ウメ畑 2024/09/28 10:00

skeb依頼 『アズールレーン』ヴィットリオ・ヴェネト

「本日は我が社のにお出でくださり、本当にありがとうございます」
「いいえ。これもサディアと重桜の未来の為。お気になさらないでください」

 アズールレーンに所属する国、重桜を訪れたヴィットリオ・ヴェネト率いるサディア一行は重桜との関係をより発展したものへとするため、自国の宣伝も兼ねて重桜の様々な番組に出演していた。
 柔軟性があるザラやポーラはバラエティに、思慮深いアクィラやトリエステは政治の番組に。
 そうしてサディア帝国の総旗艦であるヴィットリオ・ヴェネトもまた、重桜との関係をより発展させるためにとある番組に出演することになっていた。
 瓦屋根の古びた印象を受ける外見ながら、しかし内装は近代ビルと遜色ない機械類で飾られた建物内はアンバランスでありながらしかし一種の独特な美的意識に基づいているように感じる。
 その建物内で、彼女の姿は一層目立っていた。
 周囲が和装スーツということもあるだろう。
 黒髪や落ち着いた髪色の中に一人、まるで透き通るように美しい銀髪をした美女はそこに居るだけでも人目を強く引く。
 癖の強い豊かな銀髪は大きく広がってその柔らかさを強調し、彼女が一歩進むだけでふわりと揺れながら香水の甘い香りを周囲へ広げている。
 男たちがその香りに意識を寄せられると、次に見せられるのは黒のタイトなワンピースの上から金糸の刺繍で飾られた赤の上着を纏った見事な美肢体だ。
 まるで神が創った造形物のように均整の取れた肢体――男の両手でも余りそうな豊満な胸と、簡単に抱きしめてしまえそうな細い腰、そしてタイトなミニスカートから今にも丸出しになってしまいそうな大きなお尻。
 太ももは丸出しで、膝から下は黒のブーツを履いている。
 タイトなワンピースは胸元も丸出しで、豊満な胸が描く深い谷間が丸見えだ。
 豊かな髪に合わせて、豊満な胸も歩くたびにプルン、タプンと音が聞こえそうなくらい大きく揺れてしまっている。

「……しかし、よろしいのですか? ヴィットリオ・ヴェネト様のような方が私たちの番組に出て」
「もちろんかまいません。貴方がたの番組はとても視聴率がよく、沢山の方々から愛されていると聞いています。ぜひ、私をお使いくださいませ」
「は、はあ……」
「他の皆もサディアの未来のために頑張っているのですから、私も仕事内容にこだわるようなことはいたしません」

 そういってヴィットリオ・ヴェネトが深く一礼すれば、それだけで見ただけで100センチを超えていると分かる豊満な胸が重力に引かれて垂れ、胸の谷間がより強調された。

「ああっそんな! 顔を上げてください!」

 担当した人事の人間はサディア帝国の総旗艦にそう言うと、むしろ彼の方が頭を下げた。

「では、ぜひよろしくお願いしますっ」
「ええ。こちらこそ、今日はよろしくお願いいたします」

 人事の男は、ヴィットリオ・ヴェネトが自社に来てもまだ混乱していた。
 サディア帝国が交流のために重桜へきていることは聞いていた。
 そして自国の状況と紹介するために様々なテレビ番組に出演すると聞いて、面白半分で出演依頼を出したのも確かだ。

(まさか、本当にウチへ来るなんて……ウチはネット専門のAV会社だぞ!? 誰だ、面白半分で出演依頼を出したのは!?)

 重桜との関係を見直す際に重要視されたのは、サディア帝国の状況をより詳しく知ってもらう事だった。
 相手の事を知ることもだが、自国の事を知ってもらうというのも関係を深めるうえでとても重要な事だ。
 だからこそ、サディア帝国からの訪問団は縦横に来ると多くのテレビ番組やネット映像に出演した。
 中にはバラエティで笑われることもあったし、ネットの映像で一般人と話すようなこともあった。
 それでも、サディアと重桜の関係を深めるためと自国の紹介をしながら皆が頑張ったのだ。
 そこには「成果を残さないといけない」という焦りがあったのかもしれない。
 サディア帝国の広報は連絡が来た依頼を片っ端から受けていき、そうすると人員が足らなくなって……総旗艦であるヴィットリオ・ヴェネトもテレビ番組へ出ることになるのも当然の帰結だ。
 そうして、忙しさによって視野が狭くなっていた広報は依頼内容を見落とし、ただ「受けなくてはいけない」という考えからAV業者からの依頼をさらに運悪くヴィットリオ・ヴェネトへと通してしまったのだった……


「皆さん、こんにちは。私はただいま重桜へきているサディア帝国KAN=SENの総旗艦、ヴィットリオ・ヴェネトです」

 ここ数日で言い慣れた自己紹介をすると、カメラに向かって一礼。
 時間はすでに23時を回っていたが、しかし番組プロデューサーの前に表示されている閲覧者数の数字は凄まじい数になっていた。

「深夜のネット番組で、ここまでの数字は初めてじゃないか!?」
「重桜史上、初めてかもしれませんねっ」

 ヴィットリオ・ヴェネトが深夜放送のお色気番組に出演するというのは昼間の内から噂になっていて、その影響からか開始30分前からかなりの視聴者数が示されていたのだが……。
 実際に生放送が始まると、その数は更に5倍以上にまで増え、更にネットの掲示板では『本物のヴィットリオ・ヴェネトが出てる!』『サディア帝国の総旗艦がエロ番組に出てる!』と話題になっていた。
 それが人を呼び、おそらく重桜の若者たち全員――それ以上の数が、彼らの番組を視聴していたのだ。

