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嘔吐の記事 (5)

柱前堂 2021/12/18 19:20

なにわんGP2021にサークル参加します

なにわんGP2021 は、12/25, 26 にオンラインで開催されるイベントです。
https://www.mandarake.co.jp/dir/gcs/deep/2021/11/15/2021122526-gp2021-1.html

柱前堂の新刊は、三角関係競泳水着ボクシングです。
【試し読み】前門の競泳水着、後門の白ロリィタ

チャンピオンの香純にとっては、タイトルを賭ける資格もない格下とのエキシビジョンマッチ。
しかしその相手は、かつて香純が一度も勝てなかったライバルの郁。
香純をチャンピオンまで育て上げたトレーナーの睦美は、香純がいまだに郁に拘っていることが我慢ならない。
そんな三人の試合と三角関係の行方は。

香純にありったけの期待を寄せて全力をぶつける郁。
香純をジムに囲いこんでもその先に踏み込めない睦美。
郁との勝負から逃げたことを引きずりながら、睦美の期待に応えたい香純。

試合は互いに苦しいボディの削り合いから、一気に天秤が傾いて……
胸と期待が重い女と胸と態度がデカい女に挟まれてダウンもできないチャンピオンの死闘にご期待ください。
最後はいつも通り、爽やか再起エンドです。

B5版二段組み20ページの小説です。
今回は冊子通販での頒布になります。今後DLsite等でのダウンロード販売も予定していますが、イベントから一カ月以上先を考えています。

また、なにわんGP2021での購入の際には、通販IDとクレジットカードが必要になります。ご注意ください。
https://www.mandarake.co.jp/dir/gcs/deep/2021/12/13/2021122526-gp2021-3.html

柱前堂 2021/07/31 13:35

販売開始しました! 復讐ボディブローに絶対負けない幼馴染

復讐ボディブローに絶対負けない幼馴染
販売開始しました!

若くしてチャンピオンになった幼馴染が、経験豊富な前チャンピオンに私怨混じりのボディブロー地獄を味わわされる話です。
わずかでもチャンスがあれば掴みに行く幼馴染と試合が続く限り徹底的に責め抜きたい前チャンピオンの思惑が噛み合い、壮絶な腹責めが展開されます。

シチュエーション

  • 5階級上の男子とのボディ打ち特訓
  • 被弾しながら体を押し込んでボディ2連発
  • 連打を浴びてダウン
  • ボディのダメージに力尽きてへたりこみダウン
  • ストマックブロー嘔吐
  • 限界を迎えて失禁失神

柱前堂旧作50%オフセール

DLsite のサマーセールにともない、柱前堂の旧作が 9/13 まで 50%オフになっています。
あわせてどうぞ。

柱前堂 2021/07/29 20:19

【試し読み】幼馴染はベルトを掴む(復讐ボディブローに絶対負けない幼馴染 第2章)

復讐ボディブローに絶対負けない幼馴染の試し読み、第2章分です。
本編の前のタイトルマッチ、主人公がチャンピオンに勝った試合です。
本編ではこの試合のリベンジをされちゃいます。


十ヶ月前。東都スーパーアリーナ。

『ここで第九ラウンド終了のゴング! チャンピオン猫四手 灯歌、このラウンドも試合をコントロールしています! プロデビューから破竹の八連勝で王座に手をかけた挑戦者ユミナ、チャンピオン相手に自慢の爆発力を見せる隙はないのか!? これが最後のインターバル、両陣営ともに勝負どころです!』

スツールに腰を落とした由実菜は、どっと襲ってくる疲れに焦りを感じた。
丸っこい顔には疲労の色が滲み、汗が噴き出て止まらない。無数のジャブを浴びてところどころ赤く腫れ、とくに右目は塞がりかけている。
練習してきたとはいえ、8ラウンドを越える試合は初めて。だがそれ以上に、チャンピオン灯歌の隙のなさがプレッシャーとなって重くのしかかっていた。
判定では大差で負けている。あと1ラウンドで灯歌をノックアウトできなければ、チャンピオンベルトは手に入らない。

「疲れてるか?」
「あ……うん。でも、まだやれる!」

マウスピースを抜いてくれた会長が状態を確認する。勇人の父であるが、子供の頃からジムに入り浸ってた由実菜にとっても父のような存在だった。仕事であまり家にいない実の父よりも、接していた時間は長いかもしれない。

