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シロフミ 2024/03/30 22:09

少女妊婦出産ものの試案

低年齢の妊娠・出産ものについて。
人間の胎児の妊娠・出産についてはこれまで何度か考えてはきたものの、だいたい途中でヒロインがあまりに悲劇的で、もっとちゃんとした大人が保護してやれという気分になったり、出産後の新生児がこんな扱いで良いのだろうか、産まれた子供に罪はないのにと考え初めてしまって筆が止まっていた。
そう。かわいそうなのは抜けない。
といって、産まれた命を無碍に扱うのは主義に反する。排泄物のように扱ってしまっては、それこそなんのために妊娠出産を主題にしているのかわからなくなる。
また、出産にいたるまでの妊娠の過程を描くと、どうしても「お腹に赤ちゃんがいる状態」であれこれとシチュエーションを重ねるのがあまりにもやりやすく、ここに分量を割きすぎることになってしまう。本題のはずの出産がおざなりになるのはあまりにも本末転倒だ。
そういったことを考えながら、いくつか考えてみたものの放置されていたストーリープロットになる。完全に文章にすることはおそらくないと思うので、あるていど読みやすく整形したものを公開しておく。


●持ち込む要素として
・クラスの中で自分だけがオトナにされてしまう。
・えっちなことの経験はクラスメイトの子もしているかもしれないが、お腹に赤ちゃんがいるのは自分だけ。
・特殊な無知シチュエーション。セックスによって赤ちゃんができるという知識はあるが、それはパパとママが愛し合うからだと思っている。愛のある性教育の結果、受精と妊娠には愛し合う二人でなければならないという思い込みがある。
・つまり、自分が妊娠してしまうのは、相手を愛しているからだということになる。
・相手への好意がセックスに伴う性的な快感を覚えることと結びつきやすい未分化な精神状態のため、ヒロインは気持ちよくなる=ママになる意思があるという詭弁に陥ってしまう。

●プロット案
・ヒロインは5年生。本人に自覚は無いが天性のファムファタール。際だって美少女というわけではないのだが、被虐を受けた時にその情景や表情が欲情をそそるタイプであり、二次被害や新しい加害者を招き入れてしまう。
・ヒロインはお金と暇がある変態おじさんに捕まり、その毒牙に掛けられた。
・おじさんはこれまで何人もこうした少女を陥れ、その多くを妊娠させて赤ちゃんを産ませてきた。その記録写真や動画を見せられながら自分も「こう」なることを見せつけられてしまう。
・セックスはしても愛が無いから妊娠はしない、赤ちゃんはできないと抗弁する少女。おじさんは少女の勘違いにつけこみ、妊娠するならおじさんのことを愛しているはずだと論点をすり替えていく。
・嫌なはずなのにおじさんの巧みな誘導と開発によって快感を覚えるようになってしまう少女。
・初体験からわずか半月、きちんと頃合いを見計らったおじさんの本気種付けによって着床してしまった。おじさんは確かな「手ごたえ」とともに少女に妊娠おめでとうと告げる。

・さすがに妊娠確定を匂わせる発言に怖くなり逃げ出す少女。しかし家族(両親がいないか無関心か、年の離れた祖父が形だけ世話をしているだけ)にも言えずに家にも帰れないでいた少女は、担任の先生に保護される。
・先生も実は重度のロリコンだがそれを隠して仕事をしていた。
・事情を聞いて驚くも親身に少女のことを案じる先生。
・先生と慰め合っているうちに、優しい先生ならいい、わたしのここ、汚くないか確かめてとセックスになだれこむ。
・先生のおちんちんはそんなに大きくも長くもなくて、おじさんのような強烈な快感はないものの、少女はあまりにも先生が愛おしくて中で出すことをねだってしまう。
・先生も我忘れて少女にのめり込むが、性欲抜群でとんでもない変態手管を身につけている変態おじさんに比べるとあまりにも淡泊で一方的。さいしょから変態おじさんの熟練度MAXな種付けをされていた少女にとってはそれが新鮮でもあった。
・そのまま何回か、少女は先生の家に泊まってセックスをする。
・しかし我に返り、眠っている少女を見た先生は、罪悪感に耐えかねて失踪してしまう。

・様々な事情は伏せられたまま学校に戻る少女。しばらく登校しなかった間のことが学校では噂になっていた。
・援交で出歩いていたとか、彼氏と駆け落ちしたとかいうありもしない風聞のいくつかは部分的に的を射ており、クラスの男子はなんとなく、少女が「経験済み」であることを悟り、なんなら自分もヤれるんじゃないかなどと不埒な想像をしていた。
・学校でも孤立する中、少女は再び変態おじさんに見つかって、またおちんちんでいたずらされる。あっさり誘導に引っかかり、先生との逢瀬を口にしてしまい、おじさんによって先生とどっちが気持ちいいかとなぶられて、「おじさんのカタチ」すっかり馴染んだあそこに、またも大量におじさんの子種を注ぎ込まれてゆく。
・おじさんは変態なので少女の微妙な反応の変化に気付いていた。
・おじさんに快感に追い込まれておしっこをさせられ、妊娠検査薬で赤ちゃんができていることを教えられる。
・信じられないヒロインはそんなのウソ、パパとママが愛し合ってるから赤ちゃんができるんだもんと反論。子供じみた理屈である。
・おじさんとはそういうんじゃない、先生とだから。先生の赤ちゃんだ。おじさんに侵され、快感に声を上げながらも、喘ぎ声の合間に売り言葉に買い言葉でそんなことまで叫んでしまう。

・少女は自分に言い聞かせるように、おなかの赤ちゃんはおじさんの子供じゃなくて、先生の赤ちゃんだと繰り返す。
・それを確かめるためにはどうするか? 実際に、先生の赤ちゃんを産んでみせるしかない。本当に先生の赤ちゃんだろうか? ふと疑念が少女の頭をかすめる。
・不安になる心を振り払おうと、少女は確認を先送りにした。
・おじさんのどぷどぷどぷうぅうーーって火山の噴火のような射精に比べると、先生の射精は弱々しくて、びゅるっ、程度のささやかなものだった。先生の小さなおちんちんは、さんざん変態おじさんの大きくてぶっといおちんちんに馴染まされたあそこには物足りなかった。
・おじさんと比べたら、先生の射精は簡単に負けてしまいそうな弱々しいものだった。まっしぐらに卵子を目指して群がり食い荒らそうとする荒々しいおじさんの精子に、先生の精子は勝てるんだろうか。
・大丈夫、わたしの卵子はおじさんの精子になんか負けたりしない。
・がんばれ、がんばれ、わたしの卵子。
・そい願いながら、少女はおじさんの射精を受け止め続けた。

・先生の分まで頑張って、先生の赤ちゃんのママにならなきゃ。
・そう決心したものの、おじさんの執拗で巧みな性技に少女は溺れていく。こうやって何度も、おじさんは女の子を孕ませて赤ちゃんを産ませてきたらしい。
・おじさんは怪しい産科医とも懇意であり、少女のバックアップ体制も万全。おじさんに受診させられて母子共に健康であるようにケアも怠らない。
・実際に、自分と同じくらいの年齢の女の子が赤ちゃんを産んでいる動画まで見せられる。おじさんへの恨みや憎しみをみせながら、それでも無理矢理「ママ」にされていく姿を見せられ、少女は追い詰められていく。
・次第に大きくなるおなか、学校では不審がられはしても深い追求は受けなかった。担任の先生が失踪して、代理の先生はまったくやる気が無い。
・すっかりおじさんのなすがままになり、少女は妊婦セックスの快楽に溺れる。おなかの中で赤ちゃんが動いている。ランドセルのままのセックス。制服の白いタイツを下ろされてセックス。
・揺れるおなかを抱えながら、少女は自分の境遇から逃避するように、その身に刻まれた快感に没入セル。
・八ヶ月を迎えたおなかは少女の細く小さな身体に不釣り合いなくらいに大きくなり、胎動で姿勢を変える赤ちゃんが元気すぎて、いつもお腹の中で暴れるのでママは眠るのも精一杯。
・妊婦セックスでおなかの赤ちゃんが動く。少女の中に半分だけ挿入しながら、子宮をこつんと突き上げるおじさん。
・おじさんのおちんぽに反応して動くのでこの子はおじさんの子供だ。ママと一緒になって子宮を大きくして膣を狭め、パパのことを気持ちよくしてくれる。母娘二代でおじさんをいかせてくれる親孝行な赤ちゃんだと、おじさんはいう。やはり変態おじさんだ。

・たった一人の家族だった祖父が入院し、少女は家に一人だった。表向きはおじさんが様子を見ているということで体裁が守られている。
・妊娠九ヶ月、セーターを着ていてもおなかが大きいのがわかる少女。
・ある日の夜、少女の家に強盗が入ってくる。覆面の二人組。家にはヒロイン一人、子供しかいないので大したお金もなく「ハズレ」かとがっかりするが、強盗の一人がだぼだぼのセーターでごまかしている少女のお腹が大きく膨らんでいることに気付く。
・とっさにお腹を庇って、乱暴にしないでと抵抗する少女。
・そのの本気の抵抗に、むしろ強盗はこれに興味を持った。
・おい、マジでその腹どうなってんだ? こんなガキが妊娠してるのか? 孕めるわけねえだろこんなガキが。じゃあこれはなんだよ? 知らねえよ。病気か食い過ぎてるんだろ。
・なあ、ちょっと確かめてみようぜ? おい、そんなことやってる場合か。いいだろ、どうせどっかで一晩過ごさなきゃいけねえんだろ。そんなガキ相手に勃たねえよ。
・強盗たちは別にロリコンというわけではなかったのだが、弄ばれているうちに妙な色香を見せ始めたヒロインに次第に魅入られていく。
・突き出されたおちんちんからお腹の子を庇うため、懸命にフェラをするヒロイン。思いのほか上手くて、強盗は殺気立っていたこともありあっさり射精してしまう。
・うぉ、すっげ……。なんだ、このガキすげえ淫乱じゃねえか……。マジで腹に赤ん坊がいるのか?これなら納得だな。腹ん中にガキがいるなら、これくらい余裕で入るだろ。
・ちょっと触ったらすぐ濡れて、強盗のペニスはわりとすんなり入る。しかし奥は子宮が膨らんでいてきつい。
・お、すっげ、すっげぇ。なんだこれ。大きく膨らんだ子宮に押しつぶされ、篤く狭い膣孔。妊婦セックス初体験の強盗は思わぬ快感に声を上げた。
・無理矢理の挿入、しかもおじさんとは違って慣れていない。強盗たちの無理矢理の行為に少女のおなかで赤ちゃんが暴れる。大きく膨らんだ妊娠九ヶ月のおなかがうごめく。
・お腹の赤ちゃんに酷いことしないで!叫ぶ少女の口にタオルが突っ込まれた。うるせえガキのくせにガキなんかつくりやがって。腹ン中のガキにぶっかけてやる!
・子宮口に直接浴びせかけられる射精に、胎動が激しくなる。膣奥への刺激や射精は子宮を緩ませ、出産を促すものなのだ。強盗たちに交互に代わる代わる犯される。
・ダメ、本当に赤ちゃん産まれちゃう……! うるせえな、そんなに言うならここで産んでみろよ、この淫乱ガキがよ!ほれ、ほれ!!いや、あ……ぁ!!
・おなかの中の赤ちゃんは先生の赤ちゃんなんだから、先生が迎えに来るまで待たなきゃいけない。こんなところで産まれちゃうのはダメ。少女はそんな妄想に縋って耐える。
・完全にいきり立った強盗たちに朝まで代わる代わる犯された。少女はお腹で暴れる赤ちゃんを必死になだめ、お風呂で汚れを落とす。
・シャワーを頭から浴びながら、一人で涙する少女。赤ちゃんのためにも、辛くてもママは頑張らなくちゃいけない。

・そしてとうとう少女が、クラスのみんなの前でママになる日がやってきた。
・冬休みを迎える直前の学校。朝からおなかの痛みを感じ、なんとかして帰ろうとしていた少女だが、終業式直前で破水してしまう。
・それでもみんなに秘密にしなければと、人気のない体育倉庫までなんとかたどりつくも、クラスメイトが大勢それを見つけに来る。
・実はクラスメイトには裏サイトからヒロインのおじさんとのハメ取り動画が流出しており、全員事情を知っている。
・同じ小学生の、クラスメイトの女子がナマで赤ちゃんを産むところを見せる性教育。小学生だってママになれるんだという現実を突きつけられ、クラスメイトたちはそのことに正気を失いつつあった。
・動画では、おじさんに何度も攻められて極太ちんぽを根元まで突っ込まれて、必死によがり狂う少女の姿。自分から望んで気持ちよくなり、おちんぽを飲み込んで、ママになろうとしている。そういう光景。
・先生の失踪との関係も気付かれていて、ヒロインは誰でもセックスをする淫乱な子であり、だから妊娠しちゃったのだという理解がされていて、同性のクラスメイト達からは蔑まれている。どこにも味方はいない。
・仮に少女を思うクラスメイトがいたとしてもここではじっと見守って痴態を見ることに終始し、助けにでたりはしない。全部済んだら次は自分がセックスしたいとか、自分の赤ちゃんを産んで欲しいとか、そんな妄念にとりつかれているヒョロガリのクラスメイトもいたりする。

・クラスのリーダーの女子、委員長。実は医者の娘である。変態おじさんが少女を受診させていた産科医というのは彼女の父親。
・変態おじさんはちょっと下手を踏んで逃亡中らしい。
・彼女の父の産科医は、本当ならおじさんが少女に赤ちゃんを産ませることで大きな収入を得られることになっていたのだが、おじさんがいなくなってその当てが無くなった。
・その代わり、ヒロインはクラスメイトたちの慰み者にされてしまうことになったのである。ここに同席しているクラスメイトたち(女子の一部、男子多数、他のクラスも少々)
・実のところ、少女は朝から長時間、ずっと陣痛が続いていて、学校にきてからは必死にいきみ逃がしをしている状態だった。産道はすでにかなり開いており、充血して開いた陰唇の奥からはせり上がる子宮口が見える。開け閉めされる狭い出口をくぐろうと、その奥で膜がずりずりと動き回る。まだ5センチしか開いていないの孔を、直径10センチのものがくぐろうとしている。
・赤ちゃんの頭が出かかったところで、少女は無理矢理保健室まで歩いて移動させられる。あそこから羊膜をのぞかせながら、クラスのみんなに囲まれて歩かされる。足下には羊水の噴き出した水たまりが続く。
・少女は保健室の仰向けに寝かされて足を開いた形で固定される。
・二度目の破水がベッドシーツを濡らす。本当に同年代のクラスメイトが赤ちゃんを産もうとしているのだという事実に、見物の男子たちが色めき立つ。
・彼らはそのほとんどが、少女のハメ取り動画で猿のようにオナニーをしていた。十月十日(実際はもうちょっと早い)、おなかの中で大切に新しい生命を育てたクラスメイトの少女が、いまここで赤ちゃんを産み落とそうとしている。
・みんなの前で、少女はママになろうとしている。
・おじさんのじゃない、あんな変態おじさんのあかちゃんじゃない。
・先生の赤ちゃんだ。ぜったいに先生の赤ちゃんなんだ。変態おじさんの赤ちゃんじゃない。絶望の中、少女はその妄想に必死に縋りながら、息もうとする。
・もうすぐ赤ちゃんが産まれる、その土壇場で、委員長はそっと少女に耳打ちした。
・「ねえ、知ってる? あなたのおなかの赤ちゃん、双子なのよ」

・じつは、産科医の診察でそのことは判明していたが、少女には秘密として伏せられていた。変態おじさんは少女の出産ギリギリになって、あるいは少女が一人
目の赤ちゃんを産んだところで衝撃の事実として「二人目」がだおなかにいること明かすつもりだったらしい。
・しかしおじさんがいなくなったので、委員長はこの秘密を別の方法に利用することにした。
・「5年生で妊娠なんて、それだけでもとんでもないのに……二人も赤ちゃん妊娠してるなんて、あなたって本当、いやらしいのね……?」
・「そう。わかるでしょ? ……あなたのおなかにいるのって、先生の赤ちゃんと、あの変態おじさんの赤ちゃんを、両方なのよ」
・少女はおじさんの怪しい薬で排卵を誘発された直後に、おじさんと先生両方の赤ちゃんを着床し、二卵性の双子を妊娠していたのだ。
・「最初に産まれてくるの、変態おじさんと先生の赤ちゃん、どっちかしら……?」
・委員長はどっちの赤ちゃんを先に産むかという事実で少女の心を弄ぶ。
・双子を妊娠してる時点で、先生とおじさんのいいとこ取りをしようとした卑怯なママ。という切り口。ふつうはひとりしか妊娠できないのに。さんざん気持ちよくなったおじさんとのセックスで妊娠しておきながら、先生のあかちゃんまで孕もうとした、はしたないおなか。
・「あなたが本当に妊娠したかったの、どっち? あの変態おじさん? それとも先生?」
・委員長は少女に囁く。ママが本当に好きで本当に孕みたかったのはどっちのパパの赤ちゃんか。
・おなかの「奥」を与えていたほうが本当のあかちゃんで、「手前」にいたのは卑怯にも後から割り込んできた赤ちゃんである、という論説。
・委員長は巧みに少女の心を誘導していく。これだけ興奮に眼をギラつかせたクラスメイトに囲まれていたら逃げられない。しかし、たとえば双子のうち一人目が産まれたあと、二人目が産まれてくる前に逃げることはできるかもしれない。
・男子たちは、まだ少女が妊娠しているのが双子だというのは知らないのだ。だったら、一人目の赤ちゃんが産まれたら、もうそれで終わりだと思って解放してくれるかもしれない。
・「がんばって、変態おじさんの赤ちゃんを先に産んじゃえば、みんなそれで見逃してくれるかもよ……?」
・(そ、そうすれば、せんせいの、あかちゃん……っ)
・この場で、おじさんの赤ちゃんを先に産んで。
・それからなんとかして逃げて、そうすれば、そこで先生の赤ちゃんを産んであげられる。そんな考えに少女は縋り付いた。
・順番を考えれば、変態おじさんの射精が半日くらい早い。つまり、少女のおなかに「先」に着床したのはおじさんの赤ちゃんである。先生はその後に射精したのだから、先生の赤ちゃんのほうが「後」になる。
・しかし少女はもう破水しており、排臨がはじまっている。これは「後」の、子宮の出口に近い方にいる赤ちゃんのはずだ。
・順番から考えれば、先生の赤ちゃん、ということになる。
・だから。少女はいまにももう産まれそうな双子の第一子をおなかに抱えながら、なんとかして、おなかの「奥」にいるはずの第二子、変態おじさんの赤ちゃんを先に産まなければならない。
・いままさに初産を迎えようとしている5年生の少女に強いるには、あまりにも無謀な「産み分け」であった。

・少女は苦痛と苦悶の中、必死に息み、おなかのなかの胎動を見せつけ、大きく開いた足の付け根に赤ちゃんの頭を覗かせながら。無謀な「産み分け」に挑もうとした。
・しかし、耐えきれず出てきてしまったのは先生の赤ちゃんの小さな頭部だった。ずるりっと、思いのほかすんなりと娩出される胎児の頭部。そのまま肩まで一気に胎児の娩出が進み、クラスメイトの男子たちは歓声を上げる。
・双子でありながら、小さくてひ弱そうな、一回り小さい赤ちゃんだった。そもそも5年生のお腹で双子が育ちきるのは無理があったのだ。
・生まれ落ちた赤ちゃんの姿は、少女にとって直感があった。先生だ、先生の赤ちゃんだ。あの頼りない小さなおちんちんが、情けなく漏らした射精で、ちゃんと私のおなかには先生の赤ちゃんが着床していた。
・本当は先生の赤ちゃんじゃなくて、あの変態おじさんのあかちゃんだと認めるのが怖くて。ずっと不安だった。感動の対面に涙がこぼれる少女。
・しかし。第一子の守山からほとんど間を置かず、激しい陣痛と胎動が少女を襲う。感動と興奮にわめいてたクラスの男子たちが一斉に顔色を変えて目を剥いた。
・先ほどとは比べものにならない強い破水。二度目の破水。
・そのまま、ほとんど間を置かずに双子のもう一人、第二子の出産が始まってしまったのだ。
・委員長は改めてここで少女が双子を妊娠していたことを公開する。エコー写真にはっきりと映っている、双子の胎児。一目でわかるほどに、双子の片方が小さく、もう片方が大きい。
・双子を妊娠しているという事実に沸き立つ男子たち。もう一回クラスメイトの出産が見れると大興奮する。
・そして、変態おじさんのパワーを見せつけるかのように、大きく育った赤ちゃんが後から産まれてくる。双子の第一子の出産はまるでただの「練習」だったとでも言うように。
・いまだ少女のへその緒がおなかの中に繋がっており、第一子の胎盤が残ったままだというのに。
・少女は再び初産の苦しみに喘ぎ、懸命にいきむ。先生の赤ちゃんとはまるで違う、素直に産まれてきてくれない、わがままでわんぱくな生命力の塊。
・少女のおなかに最初に着床した一番乗りはあの変態おじさんで、おなかの奥深く、大事な場所を明け渡してしまったのもおじさん。先生の赤ちゃんはなんとか頑張って孕もうとした「おまけ」で、身も心も最初から最後まで「おじさん」のものだった。
・必死に息むこと数十回。大きな頭を娩出させ、胎児は身体をねじりながら肩をはみ出させ、どうにか右手、左手が順番に外に出てくる。さながら、元気よく育ちすぎてそのまま外に飛び出してきたかのように。
・飛び出した双子の第一子の出産はまるでただの「練習」だったとでも言うように。
・両手をぶらんと逆さまにバンザイするように、少女の大きく開かれた足から胎児がぶらさがる。絶望とともに息む少女の産道から、せり上がるように赤ちゃんが押し出され、同時まだ胎内に残っていた羊水がどばっと吐き出された。
・裏返った子宮口から、二本のへその緒を覗かせ。
・ぜいぜいと肩をあえがせ、びっしょりと汗でずぶ濡れになりながら。
・少女はこうして、クラスの皆の前で、双子の赤ちゃんを産み落とし――はじめてのママになる一部始終のすべてをみせつけることになった。