「私たちは今、重桜とよりよい関係を作るためにこの国を訪れています。今日は、皆様にサディア帝国の良い所を知ってもらえるよう頑張りますね」

 カメラの前でヴィットリオ・ヴェネトが耳によく届く朗々とした声で自己紹介を終えた。
 そして、一礼。
 この会社に来た時もそうだったが、ただそれだけの些細な行動なのに100センチ超えの豊満すぎる乳房が重力に引かれて垂れ、その深い谷間の印影まで鮮明にカメラに晒してしまう。
 そんな『ただ一礼しただけ』なのに、ネット上は大盛り上がりだ。
 それも当然だろう。
 なにせ今テレビに映っているのは、普通なら見ることもできないような他国の総旗艦。
 しかも銀髪巨乳の超美人。
 若者たちはそんな美人の揺れる胸と深い谷間を見ただけで興奮し、掲示板に『録画した』『後でネットにアップしてくれ!』なんて言葉が飛び交っている。

「では! ヴィットリオ・ヴェネトさんの自己紹介が終わったところで、まずは番組恒例のゲームに参加してもらいます!」
「お手柔らかに、よろしくお願いいたします」

 ヴィットリオ・ヴェネトが腰低く頭を下げると、重桜のお笑い芸人たちは逆に恐縮して身体を固くする。
 なにせ相手は他国の総旗艦だ。
 粗相があってはならない――のだが。

「ゲームはこちらっ」

 視界の男が、最初にヴィットリオ・ヴェネトが参加するゲームの説明を始めた。
 その声に合わせて番組スタッフが連れてきたのは……。

「えっと、あの生物は?」

 ヴィットリオ・ヴェネトが困惑したのは、大きめの水槽に入った生物が明らかに変だったからだ。
 タコ。
 海で戦うKAN=SENたちにとってはそれほど珍しくはないが――その大きさが、変だ。

「と、とても大きいタコですね……こんなに大きいタコは、初めて見たかもしれません」
「凶悪なセイレーン艦隊と戦うKAN=SENの女性にそう言っていただけると、ツカマエタこちらとしても誇らしいです! ちなみに、捕まえたのは彼です」

 そう言って紹介された番組プロデューサーがカメラに映り、一礼した。
 ヴィットリオ・ヴェネトはそんな彼に笑顔を浮かべて手を振ると、彼は顔を赤くしながら慌てて手の平に浮いた汗を上着で吹き、手を振る。

『緊張しすぎwww』
『うらやま!』
「ちゃんと重桜艦隊の詳しい人に調べてもらって、安全性は保障しています。実際、これまで何十人もの女優たちは無傷でしたし」
「そ、そうなんですね」

 ヴィットリオ・ヴェネトはその『詳しい人』と聞いて猫を真似る緑髪の重桜艦を思い浮かべたが、その通りだった。
 明石によって安全性だけは保障され、重桜全体の活性化の為ということもあってこの生物の使用を許可されたのだ。
 ――ただそれは『KAN=SEN以外になら使っていいニャ』というものだったが。

「ヴィットリオ・ヴェネトさんには、彼のくすぐり攻撃に耐えてもらいます!」
「くすぐり、ですね。ええ。大丈夫です。我慢してみせますっ」

 これまで何度も使用して安全だったということもあり、一番大事な事を忘れた人たちはKAN=SENであるヴィットリオ・ヴェネトにそのタコを見せる。
 事前の打ち合わせで話の流れは聞いていたが、いざ言われるとヴィットリオ・ヴェネトの身体が硬くなった。
 くすぐりもあまり経験がないものだが、しかしなにより。

(実物を見ると、こんなに気持ち悪い生き物だったなんて……)

 タコのような生物にくすぐられるとは聞いていたが、ヴィットリオ・ヴェネトがソレを見たのは今が初めてだった。
 とてもタコとは思えない外見は、明らかに何らかの異常によって発生した生物なのでは、という懸念を抱かせる。
 ただ、これまでも何人の芸人たちがこのタコに接していて、特に異常は表れていないという。

(だ、大丈夫ですよね……?)

 そう言いながら改めて水槽の中のタコを見た。
 赤黒い表皮に、子供の腕ほどもありそうな八本の足。
 金色の瞳は瞳孔が縦に裂けていて、まるでヴィットリオ・ヴェネトへ興味があるみたいに彼女をじっと見つめている。

「時間は五分間で、声を我慢出来たら報酬が出るという内容です! ヴィットリオ・ヴェネトさんの場合は、十分間のサディア帝国の紹介、ということで良かったですか?」
「はい。が、頑張りますから皆さん応援お願いします」

 ヴィットリオ・ヴェネトがカメラに向かってそう言うと、番組掲示板やネット掲示板には『ヴェネト頑張れ』『応援する』『タコ頑張れ!!!!』という言葉があっという間にスレッドを埋め尽くしていく。

「ではヴィットリオ・ヴェネトさん、こちらにどうぞ」
「分かりました」

 ヴィットリオ・ヴェネトが案内されたのは、KAN=SENが暴れても大丈夫なように特注で作られた磔だった。
 まるで罪人に使うような形状なのは、これが視聴者にウケる身体という理由で採用されたそうだ。

