フリーセンテンス 2021/06/29 21:50

私立魔鬼孕学園の淫談 卵巣改造多胎苗床編

 ・・・・・・この年の九月一三日、世界では若干九歳の少年ボナパルトス・シェアーズ・ジュニアが、アメリカの巨大民間軍事企業ダーク・シェアーズの新最高経営責任者に就任したことを驚きをもって報じられた日であった。
シェアーズ・ジュニアは数年前から行方不明となっているダーク・シェアーズの創業者ボナパルトス・シェアーズと愛人の間に生まれた子どもである。わずか八歳でハーバード大学を首席で卒業した「天才」であるものの、経営手腕の未知数と、なによりその若さが不安視されたため、就任報道が流れるや否や同社の株価は先行きの不安から売りが先行して一四パーセントも下落するという大暴落を記録するにいたったのだった。
 だが、それは海外での話であって、この日、日本で占められていた報道の大半は、南からやってくる大型の強い台風二十一号に関するものであった。
 中心低気圧八七〇ヘクトパスカルという昭和五四年に観測された史上最大の台風チックと並ぶ台風二十一号は、強い勢力を頼ったまま日本列島を横断する形で北上を重ね、翌一四日未明に関東を直撃した。
 強力な台風の蹂躙によって、関東一帯は苦悶する羽目になった。堤防の決壊による河川の氾濫、浸水や事故による交通網の遮断、電気・ガス・水道の各種ライフラインの寸断、落雷を原因とする火災の多発、さらにはそれらを要因とした人的被害も相次いで、さながら首都直下型地震でも起きたかのような惨事に見舞われたのだった。
死者・行方不明者合わせて一六五人という数字は、最低でも一二〇〇億円という経済的な損失と相まって、夏であるにも関わらず日本中を震えあがらせるにいたった。
 台風の関東直撃によって、当然のことながら魔鬼孕村にも甚大な被害が出た。人命の被害こそ出なかったものの、強風によって公民館の屋根や農業用ビニールハウスが吹き飛ばされたり、複数の民家で瓦屋根や窓ガラスの破損、老朽化した家屋の倒壊、増水した川が氾濫して田畑が水没したりといった被害が出た。が、不思議なことに、私立魔鬼孕学園だけは、その規模に関わらず、なんの被害も受けずに済んだのである。まるで、なにか「結界」にでも護られているかのように。
 だが、学園に隣接する封魔山は、この「結界」の恩恵にはあずかれなかったようであった。台風による猛威がピークを迎えつつあった一四日早朝、山肌の一部が斜面崩壊をおこし、地響きを轟かせながら土石流となって流出したのだ。
崩壊の大きさは長さ一三〇メートル、幅四五メートル、そして深さ二五〇センチメートルに及び、瞬間最高時速一三〇キロメートルという速さで魔鬼孕学園に迫ったそれは、まさしく自然災害の権化といってよかった。
土石流が学園に直撃していれば未曽有の大惨事になっていたはずだ。なにしろ土砂が流出した先には、生徒や教師たちが住む寮が複数棟建っていたからである。だが、土砂崩れは学園の敷地からわずか三〇センチメートル手前で止まったため、魔鬼孕学園は人的・物的被害を免れた。
「不幸中の幸いでした」
とは、理事長である槇原雪史郎に被害状況の報告をおこなった斎藤巧副理事長による安堵の末語であったのだが、槇原雪史郎は大した反応を示すことなく、二次災害への懸念を理由に封魔山への全面的な立ち入りを禁じる措置を命じたのだった。
土砂崩れをおこした山の斜面に、ぽっかりと洞窟が開いているのが見つかったのは、土砂災害が発生した翌日のことだった。
とあるテレビ局の報道ヘリが、空撮によって災害現場を報じた際、土砂崩れがおこった一角に、ぽっかりと大きな穴が開いているのが映ったのだ。暗く、深いその穴は、まるで地獄か黄泉の国へと通じる入り口のように見えた。
 この事態に色めきたったのが魔鬼孕学園オカルト部のメンバーたちである。というのも、封魔山には、その名が示す通り、古くから魔物が封じられているという伝承があって、そのことを知っていた彼らはその洞窟に封じられた魔物がいるのではないかと考えたのだ。
「さっそく調査に向かうべきよ!」