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シロフミ 2020/08/08 21:32

保健室の遊戯・事後

少女のアナルを弄ぶ養護教諭の先生の話。
保健室の遊戯(https://ci-en.dlsite.com/creator/7308/article/353371
及びその有料版である作品の一部として書いたものの、浣腸からの排泄に繋げると本題とは焦点がずれる気がしたのでそのままお蔵入りになっていたもの。中途半端なところまでしかありませんが移転記念に公開します。



「は……っ、はゥ……っ」
 びくびくと強張った四肢を弛緩させ、天音がベッドに崩れ落ちた。
 あの後、さらに4度まで腸内洗浄を施されたのだから、体力の限界を迎えるのも当然だろう。人一倍敏感な神経の詰まった排泄孔から、堪えきれなくなった洗浄液をほとばしらせ、金属の容器を激しく汚す――その繰り返しにぐったりと力をなくした少女の細い身体は、うっすらと汗を滲ませてシーツの上に崩れ落ちている。
 最後の2回は、注入するものを薬液からぬるま湯に切り替え、注入量も400mlに増やしたうえで注入を5回に分け、断続的なシリンジの抽挿を用いて徹底的な洗浄を行った。
 その甲斐もあって、一週間にも渡る天音の便秘は完全に解消され、さらに柔襞に汚辱をこびりつかせていた腸内もすっかり本来の美しさを取り戻していた。
 もはや少女の体奥にはいささかの汚辱の痕跡すら残されておらず、注入したぬるま湯はそのままの清浄で透明な姿を保ったまま、トレイに排出されるようになっていた。
 今もまた、天音は排泄孔の真下にあてがわれた洗面器の中に、まるで小水のように透明な水流を噴き上げ、激しく飛沫を撒き散らして放出させている。
 先ほど天音が汚したベッドは、すでに片付けを終えてある。手早く消臭と殺菌も済ませ、隣のベッドに場所を移し、私は彼女の『治療』の次の段階へ進むつもりだった。
「どう、楽になったかしら?」
「っ……ひぐッ……」
 さしもの世間知らずな少女でも、流石にこれまでの行為が治療行為の名を借りた陵○であったことには気づいているらしい。しかし排泄孔に対して執拗に繰り返された浣腸洗浄によって繊細な羞恥心を徹底的にえぐられ、答える気力すら残っていないようだ。
 だが、そうして涙を堪え、己を襲う苦難に必死に耐えようとしている姿は、私の嗜虐心を激しく刺激する。
「ふふ、すっかり充血させちゃったかしらね?」
「ぁあウ!? や、やだ……だめ、デス……先生、もう……おシリ……いじめナイで、くだサイ……っ!!」
 悪魔の薬液の強○注入に寄って、強引に排泄を繰り返された排泄孔に触れられて、天音が抗議の声を上げる。徹底的に弄ばれたその部分は、すでに限界まで神経を張り詰めさせた少女にとって生殖器よりも敏感な部分なのだ。
「っあ、や、ァ!! さ、触らないデぇ……っ」
 例のクリームをすくい取った指先で、丹念に直腸裏側の粘膜に保護のための成分を塗りこめてゆく。この薬剤も炎症をおさえ、雑菌や痛みを和らげる成分を持っている。
 忌避感のための抵抗こそあれど、ぬめるクリームを塗られる行為そのものは、天音も決して嫌っている訳ではないらしい。無毛の恥丘を震わせ、突き上げた腰を振り立てながらも、ぷくりと盛り上がって可愛らしい『おちょぼ口』をつくった直腸粘膜は私の指をさしたる抵抗もなくすんなりと受け入れる。
 天音の喘ぎを楽しみながらしばしそこをいじり回し、私は少女の耳元に囁きかけた。
「あら? だってこのままだと城崎さんも困るでしょう。今日はこれでお通じがあったけど、また、出なくなったりしたらどうするの?」
「っ……で、デモ……」
「そうならないためにも、ちゃんとお尻をほぐして、柔らかくしてあげないといけないのよ。放っておくとまた苦しくなっちゃうわ。ね?」
 けして治療が『これで終わり』という気配など覗かせる気はない。背中に手を押し当て、天音の抵抗を封じながら、私は先ほどと同じ潤滑剤がわりの炎症止めクリームを、排泄孔の粘膜の襞一枚一枚にしっかりとに塗り込めていく。
 ふっくらと捲れあがって内臓の内側を覗かせ、クリームに滑る小さなすぼまりは、排泄の器官とは思えないほどに美しい。巾着上の括約筋は、可愛らしい皺の一本一本まではっきりと窺う事ができた。
「っ……ワタシ、や、やっぱり、ッ」
 この期に及んでも頑固に拒絶を示そうとする天音。大抵の少女なら、ここまでされれば抵抗の意志など失うものだが、これで折れない心と言うのもなかなかの逸材だろう。
 祖母の影響で幼いながらに身に付けた信仰心故かもしれない。
 だが――同時に、この強固な心をどう崩してゆくのかを思案するのも、私にとっては至高の悦びである。下半身だけを裸にされ、産毛も残らないほどの美しい素肌を晒したまま、身動きのとれぬ美しい少女は、私にとって垂涎の一品だった。
「そうね、それじゃあ――」
 十分に恥孔を弄び、十分だと判断するまで弄り回して、私は次なる凌○の道具を取り出す。先程までは排泄を楽しんだ。今からは――少女の排泄器官を存分に堪能するつもりだった。
 取り出したモノを見て、天音が表情を強張らせる。これが何なのかを理解しているというなら大したものだが、これまでの様子を見るにその可能性は薄いだろう。しかし本能的に、自分が先程にも勝る凌○を受ける事は察したらしい。
 怯えに曇る少女の表情に満足しつつ、私は少女の下半身を抱え込むように、身を乗り出した。
「さ、おなかの力を抜きなさい」
「ゥあ、や、へ、ヘンなコト、しちゃ、やァ……っ」
「ただのマッサージよ。ちゃんとお通じが良くなるように、ね」
 用意したものは、直径1センチあまりピンクローターだ。
 この保健室には様々な種類の淫具を用意してあるが、これは有線仕様のごくごく標準的なものである。そのスイッチを入れ、そっと天音の柔孔に押し当てた。
 少女用のもの(あまり有名ではないが、思春期向けのいわゆる『ソフトな』種類も実在する)に比べても一回りサイズの大きな、成人女性用のものだが、クリームをかぶせておいたため、天音の孔はすんなりと親指ほどの太さの器具を飲み込んでゆく。
「ぁうアアアアアッ!?」
 ふぃいい……という小さな振動音が、天音の直腸粘膜に触れた瞬間、くぐもった音に変化する。微細な振動で小さな孔を刺激され、天音は身をよじって暴れ出した。
「ふふ、大丈夫……しっかり力を抜いて……おなかの中に受け入れるの」
「や、ヤダぁ、嫌デスっ……お、おシリ、ヘンなフウになっちゃいマス…っ!!」
 腰をくねらせて抵抗する天音に逆らわず、ローターを柔孔の中に押し込んでゆく。これまで何度も野太い汚物をひり出していただけあって、天音のそこはあきれるほどやすやすとローターを腹奥に飲み込んでいった。
 本体とコントローラーを繋ぐコードだけが、すぼまりにもどった天音の孔からひょろりと伸びている。腸内で振動するローターの感触に、天音は悲鳴を上げる。
「ッ、ぅああ……ヤダ、キモチ悪いデス……せ。先生っ、抜いて、抜いテくだサイっ!!」
「おなかをちゃんとほぐしてあげる治療なのよ? やめたら元通りになっちゃうわ」
「ふぁアアアアア!?」
 強度レバーを調節し、振動を中から上へと動かした。ねっとりと粘膜に包まれた、少女の蕩ける直腸のなかで、ローターが跳ね回る。よじれた孔の襞をかき回す淫具の振動に、天音は四肢を硬直させて背中を反らせた。
 きゅう、きゅう、と小さな孔がすぼまっては膨らみ、淫靡に体奥へと繋がるコードをきつく噛み締めるようについばむ。
「アアっ、や、嫌ぁ……おナカ、ぐるぐるッテ……んくゥ……ッ」
 少女の背中からうなじにかけて、たちまち汗の玉が浮かぶ。こんなにも激しい反応は予想外だった。
 ベッドに突っ伏したまま、制服の下にびっしょりと汗をかき、天音は甘い声を上げ続けた。小さな白い丘の隙間の秘孔は、ピンクローターのコードを覗かせたまま膨らんではくるんと縮まり、収縮を繰り返しながらねっとりと腸液を溢れさせている。
「やぁ……ドンドン、奥……入っちゃ…ァ」
 その言葉に、私は少女の体内へと続くコードが短くなっているのに私は気づいた。
 繊細な直腸をこね回すピンクローターが、天音の体内へゆっくりと引きずり込まれていたのだ。本来異物を吐き出すための排泄器官で、天音はねとりととろける粘膜を絡めながら、淫具を胎の奥深くへ飲み込んでゆく。
 コードの長さから逆算して、かなりの奥までローターが飲み込まれている勘定になった。
「へえ、……城崎さん、感じるの?」
「ゥああ!? や、せんせぇ……だめ、もっと弱くシテ……おナカ、壊れちゃうゥ!!」
 私がローターの強度をあげた途端、天音は激しい反応を見せた。
 これは驚嘆すべきことだった。コードを10センチ以上も飲み込んでおいて、天音はその腹奥の直腸粘膜襞で、暴れまわる淫具の振動を余すところなく感じ取っているのだ。
 説明するまでもないが、本来、内臓である直腸には触覚を司る神経は存在しない。これは当たり前のことで、直腸はその入り口のごく近傍付近を除けば、そこに何かが入っていることや、その形をはっきりと感じ取ることは不可能だ。便意を覚えるまで、排泄物がそこにある事を感じないこともしばしばであるし、直腸の粘膜襞にへばりつく固形物の形を普段から理解しているようでは、まともな日常生活など送ることはできない。
 排泄器官の快楽というものは、基本的に入り口の括約筋で感じるものだ。
 だが――目の前で悶える少女はそうではなかった。
「ぁあうぁあァアぁあ!?」
 短くなったコードを引き戻し、ぐいっと引っ張ると、まるで魚が食いついたような手ごたえすら感じられる。ぞるるうぅっ、と絡みつく粘膜を掻き分けて引きずり出されるローターの感触を、天音は喉を震わせ、甲高い声ではっきりと感じ取っていた。
 孔奥から引き出された淫具と共に、天音の排泄孔を満たしていた粘液をこぽりと吐き出し、少女の排泄甲はその淫らで美しい粘膜を激しく蠢かせる。
 出口寸前までローターを引きずり出し、私は力を緩めた。いったんは半分近くその姿を外部にに現しながら、ピンク色の楕円形が、再び天音の体内へと飲み込まれてゆく。
「凄いわ……」
 あまりの事に、私は言い知れぬ興奮に身を震わせていた。
 あり得ない光景だった。事が事なら、学術論文として取り上げても良いほどの事例である。
 目の前の少女――その可憐なる歌声で天使の声とも持て囃される、美しき合唱部の才媛の排泄孔は、本来体内に溜まった食物の成れの果てを吐き出す能力の代わりに、全く別の機能――雄の生殖器を根元まで飲み込み、ねっぷりと舐め回す能力を備えていたのだ。
 つまり。天音の便秘症の正体は、本来排泄には全く適さない異能の排泄器官を持って生まれたためのものだったことになる。
 本来、モノを吐き出すための機能を持つはずのそこは、内部に押し込まれたものに舐めるように絡みつき、腹奥深くに飲み込もうとする機能を有しているのだ。ゆえに、少女の排泄器官はまったく正逆の役目を果たしていることになる。
 私は興奮を隠せなかった。こんなにも身近に、求め続けた理想の乙女がいたなんて。
「ぁアアぅ……だめ、せんせェ……止めてェ……お願い、デスっ……お、おナカ、ヘンになっちゃウ……っ」
「感じてるのね、城崎さん? どんな感じか教えて頂戴」
「おシリ……お、おナカがっ……奥まで、きゅうッテ、ァあッ……や、ヤァあ、ぁ、ウ、ぁあッ、ハァ……ッ!」
 うつ伏せになった顔を枕に押し付け、あどけない口でシーツを噛み、ベッドに爪を立てて――天音は未体験の快楽に必死に抗っている。そう、このうつくしい少女は感じているのだ。排泄器官を淫具で弄ばれると言う、初めての経験に――あり得ないほど、明瞭に快感を覚えている。
 次第に持ち上がる腰と、ぷくぷくと泡を吹き、粘つく腸液を漏らす桃色の小孔は少女の限界が近いことを窺わせる。
 恐らく、天音の直腸には、常人の何十倍という快楽神経を詰め込まれている。先程の浣腸による強○排泄と洗浄が、それを一気に覚醒させたに違いなかった。そこをさらに指で弄くられて責め抜かれ、天音はかつて経験したことのないような濃密な官能を覚えている筈だった。
 天は二物を与えぬと言うが、それは誤りだ。
 彼女の喉は、食べることのほかに万人の心を、魂を震わせるほどの美しい歌声を紡ぎ――そしてまた、彼女の排泄器官は、世の少女がけっして味わうことのできぬほどに、極上の快楽を紡ぐことのできる場所なのだ。
 天に与えられた特別製の排泄器官は、おそらくこのローター責めに置いても格別の反応を返している。天音はいまや、直接淫核をねぶられるのに近い暴虐的な快楽を覚えていることだろう。
「ぁふぁアアアア!? や、センセェっ、だめ、それダメぇッ!! ず、ずるずるッテいうの、シないデぇ……っ!!」
 コントローラーのすぐ根元に達するまで深々と腹奥に引きずり込まれたローターを、コードを手繰って無理矢理引きずり出す。それを繰り返すたび、少女の反応は天井知らずに高まってゆく。天性の才能とたゆまぬ努力がもたらした天使の歌声で、天音は己が身の感じる快感を、至上の媚声として奏で続けた。絶えぬ喘ぎが跳ね上がり、重なり、響き、防音の保健室の中を満たしてゆく。
「ぁああァアアッ!? ダメ、ダメえぇえ!! やめ、ひっぱら、ナイ、でぇ!!」
 ローターを引きずり出される時の、腹の中身を掻き出される刺激は、ことさらに天音には応えるらしい。反応を高めるたび次第に、ローターは天音の腸奥粘膜にしっかりと絡み付かれて、普通に引きずり出すだけでは難しくなり始める。
 この分では、以前から普段の排泄ではそうとう苦労していたのだろう。腹奥の汚辱を吐き出すたび、便器に跨って懸命に力み、白い腹部を上下させて十分以上――ぐったりとなるまで踏ん張って、どうにか粘液にくるまれた固形状の塊を押し出すのが精一杯というところだろうか。
 これまで排泄や排泄器官の異常を感じることなく、一週間程度の便秘で済んだというのは奇跡に近い。
 いよいよ獣じみて声を荒げ、叫ぶ天音の痴態を見計らい、私はローターの振動を最大まで跳ね上げた。
「ァはあッ!?」
 びくぅ、と背筋を反らせ、天音が腰をぎくんと震わせる。
 ぞっ、ぞっ、と音を立てて鳥肌を逆立たせ、捲れ膨らんだ排泄孔が、一瞬で硬くすぼまり、きゅうっと捻れて絡みつく。遠く異国の血をひいた白い肌が、とろんと蜂蜜を垂らしたようにほんのりと赤みを帯びてゆく。
「ぁ。アぁ、あァウッ……んゥ、ッ、……~~~~~~ッッ!!!!」
 コードを引きちぎらんばかりの勢いで反応した天音の直腸は、まるで肉食獣が得物を租借するように強烈にうねり、びくびくと腹の中身をこね回す。折り重なった直腸壁がところ構わずに波打ち、柔毛がよじれて跳ね回るローターを飲み込んだ。
 高々と突き上げられた尻をびくんびくんを振りたて、とうとう天音は絶頂に達した。
 一拍置いて、少女の排泄孔から、ぶじゅうっ、と粘性の強い透明な飛沫が噴き上がる。絶頂と共に、腸液を噴き散らしてしまったようだ。まるで潮吹きにも似た現象。こんな所まで、少女の後ろ孔は素晴らしい作りを保っているようだった。
 神など信じた事はない私だったが、この時ばかりは我知らず、心からの感謝をささげていた。
「ぁ…は……ゥ……ッ」
 断続的な快楽の波をその特別性の排泄器官で奏でながら、少女は肩を波打たせ、痙攣しながらベッドの上に突っ伏した。
 触れられることもなかった幼いつくりの性器から、とろとろと白っぽい蜜が零れ落ちる。
 そして、それに倍するほどの腸液が、こぽりと外へ滲み出して、少女の下半身を激しく汚していた。




