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ダラナ 2024/06/07 20:30

BL小説「昼下がりのビーチのファイターはまた餌食になる」R18


憧れの格闘家の背中を追って、ジムに所属した大学生。ただトレーナーの双子に阻まれて、なかなか彼に近づけなかったところ、強くなるための秘訣として、あるビーチの話を聞かされて・・・。

元柔道家のガチムチ大学生が騙されて弄ばれるBL短編です。R18。





物心ついたころから柔道を習い、大学まで継続。優勝はできずとも、インターハイ出場常連とあって、そこそこ強くそこそこ有名。

「このままいけば、会社に所属できて柔道人生を歩みつづけられるかもよ」と監督に褒められたが、俺には中途半端のように思えて。「突きぬけて強いわけでも、見切りをつけられるほど弱くもないんだよな」と日々、ため息。

監督のいう未来にどこか、しっくりとせず、といって、ほかにやりたいこともなく、惰性的に鍛錬を積んでいたところ。友人に誘われてプロの格闘家の試合へ。

そこで果たした輝かしき運命の出会い。それまで格闘界にまるで興味なかったのが、その日リングで情熱的に泥臭く戦う彼に一目惚れ。

彼が勝利をおさめた試合後、長いこと余韻に浸ってから、急いでネットサーフィン。

若いころはなかなか芽がでず、そのくせ女トラブルが絶えず、変に注目されていたらしい。「外国人のような体格に恵まれているのに、もったいない」と残念がられていたのが、突然、頭角を現し、試合は連勝、多くの大会で優勝を。

ただ、下半身事情を改めることなく、相手女性の告発により大炎上し、謹慎処分がくだされるなど相かわらず。さすがに懲りたのか、以降、女との噂は一切なくなり、今も独身のまま、アラサーにして若者に負けない奮闘ぶりを見せ、高い勝率を誇っている。

というのが、彼のおおまかな経歴。いまだに過去の女トラブルのことをあげつらうアンチがいるようなものを「苦い経験をつんでこその晩生ぶり!かっこいい!」と俺は惚れ惚れ。

すっかり逆上せあがり、そのままの勢いで、彼が所属するジムの門を叩いた。なんて、彼を目当てにジムに跳びこんでくる連中は大勢。

全員を所属させるわけにはいかず、かるい能力試験を受け面接を。そこそこ名が知れた大学にいたおかげで「強豪校じゃないか!すばらしい!」とジムのオーナーのお眼鏡にかない、練習候補生に。

しばらく練習ぶりや成長ぶりを見て、本格的な指導やサポートをするか見極めるという。「彼のそばで強くなりたい!」と意気ごんだ俺は、大学を中退し、ジムに通いづめ。

忙しい彼がジムに顔を見せたなら挨拶したり話をしたかったが、いざそのときになるまで、すっかり忘れていた。彼の守護神というべき、トレーナーの双子、リクとカイがいることを。

写真や動画で、必ず彼のそばにいて、記事などでは「最高最強のパートナー」と謳われ、ファンからは「双子がいれば、ずっと現役でいられるかも」と信頼されている。アメリカに渡ってスポーツ科学を学び、帰国したなら、ほぼ365日、彼につきっきりで体と精神の調整や管理をしているとか。

だけでなく、人間関係のケアも徹底。どこだろうと、誰だろうと、彼と話したいときは双子を通さなければならず。

で、俺はというと、リクには爽やかな笑みで「今は自分の鍛錬だけに励みなさい」カイには露骨に嘲るように「練習生如き割く時間はねえ」と一蹴されてしまい。その背後で彼が申し訳なさそうな顔をしていたのが、せめてもの救い。

お偉いさんでも双子の鉄壁を崩すのは難しいらしいが、それにしても俺への当たりは人一倍きついような。練習生でも成果を上げれば、挨拶くらいさせてくれると聞いたものの、練習試合で連勝しても、おとといきやがれ状態。

隙をついて彼が一人のときにアタックしたくても、トイレまでついていく双子の守備はぬかりなし。どうしてか双子はかなりの警戒心と敵意を持っているようだから、なおのこと彼と口を利くのは至難。

