#1.男が自分だけの世界で僕は……
舞台
男が絶滅してからX年が経つも、人類の存続に左程の変化は訪れなかった。
奇病と人口生殖の作用により、生まれてくる人間が女性だけとなり、異性という概念が歴史の上で語られるようになった程度だろう。誰も異性を知り得なくなれば、それはもう神話や空想上の産物だった。
なお、その残された資料が問題である。性を語る資料として、前時代に遺されたアダルトビデオなどのポルノが使われているからだ。
教育の場にて、女子たちがAVを大画面で真面目に鑑賞する姿は滑稽と言える。
男女の性行為を紙に描写するテストがあったり、畜生向けのエロ同人をバカ正直に教科書とする学園も存在した。
お陰で女たちによる性への関心は尽きていない。誰もが男女の営みを夢見ていた。
そんな世界でX年振りに一人の男が誕生する。当然ながら、世界は激震した。
男に「天人」と名づけられると、生まれた地もそのまま「天人町」と改名された。
なお、衰退の末期では希少な男性を崇める法律が敷かれている。完膚なきまでの男尊女卑ならぬ絶対男崇な制度であり、とどのつまり「男は、いつ如何なる時でも、好きな女性と好きなだけヤれる」という内容だった。
窮地に立たされた社会が最後の最期に下した苦渋の決断である。大規模なデモを起こした阿鼻叫喚な法律だったものの、現代の生き残りには然るべき為ん術という認識でしかなく、X年ぶりに男が誕生したことで絶対男崇の制度は当たり前の如く再可決されるのだった。
国宝どころか、星の宝として扱われる天人。
誕生から〇二年が経った天人は、進学先として国内最大規模の学園へと入学する。
学生数は三万人。言わずもがな、天人以外の全員が女性だった。
〇二歳と言えば、性欲を自覚する頃合いである。
そして天人には、自身が望めば好きな時に好きな女とヤれる権利がある。多感な年頃と絶大な権力……天人の学園生活は、波瀾万丈を極めない訳が無かった。
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