「ふあ、ァ……ッ、ぅ」
 突き上げられた快楽の頂の上で、まだ余韻の大波に揺さぶられながら、天音は腰を浮かせたまま下腹部をびく、びく、と引きつらせている。
 20センチほどもあるコードは八割以上もその体内奥深くまで飲み込まれていた。細いコードを租借するように、窄まった排泄孔がきゅうとよじれ、少女の体内へと引き込まれる。その些細な刺激すら、天音にとっては新たな官能のうねりとなっているらしい。自らの下腹部が貪欲に求める快楽を飲み込み、少女は何度も荒い息を吐き付けた。
「ッ……あ、アっ」
 天音がわずかに声を跳ねさせる。朱の差した頬をぐりぐりと枕に押し付け、髪を振り乱して息を詰める。同時、一度はおとなしく慎ましやかに縮まっていた孔がまたぷくりと膨らんで、その内側の美しい桃肉色を覗かせる。
 狭苦しい柔孔をせり上がってきた蜜が、わずかにほころびたその小さな花弁から溢れ、とろりと少女の太腿へこぼれ落ちた。美しい桜色の粘膜を喘がせる乙女の『おちょぼ口』から零れるそれは、腸液というよりも、蜜と呼ぶのがふさわしい。
 いまはメモリの右端、最低出力でかすかな微動となったローターの刺激を腹奥でしっかりと享受しているのだろう。時折むずがるように片方の手でぎゅうとヘソ上のシャツを掴み、腰をくねらせながら、天音はなお自分を翻弄する快楽に抗おうとしている。
「ダメぇ……っ」
 かすかな抵抗の声を上げ、シーツを噛み締めた少女の唇は、しかし甘美な喘ぎを隠しきれていない。ローターのリモコンに繋がるコードを軽く引っ張ってやると、それだけで西欧の血を混じらせた無垢な白肌を切なげに震わせる。
 細い肢体からはすっかり硬さが失われ、汗ばんだ肌にはほのかな赤みがさしている。覆うもののなくなった下半身は、めくれたシャツの下で穢れひとつないまま、抗いがたいほどの淫靡さをかもし出していた。
 たまらず、私は再度、ローターの強度を動かしていた。
「ぁ、っ、やダ、ま、またァ……ッ」
 祖国のイントネーションを雑じらせた声を掠れさせ、少女は身体全体で押し寄せる快楽の波を受け入れる。驚くべきことに、天音の直腸粘膜は入り口から15センチも奥に飲み込んだローターの振動を、しっかりと感知している。
 もはやそこは排泄器官などと呼べるシロモノではなく、十分に仕込まれた生殖器よりも敏感な、快楽の源泉であった。
「ふふ、城崎さん、どう? 大分慣れてきた?」
「ッ、せんせェ、も、もォいい、いいデスっ……お、おナカ、おかしくなっチャう……ッ、もぉへ、ヘンなコトしないデ、こ、これ、抜いテくだサイ……ッ」
 興奮に上擦りそうになる声を押さえながら、出来る限り事務的に、ただの治療だと言う装いを崩さず、少女に問いかける。
 涙を堪えながらの懇願を、天音は途切れ途切れに繰り返す。ぞくぞくと嗜虐心を煽るその様は、このまま何時間でもこの機器を使って、心行くまでこの愛くるしい少女を仕込んでやりたいという誘惑を大きくした。
 けれど、いまやそれよりも優先すべきことがあった。私は天音の申し出を受けることにする。
「そうね。じゃあ抜いてあげる」
「ひぁアアう!?」
 ぐい、とわずかに余ったコードに指を絡め、力を込める。天音の吐き出した蜜でぬるぬるになったコードが、ゆっくりと少女の体内から引きずり出されてゆく。
 その様は、まるで愛の結晶を産み落としてるかのようにすら見える。少女はこの快楽をよほど気に入ったか、粘膜は完全にローターに絡み付いて、離さぬほどにしっかりと腹奥に食い締めているようで、指に食い込むコードが痛いほどだ。
「あぐ、あっ、アっ、や、やあ!! せ、先生ぇ、ダメ。も、もット、や、やさシクしてェ!!」
「暴れないで城崎さん。手が滑っちゃうわよ」
 そう嘯いて、強度調整のレバーを一気に押し上げる。ローターの唸る振動音が、少女の腹奥からも聞こえるほどに大きくなった。
「ぁああアアァ!?」
 コードを通じて再び猛烈に跳ね回るローターは、たちまちのうち、小康状態を保っていた天音の直腸粘膜を活性化させ、猛烈な快感を紡ぎ出す。複雑に絡み合った柔襞が、それぞれぞるるっと別々の方向に蠢き、絡み合うように波打つ。腹奥に深くよじり合わされる桃肉色の淫襞の重なりはたちまち天音の腹底にまで伝わってゆく。
 動き出したローターを離すまいとするように、くねりうねる少女の体内は淫具を再度、その奥にまで飲み込もうとする、手繰り出された以上のコードを伴って、ピンクのローターがずるりっと少女の奥へと飲み込まれる。
「ヤぁあ!! もぉっ、やぁ、やァアア!! やめて、センセぇ、もう、ヤメてぇ……ッ!!」
 恐らくは、快楽神経の詰まった柔肉筒の中で、内臓を引っかき出されるような感覚なのだろう。この小さな身体が、一体どんな官能を味わいつくしているのだろう。それを思うとなかなか踏ん切りもつかぬまま、私は何度も同じ動作をくり返すざるを得ない。
 わめく天音を見下ろしながら、私は5分ほども掛けて、ゆっくりとローターを引き出した。
「ぁ、くゥゥぁあ……ッ!?」
 ちゅぽんっ、と、まるで愛しい相手に吸いつく唇であるかのように。ローターが数十分ぶりに外に姿を見せる。お尻を高く天井に向けて突き上げ、天音は背中を震わせてシーツに噛み付いていた。ねっとりと蜜粘液の絡みついたローターは、妖しいほどにてらてらと輝き、少女の体内をこね回した残滓を滴らせている。
 いっぽうで天音の白い二つの丘の狭間では、内側から盛り上がった桃肉のほころびが、大きく膨らみ、まあるく輪のように広がって、薄いピンクのプラスチックを吐き出したままの格好に裏返っていた。少女の体温で暖められ、湯気を立ち昇らせるほどに淫らに彩られたローターは、難産の末に産み落とされた少女のタマゴのようだ。
「随分ほぐれたようね。これなら困ることもないんじゃないかしら」
 少女の薄い尻肉を掴み、左右に押し広げる。
 すると、長い時間を掛けて丁寧にトロかされた股間がくちりと粘つく音を立て、柔肉を覗かせる。まるで恋に恋するあどけない生娘の幼い唇のよう。さっきまでの淫ら極まりない姿をたちまち隠し、少女の排泄孔は貞淑な風を装って、その奥に秘められた官能をむさぼろうとしている。
「ふァア……ッ」
 同時に天音の脚の付け根、乙女の秘裂も、既にほころびてその蕾をわずかにほころばせ、甘い匂いをこぼす蜜を迸らせている。だがそれよりも遥かに淫靡に、少女の後ろ孔は精製された淫蜜をたっぷりと練りこまれ、おおきくほころびて左右に花弁を咲かせていた。
 断言してもいい。たとえまともな性癖を持つ男性であろうとも、この状態の天音を差し出され、どちらか好きなほうの孔を使って良いと言われれば、百人中九十九人が彼女の後ろ孔を選び、滾りに滾った剛直を突き立てる筈だ。
 トロけた桃肉孔は、私の指に従って左右に開き、小さいながらはっきりと空洞を空けている。その奥にはまるで迷宮のように、鮮やかな肉襞を右向きにねじらせながら捩り合わされた体内の様子が覗く。
 見ている間にもひくひくと蠢き、白い蜜を入り口にぷくりと溢れさせるその様は、触れただけで子供を孕みそうな、最上質の生殖器の有様だった。
「ッひあああゥ!?」
 先にクリームを塗り伸ばした時とはまるで違う。十度以上の肛門絶頂によって開発を尽くされた小孔は、私の指を飲み込むなりぐねぐねとうねり、折り重なった襞を波打たせて激しく締め付ける。とろけたマシュマロのようにくちゅりと割り広げられた桃孔は、外見に相応しい甘い匂いを漂わせ、淫らに雄を誘っている。
 およそ――少女に与えられたどんな器官よりも淫靡で美しい。天音の背徳の孔は、乙女の未成熟な魅力を伴って震える本来の性器よりも、はるかに極上の美しさと淫靡さを漂わせていた。
「ねえ。城崎さんは、ここを弄られるのが好きなの?」
「っ………」
 くちりと割り広げられた排泄孔に、外気を覚えながら。天音は私の声に身を硬くする。これまで何度も叩きこまれた暴虐的なまでの快感が、それを嘘とは言わせないだけの強い刷り込みを与えているのだろう。
 答えぬ天音に、私は揃えた指を――もう手袋などは付けていない――一気に少女の桃孔へと滑り込ませる。中指と人差し指、二本の指を受け入れ、たちまち天音の直腸は強烈な締め付けを見せる。
「ひァ、ゥ、っ、あ、ァアア!?」
 にゅぷり――わずかな抜き差しだけで、天音の孔はねとりと絡みつくように粘膜襞を蠢かせ、私の指を舐めしゃぶるかのように飲み込んでゆく。
「っ……」
 天音の体内の素晴らしさに、私は思わず舌を巻くほどだった。これまでに経験したどんな名器ともまるで違う、トロけるような熱さと幾重にも重なった柔襞の感触。同時に柔軟な括約筋はきつく挿入した指を締め付け、まるで奥へ奥へとぬめり込むように蠢く。とろりとこぼれる分泌液は、少女の小さな孔を彩ってマシュマロのように解れさせていた。
 挿入したものが私の指でさえなければ、ものの数秒で射精、絶頂へと押し上げられていた事は想像に難くない。なにしろ――私は、指だけで達してしまったくらいだ。
「………はぁ、っ」
 息を落ち受け、ゆっくりと抜き差しを繰り返す。ぐるりと円を描くように回した指が、半ばほどからぬめる粘膜に包まれて、無数の柔襞にかきなぞられるように擦られ、少女の腹奥へと飲み込まれそうになる。
 驚くべきことに、天音のこの孔は、男を楽しませ精を絞り取る、本来の生殖器の役割と寸分たがわぬ機能を――いや、並の名器などはるかに凌駕する素晴らしい官能と、歓びを与える器官であった。
 排泄物をヒリ出す変わりに、その中身を奥へと飲みこみ、たっぷりとした蜜をあふれさせる――まさに天性の直腸。天音はこれまでそんなことを思いもよらずに、言うことを聞かない己の消化器官を必死にコントロールし、体調を崩さぬように心掛けてきたのだろう。
「ぁ……ぅ……は、ァ……っ♪」
 男性の生殖器官など、私にとっては愛くるしい乙女の純潔を穢し引き裂く、汚らわしくも唾棄すべき異物でしかないが、この時ばかりは、自分にそれが無いことを、わずかながら悔やんでいた。
 天音のこの排泄孔を――雄を悦ばすその為だけに存在する、あまりにも異端の存在である桃肉孔を、思う存分貫いて犯しつくしたい――絡みつく粘膜や蠢く柔襞、狭く曲がりくねった直腸の粘膜壁そのものを真っ直ぐに貫いて、心ゆくまで堪能したいと、信条に照らせばあり得ない欲望すら抱いたしまったのだ。
 やはり間違いない。直接触診を試みて私は確信する。
 天音のこの孔は、本来、排泄物を外に押しだすために備えていなければ機構をほとんど持ちあわせていない。その代わりに、あらゆる雄を満足させることのできる、極上の名器としての機能を備えているのだ。天音がその気にさえなれば、彼女はこの器官を使って、国を傾ける事も不可能ではないかもしれない。
 まだ年端もいかぬ少女の、正統な性交の器官ですらない、汚辱をひり出す排泄器官で――国が、社会が滅ぶ。そんな、あまりにも荒唐無稽な想像すらも笑い飛ばせないほどの、天上の器官。この小さな少女がそれを備えている事の、なんと皮肉なことか。
 私の元を訪れでもしなければ、天音はこの秘密を誰にも知られることなく、決して明らかにせぬままに、一生を過ごしたのだろう。

 だが――もう、後戻りはきかない。
 私はそれを知り、少女はそれを覚えてしまった。

 それを全身で証明するかのごとく。私の指を深々と咥えこみ、天音は何度も、何度も、甘い声で鳴き続けた。


 (続)

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シロフミ 2020/08/06 22:51

犬のお世話・その4

「たっだいまー。シロー、ちゃんと大人しくお留守番してた?」
「ぉうんっ!!」
 可愛らしい振袖をはためかせたマキが玄関をくぐるなり、庭に伏せていた白い毛むくじゃらの塊はがばあっと跳ね起きて、鎖を引きちぎらんばかりの勢いで飛びついてゆきます。
「わぉおおーーんっ!! わふ、わうっ、わおんっ!!」
「きゃ……ちょっと、こら、シローっ!?」
 相変わらず元気なシローにマキも笑顔になりながら、姿勢を低くしてシローを抱きしめました。
「……もぉ。シローってばさびしがり屋なんだから」
「わぉんっ。わんわんわぉんっ!!」
 いつもより強くぶんぶんと尻尾を振りたてて、二日ぶりの再会を喜ぶシローはマキのほっぺに鼻先をこすりつけ、ぺろぺろと舐め回します。
「あんっ……こらぁシロー、くすぐったぁいっ」
 マキの家の恒例の帰省は、大晦日からお正月にかけて、電車で1時間ほどのおじいちゃんの家に戻るだけのささやなかものですが、それでもシローを一緒に連れて行くことはできません。
 毎年おとなしくマキのお家でお留守番をすることになっているシローなのですが、今年はちょこっと事情が違いました。大好きなマキと離れ離れになるのを嫌がったシローが、出かける直前まで暴れにあばれて、ぜんぜん言うことを聞かなかったのです。
 マキのお父さんもお母さんも、毎年のことなのにどうして今年になっていきなりシローがわがままになったのかと首を捻るばかりでした。
「ごめんね……おいてきぼりにして。寂しかったよね、シロー」
「わおん……くぅんっ」
 ただひとり、その理由を理解していたマキはシローの首に回した手にぐっと力を込めて、ふかふかの毛皮に顔をうずめます。
 白くてもこもこの冬毛に生え変わったシローの身体は、たっぷりお陽さまの匂いがして、顔を近づけているだけでとろんと眠くなってしまうほどでした。間近でシローの息遣いを感じているうちに、マキの胸もとくんと高鳴ります。
「シロー、あったかい……」
「くうぅん……」
 シローもうっとりと目を細めて、マキの首筋にぐりぐりと自分の首を押し付けます。シローもこの二日間、マキに会いたいと思い続けてくれていたのです。言葉は通じなくても、マキにはちゃんとわかりました。
 目を少し潤ませて、シローが『もう行かないで?』『いっしょにいようね』と訴えかけてきます。
「シロー……」
 そんなシローの仕草に、マキは切なくてたまらなくなってしまいました。マキはシローの前にひざまづいて、そっと首を上向けると、シローの唇に自分の唇をちょんと触れさせました。
「んちゅ、んむっ……れるっ……っふ……」
 すぐに伸ばした舌が絡まりあい、ふたりはちゅくちゅくと濡れた音を立て始めます。
 『ただいま』と『おかえりなさい』。
 そして『さびしかったよ』『いっしょだよ?』。
 言葉などなくても、なによりも雄弁に『だいすき』を伝え合うためのふたりのキスは、マキとシローの間にある種族の壁を取り払って、しっかりと心を繋ぎ合わせてゆきます。
 泡立ち、どろぉっと粘ついて喉に絡むシローの唾液を、こくりこくりと飲み込んで、マキはせいいっぱい、置いてきぼりにしてしまったシローに『ごめんなさい』を伝えました。
 けれど、マキはすぐにシローが怒ってはいないことに気付くのです。
 シローはただ、大好きなマキがお家からいなくなってしまったことを心配し、寂しさでいっぱいになりながらも、いっしょうけんめいマキのお家を守ってくれていたのでした。
「シロー……っ、んむっ、んちゅうぅっ……」
「わふ、わぅっ」
 温かいもので胸がいっぱいになり、マキは我を忘れてシローとのキスに没頭します。いつしかふたりのキスは、『だいすき』と『あいしてる』を伝え合うものに変わってゆくのでした。
 パパにもママにもナイショのふたりの関係。けれどいまや、マキとシローの心を繋ぐ絆は何よりも堅く強固で、決して離れないものになっているのでした。
「ふぁあ……っ♪」
 情熱的なシローのキスに、いつしかマキの脚からは力が抜け、甘くじぃんと溶け痺れた腰がとすん、と芝生の上に落ちてしまいます。
 ぶるっと震えた背筋をぞくぞくと切なさが這いのぼり、乱れた着物の裾の奥、防寒用のタイツの下に穿いた下着の内側にも、じわあっと甘い疼きが溜まっていきます。
 けれど、ぺしゃんと芝生の上に座り込んでしまったマキの上に覆いかぶさるように、シローは大きな身体をぴったりと寄せ、上向くマキの顔をぺちゃぺちゃと舐め回してゆきます。敏感な耳やほんのり色づいた首筋もいっぱいいっぱい舐められてしまい、マキの頭はどんどんふにゃふにゃになってしまいました。
「もぉ、……お着物汚したら、お母さんに怒られちゃうよっ……」
 シローの前脚に伸しかかられ、ほとんど芝生の上に倒れこみそうになりながら、マキはシローの首に回した腕に力を込めて、やめるように言います。
 けれどシローは器用に首を捻って、マキの胸元、襟の合わせ目にぐりぐりと鼻先を押し込んできます。
 濡れた鼻と、はあはあと伸びた唾液まみれの舌が、着物の下に滑り込み、れろんっ、れるぅっとマキの首筋と鎖骨を這い回るたび、まだブラも付けていないマキのちいさなふくらみは下着に擦れ、その先端をぴんと尖らせてゆくのです。
「馬鹿ぁ……ぉ、帯、解けちゃうっ、じゃないっ……。シロー、め!! ダメ!! ……ね? ぬ、脱がしたら、ダメだってば……あ、あたし、これ一人じゃ着れないんだから……っ」
 昨日の初詣に続いて、もう一度お祖母ちゃんにねだって着せてもらった振袖ですが、着慣れない上にこうまでシローにのしかかられては思うように身動きが取れません。マキが身をよじるたびに襟が崩れ、帯が緩み、裾が大きく乱れてしまいます。
 けれどシローはマキの抵抗がないものと勘違いし、いよいよ大胆に頭を下ろすと、マキの脚に鼻先を押し付けました。大きく割り拡げられた膝の間、めくれた裾の奥に頭を突っ込んで、べちゃべちゃの舌がタイツの上からマキの大事なところをまさぐり始めます。
 あっという間に白いタイツはぬるぬるのくちゃくちゃに湿って透け、マキの肌色をのぞかせます。シローの熱い吐息は、着物の奥にこもって、敏感な内腿をくすぐりました。
「ふぁ……っ、しろー、やぁ、着物、汚れちゃう……あとでおかあさんたちも帰ってくるのに、……シロー、あたしが着替えるの、手伝えないでしょっ……?」
「わぉんっ!!」
「わ、わぉんじゃないってばぁ……もぉーっ!!」
 ぎゅっ、と訴えるように胸元の毛皮を握りしめたマキにも、なぜか自信たっぷりに答えて、シローはさらにぐいっと顔をマキの脚の間に突っ込んできました。とうとう裾が大きく開き、同時に限界になった帯がするりと解けてしまいます。
「ぁ……っ、ばか、シロー、だめ、だめ!! こんな、お外で……っ」
 ぽかぽかと頭を叩くマキにも、シローはまったくいうことをききません。するりと開いた着物の合わせ目から、まだまだぺたんこの胸までも大きくあらわになって、マキはすっかり『召し上がれ』状態になってしまいました。
 着物というものは、いざというときにはひどく無防備なものなのです。
 腰の帯だけが辛うじて前を止め、おヘソとおなかを隠してこそいますが、タイツの下半身もほとんど隠れず、仰向けの胸にいたってはすっかり丸見え。柔らかなプリンのように揺れ、先端をほんのりとピンク色に色づかせています。
 誰かに見られてしまうかもしれない、おうちの庭のまんなかでこんなことになって、マキのほっぺも唇も、とろんと甘く蕩け、肌もうっすらと蜂蜜を混ぜたミルク色に上気していました。
「ふぁあ……ぅっ」
 巧みにうごめくシローの舌先が、タイツの合わせ目を擦るようにマキの大事なところを舐め上げます。マキは飛び上がりそうになるのをぎゅうっと目を閉じて耐えました。
 タイツと下着越しにも感じる器用な長い舌が、マキのあそこの敏感な突起を擦り、びりびりと鋭い快感を何度も打ち込んできます。マキは思わず悲鳴を上げそうになってしまいました。
 誰かに聞かれるわけにはいきませんので、マキはあわてて両手でじぶんの口を塞ぎますが、ぽかぽかと自分を叩いていたマキの両手が止まったので、シローはそれを『いいよ』の合図だと受け止めてしまいました。ますます夢中になって舌を動かしだすシローに、マキは気が気ではありません。
「や、ぁ、だめ、だめぇ……シローっ、こ、こんなとこ、で……み、見られちゃうっ……よぉ……っ」
 マキとシローがいる庭は、玄関の門を覗きこめばすぐに見えてしまうような場所なのです。植木が陰を作ってはいますが、たとえば郵便配達や新聞屋さんがやってくれば、あっという間に見えてしまうような場所なのでした。
 せめて少しでも庭の奥へ、と這いずろうとするマキですが、シローに女の子のいちばん敏感な場所をくちゅくちゅを音を立てるほど舐め続けられていては、それも思うようになりません。
「んぅっ……ふっ……ぁあうっ……だめ、ぇ……っ」
 着物の奥に篭ったマキのおんなのこの匂いに、シローはますます発情しています。すでにおなかの鞘から抜け出したおちんちんが、赤黒く色づき、びくびくと尖って膨らみ、シローの脚の間でぶるんぶるんと揺れていました。
 顔をそむけようとしても、身体の向きの関係で嫌でも目に入ってしまうそのいやらしいカタチに、マキもだめ、だめと思いながらも、自分の身体がいうことをきかなくなっていくのがわかりました。
「ぁ、…んぅ…っ、ふぁ、あぁあっ……」
 タイツ越しのもどかしい刺激は、けれどかえってマキのおなかの中を熱く煮えたたせ、くつくつと沸騰する切ない疼きがいつもよりもとろとろにおなかの奥深くを蕩かせてゆきます。
 べちゃあ、とタイツの股間に広がる染みは、けっしてシローの唾液だけが原因ではありません。小さな白い布地の内側では、もう秘密の場所はくちゅりと大きくほころびて、甘い蜜を次から次に溢れさせているのです。マキの身体は、もうすっかりシローを受け入れる準備を整えていました。
「っ………」
 これまでえっちをするたび、何度も繰り返されてきたシローの愛撫が、マキをますます昂ぶらせてゆきます。
 マキ自身もまだ気付いていないうちに、いつしかなにも知らなかったはずの無垢な乙女はすっかり大好きな相手を愛することのできる『おんなのこ』にされてしまっているのでした。
 可愛い顔を真っ赤にし、大好きなで、大事で、特別な相手にだけ見せる『おんなのこ』の表情で、マキはシローを見上げます。薄く開いた唇からは桜色の舌と、溢れんばかりの唾液が覗き、準備万端でシローを求めていました。
 じわ、と涙の滲む目で、マキはシローを見上げます。
 激しく高鳴る胸の鼓動は、一秒でも早くシローの『およめさん』になりたい、という思いを加速させ、マキの頭を熱っぽく支配してゆきました。
 マキは、俯いたままぽつりとつぶやきました。
「シロー……の、ばかぁ……っ」
「わぅ?」
「ばかぁ!! シローのばかぁ!!」
 マキの様子がおかしいのできょとんとしたところを、いきなり大声で叫ばれて、シローは耳を丸めて飛びあがります。
 それでもマキは、着崩れた着物を直すでもなく、芝生に座り込んだままぽろぽろと涙をこぼしながらシローをきっと睨むと、ぶんぶんと頭を振って言葉を続けるのでした。
「シローがいけないんだからね!? シローが、そんなんだから、……あたし、こんなふうになっちゃうんだよ?! お、おじいちゃんのところにいるときも、みんなとお話してる時も、シローのことしか、考えられなくってっ……!!
 今日だってそうなんだから!! あたしひとりで先に帰ってきたのだって、そうなんだからねっ!! し、シローに会いたかったからなんだよ!?」
 ごく、と口の中にあふれそうになった唾液を飲みこんで。マキはくしゃり、と表情を崩しました。泣きながら笑って、シローをじっと、じっと見つめ、あふれる思いを言葉へと変えてゆきます。
「さ、さいしょは、シローが、ひとりで、およめさんいなくて、さびしそうだったから!! ちょ、ちょっとだけ、手伝ってあげるつもりだったのに……なのに、っ、なのに!! ……あたしを、こんなにしちゃったの、全部シローのせいなんだからねっ……!!
 シローのこと、だいすきで、だいすきで、ヘンになっちゃいそうなのに……そ、それなのに、こ、こんなにされたら、も、もうシローとっ、……ぇ、えっちすることしか、考えられなくなっちゃうんだからぁっ!!」
 感情を爆発させながら、マキはシローの身体に飛びつきます。ちょうどさっきの逆の格好でした。
 けれど、あまりに事態が突然すぎて一体何のことか解らないシローには、ただおろおろと足踏みをし、目を白黒させるばかりです。困惑のシローに、マキはいつまでも泣きながらぎゅうぎゅうと抱きつくのでした。