「これじゃ埒が明かん」と思い、直談判することに。彼がシャワーを浴びている間「覗きは許さん」とばかり扉の前に仁王立ちする双子に「理由を教えてください!」と深々と頭をさげた。

「俺には覚えがないですが、お二人の気に障るようなことをしたでしょうか!」

廊下には俺の声が響くだけで、なかなか返事はなし。そのうち聞こえたのは「・・・あの人は、お前みたいのに弱いからな・・」とため息。

「へ?」と顔を上げると、リクがほほ笑みかけ「いいこと教えてあげよう」と俺の問いを無視しての教授を。

「ここから車でニ十分の美広ビーチに行ってみなよ」

「そんで砂浜の真ん中あたりで、自慢の筋肉を見せびらかしてしばらく立ってろ」

「そしたら、あの人みたいに強くなれるよ」と結ばれても、なんのことやら。質問しようとしたが、シャワーからあがった彼を、俺から見えないようにガードをしながら双子は去っていったもので。

真夏のビーチに行くことで、どうして強くなるのか?てんで分からず、でも「あの人みたいに強くなれるよ?」との言葉に惑わされて美広ビーチへ。

海水浴客がごった返すなか(「自慢の筋肉を見せびらかせ」との助言どおり)面積のすくないビキニ一丁で歩いていく。歩いてきて半分、海まで半分のところで止まり、やや頬を熱くしながら、胸を張って筋肉を張りつめさせて。

あたりをちらちら窺うも変化なし。「双子にからかわれたか?」とため息を吐いて肩を落とし、とぼとぼと帰ろうとしたそのとき。

「きみ」と声をかけられ、振りむいたなら、アロハシャツに短パン、サングラスをかけた小太りの髭面親父が。

「アダルトビデオにでてみない?一万円出すから」




一万円の報酬でアダルトビデオに出演したら、彼のように強くなれる。

なんて、さすがに本気では考えなかったが、金欠だったとの興味本位で胡散くさいおっさんの誘いに乗ることに。

ビーチを後にして、つれていかれたのは廃屋のホテル。外装は古びて肝試しにもってこいなれど、使用する一室はリゾートホテルのような今風の内装。

相手役の女性の説明では「旅行にきた若いカップル。彼がベッドに座ってスマホを見てばかりいるのに、彼女が拗ねていたずらをするの」という設定らしい。

「あなたは、ぼうっとスマホをいじって、わたしが触っても、なるべく無関心なふりをして。わたしが導くから、ほとんど動かなくていいし演技もいらないわ」

「素人の盗撮をしたっていう体だし」とウィンクした彼女は若そうながら、ベテラン感がひしひし。ホラー的雰囲気が漂うホテルにきてから、あらためて迷いを覚えた俺はアイスコーヒーを差しだされほっと一息。

コーヒーの味は正直、よく分からなかったが「彼女に身を任せよう」と一気飲みして腹をくくったもので。

撮影の準備が整ったとのことで部屋へ。ふつうのホテルにはない大きな鏡があるも、マジックミラーで、それ越しにカメラで撮るという。

「そのほうが盗撮っぽいし、きみが撮影を変に意識しないでしょう」とのビーチで勧誘した髭面の説明。きな臭い商売をしている割には、愛想がよく物腰柔らかく気づかい屋。

ベッドで胡坐をかき、かすかに震える俺に「目には黒線いれるけど、心配なら目隠しする?」と声をかけてくれたし。そりゃあ、死んでも業界や彼にばれたくないから、黒い帯のようなそれを受けとる。

目隠しをすると「じゃあよろしくね」とスタッフたちが退室。はじめに説明されたとおり、スマホを持ってスワイプするふりをすれば「ねえ、聞いてるう?せっかく旅行きたのにい!」と彼女の非難がましく甘える声が。

「いつ?いつくるんだ?」と胸を高鳴らせるうちに体が熱くなり息切れも。まだ触られていないものを、ズボンの下がむくむくと膨らみ、カメラを意識すると、なおのこと居たたまれないやら恥ずかしいやら。

