ダラナ 2022/10/17 21:00

BL短編集「おいしい少年をつくろうか」試し読み


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【おいしい少年をつくろうか】



妖しい色合いのネオンきらめく夜の街。

その路地裏にひっそりと店をかまえる「リトル・メン・ラブ」。
下のほうに小さく「さあ紳士たち、おいしい少年を召し上がれ」と書かれている。

ご察しの通り、小さい男、少年が男に接待をする店。

どストレートな、そういう趣味の人、やや方向性やタイプが異なる人、そうでもない人と、個性豊かな男どもが夜な夜な、足しげく通ってくるが「おにーちゃん、お帰り!」とマニュアル挨拶する間もなく「どうか、僕をおいしい少年にしてください!」と土下座されたのは初めて。

男だらけの職場で、女子に劣らない甲高い響きを耳にしたのも初めて。

しかも相手は少年にほど遠く、重量級プロレスラーのような体格に「ええ!ちょっと、やめてくださいよ!」と上げさせた顔つきは、殺気立つ熊のように獰猛。

ぽろぽろ涙をこぼしたところで、いかつい表情のままでいたから、尚のこと恐かったものを、床に正座して縮こまり、不憫な境遇を語ったもので。



「ああ、やあ、あん」とショタボイスが耳に快く、興に乗ってきて「いつから、ナオニ―していないの?」とセクハラ発言を畳みかけ、下をもみもみ。

「もしかして、俺とエッチしてから、ナオニ―していない?

大人の男に揉まれないと、満足できない、やらしー体になっちゃったかな?
ん?どうなのかな?」

「や、やあ、ん、ひ、一人、でえ、ナ、ナオ、ナオニー、で、できる、もん・・・」との返しは百二十点満点。

「どんな少年になりたいか、まだ分からない」と初心ぶっていたくせに、これは相当、よからぬ妄想をして淫夢を見てきたのだろう。
と思えば「嘘つきの悪い子だ」とチープな台詞も自然にでてくる。

「嘘つきじゃないと云うなら、手をどけなさい。
溜まっていて、射精したくて堪らないわけじゃないと、身をもって証明しなさい」

冷ややかな囁きに、肩を震わせつつ、股間から手をはずして腕をだらり。

「いい子だね。ほら、丸見えの膨らんだ、おちんちんを引っこめなさい」と命じながらも、下の揉みこみをやめず、サスペンダーをつまんだ。

強く引っぱり放すと、サスペンダーがしなって「ひゃあ、あん!」と一段と甲高い鳴き声があがる。
そう、ちょうど胸の突起に当たってのこと。




【鬼を愛して食われる男】



地元には、鬼にまつわる言い伝えがある。

山深くに暴れん坊の鬼が住んでいた。

たまに下山しては、村の畑を荒し、家畜を八つ裂きにし、家のものを売り物を強奪し、食料用に村人を二、三人攫っていった。
大人、二人半くらいの巨体で怪力だったから、とても太刀打ちできず、村の防御もしきれず。

打開策として、村人は週に一回、捧げものをすることにした。
搾取されるのに変わりはないが、鬼の気まぐれで不定期に村を破壊されたり、襲われる恐怖に見まわれるよりはましだと。

「お供え物をされる仏のようだ」と満更でもなく思った鬼は手打ちにしてくれた。
貢物のなかには生贄の村人も一人。

あるとき生贄として差しだされたのは、奉公先から「せめて鬼に食べられるくらいして、村の役に立て!」とほっぽりだされた、みなしごの少年。

人を食べたばかりで、鬼の気が乗らなかったことから、しばらくは身の回りの世話をさせられ、こき使われた。

足枷があっては、逃げられなかったものを、酒のお酌をしているときに、酔って油断した鬼から秘密を聞きだせた。

「ここらに金山があるのを知っている」「でも、絶対に見つかることはない」「岩で入り口を塞いでいるから」と。

村は貧しい。
鬼の云う通りのとろこに金山があり、見つけだせれば、潤って栄えるだろう。

と、少年は考えなかった。
なにせ、彼はみなしごとあり、奉公先では虐められ、村人にも冷たくあしらわれ、返すべきと思うほどの恩を与えられなかったから。



学校で有名な双子だ。
施設育ちと知られ、不良ほど荒れてはいないが、目つきも柄も悪く、人を寄せつけない独特の雰囲気をしている。

そう、俺が見なす、人の皮をかぶった生まれつきの鬼でもある。

ふだんは、横柄な態度をとり、人を威圧、威嚇するくらいで、そう悪さをしていないが、やはり化けの皮を剥がしやがった。

人に見咎められてもなんのその「たく、うっせえよ」「萎えたわあ」とへらへらするのに、俄然、つめ寄る。
胸倉をつかんで迫りたかったところ、尻から流血しているのを目にとめ、とりあず、自分の学ランをかけてやった。

「ひゅうー紳士い!」「やだあ!惚れちゃうー!」と冷やかす双子とあらためて対峙しようとしたら、机に突っ伏す彼が、ひどく咳きこんだ。

呼吸困難になるのを放っておけず、介抱をするうちに「おだいじにー」「今、いれてもがばがばだよー」と去られてしまい。

双子に乱暴をされたのは、同じ施設育ちの久野だった。
同級生ながら、学校では疎遠のように見えたが「おねがいだから、教師には報告しないで」と号泣してまで双子を庇おうとして。