「くすぐったかったら、こちらを握って耐えてください。声は――呼吸音くらいならOKです。椅子から落ちるのも負けですから」
「はい」

 ヴィットリオ・ヴェネトが磔の前に立つと、背もたれ僅かに倒れた。
 長時間立っていても大丈夫なように、体重を背に預けるためだ。
 自然と身体が天井を向き、ライトの眩しさに目を細めるとすぐに影が顔を隠す。
 美女の笑い顔を見逃すまいとする、特注の小型撮影カメラだ。
 ヴィットリオ・ヴェネトには見えないが、テレビの別枠にサディア帝国総旗艦の美貌がアップで映され、それだけでもまたネット上が盛り上がる。
 別の枠では側面からヴィットリオ・ヴェネトの姿が映され、僅かに仰向けになって形が潰れた豊満すぎる乳房が映っていた。
 さらに別の枠は深夜のお色気番組らしく下半身が映され――黒いワンピースのスカートから覗く太もも、角度の関係で目を凝らせばその奥にある黒い布地がうっすらと見えてしまっている。

(サディアの総旗艦にこんなことして大丈夫なんですか!?)
(ほっ、本人が撮影OKって言ってるんだから……い、いいんじゃないか?)

 撮影スタッフは国際問題にならないかと心配したが、しかし『いつも通り』の撮影でネット上はもうお祭り騒ぎだ。
 もはや伝説になりそうな閲覧数を突破し、まだまだその数は増えている。

「で、では始めますね? 気持ち悪かったら、すぐに逃げても大丈夫ですから」
「お心遣い、ありがとうございます。でも大丈夫です」
『司会が気を遣ってて草』
『国際問題不可避』

 なんてコメントが流れた後、ついに水槽から奇妙な外見のタコが出てきた。
 これは重桜の近海でだけとれるタコ……という訳ではない。
 数年前に重桜の近海で大規模なセイレーン艦隊との戦いが発生し、多くのセイレーン艦が沈没した。
 その際に溢れた特殊な薬液が深海に溜まり、運悪くそこを縄張りにしていたタコが長い時間で薬液を大量に摂取して進化した生物だった。
 他の魚たちは逃げ出したのだが、その薬液を浴びて変質したタコにとってはむしろのその薬液に汚染された海域こそが住み心地の良い楽園となり、数年もの間成長し続けたのだ。
 しかしついに漁師の網にかかったタコは釣りあげられ、その奇妙さから金銭目的でテレビ業者に発売――今ではその知能の高さからバラエティ番組で利用されている。
 ……そう。
 このタコはセイレーンの特殊な薬液を浴びた影響で、異様なほど知能が高いのだ。
 それでも明石が安全だと判断したのは、コレがKAN=SEN以外には『ただの頭がいいタコ』でしかなかったからである。

(見た目は悪いですけど、ただのタコですし。五分くらいなら耐えられます)

 ヴィットリオ・ヴェネトはその事実を知らないまま、相手がただのタコだからと考えて安心していた。
 当然だろう。
 確かに見た目と感触は気持ち悪いが、タコが人を擽る知能なんて持ち合わせているはずなど無いと考えるのが普通だ。
 ――が。

「っ」
(来た――我慢、我慢です)

 タコの足が太ももに触れると、ヴィットリオ・ヴェネトの美貌が強張った。
 覚悟していても、やはりタコの触手と吸盤、そして表面から分泌される体液の感触は気持ち悪い。
 タコはまずヴィットリオ・ヴェネトのブーツを抜いた素足に触れた。
 まるで足の指一本一本、その間、足の裏まで撫で回す。

(あ、あれ……?)

 その時、聡明なヴィットリオ・ヴェネトはすぐに変だと思った。
 普通のタコならそのまま足を上ってくるだろう。
 けれどこのタコは、彼女の弱い部分を捜すみたいに丁寧に、しっかりと脚の指先から踵までを撫で回してくるのだ。

「ん、……っ……」

 咄嗟に足を逃がすように動かせば、タコは獲物を狙うように彼女の足を狙う。
 しかもヴィットリオ・ヴェネトの足は二本だが、タコの足は八本だ。
 どれだけ足を逃がしても簡単に追い付かれ、その抵抗を煩わしいと訴えるようにタコの足が足首に巻き付くと動きが制限されてしまう。
 ――それどころか、磔にされた狭い場所で両脚を暴れさせるとヴィットリオ・ヴェネトの下半身を隠しているスカートが揺れ、簡単に大切な部分を覆っている薄布……派手な衣装の黒下着がチラリチラリと画面に映ってしまっていた。

『見えた!』
『黒!?』
『銀髪美女の黒下着!!』

 当然それはネット上の動画にも映り、掲示板が盛り上がる。
 しかもそれは数秒おきに盛り上がりが加速した。
 よほどタコの感触が気持ち悪いのだろう、ヴィットリオ・ヴェネトは自分がスカートだということを忘れたように足を悶えさせてしまう。
 真っ白な太ももは当たり前で、黒い下着も最初はチラリチラリと見えていただけなのに、一分もすれば可愛らしい赤のワンポイントリボンまで撮影用の電灯に照らされて丸見えになってしまっている。
 サディア帝国の総旗艦に相応しい細かな意匠と高級感のあるレース地の黒下着は布面積が普通の下着より狭く、ハイレグ状。
 下から見るだけでも鼠径部の際どい部分まで見えてしまっているけれど、剃っているのかちゃんと整えているのか、陰毛はきちんと隠れている。
 後ろは完全なTバックで、豊満な尻肉は丸出し。紐のように細いレース布が一本、尻の谷間に入り込んでしまっているところまでテレビに映ってしまっていた。

「ふ、う……ふぅ……」
(このタコ、本当に私の弱いところを探してる……? 偶然、ですよね?)