こうも失態を晒しては撮影中止かと思いきや、ベッドが軋んで彼女が乗っかったのだろう。呼吸を荒くしつつ、スマホをいじるふりをしつづけ、ズボンと下着をずらされても、なるべく反応しないように。

手か舌か、どちらがくるのか?果たして、どちらでもなく、冷たくぬめぬめとした柔らかいものに包まれて急激に扱かれて。

「気色わる!」とぞっとしたものを、次の瞬間、どっと快感が湧きあがり「ひい、あ、ああ、んんあああ!」と即射精。一旦、それが引きぬかれるも、また包みこまれてぶっちゅぶっちゅ!

「いたずらって、そういう意味か?」とふと考えるも、ベッドが軋んでから彼女の声が聞こえないし、手つきからして相手は女性でなさそう。とにかく止めたいところだが(おそらく大人のおもちゃ的なので)弄ばれてイきっぱなしだし、体が燃えるような高熱に悩まされて、みっともなくあんあん悶えるばかり。

もう数えきれないほど絶頂を迎え「ふおおお!」と頭が真っ白に。いっそ、そのまま意識を失くしたかったとはいえ、にわかに視界が開けて、目にはいったのは彼女でなく、見知らぬ男。

手に持ったナオホを放って、新しいのを装着。「もお、やめ・・・!」とその手首をつかもうとするも、快感に痺れてままならず、半端に股間に手を伸ばしたまま「はひいいん!もお、もおお、だめええ!」と泣き叫ぶ。

「いいねえ、いやいや泣きながら、濡れた股に手を伸ばして、もっともっとって乞うように腰を揺らして」

涙目で見やった先には、片手に目隠しを持ち、片手にカメラを持つ髭面の男。やっと騙されたことに気づき「この・・・!」と睨むも、急に胸に違和感が。

いやでも見えてしまう、両乳首に当てられる筒状の注射器のようなもの。でっぱりを引っぱると、乳首も引っぱられ、未知の快感がこみ上げて「くひいい!」と空イキ。

「ほんとうの題名は『ガチムチのかわいいきみに、あらゆる大人のおもちゃを試してあげる』だよ」

なんて告げられても、はあはあ涎を垂れ流すだけ。注射器のようなのが外されて「ううん!」と甲高く鳴くも、どうにか奥歯を噛みしめ「こ、殺して、やる・・・!」と睥睨。

「ほんと、きみら脳筋傲慢愚劣格闘家は懲りないよねー。この世には腕力で解決できないことは山ほどあるんだよー」

「大体、そんなざまで凄まれてもねえ」と鼻で笑われ、赤く腫れてぷるぷるする乳首を目にして顔を沸騰。おまけにピンクのディルドが当てられてスイッチオンされては。

「ううん、おう、おふうう!や、やめ、やめてええ!」とメスイキしっぱなしで号泣。ナオホで扱かれ、ディルドを胸に当てられて、それだけでも快楽地獄に陥るのが、見よがしに掲げた数珠を尻の奥へ。

足の間にいた男がナオホを動かしながら体をどけたので、マジックミラーに写るあられもない自分と向きあうことに。

「彼らのヘアバンドにはカメラがあるし、もちろん向こうでもばっちり撮っているよ」

「いい反応してね」と笑いかけつつ、羞恥に鞭打つような言葉を。まんまと煽られて「やあ、やだあ、やだよお!お願あ、やだってええ!」と泣きじゃくれば、そりゃあ「かわいいかわいい」と髭面は大よろこび。

「そっかそっか、じゃあもっと恥ずかしくしてあげるよ」とナオホを外して、胸からディルドを遠ざける。ほっとする間もなく、乳首が洗濯ばさみのようなのに挟まれて鈴の音「がっつり潮吹くところ見せてねえ」と髭面のふふふと、おねえのような笑い。

精液まみれの息子が立ちっぱなしで痙攣し、あんあん胸を揺らすたびにちりんちりん。滑稽なざまに、より羞恥に苛まれ、でも「はふううん!ああ、そこお、そ、しょこおお・・・!」と腰を振るのがやめられない。