「俺を痛めつけることで、まだ抑えられているんだ。
そうじゃなきゃ、手がつけられなくなる。

周りが被害にあうのも心配だけど、あいつらを中退させたくないんだよ。
これからの人生のためには。

ぎりぎりで保っているのを、どうにか維持して、高校卒業するまで、どうにか」

健気のようで、なかなか狂った発言をすからに、噂はまことだったのだなと、せつなくも身に染みて思った。




【経理は今日も憂鬱で社長におねだりを】



すっかり心が荒んでいたところに「いやあ、親父もまだまだお盛んだねえ」と目の前で領収書をひらひらさせられた。

領収書の発行者は「料亭『いぶし銀』」になっているが、若いおねーちゃんとウッホホイするお店なのは百も承知。

「会社の金でおねーちゃんにパフパフしてもらいましたあ!」と堂々と宣言してくれれば、まだ溜飲がさがるものを。
しょーもない小細工に、手を貸しているのが、ほとほと馬鹿らしくなり、社長の手を叩いて、ため息。

「会長、高血圧なんでしょ。
あんまり刺激の強いことさせると、鼻血を噴いて死にますよ」

大きく瞬きした社長は「それはそれで親孝行じゃねーか」とにんまり。

明日から永久欠勤しようかなと思っていたに「クビだ!ぼけえ!」と罵られてもかまわなかったのが、怒るどころか、一笑に付したのが意外。

いや、不遜は不遜だが、悪意たっぷりな笑みは、俺を歯牙にかけないとか、皮肉っているでもなさそう。

「そうだよ、死なせたいんだよ」と認めんばかりで 天下の親馬鹿会長に、どこまでも甘える、すねかじりドラ息子のように見えて、反感を持っているのだろうか。

違和感や疑問から好奇心を持った俺は、翌日、無断欠勤することなく、相変わらず経営幹部の臭いケツを拭くような仕事をしつつ、あらためて経理のデーターを見直すのはもとより、できる範囲で会社について調査。



バンッとノートパソコンが閉じられた。
顔をあげれば、社長。

酒臭いのに顔をしかめて「しゃ」と呼ぶ間もなく、胸倉をつかんで立たされ、デスクに尻をがつんと。
酔っぱらいの横暴に、むっとして睨みつけたら、唇をふさがれた。
社長の火照った唇を押しつけられ、薄く開けた口から、ころりと球体を入れられて。

滑らかさと甘さからして飴だろう。
ただ、自社製品ではない。

変哲ない味とはいえ、正体をなくした酔っぱらいに急襲され、口に放られたものなんて、すぐに吐き捨てたいろころ。
たまに息継ぎをさせるように、放れても一センチも満たないほどで、舌でぐいぐい押しこんでくるから、お手上げ。

強○的に飴を舐めさせられているというか、二人して口内で飴を舐めあっているというか。
酔っぱらいの悪ふざけで済まされない、セクハラの域を超えた、もうセックスのようなもの。

いや強○だご強○!と思うも、口内で舌を絡めあい飴を舐めあう甘ったるさたるや、エロレベルも高すぎて、陶酔感に浸りそうになる。




【初恋の味はレモンキャンディ】



デニム生地の(ジャケットの袖を手で裂いたような)ノースリーブとホットパンツをはき、ピンクの鉢巻きを巻いて、今は元気溌剌に、狭い舞台上をローラースケートで滑っている。

デビュー曲「初恋の味はレモンキャンディ」を(サブいぼものの)ぶりっ子な振り付けで踊って(女子のようなキーで)熱唱をしながら。

アイドル「レモンくん」として、デビュー曲のMVをネットで公開したところ、一週間で一千万回再生突破。
八十年代風のツッコミどころ満載さを盛りこみ、ふりきって全力全開アイドルをしたのが、人心をつかんだらしい。
こうしてイベントを催せば、会場は狭いライブハウスとあって、チケットの争奪戦で死闘が繰り広げられるとか。
血みどろでチケットをゲットしたファンは、圧死しそうにライブハウスでぎゅうぎゅう詰めになりながら、ペンライトを振って、白目を剥き奇声を上げている。女性だけでなく、男性も割と目について・・・。

「なんで俺が、野郎に半ケツを晒して、ずりネタにされなきゃなんねえんだ!心が死ぬ!」

全身汗だくになり、息を切らしつつ、一気飲みした栄養ドリンクをテーブルに叩きつけた。
イベント終わりの楽屋でのこと。

他の出演者、事務所の先輩らは不在で(レモンくんの変装をして、出待ちのファンを分散させにいった)俺とパンチパーマグラサンと二人きり。
「ファンとの交流はいいが、もっと質問を選定しろよ!」との稼ぎ頭のクレームをガン無視し、週刊誌のグラビアから目を逸らさないザ・YAKUZAは、そう、芸能事務所社長だ。

「これしきで精神病なったら、俳優になれるわけないやろ。
その糞ったれた青臭い根性、叩き直すんには、頭のねじ、一つ二つふっとんだようなファンと絡むのがええねん」

「なあああに、偉そうに教育論ぶった物言いしてんだよ!
俺が強○射精させられた映像を人質に、こき使いやがる外道のくせに!」



「愛していたんですか」

鼻で笑われ「幻滅したか?」と。

とたんにダウンコートを脱いで、身をひるがえしたなら、隣のベッドにとび乗った。
一見、芸人のス〇ちゃんのような格好で、仰向けの体に馬乗りになり、暗い部屋でサングラスをかけっぱの社長に口づける。

額を合わせて「俺なら、子供はできませんよ」と頬を撫でれば、社長が無表情のまま、俺の肩をつかみ、ベッドに押し倒した。
あっという間にボタンを外して、胸を撫で回しながら、耳をしゃぶって、足で股間を擦りあげてくる。

性急な愛撫に加えて、アイドルの糞ださい衣装で犯される羞恥ったらなく「は、ああ、あ、あん!」と早くもお漏らしをすれば、ファスナーを下ろされ、さらに先走りを搾りだすように扱かれた。





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