 ヴィットリオ・ヴェネトはタコの知性が思っていたよりずっと高い事に驚いていたが、けれどそれを偶然だと思うようにしていた。

(それにしても、ちょっとくすぐったく……っ……)

 悶えるように可能な範囲で足を逃そうとすれば、更にスカートが捲れ上がってショーツのリボンだけでなく可愛らしいお臍まで見えてしまっていたがやはりヴィットリオ・ヴェネトは気付かない。
 それどころか、たっぷりと中身の詰まった巨尻が窮屈そうに自重と磔台に挟まれ、魅惑的にその形を変えてしまう。
 その全部が撮影されているなんて想像してもいないサディア帝国の総旗艦は、ちらりと時計を見た。

(まだあと三分、でも)

 これくらいなら耐えられそう、だと思った。
 確かに思っていた以上にくすぐったいが、けれどやはり相手はタコ。知性の無いこれまでの行動はただの偶然だろうとヴィットリオ・ヴェネトは思う。
 それにしても。

(重桜の伝統的な生物だとおっしゃっていましたが、本当にこんなものが重桜の海には多いのでしょうか?)

 そう思っていると、タコが足を伝って身体を上ってきた。

「っ!?」
(えっ、足だけじゃ!?)

 そんなの聞いていないとヴィットリオ・ヴェネトの美貌が強張るが、むしろくすぐる箇所は足裏だけだなんて説明されていない。
 ただ、最初にタコが足に触れただけなのだから。

「ッ、ふっ!?」
(うそ、身体――服まで!?)

 足を上ったタコはヴィットリオ・ヴェネトの腹に乗ると、動きを止めた。
 身体の中心――そこならこれまでと同じように足に触手を伸ばし、次に脇や首筋にも触手が届くのだ。

(やっぱりこの子、頭がいい!?)

 腹に乗って自分を見下ろしているタコの双眸を見て、ヴィットリオ・ヴェネトは確信する。
 その瞳には明らかな知性が感じられたのだ。
 同時に、タコはヴィットリオ・ヴェネトの全身に触手を伸ばす――最初はまた彼女の弱点を捜すように、新しく首筋や腋を擽ってきた。

「ふっ、ぅぅうっ!?!?」

 目の前にあるカメラが、ヴィットリオ・ヴェネトの表情の変化をつぶさに撮影する。
 最初は驚愕に強張り、次は気持ち悪さを我慢するように歯を食いしばり、首筋や腋を触られる刺激に顔を左右に振る。
 顔の動きに合わせて身体が揺れると、椅子という狭い空間の中での小さな行動なのに豊満な乳房も合わせて左右に揺れる。
 ユサッという音が聞こえそうなほど重い動きと共に乳房が魅惑的に動けば、それもまた撮影された。
 ワンピースが動きに合わせて僅かに揺れると、ショーツとお揃いのストラップレスの黒レースブラがチラリチラリと見えてしまう。

「あっ、うぅぅうっ、ふぅぅぅうぅぅっ!?」
「おおっと。残り二分でヴィットリオ・ヴェネトさんの呼吸が乱れてきました! タコ君、頑張れ!!」
(あっ、あと二分っ!)

 ヴィットリオ・ヴェネトはその声で時間を思い出すと、必死に歯を食い縛った。
 声を出さない。
 ただその事だけを必死に守っている彼女にタコの触手が伸びてきた。
 八本の触手はそれぞれが美女の弱点を捜すために上半身を這い回り、そのまま脇や首筋だけでなく耳や鎖骨の窪み、手の甲なんて今まで意識したことが無い場所まで撫で回してくる。

「ひっ、ふっ、ふむっぅうっ!?」
「声は出たか!? まだっ、まだ出てないっ」

 一瞬悲鳴のような声が漏れそうになったが、ヴィットリオ・ヴェネトはすぐにその声を飲み込んだ。
 判定者たちも反応に困ったようだが、まだ声は出ていないと判定される。

(ダメっ、声っ、出ちゃう――でちゃいそうっ!?)

 ヴィットリオ・ヴェネトが必死に耐えるための取っ手を力強く握って声を我慢するけれど、触手はそのまま上半身全体――最も目立つ、豊満な乳房にも触手を伸ばした。

「っ!?」

 それだけでなく、特に反応が良い首筋や腋を撫でる触手以外は、今度は下半身の鼠径部というデリケートな場所にまた触手を伸ばす。

(うそっ!? そこはっ!?)

 タコの粘液でワンピースが濡れ、肌に張り付いてきたのが感触で分かる。
 濡れた服はその下にある下着の線を浮かび上がらせた。
ただでさえ見事なヴィットリオ・ヴェネトの美肢体が張り付いたワンピースで強調されると、明確な性的アピールなどまだしていないのにあまりの色香でネット上が熱気に包まれた。
 美女が妨害しないのを良い事にタコの触手は更に暴走し、胸を揉むような動き、鼠径部を摩るような動きが加わる。

(うそ、うそ!? 私、胸を揉まれて!? それに、なんでっ!?)

