尾上屋台 2018/07/08 01:39

「ダーリン・イン・ザ・フランキス」2クール目

・アニメ公式
https://darli-fra.jp/

ダリフラ、前期に引き続いての2クール目ですね。
前期の感想はこちら↓


1クール目をファムファタールとすれば、後半はもっと大きな、命だったり破壊と再生だったりと、随分風呂敷を広げた感じで。
正直、ラストちょっと前、いきなり話が宇宙からの精神生命体との対決にぶっ飛んだ辺りは、ちとやり過ぎかなあとも思ってたんですが、最終話見た今では、この世界の成り立ちと七賢人の狙いみたいのがわかった所で終わらせるよりかは、その先まで描いて正解だったのかなと。

前期はやはり、性的なメタファーが多かったわけですよ。
あえて抑えたというか、性が意味するその先、命だったりなんだったりってのには、あえて踏み込んでない感じで。
人が死んだりしないってとこでも、それはわかるわけですね。
生と裏返しの、死を描かない。
叫竜を倒しても、殺すってよりかは「やっつける」みたいな描き方でね。

でもこの性ってのは、人と人のやり取りにおいて、最も根源的なものの一つなんですよね。
単に男女ってだけでなく、仲間には性的マイノリティもいるわけですが、どちらにしても肉体的には、どちらかの性に人は生まれるわけなので。
最初はちょっとエロい、から、アイデンティティとしての性に、話は段々と変わっていくわけですね。
で、この後半は、性から先、命の方に踏み込んでる。

後半のテーマは対比が多く、命に対しての死はもちろん、肉体と精神、破壊と再生、その他諸々を扱ってる。
これ、ひとつの物語に詰め込むの大変だったと思うんですけど、その大変さ除いても、常々僕がここで言ってる通り、2クールって尺は強力ですよねえ(笑)。
1クールじゃどれかひとつでも描ききれないこと多いのに、2クールだと尺の長さは2倍でも、5倍くらいのテーマ詰め込めますもんね。
で、対比が多くなってるのは、これだけのテーマを消化することができるので、わかりやすくする為の手法だったのかなと思います。

いや、最初は宇宙出てきた時点で、ちょっとやり過ぎじゃないかって、やっぱ思ったんですよ(笑)。
でもやっぱ、話を地球の、もう一度文明を築き直す物語として描くには、必要だったんだろうなあと。
最後まで見て納得。

前半は、比較的テーマもシンプルで、とっつきやすい作品だったと思います。
後半は、自分でテーマを選んで咀嚼する必要が出てくるんで、人によっては前半が面白かったのに、みたいな評価になるかもですね。
ちなみに、僕は後半の方が面白かったんですけど。

前半は、びしっとレールの上を、ジェットコースターみたいに進んでいく物語で。
その過程で、モチーフやテーマ、メタファーの上手さを見せていく話だったかなと。
実際、唸るほどに上手い作品だなと思いました。

後半は、ぐぐっとテーマを広げたんで、レールどころか道もない中、自分の足で何か見つけていく物語ですね。
実はこの構成の方が、解釈の余地が生まれて、僕的には好きなわけで。
どれだけわかるかってよりも、どれだけ視聴者に投げかけることができるかって感じで、いいんじゃないかと。

七賢人のとこで物語が終わった方が、スッキリはするはずなんですよ。
でもそこで終わっちゃうと、「あー面白かった」で、すぐに忘れられちゃう作品になってたんじゃないかと。
最後が一番気持ちいいとこではなく、その先を描いたことで、僕はこの作品は見た人に何か残すような作品になったと思います。
なので、あの切ない終わり方ができた。

2クール作品ならではの読後感というか余韻、たっぷり味わっている最中です。
いい物語だったなと、そう思います。

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