赤羽決亭@木東有稀 2020/10/20 02:23

【ノベル】フシギナパラダイス1話:〜不思議な道〜7/9

都合よく武器がこのタイミングで現れたってことは、きっとこれを使ってあれを倒せってことだろうか?

この状況で武器が手に入ること自体はとても助かるけど、槍の使い方なんて全くわからない

でも

「いや、どうせまだ力の使い方はわかるまい!
やることは変わらない!」


彼女もまた何か武器を取り出し、私に向かってきた。
相手は戦う気満々だ。

私は慌てて、槍を拾い、両手で自分の体の前に構えると、
キンっと金属がぶつかる音が聞こえた

「…っ」


結構、ずしりと重たい衝撃を感じる。

向こうの武器は私飲もっている槍ごと切り込もうと、力を緩めない。
十字の状態で交差して、均衡の状態をしばらく保った。

と言うか、その攻撃を受けないようにガードするので必死だった。

だって、どうすればいいのか分かんなかったんだから。

私と違って、向こうは武器の扱いにも慣れている上に力も強い

「ふ、どんなに強がっても、力が手に入っても、初心者はせいぜいこの程度ね」

自覚あることろに、改めてそうやって言われるとイラッとくる。
とは言え事実は事実、力勝負じゃ負ける。

「押してダメなら…」

私はわざと力を緩めて、攻撃を受けないように脇にそれる
彼女は必死すぎてそのことまで頭が回らなかったのか、力を入れたままだったので
前にそのまま倒れる

その隙を狙って、攻撃すればと背後に回り今度は私が彼女にむかって攻撃するけど
初めて扱う武器を思い通りに使えるわけもなく、予定していた場所と全く違うところに刃を振り下ろしてしまう。

あっと声を漏らす間も無く、体制を整えた敵はチャンスとばかりに私に攻撃を向ける。
間一髪でそれをなんとかして避ける。

「よく今のよけられたわね、さっきよりもすばしっこい。」

敵はそう声を漏らす。
そう、実は槍を手に持ってから、普段より体が軽いのだ

動きやすいと言う意味ではもちろん、動くは少し早くなって、力も少しだけ強くなった。
武器を手に入れた以外にも戦うために身体能力が上がっている感じはある。

だから、止めどない攻撃を交わすことならなんとかできた。

ただ、それは武器をする前よりも少し能力が上がった…と言うだけの話。
武器の使い方の知識は圧倒的に足りないし、そのための体の動かし方も知らない。
あいつに叶う力も到底足りない。

やっぱり武器があるだけで勝てるほど、世の中は甘くないか…。

むやみに振り回すだけじゃ、切り傷一つつけられない。

それでも、結局のところ今私が対抗するために持ってる武器はこれしかない。
まずは一発でも当てて、

反撃を防御してカキンッという武器がぶつかる高い音が何度か響く。

なかなかに好戦的な相手の攻撃を防ぐので精一杯、攻撃するチャンスは致命的な傷を負ってないのは奇跡…いや、もしかしたら手加減してくれてるのかもしれない

でも、それですら今の自分では勝てない

「結局その程度…大したことないな!」

「きゃっ!」

私は彼女の攻撃をもろに受けて体が壁に衝突し、その衝撃で槍を落としてしまった。

早く拾わないと…

しかしそんな暇を与えてはくれなかった、チャンスとばかりに私と槍の間に
謎の黒い光線を出してくる。

そうだ、こいつは武器で攻撃するだけじゃない、怪しげな技も使うんだ。

武器を出してから、技を使わなかったのは、手心を加えてくれてた?

まずい、だとしたらあの槍を拾って戦闘態勢に入れたとしても、勝てない可能性がある。

自分にも、そういう攻撃とか技が出せればよかったんだけど…いや、武器が突然現れるなんて奇跡が起きたくらいなんだし、使えないことはないのかもしれない…でも、使い方がわからない。

その前になんとかしないといけないのに…

彼女が何かを喋りながらこちらに向かって歩いてくる、ダメージを受けて私が動けないうちに、とどめでもさすつもりだろうか…

今ここで諦めたら、誰も何もできない、

だって、大人に頼んだところで、彼女を、彼女がやっている行動を、誰も見ることができない。

見えない未知ものへの解決はほぼほぼ無理、

「これでようやく、自分の仕事に戻れる…対して力もないくせに、手間をかけさせないでちょうだい」

そして向こうは武器を振り下ろした。

あぁ…せっかく武器が手に入ったのに…ここまでか…

覚悟を決めて強く目をつむり、痛みに耐える準備を始めた。

でも…

『光熱閃!!』

誰かの…多分さっきの声が何かを言った。

その声が何かを考えるよりも早く

「バチッ!」という大きな音と「あぁあああ!!」という、彼女の大きな悲鳴が聞こえた。

「え…」

私は、それに驚き目をパチっと開いた。

そこにあったのは、予想していなかった光景だった。

さっきまで好戦的だった彼女は、大きな傷を負って、仰向けに地面に倒れていて、その奥には…いつの間にか光っていた槍があった。

「いつの間に光って…というか…なんで光って…」

いや、そんなことを考えてる場合じゃない。
止めを刺すなら今しかない。


私は槍を再び手に取り、仰向けに倒れている彼女に近づいた。

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