股間の間近でカメラをかまえる髭面の「じゃあ、盛大にぶっかけてよ」との一言で一気に数珠が引っぱりだされて。奥まで埋まって蠢いていたのが、内部を擦るあまりの苛烈さに「く、くそお!おおおん!」と鈴を鳴らしながら、白い液体をまき散らしてしまい。

ぎりぎりで意識を保ちながら「なんか、いろいろとオワタ・・・」と絶望したものだが、鳴り響いたタイマーの電子音。「あー時間切れかあ、まだまだ試したかったのに」と紙袋いっぱいの、おぞましいそれを目にして昇天するように失神。

きっと相手は堅気の人間でないだろうと。いかがわしい動画を撮られたなら、業界にいられなくなるどころか人生終了と思ったのだが。

「いやーぼろ儲けさせてもらったよ」とご満悦そうに約束どおり一万円をくれて、脅迫したり、さらなる要求はしてこず。一万円札に疑いの目を向けていると「ほんとうはもっと稼がせたいけど」と謎の言葉を。

「先輩の顔に免じて、まあ、これからもがんばりなさいな」

釈然としなかったとはいえ、相手の気が変わらないうちに大人しく退散。なれど問題はのこっている。

「俺は髭面だけでなく、双子にも騙されたのか?」とそりゃあ、疑心が。問いつめたくはあるが「まさか、誘いに乗るなんて」としらを切られるそうだし、そもそも双子に打ち明けるわけにいかないし、俺の胸のうちにとどめるしかないよう。

悔しいような、おそろしいような、とりあえず双子には近よらず「強くなって王者になれば、あいつらも口を挟めないだろ!」と鍛錬に熱中。おかげなのか、アダルトビデオの一件があって以降、我ながら目覚ましい成長を遂げて、期間を短くしてプロデビューし、新人大会で優勝。

「俺の見こんだとおりだ!」とオーナーは鼻高々と喚いたが、ジムに所属してしばらくは無関心だったくせに。というように俺の快進撃は意外だったわけで、我ながらできすぎて不思議。

「まさか双子の助言はマジ?」「いやまさか」と肩を揺らして笑いながらも、双子にマッサージされて悩ましい声をあげる彼から目を離せなかった。




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ダラナ 2024/01/14 10:46

BL短編集「人を殺したくなるゲームは俺の性的嗜好を歪めて無慈悲な隠しエンディングを迎える」試し読み

ホラーをテーマにしたBL小説四作を収録したアダルトな短編集です。R18。
すこしグロい描写があるのでご注意。




【人を殺したくなるゲームは俺の性的嗜好を歪めて無慈悲な隠しエンディングを迎える】



ある発禁になった伝説のホラーゲームがある。
五年前にヒットした「哀れな狼少年のあるべき最期」だ。

小柄な男子中学生が帰宅をすると、家には父と母の惨殺死体が。
家を跳びだして、さっき別れたばかりの友人に助けを乞おうとするも、彼らも八つ裂きにされて絶命。

警察に行こうとし、振りかえったところで、ピエロの格好をした小柄な男が。
全身に浴びたような血、片手に持つサバイバルナイフからは赤い滴がぽたぽた。

おそらく親や友人を手にかけた殺人鬼。
逃げながら「助けてくれ!人殺しが俺を!」と喚きちらすも、住宅街は無人なのか、近所の人も皆殺しにされたのか、誰もでてこず、誰とも会わず。

通う中学校に逃げこみ、そこから本格的に密室での殺人鬼とのかくれんぼと鬼ごっこを開始。
なぜか窓やドアから外にでられず、なにかの条件を満たすか、仕掛けを解除するかしないと、その見えない壁を突破できないよう。

その一環として殺人鬼に見つからないよう校内を回ってアイテムを回収。
アイテムを見つけるたびに、男子中学生の生生しい記憶が甦っていく。

家では不倫している父と、宗教にはまる母との喧嘩が絶えず、おかげで彼は放任されて孤独であること。
そんな家庭の事情がだだ漏れで噂の的となり、無関係のはずが息子である彼も周りから白い目で見られて、陰口を叩かれていること。

