尾上屋台 2022/06/30 19:00

「群青のファンファーレ」

・アニメ公式
https://fanfare-anime.com/

 最近のウマ娘ブームに乗って、じゃないよな(笑)。
 アニメの脚本って、一年くらい前には仕上がってること多いって聞いたんで、プロジェクトとしては結構前から動いてたはずで。

 とはいえ、僕もウマ娘で競馬にちゃんとした興味抱いたクチなんで(一応以前から競馬の話題はちょくちょく小耳には挟んでいたけど)、まあ見てみようかなって感じで。
 このパターン、結構多かったと思うんですけど。
 逆に言うと、企画として前々から上がってたものが、ウマ娘ブームで、一気に動き出したみたいな感じかもですね。

 で、結論から言うと、これは2クールで見たかったかなあと。
 競馬学校っていうなかなかないモチーフの作品なんで、そういう部分の知識とか、ちょっと欲しくなるじゃないですか。
 もちろん、見てるとそれなりにこういう世界なのかってわかるんですけど、基本的にそこの知識がない状態から入ってるんで、主人公たちが今どの辺りの立ち位置なのかとか、もうちょいぶっちゃけると何年制かもわからないまま見てるんで、物語のピークがどの辺かもわかりづらかったりはしましたね。

 キャラの懸け合い、関係性の変化みたいのは丁寧に描いていたんですけど、一部特にいる必要があったかもわからないキャラもいたりと、この辺はおそらく三、四人だと競馬学校としておかしいとか、そういうのを避けたんだろうなあ、とか。
 それぞれにそれなりの見せ場を作ったことで、かえってメインのテーマみたいのはぼやけた感もあるかなとか。
 これ、2クールだったらそれぞれの見せ場を作りつつ、競馬学校そのものについての知識だとか、全部問題なく詰め込めたんじゃないかと思うんですよね。

 基本、座学と馬の世話、たまに騎乗したりって感じなんですけど、それが今何を教わってるとこなのかとか、どのラインにあるのが優れた生徒なのかとか、個人の関係性でなんとなくみえてくるものはあっても、いまいちピンと来なかったかなあと。
 で、繰り返しますけど、2クールだったらその辺りに充分な尺が取れたはずでね。

 そんなんばっかりだと作品として面白くもなく、さりとてドラマの部分にスポットを当て過ぎると競馬学校の知識が前提となってしまったりと、これ、脚本それなりに難儀したんじゃないかと思うんですよ。
 結果ドラマの方に振ったわけですけど、どういう形が正解だったのかってのは、よくわからないですよね。
 僕も以前シナリオの仕事してて、いやーその尺で全部詰め込むのやめましょうよって思ったことがありますもん。
 全部見せるには、それなりの尺頂かないとって。

 なので、このモチーフでこの尺で、となると、一概にテーマがぼやけてるなって言い切れないなあと。
 ドラマの部分、メインの三人の関係性、成長、挫折なんかは、きちんと描かれていて。
 でもこの三人で引っ張ってくにしては、逆にこのモチーフである必要もなかったかもな、みたいな。
 全ては、尺が解決してくれると思うんですけどねえ。
 どうでしょ。

 ともあれ、希有な設定での作品、少なくともその部分に関しては堪能できました。
 やりたいことはよくわかるだけに、惜しいな、とも感じた次第で。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索