と、やや興奮気味に部の会合で主張したのは、オカルト部の中心メンバーであり、学園美少女神セブンのひとりにも数えられる四万十星羅であった。
 進学科に在籍する彼女は、低身長ではあるものの、容姿は端麗で、才色兼備、眉目秀麗を画に描いたような美少女であった。快活な性格で笑顔が絶えず、誰とでも気さくに分け隔てなく接することができる人柄であったため、他の神セブンたちと同様に男子生徒たちから高い人気を誇っており、その人柄ゆえか、告白を受けた回数は神セブンの中でもダントツだと言われていた。そして、そのまま交際に発展した人数も、神セブンの中ではトップだった。だが、交際が長く続いた試しはなく、それどころか、肉体関係はもちろんのこと、キスまで発展したことはないと言われていた。
 その理由は、彼女が現実よりもむしろ、空想怪奇の世界で過ごすことを好むような人物であったためだけでなく、目の前にいる恋人を、ただの話し相手としてしか目していない節さえあったからだ。しかも、その話す内容というのがほぼ一方的なうえ、内容も常人には理解し難いモノばかりであったからなおえぐい。
 四万十星羅にはオカルトマニアという別名がある。また、彼女のことを、奇人・変人と呼ぶ者も少なくない。これは当初、彼女の美貌や容姿に嫉妬した一部の女子たちが蔑称としてつけたものであったのだが、つけられた当の本人はその別称をいたく気に入ってしまい、いまでは自称として用いているほどである。そして、この別称こそ、異性との交際が短期間で終わってしまう理由でもあった。
 名は体を表すというが、その別名が示す通り、彼女はオカルトに関係することを趣味としている。宇宙人、超能力、未確認生物、伝説の古代文明、呪い、ナチスの人体実験、失われた太古の技術、邪神とその眷属、そして都市伝説など、常識から逸脱した分野の話を好み、それらに関する証拠の品や資料を集めることを一種のライフワークにしているのだ。
「南極には失われた古代文明の痕跡があって、そこを支配していたのは人類とはまったく別種の知的生命体たちだったのよ。そして、とある巨大企業は、ブルーブック作戦に際してアメリカ軍と協力し、南極から別種生命体の肉片を採取して凶悪な生物兵器を創り出そうとしているの。それも、非人道的な人体実験を繰り返しながらね!」
そんな話を、デートの最中、目を輝かせながら大真面目にずっと話してくるのである。しかも、将来の夢をオカルト研究科と言ってはばからなかったため、大抵の男子たちは精神的に参ってしまって、自ら交際終了を願い出るという有り様だった。
 そんな彼女にとって今回、封魔山の斜面で見つかった洞窟は、地元魔鬼孕村に残されている伝承を裏付けるものであったかもしれなかったため、前述のような主張に繋がったという次第であった。
 しかし、彼女の想いとは裏腹に、学園の対応は現実を極めた。
 学園は、理事長の指示を受け、洞窟に生徒たちが近づくのを禁じただけでなく、「危険」を理由に、早々に埋め立てるという決断を下したのだ。それも、「業者」を呼んで。
 この決定に星羅は憤慨した。
「なんの調査もおこなわずに埋め立てるなんて愚の骨頂! もしかしたら、なにか歴史的な発見があるかもしれないのに・・・・・・ホント、ナンセンスだわ!」
と、いうわけで、憤った彼女は、学園が定めた禁を破って、夜中にこっそりと洞窟の調査をすることにしたのだった。それも、誰にも気づかれぬよう、ひとりで。

          *

 ・・・・・・深夜、こっそりと寮を抜け出した星羅は、懐中電灯を片手に、フラッシュ付きカメラを首からぶら下げて、ひと通りの非常用グッズが詰まったリュックを背負って、封魔山の斜面に開いた洞窟にやってきた。ぽっかりと開いた暗黒の入り口は、遠目から見たよりも意外に大きく、成人男性の平均身長ほどあった。
「・・・・・・ここが深淵世界への入り口ね」
ごくり、と固唾を飲みながら、星羅は懐中電灯のスイッチを入れた。洞窟の中を照らすと、内部は以外にも広く、そして想像していたよりも遥かに深いことが伺えた。少なくとも、懐中電灯の光が届く範囲には底らしき場所は見当たらなかった。
「・・・・・・ごくり」