「うん、タイトルマッチってやつはいつでも疲れるんだ」
「いつでも……?」
「そうだ。何度も防衛している猫四手だってそうだ。見ろ、腹を気にしないようにしてるだろ。ボディが効いてるんだ」
「あ……言われてみれば」

対角のコーナーに座るチャンピオン、猫四手 灯歌は両腕をロープに載せて体を開いている。余裕があり堂々と次のラウンドを待っているように見えるが、言われてみれば確かにわざとらしい。そわそわしているのは武者震いではなく、痛むお腹を抱えたいのを我慢しているのだ。
よくよく見れば、モデルもこなす端整な顔立ちがヒクヒクと動いている。苦痛に歪むのを必死に抑えているのだ。体が丸まるのは我慢できても、僅かな動作で黒髪のポニーテールが揺れるのは隠せない。

「ここまでチャンスを作れなかったからって焦るな。お前が疲れてる分だけ、猫四手も弱ってきてる。この先何十ラウンドもあると思って、納得できるまで機を窺え」
「何十ラウンドもって……それで次のラウンドで仕留められなかったら……」
「なんの、そんときゃベルトはまだ早かったってだけの話だ! とにかく焦んな、お前の勝負勘を信じろ。それで勝てなかったら、よっぽど運がなかったんだ」
「は、はい……」
「おう馬鹿息子、お前からも何か言ってやれ」

ちょうどマウスピースを洗い終えた勇人が顔を上げる。
勇人がセコンドに入っているのは小さなジムで人手が足りないのもあるが、一番信頼できる幼馴染に一番近くにいてほしいと由実菜が指名したからだ。
とはいえ、自然と涎まみれのマウスピースを触らせることになってしまう。あられもない姿は練習中にもいくらでも見られているとはいえ、どうしても乙女心は複雑になってしまう。

「まあ……由実菜が負けるところなんて想像できないからなあ。今はナーバスになってても、どうせ2分後にはぴょんぴょん跳ねて喜んでるだろ」
「お前なあ……180cm越えてる野郎の照れ隠しなんてかわいくねえぞ?」
「親父が言わせたんじゃねえか!」

親子漫才はさておいて、由実菜は不安で浮きそうになっていた脚がしっかりキャンバスにつくのを感じた。
ゆーくんが言う通りになりそうな気がする。根拠がなくても、ゆーくんが見ている景色と同じものを見られるという確信が湧いてくる。

「うっし! 行きます!」
「おう、いい顔になったな。あと一つ、迷ったらボディ叩いとけ。あれは相当キてるぞ」

勇人が洗ったマウスピースを会長に咥えさせてもらう。スツールから立ち上がり、拳を打ち鳴らす。あと2分間、やるだけやってみる。


ゴングが鳴って飛び出した由実菜を、灯歌の長身を活かしたフリッカージャブが襲う。

「ぶっ! ぶぶぶっ! ……このぉっ!」

頭を揺らされながらも前に出るが、灯歌のフットワークにするりと逃げられてしまう。
ここまでの試合は、この展開の繰り返しだった。ラウンドごとに数発は由実菜も当てることができて、なんとか最終ラウンドまで食い下がってきた。だが、それ以上に事態を動かそうと由実菜が手をつくしても、灯歌は必ずその作戦を上回ってきた。ベテランチャンプとの経験の差に、由実菜の連勝記録が阻まれようとしていた。

(でも……いける! 今なら追いつける! ブン殴る!)

インターバルで会長が指摘していた、灯歌のボディダメージ。それが灯歌の完璧なフットワークをも蝕んでいる。
こうして灯歌を追いかけていると、そのスピードが落ちたことは確信できた。

強打を振り、灯歌を退がらせる。由実菜が追う。灯歌が逃げる。由実菜が追う。灯歌が逃げる。由実菜が追いつく。
全力のバックステップを着地した灯歌に、由実菜のパンチを躱す余裕はない。

(ここだぁぁっ!)