さらにクラスでも、不倫の件をきっかけに虐められていること。
教師には見て見ぬふりをされ、クラス外の生徒にも「あいつも不倫でできた子かもよ」と侮辱され笑われていること。

そして限界まで追いつめられた彼が発狂し「殺人鬼に追われている!だれかあ!」と近所や学校で吠えて走りまわる狼少年になったこと。

最後のアイテムを手にいれ、自分の悲惨な境遇をすっかり思いだしたなら、強○イベントで殺人鬼に押し倒される。
このときアイテムの「おもちゃの銃」を持っているか否かでエンディングが分岐。

持っていない場合、男子中学生は首を絞められて死亡。
起きあがった殺人鬼は画面から背を向け、ピエロの仮面を放ると、高笑いしながら暗い廊下に消える。

しばらく真っ暗な画面のまま、人人の阿鼻叫喚が聞こえるに、外へでて虐殺をつづけているのだろう。

一方で持っていた場合、首を絞められつつ、銃を撃つと殺人鬼が胸から血を噴きだして死亡。
一応、サバイバルナイフを取りあげてから仮面を外すも、顔がお目見えするまえに画面は暗転。

翌朝、登校してきた生徒が、うつ伏せに倒れる彼(殺人鬼の死体はなし)を囲み、ざわざわ。
女子生徒が起そうとしたら跳ね起きて、サバイバルナイフで彼女の首をぶっ刺す。

学ランを着ているに、主人公の彼のはずが、いつの間にかピエロの仮面をかぶり、殺人鬼と同じように哄笑しながら、次次と生徒を殺害。
生徒たちの悲鳴が響きつつ、血しぶきが画面を真っ赤に染めあげていく・・・。




【落ちぶれた鬼は特注の器具で快楽地獄に陥って俺から離れられない・・・はずだった】



高校のころ幼なじみの親友、武志が夜に失踪。
コンビニでバイト中の俺と別れたきり、夜九時を過ぎても帰宅せず。

田舎の小さな町だからネットカフェやカラオケなど、だらだら夜に入り浸れるようなところはないし、もとより家族が大好きな武志は、いつも寄り道せず家に直行。
もちろん連絡はなく、帰宅予定の七時を過ぎてから家族が武志の友人知人に「おじゃましていないか」と聞きこむも、すべてノー。

九時になって武志失踪の件が近所に伝達されて、町人たちは捜索に。
消防士と交番の警察官も出動し、山に詳しい大人たちは闇の森へと消えていった。

俺も山へ行きたかったが「お前まで遭難したらどうする」と追いかえされて。
といって大人しく引きさがらずに一人でひそかに山へ。

人一倍、夜目が効くうえに、幼いころから武志と遊んでいた山は庭のようなもので、暗かろうと手にとるように場所を把握。
大人たちでは探しきれないところを懐中電灯を照らしながら歩いていたら、遠くに仄かな光が。

明かりはとどまっていて、ということは捜索隊でない。
武志が家出をして山に潜んでいるとも思えず「なんか怪しいな」と思い、懐中電灯を消して忍び足で接近。

明かりの近くの藪に潜み、葉や枝の隙間から覗けば、なんと武志が。
男二人に前から後ろから一物を突っこまれて犯されていた。

あまりに思いがけない光景を目の当たりにして絶句、体も思考もフリーズ。
放心している間にも二人の男は腰を打ちつけ「ふぐう、うう、んんん!」と武志は苦悶。

「くう・・・!」と前後ほぼ同時に注ぎこまれたようで、一物がぬかれると息も絶え絶えに倒れる武志の痛ましいこと。
にやにやして、それを見下ろし「はーやっぱ生きた人間を○すのはいいなあ!」と奇妙な発言を。

「地獄で人間を○問するのが俺らの仕事とはいえ、陰険で醜い亡者を○すのは、気が滅いるし、具合もまるでよくないからなー。
さて、すっかり鬱憤を晴らしたことだし、そろそろいただくか!」

腹を叩いた男は筋肉を盛りあがらせて、むくむくと上に横に体を膨らませていき。
肌は赤くなって、頭に角、口に牙を生やし、お目見えしたのは三メートルくらいある筋肉質な鬼。

