文学少女の露出癖2
眼鏡少女の繭には、誰にも言えない秘密があった。
誰もいない夜の公園。
スカートを捲り上げると、露わになったのは紙おむつ。
(おむつもう重たすぎるよ。腰からぶら下がってるみたい)
ついつい愚痴ってしまうけど、そもそもおむつがこんなに重たくなっているのは繭が漏らし続けてしまったからで。
ブヨブヨになった紙おむつのせいで脚を閉じることができないし、それにお尻を包み込んできている気持ち悪い感触に、へっぴり腰になってしまう。
(誰にも見られないようにしないと)
繭が最終下校時間ギリギリまで学校にいるのは、本を読みたいこともあったけど、膨らんでいる紙おむつを誰にも悟られたくないという理由もあった。
それに――、
繭には、誰にも言えない秘密があったのだ。
……それは。
「誰も、いない、よね……?」
繭が、アヒルのようにお尻を振ってやってきたのは、学校から歩いて十五分ほどの距離にある公園だった。
公園といっても、滑り台やブランコがある子供が遊ぶための公園ではなく、大きな池を街路樹で囲んだような、散歩するための広々とした公園だ。
あたりには、人っ子一人、繭の他には誰もいない。
ただ、茂みからは幾重もの夏虫の声が聞こえてくるばかりだった。
「はぁ……」
繭は、街路灯の照らし出す光の輪で立ち止まると、深々とため息をつく。
ため息といっても、読書をしているときの憂鬱げなため息ではない。
もっと熱の籠もった、そう――、
官能的な吐息だった。
「はぁ……、ここで、しちゃうんだ……」
街路灯に照らされた繭の頬は、熱く火照っているようにも見える。
色っぽさとは無縁の丸メガネの奥にあるのは、官能に潤んでいる黒瞳。
その目つきは年相応の少女とは思えないほどに艶やかだった。
「もう、おむつ、蒸れ蒸れだよ? ほら、こんなに」
繭は、誰に言うでもなく呟く。
そしてスカートの両端をつまみ上げると――、
もわ……。
夏の夜気に、一日中濃縮された少女の尿臭が発散された。
「こんなにモコモコになってるの」
あろうことか、繭は自らの意志でスカートを捲り上げると、晒してみせたではないか。
露わになった紙おむつは、入道雲のようにモコモコと膨らんでいた。
漏らしたばかりだったころは鮮やかだったレモン色のおしっこも、時間とともに変色したのだろう。
繭が充てている紙おむつは、朝から漏らし続けたおしっこで茶色かかったクリーム色へと変色していた。
お尻の方まで膨らんでいるから、もはや脚をぴっちりと閉じることさえもできない。
「やだ。こんなに膨らんでたんだ。もうブヨブヨだよ」
夜。
公園で。
自分の汚してしまった紙おむつを晒しながら、しかし繭はどこか妖艶な笑みを浮かべてみせる。
そう……、
繭には、誰にも言えない露出癖があったのだ。
「ドキドキしてきちゃう。あはっ。あはは……」
普段からおむつを隠して生活していると、その反動があるのだろう。
繭は、たまに誰もいない夜の公園で、スカートを捲り上げておむつを晒すことがあった。
「誰かに見られたらどうしよう」
露出しながらも、矛盾したことを呟いてしまう。
誰かに見られたくなければ、スカートをつまみ上げている両手から力を抜けばいいだけなのに。
なのに、繭はスカートを完全にめくり上げ、恥ずかしいクリーム色に変色した紙おむつを晒してみせる。
「――あっ」
繭の、短い悲鳴。
直後、股間に生温かいレモネードが弾けていた。
しゅいいいいいい……。
「あっ! あっ! あっ!」
一度出てきてしまったおしっこを、繭に止められるはずが無かった。
また、止める気もなかった。
「はぁぁ~~~……」
繭は立ったまま尿道を弛緩させると、なんの躊躇いもなくおむつへと聖水を垂れ流していく。
ずっしりとおむつが重たくなり、プルプルと膝小僧が震えてしまう。
「温かい……よぉ……」
むわ……っ。
通気性のいい紙おむつから、ツーンとしたアンモニアの湯気が漂ってくると、夜気に漂い消えていく。
それでも繭の失禁は終わることはなかった。
「ああ……。止まらない、止まらないの……。こんなところ、誰かに見られたらダメなのに、きもちいーよーぉ……」
しゅわわわわわわわ……。
くぐもった水音を放っていくと、やがておむつがたぷたぷと波打ってくる感触。
それはおむつが今にも力尽きようとしている合図でもあった。
「これ以上おもらししたら、横から漏れてきちゃう……んんっ! あっ! あっ! あっ!」
しゅいいいいいい……。
頭では分かっていても、繭の貧弱な尿道で止められるはずがない。
酸欠した金魚のように口をパクパクさせて、頬を朱に染めて、繭は恥水を放ってしまう。
「ああ……ダメ……っ」
繭が感じたのは、お腹に走る冷たい感触。
この感触は、
も・し・か・し・て……!!
「うんちは、ダメ……!」
とっさにお尻に力を入れようとするも、しかし気がついたときにはもう手遅れだった。
「あっ、ああぁ……!」
ニュルルルルルルル!
柔らかくも熱い感触が、直腸を滑り出していく感触。
お尻の谷間が、メッタリと柔らかいチョコレートフォンデュに満たされていく。
「ああぁ……出ちゃった……」
絶望に沈んでいく繭。
だけど、弛緩しきった身体は容赦してくれない。
この小説は、大決壊! 誰にも言えないに収録されている作品です。
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