 洗ったばかりの毛布を敷いた縁側、窓を開けた廊下の上に、うつ伏せになって膝をつき、お尻を上げ。マキはぎゅっと頼りない毛布を握りしめて、シローを呼びます。
「ん……いいよ?」
 いくぶん緊張しているマキとは対照的に、すっかりあたまに血を登らせたシローはマキの背中にがばっと飛び乗り、はあはあと息を荒げながらがちがちに膨らんだおちんちんをマキのおしりに押し付けてきます。
 丸く黒い大きな目は、すっかり濡れてマキを求めていました。
「……シロー、……っ」
 足首に下した濡れたタイツとパンツを絡め、下半身をさらけ出したまま、マキは切なく声を震わせます。
 服の上からのもどかしい刺激で延々と焦らされ、もはや限界のマキは、もう何も考えられずにシローの身体を受け入れようとしていました。シローが求めるとおりの四つん這いで、お尻を高く上げる獣の格好。恥ずかしさと、よく分からない恐怖感で、マキの心臓はばくばくと震えています。
「…………っ、」
「わおんっ……!!」
 けれど、そんなマキがためらうひまもなく。手の支えも必要なしに、びく、びくと震えるシローの固く尖って膨らんだおちんちんが、づぷん、とマキのあそこの中に沈んでゆきます。
 マキとはじめてえっちをしてから半年以上が過ぎて、シローはもうすっかりマキとのえっちの仕方を覚えているのでした。驚くほどスムースに、シローはマキの身体と、奥深くまで繋がってゆきます。
「ぁ、あっ、あ、あっ」
 あっという間に、硬く張り詰めたおちんちんがマキのおなかを貫いてゆきます。マキが知っているシローの肉の格好そのままに、柔らかく狭い『おんなのこ』の孔がくり抜かれてゆくようでした。
「あぁ、あっ、あぅ、シロー、すごいっ、ぉ、おちんちん、っは、入って、きてるよぉ……っ!!」
 必死に縁側にしがみ付くマキを押し潰さんばかりの勢いで、大きな身体を圧し掛からせ、そのままぐりぐりと体重を乗せて、深々とシローが腰を打ち付けてきます。
 尖ったおちんちんの先端がおなかの深いところを突き上げ、ごりっ、ごりっと貫く感覚が、マキの子宮をえぐるのでした。
「あ、あっ、あ。シロー、っ、あ、ぁ♪ あぁっ♪」
 そうして、いったん奥深くまでマキを貫いてから、シローは猛然と腰を振り始めました。その激しさと言ったら、押し込まれるときはマキの身体がべたんと床に押し潰され、引き抜かれるときは小さな腰がふっと浮かびあがるくらいです。
「っ、っ~~……ッ!! ふぁ、シロー、や、ぁんっ、お、おなか、おなかヘンになっちゃう……っ!!」
 肉の竿の途中の、膨らんだ部分が柔らかな襞を押し分け、天井の気持ちイイところを出入りの度にぞるるっ、ぞるるるぅ、となぞり擦り、マキの手足はそのたびにぴぃんと硬直します。
 さらには硬く熱いおちんちんがおしっこの孔を裏側から圧迫し、マキはあそこからはぴゅう、ぴゅううぅっと潮が吹き上げて、毛布をぴちゃぴちゃとと濡らしてゆくのでした。
「シローっ、しろーの熱いの、いっぱい出てるっ、でてるよぉ……!!」
 挿入と同時に、勢いよく射精をはじめたシローのおちんちんは、たちまちマキの狭い女の子の孔にどくどくと精液を注ぎ込み、赤ちゃんのもとでいっぱいにしていきました。
 すっかり敏感になった身体の内側全体で、シローのほとばしらせる白くどろどろの分身を受け止めるたび、マキの身体に言葉にできない悦びが湧き上がってゆきます。
「んぐ、っふ、ふぅぅぅあうっ♪ ……ん、むぐぅっ……ぅ」
 たまらず毛布を噛み締めて声を押し殺すマキですが、シローは容赦なく腰を動かし続けました。
 できたてほかほかのお餅に埋まった杵のように、しっかり絡み付いて離さないマキの腰が、シローの激しい前後運動にあわせて上下し、跳ね回ります。マキの『おんなのこ』は、ちょうどシローが腰を動かすのとは反対の動作を返していました。シローがおちんちんを引き抜くときはきゅっ♪ と締め付けて絡みつき、押し込む時にはひだひだを寄せ合ってぐにゅっと押し返すのです。
 ぬぶっ、ぢゅぷっ、といやらしい音を響かせて、マキもこの半年で覚えたシローとのえっちの仕方を、存分に披露します。
「わおぅ、わぉおんっ!!」
 マキを組み敷いたシローが、高く吠えます。
 づぷん、と深く沈みこんんだおちんちんの先端が、膨らんで降り始めた子宮の入り口をぐいっと押しあげ、そこに激しく白いマグマをぶつけます。
 一秒単位でびくびくと膨らみ、びゅるびゅると赤ちゃんのもとを吐き出すシローのおちんちんは、マキをすっかり虜にしてしまいました。
「んぅ、あ、シロー、しろおっ……シロー、すごい、よぉっ……!!」
 マキがうわずった声で名前を呼ぶと、シローも興奮した吼え声をあげます。誰よりも深くシローと繋がったマキには、シローが気持ちいいと叫んでいるのがはっきり聞こえました。
 そう、マキはシローのお嫁さんなのですから、いまはどんな女の子よりも一番、マキがシローを気持ちよくさせてあげることができるのです。
「シロー、だいすきっ、だいすきだよぉっ……♪」
「わっぉおんっ!!」
 興奮とともに大きく、ボールのように膨らんだシローのおちんちんの根本が、深くマキのあそこの中にねじ込まれます。シローのおちんちんのなかで一番敏感な場所であり、同時にマキのおなかをみっちりと埋め尽くし、無茶苦茶にかき混ぜてしまうそれが、しっかりとふたりを繋ぎ合せます。
 まるで、こうなるために産まれてきたように。
 シローとマキの身体は、一部の隙間もなく噛み合うのでした。シローのおちんちんの格好そのままに、狭くぬめるおんなのこの孔を身体の奥の奥まで深ぁくくりぬかれ、マキはぬぷぬぷと前後するシローのおちんちんに征服されてしまいます。
「あ、あぅ、シローっ、シローのっ、出てる、いっぱい出てるっ……おなか、シローでいっぱいにされちゃう……っ」
「わおぅ、わんっ、わんわんわぅんっ!!」
 背中にぴったりと押し付けられるふかふかの毛皮、耳元で響くシローの荒く熱い吐息。なにもかもが、マキの心を熱く激しく躍らせてゆきました。
 マキのおなかのなかを、ありったけ塗りつぶしてしまおうとせんばかりに、際限なく注ぎ込まれるシローの赤ちゃんのもとが、びくびくと元気に跳ね回り、マキの身体の奥へと注ぎ込まれてゆきます。
 火山が噴火するように熱く煮えたぎった射精をうけとめるたび、波のように打ち寄せる『おんなのこ』の悦びが、マキを侵略していきました。
「ぁ、あっ、あ。あーっ、ぅあ、んぁぅ、ぁっ、あぁあああァ……ッ!!」
 本当なら、これはいけないことなのだと。
 シローは犬で、マキは人間で。だから決して許されないことなのだと。そう思っていたはずのマキの心が、粉々に砕けてどこかに消えてゆきます。
 ただひたすらに、シローを愛し、大切に思い、大好きだと伝えたい。それだけがいまのマキの偽らざる気持ちでした。
「シローっ そんなにいっぱいしたら、できちゃう、……あかちゃん、シローとあたしの……、あかちゃんっ、できちゃうよぉっ!!!」
 イヌとヒトとでは、赤ちゃんができない。そんなのはマキだってずっと前から知っています。でも、それでも、それでも、マキは心の底からそれを望んでいました。

 シローの、赤ちゃんを産んであげたい。

 誰よりもシローを大好きでいることを、はっきりとカタチにして示すために。こうやって、シローとの関係を秘密にしなくても良くなるように。
 シローと自分が、どれだけお互いのことを大好きなのか。それを世界中のみんなに教えてあげるために。
「ぁああ、ぁあ、ぅあ、ふぁああぅぁ……ッ!?」
 それに応えてくれたのでしょうか。
 びゅる!! びゅる!! とひときわ激しく、マグマの噴火のように、シローのおちんちんが爆発します。おなかの奥に直接叩き付けられるシローの熱いほとばしりに、マキはシローが懸命に、生命の素を絞り出してくれていることに、マキはなによりも深い歓びを感じました。
(シロー、あ、あたしが、ちゃ、ちゃんとっ、ぁ…赤ちゃん、産めるようにして、くれてるっ……♪)
 だから。
 あとは、マキが頑張る番でした。
 マキは、女の子が大好きな相手を気持ちよくさせてあげることのできる、身体の全部を、ありったけ、残さず余さずに使って、シローを天よりも高くまで気持ちよくさせなければなりません。
 シローの赤ちゃんのもとが、ちゃんと、自分のおなかの中の『タマゴ』にまで届くように。
 ……保健体育で習った、えっちのあとの“ジュセイ”と“チャクショウ”がちゃんと起きてくれるように、マキはからだじゅうをつかって、シローのおちんちんから赤ちゃんのもとを搾り取ります。
「あ、あぅ、あ、あっ♪ ぅあ♪ ふぁ、ふぁぁあぅぅあっ……!!!」
 びりびりと胸の奥で弾ける赤い実の衝撃。シローのおちんちんの根本の瘤が、すっかり皮の内側に隠れてしまったマキの敏感な突起を、おなかの裏側からごりごりと擦ります。
 まるで小さなマキのおなかを破裂させようとしているようでした。
 シローが逞しい四肢を踏ん張らせ、腰を動かすたび、マキのしなやかな両手足はぶるぶると震え毛布の上に沈んでしまいます。
 繊細で敏感な快楽神経の詰まった柔らかな孔を、まるで石臼のようにしつこくなんどもなんども丹念にすり潰され、マキは数えることもできないくらい、繰り返し快楽の頂の上に押し上げられます。
 際限のない快感は、マキのあたまをすっかりからっぽにし、言葉や思考、余計な不安や怖さ、『おんなのこ』としてシローと愛し合うために不必要なものを奪ってゆくのでした。
「ふあ、あぅ、あ、あ、ふあぁああ!!!」
 激しく迸るシローの赤ちゃんのもとが、マキの子宮を打ち据えるたび、マキの足元には透明な蜜がぱちゃぱちゃとこぼれます。痙攣してひしゃげた小さな穴からなんどもなんども潮を噴き上げ、小さな体をわななかせて、マキはシローを受け止めました。
「ぁ、ぅ、ぁ……~~~ッッ!!」
 なにもかもシローのものにされてしまうことへの、途方もない悦びは、まるで自分が薄れてどこかに消えてしまうかのようなものでした。
 終わることのないシローとの行為に、いつしかマキの意識はふかいふかい闇の中に落ちていきました。


 ……どれくらい経ったのでしょう。
 十年、あるいは百年――マキには本当にそんな長い間眠っていたように思えましたが、実際にはほんの数十秒、あるいは数分のことであったようです。
 マキは縁側に突っ伏したまま、動けなくなっている自分に気付きました。
「んぅ……?」
 じわっ、とおなかの奥に残る熱が、闇の中から浮かびあがったマキの身体を震わせます。
 ゆっくりと冷めてゆく熱と共に、マキの意識がぼんやりとカタチを取り戻していきます。
 いちどはどろどろに溶けた身体がもういちどもとの形にもどってゆくのを感じながら、のしかかっていたシローの重みが消えたことに、マキは気付きました。
「シロー……?」
 いっしゅん、いままでのことも、なにもかも、全部全部夢かと思ってしまったマキですが、そうではありません。マキの腰の下に敷かれた毛布は、マキが吹き付けた蜜でべちゃべちゃに汚れ、内腿から膝に糸を引いています。
 収まりきらなかったシローの赤ちゃんのもとも一緒にこぼれ、毛布はまるで水溜りに浸したような有様でした。
「んぁ……っ♪」
 そして、おなかのうちがわをちりちりと焦がすような、鈍い痛みにも似た感覚に、マキはぶるりと背中を震わせます。
 そして――マキはいまなお、シローのおちんちんが深々と自分の身体の中に突き刺さっていることを感じました。
「……シロー、?」
「わおんっ!!」
 そうです。シローはどこかにいってしまったわけではありません。力を失っていたマキから離れて、シローはマキの背中を覆っていた前脚を離し、マキの身体から降りて、首を反対側に向けていたのです。
「あ……」
 マキはふいに強い不安を覚えます。身体こそしっかり繋がったままでしたが、心の奥にぽっかりと穴があいてしまったようでした。
 あんなにぴったり身体を寄せ合って、マキをぎゅうっと抱きしめていてくれたシローが、マキに興味を失ってしまったように――離れていこうとしています。一生懸命、だいすき、だいすき、と伝えあったはずのシローとの間に、前触れもなく大きな壁が築かれてしまったかのようでした。
「シロー、……っ」
 せっかく繋がっていたシローとの心が、離れてしまった。一つに溶け合っていた心が離れ、言葉や、習慣や、何もかもが違うイヌとヒトに、戻ってしまった。そのことを悟り、マキの胸がきゅんと切なく痛みます。
 じわ、と涙が浮かび、急速に全身から熱が失われていくようでした。
(や……ぁ……っ)
 あんなにも、あんなにもマキは懸命にシローのことを想い、切なさで胸をいっぱいにして、大好きだと伝えていたのに。
 それは、シローには届いていなかったのでしょうか?
 そう、マキが思った時でした。
「わおん!!」
「え、?」
 マキは、自分がとんでもない早とちりをしていたことに気付くのです。
 シローはそのままぐるん、と身体の向きを変え、マキの身体におちんちんを根本まで突き入れたまま、マキにお尻を向けたのです。そしてそのまま、あろうことか縁側を飛び下りて、庭のほうに身体を進めだしました。
「っあぅあぁあッッ!?」
 マキのあそこが、深々とえぐりこまれたシローのおちんちんにかき回され、前触れもなくぐるんっとねじられ、柔らかな襞が容赦なくかき混ぜられてしまいます。
 まだシローのおちんちんは硬く張り詰めたまま、少しも衰えることなどなく、深々とマキのおなかの中を貫いたままでした。それどころか、太く膨らんだ根元までがマキのおなかの中に挿入されているため、シローがたっぷり放った赤ちゃんの素は、マキのおなかの中をぱんぱんに膨らませています。
 その上でなお、一番敏感な場所で、しっかりと身体を繋げたまま。シローは、マキのおなかの中で、おちんちんをグルンとねじり、ドリルのように回転させたのでした。
「ぁあぁあああああぅうぁっ!?」
 さっきまでの交わりで何度も何度も達してしまったマキが、その途方もない衝撃に耐えられるわけがありません。まるで天地が逆転したかのように、ぞるるるっ、と歪に変形したシローのおちんちんで、おなかの中を穿るようにの捻られて、マキは悲鳴を上げてしまいます。
「ぁ、っふっ、あぅ…っ!? や、だ、だめ……ッ」
 さっきまでベッドに押し付けられていた腰が、今度はシローに力強く引っ張られ、上下に激しく揺さぶられます。
「ぁぅ、あっ、かはっ……ぁっ、あ、あッ!?」
 身体が内側からひっくり返って、おなかのなかのものが残らず掻き出されてしまうかのよう。シローと繋がったまま、ベッドの上を引きずられそうになって、マキの頭は真っ白になってしまいます。
「だめ、ッ、シロー!? い、ひぁ、ぁ。、な、なに…これっ!? うぁ、ぁ、だっだめッ、だめ!! 引っ張っちゃだめぇ……っ!!!?」
 マキはたまらず背中を捻り、シローの腰をつかもうと手をのばします。
 しかし、シローはマキの言うことなどまったく聞かず、しっかりとおちんちんをマキのおなかに食い込ませたまま、毛布に四肢をふかぶかと食い込ませて力強く床を踏みしめます。
 狭いおなかの中で大きく膨らんだままのおちんちんを、そのまま引き抜かれそうになり、マキはのけ反りました。同時に、マキのあそこは反射的にきゅううっっ、と今日一番の締め付けを見せます。
 それに大きく息を荒げ、シローは繋がりあったふたりの結合部分から、さらにどぱぁっと、大量すぎるくらい大量に、マキの中に赤ちゃんのもとを注ぎ始めました。
「……な、なに、これ……っ…ふぁあああぅ!?」
 これまでの射精なんか、とても比べ物になりません。マキのおなかの奥で熱い濁流が溢れ、たちまちそれがおヘソのほうへとせり上がってゆきます。
「やぁ、あそこ、裂けちゃうぅ……し、しろーのおちんちん、な、なかで、ひっかかってッ……るん……ひぅぅううぅっ!? やぁ、だめ、だめ、シローっ!! だ、出さないでッ、もう出さないでよぉっ……ぉ、おなか、ヘンになっちゃうっ!?」
 シローとのえっちでも経験したことのない、初めての感覚に、マキはすっかり混乱し――我を失っていました。
 けれど。これが、ドッキングと呼ばれる、シローの本当のえっちの方法なのです。
 大好きなパートナーがちゃんと妊娠できるように、シローは大きく膨らんだおちんちんを女の子の身体の奥深くまで押し込んで、ありったけの赤ちゃんのもとをマキの胎内に注ぎ込んでゆくのです。
 つまり――これはシローが、マキの想いに。
 いっぱいの『だいすき』に。答えようとする証しなのでした。
「お、おなか……っ、ば、爆発しちゃうよぉ……っ!! ……あ、やっ、……だ、ダメぇっ!!! もうだめ、もう入らないぃ……っ!!」
 これまで、マキはシローのおちんちんを根本の瘤まで身体の中に迎え入れたことはあっても、そのまま繋がりつづけることはなく、えっちが終わればシローとちゃんと離れることにしていました。
 マキの知っているえっちの方法というのは、保健体育の授業や、えっちな本で知った、おんなのこのおなかの中におとこのこがおちんちんを入れて、激しく動かして前後させ、射精する――そういうものです。
 ですから、まさかシローがマキの上から離れた後こそが、ほんとうの本番であるなどということは、まったく知らなかったのです。
「あ、あぅ、あぐ、あぁう、あふ、あ!!」
 毛布の上にうつ伏せになったまま、おなかをシローのおちんちんで深々と貫かれ、マキは全身に鳥肌を浮かべたまま、まったく身動きが取れませんでした。
 びくびくと震え、根元の瘤をぱんぱんに膨らませたシローのおちんちんは、いつものように抜けてしまうことなく、小さなおなかの中にあきれるほど大きく膨張し、しっかりと繋がり合って、マキを逃しません。
 マキの小さくすぼまったお尻の孔も、ぱくぱくと小さく膨らんでは透明な粘液をこぼし、シローのおちんちんの形に内側から押し潰されていきます。
「わぉおおおおおおん……っ!!」
 シローはうっとりと目を細めながら、そんなマキの胎内に赤ちゃんのもとを注ぎつづけました。焼けるように熱いシローの精液が、もう入る場所などないはずの狭い孔の奥、びゅーっ、びゅーっとマキのおなかの一番奥に浴びせ掛けられます。
 どく、どく、どぷ、どぷ。
「ぁあう、あっ、あ……ぁ」
 マキの胎内は、シローが吐きだし続ける赤ちゃんのもとでたぷたぷと揺れ、細いおなかはふっくらと膨らみ始めていました。まるで本当に、一足先にシローの赤ちゃんを妊娠してしまったかのようです。
 いつしかマキは、身動きのできない身体を見下ろすように、うっとりとその感覚を楽しんでいました。シローはマキの願いに答えるため、シローのやりかたで、マキを最後まで気持ちよくさせようとしていてくれたのです。
 シローが呆れるくらいに吐き出し続ける赤ちゃんのもと詰まってゆくにつれ、普段は意識することもないような、赤ちゃんのための揺り篭――子宮のカタチがはっきりとおなかのなかに感じられました。
 シローの旺盛な生命の分身は、今この瞬間にもマキの熱く疼く子宮を満たし、その奥の未熟な卵を隙間なく包囲し、おなかのなかを徹底的に蹂躙しているのです。
「んぅうううぁああっ!?」
 がくん、と揺さぶられたマキのあそこから、ぷしゅぅと激しく熱い液体が吹き出しました。身体中が、おなかの内側から裏返ってしまいそうです。
「わおんっ!!」
 シローが再度脚を踏ん張って、前進を再開します。けれどマキとシローは相変わらずしっかり繋がりあったままですから、マキはそのまま引きずられていくしかありません。がくがくと痙攣する手足は言うことをきかず、マキはもう毛布を掴んで抵抗することもできませんでした。
 ぬるぬるぐちゃぐちゃになった毛布の上をぐりぐりと引きずられながら、びくん、びくんとシローが脚を踏ん張るたびに、マキはまるで獣のように、甘い甘い声を上げるだけででした。
「ぁふぁああああ、ぁふ、ああぅあ、ぁああ!?」
 どくどくどくっ、とまるで心臓が動いてきたように、マキのおなかの奥が脈動します。
 特濃の赤ちゃんミルクは凄まじい勢いで、まるでいつだったか、マキがシローにおっぱいを飲ませてあげなかったことの仕返しのようでした。おっぱいが出ないなら、マキを妊娠させて、ちゃんとおっぱいが出るようにしてあげようというかのようです。
「あ、あ、あぁ、だめ、しろー、もうだめ、、あ、あたし……ッ」
 マキを繋げたまま遮二無二前進するシローに引っ張られ、ついにマキは縁側から半分ほど、身体を引きずりおろされてしまいます。
 毛布の上にべちゃり、と腰を沈ませたマキは、もう何も考えられません。ただただ、おなかを膨らませるシローの赤ちゃんのもとだけが、どろどろと凝って固まり、マキを塗り潰していきます。
「ぁあああああああぅあぁあああ!?」
 シローがさらに前に一歩、脚を踏ん張らせました。
 さらにすさまじい勢いで赤ちゃんミルクがどくどくと注ぎこまれ、とうとう限界を迎えたマキの身体から溢れ出します。がっちり繋がり合っていたシローとマキの接合部分から、じわじわと白く、行き場をなくしたどろどろの液があふれていきます。
(あ、あぁ、あっ、あっ)
「――――――――――ッッ!?」
 同時に、ごぽりっと音を立て、沼地から無理やり脚を引き抜くみたいに、シローのおちんちんが、マキの柔孔からとうとう抜けだします。
 がっちり絡み合っていた接合部分が外れ、まるでおなかの中身をもぎ取られるような衝撃に、マキは悲鳴を上げて毛布にしがみ付きました。
 ひっくり返ったあそこは、シローのおちんちんのカタチのままぱっくりと開き、ごぴゅるるっ、とおなかの中にたまった白い塊を勢いよく吹き出します。
 それはまるで、一足早く赤ちゃんが生まれてきたかのようでした。
「あ……ぅ……」
 マキは何度も何度も身体を痙攣させ、未体験の衝撃に身体を震わせ続けました。こんどこそおなかに突き刺さっていた熱い肉の塊から解放され、ぐったりと疲れ切ってもう一度意識を失ってしまいます。
 小さな身体からは力が抜け、強張っていた手足からはゆっくりと緊張が抜けてゆきます。
 その、最後の一瞬。
 マキは、はっきりと感じたのです。女の子が生命をはぐくみ、育てるいちばん大切な場所。そこに殺到するシローの分身が、マキのおなかの作り出した『タマゴ』の場所まで届く、その瞬間と。
 ぷちり、とタマゴに突き刺さったシローの赤ちゃんのもとが、なによりもしっかりと結びつくのを。
(シロー……っ♪)
 くるりと暗転する視界の中、ゆっくりと眠りの中に沈んでゆくそんなマキの側に、シローはくるりと顔を寄せ、どろどろに汚れた顔を舌でぺろぺろと綺麗にしてあげようとします。
 まだまだおちんちんは大きく膨らんでいましたが、そこには荒々しい獣の欲望は少しもありません。むしろ、愛する相手を思いやるような優しげなしぐさでした。
「わおんっ」
 まるで『がんばったね』と言わんばかりのその様子は、目をとじたマキにも確かに伝わっていたことでしょう。
 どこか嬉しそうに目を細め、シローはマキの頬をいつまでもいとおしげに舐めるのでした。