 100センチを超える豊満な乳房が触手で撫で回されながら形を変え、鼠径部を撫でられるとハイレグショーツが更に食い込んで今にも割れ目にまで黒布が入り込んでしまいそう。
 そのまま更に触手の動きが激しくなれば、ワンピースの下でストラップレスのブラがズレたのか、肌に張り付いたワンピースの上に可愛らしい突起まで見えてしまった。

(タコに触られただけなのにっ!?)

 身体が熱くなって、お腹の奥までジンジンしてきた。
 変な気分になりそうになっていたのを胸の突起で自覚すると、ヴィットリオ・ヴェネトは恥ずかしさの余りタコの触手を力強く掴む。

「あ、あ――もうダメッ!?」

 ついに声を上げると、銀髪の美女はKAN=SEN特有の怪力で蛸を引き剥がし、床に投げた。
 動揺していたのか力加減を誤り、タコの触手が一本、KAN=SENの怪力によって引き千切られてしまったほどだ。

「あー……え、えっと。残念でしたね、ヴィットリオ・ヴェネトさん……」
「はあ、はあ……あ」

 ヴィットリオ・ヴェネトはそこで、自分がゲームをしていて、それに負けたことを思い出した。
 けれど今のヴィットリオ・ヴェネトはそれより恥ずかしい胸の突起を片手で隠し、今更だが捲れていた事に気付いたスカートの裾を反対の手で整える。

「あ、あのっ! 一度更衣室に戻りますね!?」

 服が濡れて肌に張り付き、下着の線まで丸見えなのだ。
 ヴィットリオ・ヴェネトは恥ずかしさのあまりそう言うと、生放送だということも忘れてその場を後にした。
 明らかな放送事故だが、しかしネットは大盛り上がりだ。
 ヴィットリオ・ヴェネトの反応が真に迫っていて、だからこそ『ヤラセ』では無いのだと多くのネット民が信用する。

『下着ご馳走様』
『タコぐっじょぶ』
『そのタコ俺も飼いたい』

 なんてコメントが流れる中、ヴィットリオ・ヴェネトは更衣室へ駆けこんだ。

「はあ、はあ――ど、どうして……?」

 しかし彼女の動揺は、肌が露出して、服が濡れて張り付いていることに対するものだけではない。

(体が、熱い……っ。なんですか、これ? どうして……っ)

 人間よりはるかに強靭な体力を持つKAN=SENであるはずなのに、しかしヴィットリオ・ヴェネトの身体は人間が全力疾走した後のように火照っていた。
 身体の感度も時間が経つごとにどんどん上がり、今では濡れた服が肌に擦れるだけでもゾワゾワした変な気分になってくる。
 着替えを取るために控室へ飛び込んだヴィットリオ・ヴェネトは、着替えを取る余裕もなく畳の床へと腰を落とした。

「あのタコの粘液? でも、プロデューサーさんたちはそんな事を言って……いえ、まずは服を……」

 原因は分からないが、しかし不調の原因があのタコの粘液であることは明らかだ。
 ヴィットリオ・ヴェネトはそう判断すると、とにかくまずは濡れた服を脱いだ。
 金刺繍が眩しい赤の軍服を脱ぎ、一瞬迷った後に黒のワンピースも脱いでしまう。
 その下から現れた繊細な刺繍が施された黒のレースブラとお揃いのショーツが現れると、敏感になった肌が空気にくすぐられてそれだけでも変な気分になりそうだ。
 ブラは先ほどの触手の行為によって僅かにずれて腹の方に引っ掛かっていて、乳房は丸出しだ。
 服の上からでも100センチを超えていた巨乳だが、しかし下着から解放された今は更に一回り大きく膨らんでいた。
 服とブラに押し込められていてもあのサイズだという証明であり、その先端には美しいほど綺麗な桜色の乳輪と、小指の先ほどまで勃起した可憐な乳首が存在している。
 バラエティ番組に出演して興奮したのは明らかで、ヴィットリオ・ヴェネトはそれが恥ずかしくてたまらないといったように顔を赤くするとブラの位置を正す。

「ンッ……やっぱり、へん……っ」

 ブラの位置を直す際に下着の裏地が乳首と乳輪を擦れば、弱い電流が流れたような刺激を感じて自分でも驚くくらい甘い吐息が漏れた。
 下着姿になったヴィットリオ・ヴェネトがまた畳の上に座り込む。

(なんとか興奮を収めて、それから服を着替えないと……はやく……)

 しかし今は撮影の最中なのだ。
 いつまでも共演者たちを待たせるわけにもいかず、下着姿のまま冷たい畳の上で必死に興奮を抑え込もうと目を閉じるヴィットリオ・ヴェネト。
 それが災いした。
 普段の彼女ならもっと周囲に気を配っていただろうが、今は自分の体の変調だけで頭の中がいっぱいになっており――背後で更衣室のドアが開いたことにも気付かない。
 入ってきたのは先ほど、彼女の全身を撫で回していたタコだ。
 セイレーンの薬液に使ったことで変質し、その本質である『KAN=SENを襲う』ことを思い出した彼はヴィットリオ・ヴェネトを追ってきたのだ。