由実菜は渾身のストレートを振り抜く。狙うはボディ。灯歌の厄介なフットワークをさらに削り、チャンスを広げる。

「んぶぐぅううっ!」

次の瞬間、突進する由実菜は灯歌の黒グローブと正面衝突していた。

(なん……で……っ)

由実菜のストレートは空を切っていた。灯歌は由実菜のパンチをサイドステップで躱し、その腕に交差するカウンターを叩き込んでいた。
では、全力で由実菜から逃げ回っていたはずの灯歌になぜサイドステップする余裕が残っていたのか。

(騙された……! あのスピードは全力じゃなかった……! 弱ったフリだったんだ……!)

由実菜は拳を突き出した姿勢のまま、黒グローブに顔面を滑らせ、リングに崩れ落ちた。

『ダウーンッ! チャンピオン灯歌、タフなチャレンジャーを撃墜ーッ! 挑戦者ユミナ、アウトボクサーの女王にダウンまで奪われ、厳しい展開! 連勝街道をひた走る若き才能も、王座の高みには届かないのかーっ!?』

潰れたカエルのようにキャンバスに倒れ伏した由実菜の横を通り、灯歌がコーナーへ戻る。由実菜は腫れかけた頬をキャンバスに押しつけたまま、微動だにしない。

(猫四手さん、弱ってない……もう最終ラウンドなのに……。これじゃ、打つ手がないじゃん……)

綺麗なクロスカウンターを貰っても、まだ由実菜には立って闘う力があった。だが、立ってもどう闘えばいいのか。それが分からない今、立ち上がる気力が湧いてこない。

「由実菜ーッ! 何ボケっとしてんだ、とっとと立て! KOで勝つんだろ!」

沈みかけた由実菜に、リングサイドから幼馴染の激が飛ぶ。

(か、簡単に言ってくれちゃって……! こっちは全然追いつけない上、ダウンまで取られて……あれ?)

勇人の無責任な言葉に、勝てない理由を列挙しようとして違和感に気付く。
ダウンを奪われたのは痛手だが、灯歌がそれほどの攻撃性を見せるのは珍しい。どうして灯歌は、わざわざ由実菜を罠に嵌めたのか。これまでのように、フットワークで逃げ切れば判定勝ちは揺がないのに。

(それができないから……逃げ切れないから、私から積極性を奪おうとした)

由実菜の闘犬めいたカンが、灯歌の弱気を嗅ぎつける。
勇人の言葉をきっかけに、なんだかいけそうな気がして立ち上がる。レフェリーにファイティングポーズを見せて試合再開を促しながら、頭はフル回転で勝利のチャンスをたぐりよせる。

(つまり……私が被弾を恐れなければ、捕まえられる! 倒せる!)

弱い犬ほどよく吠える。灯歌が急に見せた攻撃性は、これ以上は由実菜に近づいてほしくないという最後のあがき。
ダウンを奪われた由実菜も苦しいが、ダウンを奪わざるを得なかった灯歌はもっと苦しい。フルラウンドにわたって積み重ねてきたボディブローは、無駄じゃない。
レフェリーが試合再開を叫ぶ頃には、由実菜の全身にゴールへラストスパートをかける力が漲っていた。

『ユミナ立ちました! 膝から崩れ落ち、これまでかと思われましたが! しっかりと立っています! 試合再開!』

レフェリーが離れると、悲壮な顔をした灯歌が進み出てくる。ボディへのダメージで血の気が引いている、だけではない。
灯歌の覚悟と危機感の理由はすぐに分かった。由実菜が距離を詰めると、灯歌は脚をキャンバスにつけて迎えうった。やはり灯歌には、由実菜から逃げ切る力が残っていない。最後のハッタリを由実菜が見抜いた以上、下手に逃げ回るよりイチかバチかの勝負に賭けたのだろう。
由実菜の得意な距離での、打ち合いが始まる。

「ぶっ! ぐぶっ! この……ぶぶっ! ふぶぅ!」

だが、由実菜の被弾ばかりが増えていく。
チャンピオンの熟練のテクニックが、由実菜のパンチを寄せつけない。躱し、防ぎ、コンパクトなパンチで機先を制する。
当たれば一撃で倒せる距離なのに、その一発が当たらない。

「何焦ってんだ由実菜! らしくねえぞ! ボディ打てボディ!」

勇人の声が耳に届いて我にかえる。やっと掴んだ得意距離というチャンスに浮き足立って、顔面狙いに集中してしまっていた。
ボディを狙うと、灯歌は露骨にガードを下げた。だが空いた顔面を狙っても、スリッピングで躱される。上下に打ち分けてもなお、灯歌のディフェンスは鉄壁だ。

(でも、ここだ! ここが勝負所だ!)