すこし遅れて前にいた男も鬼になり、物言いたげに向かいの鬼を見つめる。
「なんだあ?」と顔をしかめつつ、武志の首をつかんで持ちあげ、その体をふりふり。

「初めに約束しただろ?
人間を○すのは二人でもいいが、食べるのは俺だけだって」

対して応えず、じっと見つづけるのにため息をつき、大口を開いて武志を丸飲み。
骨の一つも、髪の一本ものこさず腹におさめてしまい。

「さて、そろそろ地獄に帰るか。
これ以上、人間界にいたら、もどれなくなってしまうからな」

膨らんだ腹をさすりながら、歩きだそうとした鬼に「なあ・・・」とやっと口を開いて告げたことには。

「その、人間の男を犯せるなら、俺でも、いけるのか・・・?」




【霊媒師に股を開くのを厭わない彼は、亡き愛しの男を二度●す】



俺は幼いころから亡者が見えていた。
彼らは半透明のすがたをし、虚ろな顔をして、口をぱくぱく。

なにをするわけでなく、ひたすら未練のある相手についていき、声も聞こえない。
俺が見えているのに気づいても危害を加えず、なにが訴えてくることもなし。

愛おしげに見つめたり悲しそうな顔をしていたり鬼のような形相をしていたり。
表情は豊かながら、その思いを相手にぶつけたり物理的にどうこうはできないよう。

肉体を失った存在は非力で、ホラー映画のように相手を怯えさせて呪い殺すなんてことはできないのだろう。

初めて目撃したときは、そりゃあ震えあがったが、見えるだけで害がないと知ってからは平気になり、騒ぎたてることはなかった。
一度、親に知らせたことがあるも、忌々しそうに見られたに、以降、だれにも告げず。

空気の読める子供だったから、この特殊体質について、へたにひけらかせば、疎外されるか、精神疾患を疑われるだろうと判断して社会に順応。
ただ高校生になり、進路を悩むころになって「これで荒稼ぎできるのでは?」と考えを転換。

科学が発展した今の時代であろうと、非科学的とされる事象に惹かれて信じる人はすくなくない。
昔のようにテレビにでて華々しく活躍しなくなったとはいえ、亡者と生者をつなぐ仕事をする人は未だに多く、ネットが発展したことで供給も需要も増えた面もあり。

つまり儲かる。

自分の能力や性格を考えて、企業に就職し出世するのは困難。
といって、自分で起業したり、自由業をするにも、具体的なイメージが湧かなかったのが「霊媒師」はしっくりときて。

高校卒業後は大学進学できないうえ、親が頼りにならず、独り立ちしないといけない状況。
とあって、高校二年から霊媒師になるための勉強をはじめ、読唇術も身につけようと。

読唇術はともかく、霊媒師になるには独学では難しく、俺の理想とする霊媒師を見つけて弟子入り。
安い給料でこき使われつつ、商売のノウハウを学び盗み、独自に読唇術の能力を磨きあげた。

そうして師匠の元で修業をして五年。
自分でも客をとるようになってから独立。

「亡き人の声をあなたに届けます」との売りを掲げつつ、そのやり方はイタコのようなもの。

師匠は仲介役として伝えるだけだで、どうも客の反応が今一だったに、イタコ風にしたほうがパフォーマンス的にいいただろうと考えてのこと。
中学高校と演劇部に所属し芝居をしていたから、すこし自信があったし。

仕事の流れはこう。
まずは予約した人と対面。

この時点で亡者をつれていなければ断って報酬を受けとらず。
つれていたら、その唇を読みとり、また詳しく依頼者から話を聞く。

ただし、亡者が依頼者を憎悪しているようだったら、やはりお断り。

「最期まで優しかったあの人が、残せなかった私へのメッセージがあるなら是非」なんて号泣する依頼者を、亡者が殺気だって睨むなんて場合もあるから。
死ぬまで隠した本性を、依頼者に教えても栓がないし、商売としては得でないし。

