尾上屋台 2016/09/27 05:33

「orange」

・アニメ公式


基本的に、漫画やアニメって、さほどリアリティにこだわる必要ってないと思ってるんですよ。
大体ビジュアル的に、それこそ写実的じゃないわけじゃないですか。
漫画の絵見て、「こんなに目の大きな人間はいない」とか言っちゃっても、それは決定的にナンセンスなわけで。
そのビジュアルに表れてるように、作者の世界観を表現していけばいいと思うんですよね。
中身にしても同様で、デフォルメ効かせていくべきだと。
登場人物に対して、「こんな男はいない」「女はこんなことしない」みたいに思うことがあるにしても、それは作品そのものを否定することには全然繋がらないというか。
変な話、そういうキャラがいそうなリアリティよりかは、こうあってほしいだったり、こうだったらかわいいみたいな、世界観を提示できてるかどうかが、作品のキーとなるんじゃないかって。

という前提を置いた上であえて言うんですけど、この作品の男の心理描写は、すっごいリアリティありますよね。
うわーって思いましたもん。
えらい男心ってヤツがわかってるなあって。
怖ーって(笑)。
小説なんかでは女性の作家でもたくさんいますけどね、あんまり漫画/アニメでこういう作品に触れたことがなかったんで、ちょっとびっくりしました。
話そのものは、割合地味だったり、タイムトラベル的に見ちゃうとツッコミどころはあると思うんですけど、この作品の心理描写は、かなり精密だなあと思いました。

漫画的な視点だけで見ちゃうと、翔なんかはただの豆腐メンタルに見えちゃうかもですけど、実際のとこ、男って一度傷ついたらそうそう立ち直ったりできないじゃないですか。
何かで塗りつぶして立ち直った振りはできますけど、傷が塞がるってことは、余程時間かけないと無理なわけで。
時間かけても、無理ってことも多い。
翔の場合はまず物語序盤で傷ついてしまうわけですけど、それをなんとかしたいと思ってる菜穂が余計傷口広げてくってのも、菜穂が真剣に立ち直って欲しいと思ってる分だけ切実で、リアリティありますよね。
また菜穂がああいう性格なもんで、まず自分乗り越えてく必要があるってのも、現実の女の子と照らし合わせて「あーそうそう、あるある」って思っちゃう。
デフォルメ効いてない世界では、まさにこんな感じでこじれてくんですよねえ(汗)。
冗談抜きで、実際に自殺してしまうパターンって、こういう状況ですよね。
あくまで僕が見てきた範囲内ですけど。

自分的には、須和にメンタリティ近いなって思いました。
挙動は萩田君みたいだったと思いますけど(笑)。
置かれてる状況とか気持ちとか、ああなんかわかるって。
あんま作品ってものに共感って求めてない自分ですけど、これは強引に引っ張り込まれてしまいました。
それだけの心理描写力が、確実にあった作品だなあと。
まあ男だけじゃなくて、よく人間のことがわかってますよね。
そしてそれを表現できる力量もあって、すごいなって。
普段から、自分のことばっかじゃなくて、人のことをよく見てますよ。
理解力半端じゃないなって。

自分的ヒロインは、まんま菜穂ですかねえ。
そもそもデザインが好きだったのもありますし、花澤香菜ってだけで、結構やられますから(笑)。

この作品で思ったことは非常に多くて、でもそれを語り始めるととんでもなく長くなっちゃうと思うんで、この辺で。
ただ、ここ最近見た作品の中でも、というより今まで見たアニメの中でも屈指のリアリティで、デフォルメ効いた作品も好きなんですけど、こういう作品もやっぱいいなあって、あらためて思った次第です。

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