 ◆ ◆ ◆



 ごうん、ごうん、と洗濯機の音を聞きながら、マキはほうっと息を吐きます。暖かいお湯が、疲れきった身体を包み込み、伸ばした手足をじんわりとほぐしていきます。
 お風呂の天井からぽたりと雫が落ちて、湯船の水面を揺らしました。
「もぉ……あんなにいっぱい出すんだもん……びっくりしちゃうよ?」
 シローのおちんちんが深く刺さっていたおなかをそっと撫でて、マキはシローに言いました。本当に壊れてしまうかもしれない、と思っていたはずなのに、マキのそこはだいぶ平静を取り戻しています。もちろん、まだ涙が出るくらいじんじんと痛かったのですが――
「……ねえ、シロー?」
「……わぅ」
 頭からお湯を浴びたシローは、けれどどこか神妙に、マキの側におとなしくちょこんと座っていました。
「ホントに……死んじゃうかと思ったんだから……」
「くぅん……」
 ごめんなさい、と頭を下げているシローは、いたずらを叱られているときとそっくりで、大きな身体なのにやっぱり子供みたいに見えました。
「…はあ。シローってば」
 マキは、そっとお湯から上がると、洗い場のシローにそっと抱きついて囁きます。
 濡れた毛皮がぺとりと肌にくっつくのはあまり気持ちよくはありませんが、シローの体温を直接感じられて、マキは胸が熱くなるのがわかりました。
「シローは、……お嫁さんできたら、どこかにいっちゃう?」
「あぉん?」
 よくわからない、と首を振ってみせるシロー。察しの悪いパートナーの鈍感さにちょっと文句を言いたくなりながらも、マキはそのまま先を続けることにします。
「だから、……あたしじゃなくて、ちゃんとした犬のお嫁さんができたら、あたしのことなんか、シローは忘れちゃう?」
 今年のおじいちゃんの家への帰省は、シローのことを話すためでもあったのです。マキのお父さんとお母さんは、おじいちゃんの家で――シローのお嫁さんの話を始めたのでした。
 マキのお父さんは、春には転勤っすることが決まっており、マキもいっしょに遠くの学校に転校することになっています。そこにはシローを飼っておけるような庭がなくて、だからシローは一緒にいけないということでした。ですから、おじいちゃんの家へ行く途中の車の中で、パパとママは、『やっぱり、シローにもわかるのかな?』と、どこかさびしそうに言っていました。
「シロー。どう思う?」
 もし本当にお父さんたちがその気になったら、今すぐにでもシローとお別れをしなければならないことを、マキは知っていました。
 ぎゅっと、小さな身体をぴったりとくっつけて。マキはシローにもう一度、囁きかけます。
 もちろん、シローの答えは、決まっていました。
「わんっ、わぅ、わおんっ!!」
「あは……ありがと、シロー」
 力強く吼えるシローに、マキの頬をひとすじ、涙がこぼれました。

 ――どんなことがあっても、ずっと、いっしょ。

 シローはためらうことなく、そう答えてくれたのです。
 ぺしゃんと洗い場の床に腰を下ろしたまま、マキは切ない胸の高鳴りのまま、シローをぎゅうっと抱きしめました。
 そして、ゆっくり、話し出します。
「あのね、シロー。……あたし、本当に、シローのあかちゃん……おなかに、いるかもしれないんだ……」
 今月、マキちゃんの『お月さま』はとうとうやってきませんでした。
 これはマキも知らないことですが、たとえ犬と人間であっても、ちゃんと精子と卵子は受精しますし、受精卵は子宮内膜に着床することもできるのです。
 そして、その間はもちろん、生理も止まることになります。
 だから、マキのおなかの中には、今この瞬間、確かにシローの赤ちゃんがいると言ってもいいでしょう。ふたりの赤ちゃんのタマゴを育てるため、マキの子宮はいまもうっすらと熱を保ちながら、いっしょうけんめい頑張っていました。
「だからね、シロー……」
 ひとならば十月十日。
 だったら――この、マキのおなかの中にひっそりと息づいた生命は、いったい、いつ産まれてくるのでしょうか。
「シロー、ずっといっしょだよ……」
「わぉんっ!!」
 そっと小さなおなかを撫でながら、マキはシローとキスを交わしました。
 いつかかならず、シローの赤ちゃんを産んであげる、と。そうかたく心に誓いながら。



 (了)

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シロフミ 2020/08/06 22:51

犬のお世話・その5

「……ね、シロー、わかる?」
 ソファーの上、シローをぎゅっと抱きしめながら、マキはシローの耳にだけ届くように、そっと囁きます。
「わんっ。わふっ」
 笑顔のマキにこたえるように、シローも嬉しそうに目を細め、ぐりぐりとマキのおなかに顔を押し付けてきました。
「わう?」
「えへへ。そうだよ?」
 くす、と笑顔を浮かべ、マキは答えます。
 シローにもちゃあんと伝わっているようでした。心の中にほわっとした温かさを覚え、マキはもう一度、シローの顔を抱き締めます。
「わぉん!」
 そんなマキを思いやるように、シローは舌をぺろんと伸ばし、そのおなかをぺろぺろと舐めてきました。
「ひゃう……っ!?」
 いきなり敏感なところを舐められて、くすぐったさに息を詰め、マキは笑い出しそうになってしまったのをぐっと唇を結んで声を堪えます。
「もぉ、シロー、びっくりするじゃないっ」
「わう?」
「わう、じゃないわよっ」
 ちょっと唇を尖らせて、マキはシローのあたまにぎゅっと手を載せました。リビングのソファーの上でじゃれあう二人を見て、パパたちは『本当に仲がいいねぇ、ふたりは』と笑っています。
 一か月ぶりにシローと逢えて、確かにマキも大喜びでした。でも、それだけではありません。
「もぉ。……みんなにはナイショなんだから。ね?」
 だから、マキはそっとシローの首に顔をうずめて、ひそひそ話をするように小さくつぶやきました。
 世界の誰にもないしょの、マキと、シローふたりだけのひみつを。
「……シローの赤ちゃんね、あたしのおなかにいるの♪ ……ちゃんと元気に育ってるよ。だから、あたしね、もうすぐママになるの」
 シローとのお別れが決まってから、マキはなんども、なんども、何度も何度も。シローと、いっぱい、いっぱい愛し合いました。
 シローは、一生懸命腰を振って、硬く大きく膨らんだおちんちんで、マキの小さなおなかの中に、なんどもなんども、何度も何度も溢れんばかりに、熱くて濃くてどろどろの、赤ちゃんのもとを注ぎ込んでくれました。
 マキも、なんどもなんども、気絶しそうになりながら、いっぱいいっぱい、シローをキモチ良くしてあげました。
 ですから、あれからもう一度も、マキの『お月さま』はやって来てはいません。
 マキの小さなタマゴと結びついた、シローのありったけの愛の証が、今も、マキのおなかの中で小さな鼓動となって、力強くとく、とく、と響いているのです。
「……シローも、もうすぐパパになるんだよ?」
 そう言うマキの笑顔は、シローと無邪気にじゃれあうときの少女のものでも、最愛のパートナーと精一杯身体を重ね合うときの『女の子』のものでもありませんでした。
 おなかに宿した小さな生命を守り、育てる――そんな決意を秘めた、穏やかで優しい笑顔でした。
「わんっ!!」
「あは。そうだねっ。……あたしも、シローも、いっぱいいっぱい、がんばったもんね……」
 思わず、マキは涙ぐんでしまいます。
 大好きなシローを、これからもずっとずっと、大好きでい続けることの証。そう誓ってキスを交わし合ったマキのおなかですくすくと育っているのは、まさにその愛の結晶なのですから。
「うん。あたし、がんばって、元気な赤ちゃん、産むからね……」
「わう!!」
 それが、マキがシローにずっとずっと伝えたかった言葉でした。
 新年になってマキが引っ越した先の新しいお家は、おじいちゃんの家とは随分離れていて、これまでみたいにお父さんもお母さんも、気軽に行ったり来たりできる場所ではありません。ですから、おじいちゃんの家に引き取られたシローとマキが会えるのも、これが初めてなのです。
 マキにはいっぱいいっぱい、シローに話したいことがありました。きっとそれはシローも同じのようでした。
「わう……わお、わんっ!!」
 力強く、シローが吼えます。甘えん坊でわんぱくだったシローも、しばらく見ないうちに頼もしいくらいに勇ましくなっていて、小さなママになろうとしているマキを体じゅうで励ましてくれます。
 それがマキにはとても、とても嬉しかったのでした。
「シロー……だいすきっ」
「わぉん!!」
 ぎゅうっと抱きしめあう小さなふたりを見ていたマキのパパやママたちは、本当にあの子達は仲が良いわねえ、と笑い合いました。
 まるできょうだいみたいよ、と言うマキのお母さん。小さな頃からいっしょだからなぁ、というマキのお父さん。目を細めるおじいちゃんとおばあちゃん。
 ……でも、そんなのはみんな的外れもいいところです。
 こんなにもお互いのことが大好きなふたりが、きょうだいなんかであるはずがありません。いまも、マキのおなかの中では、ふたりの愛の結晶が、すくすくと育っているのですから。
 シローは嬉しさに、尻尾を千切れそうなくらいにぶんぶんと振り回して、マキにぎゅうぎゅうと圧し掛かります。じゃれ付いているのだと分かってはいても、自分よりもずっと大きなシローに飛びつかれてはマキもたまりません。
「わおんっ!!」
「ちょっと、こらぁ、シローってばっ」
「ぁおんっ。わおん。わふ、ぐるるぅ!!」
 最近、だいぶ暖かくなってきて、ちょっと暑苦しそうなシローの冬毛は、それでもマキの大好きなもこもこ毛皮です。シローの匂いをいっぱいに吸い込んで、枯れ草の中に沈みこむような気分に、マキはそっと目を閉じます。
「もぉ……そんなに乱暴にしたら、赤ちゃんびっくりしちゃうよぉ……」
 そう言うと、まるでそれに答えるように、マキのおなかの中でもぴくりっと小さな動きがありました。
 白く小さなマキのおなかの中、パパとママの語らいに返事をするように、赤ちゃんがばたばたと動き出したのです。
「ぁんっ……」
 おなかの奥を、こつんと元気良く蹴飛ばされ、マキは思わず声を上げてしまいました。
 まだ服の上からではあまり目立ちませんが、お風呂に入ればマキのおなかはちいさくぽこんと膨らんでいます。わんぱくで悪戯好きなパパにそっくりの赤ちゃんは、マキのおなかの中で毎日のように暴れていました。
 それはたいてい、おなかがすいたという合図です。だからマキは、好き嫌いもせず、たくさんご飯を食べるようになりました。引っ越してから外で遊ぶことは減ったわりに、ご飯をおかわりばかりするようになったマキを、マキのパパとママはちょっとだけ不思議に思っていました。
「あは。シロー、赤ちゃんもね、パパに会えて嬉しいって言ってるよ?」
「わう?」
「わかるよ。あたし、ママだもん♪」
 どうしてと首を傾げるシローに、マキはちゃんと説明してあげます。
 おなかの中の赤ちゃんは、ヘソの緒というものでママと繋がっているのです。ですからそこを通じて、おなかの中にいる赤ちゃんとマキははっきりと心が通じ合うのでした。
 いまも、マキにはヘソの緒を通して、赤ちゃんの気持ちが伝わってきます。
「シロー、だいすき……」
「わぅ……」
 パパたちが見ていないのをちらりと確認すると、マキはそっとシローの口に、自分の唇を当てました。
 前のお家ではどんなときでも、ずうっと一緒だったシローに毎日会えないのはとても寂しくて、辛い事でした。
 でも、とマキは思います。いま、マキのおなかの中にはシローの赤ちゃんがいます。だから、自分は一人じゃない。どれだけ言葉にしても伝えきれない想いを伝えるために、マキはぎゅうっとシローを抱きしめます。
「シロー……っ」
 これからどんどんと、赤ちゃんは大きくなってゆくのでしょう。マキのおなかの奥、生命をはぐくむゆりかごの中で、生命の海に満ちた袋の中に包まれてすくすくと育つシローとマキの赤ちゃん。
 その光景を想像すると、胸がいっぱいになって、いとおしくなって、マキはそぉっと膨らんだおなかを撫でます。
「あは……♪」
 わぉん、というシローの吼え声にあわせて、こつんとおなかを蹴飛ばす赤ちゃん。
 その息の合い方がなんだかおかしくて、マキはくすっと笑いました。
 わんぱくなパパと、可愛らしいママは、もういちど優しくキスを繰り返します。そんな幸せなふたりに見守られながら、赤ちゃんはマキのおなかの中の、穏やかなゆりかごに揺られて、また元気に動くのでした。










 ……ここをお読みの皆さんは、想像妊娠、という言葉をしっていますか?
 女の子が、ほんとうは赤ちゃんができていないのに、いろいろな理由でそう思い込んでしまって、実際に身体が赤ちゃんができたときのような反応を示してしまうというものです。
 なかには本当に、おなかのなかで赤ちゃんが動くのを感じてしまったり、他のひとにもそう思わせてしまうことまであるそうです。

 これまで何度も繰り返したように、イヌと人との間で、赤ちゃんが産まれることはありません。たとえ受精が起きて、赤ちゃんの素と、おんなのこのタマゴが結びついたとしても、それが人間の女の子のおなかの中で育つことは決してないのです。
 ですから、このお話の中で、マキのおなかのなかに赤ちゃんがいることはなく、マキがシローの赤ちゃんを産んであげられることは、悲しいことですけれど、絶対にありえません。

 ですから――
 ここから先は、マキの夢。ぜんぶ、ぜんぶ夢。
 何が起きても、どうなっても、夢なのです。

 ……そういうことに、しておきましょう。










「はぁ、はぁっ、はぁっ……んッ…!!!」
 閉ざされたカーテンの隙間から、明るい春の陽射しが差し込んでいます。もうすぐお昼が近いというのに、薄暗い部屋の中には、途切れることなく、切羽詰った少女の吐息が響いています。
 厳重に閉じられた鍵は、誰にもこの場所を侵させないという決意の表れのようでした。
 もっとも――引越して以来、忙しくなってしまったマキのパパとママは、今日も朝早くから出掛けていて、一人お留守番のマキ以外は、誰も家にはいません。
「はぁ、はぁ、はぁっ……」
 もっとも、もうお昼前になろうというのにダイニングにはさめた朝ごはんが手を付けられないまま並び、当のマキはずっと自分の部屋の中に閉じこもっているのを知れば、さすがにマキのパパたちも顔色を変えることでしょう。
「はあっ……ふ、ふうっ、っふ、っ……」
 堅く閉じられた子供部屋の中には、サウナのような熱気が立ち込めています。
 まだ新しいベッドの上は、まるで洪水のようにぐっしょりと湿っていました。シーツどころかマットレスまでたっぷりと濡らすそれは、おもらしなどではなく、もっとぬるぬると熱い液体です。
 その上で、大きめのパジャマの上だけを羽織った格好で、マキは荒い息に肩を上下させていました。そのパジャマも、いまやおへその上まで大きく捲れ、マキの腰から下は丸裸でした。
 剥き出しの太腿はすっかり汗を浮かべ、白い肌を覗かせています。赤い顔はしっとりと汗ばみ、マキの目元にはうっすらと涙さえ滲んでいます。
 小さな手のひらがシーツを掴み、ぎゅうっと引っ張るたび、汗に湿ったシーツが引き絞られて波打ちます。
「ふうっ、ふぅー、っ、っはあっ……」
 苦しい呼吸を繰り返し、なんとか息を整えようとするマキですが、それもままならないほどに全身が疲れてきっていました。
 夜中から始まって、いままで。もう十時間以上も、マキはずっとずっと、一人で戦っていたのです。
「んぅっ……!!」
 ハダカの下半身の、脚の付け根からおヘソの上、マキのちいちゃな胸のすぐ下までが、ふっくらとまあるく膨らんでいます。しなやかな手足とはアンバランスなおなかの膨らみは、確かに人間の赤ちゃんに比べてしまえばさほど大きなものではありません。
 けれど、マキにとっては何もかもが初めての、一世一代の大仕事なのでした。
「ぁっ、んぅ……っ」
 桜も咲き、心地よい陽射しに溢れた穏やかなこの春の日に。
 すっかり大きく育ったマキとシローの赤ちゃんが、いよいよ産まれようとしていたのでした。



「っは、ふぅっ、……うぁあ、あああぅ」
 マキの腰から下は、じんわりと、熱い熱いお風呂にずっと浸かっていたときのように火照っていました。
 おトイレに行きたい感覚を何十倍にもしたような、おヘソの裏側でちりちりと焦げるような感触が、ぼうっとしたマキの頭の芯を炙っているようです。この感覚はもう一日近くも、引いては押し寄せ、押し寄せては引き戻し、絶え間なくマキの身体を包んでいました。
 同時に、じくん、じくんと波のようにおなかの奥が疼く、赤ちゃんが産まれようとしている合図は、マキにもしっかりと届いていました。
 およそ4ヶ月近くの間、その内側に小さな生命を大切に大切に抱いていた神秘の揺り篭が、とうとうその役割を終えようとしているのでした。
「んぅっ、っは、っく……はぁ、はあっ、はぁっ」
 ぞくん、ぞくん、と背筋を貫くような衝撃に、マキの小さな身体がびく、と硬直します。
 今度の『波』はなかなか引いてくれません。始まってからいったい何十分、いえ、いったい何時間が経ったのでしょうか。永遠にすら感じられる長い長い時間、マキはベッドの上で、ママになるための試練にじっと耐え続けていました。

 ぞるっ。ぞるるっ。

 マキのおなかのなかで、すくすくと大きくなった赤ちゃんは、もう狭くなってしまった揺り篭に押し込められているのは嫌だと、むずがるように暴れています。
 妊娠から3ヶ月を過ぎたあたりから、やんちゃな赤ちゃんは毎日しきりに動いて、早く外に出たいと訴え続けていました。それがいよいよ本格的なものになったのは、一週間ほど前からです。
 これまで身体の外側へ膨らんでいた揺り籠が、徐々にその重さに引かれるように地面のほう――脚の付け根のほうへと降りはじめたのでした。それと時を同じくして、マキはおなかの奥に、ちりちりとした熱のようなものを感じるようになりました。
 それが、赤ちゃんが産まれる準備を始めていたのだと気づいたのは、昨日のことです。
「うーっ、っは、っ、あぁ……んぁ……っ」
 ぎゅっと目を閉じて、マキはじんじんと疼くおなかを、そっと撫でます。
 これまではぽよん、と膨らんで、ふっくらまあるく柔らかかったおなかの膨らみは、時間を経るにつれどんどんと緊張に硬くなり、ますますずっしりと重く腰の上にのしかかっていました。
 加えて、昨日の夕方から続いているこのちりちりとした感覚。次第に波のように強弱をあらわにしてきたこの感覚にあわせ、まあるく膨らんだおなかの中の揺り籠は、ゆっくりゆっくりと時間をかけて、その形を変えていました。
 これまでマキの身体の中に納まっていた赤ちゃんが、出口へと向けて身体の向きを変え、頭を下に、脚を上にして、おなかの下の方へと降り始めているのでした。
 そして今も、ぞぞっ、ぞぞっ、と得体の知れない感覚が、マキの腰骨の奥を這い回っていました。シローと深く深く繋がり合ったときにも感じたことのなかった、身体の中心で、マキは確かにその脈動を感じ取ります。
 けれど、肝心のマキのほうはと言えば、まだ全然準備ができていません。