星羅がまた固唾を飲んだ。ひと筋の汗が頬を伝う。洞窟の奥に広がる暗黒世界に向かうにあたって、不安や恐怖といった感情が無いわけではない。怯えや恐れは確かにあったし、それは決して少なくなかった。
 だが、好奇心がそれらに勝った。
 それも、圧倒的に。
 この先に何かがあるかもしれない。伝承にあるような魔物はいなくても、その元となるような「ナニカ」が居るかもしれず、たとえそうでなくとも、驚くような発見があるかもしれないのだ。その狂気とも呼ぶべき好奇心が、彼女に一歩を踏み出させた。
「さぁ、行くわよ」
まるで自分に言い聞かせるようにして言葉を発すると、星羅は暗黒世界に向かって一歩を踏み出した。
 洞窟は、夜の闇よりも暗い漆黒によって支配されており、星羅が手にする懐中電灯以外に光は存在しなかった。
 洞窟は、地面がやや斜めに傾斜しており、奥に向かうほど下へと向かう構造となっていたため、前進するにあたって細心の注意を払う必要に迫られたが、それによって気づいたことがあった。
「・・・・・・地面、意外にしっかりしているのね」
その言葉通り、意外というべきか、歩む地面はまるで整地されているかのように頑丈でしっかりと固まっており、小石や砂利も無ければ、ぬかるみや滑りといった要素もなかった。そのため、星羅は比較的スムーズに奥へ奥へと進むことができたわけだが、そのことで、彼女は奇妙な感覚に襲われはじめた。
「き、気のせいかしら・・・・・・な、なんだか、だんだんと広くなってきているような気がするんだけど・・・・・・」
そう思いながら、懐中電灯で周囲を照らす。光の線が伸びて天井や壁にぶつかるのだが、その距離が、入り口付近よりも遠くなっているような気がしてならないのだ。そしてその疑問は、奥へと進む距離が増すにつれ、次第に確信に変わっていった。
 洞窟は、深くなるにつれ、明らかに広くなっていた。最初は学園の廊下程度の幅や高さしかなかったのに、一歩、また一歩と奥に進むにつれて次第にそれらが増えてゆき、いまでは入り口付近と比べると、その倍以上の広さになっている断言することができるほどだった。
「ごくり・・・・・・」
星羅がまた固唾を飲んだ。洞窟に入ってからまだそれほど時間が経ってはいないものの、スムーズに進めたこともあって、かなり奥深くにまで到達したはずである。その証拠に、懐中電灯の光を来た道に向けても、入り口はもう見えない状態である。しかし、底はまだ見えない。
(・・・・・・一度、引き返した方がいいかしら)
洞窟の状態や構造に、異質な違和感と不安感を覚えた麗羅は、一瞬、帰還の念に駆られた。
 不気味で奇妙な音が聞こえたのは、まるでそのタイミングを見計らったかのような時であった。
ギィ、ギイィィィィ・・・・・・。
星羅の心臓の鼓動が、一瞬、猛烈に高く鳴った。
「な、なにっ、いまの音は・・・・・・!」
星羅は、音がした方向――洞窟の奥に向かって懐中電灯を向けた。しかし、真っ暗な暗黒が続いているだけで、光線はなにも映しはしなかった。
 だが、音は聞こえてくる。
ギィ、ギイィィィィ・・・・・・。
ごくり。星羅がまた固唾を飲み込んだ。不安や恐怖といった負の感情が、彼女の心臓をギュッとワシ掴む。しかし、期待や興奮、なによりも好奇心がそれに勝って、星羅に一歩を踏み出す勇気を与えた。
 懐中電灯の光を頼りに、星羅が前進を再開した。
ギィ、ギイィィィィ・・・・・・。
奇怪で奇妙な音は相も変わらず聞こえており、その音は、前に進むごとに、次第に強く大きく聞こえてくる。よりはっきりと、鮮明に、耳の鼓膜を突き刺してくるのだ。
「・・・・・・知りたい。この先になにがあるのか・・・・・・ナニがいるのか、あたしは見てみたい・・・・・・」
期待と不安が入り乱れた複雑な感情を爆発的に膨らませながら、前へ前へと歩を進める星羅。
 そして、彼女は、巨大な空間に辿りついた。
「・・・・・・ッッッ!」
その瞬間、彼女の瞳が大きく見開かれた。
「ギイ、ギイイイイイイイイッ!」
そこに居たのは巨大な怪物だった。