「きゃっ!?」

 そのまま音もたてずに床を這って移動すると、タコが下着姿のまま座り込んでいたヴィットリオ・ヴェネトに背後から襲い掛かった。
 無防備な背中に張り付くと、ヴィットリオ・ヴェネトは驚いて声をあげる。

「なっ、なにっ!? これはさっきのタコ!?」

 タコはすぐに首に、肩に、両腕に触手を伸ばしてヴィットリオ・ヴェネトを拘束した。
 しかし彼女もKAN=SEN、しかもサディア帝国の総旗艦を務める女性である。
 即座に反応すると下着姿であることも忘れて凛々しく立ち上がり、タコを引き剥がそうとする。
 だが相手は、セイレーンの薬品を浴びて進化してしまったタコだ。
 KAN=SENの怪力に抵抗しようとすれば触手が千切れるが、しかしヴィットリオ・ヴェネトの目の前でその千切れた触手が再生したのだ。

「え!?」

 その再生能力に驚いていると、タコはまたヴィットリオ・ヴェネトの両腕を拘束した。
 しかも今度は彼女の関節を極め、非力ながらKAN=SENの肉体を完全に封じ込めようとしてくる。

「この子っ!? やっぱり頭がっ」
(頭がいいっ!? ッ、マズい、このままでは……っ)

 すでに撮影場所で千切った触手も再生していて、その数は八本に戻っている。
 腕を拘束しているのは二本、残った六本が黒い下着だけしか纏っていないヴィットリオ・ヴェネトの全身に纏わりついてきた。
 しかも先ほど以上の執拗さで腋、首筋と言った敏感な場所から、背中や耳、それどころかいきなり胸やショーツの上から敏感な陰部にまで触れてくる。

「な、うぅうっ!?」
(いきなりそんな場所っ!? か、身体がまた……っ)

 タコは触手の表面からまた粘液を分泌させた。
 それがストラップレスのブラや繊細な意匠のレースショーツを濡らして肌に張り付いてくる。
 服を脱いだ肩や腹部と言った丸出しの肌に至っては、ドロドロに濡れて魚介類特有の生臭さに包まれたがそれも気にならないくらいヴィットリオ・ヴェネトは全身が熱くなるのを自覚した。

「や、っぱり……なんですか、これぇ……っ」
(からだが、熱いぃ)

 タコの触手に抵抗しようと凛々しく立っていたヴィットリオ・ヴェネトの膝から力が抜けた。
 しかし倒れないのは、サディア帝国の総旗艦としての誇りと、KAN=SENとしての誇りだった。

「こんなものにっ、負けるわけにはぁ……っ」

 身体が芯から熱くなり、全身から力が抜けそうになる。
 今すぐにでも床に倒れ込んで触手に全身を任せたい衝動を我慢しながら、ヴィットリオ・ヴェネトは必死に足を動かして更衣室の壁へと向かう。
 背中に張り浮いているタコを身体と壁で挟んで潰すためだ。

「殺すのは難しいかもしれませんが、触手さえ解けたら――っ」
(なんとかして、逃げないとっ)

 ヴィットリオ・ヴェネトはまだ諦めていなかった。
 何とか逃げて、この奇妙な突然変異としか言いようのないタコを回収しなければならない。
 無理を言ってサディア帝国と重桜の未来のために番組へ参加させてもらったのだから、これ以上迷惑を掛けたくないという彼女の考えは――しかし、突然更衣室にあったテレビの電源が入ると絶対零度のように凍り付いた。

『ヴィットリオ・ヴェネトさん!? どこに居るんです……か……』

 そこに映っていたのは番組のプロデューサーだった。
 更衣室には三つのテレビがあって、別のテレビには参加者たちが、最後のテレビにはネット掲示板の書き込みが映っている。
 ハッキングだと、ヴィットリオ・ヴェネトはすぐに気付く。

「ま、さか……?」
(は、ハッキング!? 更衣室の映像が見られて――!?)

 それを『サディア帝国を悪く思っている第三者』の悪意だと考えるよりも早く、ヴィットリオ・ヴェネトは自分の背中に張り付いているタコを疑った。

(そんなはずは――でも、ですが……)

 このタコが異常なのは明らかだ。
 重桜の特別な存在だといわれても、それだけでは証明できない違和感をヴィットリオ・ヴェネトは覚える。
 しかしそれに悩んでいる暇はない。

「だめっ!? 見ないでくださいっ! 見てはいけませんっ!?」

 テレビの中の人たちは、今のヴィットリオ・ヴェネトの状態が見えているような反応だった。
 そう言うと、理性のある数人はすぐにテレビから視線を外してくれる。
 だが、多くの人たちの目は、そしてネット掲示板に追加されていくコメントは興奮で乱れていった。

『本物の触手プレイ?』
『100パー放送事故じゃん!?』
『下着姿エロッ!?』
「あ、あぁぁ……」

 ヴィットリオ・ヴェネトはそのコメントを呼んで、少しでも肌を隠そうと後ろを向こうとした。
 しかしタコはそれを許さず、自重を使って美女のバランスを崩すと背後に引っ張り倒したのだ。

「きゃっ!? あああっ!?」

 強かに畳へお尻を打ち付けた痛みよりも驚きと羞恥――倒れた際に大胆なM字開脚を披露し、気付いたヴィットリオ・ヴェネトがすぐに足を閉じようとした。
 けれどタコは触手を彼女の綺麗な美脚へ巻き付けると、そのまま開脚を強○する。
 赤のワンポイントリボンが可愛らしいストラップレスのブラとお揃いの意匠をしたショーツがテレビへ丸出しになる。
 その時、カチッという小さな音が聞こえた。
 タコの目だ。

「まさかっ」
(それがカメラなんですか!?)