再びボディを狙ってガードされる。空いた上に、大振りのフックを放ち、躱される。

「ぶぼほぉっ!」

由実菜に大きな隙が生まれ、強烈なカウンターをお見舞いされる。膝が折れ、上体が崩れる。

「やぁあああっっ!」

だが由実菜は泳ぎかけた右足をぐっと踏みしめた。前のめりになった重心をそのままに拳を振り回す。

「おご……っぶぅぅぇ」

カウンターをわざと貰って掴んだ由実菜の一撃は、灯歌の土手っ腹を打ち抜いた。

(もう一発!)

「おぶぶぅぅ!!」

動きの止まった灯歌に、ダメ押しのボディアッパーを叩き込む。
既にグロッギーな灯歌の腹筋を、由実菜のパワーがたやすく粉砕した。
これまではボディブローが当たってもずらされていた急所、ストマックを潰した水っぽい手応えに、由実菜は勝利を確信する。
2発のボディブローに悶絶した灯歌は、そのまま前に崩れ落ちた。

『だ、ダウーン! 壮絶なパンチの応酬に、チャンピオンダウンです! 今カウントが……ああっとここでゴングです! レフェリー試合を止めたー!』

由実菜は突然殴り合う相手がいなくなって呆然としていた。キャンバスに倒れ伏し、お腹を抱えて丸まる灯歌の背中を、その意味も分からず見下ろしていた。
丸まる灯歌にまずレフェリーが、次いでセコンド達が駆け寄る。壁を作って観客から敗者の姿を隠し、背中をさすり呼び掛ける。
集中的に介抱を受ける灯歌だったが、返事をすることはない。その代わりに、丸まった背中がビクンと大きく跳ねた。

「ウッ……オゴォェエエッッ!! ウェエエッッ!!」

キャンバスに顔を埋めこもうとするかのように前のめりになると、激しくえづいた。試合に備えて空っぽにした胃を、わずかにでも軽くして楽になろうと胃液を吐き出す。
灯歌自慢の長く滑らかな黒髪ポニーテールが、苦しみを表すかのように跳ねまわる。

「はぁーっ、はぁーっ、はっ、ふっ、はーっ……」

大観衆の前で長々と嘔吐した灯歌が、ようやく呼吸を取り戻す。
試合の緊張が戻らず呆然と見ていた由実菜は、顔を上げた灯歌と目が合った。

「ひっ……」

目尻に涙を浮かべた灯歌が、すさまじい形相で睨みつけてくる。不意打ちで強烈な感情をぶつけられた由実菜は、思わず竦んでしまった。

「由実菜、やったな! チャンピオンだぞ!」
「わっ!? あ、ゆーくん……」

だが、そんな感情はリングに上がってきた勇人に背中を叩かれて霧散した。
勇人に向き合うと、次第に由実菜の心中に色々な感情が湧き上がってくる。
ゆーくんがリングにいる。
試合は終わったんだ。
私……勝ったんだ!

「ゆーくん……私、私、チャンピオンに……」
「そうだぞ! チャンピオンだ!」

緊張が解けたのか、脚がもつれた由実菜を勇人が抱きとめる。由実菜は逆らわず、勇人の胸板で激闘に熱くなった顔を休めた。

柱前堂 2021/07/28 21:49

【新作予告】復讐ボディブローに絶対負けない幼馴染

柱前堂の新作予告ページができました

復讐ボディブローに絶対負けない幼馴染

7/31 発売予定です。
発売までの間、試し読みパートを段階的に公開しようと思います。

「JKチャンプ腹パン地獄」というワンフレーズから始まった企画が6万字近くになりました。どうして……。

ボディブローとそのダメージの描写はもちろんのこと、ボディブローを受けざるを得ない状況、どれほど痛く苦しくてもギブアップしない理由にもこだわりました。
当社比で丁寧な描写を心がけたので、文字数のわりには読みやすいかと思います。

