【第28回】『ハーレム島へようこそ!』サホトと過ごす一日
どこまでも晴れた青い空、白い砂浜。
そして、澄んだオーシャンブルーの海。
ここは、異世界の南の島・ハーレムン島。
今日も今日とて、燦々と照りつける日差しのもと、俺たちは森へ来ていた。
「お、サンキュー」
彼女はの名前は新田サホト。
俺の幼なじみで、昔からよく知る間柄だ。
俺、サホト、チヨは学園では【冒険部】に所属しており、サホトはその部長。
昔の引っ込み思案な彼女からは、人の前に立つなんて考えられなかったけど、今はしっかりとみんなを引っ張っている。
俺は冒険部では副部長としてそんな頑張るサホトのことを、全力で支えている。
今日も一応冒険部の活動の一環として、村から少し歩いたところにある【ハーレムンの森】で珍しい動植物を観察しに来ていた。
「しかし、なかなか見つからないな~
ほとんど見たことあるやつばっかりだ」
「ははっ、まさか
この森にはまだまだ行ったことない所がたくさんあるよ」
そう言って彼女は、いつも大切に持ち歩いている島の動植物の観察日記を、パラパラとめくり始めた。
まめな性格のサホトは、島に来てからほぼ毎日欠かさず、この日記帳にその日出会った生物の記録を付けているらしい。
最初は見ているだけだった俺だが、本当に楽しそうに観察に励むサホトに感化され、こうして空いた時間を見つけては彼女の観察に協力するようになっていた。
もちろんサホトの日記帳には負けるが、今では俺もその日印象に残った動植物を記録に残しているほどだ。
「結構コツコツとやってたからな~
イコクにも薬草についてとか
詳しく聞いたりしてそれもメモってあるんだ」
サホトが目を輝かせながら俺の日記帳を覗き込んでくる。
俺は見やすいよう近くに倒れていた木に座って膝の上に日記帳を広げると、サホトも俺の隣に座ってきた。
「あぁもちろん、
じゃあまずは……この青い薬草なんだけど」
サホトが指さした先には、確かに件の青い薬草が生えていた。
しかしこう見ると俺のスケッチって絶望的に下手くそだ……。
「これはすりつぶすと虫が嫌がる臭いが出るらしくて、
昔から村では虫よけとして使われてるらしいんだ」
早速サホトが近くに生えていた青い薬草を手に取り、両手ですりつぶしてその臭いをクンクン。
その独特な匂いに、ちょっと険しい表情を浮かべ俺の顔を見てくる。
「ど、どうだった?
ちなみになんか変な臭いがするらしいぞ?」
ほっぺを膨らませてサホトが俺に詰め寄ってくる。
その際、彼女の豊満な胸が俺の身体に押し当てられたが、どうやら気が付いていないらしい。
「ははっ……わ、悪かったって!
まさかすぐに実行するとは……ぷっ……」
サホトは薬草がまんべんなく塗り広げられた手を、若干ツボに入って戻ってこれない俺の顔にぐりぐりと押し当ててきた。
「うげっ!?
何だこの臭いッ!!」
俺はそのなんとも言えない臭いに盛大に顔をしかめて、急いでタオルで顔を拭った。
「ははっ……俺が1だとしたら、
サホトのは10な気がするけど……」
倍返しならぬ十倍返しをくらい、すっかり俺は戦意を損失してしまった。
でもまぁ、サホトがこんなに笑ってるなら別にいいか、と俺もつられて笑う。
「ん?」
笑い納まったサホトがさした指の先を目で追ってみる。
そこには白銀に輝く毛並みのウサギが、こちらをじっと見つめていた。
「あのウサギ……
俺は見たことないなって、あ……」
俺たちと目が合ったためか、ウサギが反対方向へと逃げてしまった。
サホトが勢いよく立ち上がり、俺に手を差し出してくる。
「あぁ、もちろん!
行こうぜ、部長!」
俺はその手を取って、二人でウサギが逃げていった方へと駆け出して行った。
その時、青い薬草の臭いがついた俺たちの手は、互いの指を絡ませてぎゅっと握られていた。
今日も島での生活は、退屈の暇も無さそうだ。
あとがき
今回は【サホトと一緒に森に動植物を観察しに行く】
というシチュエーションで ss でした~
この記事の投稿予定もいよいよ一桁に入りました!
そしていよいよ明日から7月!
南の島が舞台の本作にぴったりな夏到来ですね!!
みなさま熱中症には十分気を付けて、
ちゃんと水分補給して、エアコン付けてお過ごしくださいませ!!
そしていつもたくさんのいいねやフォロー、コメントありがとうございます!
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偉い人がとても喜んでおられました、へっへっへっ
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それでは次回の記事でお会いしましょう!!!
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