レモネードオアシス 2024/06/05 17:19

ビターチョコレート8

いつも温かいご支援ありがとうございます。
おかげさまでマニアックな小説を書き続けることができています。

週の半ばの水曜日です。
風邪を引いて寝込んでいたので、いざ小説を書き始めようと思ってもなかなか筆が進まないですね。
早く慣らしていきたいと思います。

さて、今日は水曜日と言うことで、同人誌の既刊を更新したいと思います。
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです!


目次

ビターチョコレート

この小説を最初から読む!


 ぎゅるるるっ、
  きゅるるっ、きゅる!

 プールから上がるとき、急に身体が重たく感じられる、その一瞬の隙。
 便意はほんの僅かな隙も執拗に責め立ててくる。

(も、漏れる……!)

 重力に身体を縛られているかのような、そんな錯覚に陥る。

 プピュ……、
  プリュリュッ。

 なんとかプールサイドに上がるも、しかしひなぎくの括約筋はいまにも力尽きようとしていた。
 腸内からお湯のような物質が漏れ出してくると、お尻のワレメへと広がっていく。

(ああっ、まだ、だめ!)

 ぶるり、
 プールから上がると、夏の涼風に身体が震えてしまう。
 せめて教師からトイレに行く許可をもらわなければ。
 そう思ってよたよたと歩こうとするけど、

 ぷりゅりゅっ、
  ぶぴゅるっ。

 たった数歩進んだだけで、お尻に熱いものを漏らしてしまう。
 だが完全なお湯状だったことが、不幸中の幸いだった。
 ひなぎくのお尻を包み込んでいるスクール水着は、ほんの少しだけうっすらと膨らんだだけで、一見しただけでは漏らしてしまったとは分からない段階だ。

(ま、まだ……セーフ、なんだから……っ)

 なんとかごまかしながらも、スタート台に立ってホイッスルを吹きながら指示を出している女教師への元に。

「先生、トイレに――」

 と言う前に、よほどひなぎくの顔色が悪かったのだろう。
 女教師は心配げにスタート台から降りてくると、

『おい、大丈夫か、保健室いくか?』
「い、いえ。平気です。ちょっと、トイレに行けば……治ると、と思いますから……」
『そ、そうか……。それじゃあ……、無理はするなよ』

 はい……、
 と応えたけど、それが教師に聞こえたのかはわからない。
 蚊の鳴くような声だったし、それほどまでにひなぎくは青ざめて、憔悴しきっていた。

(早くトイレ行かないと、行かないと、行かないと!)

 クラスメートの女子たちがぺったりとプールサイドに腰をおろしておしゃべりをしている後ろを、ひなぎくはお腹をさすりながらトイレを目指す。
 その足跡は、ふらふらと頼りなく、夏の日差しに焼かれてすぐに消えていく。

「うっ、ううー……!」

 ぷりゅりゅりゅ!

 プールサイドを歩きながら、お湯のような下痢は、なんの抵抗もなく直腸う漏れ出していく。
 気がついたときにはお尻の割れ目が熱くなっている。

 たらり――、

 内股を伝い落ちていくのは、透明な水なのか?
 それとも茶色いお湯なのか?
 それはひなぎくにもわからないことだったし、周りにみんながいるこの状況では確かめようもないことだった。

(せめて、せめて人がいないところまで我慢、しないと……っ)

 キュッとお尻に力を入れると、紺色のスクール水着がくっきりとお尻の割れ目に食い込んでしまうけど、恥ずかしいだなんて言ってられる余裕なんてない。
 よろめきながらもプールサイドから出ると、シャワーや使われなくなった腰洗い層をくぐり抜けて、なんとかプールの横にある建物へとやってくる。
 コンクリート打ちっぱなしの建物は冷たくて暗い感じがする。
 だけどここまでくればトイレはもう目の前だ。
 
「あと、もうちょっと……!」

 ぷりゅりゅ!
  びちちちちち!

 だけど女子トイレの表札を見た瞬間、気が抜けてしまったのか誤魔化しようのない量を漏らしてしまう。
 お尻の割れ目がうっすらと盛り上がり、

 もこり、もこもこっ。

 直腸が固いものに拡張されると、ヒップラインが歪に盛り上がっていく。

 ついに下痢ではない――、2週間ものあいだ眠りについていたカチカチうんちが溢れ出してきたのだ。

「あっ! あっ! あっ! まだ……っ、もうちょっ……と!」

 女子トイレへと続くドアを開け、

 もりもりもりもりもり!

 その瞬間、大量の『モノ』を漏らしてしまう。
 だけどここまでくればあともうちょっと。
 眼前に広がる光景は、無人の女子トイレ。その様子がひなぎくにはユートピアのように思え――、

「えっ!?」

 ひなぎくは無慈悲な光景に目を疑ってしまった。
 たしかに女子トイレは無人だった。
 だが、その扉には、

『故障中』

 と、貼り紙が貼られていたのだ。
 ご丁寧にも個室に続く1つ1つの、すべてのドアに。

「えっ、あっ、うっ、うそ……っ」

 もりもりもり!
  ブリュリュリュ! 

 あまりにも絶望的な光景に、フッと意識が遠のく。
 だけどここで意識を失うわけにはいかない。
 ――いや。
 気を失うことができたほうが、もしかしたら幸せだったかも知れなかった。


ビターチョコレート9につづく!

ここまで読んでくれてありがとうございました!
少しでも楽しんでくれている人がいたら嬉しいです。

この小説は同人誌「ビターチョコレート」に掲載されているものです。
フルバージョンのイラストを見たい! という人は下のリンクから買ってくれると創作活動の励みになり、マニアックな小説を書き続けることができるようになります。

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