには、デフォルトで自己変数も存在しません。スイッチと同様に、通常の変数を自己変数に変換できます。」

・excite翻訳
「デフォルトのRPGメーカーMZは4つの自身スイッチを持っている:A、B、C、いくつかのタイプのゲーム、これのためのD.は十分ではない。このプラグインは、あなたがもっと持つことができるように、自身スイッチにあなたに能力変換規則的なスイッチを与える。
自身変数はまた、デフォルトでRPGメーカーMZに存在しない。ちょうど スイッチ あなたのように規則的な変数が自身変数に回るかもしれない。」


※ 講評 ※

  • GoogleとDeepLは「RPG Maker MZ」という商品名を、ちゃんと「RPGツクールMZ」と訳していますね。以前のDeepLは「RPGメーカーMZ」と訳していたんですが、いつの間にか学習して賢くなったようです。

  • DeepLだけがセルフスイッチの種類「A,B,C,D」の部分を勝手に省略しちゃってます。いけませんねぇ。

  • Google、みらい翻訳とも、Self Switchesは「セルフスイッチ」と訳していますが、Self Variablesのことは「自己変数」と訳していて統一感がありません。DeepLは「セルフ変数」と「自己変数」が混在してますね。

  • excite翻訳は全体的に、古きよきゴリゴリの機械翻訳って感じでノスタルジーを覚えます。他3つの翻訳サイトと比較すると、技術の進歩を感じさせられますね。


翻訳例その2

・英語原文
「These Plugin Parameters allow you to setup Common Events that activate using Regions when pressing the OK button while standing on top of them or in front of them. These let you create near universally interactable objects using Regions, such as rivers to start up fishing events or locations to places items on. 」

・Google翻訳
「これらのプラグインパラメータを使用すると、リージョンの上または前に立っているときに[OK]ボタンを押すと、リージョンを使用してアクティブ化する共通イベントを設定できます。 これらを使用すると、釣りイベントを開始するための川やアイテムを配置する場所など、リージョンを使用してほぼ普遍的に相互作用するオブジェクトを作成できます。 」

・DeepL
「リージョンの上や前に立ってOKボタンを押すと、リージョンが起動するコモンイベントを設定できるプラグインパラメータです。これにより、釣りイベントを発生させる川や、アイテムを置く場所など、Regionを使ったインタラクティブなオブジェクトをほぼ共通に作成することができます。」

・みらい翻訳
「これらのプラグインパラメータを使用すると、 [OK] ボタンを押したときに領域を使用してアクティブになる共通イベントを、その上または前面に配置して設定できます。これらを使用すると、川などのリージョンを使用して釣りイベントを開始したり、アイテムを配置する場所を作成したりすることで、ほぼ普遍的なインタラクティブオブジェクトを作成できます。」

・excite翻訳
「これらのプラグインパラメータは、切迫した時に、領域を使うことを作動させるセットアップ共通イベントにあなたを許す それらに加えて、またはそれらの前に立っている間のOKボタン 。これらは、あなたに、一般的に相互実行可能なオブジェクトの近くで、オンの場所アイテムに釣りイベントまたは位置を起動する川などの領域を使って作成させる。」


※ 講評 ※

  • Googleとみらい翻訳ではなぜか、OK buttonが「[OK] ボタン」というように[ ] で自動的に括られて訳されます。試しにCancel buttonで訳させると、普通に「キャンセルボタン」となったので、OKボタン限定の現象っぽい?

  • GoogleがRegionsを「リージョン」とカタカナ訳しているのに対して、DeepLやみらい翻訳は「リージョン」「領域」「Region」などが混在しています。領域と訳されると分かりづらいですね。

  • DeepLだけがCommon Eventsを「コモンイベント」と訳し、Googleとみらい翻訳は「共通イベント」と訳しています。ただ、以前DeepLで翻訳した際にも「共通イベント」と訳されたことがあったので、文脈次第でコロコロ変わるかもしれませんね。

  • 訳文の前半はDeepLがすっきりとしていて読みやすく感じます。でも「リージョンが起動するコモンイベント」という一文は、「リージョンがコモンイベントを起動する」とも「コモンイベントによってリージョンが起動する」とも受け取れてしまうので、ちょっと微妙な訳かも(※前者の訳が正解です)

  • GoogleとDeepLに比べて、みらい翻訳の訳文はちょっと分かりづらく、文脈がズレているように思われます。「釣りイベント」「アイテム配置」の部分は作例として挙げているのに、みらい翻訳の文ではそう読めなくなっています。

  • 「押したとき」という意味で使われているwhen pressingを「切迫したとき」と訳すexcite翻訳ちゃんはお茶目ですね。切迫したときに領域を使うって、呪術廻戦の話かな?


翻訳例その3

・英語原文
「'Allow' notetag variants allow that type to pass through them no matter what other passability settings are in place.」

・Google翻訳
「「許可」ノートタグバリアントを使用すると、他にどのような通過性設定が設定されていても、そのタイプがそれらを通過できます。 」

・DeepL
「'Allow' notetag variants は他のどのような通過性設定がされていてもその型を通過させることができます。」

・みらい翻訳
「'Allow'notetag variantsでは、他にどのようなパサビリティが設定されていても、その型を通過させることができます。」

・excite翻訳
「『許しなさい』notetagバリエーションは可能にする that たとえ適所の何の他のpassability設定の所それらを通過するタイプ 。」


※ 講評 ※

  • 'Allow' notetag variantsという部分を、どのサイトも分かりやすく翻訳できずにいますね。variantは「異なる・変異した・異型」というような意味なので「許可ノートタグのバリエーション」とでも訳してくれるといいと思うのですが。意外とexcite翻訳の訳文が一番マシかも……?
    (※ちなみにnoteは日本語版ツクールにおける「メモ」のことで、notetagはメモ欄に記入するプラグイン用のタグのことです)

  • passability settingsの訳は、GoogleとDeepLが「通過性設定」となっていて理解しやすいですね(日本語版ツクールに従うなら「通行設定」が一番正確)。みらい翻訳は「パサビリティ」とカタカナ訳で分かりづらいです。


結論

翻訳の分かりやすさでいえば、Google翻訳とDeepLが同じくらいでしょうか?

この二つのサイトのうち、どちらかをメインで使用して、「?」となる訳文があったらもう一方でも翻訳してみる――という使い方が良さそうです。

なんというか……ごく平凡な結論になりましたね。


DeepLが出てきた当初は、Google翻訳よりも正確だと絶賛されていましたが、最近ではGoogleの方もかなり改善されて、追いついてきたようです。

それと例文1のセルフスイッチ「A,B,C,D」の省略がそうであるように、DeepLはときどき訳文の一部を省略してしまうことがあります。記号が絡むとそうなりやすい感じがします。

みらい翻訳もかなり高水準の翻訳サービスだと思いますが、まだ日が浅くてAIの学習が進んでいないからか、Google・DeepLと比べると少々ぎこちなさがありますね。
ただ無料のお試し版でも「用語登録」機能が使えて、誤訳されやすい専門用語などを登録しておけるのは嬉しいです。
今後の翻訳精度向上に期待したいサービスと言えます。

excite翻訳もこのままサービス継続してほしいですね。文化遺産的な意味で。

 

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