 そう考えれば、これまでの異変にも説明が付く。
 タコの形をしているが、中身は機械、もしくは一部を改造した生体兵器の類なのだ。

「ヒッ!?」

 その事に気付いても、両手両足を拘束されてしまってはヴィットリオ・ヴェネトに抵抗の手段は無い。
 残った四本の触手が身体を這い回ると、まるで視聴者たちの欲望に反応するみたいにその動きが性的なものへと変わっていく。
 黒のレースブラの上から胸に巻き付き、下ではいきなりショーツの中に触手が侵入してきたのだ。
 別の触手は首に巻き付いてヴィットリオ・ヴェネトの美貌を正面に向かせて恥ずかしがる様子を第三者に見せ付け、残った一本もいきなりショーツの中に入り込むとこちらはクリトリスに巻き付いてくる。

「ふぁあああっ!? あっ、ちが――ダメッ、お願い見ないでっ、見てはだめで――んぁアアアッ!?」

 嬌声を上げてしまったことを恥ずかしがると、すぐにテレビの向こう――画面の向こうに居る第三者たちに制止を求めた。
 しかし相手はサディア帝国の総旗艦、ヴィットリオ・ヴェネトなのだ。
 美しい銀髪に凛とした容姿。
 重桜の一企業の社員にもきちんと挨拶をしてくれる礼儀と、柔らかで心地の良い声音。
 この数時間で彼女の良い所を多く知った出演者とリスナーたちに、そんな彼女が妖艶な黒下着姿で悶えている光景を見逃せるはずがない。
 しかも相手は、美しいヴィットリオ・ヴェネトとは対照的としか言いようのないおぞましい怪物――タコ。
 タコがそのまま少し乱暴にヴィットリオ・ヴェネトの胸を揉めば、100センチ越えの豊満な乳房が形を変えた。
 上に下に。右に左に。
 まるでつきたての持ちのような柔らかさでその形を変え、波打てば、ストラップレスのブラは簡単にズレおち、恥ずかしい桜色の突起が丸出しになってしまう。

「イヤァアアア!?」

 ヴィットリオ・ヴェネトはすぐに乳首を隠そうとしたが、しかし関節を極めている触手を振りほどけない。
 むしろ身体を暴れさせたことでより激しく巨乳が揺れ、リスナーたちの視線を楽しませてしまう。
 そのまま触手が蠢動を繰り返し、その裏にある吸盤が乳首に狙いを定めると――躊躇いなく吸い付いた。

「んヒッ!?」
(い、痛い!? これ、吸盤で噛まれてっ!?)

 タコは吸盤で触手に吸い付いたまま、更に触手を蠢動された。
 それどころか吸盤を効率よく使って胸全体に刺激を与えれば、タコの粘液で全身がドロドロになっている銀髪美女の肢体が畳の上で小刻みな痙攣を繰り返すようになる。

「いたい、のにぃ……どうして……ッ」
(身体が、胸が熱い……っ)

 それがタコの体液による変調であるのは明らかだ。
 その為に服まで脱いだのに、肌へ直接塗られてしまったことで今まで以上の熱気に身体の芯が熱くなる。
 全身から汗が噴き出し、真っ白な肌は桜色に火照り、ヴィットリオ・ヴェネトの美貌が甘く蕩けていく――。

「は、なれなさ……いっ」

 しかし、ヴィットリオ・ヴェネトはまだサディア帝国の総旗艦だった。
 彼女は理性を総動員すると、必死に両手を拘束する触手を引き剥がそうと全身に力を込めた。
 少しずつ背に回されていた両腕が動き、拘束が緩んでいく。
 タコも全力で抵抗したが、しかしKAN=SENの怪力を封じるには完全な力不足だ。

(あと、すこしっ!)

 視線の先では、こんな状況でもヴィットリオ・ヴェネトを応援してくれている人が『がんばれ』と応援してくれている。
 数はかなり少ないが、それでもその応援が彼女の力になった。

「はなれっ、なさい……っ」

 しかしタコは腕力で叶わないと理解すると、胸に張り付いている吸盤を蠢動させた。
 甘噛みするように乳首を刺激し、触手を巧みに動かして胸を揉めば必死に抵抗しようとする力が分散させられてしまう。
 ようやく僅かに浮いた両腕が、また背後へ少し戻ってしまった。

「ふっ、ふっ、うぅぅうぅぅっ!?」
(ズルい、ですっ! こんな、こと……っ)

 力勝負なら。正面から戦えば。
 絶対に負け無い相手なのに、胸を刺激してくるだなんて卑怯としか言いようがない。
 ヴィットリオ・ヴェネトがそう思っていると、ショーツの中に入り込んでいる触手も蠢動を開始した。

「アッ!?」

 驚いた視線を、彼女はカメラに撮られてリスナーたちに見られていることも忘れて自分の下半身――股間に向ける。
 その視線だけでリスナーたちは何が起きたのか理解し――。