 ぞるっ、ぞるぅぅっ。びくっ。

「うぅっ……だめえ、勝手に動いちゃだめだよぉ……っ」
 はーっ、はーっ、と息を繰り返し、マキはおヘソの裏をごりごりと擦る赤ちゃんにおとなしくするように言い聞かせます。
 おなかの中の赤ちゃんをどうやって産めばいいのか。お家にあったむつしい百科辞典と、病気の治し方を書いた古い家庭の医学という本。それに、学校の図書館で保険の教科書をたっぷりと読んでべんきょうしたマキは、ママになるために知識をいっしょうけんめい思い出します。
(っ……まだ、まだ、だめ……っ)
 押しては引く焦げたようなおなかの中の疼きは、陣痛というそうでした。もともとは細い針がほんの少し通るほどしかない、小さな小さな揺り篭の出口を、大きな赤ちゃんが無事に通り抜けられるように、ほぐれて柔らかくなるまで、これは続くのです。
 それから、赤ちゃんを包んでいる膜が破れて、おなかの中の羊水という液が出てきます。そうなったら、いよいよ赤ちゃんを産むためにママが頑張る番でした。
 けれど、もう何時間も何時間も続いているのに、まだ全然、その様子がないのです。
(赤ちゃん。赤ちゃん、早く出てきてよぉ……っ)
 焦る心と共に、はやく赤ちゃんを産んでしまいたいと思う気持ちが合わさって、マキは大きく開いた脚の付け根に力を籠め、おもいきりいきんでしまいました。
「んっ、んんぅ……っ、はっっ……」
 ぐっとシーツを噛み締め、マキが息を詰めるたび、脚の付け根の大切なところがぱくぱくと口を開け、その奥にたわになったやわらかなひだひだをうごめかせます。
 けれど、いくらそうしてもマキのあそこは、くぱくぱっと蠢くばかりで、いっこうに赤ちゃんが産まれてくる様子はありません。
「んんぅ、ぅっ、んんんゅぅうーーーっ……!!」
 ぎゅっと捲り上げたパジャマの裾を掴む指が白くなるまで、強く強く力を篭めて、マキはおなかに力を込めます。
 けれど、あんなに動いて、外に出たがっている赤ちゃんは、なぜかおなかの中にとどまったまま、外に出てくる気配はありません。
「っは、はあ、はあっ、はあっ」
 ついに諦めて力をほどいたマキは荒くなった息を少しでも抑えようと、深呼吸を繰り返そうとしました。
「ふぁぅ……っ……ぁああああっ!?」
 けれど、今度はさっきまで静かにしていた赤ちゃんが勝手に動き出します。あそこからはくちゅ、くちゅと泡だった粘液がこぼれ、幼いつくりのあそこはきゅうっと伸び縮みを繰り返すのです。
 パパにそっくりの、やんちゃでわんぱくな赤ちゃんは、そんな小さなママの注意も聞かず、お外に行きたいと暴れます。パジャマの下でマキのおなかはゆっくりとカタチを変え、暴れる赤ちゃんの様子をはっきりと伝えるのでした。
「もぉ、い、いまはおとなしくしててってばぁ……っ」
 おなかの中の子宮がぽこんぽこんと蹴飛ばされ、小さなでずるずると、敏感な揺り篭の中を這い回られて、もうマキはすっかりくたくたでした。
 ぐったりと鉛のように重い手足を引きずって、マキはまた押し寄せてくる熱いうねりに唇を噛みます。
(っ……、)
 赤ちゃんが生まれるには、ママと赤ちゃんが力をあわせて一緒に頑張る必要がありました。でも、はじめて赤ちゃんを産むマキには、そのためにどうすればいいのかがなにも分からないのです。
 マキは赤ちゃんを産むため、いっしょうけんめいいきもうとするのですが、一方で赤ちゃんが産まれてこようとして身体の向きを変えるので、その刺激に腰が崩れてうまく力を入れられないのです。
「んっ、んんんぅーーーっ!!」
 どうしていいのかわからずに、マキはなんども、なんども、赤ちゃんが出てこれるようにいきむのを繰り返しました。
 けれどやっぱり結果は同じ。
 ママと赤ちゃんのすることがちぐはぐにかみ合わないままでは、はじめての出産という大仕事は、とても終わるはずがないのです。
 赤ちゃんの動きが本格的になったのは昨日の夜になってからですが、もう一日近くも延々とそれが続いているせいで、マキの腰から下はふにゃふにゃに蕩けてしまっていました。
「――……っ、」
 かすれた喉が、小さく吐息を繰り返します。
「……、シロー…………っ」
 いま、一番傍にいて欲しい相手の姿は、マキの隣にはありませんでした。
 ママになろうと必死に頑張るマキの、おなかの中の赤ちゃんのお父さん。そして、マキが世界で一番だいすきな、だんなさま。
 けれど、シローはずっとずっと遠くの、おじいちゃんの家に引き取られたままなのです。どんなにマキが願っても、ここに来てくれることはないのです。
 終わる気配を見せない初めての出産という大仕事。胸の中にわだかまる不安を掻き消すように、マキはベッドの隣にちょこんと座る、大きなぬいぐるみを見上げます。
 丸いボタンの両目をした、どこか愉快な表情をしたぬいぐるみは、真っ白な毛皮のイヌのぬいぐるみ。
 名前も『シロー』と言いました。お引越しをして、ずうっと一緒だったシローと離れ離れになったマキが、寂しくないようにと、パパが買ってきてくれたぬいぐるみでした。
(あたし、頑張る、からねっ……)
 その『シロー』の前脚にぎゅっと手を重ね、もうかたっぽのシーツを握る手に力を込めて、マキはぐっとおなかに力を入れていきみます。
「んぅっ……ふぅ、んんーーっ……っ!!」
 くちゅりと蜜をこぼしたあそこがぱっくりと開いて、マキのおなかの内側の色を覗かせます。とろとろとこぼれる蜜は白っぽく濁り、マキのお尻の下をぬかるみの大洪水にしていました。
 シローといっぱいいっぱいえっちをする時にだって、こうはなりません。きつく狭く、曲がりくねったマキのあそこが、大切な相手を受け入れるのとは別の、もうひとつの大事な役割を果たそうとしているのです。
 長い長い時間を掛けて、本当なら指一本入るのだってやっとのマキのあそこは、柔らかく伸び、カタチを変えて、おなかの中の赤ちゃんのための出口をつくっている最中でした。
「……っ、っは、はあっ、んうっ……はぁ、はぁーっ……」
(あ、あたしが、ちゃんと、頑張って、あげなきゃ……いけないんだから……っ、や、約束、シローと、約束したんだから……っ)
 目を閉じ、顔を真っ赤にしていきむたび、マキのそこはぷちゅぷちゅと蜜を吹き上げます。それをじっと見下ろす『シロー』のつぶらな瞳を見上げ、マキはぐっと奥歯を噛み締めます。
 きっとこの声が、シローのもとに届くように。その瞬間が、シローによぉく見えるように。マキはおおきく膨らんだおなかをそっと撫で、パジャマの上着を捲り上げます。
 めいっぱい広げられた両足の間で、マキの大切なところはすっかり薄赤く充血して、綺麗なお花のように、ほころんだひだひだを重なり合わせながら覗かせています。
 その奥の奥、ねとりとした粘液を溢れさせるその奥で、赤ちゃんをそっと包み、たぷたぷとぬめる液を満たしている膜が、じょじょに引き伸ばされ始めていました。
「ぁあっ、くぅぅっ……」
 そうです。赤ちゃんだって、産まれたくないわけがないのです。
 何日か前にはもう少し高い位置にあったおなかの膨らみは、腰骨の上から滑り落ちるように、脚の付け根――おなかの下の方へと、ゆっくりゆっくり下降を始めています。赤ちゃんがマキのおなかの中の揺り篭から、その出口へと進んでいるのです。
 すこしずつ、すこしずつ、赤ちゃんは産まれようとしています。
 でも、それはあまりにゆっくりで、もどかしすぎて、マキには永遠にそのときが来ないんじゃないかと思えるほどでした。だからマキはたまらずに、まだ準備が終わっていないのに、いきんでしまうのです。
「ふぅ、んぅぁぅぅあ……っ」
 おなかのなかでひっきりなしに動き回る赤ちゃんも、一生懸命いきみ続けるマキも、新しい生命を少しでも早く産み落とそうと懸命です。
 けれど、まだほんの小さなマキの身体も、初めて産まれてくる赤ちゃんも、分からないことだらけでそれをうまく伝え合えず、かみ合わずにいるのでした。
「……シローっ……」
 マキはたまらずに、すぐ傍でじっと手を繋いでくれている『シロー』を引き寄せ、ぎゅうっときつく抱きしめます。
「シロー、見てて……っ、あたし、頑張って、いっぱい頑張って、元気な赤ちゃん、産むからねっ、ちゃんと、ママに、なるんだからねっ……!!」
 小さな身体を軋ませる、うねる波のような衝撃の隙間、荒くなった息を辛うじて繋ぎながら、マキは『シロー』の身体に腕を回し、健気に語りかけます。
 ぬいぐるみの『シロー』も、どこか野原に似た優しい匂いをさせて、押し付けたマキの顔をそっと包み込みます。
 そうすることで、マキはまるで本物のシローに励まされているような気がしました。マキはそうやって、くじけそうになる心を、そうやっていっしょうけんめい奮い立たせるのでした。
「あたしと、シローの、赤ちゃんなんだから、……っ!!」
 ふたりが、何度も何度も、愛し合ったその証。大好きなシローの赤ちゃん。そう思うたび、どこからか途方もない愛しさがこみ上げてきて、マキの小さな胸はもうはちきれてしまいそうでした。
 いったんは挫けそうになってしまった心の奥から、湧き上がる歓びと元気が、疲れきったマキの身体にまた活力を与えてくれるのです。
 そして実際に、わずかに膨らんだマキの胸のふくらみの先端からは、じわりと白いおっぱいが滲んでました。パジャマを内側から汚しているそれは、大切な赤ちゃんにあげるためのものです。
 そう、新しい生命をはぐくみ育てるための準備は、小さなママの内側で、ちゃあんと進んでいるのです。
「ふぁああ……ッ!?」
 びくん! とマキが背筋を仰け反らせます。抱きしめた『シロー』を抱える腕に強い力がこもりました。
 マキの膨らんだおなかがゆっくりと動き、脚の間からさらにその下へと、その場所を変えていきました。おなかの中で赤ちゃんを抱きとめていたゆりかごが、ぎゅうっとカタチを変えて、赤ちゃんを外に出す手助けをはじめたのです。
 それは、とうとうマキの身体の準備が終わり始めた証拠でした。
 マキのおなかの膨らんだ部分はゆっくりと脚の付け根に向かって進み、そこは内側から盛り上がるように、じょじょに膨らんでいきました。
 おなかの中の小さな生命は、幼いママの息遣いに合わせて、いっしょうけんめい脚の付け根にある、小さな小さなゆりかごの出口へ進もうとしているのです。
 マキのおヘソの裏の、ちりちりという感覚が強くなります。三十秒に一回だった波が、二十秒に一回になり、炙るようなとろ火から、焦げるほどの強火へと。
「あ、あっ、あ、あっ、あ、あっ」
 マキは仰け反るようにして、その瞬間を感じ取っていました。おなかの中に焼けた鉄を飲み込まされたように、その熱はどんどん大きくなっていきます。
 そして、
「ふわぁぁああああっ!!!?」
 よりいっそう高く大きな声が、マキの喉を貫きます。これまでのいきみで感じたものとはまったくべつの、強い洪水のような力強いうねりが、マキの腰を、またたくまに塗りつぶしてゆきます。
 まるで杭か何かに貫かれたみたいに、深く、激しく。マキの頭のてっぺんまでを、衝撃が走り抜けてゆくのです。
 ひときわ大きく、おなかの膨らみが蠢き、マキの脚の付け根、ちょうどおまたの合わせ目の部分が、なにかに押し上げられるようにぐうっとせり上がってゆきます。
「あ、ぁ、ああ、ぁああっ!?」
(っ、あ、き、きたっ、赤ちゃん、あかちゃん、きてるっ……!?)
 大きな大きな熱い塊が。ずんっ、とマキの腰を貫きます。
 くちゅ、と広がったまきのあそこの奥。細い出口の中に引き伸ばされ、引っ張られ、とうとう耐え切れなくなった赤ちゃんを包む膜が、ぱちんと弾けました。

 ばちゃぁっ、びゅ、びゅるるっ!!

 堰を切ったように迸る、大量のぬめる粘液。ひっくり返ったように開かれたマキのあそこからどばっと液が溢れてゆきます。
 ぬかるんだベッドの上にあふれた生命の洪水は、ばちゃりと音を立てるほどの、愛のスープの海をつくりあげました。
「っぅうぁあああああっ、っんゅぅ、ぁあぅぅぅぅ!!!」
 破水です。
 はじけた羊膜の中から、赤ちゃんを包んでいた袋が破れ、赤ちゃんを大事に大事に守っていた卵胞の粘液が流れ出したのです。
 いよいよ、マキの出産が最後の段階に入ったことを示すものでした。
「ぁ、あっ、あ。あぁ、あぁっ」
 凄まじい圧迫力と共に、マキの腰がきしみます。脚をバタつかせ、下半身をのたうたせ、マキは懸命に叫びました。
 からだが内側から引き裂かれてしまいそうです。大人の女のひとですら、赤ちゃんの通り道はぎりぎり大きさなのですから、ましてまだ小さなマキのそこは、赤ちゃんが無事通り抜けるのには狭すぎるほどでした。
 本当なら、骨が軋んで肉が裂けて、とてもマキの身体には耐えられないだろう、大きな負担です。
 けれど。マキは苦しみや痛み、そんなものをいっさい感じてはいませんでした。
「っふ、ぁぅぁああああ!? ぅ、あ、あ、ぁぁあっ!!?」
(っ、う、産まれる、産まれぅ、赤ちゃん、産まれるよおっ……♪)
 ぼんやりとした意識の向こうで、マキの女の子の心が、はじめての『ママ』になる悦びにうち震えています。
 大好きなひとと愛を交わし、生命を繋ぎ、新しい命をはぐくみ産み落とす――それは、どんな女の子にも備わった、いちばん大切な想いなのです。そんな愛でいっぱいのマキには、痛みなんて届くわけがありません。
 ぬいぐるみの『シロー』の見ている前で、破水と共にマキのおなかの中の赤ちゃんの動きはますます激しいものになっていきました。
 元気いっぱいの赤ちゃんは小さな身体を精一杯踏ん張って、おなかの中を進んでゆきます。
 ときおり、ぎくんと緊張して、マキの下半身が強張ります。大きく内側から盛り上がって押し上げられた脚の付け根の部分からはじゅるじゅると、半透明の粘液が溢れ、滲んだ血がかすかにピンク色をした雫をシーツの上に飛び散らせます。
 その間から、ゆっくりと――赤ちゃんのいるゆりかごの出口が見えてきます。
 そのゆりかごの出口、くぱり、と開いたやわらかいひだひだの奥から、細くて狭いマキの孔の中を押し広げ、破れたぬるぬるの膜に包まれて、熱く大きな塊がぐうっとせりだしてきました。
 ちりちりとおヘソの裏側を擦るようにして、ぐりぐりと身体をねじり、確かに息づく生命が、ゆっくりとマキのおなかの奥から外に出て行こうとしています。
「ぁああああっ、あくぅっ!!」
 だいすきなシローのおちんちんを精一杯受け止めて、言葉にできないほどの快感をもたらし、余すところなくあかちゃんの素のを絞り取るための、えっちでいやらしい『おんなのこ』の器官は、いまやもう一つの大切な役割である、尊くて神聖な、生命誕生のためにその全力を注いでいました。
「ぁああうぅぁあっっ!!!?」
 またマキが声を上げると、丸い爪の生えた毛むくじゃらの前脚が、ぢゅぷり、と音を立ててマキの柔らかな孔から飛び出します。
 小さな小さな前脚は、びく、びくともがくように暴れ、マキのおなかの中からがら這い出そうとします。
「ふぅっっ、はあっ、んううぅぅぅっ……!! んくぅっ……」
 ぜいぜいと息を荒げ、『シロー』の首筋に歯を立て、噛み付きながら、マキはけんめいに赤ちゃんを産み落とすために下腹部に力を込め、ありったけのちからでいきみます。
 おなかの中の赤ちゃんも、狭い出口をくぐりぬけようと、必死になってもがいていました。マキのおなかの内側を激しく蹴り上げ、子宮の中にぐうっと脚を踏ん張ります。小さな小さな身体をせいいっぱいのたうたせて、細く柔らかなひだひだが重なり合う道を通り抜け、ママのおなかの外へと這い出そうとしているのでした。
「ぅあ、ぐ、ぅ、あああぅ、あ、あああっ!!」
 けれど何もかもはじめてのことばかり。初心者ママのマキはしゃにむにおなかに力を入れ、首を振りたてて呻きます。本当なら痛いとか苦しいとか、そんな気持ちのはずなのに、赤ちゃんの産みかたを勉強して読んだ本にはそう書いてあったのに、マキの頬にはなぜだか、後から後から涙が溢れて、ぼんやりと視界が歪んでゆくのでした。
 新しい生命が誕生するということは、とても素敵で、すばらしいものなのだということを、マキは知りました。
 おなかの中の赤ちゃんも、マキと一緒に、ひたすらに、懸命に頑張っているのです。その様子が、とくんとくんと高まる赤ちゃんの鼓動とともに伝わってきて、マキを励まします。
 なによりも愛しく大切に思うパートナーの赤ちゃんを、誰よりも好きなひとの生命を受け止めて、それを次の世代に繋いでゆく。
 それは、女の子として、生涯最大の歓びなのです。
「ぁああうぅ、くぅあ、ふわぁああああああああぅう!!!!」
 いちど、おなかの外に姿を見せてから、いったん奥に引っ込んで、また外へ。それを繰り返しながら、少しずつ、すこしずつ。赤ちゃんの顔が外に出てきます。それを見る余裕もないまま、マキはなんどもなんどもシローの名前を、赤ちゃんのことを呼びました。
(ぁ、赤ちゃん産んでるっ……あたし、シローの赤ちゃんっ……!! シローの赤ちゃんの、ママになるんだよ……っ!! シローっ、しろぉ、見て、見ててぇ……っ!!)
 しなやかな身体を弓のように仰け反らせて、マキはきつくきつく抱きしめたふかふかの『シロー』の毛皮に顔を埋め、息を止めておなかに力を入れます。

 ぶちゅっ、くちゅっ、ぢゅぶっ。

 全身を使ってのはげしいいきみにあわせて、ゆりかごがぎゅうっと押し潰され、狭く細い、子宮の出口が思い切りこじ開けられます。
 まるで、身体をまっすぐに貫くほどの、圧倒的な衝撃でした。
 マキの身体を端から端まで突き抜ける、灼熱の鼓動。あそこのすぐ真上のまで達していた下腹部の膨らみが、ゆっくりと、マキの大きく広げられた脚の付け根の、さらに先端のほうへと動いてゆきます。
「か、あぁ、は……っ!?」
 頭が真っ白に塗りつぶされて、息が止まります。全速回転で跳ね続ける心臓まで、一緒に止まってしまったかのようでした。
 音も聞こえず、何も見えない真っ白な世界の中で、マキは一心に念じていました。

(こわがらなくていいよ。……うまれて、きて……っ。
 ママが、ちゃんと、うんであげるから…っ)

 まるで、溶岩の塊が、おなかの奥からせり上がってくるかのよう。
 長い長い時間を掛けて少しずつ柔らかくなったマキのあそこは、ひっくり返るように大きくめくれ上がり、反り返ってゆきます。
 同時にぐちゅり、と大量の粘液がベッドの上に溢れました。
 たったいままでマキのおなかの中にあった生命のスープが、ぱちゃりと広がるその上で、マキの可愛らしいおしりの孔はいきみに従ってきゅうっとすぼまり、そのすぐ上では生きよう、産まれようともがく小さな生命が、さかんに小さな前脚をばたつかせています。
 ぱくりと反り返って拡がった、あそこの出口。そのさらに奥に覗いたまぁるい子宮口を押し広げ、びくびくと裏返らせながら、粘液にぬめる毛むくじゃらの身体が、ぞりゅるるるっと滑り出してきます。
 妊娠4ヶ月という期間を経て、マキのおなかの中で大きく育った赤ちゃんの身体は、こんどこそ奥に引っ込むことはなく、マキの内腿の付け根の間から、しっかりと顔を覗かせました。
「ふ、……ぁ……は……っ!!!」
 まるで身体の中身の、内臓そのものがごぼっと形を保ったままで外に引きずられてゆくような感触でした。
 とほうもなく熱くて大きな塊が、おんなのこの中心を引き裂いていくかのようです。
 それは同時に、4ヶ月にも渡っておなかの中で共に時間を過ごしてきた赤ちゃんが、とうとうママの身体と離れて、ひとつの生命として生きることを決断する瞬間でもありました。
 どれだけ言葉を尽くしても語りきれようはずもない、溢れんばかりの歓びは、マキの全身を穏やかに、激しく、とめどなく包み込んでゆきます。
「あ、あ……っ♪、あ、あぅ……」
 ぞるっ、ずるっ、ずるるぅっ、と。
 粘液にまみれた肩を引き出すように、赤ちゃんがもがきます。もう、赤ちゃんを遮るものはありません。元気な赤ちゃんは、力強くも何度もぴくぴくと動きながら、マキのおなかの中から這い出してゆきました。
 熱く小さな塊がぢゅぽんっ、と身体の奥から引き抜かれたかと思うと、ばちゃり、後に残った後ろ足を羊水の水溜りに投げ出して、毛皮に包まれた仔犬が、マキの大きく広げた脚の間に産まれ落ちました。
「ぁは………♪」
 まだ、とてもちいちゃな赤ちゃん。たった今までおなかの中にいたとは思えないほど、元気いっぱいに暴れる新しい生命が、ばちゃばちゃと四肢を振り回します。
 まだ目も開いていない、幼く小さな生命。けれど、そんな小さな身体で、いっしょうけんめい狭く苦しい出口を潜り抜けて、赤ちゃんはこの外の世界に産まれてきてくれたのです。
「あ、は……っ」
 大きな大きな世界に生れ落ちた赤ちゃんは、全身でその悦びを訴えていました。
「っ、……っ!!」
 なにもかもがはじめての歓びに、マキはどうしようもないほどの感動を覚えていました。知らずに肩が、背中が打ち震えました。
 それを言葉にするすべをもたない、小さな少女は、ママになることができた嬉しさに、ただただぽろぽろと涙をこぼし、泣き続けるばかりです。
 とうとうマキは、本当の意味での『ママ』になったのです。
 それは、シローの赤ちゃんを産んで、本当の意味で、大好きな大好きなシローのお嫁さんになったことも意味していました。

 ――だってほら! 見てください!!

