フリーセンテンス 2022/01/26 20:09

次回作の冒頭はこんな感じになります。

いつもお世話になっております、フリーセンテンスです。

株価がえらい下がっておりまして、もはや虫の息のフリーセンテンスですが、まぁ、それはおいておいて、次回作の冒頭部分が出来上がったので公開したいと思います。
予告しておりました通り、次回作は魔鬼孕学園シリーズの続編で、ゾンビものになる予定です。ただ、内容をシンプルにするために、差別主義者のフェミニストの登場は止めて単純に黒幕がダーク・シェアーズだけにすることにしました。
まだ短いですが、それを踏まえて読んでいただけると幸いです。
それでは、どうぞ!

  ・・・・・・その新種の粘菌に関する論文が国際的な科学雑誌に掲載されたのは二〇XX年のことであった。論文の著者はイギリスの名門、ドレンフォード大学に籍を持つ生物学者のサミュエル・サー・ドレイク教授で、彼は菌類研究の分野では第一人者として知られる人物である。彼は男爵の称号を保持しているが、これは彼が生まれながらの貴族だからというわけではなく、この分野における研究の成果が認められて女王より授与されたものであった。
 彼がその新種の粘菌を発見したのは二〇〇二年のことで、きっかけはまったくの偶然だった。二〇〇二年、ドレイクは、同僚と教え子たちから成る研究チームを率いて南米のアマゾンを訪れていた。目的は未踏の国際保護区域内における絶対寄生菌の調査で、彼が率いる研究チームは二か月かけて三八カ所を調査し、合計で八五〇〇点に及ぶ動植物の生体サンプルを採取した。その中に、件の粘菌に寄生された昆虫が含まれていたのだった。
 その時の状況を、ドレイクは、論文の中で次のように綴っている。
「そのハンミョウ科に属する昆虫は、サンプルとして確保した当時から極めて特異な外見的特徴を持っており、明らかに異質と思われる行動をとっていた。脚や身体の一部が壊れ、壊死したように腐敗しているにも関わらず、まるでなにか熱病に侵されているかのように活発に動き回っており、それでいて同種の雄や他生物に対して過剰なまでに攻撃的で、さらに食欲は貪欲なまでに旺盛だった。だが、この個体のもっとも特筆すべき点は、同種の雌に対する行動だった。この特異な個体は、同種の雌を認識するや否や、盛んに生殖行動をおこなおうとし、その有り様は一種の強○性交のようですらあったのだ。この個体の様子は明らかに普通ではなく、なにかしらの病原菌に侵されていることは確実であったが、しかしそれがまさか、生物の脳に寄生するタイプの粘菌であろうとは、この時はまるで予想していなかった」
ドレイクはその特異な動きをとるハンミョウ科に属する昆虫の生体解剖をおこなった。その結果、その昆虫の頭部より、そこに巣くっていた極少量の寄生粘菌を採取することに成功したのである。
 それから数年間、彼はその寄生粘菌の生態研究に明け暮れ、その奇異な生態を解き明かすことに成功した。科学雑誌に掲載された論文には、その生態が事細か詳細に記されており、その中には次のような一文が記されていた。
「この粘菌は、乾燥した宿主の体液を介したエアロゾル感染で拡がり、昆虫だけでなく、爬虫類や鳥類、さらには哺乳類にも寄生することで増殖する。またこの粘菌は、生物が分泌する快楽物質を主な栄養素としており、それを効率より摂取するため、脳に寄生することで宿主の行動を操作する。そのため、粘菌に寄生された宿主は、脳の自制機能が破壊されたことによって身体能力が暴走したように強化され、恐怖心や警戒心が欠如することによって行動が大胆になり、それに伴って直情的に快楽を追求する動きを強くするようになり、生物としての本能を解放した行動を抑制なくとるようになる。その行動は、容易に快楽を得ることができる摂食行動と生殖行為がもっとも強く、特に後者の場合、宿主が雄性である場合はその行動がより顕著になることが実験によって確認された」
この論文が科学雑誌に掲載されてから数日後、サミュエル・サー・ドレイクは、突然、大学に退職届を提出し、教授の職を辞することになる。その際、彼は親しい同僚や教え子たちに対して次のように語っていた。
「もっといい、新しい職場が見つかったんだ」
と。
 彼が世界的な軍需企業ダーク・シェアーズに就職したとの噂が流れたのは、それからしばらく後のことであった・・・・・・。



・・・・・・まだまだ加筆・修正をする予定ですが、たったこれだけ書くのにえらい時間がかかりました。投資額が少ないとはいえ、やはり株式の下落が精神に悪い影響を及ぼしているのかも。
まぁ、でも、頑張って書いていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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