 身体は富士山のような形をしており、巨大で、まるで膿んでいるかのようにブヨブヨとした突起物や筋が無数にあって、醜悪で、そこかしこから無数の触手が生えていて、それらが奇妙なダンスを踊るかのように空中で蠢いていて、そして謎の文字が刻印された無数の金属製の柱が怪物を地面に縫い付けるようにして突き刺さっていた。
 怪物の頭頂部には爬虫類を彷彿とさせるような頭が載っていた。大きく開いた口は深く裂けており、その中には鋭い牙がびっしりと生えていて、不気味で奇妙な音はその口の中から響いていた。まるで、呻き声のように。
「す、凄い・・・・・・」
星羅が発した言葉は小さかったが、興奮で震えていた。
 魔鬼孕村に伝わる伝承は本当だったのだ。封魔山は、その名が示す通り、魔物を封じた山だったのだ。その紛れもない証拠が、いま目の前に居る。在るのだ。
 星羅は夢中でカメラのシャッターを切った。
カシャッ、カシャカシャカシャッ。
 連続で写真を撮る。
 その途端、怪物の咆哮が止まった。と、それと同時に、大きな頭部が動き、下を向いた。怪物の視線と星羅の視線が空中で衝突した。
「し、しまったっ!」
怪物に自らの存在を知られたことに気づいた星羅は、慌てて踵を返し、その場から離れようとした。
 だが、怪物の動きの方が早かった。
 しゅるっ、と触手が伸びたかと思うと、逃げる星羅の足に絡みつき、さらには腕にも巻きついて、彼女の身体を一瞬にして宙に浮かせたのである。
「や、いやああぁああぁぁあぁあぁっ! は、離してっ、離してったら! 離して離して離してえぇぇぇぇえぇええぇぇぇぇえぇぇえぇえぇぇっっっ!」
叫び声をあげながら、空中でもがく星羅。足がジタバタと動いて虚しく空を蹴る。
 そんな彼女を、怪物は、逃さないどころか、更なる触手でもってその動きを封じ込めにかかったのである。
 さらに無数の触手が星羅の身体に巻きつき、絡みついた。
「い、いやあぁあぁぁぁあぁぁあああぁぁぁあぁあぁぁぁっ! た、助けてっ、誰か、助けてっ、助けてえぇえぇぇえぇええぇえぇええぇぇぇぇっっっ!」
 さながらイソギンチャクに捕獲された小魚のように、完全に一切の自由と身動きを封じられてしまった星羅。
そんな彼女に対して、怪物は予想外の行動にうって出た。
ビリッ、ビリビリビリリリリリッ!
 絹を裂くような音が響いて、それと似た叫び声がほとばしった。
「き、きゃああぁぁあぁあぁぁああああぁあぁあぁぁあぁあぁぁあぁぁぁッッッ!」
 怪物の触手が、星羅が身につけていた衣服を無理やり剥ぎとったのだ。そしてさらにブチブチという音がしかと思うと、破り捨てられた衣類に続く形で、ブラジャーとパンティーも剥ぎ取られてしまったのである。
それは本当に一瞬の出来事だった。
ほんの一瞬で、まだ成長途中の乳房が綺麗なピンク色の乳首ごと、まだ陰毛が生い茂っていないアソコと一緒に、白日に晒されてしまったのである。
なんの抵抗も出来ずに全裸にされた星羅は、羞恥心で顔を紅く染めながら、半ば恐慌状態に陥って悲鳴をあげた。
「いやっ、いやッ、いやあぁあぁぁああぁあぁぁあぁあああぁぁあぁあぁぁッッッ! な、なにするのよっ、このエッチ! スケベ! 変態ッ! バカぁッ! 離してッ、離してったらあぁぁあぁあぁぁぁああぁぁあぁぁぁッッッ!」
あらん限りの力でもって叫び散らす星羅。同時に手足をバタつかせようとするのだが、しかし、怪物の力は恐ろしいほど強く、彼女のささやかな抵抗ではびくともしない。小ぶりの乳房がぶるぶると揺れるだけである。
そんな彼女のささやかな抵抗を嘲笑うかのように、怪物が新たな触手をまた伸ばしてきた。
 しゅるっ、しゅるるるるるるるる・・・・・・。
伸びてきた触手の群れは、先端がぬらぬらとした粘液で濡れていた。それらが、全裸になった星羅の肌の上を、ずるずると湿り気を帯びた音を響かせながら、べちゃべちゃと這いずりまわるのだ。柔らかな乳房の上を、ぷるんとしたマン筋の合間を。そのつど、言葉では言い表せないようのない悪寒が背筋を走って、星羅の顔面を恐怖で引きつらせた。


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