 産まれたばかりの赤ちゃんは、シローの小さかった頃に瓜二つ。まだ全身がぬるぬるに包まれていましたが、ふかふかの毛皮とつぶらな瞳を持つ、愛くるしい仔犬です。
 けれど、その毛皮の色は、マキの髪にそっくりな、つやつやした深い深い黒でした。
「あは……」
 羊水代わりの粘液の上で、いっしょうけんめい脚を踏ん張らせて、立ち上がろうともがく仔犬の赤ちゃん。その小さなおなかからは、細くねじくれたヘソの緒が伸び、いまもまだマキのおなかの奥にしっかりと繋がっていました。
 この赤ちゃんがマキと確かに血を繋げ、血肉を分け合ったことはもはや疑いようもない事実です。
 愛し合うふたりの血を、遺伝子を、間違いなく受け継いだ二人の赤ちゃんが、広げられたマキの脚の間で力強く身体を振り立てます。まるで泳ぐように、けれど少しずつ大きく。丸めていたみじかな脚で、ぬめる粘液のなかを暴れ回ります。
 その一挙一動が、マキのこころに歓びを湧き上がらせてくれました。
「あはっ……♪ ぅ、産まれたぁ…っ…!! シローと、あたしのっ、赤ちゃん、……産まれたよぉっ……!!」
 あとからあとから溢れ出す涙をぬぐうこともせず、マキはそう叫んでいました。シローとのお別れでも、こんなに泣いたことはありません。なにより、寂しさや悲しさの涙ではないのです。
 嬉しくて、嬉しくて、嬉しすぎて、泣いてしまうのです。
「ほらっ、見て? 赤ちゃん、シローにそっくりだよっ……♪」
 傍らのぬいぐるみ、『シロー』を通じて、ここにはいないパパに呼びかけるように、マキはそう語りかけます。
 マキには伝わってくるのです。産まれたばかりの赤ちゃんと、まだ繋がったヘソの緒を伝わって、言葉にできないほどの歓びが。

『ママ、ありがとう。産んでくれてありがとう』

 生命の誕生にともなう、人生最高の歓び。
 おんなのこの一生でもっとも大きな仕事を果たし、とうとうママになった幼いマキの胸を、深く深く満たしていました。
 大仕事を終えたばかりのけだるい身体で、マキは身体を起こし、赤ちゃんをそっと抱え上げました。
「がんばったねっ……がんばったね…っ」
 赤ちゃんの鼻先を覆っている羊膜を舐め取って、少しでも楽に息ができるように――両手や顔がぬるぬるになってしまうにも構わず、マキはそっと大切に、赤ちゃんを抱きしめます。
 赤ちゃんも大好きなママにほお擦りして、小さな鼻先をふんふんと鳴らして答えました。
 まだ声は出ないようですが――きっとパパと同じように、一生懸命元気にママに悦びを伝えようとしているのです。
「っ……」
 また、溢れそうになった涙に声が塞き止められます。
 マキは胸が一杯になって、なんどもなんども、手の中の小さな生命に頬をすり寄せ、そっとそっと、優しく撫でてあげるのでした。
 けれど――

「っ!?」

 それで、マキの大仕事がぜんぶ終わった訳ではなかったのです。
 びくん、とおなかの中で再度、熱く小さななにかが蠢く感覚に、マキは思わず声を途切れさせます。
 再び、体の奥でちりちりとした熱が燃え上がります。腰骨の奥にまで響いた激しい疼きに、背筋を仰け反らせたマキの――まだ、膨らんだままのおなかの下。
 たったいま新たな生命を産み落としたばかりの赤ちゃんの出口が、くちゅりと裏返り、そこから大量の粘液がごぽりと溢れ落ちてゆきます。
 それは、疑いようもない胎胞の破裂。
 ついさっき、マキがベッドの上で経験した、人間の正しい出産で言うならば破水にあたる現象です。
 つまり、二度目の破水――
「ふわぁあ……ぁは……♪」
 マキは、ようやくそのことに思い当たり、満面の笑顔を浮かべます。
 そうです。マキがその小さなおなかに宿していた生命は、一匹だけではなかったのです。
 初産、という大仕事を経て、ママになったばかりのマキには、いまや驚くくらい敏感になったおなかの中のゆりかごの中の様子がはっきりと感じ取れました。
 1、2、3、4……。まだまだたくさんの、兄弟たちが、次々とマキのまあるく膨らんだままのおなかの中で、次はボク達の番だよ、はやく産んでよ、と、『ママ』に口々にせがんでいるのです。
「そう、だよね……っ」
 イヌの赤ちゃんは、いちどにたくさん、たくさん産まれて来ます。
 なんどもなんども、焼けるほどに熱く、濃く、絶え間なく注ぎ込まれたシローの愛に、マキの幼い身体も一生懸命になって答えようとしていたのでした。
 重ねて分泌され、排卵されたたくさんのおんなのこのタマゴ。マキとそっくりに優しくて献身的なタマゴは、やんちゃで元気なシローの溢れんばかりの赤ちゃんのもとをありったけの優しさで受け止め、限りない愛情の塊となって少女のおなかを大きく膨らませていたのです。
「ぁああ……だめ……っ」
 ぶるぶると背中を震わせ、マキは忘我の中でつぶやきます。とてもではありませんが、こんなの、絶対に耐えられそうにないのです。
「死んじゃう……死んじゃう、よぉっ……シローっ……」
 心の底から、マキはそう思いました。
 大事な大事な、大切な、可愛い可愛い赤ちゃん。そのたった一人を産み落とすだけで、こんなにも胸がいっぱいになって、幸せで、満ち足りてしまうというのに。今日はこれから、あと何回これを繰り返せばいいというのでしょうか。
「あは……っ」
 本当に、本当に、本当の本当に。うれしくて、うれしくて、うれしすぎて死んでしまうかもしれない――そんなふうに感じることがあることを、マキははじめて知りました。
「シローっ……♪」
 マキはぎゅっと、『シロー』を握る手に力を篭めます。
 全身を包んでいた疲労も、いつしかどこかに吹き飛んでしまっていました。
「シローの赤ちゃん……あたしの赤ちゃん……みんな、元気に、産むから……ぅ、く、ぅあああっあああ!?」
 うわ言のようにつぶやいて、マキは新しくおなかの中で動き出した生命の誕生のため、ぐっと息を飲みます。
 マキの、ママとしての一番最初の大仕事は――まだまだ終わりそうにありません。


 (了)

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シロフミ 2020/08/06 22:50

犬のお世話・その3

 ぽふ、と枕に頭を預け、マキはぼんやりと天井を見つめます。お母さんには寝てなくちゃダメと言われましたが、お昼にぐっすり寝てしまったせいか、ぜんぜん眠れそうにありませんでした。
 かち、こち、と、壁の時計の針の音がやけにおおきく聞こえます。傾き始めたお日様が、カーテンの隙間からすこしだけ差し込んで、きらきらと絨毯を照らしています。足元で小さく唸るストーブは、部屋の中を暑すぎるくらい暖めていました。
「はぁ……」
 ぼうっとする頭を軽く振って、マキは何度も繰り返し溜息をつきます。
 このところ続いている微熱のため、マキはもう3日も学校を休んでいました。昨日はクラスメイトも心配してお見舞いに来てくれています。
 普通の風邪とは違って、喉も痛くなければ咳もくしゃみもでません。けれど、なんだか頭が重くて、立っているとくらくらとめまいがして、ちょっと気持ち悪くなることもあります。
 お昼ごはんも半分くらいしか食べられず、昨日の夜は我慢できなくて、少しもどしてしまったくらいです。
「わるい病気なのかなぁ……」
 漠然とした不安を伴う重苦しい気分と、ぐるぐると微動を続けるおなかのキモチ悪さに、マキは枕に顔をうずめてつぶやきます。このぶんだと明日も学校に行けそうにはありませんでした。
 いつもは慣れているはずの、一人きりのお留守番も、心細くて仕方がありません。自分の部屋でベッドに横になっていだけなのに、まるで世界中から自分だけが取り残されてしまったようで、マキの胸は自然に締め付けられるように痛くなります。
「…………」
 まるで、自分の身体が自分のものではなくなってしまったかのよう。ひょっとしたらこのまま悪くなって死んじゃうのかもしれない、とマキの想像は悪いほうへと傾いてゆくばかりです。
 うっすらと汗のこもったパジャマがどこかキモチ悪く、火照ったほっぺたが気になります。ごしごしとパジャマの袖で顔を擦って、マキはもう一度ころん、と寝返りをうちました。
 うつ伏せになっていても仰向けになっていてもなんだか身体が重くて、おなかが苦しくて、横を向いているのが一番楽なのです。
「はぁ……」
 いっそ眠ってしまえばいいのかもしれませんが、何度目を閉じても眠気はやってきてくれません。ずっと眠ってばかりなのですから、仕方のないことでもありました。
 時計を見れば2時半を少し過ぎたところ。もう1時間近くも、マキは溜息と共に長い長いひとりきりの時間を過ごしていたのでした。
「あー、もぉっ……」
 だんだん嫌な気持ちが高まってきて、マキは半分苛立ちながら、邪魔なお布団を跳ね除けます。
 ゆっくりベッドの上で身を起こすと、やはり頭の奥がジンジンと熱く痺れているようです。我慢しようと思えば、できないことはないのがどうにももどかしく、いつまで経っても治る様子のないだるさが、マキをますます苛立たせるのです。
「……のど、かわいたな」
 つぶやいて、マキは上着を羽織り、ベッドから降りました。
 本当はあまり何かを飲みたいとも思えなかったのですが、このままえんえんとベッドの上で寝返りをうっているよりは、だいぶマシに思えました。
 ひんやりとした階段を降り、廊下に出たマキは、向かったダイニングキッチンの冷蔵庫から牛乳をだして、マグカップに半分ほど注ぎました。
「――ふぅ」
 レンジで暖めた牛乳を、3回くらいに分けてゆっくりと飲みます。
 ほんのり暖かい牛乳は、重いおなかの中にふわっと広がって、キモチ悪さをすこしだけ和らげてくれます。やっぱりおなかが空いていたのでしょうか。飲み終える頃にはおかげでいくらか、頭の奥がすっきりしたようでした。
 かたん、と流しにマグカップを戻し、マキはぼんやりとダイニングの椅子に腰掛けます。
 脚がだるく、ぼんやりとした気分。
 けれど、やっぱり眠る気にはなれません。
 立ち上がったマキは、ぺたぺたとスリッパを引きずりながら廊下をもどって、庭に続く窓を開けます。
「シロー?」
 声をかけると、小屋の前で地面を掘っていた白くて丸い毛皮の塊が、ぴくんと耳を跳ねさせます。マキを見つけたシローは、わぉんっ! と吠えるとまっすぐにマキのほうへと駆け出してきます。
 どーんっ、窓から脚を乗り出して、マキに毛むくじゃらの大きな身体がぶつかります。
 ねえどうしたの。どうしたの? どうして遊びに来てくれなかったの? と言わんばかに、シローはべろべろとマキの顔を舐め回します。マキの具合が悪くなってから、シローとは会えていませんでしたから、シローもすっかり大喜びでした。
「わぉんっ!!」
 はっはっ、と舌を出しながら息も荒く。首輪につながれた鎖を引きちぎらんばかりに、シローは庭を跳ね回ってマキを呼びます。尻尾は根元から千切れてしまいそうに激しく振られ、つぶらな瞳はらんらんと輝いていました。 一年三百六十五日、遊びたい盛りのシローは、こんなに寒い今日もうらやましいくらい気いっぱいの風の子のようです。
「……いいなぁ、シローは元気で」
「ぉうん?」
 泥まみれの前足で飛びついても、マキがいつものように「もぉーっ!」と怒ったりしないので、シローはいくらか戸惑ったようでした。わふ。わふ? としきりに首をかしげながらぐるぐるとマキの前を行き来し、わんわんとマキを元気付けるように吠えました。
「……もぉ」
 のーてんきなシローに苦笑いしながら、マキは庭へ降りて、シローの側にそっとしゃがみ込みます。風はひやりと冷たかったのですが、シローの毛皮はすっかりふかふかの冬毛に生え変わっていて、近づくだけでふんわりと枯れ草の匂いがしました。
 マキがぎゅっとシローの身体を抱きしめると、シローもマキの身体に首を擦り付け、ふんふんと鼻を鳴らしてきます。熱い鼻息がマキのほっぺたをくすぐりました。ちくちくとするおヒゲの感触がむず痒くて、マキは目を細めます。
「もぉ……ありがとね、心配してくれて」
「わぉんっ!!」
 マキが首の後ろをよしよしと撫でてあげると、シローはうれしそうに尻尾を振りました。気持ちよさそうに目を細めて、もっと、もっととねだるように一生懸命に頭を押し付けてきます。
「……んぅっ……ちょっと、シロー……?」
「わふ、わふ、うぅぅ……ぐるふるぅ……」
 最初のうちはマキにじゃれついていただけのシローでしたが、やがて姿勢を低くし、ぐいっと鼻先をしゃがみ込んだマキの脚の間に押し込んできます。
 パジャマのズボンの奥へ、ぐいぐいと何かを確かめるように、シローはしきりに顔を押し付けてきます。
「ひゃん!? し、シローっ……なにやってるのっ……?」
 もぉ、やめなさい、と言いかけて。
 マキはシローの脚の間に、いつのまにか赤黒いおちんちんがひょこっと顔を覗かせているのを、見つけてしまい、思わず顔を赤くしてしまいます。
「し、シロー、どうしたのっ。そ、そんな……こんなところで……っ」
 まったく予想外のことに、マキはうろたえてしまいます。
 シローは普段、あの大きくて長いおちんちんをおなかのなかにきちんとしまっているのですが、シローが何かの関係で興奮してくると、だんだん大きく硬くなって、外にはみ出してくるのです。
「……シロー……?」
 びくびくと震えているシローのおちんちんは、表面をてらてらと光らせて、尖った先端をまっすぐに前に伸ばしています。まだ中途半端な大きさの膨らみのせいで、見えるのはほんの先っぽの部分だけでしたが、シローは間違いなく、マキの身体からえっちな成分を嗅ぎ取っているようでした。
(……やだ、シロー……っ)
 まだまだ小さな膨らみでしかありませんが、シローが興奮し始めているのは確かなようです。マキはほっぺたを押さえた手が、熱くなるのを感じてしまいます。
 おちんちんを大きくしたシローは、ますます息を荒くしながらマキの側に身体をすり寄せてきます。大きな毛むくじゃらの身体に『ぐいっ』とのしかかられて、マキは思わずその場にごろんとしりもちをついてしまいました。
「きゃうっ!?」
 すてん、と浮いたマキの腰、サンダルを履いた脚の間にシローが鼻先を潜り込ませてきます。
(や、ちょ……し、シローってば……っ)
 お外でこんなことをされて、もし誰かに見られてしまったら――
 とくん、と大きく揺れるマキの胸は、しかしますます言葉にできない熱い気持ちに満たされてゆきます。
 その一方で、シローはまるでなにかにとりつかれたみたいに、何度も何度も丹念にマキの足の付け根で鼻を動かします。いったい何を確認しているというのでしょうか。
 けれど、いつしか熱いシローの鼻息は、マキの内腿をしっとりと湿らせてゆきます。
「ぁぅ……」
 きゅう、とマキのおなかの奥が、甘く疼いて痺れてゆきます。身体の奥に篭ってい熱がじんわりと溶け出すように、マキの脚は閉じる力を失っているのでした。
 いつしかマキの胸も、とく、とくと激しく高鳴り出していました。頭は変わらず熱にぼうっとして、うまくものが考えられません。
 わけもなく。
 心に溢れた寂しさと、心細さ。それから逃げるように、マキはぎゅっと、シローの首に腕をまわしていました。
「……ね。シロー、……あたしの部屋まで…来て?」
「うぅ。…ぅわおんっ!!」
 マキのせいいっぱいのお願いに、答えるように。いつもよりも、さらに元気な大きな返事。シローはマキを励ますように、ぎゅうっと身体を寄せてきます。
 ん。と傍にある暖かなシローの匂いをたっぷり吸いこんで。
 マキはそっと、シローの首輪に繋がる鎖を外しました。


 ◆ ◆ ◆


「こら、シロー、まだ脚、きれいにしてないのにっ……暴れちゃだめだってばぁっ……んぅっ」
 マキの部屋に飛び込むなり、シローはベッドの上に座ったマキに飛びつきます。
 ふかふかのシーツの上にぺたんと腰を下ろし、シローは愛情たっぷりに、マキの唇をぺちゃぺちゃと舐め回します。マキも小さく口を開けて、シローの舌にそっと自分の舌を触れさせました。
「んっ……んぅ、っ……」
 映画の俳優さんがするような、たっぷり濃厚なキスとともに、シローの味がマキの口の中に溢れ、喉の奥まで流れ落ちてゆきます。
 シローの毛皮に顔をうずめて深呼吸をすれば、胸に広がる枯れ草の匂い。マキはこの匂いが、何よりも大好きなのでした。
 マキは夢中になって唇を開き、シローとキスを繰り返しました。ふんふんと荒いシローの息が首筋へと吹きかけられ、切ないほどに胸の奥がきゅんと締め付けられます。
 粘り気の多いシローの唾液を、マキはいっしょうけんめい飲み込んでゆきます。おなかの奥に滑り込むシローの味が、マキの身体を内側から熱くしてゆくようでした。
「ぁおおんっ」
 大好きな相手とのキス。それは、女の子の心を素敵に幸せにしてくれるものです。けれど、マキを背中に乗せられる大きな身体に飛びつかれては、さすがにマキもこらえ切れません。
 大きなシローの身体に押し倒されるように、マキはベッドの上に横になりました。ぎしっとベッドが音を立てて、二人分の体重を受け止めます。
「こらぁ……パジャマ、破けちゃうっ……待ちなさいってばぁ……」
 シローはパジャマのボタンの隙間に鼻を突っ込んで、うっすらと汗の浮かんだマキの胸元にまで舌を伸ばします。シローの熱い吐息が肌をくすぐるたび、マキのうなじがひくんと震えました。
 さすがに破かれてはたまらないので、マキもパジャマのボタンを外そうとするのですが、シローにぐいぐいと圧し掛かられていて思うようにうまくいきません。
「ぁおんっ!!」
 もどかしく首に絡まりつく布地を、うっとうしいとばかりにぶるぶると首を震わせ、シローはぐいっとパジャマの隙間に顔を突っ込みました。ぷちんとボタンが千切れ、シローはマキのパジャマに耳まで首を突っ込みます。
 つんと上を向いて尖ったマキの胸の先端を、熱く長い舌がぺちゃぺちゃと舐め回し、鼻先のヒゲがくすぐってゆきます。
「ふぁ……ぁうんっ…」
 マキは思わず声を上げてしまいました。
 大好きなマキと一緒にいることで安心しているのか、シローは時折こんなふうに、赤ちゃんのようにマキにミルクをねだるのでした。
 とは言っても、シローは中身はともかくも、身体はもうすっかり大人なのですから、その大きな口や舌でミルクをねだられれば、マキはたまったものではありません。
 やわらかい胸のふくらみをぺちゃぺちゃと舐め回され、つんと尖った先端を甘く噛まれ、ついばまれて、マキの頭の中はあっという間にとろとろにトロけていってしまいます。
「ぁ……やぁ……シロー……ぺろぺろ、しちゃ…ダメぇ……っ」
 たっぷり泡立った唾液にまみれたマキの胸は、うすくミルクのように色づいて、まるで豆乳プリンのようにふるふると震えます。器用にうごくシローの大きな舌が、ふくらみを押し潰し、揉むようにしてなんどもなんども舐め続けるので、ぷくりと膨らんだ先端はびっくりするくらい敏感になってしまいます。
 こうされると、マキはいつもくちゅくちゅになるまで、脚の間の大事なところを濡らし、下着を湿らせてしまうのでした。
「ばかぁ……シロー、そんなしたって、おっぱいなんか出ないよぉ……っ」
 荒い息をこぼしながら、マキはたまらずにシローの首に腕を絡め、強く力を込めました。
 かぁっと熱くうねった快感が、じわりと胸の奥からせり上がってゆくようです。まるで深く深く、底の見えない井戸の奥に沈んでいくみたいでした。そうやって、マキの身体が深く深く潜っていけばいくほど、手も足もどろどろに溶けてしまい、どこまでが自分なのかわからなくなってしまうのです。
 これは、あそこを弄られたり、おちんちんで身体の奥を突き上げられたりするのとはまた違う、素敵なキモチなのでした。
「っ、シローっ、もぉっ、それ、だめぇ……ぺろぺろって、するの、やめてぇ……っ」
 ぞくぞくと背中を走る甘い電流に、マキは切ない息の間からシローに呼びかけます。
 でも、シローは絶対にやめてはくれないのです。
 言うことを聞かないわがまなな、やんちゃざかりと言うだけではなくて。マキが気持ちよくなるのをわかっているので、シローは大好きなマキが、口ではそう言っていても、本当は嫌がっていないのを知っているのでした。
「わぉんっ!!」
「きゃ…っ」
 ぐりぐりと突っ込んだ鼻先で、とうとう、シローはマキのパジャマのボタンを全部外してしまいます。
 左右に広がったパジャマの間から、シローの唾液でどろどろになったマキの胸があらわになります。まるでスプーンにつつかれて柔らかく震えるプリンのような、可愛らしい女の子のふくらみの中央で、すっかりピンク色になってつんと尖った先端が、天井をさしてちいさくヒクンと震えています。
 甘く蕩けるような表情を浮かべ、脚を小さくもじつかせて。マキはまるで、そのまま、ぱくりとかぶりつきたくなるほどに愛くるしい恰好にされてしまっていました。
「んゅ……、しろー、ぉ……っ」
 切ない胸のなかから声を絞り出し、マキが見上げると。シローのおちんちんは、すでに庭にいたときの倍近くまでも、身体の外にせり出してきています。
 白いふかふかの冬毛の間から、にょっきりと顔を出したおちんちんは、シローが腰を震わせるたびにぷるんぷるんと揺れていました。赤く黒く色のついた肉色の、まるで茹でたてのソーセージのようにほわほわと湯気すら立ちのぼらせるおちんちんは、すっかり硬くなって、シローのおなかの上にびくっと反り返っています。
 それがとてもとてもいらやしいカタチをしているものですから、マキはもうなんにも考えられなくなってしまいます。
(ぁぅ……シロー、いやらしー、よぉ……)
 そう。このおちんちんで、シローはいつも、いつもいつも、マキのおなかの中を徹底的にぐちゅぐちゅっとかき回し、苛め抜いて、挙句にたっぷりと特濃の赤ちゃんミルクを注ごうとするのです。
 充血して膨らんだシローのおちんちんの先端は、マキを夢中にさせてしまう複雑な形に尖ってはぴゅる、ぴゅるぅっと先走りを吹き上げては、ベッドのシーツに染みを作っていました。
 このままえっちしたい、そう訴えているシローのまんまるな瞳でしたが、マキは少し、別のことを考えていました。
「んぅ……シロー、ちょっとだけ……待ってくれる?」
 なぜだか、今日はそうするべきだと。マキは思いました。
 マキはそっと唇を湿らせると、仰向けになって身体の向きを変え、シローのおなかの下に潜り込みます。目の前にはぶるんぶるんと震える熱い肉の塊。シローのおちんちんは、その根元に大きな袋をずっしりと二つぶら下げていました。
(ふわぁ。……っ)
 マキはますます顔を赤くしながら、おそるおそる、つん、とその重い袋をつついてみます。
 この中に、シローの赤ちゃんの素がいっぱい詰まっているのです。白くてどろどろと凝った赤ちゃんの素は、シローに似て元気いっぱいで、マキのおなかの中でもところ構わずに暴れまわるのです。
 まるで爆発するくらい勢いよく、おちんちんの先端から噴き出す、シローの精液を思い出してしまい、マキはくちゅっといやらしい音をさせながら、パジャマの脚をもじつかせてしまいます。
「ん……っ」
 きゅん、とおなかの奥が疼くのを感じながら、マキはシローのおちんちんを握って、そっとその先端をくわえました。
 ついさっきまでシローのおなかの中にしまわれていた、洗っていないままのシローのおちんちんは、粘液のこもったむっとした匂いをさせています。けれどマキは嫌がらずに大きく口を開いて、喉の奥まで太くて硬い肉の塊を飲み込んでゆきます。
「ん……ふ……ちゅぷ、れるっ……んうぅ……」
 シローを気持ちよくさせてあげるのは、『お嫁さん』であるマキのすべきことでした。一生懸命くちゅくちゅと口と舌を使ってあげると、いつもよりも早く、シローのおちんちんは大きくなってゆくようです。
 あっという間にいっぱいまで口を開けてもくわえきれないほどに太く長くなった肉の塊が、マキの唇の奥へとじゅぶじゅぶと音を立てて出入りします。
 そうしているだけでもマキの口の中がキモチいいのか、シローはぶんぶんと尻尾を振り立てて体重を乗せてくるのでした。
「んくぅ……っぷぁっ。……まっひぇ、ひろーっ……っ、ぉ、おも、ほもいっ…へばぁ…!!」
 息が詰まりそうになりながら、マキは口の中をシローの肉の塊に塞がれてしまいます。いつしかその大きな身体の下敷きになるように、マキの上半身はシローの腰の下に押し潰されていました。
「んむ、ぷはあっ!! し、シローっ、ちょっと、待ってっ……ふぁんっ!?」
 一方、遠慮なくマキのパジャマの上から脚の付け根に鼻を突っ込んだシローが、ぐりぐりとマキの内腿に顔を押し付けてきます。よだれでべたべたの長くて熱い舌が、ぺちゃぺちゃとマキのあそこをねぶり始めました。
「うぁ、や、く、くすぐったいよぅ……だ、だめ、シロー、パジャマっ……ぱんつもっ、ひぅ……よ、汚れちゃうっ……」
 ダメと思いながらも、マキの腰はじゅんっと熱く痺れ、ぴりぴりと響く切ない感覚に飲み込まれてしまいます。腰から下がとろとろとトロけて、くたりと力が抜けてゆくようでした。
 ふにゃふにゃと頼りなくなったマキの脚を押し広げて、シローはますます脚の奥深くに顔を突っ込んできます。

