【ノベル】フシギナパラダイス1話:〜不思議な道〜4/9
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「やったー!私の勝ちね!」
そういって、人だかりの中で大喜びするなるちゃんの姿と、
まさかの敗北で頭を抱える男子二人の姿があった。
一体何があったのか、少し時間を遡って説明しようと思う。
あれから結局、なんの問題もなく学校にたどり着いた。
学校にはすでに大勢の生徒たちが校庭に集まっていて、一箇所に人だかりができていた
そこには手を取り合って喜んでいる人や、落ち込んでいる人、真剣に食い入るように何かを見る人などであふれていた
どうやらすでにクラス替えが発表されているらしい。
自分たちも見に行こうとすると、心矢はぽつりと呟いた
「ねえ、やっぱ賭けやめない?」
「賭け?」
私がなんの話かという視線を送ると「そういえばルイちゃん賭け混ざってなかったわね」
と言ってなるちゃんが説明してくれた
「クラス替えよ、4人一緒のクラスになるか全員バラバラかで賭けしてたの
負けたら勝った方の言う事を聞くって取り決めで」
あぁ、そういえばなるちゃんと洋太でなんかクラス替えの話で喧嘩してたっけ…
てっきり終わった話だと思ってたら、いつの間にか賭け事にまで発展してたんだ…
それに心矢が巻き込まれたわけねかわいそうに
心矢はイヤイヤと首を振ってかけの離脱を宣言するも、なるちゃんがそれを認めない。
「何言ってるのよ、ここで怖気付くなんて男として情けないわよ
…賭けに負けたって死ぬわけじゃないじゃない。」
「その可能性が否定できないのは事実じゃないか!」
「けど、心矢がかけたの誰かとは同じクラスだろ?全員一緒と全員バラバラの間、
一番有利だと思うけどな」
「あのね洋太くん、世の中確率じゃないのよ、奇跡は起きるのよ!」
「だから、その話の決着は二人でつけなよ…
ルイも黙ってないで止めてよ!こんな事で賭けなんて良くないと思わない!?」
「そう言われてもねぇ…」
まぁ確かにかけをするほどのことでもないとは思うけど
おそらくかけを持ちかけたであろうなるちゃんがやる気満々だし…
多分私が何を言ったところでやめないだろう。
それどころか
「あ、そうだ、ルイちゃんも混ざらない?」
火の粉が私にまで回ってきた。
こうなるともう止めるどころの話ではない。
結果的に、私も賭けに混ざることとなり、
「全員同じクラス」がなるちゃん(とほぼ強○的に私)
「全員バラバラ」が洋太「全員は無理だけど何人かは同じクラス」が心矢で
話がまとまった。
こうして各々がクラス分けの掲示物を見に行き、自分の名前を探すこととなった。
私は1組から順番に名前を探しているけれど、なかなか見つからない
「えーっと…き…き…ないなぁ…」
ちなみに私のフルネームは「きのした るい」で、漢字は「木下 涙」と書く。
漢字で名前を書くと「なみだちゃん」と呼ばれてしまうことが多いので、
テストを含めた正式な場以外ではカタカナで「ルイ」って書いてる
だから、他の人と比べると、自分の名前の漢字に見慣れていないので少し探すのに手こずっていたのかもしれない
4組まできて探すのに疲れてきた頃
「あ、あった!」
ようやく自分の名前を見つけた。
近くにいたなるちゃんと洋太が、それを聞いて私のところまでやってきた。
「本当に?あったの?」
「うん、4組。
あ、洋太も4組だったよ」
「え?まじ?」
「うん、ほら」
私は自分の名前の上に「北義 洋太」と表記されている場所を指差す
あいうえお順で、名字が私と同じ「き」から始まるので、洋太の名前を探すのはそんなに苦労しなかった。
それを見るなり、なるちゃんは嬉しそうに
「これで洋太くんは脱落ね」
と肩に手を置きながらそう言った。
その時の洋太はなんとも言えない複雑そうな顔を浮かべていた。
「そう言えば、心矢どこいったの?」
なるちゃんはキョロキョロと辺りを見回した。
「そう言えば…この辺にまだきてないね、どこ行ったんだろう」
心矢のフルネームは「有山 心矢」で「あ」だから、一番最初に見つけられそうなもんなんだけど…
すると「ちょっとどいて〜」という声が少し遠くから聞こえてきた。
人混みをかき分けてようやく出てきたのは、ちょうど今探していた心矢だった。
「遅かったじゃない、何してたの?」
「あっちの方人多くて、こっちまで来るのに時間かかった。
それよりどう?みんなあった?」
「私と洋太は見つけたよ、二人とも4組」
「あ、お前もあったぞ」
洋太にそう言われてみてみると、
確かに四組の一番上に心矢の名前が書かれていた。
これで3人が同じクラスとなった。
あとはなるちゃんが同じクラスかどうかで運命が決まる。
全員なるちゃんのフルネーム「杉野成子」という表記を探した。
男子二人はなるちゃんの名前がないことを願った。
しかし、運命とは非情なり
「あ、あった!私も4組みたい!」
結果的に6クラスもある中、4人全員が同じクラスになるという奇跡を起こした。
かくして、喜ぶなるちゃんと今後の身を案じる男子二人の構図がで出来上がり
今に至る。
「もー、洋太がクラス替えのことで喧嘩するから…どうするのさ」
「仕方ないだろ、4人全員同じクラスの確率なんてかなり低いから、一番ないと思ったし
お前こそ一番ありえそうなこと言っときながら外すなよ」
「それは僕の責任じゃないでしょ!喧嘩始めたそっちが悪い!」
なぜか責任の押し付け合いを始める二人。
負けてからそんなことしても現実は何も変わらないのに…醜い争いだ。
まぁそんなこと言ってられるのは、私が買った側だからなんだけど。
「さて…約束だからいうこと聞いてもらわないとね〜
何してもらおうかしら〜」
ほくほくと、満足げな笑みを浮かべるなるちゃんに危機感を覚えた二人は、
「そういえば、ルイ保健室行ったほうがいいんじゃない?」
「そうだ、頭打ってんだろ?行ったほうがいいって!」
あからさまに話題の方向転換を行った。
けが人を使って…しかもなるちゃんが無視できない話を使うのは少々卑怯な気はする。
とはいえ、心配してくれてるのは事実だろうから私も返事をしないわけにはいかないか。
「うーん…でも私、特になんともないんだよね…痛みも吐き気もないし…
記憶が半日ないくらいだからなぁ…」
「だから、それがまずいって言ってんの」
「確かにそうよねぇ…ルイちゃん、付き添ってあげるから保健室行きましょ」
「え、いいよ付き添いなんて…行くなら一人で行くし」
「そう?」
不安そうに私の顔を見つめるなるちゃん。
普通にしてはいたけど、やっぱり怪我させてしまった責任を感じているらしい。
そもそも実感がないのでそこまで罪悪感を与えてしまうのは逆に申し訳ない
本当に大丈夫なんだけど…安心させるために保健室行ったほうがいいかな
「わかったよ、じゃあ保健室行ってくるから、みんなは先に教室行ってて」
「わかった、無理しないでね」
そう呼びかけられて送り出された私は
こうして私は一人で保健室にへ向かった
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