そう、あくまで客商売なので、高評価を得て口コミでロがるよう、できたら依頼者が感動感激しそうな案件だけを取り扱いたいところ。
なので初対面で事を済ませずに、しばらく期間を空けて結果を告げる。

依頼人の話や亡者の言葉の裏どりをして、また憑依したふりをして伝えるとき説得力を持たせるため。
霊感のなかった師匠によく調査をさせられたからお手の物。

もしこの時点で感動感激系にならない不安な要素が見つかれば「わたしの力不足で」と丁寧にお断り。
依頼者には曲者もいるので、断ることもすくないないが、慎重に選ぶおかげで感動感激してくれる確率は高く「あの霊媒師は態度が真摯だし、なにより、本物で腕がいい」と見こみどおりに評判は上々。

憑依は芝居とはいえ、見える亡者の言葉を伝えているから、詐欺とはいいきれず、法外な報酬を求めるでもない。
追加料金をふっかけないし、周りからちやほやされても乗せられず、客以外とは対面しないで、この目で依頼者を見極め、裏どりの調査と危機管理を徹して、ひっそりこつこつと商売をする。

我ながらうさんくさいグレーゾーンの商売だから、変な欲をだすのは命とり。
そう肝に銘じて、なにかと自戒しながら安定した経営を保っていたのだが、あいにく俺は、亡者が見えるだけでない、難儀な体質をしていたから。





【祖父に寵愛される淫売な少年は精液のように砂金を溢れさせる】



俺の故郷には、幼いころから耳に蛸ができるほど聞かされる、あるいいつたえがある。

故郷は海沿いの町で、あたりには多くの小さい島が点在。
その一つに幻の島「金島」があるとされている。

名のとおり、島中に砂金が溢れているとか。
一攫千金を狙える夢のような島だが、幻だから行きたくても行けるものではない。

漁師などが急な天候悪化で遭難したときに流れつくことが、たまに。
金島に住む人々は親切で、船が壊れていれば修理してくれ、漁師が飢えていたり怪我をしていたら、甲斐甲斐しく世話を。

船も人も全快すれば島とお別れ。
ほとんどの人は島民と涙ながらに挨拶を交わして帰路につくも、砂金をこっそりと持ちだす恩知らずも少なからず。

ただし故郷の地を踏んだとたん、それは変哲ない茶色の砂に。
金島に行きついた人で、砂金を持ち帰れた人はいないという。

一人だけ成功したものを、金島からつれてきたのは砂金ではなく島民。
海に溺れて流れついた海女さんの彼女と、看病した男が懇意になり、かけおちをしたのだ。

島から持ちだした砂金が砂になるなら、島民の男も変貌を遂げるか、結婚に悪影響をもたらすのでは。
はじめは、そう心配されたものを、島民の男に変化は見られず、彼女の家が祟られるようなこともなく、なんなら貧乏だったのが、みるみる裕福に。

二人が結婚した直後に海で真珠がとれるように。
多くの真珠が安定的に供給され、村の特産品となり、地域も潤って繁栄。

たまたまだったのかもしれないが「金島の島民は周りに福をもたらすのでは」と噂となり、かけおち夫婦に「ありがたやー」とまわりは手を合わせたもので。
あいにく二人の間に子はできなかったものを、かまわず町民たちは温かい目で仲睦まじい夫婦を見守ったのだが。

若くして妻が病死。
ここぞとばかり、都から兄夫婦がもどってきて、金島出身の夫を家から追いだし、真珠の商売を独占。

なれど、夫の彼が居なくなったとたん、真珠が一つもとれなくなり、商売は破綻。
町も昔より貧しくなり、離れる住民が続出して、ついにはもぬけの殻。

どんな教訓や戒めがあるのかは分からないが、俺の故郷では知らぬ者のいない金島のいいつたえ。
幼いころは海に行くたび、砂金が山盛りになって輝く島がないものかと目を凝らしたものの、年を重ねるにつれ、興味は失せていき。