主人公の由実菜もなかなかにかわいく書けたかと思います。対戦相手の悪い大人、灯歌の方が書くのはスムーズでしたが……。

主人公には限界まで苦しんでもらいましたが、終わりは爽やか……のつもりです。

作品ページには書きにくいメタな売りについてつらつら書きました。
柱前堂の新作、どうぞよろしくお願いします。

柱前堂 2021/02/06 21:39

腹パン嘔吐ギブアップ

ラウンド終了を告げるゴングが、こんなに嬉しかったことはない。
対戦相手は品定めするように私を上から下まで眺め渡して、満足げにコーナーへ向かった。自分の勝ちを確信した、舐めきった態度。
けれど私は、そんなムカつく顔をブン殴るグローブを両手に嵌めているのに、睨み返すことすらできなかった。丸まりたがる体を起こして痛むお腹を抱える姿を見せないことが、精一杯の意地。

「ふっ、ふっ、うぷ、う、はぁっ! はぁっ、ふっ、ふぅっ……」

遠ざかっていく相手の背中をぼんやり眺めながら、細い呼吸を繰り返す。身体は酸素を欲しているのに、痛めつけられた腹膜を庇いながらでは息を吐いて吸うポンプの仕事すらうまくできない。10kmをシャドーしながら駆け抜けるロードワークで鍛えた肺活量は、今や見る影もない。

内臓に刺激を与えないよう慎重に歩みを進めて、やっと自コーナーまで辿りついた。セコンドが心配そうに見ているものの、スツールに座ることすらできない。倒れ込むように一歩ずつ進むことはできても、そこから体の向きを変えて、膝を曲げて腰を落とすだなんて、今の私には難しすぎる。
スツールの前で立ち尽したまま、左右のロープに両腕を載せて体を支える。俯いてコーナーポストで顔を隠すような情けない格好が、今の私の精一杯。
とても次のラウンドに備えるボクサーには見えない格好で、痛めつけられた内臓に負担がかからないよう慎重に息をする。

安定する姿勢を見つけて呼吸を繰り返したことで、激痛で埋め尽くされていた内臓がしだいに輪郭を取り戻す。内出血がじくじくと痛む腹筋、乱れた呼吸で酷使され軋む横隔膜、押し潰された反動がいまだ荒れ狂っている胃、ぐちゃぐちゃに掻き回された腸。
その腸が、余裕を見つけて元に戻ろうと動き始めた。

「ふぅ、ふっ、はぁっ……んぷ、ぎぃっ!? いぎゃぁああ!?」

文字通り、はらわたを捻じ切られるような激痛が走る。少しでも痛みが逃げるかのようにロープをぎゅっと握りしめて、意識を埋め尽くす苦痛をなんとかやりすごそうとする。
そして、狭い腹膜内で腸が変形すれば、押される臓器も出てくる。

「んぎっ……う、あ……っ、うぷ、げぇぇぇ!! げはっ、う゛お゛お゛え゛ぇっ!!」

圧迫された胃が、内容物を減らして楽になろうと激しく収縮する。せり上がってきた胃液を押し返すことなどできず、ほとんど素通りで私は吐いた。
せり上がる嘔吐感に対して、反射的に口を閉じる。せり上がってきた吐瀉物を受け止めた私の頬が、マンガみたいに丸く膨らむ。けれど弱った私じゃお腹で爆発した圧力にはまるで勝てず、パンパンに膨らんだ頬は一瞬で決壊した。

「はぁっ、はぁっ、……っぷ、んん、ぼう゛ぇえ゛え゛っ!! げぇっ! はっ、がぁあっっ!!」

吐き出して少しは楽になった、と思えたのはほんの一瞬。出ていった分だけ空気を吸い込むと、活力の戻った体はすぐにもう一度吐こうとする。
第二波は酸素を供給した分だけ力強く、無様な声とともに吐き出された。すっかり嘔吐モードに入った体は痙攣しながら、内臓を吐き出すかのように前のめりに口を突き出す。

「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ、ふーー……っ」

吐くだけ吐き切ると、また体に酸素が入ってくる。痙攣も次第に収まり、浅い呼吸を繰り返してようやく外界の刺激に意識を向ける余裕が出てくる。

えずきながら涙で霞む視界に、私の胃液でべとべとに汚れたスツールが映った。覗き込む私の顔から涙と脂汗が滴り落ちて跳ねる。こんなんじゃもう、座れない。次のラウンドまで、吐いたせいで立ったままの姿を会場中に見られる?
何やってんだろ、私……。

やがてやってきたレフェリーの、重い言葉。私はノーと言えなかった。

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