「薔薇王の葬列」
・アニメ公式
https://baraou-anime.com/
これだけファンタジーが氾濫してる今の日本の漫画/アニメですけど、中世ヨーロッパの戦争そのものがモチーフになってるのって、意外なくらい少なくて。
で、今作はその中でも薔薇戦争っていう、ある意味マニアックなとこついてきたなあと。
基本、シェイクスピアの二作をベースにしてるみたいですけど。
ちなみに、あの有名な百年戦争の末期がこの薔薇戦争で、ここからなし崩し的に百年戦争も終わりを迎えるというか。
そもそもフランス領土の相続権にイングランド王が意義申し立てたとこから始まるのが百年戦争ですから、そもそもイングランド内での王権を争う内乱(?)が起きた時点で、対フランスどころじゃないというか。
亡霊のジャンヌダルクがちまちまと現れたりするのは、そういう背景からなんですよね。
時代的に、近い。
何気に、薔薇戦争ってわかりづらくないですか(笑)?
いやー僕は本で、つまり文章でこの辺り勉強した時って、もうどっちがヨークでどっちがランカスターかってのに大混乱で(汗)。
同じ名前の人がかなり出てきますもんね。
リチャードだのヘンリーだのエリザベスだのって。
ウォリック伯だって通称みたいなもんで、ホントの名前はリチャード・ネヴィルですもんねえ。
おいおいこいつもリチャードかって(笑)。
さらに余談を重ねると、本作ではランカスターの親玉的にマーガレットが登場しますが、この人のちゃんとした(?)名前は、マーガレット・オブ・アンジュー。
薔薇戦争にはもう一人のキーになるマーガレットがいて、その名をマーガレット・ボーフォード。
この人の息子ヘンリー・チューダーが今作の主人公リチャード(後のリチャード三世)を倒して、薔薇戦争は終わるって流れなんですわ。
マーガレット・ボーフォードがヘンリー・チューダーを従姉妹のジャスパーに託してフランスに亡命させ、知恵者のトマス・スタンリーと組んで最終的には国王の母になるって物語はなかなか見応えがあって。
ただ、今作ではそこら辺はばっさり描写切ってますね。
同時進行でやるってのは連載漫画だとなかなか難しいものがあったのかなって。
伏線として描くにはボリュームありますし、最後の最後まで回収できない伏線ですからね。
特に今作は薔薇戦争を俯瞰で見るよりも、あくまでリチャード三世の物語として描くんだって意図がはっきりしてますもんね。
歴史モノって、作者がどういう切り口で攻めていくのかって、僕なんかはいつも興味津々で。
今作はリチャードをああいうキャラ(性別も含め)にしたことで、ずいぶん攻めてきたなあって。
ていうかリチャード三世を主人公としたことで後に破滅しか待ってないわけで、この辺に作者の意図というか、作品全体の流れみたいのが見えてきて、僕としては非常に楽しめてます。
まあそれゆえにこその、こういったキャラ立てなのかなとも感じますし。
と、今回は作品そのものより歴史の話っぽくなっちゃいましたが、今作はこのまま2クール目に突入ということで、次回の記事では、作品そのものについてもうちょい書ければと。
あ、一言付け加えると、良い作品です。
そんなわけで、来期に期待です!