「所詮は子供だましの迷信」なんて吐き捨てるのが反抗期のころ。
ちょうど、俺のそんな時期に金島に関わるような、ないような事件が発生。

俺の祖父と父が船をだして海釣りに行ったとき、木の板にしがみついて漂流していた少年を発見。
急いで船に上げて、失神している彼を病院へと。

ひどく衰弱していたとはいえ、とくに負傷してなく病気でもなく。
栄養剤を点滴したなら、そのうち目覚めたものの、自分が誰で故郷はどこか、まったく分からない記憶喪失状態。

会話したり食事をしたり排尿排便をしたり、生きていくための最低限の知恵はありつつ、病室にあるベッドやテレビなど、あらゆる物に驚いたり、俺の父や祖父、看護師を見て「変な格好をしている」と首をひねったり。
噂では、助けあげられたとき彼は古めかしい着物を身につけていたとか。

正体不明の少年について、町の人たちは「金島の子供では?」としきりに噂を。
俺も漏れ聞いて「まさか」と笑っていたのが、なんと、少年が家の養子、義理の弟になることに。

そりゃあ不安やら畏しいやら複雑な心境だったなれど、いざ対面したところで、胸のもやもやが霧散。
これまで俺が見てきたなかで一等、見目麗しい珠玉のような少年だったから。

祖父につけてもらった名前は「慎太」。

透きとおるような肌、血色のいいふっくらした唇、ぱっちりお目目に長い睫、すこし茶色がかった艶やかな髪。
控え目で物静かなれど、いちど心を開いた相手には懐こく、義理堅くもある。

はじめは「どうしよう!クラスの女子よりかわいい!」とどきまぎしたが、コレクションの漫画を見せたことで仲よしに。

「読んだことがないか、覚えていない」というに一から教えれば、熱心に覚えてすぐに読み方を習得。
それからは、すっかり漫画にはまり、俺と肩を並べて読みながら感想や考察を交わしたり、真似て描いてみたり、とにかく彼と過ごす日日は薔薇色だった。

なにせお高くとまった我が家とあって、漫画は害悪と見なされ「また、そんな下品なものを」とよく眉をひそめられていたし。
なんて息がつまるような生活の場で、同じ趣味を持つ弟ができたことに、俺は浮き浮きだったなれど、家の空気は殺伐としたものに。

あとから知っとことには、母や祖母が、父か祖父がよそでつくった子供ではないか?と疑っていたらしい。
愛人の子供を家に迎えるため「海で遭難した子を救った」「その子は記憶喪失」と都合のよ過ぎる方便を吹いたものと。



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ダラナ 2024/01/13 18:14

BL短編集「人を殺したくなるゲームは俺の性的嗜好を歪めて無慈悲な隠しエンディングを迎える」販売中

ホラーをテーマにしたBL小説四作を収録したアダルトな短編集です。R18。
すこしグロい描写があるのでご注意。


【人を殺したくなるゲームは俺の性的嗜好を歪めて無慈悲な隠しエンディングを迎える】

過去にゲームの影響で高校生殺人に走ったという事件が勃発。
おかげでソフトは発売禁止となり、伝説のゲームとなったのを、なんとかプレイして裏世界を見つけたく、男子高生がある男と掛け合い・・・。

ホラーチックなBL小説です。R18。


【落ちぶれた鬼は特注の器具で快楽地獄に陥って俺から離れられない・・・はずだった】

高校生のころ、夜の山で、親友と異形の者が交わる光景を見てからというもの、鬼を飼っている男。
仕事をさせて大金を稼ぐ見返りに、鬼らしからぬ、秘めた願望に応えて、夜な夜なオーダーメイドの大人のおもちゃを・・・。


【霊媒師に股を開くのを厭わない彼は、亡き愛しの男を二度●す】

この世ざるものが見えつつ、計算高く商売をしている霊媒師。
都合のいい依頼だけを選んでいたのが、その依頼人には劣情が湧いてやまず、つい手をだしてしまい・・・。


【祖父に寵愛される淫売な少年は精液のように砂金を溢れさせる】

砂金が溢れる島から、訪れたとされる美しい少年。
訳あって義理の弟となり、親しくしていたのが、兄の陰謀によって離れ離れとなって、それから運命は狂気を交えて歪んでいき・・・。


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