赤羽決亭@木東有稀 2020/10/24 23:48

【ノベル】フシギナパラダイス1話:〜不思議な道〜8/9

また復活されて暴れられても困るし…

止め刺さなきゃ…だよね…



私は、彼女の元まで歩みを進め、刃を彼女に向ける

今…槍を彼女に突き刺せば、全てが終わる…

なのに…私の手は震えていた。

恐怖で?

違う………

なんで震えてるのか…自分でもわからない…

でもなんか…戸惑っている?

なんで…

躊躇するギリなんかない、あのまま放って置いたら、生徒全員被害に遭ってた。

それに、彼女は保健室の先生に見えてなかった、つまり他の人に見えなかった可能性がある。
そうじゃなくても、おかしな技を使っていた。

信じられないけどもしそんな存在がいるとしたら、人間じゃない…幽霊か何かかもしれない。

人じゃないどころか、生きてすらいないのだとしたら、それこそ躊躇する必要なんかないはずなのに…

どうして…?

私が結局何もできずに、彼女のそばに突っ立っていると、何かを悟ったのかふふっと笑って


「どうしたの…とどめ…刺さなくてもいいの?」

と息絶え絶えにそう呟いた。


「い…言われなくても!今からやるよ!!」

ムキになってそう答えるも、手の震えは治らない。

やっぱり、怪しい力を使っているとはいえ、人の形をしているから、

人の命を奪うことに躊躇してるの?

躊躇してたら…また…隙をつかれて…さっきみたいな…

わかってる…わかってるのに…



「アハハハハハハハ!!」



さっきの小さな笑いとは違い、彼女は何かが破裂したかのように、大声で笑い出す。

ぐったりしているはずの彼女からそんな笑い声が出てきたことに驚いて、私は目を丸くする。

「本当に…甘いわね…こんな未熟者に負けるなんて…せめて誰か道ずれに…」

その言葉と同時にさっきまでと同様、何か黒い光を作り上げた。

一瞬私は身を固めたけど、顔を向けている方向が私の方じゃない気がした

ふと校舎の方を見る、

さっきまで、不思議なくらい、外に誰も避難しに来なかったのに、
なぜか今になって、1人の女の子だけが外に出てきていた。

疑問や戸惑いの言葉を口にする暇すらなかった。

だって横たわってるそれが、その子に向けて大きな光の玉を投げたからだ。

本気で道ずれにする気だ。

私は考えるより先に足を動かした。

今更とどめを刺したって間に合わない、躊躇した自分を責めてる時間もない。

とにかくあの子を助けないと

「危ない!」

その声に反応した女の子、でもあまりのことに驚いて一瞬固まってしまった。

私はなんとか助けようと必死で、走った勢いでそのまま女の子に飛びかかり、押し倒し、

直後、意識が遠のいていった。

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