 ちゅぷ、じゅるっ、ぺちゃっ、じゅるるっ、じゅぅう……

「ぁ、あ、はうぅ……」
 形ばかりの抵抗もあっという間に溶け崩れて、マキはシローの成すがままに大事なところを舐められるばかりです。シローのぬるぬるしたよだれはピンクの布地をすっかり透け透けに湿らせ、パジャマの上からでも、マキのあそこの形をいやらしいカタチをしっかりと見せてしまっています。
 股布の上からあそこの隙間に鼻先がぐうっと押し付けられ、シローのヒゲのざらざらとした感触がマキの腰を震わせました。
 パジャマのしたで、すっかりじゅくじゅくになったマキのぱんつの股布は、濡れ透けてマキの『おんなのこ』にぴったり張り付いています。
 いまや、布地の上からでもぷくりと花開き、ほころび始めたマキの小さなスリットの形をうかがうことができました。それは単に、シローのよだれだけが原因ではもちろんありません。
 さくら色に充血したマキの大切なところがきゅんきゅんとすぼまるたびに、その内側からぷくりと熱い蜜が、塊のようになってパジャマを湿らせてゆきます、
「わおんっ!! わん、わふっ、わぉんっ!!」
「……ん、ぅ……っ」
 こんなふうにされたらもうマキも我慢できません。マキは大きく息を吐くと、そっと腰を浮かせるとパジャマのズボンに手をかけました。
 一気に足元までおろした下着とパジャマのズボンの下から、可愛いたて筋がのぞきます。つるつるぷにぷにの綺麗な一本線のはずのそこは、すでシローのいたずらと、マキが一生懸命おちんちんをくわえていたせいで、くちゅくちゅと蜜にまみれてすっかりほぐれいて、ほわりと湯気を立てるほど熱く潤んでいました。
 下着のお股のところにつぅっと透明な蜜が何本も糸を作って垂らしてしまうくらい、シローに負けず劣らずにマキも興奮しているのでした。
「んっ……」
 マキがそっと指をのばしてそこを広げると、子供っぽくおまたに食い込んでいた細いすじはくちゅりと甘い音を立てて割れ、その内側の薄桃色の花片を覗かせます。
 やんちゃざかりのシローのお相手をつとめているうちに、わがまま盛りのおちんちんによってすっかりオトナにされたマキのそこは、もう痛みを感じることもなく、根元までシローの大きなおちんちんを飲み込むことができるのでした。
「わふぅっ!!」
 マキの様子を見るなりシローはぐいっとマキの太腿の間に顔を押し込みました。はふはふと熱い息をこぼし、長い舌でぺちゃぺちゃとマキのあそこを舐め回します。
 いよいよ大胆に、シローはマキの『おんなのこ』を舐め回します。
 熱く長い舌が敏感な入り口を的確にとらえ、どろどろの唾液を送り込んでくるたび、マキはふわぁっと腰が浮かび上がるような気持ちよさに頭が真っ白になるのをこらえなければなりませんでした。
「ぁう、や、シローっ……だめえぇ……」
 まるで指のように巧みに動くシローの舌は、狭いマキのあそこの中にまで入り込み、くちゅくちゅと柔らかな襞を掻き分けてはその内側を丹念にこねてゆきます。
「ぁ、あっ、や、やぁあっ!?」
 パートナーの熱烈な愛撫に、マキは仰向けのまま膝をがくがくと震わせてしまいます。引けた腰を追いかけるようにシローはさらにぐいっと顔を突き出して、はあはあと荒い息を上げながらマキのそこに粘つく舌を前後させました。
 ちくちくとシローの鼻先の髭が内腿を擦り、濡れた鼻がつんつんと敏感な突起を突っつきます。
「ふぁあああっ……!?」
 シローの舌は、マキが自分の指でするよりもとっても上手で、素敵なのでした。自分でしているときはどうしても、本当に気持ちよい時の波が来ると、怖いような、いけないような気がして手を止めてしまうのですが――シローはそんなことは全くお構いなしに、マキのそこをくちゅくちゅと舌で弄り続けるのです。
 こんな時だけ意地悪なシローはマキがどれだけやめて欲しいとお願いしてもやめてくれませんから、マキはなすすべなくなんどもなんども頭を真っ白にして、内腿をがくがくと震わせ、ぷじゅっ、と激しく蜜を吹き上げてはベッドを汚してしまうのでした。
「や、やぁあ……き、きちゃううっ」
 シローの毛皮をぐっと握り締め、マキの声が高くか細く絞られます。そのほっぺたに、ぶるんぶるんと揺れるシローのおちんちんが押し付けられました。
「んぅっ……ふぁ、っちゅ、んむぅっ……」
 胸の奥がきゅんと締め付けられ、高鳴りはますます激しく、切なくたかぶります。マキも夢中になって、目の前に張り出したシローのおちんちんをくわえるのでした。
 ゆで上げたばかりのソーセージのように熱く、びくびくと滾る大きな肉の塊は、マキが唇を近づけ、舌を絡めて舐め上げるたびに、その先端からぴゅぴゅっと粘つく先走りを飛ばします。
 それを一生懸命喉の奥で受け止めてごくっと飲み込むたびに、マキは背筋が痺れるような甘い幸福感に満たされるのでした。
(んぅ……シローの、おちんちん、おいしいっ……)
 口の中を大きな肉の竿がぞるるるっ、と擦り出入りするたび、マキはなんだかおなかの一番奥までシローに貫かれているような気分になってしまいます。
 シローのおちんちんを『おんなのこ』の奥まで受け止める時とはまた違う、胸の奥がかぁっと燃えるような、不思議な気持ちよさなのでした。
「ふぁ……っ!? っ、んんぅっ…♪」
 とどめのひと舐めによって、じゅわあっと、ほころびた柔孔から、下着の上にたっぷりと蜜を吹き出してしまいながら、マキは背中を弓みたいに反り返らせます。
 まるでオモラシをしてしまったように、脚の間、シーツのおしりにまで、熱い感触が広がってゆきます。
 シローのおちんちんも、唇の中ですっかり準備を整え、すでにびくびくと白い液を吐き出していました。
「ん、れるぅ……」
 そっとマキがシローのおちんちんを離します。ずるう、と引き抜かれるシローのおちんちんは、白くどろどろとした先走りをたっぷりとこぼしていました。
 マキの喉には苦くてしょっぱいシローの味がまだ残っていて、おなかでは無理矢理飲まされた赤ちゃんのもとがたぽたぽと揺れているようです。
 マキの小さなくちびるで、すっかり大きくたくましくされたシローのおちんちんは、完全に『オス』の形を取り戻し、その表面にも大きな血管を浮かばせて、今にもどかんと噴火してしまいそうなくらいに膨らんでいます。
 目の前でびくんびくんと震えるシローのおちんちんが、マキのおなかの上にぴゅぴゅっと飛沫を飛ばしました。
「あふ……」
 いっぽう、シローの舌にすっかり骨抜きにされてしまったマキは、そのままずるずるとベッドの上に倒れ込んでしまっていました。なんどもなんどもいじられた『おんなのこ』はすっかり充血してほぐれ、可憐な花のように美しく広がって、とろとろの内側を覗かせています。
「しろー……っ」
 甘く蕩けた声で、マキはシローに呼びかけます。
 おなかの奥がきゅうとうずきます。いつもの何倍も、シローのおちんちんをおなかの奥まで感じたいと、マキの身体が訴えています。もう我慢ができそうにありませんでした。
 シローの長い舌にたっぷり舐められた大切なところは、ふっくらと充血して綺麗な桜色をのぞかせて、とろとろと蜜を溢れさせています。
 おなかの奥にもじゅっと火傷しそうなほどに熱が篭って、きゅうきゅうと切なく疼いていました。
「シロー、いっぱい、いっぱいえっち、して……」
 このままシローを受け入れることを決意したマキは、いったんシローから離れて、ベッドの上に腰掛けます。背中にはお布団を丸めて押し込み、背もたれのようにしてシローを迎えるように、大きく脚を左右に広げます。
 シローとのえっち専用に姿を変えたベッドに柔らかく横たわったマキは、シローをそっと迎え入れました。
「わおぅんっ!!」 
 マキがシローを受け止める体勢になるやいなや、まっていましたとばかりシローははぁはぁと舌を出して熱い息をこぼし、マキのおなかの上にのしかかってきます。
 ベッドに腰掛けたマキに覆いかぶさるようになって、シローは後ろ脚でたちあがり、前脚をマキの肩にのせて体重を預けてきます。
 シローの首筋にマキの顔が埋まりました。マキの鼻先を、ふわりとおひさまの匂い、枯れ草の匂いがかすめます。なんだかまるで、マキはシローにやさしく抱きしめられているかのようでした。
 ハダカの胸の先端にシローの毛皮が擦れ、マキの顔をぺちゃぺちゃとシローの舌が舐め回します。大好きなシローのキスを顔じゅうに浴びて、マキはたまらなく切なくなってしまいました。
「んぅ、シローっ……だいすき……」
 シローの大きな身体を受け入れるように、マキは精一杯広げた脚で腰を持ち上げて、シローのおなかに抱きつきます。ふっくらとした白いおヘソの上に、ぶるぶると震えるシローのおちんちんが押し付けられました。
 元気一杯に脈打つ大きな肉の塊は、びくびくと激しく暴れていて、そのままおなかを突き破られてしまいそうです。間断なく先走りをこぼすシローのおちんちんは、たちまちのうちにマキのおなかをぬるぬるのぐちゃぐちゃに変えてしまいました。
「ふあぁ、おなかダメぇ……おヘソ、ぐりぐりしちゃ……っ、おなか、きゅうってなるよぉ……」
 シローも気持ちよくなってきたのでしょう。すべすべのマキのおなかにおちんちんをこすり付け始めます。脚の付け根でとろとろと蜜をこぼすマキの大事なところに、シローの太くたくましいおちんちんが熱烈なキスを繰り返します。
「だめ、シローっ、……イジワルしないでよぉ……っ」
 まるでこのままふわぁっと腰が浮いて、空の上まで登ってしまいそうでした。気持ちいいのと、どうなってしまうのか解らない不安な気持ちが入り混じって、きゅう、と胸の奥が締め付けられるようなせつなさに、マキはたまらずシローに抱きついていました。ふかふかの毛皮に顔を埋めて、おなかの上で奥で熱く脈動している灼熱の塊をしっかりと感じ取ろうとします。
 けれど。マキが一番望んでいるのは、それではありませんでした。
 じらされ続けてたまらない、女の子の内側のいやらしいお肉が、シローのたくましいおちんちんを欲しがっているのです。
「わぉおおんっ!!」
 シローが大きく吠えると、後ろ足をぐっと折り曲げ、マキの脚を広げるように腰を沈めてきます。にゅるんっ、とマキの内腿を滑ったあつい肉の塊が、ぬかるむマキのあそこの入り口に滑り込んでゆきます。
「ふあ、あぁ、ぅ、あぁ、あっ」
(っあ、っ、シローの、はいってくる……っ♪)
 狭く細い、ピンクに色付くおんなのこの孔は、まあるく口を開いて逞しいシローのおちんちんを飲み込んでゆきます。マキはその瞬間をはっきりと感じました。おなかの中がぐうっと引き伸ばされて、だいすきなシローのおちんちんのカタチに、ぐうっとくり貫かれてゆくのです。
 ず、ぐっ、にゅぶっ、ぬるぅっ……
「っ、し、シローのおちんちん……びくびくゆってる……っ♪」
「わおんっ!!」
「うぁ、っ、あっあ、っあっ!! あぁーっ!!」
 こんなに気持ちのいいえっちは、はじめてかもしれません。
 身体の内側から胸の奥がぐうぅっと押し上げられ、肺の中から息が絞り出されます。おヘソの裏側を突き上げる衝撃と共に、シローのおちんちんを、根元までゆっくりと身体の中に受け入れながら――マキは何度も甘い声を上げました。
 力強く身体を押し付けてくるシローの首にそっと手を絡めて、きつくしがみ付き――マキはしっかりと愛しいパートナーにぴったりと身体を寄せます。荒々しく腰を振り立てるシローの邪魔にならないように、脚を広げてぐっと腰をくっつけ、女の子のだいじなところの、一番深い場所でシローのおちんちんを受け止めます。
 向かい合った唇が自然と触れ合い、シローの息遣いがはっきりと伝わります。くっつけ合わせた胸のドキドキまで聞こえるような、ぎゅっと抱き締めあったこの姿勢――もし男の人とするのであれば「正常位」と呼ばれる、この格好こそが、愛し合う恋人同士のえっちにいちばんふさわしいとされているのをマキは知っていました。
 本当の本当に大好きな相手と、どこまでも深く繋がるための格好で、マキはシローに自分の『だいすき』を、いっぱいっぱい伝えるのです。
「わおっ、わおんっ、わふっ……ぐるるぅ……」
「シローっ、……しろぉ、だいすき……っ」

 ぐちゅっ、ぐじゅっ、じゅっ、じゅっ、

 シローが四本の脚を力強く地面に踏ん張らせ、ねじつけるように体重を乗せて腰を叩きつけるたび、マキのおなかの中で、シローのおちんちんがぐんぐんと力強く膨らんでゆきます。
 シローの興奮と共に、なおも太く長く伸びたシローのおちんちんは、ついにマキの身体の一番奥まで届いてしまいます。
「ぁっ、あ、あーっ、あっ♪ あ、はぁっ……♪」
 ごつっ、と身体の一番奥が突き上げられるたび、マキがかはぁっ、と息を吐き出して身体を震わせます。
 おなかの奥では狭い孔の内側で柔らかなひだひだがくきゅうっとよじり合わされ、たっぷりの蜜をまぶされたシローのおちんちんは、根元からきゅきゅきゅううっ、と絞り上げられるのです。
 こんなに気持ちよくされては、シローだってたまったものではありません。おちんちんはさらに逞しく太く、長く伸びながらマキのおなかの奥へ奥へと入り込んでゆきます。
 マキの身体をまっぷたつに引き裂かんばかりに大きくなったおちんちんが、シローのたくましい腰使いによって激しく前後します。
 敏感になった柔らかい孔をじゅぶじゅぶとかき混ぜられて、マキはなんどもなんどもイってしまいそうになりながら、気絶しそうになるのを我慢するので必死でした。
「しろぉ……んぷっ、ちゅ、んう、むっ……んぅうっ!!」
 ぐちゅぐちゅと押し込まれる長い舌が、さっきのおちんちんのようにマキの喉まで入り込んできます。泡だって粘つく唾液を絡めた舌は、おちんちんとは違うやり方でマキの唇を一杯にしてゆきます。
 おなかの奥と唇をすっかりシローで満たされてしまい、マキは何度も何度も背筋をくねらせ、跳ねさせました。
「やっ、ぁ、あう。ぁ、ぁあぅ!?」
「わおっ、わおんっ!!」
 折り重なった柔らかなひだひだがきゅうっと収縮して、シローのおちんちんを締め付けるのですが、それにも構わずにシローはますます激しく腰を振るのでした。
 おなかの内側、細くよじれたおんなのこのやわらかな孔の、いちばんマキが感じる天井のところを、ぞるるっ、と擦り上げられるたびに。マキの頭は真っ白になり、ますますきつくシローのおちんちんを締め付けます。
 マキの身体の一番奥で、充血した子宮の入り口が、興奮にぽこりと盛り上がってシローのおちんちんの先端と熱烈にぶつかり合います。
 赤ちゃんのできる大切な場所を、優しく情熱的にノックされるたび、マキのおなかにはずんっ、とピンク色の電流が飛び散るのでした。マキの小さな孔ははぴゅうっと激しく潮を吹いて、シローのおなかまでをどろどろにしてゆきます。
「あはぅ……ぁあう、あっ、あ、あ…っ♪」
 ぐちゃぐちゃになったシーツの上で、マキのおなかがぐりぐりっとシローの腰に押し潰されます。いつしかシローのおちんちんの根元には大きな瘤が膨らみ出していました。
 ここから先だって、マキはもうすっかりやりかたを覚えています。
 まるで石臼をひくように丸く腰を動かして、シローの太く膨らんだ根元の瘤まで、マキはおなかの中に押し込んでゆきます。
「ぁ、あっあ、あぅ、あーっ♪」
 ごりぃっ、と小さな身体を引き裂かんばかりの深く深くにまで、シローのおちんちんがはまり込みます。おなかの中にがっちりと食い込んだ熱い瘤の感触で、マキはシローがもう限界だというのをはっきりと知りました。
「っ……シロー、いいよ……っ、い、いっぱい、出して……」
「わぁおおんっ!!」
 マキの大切な場所を深々と貫いたシローは、そのままぶるぶると腰を震わせ、脚踏みを開始しました。マキをベッドの上に叩きつけんばかりに、ぐいぐいと絨毯を踏みしめ、一歩ごとに熱く煮えたぎる赤ちゃんのもとになるミルクを注ぎ込みます。
 マキは、おなかのなかに、びゅる! びゅるる! と激しく吹き上げられるシローの生命を感じました。
「んんぅっ……!!」
 腰の奥でじんじんとひりつくように熱く膨らんだ、大切な場所――女の子のからだに備わった、新しい生命を育てるための神秘の揺り篭が、シローの生命の証をたっぷりと受けとめていきます。
 激しく射精をしながらも、シローは腰を振り続けるのをやめません。おなかのなかをシローの熱いものでいっぱいにされながら、マキはベッドの上で揺すられてしまいます。腰が持ち上がるたびにじんわりとシローの赤ちゃんのもとがおなかの奥の奥まで広がってゆくようでした。
 シローがびゅるびゅると赤ちゃんのもとを吹き上げるのに合わせて、マキの可愛いお尻の孔がぱくっと開いてはきゅうっとすぼまります。
 マキのトロトロになったあそこが、シローの射精にあわせてきつくきつくシローのおちんちんを締めつけているのです。
 シローをもっともっと、身体の中に感じたい――
 これまでに感じたことのない深い欲望が、マキの小さな身体をますます大胆に押し開かせていました。
「シローっ……っ、あ、あたし、っ、あたし……っ!!」
 胸に熱いものがいっぱいに溢れ、こみ上げてくるどろどろとした何かに塞き止められて、マキは声を出すことがでませんでした。じわりと視界がぼやけ、マキはぎゅうっとシローを抱きしめます。
(あたし、あ、あたし、シローの……っ、しろー、のっ…!!)
 おなかの奥にじわぁっと広がってゆく、赤ちゃんのもと。元気でワガママで、わんぱくなお父さんにそっくりの――小さなこどもたち。
 普段は意識することもないような、赤ちゃんのための揺り篭――子宮のカタチを、マキははっきりとおなかのなかに感じていました。
 シローの旺盛な生命の分身は、今この瞬間にもマキの生まれたばかりの卵を隙間なく包囲し、おなかのなかを徹底的に蹂躙しているのです。
「わぉおおおおおおん……っ!!」
 シローはうっとりと目を細めながら、そんなマキの胎内に赤ちゃんのもとを注ぎつづけました。焼けるように熱いシローの精液が、びゅーっ、びゅーっとマキのおなかの一番奥に浴びせ掛けられます。
 どく、どく、どぷ、どぷ。
「ぁあう、あっ、あ……ぁ」
 マキのおなかの中は、シローが吐きだし続ける赤ちゃんのもとでたぷたぷと揺れ、細いおなかはふっくらと膨らみ始めていました。まるで本当に、一足先に妊娠してしまったかのようです。
 小さくすぼまったお尻の孔も、ぱくぱくと小さく膨らんでは透明な粘液をこぼし、シローのおちんちんの形に内側から押し潰されていきます。
「わぉんっ!! わふ、わふ、わぉおおんっ!!」
「だいすき、しろーっ、だいすきだよぉ……っ」
 がくっがくっと壊されてしまいそうに揺さぶられながら、マキは愛しいパートナーの逞しい胸にしがみつき、力いっぱい抱きしめます。
 こんなにも一生懸命、マキの一番大好きなやりかたで愛してくれるシローが。おなかが破裂してしまいそうなくらいに赤ちゃんのもとを注ぎ込んでくれるシローが。マキのことを思ってたくさんさくさん頑張ってくれているシローが、愛しくてたまりませんでした。
「しろぉーっ……!!!」
(しろーの、シローのあかちゃんっ……シローとあたしのあかちゃん、ぜったいに、ぜったいに、産んであげるからね……っ)
 言葉にならない声を、マキは何度も何度も、心の中で叫んでいました。
 ふわぁ、と腰が浮かび上がり、マキの身体から重みが消えてゆきます。
 おなかのなかの一番奥――どうしようもないほどに敏感になった生命の揺り篭の内側の粘膜に。
 しっかりと、シローの赤ちゃんの素と結びついた、『おんなのこのタマゴ』が包まれてゆくのを感じながら、マキはとうとう気を失ってしまうのでした。



 (了)

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