「そこはダメぇえええっ!?」

 ヴィットリオ・ヴェネトが咄嗟に太腿を閉じた。
 動いた触手が陰部を刺激した――どころではない。
 乳首と同じように、クリトリスに吸盤が吸い付いたのだ。
 そのまま甘噛みされるような刺激を与えられると、銀髪の美女は太ももを閉じて必死に抵抗しようとする。
 しかし両足に巻き付いている触手が邪魔をして、すぐに開脚を強○された。

「アッ、アッあ、ッ、アッ!?」

 吸盤が蠢動するたびに口から嬌声が漏れ、ヴィットリオ・ヴェネトは泣きそうな顔になりながら顔を伏せる。
 それだって首に巻き付いた触手によってすぐに顔を上げさせられ、乳首とクリトリスを吸盤で吸われて感じる女の顔をリスナーに見せつけた。

「おねがっ、いっ、あうっ!? おねが、っ、みないで、くださぃっ!」

 必死に声を出し、懇願するヴィットリオ・ヴェネト。
 サディア帝国の総旗艦として理性を失わず、制止を求める様子は流石だ。
 ここまで追い詰められてなお諦めない凄まじい理性に多くの者は驚くだろうが――相手はタコ。
 理性があるのかも怪しい、機械混じりの生命体だ。

「あ――」

 ヴィットリオ・ヴェネトの股間を隠している最後の砦――黒のTバックレースショーツが持ち上がった。
 その内側に入り込んだ触手が下着の布地が持ち上がるほど大きく動き、その先端が女性器に狙いを定める。
 下着のゴムが引っ張られる感覚でヴィットリオ・ヴェネトは次に何が起きるのかを理解し、即座に歯を食い縛った。

「ンあぁアアアああっ!?」

 しかしタコの触手が一気に膣穴の最奥まで侵入して子宮口まで叩くと、あまりの衝撃に食い縛った唇を大きく開けて嬌声を上げた。
 さらに、その動きに合わせて乳首とクリトリスに吸い付く力が強くなり、全身から気持ちいい感覚が溢れ出す。
 一瞬で目の前が真っ白になると、ヴィットリオ・ヴェネトの美肢体が画面の目の前で、畳の上でビクンビクンと激しく痙攣する。

「アッ、アッ、アッ――ダメッ、止まってっ、止まって下さ――ダメぇええっ!?」

 すぐにまた、ヴィットリオ・ヴェネトの全身が痙攣した。
 絶頂してもタコの触手は止まらず、ショーツの紐が切れそうなほどの乱暴さで女性器を○す触手が激しい前後運動を繰り返す。
 すぐに股間から水音が響くようになり、ピストン運動を数回も繰り返すとショーツ越しにもそうと分かるほど激しい飛沫が上がった。

「ファアアアっ!? あっ、ダメッ、でるっ、出てっ!? またなにか――やめてぇっ!?」

 銀髪美女が叫ぶと同時に、触手の動きに合わせて潮を吹いた。
 そのまま愛液を掻き出すように臍の裏側を擦れば、ヴィットリオ・ヴェネトは絶頂したまま戻れなくなる。
 タコはヴィットリオ・ヴェネトの膣内の弱点を探し出すと、そこだけを責めた。
 クリトリスの裏側、腹の裏側、子宮口の周辺。
 同時に乳首とクリトリスを責めれば銀髪美女はサディア帝国の総旗艦という立場がかすみそうなほど激しい絶頂に襲われ、簡単に潮を吹く。
 畳の上で激しい潮吹きを繰り返せば、あっという間に畳の吸水限界を超えた淫液が黒いシミを作って周囲に広がった。
 しかしそれでも止まらない。
 セイレーンの薬液に浸って進化したタコはその本質に従い、KAN=SENを倒すために攻撃する。
 そう、これは攻撃だった。

「ああぁああっ、ふぁああああっ、アアアッ、ああっ、ああああアアアッ!?」
(くや、しい――くやしいっ、悔しいっ、悔しいっ!!)

 タコに犯され、その様子を見られ、恥ずかしくて、情けなくて、悔しくてたまらない。
 ヴィットリオ・ヴェネトはせめて気持ちだけは負けないよう、凛とした視線をカメラに向けた。
 重桜の民たちと融和するために見せていたテレビ画面の向こう側に向けた優しい笑顔ではなく、敵を射抜く鋭い指揮官の視線だ――。



「ふぎゃぁぁアアアああああ!? もうやめてぇ、もうや゛べでぇえええええっ!? ゆるじで――またいぐ、い゛ぐぅぅううぅうっ!?」

 その数十分後、タコが分泌する体液の効果が表れてからのヴィットリオ・ヴェネトの姿は『酷い』の一言に尽きた。
 全身の感度が際限なく上がり、疲れ知らずの触手によって全身の性感帯を責められる。
 すでに両手両足の拘束は解かれていたが逃げることもできず、畳の上で悶絶しながら転がる銀髪の美女。
 唯一残った黒のショーツもついに破り捨てられると、誰もが見惚れる見事な肢体にどす黒いおぞましいタコの触手が巻き付いていく。

「はや゛ぐっ、はや゛ぐ誰か呼んでくださいぃぃいっ!」

 ヴィットリオ・ヴェネトはサディア帝国の総旗艦とは思えない醜態をさらしながら、画面の向こうに向けてザラやポーラといった仲間を呼ぶように訴え続けるのだった……。

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