めくじら 2020/06/28 16:45

同人戦艦めくじら:2話「ユパ・ミラルダ」

■登場人物

  • 神谷道楽: 初代めくじら艦長。シナリオライター兼雑用。三只眼吽迦羅(さんじやんうんから)の无(うー)。得意な手刀は「恐ろしく速い手刀」。サシで闘ろうという人間は信用しないベレー帽を被った殺し屋。「その画面巻き戻せるか」が口癖。妄想性パーソナリティ障害。頻尿。

  • 田中主水: めくじらエンジニア。相棒。神谷とはエスポワール号で知り合う。トラウマによりジャンケンが一切できない。イタコの祖母を持つR.P.D.コスプレイヤー。怖い話と三国志とJOJOとBSAAに異様に詳しい自称知識人。霊感と霊視ができない霊能力者。「ラミパス ラミパス ルルルルル~」が口癖。妄想性パーソナリティ障害。頻尿。





とある宇宙船のアパート風な一室。
ここは同人制作に魂を捧げた男達が籠もるめくじら開発室なのだ。



神谷「この前さ。実家帰って姪っ子におうたんや」

田中「ほう」

神谷「姪っ子は小2なんやが、俺は驚愕してん」

田中「なんでや」

神谷「マインドクラフトやってたんよ」

田中「マインクラフトな」

神谷「ありえんやろ? 小2やぞ? 小2がマインドクラフトって……」

田中「難しかったらマイクラって略してみ」

神谷「マイクラがなんとクラスで流行っとるらしいねん」

田中「あー、俺んとこもそうやわ」

神谷「俺らが小2の頃はバーコードバトラーやん」

田中「俺はそこまで貧乏じゃなかったわ。ファミコン持ってたし」

神谷「ムカつくなぁお前。ファミコンで貴族気取りでそんなにマウント取りたいんかよ」

田中「お前の方がムカつくで。家に風呂がなくて3日に一回銭湯に通ってた小学生時代を呪いな。ペッ」

ボコスカッボコスカッ。

数分後。

神谷「これってとんでもないことじゃない?」

田中「知能レベルが上ってる気は確かにするな」

神谷「30年前の小2の知能レベルはバーコードバトラーやったのに……今どきの小2はマイクラ」

田中「バーコードバトラーが全国平均みたいになっとるな」

神谷「ということはやで。更に30年後になるとどうなる? 30年後の小2は?」

田中「Unity使っとるんとちゃうん? Unity2050

神谷「2050ってめっちゃ強い数字やな。何でも作れそう」

神谷「ていうか、下手したら千年パズルを組み立ててバーコードを読み取ってMR化したウーロンチャンとブルーアイズをバトルさせてるかもしれん。デュエルしようぜ!」

田中「それはないわ。既にバーコードが古い。そもそも今はQRコードやろ? それすら無くなってICタグになるかもしれんのに」

神谷「ムカつくなぁお前。ICタグでシンギュラリティ気取りでそんなにマウント取りたいんかよ」

田中「お前の方がムカつくで。本当は初めて買ってもらったゲーム機本体がセガサターンやけどファミコンからあたかも持ってたかのように振る舞っていた中学時代を呪いな。ペッ」

バキュンッバキュンッ。

数分後。

神谷「何しか俺が言いたいのはやで。姪っ子に際どい質問された時……」

回想。

姪っ子「なぁなぁ、ゲーム作ってるんやろ」

神谷「ああ、そうさ。おじさんはゲームを作ってる。所謂ゲームクリエイターってやつさ」

姪っ子「どんなゲーム作ってるん? マイクラっぽい?」

神谷「……」

姪っ子「……」

神谷「……」

姪っ子「?」

神谷「その者青き衣をまといて。金色の野に降り立つべし。失われし大地との絆を結び。ついに人々を青き清浄の地に導かん」

姪っ子「え? なにそれ?」

神谷「古い言い伝えだ。お前が大きくなったらこの言葉の意味もわかる」

姪っ子「???」

回想終了。

神谷「フゥーーー! フゥーーーー!」

田中「ナウシカ落ち着け。今戦えば谷の者は皆殺しになろう」

神谷「辺境一の剣士ユパ・ミラルダとはそなたのことか」

田中「双方動くな。動けば王蟲の皮より削り出したこの剣が、セラミック装甲をも貫くぞ」

神谷「ユパ様!」

田中「ユパ様!」

〜海外版ナウシカのポスターからはジェダイ臭がするEND〜

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