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おっさん受けの記事 (30)

鶯命丹 2022/11/21 01:23

義理堅い男

2022年11月27日 00:00 〜 23:50 pictSQUARE 内にて開催されるBooknook vol.1
 https://pictsquare.net/uuu5c0nm5bi5t7wnrmeu7zzht3072u7n
で出す新刊の一部を支援者様限定で公開いたします。

新刊「ちょっかい出さないで!これは僕の子豚です!」
美少年吸血鬼×スキンヘッドのこぶとりのおっさんのニッチなBL小説です!
テーマはNTR。
吸血鬼咲夜の兄・寿夜(ひさや)が持ち込んだトラブルでてんやわんやするストーリーを軸に、IFストーリーなどをつめこんだ話になると思います今書いてるところですすみません
今回、表紙イラストを
ぶっかけそば様 https://skima.jp/profile?id=310947&sk_code=sha09url&act=sha09url&utm_source=share&utm_medium=url&utm_campaign=sha09url
に依頼致しました!
最高にかわいい表紙が出来ましたのでこちらを世の中にお披露目するために死ぬ気で書いてます!!
どうぞよろしくお願いいたします!


本文中にいれる予定の話のひとつがとても気に入ってるので期間限定で公開させていただこうかと思います。
咲夜と別れることになった厚司が、咲夜と暮らした屋敷でひとり咲夜の帰りを待ってるところに人狼のクロが訪ねてきて、そこからふたりで暮らす話です。

死ネタ
獣○
死体食い
 
どうしようもなく人を選ぶ話ですが、よかったら試し読みをしてみてください。



 お兄様襲来話のif物として

 館の外から、煌びやかに光る館内をそっと伺うと、ある一室に咲夜を見つけた。
 運良く窓辺の近くでひとり、小さな背中をスッと伸ばして不機嫌な顔をしている。
「咲夜!」
 ひそめた声で呼びかけると、咲夜はハッと顔を上げて周囲を見た。
 すぐに外にいる厚司に気付き、丸い目を更にまんまるに見開いて驚いてる。
 パタパタと走り寄ってくる咲夜の姿が怪我もなく無事なようで、厚司はホッと表情を綻ばせた。
 しかし、窓辺に寄った咲夜は厳しい顔のまま厚司を叱り飛ばす。
「子豚ちゃんっなんでこんなところにっ?! お兄様に聞いたの?!……ああ、もうそんなことは後だ……子豚ちゃんはここに居たらだめ! 早く家に戻って……」
「どうかしたかな? 咲夜」
 ねっとりとした猫なで声に、咲夜がビクッと肩を跳ねさせる。
 咲夜の華奢な背中越しに黒髪を上品に撫でつけた紳士が立っていた。
 形の良い薄い唇を、にっこりと笑みの形にしてるが、男の目は少しも笑っておらず厚司は気味の悪さにぞわりと怖気が走るのを感じた。と、同時に背後から強い衝撃に地面に押し倒された。
「ぐっ!」
 背中にかかる痛みと重み、頭を押さえつけられる人の手の感触、肩や膝の関節を踏まれ、走る痛みに声すら出せず厚司は息を詰めた。
「子豚ちゃん!」
 咲夜の叫びに冷たい嗤いが重なる。
「豚とは、言い得て妙だな」
 厚司は抑えつけられる身体をなんとか動かそうともがいても、まったくびくともしなかった。
「あの子を離してください!」
 咲夜の鋭い声が耳に届く。
「おや、あれは君のところの? おかしいなぁ。大事なペットなら同行させて欲しいと伝えたはずだがなぁ」
 酷薄な嗤いを含んだ男の声が、嬲るような嫌らしい物言いをする。
 咲夜がどう出るか試しているのだと、厚司にもわかる。
「さぐっや゛……やめ、ぐぉ゛っ」
 咲夜がどう考えているか、厚司には分からなかったが、ただ、嫌な予感だけがした。
 厚司を黙らせようと、上で押さえつけている何者かがぐっと頭を地面に押し付けた。
 口に土が入るのも構わず厚司は叫ぶ。
「咲夜っやめろ! 俺はいいから! ぐぇ゛っ」
「子豚ちゃんっ! お願いやめて! やめてくださいっなんでもするから離して!」
「おや、そんなに大事なものだったのかな?」
 咲夜の悲痛な叫びに、男は白々しく意外そうな物言いをしている。
「そうです! だから、お願いやめて」
「君がそこまで言うなら」
 小さく泣きそうな咲夜の声に厚司の心臓が冷や水を浴びせられたように冷えて縮む。
 胸の痛みに息をつめていると、厚司を抑える力がなくなり身体が自由になった。
「咲夜っ!」
 急いで立ち上がると窓に飛びつき咲夜を呼ぶ。
 咲夜が厚司の元に駆け寄って顔についた泥を払い、もう一方の手で厚司の分厚い手を握りしめた。
 細い指が小さく震えている。
 何か言おうと開閉を繰り返す厚司の唇に、咲夜の親指が優しく触れた。
「大丈夫、すぐ帰るよ。先に家に帰ってて」
 いつも通りの微笑みを浮かべる咲夜が、いとしむように指先で厚司の顔を撫で、離れていく。
「さ、咲夜っ! 待てっ待ってくれっ」
 美しい顔を歪めて嗤う紳士に向かい、咲夜の細い背が厚司の前から遠ざかっていく。
 厚司が窓を乗り越えようとしたところ、複数の黒服に取り押さえられ、運ばれて屋敷がどんどん遠くなる。
「離せっおい咲夜っ待て! お゛ぐっ!」
 鋭い衝撃と揺れる視界。どさりと地面に身体が沈む感覚を最後に、厚司は意識を失った。
 
 
 

  目覚めると、見慣れた屋敷の天井と、心配そうにのぞき込む寿夜の顔が目の前にあった。
 ひと通り取り乱し、騒ぎ立て、厚司は動き回るのを止めた。
 結局のところ、咲夜は厚司の元へ戻って来なかった。
 古く強力な吸血鬼から厚司を逃すために、咲夜はあの男の元に残ると決意したのだから、もう会いに行くことはできないと寿夜に告げられ、子どものように嫌だと抵抗した。
 しかし、それから何度も何度もあの屋敷へ行こうとするが、結局辿り着けずに終わった。
 意気消沈し、ぼんやりと視線を彷徨わせる厚司に声をかける寿夜は、普段のちゃらけた様子をひそめ沈痛な面持ちで眉をひそめている。
「子豚ちゃん……ごめんね、まさかこんな事になるなんて……」
「いや、いい」
「あの、この屋敷にはきっともう誰も戻らないと思う……だから、子豚ちゃん。俺と一緒に行くかい?」
「いや、いい」
 同じ言葉を繰り返し項垂れたままの厚司を見下ろし、寿夜は「……そう」とだけ呟いた。


 兄の寿夜との会話はそれで最期だった。
 ぼうと見つめる床が暗くなり、また明るくなってきた頃には屋敷の中に寿夜の姿はなかった。
 また、厚司もそれを気づくのに数日はかかったので正確には、彼がいつ頃屋敷を出たのか定かではない。

「……ほこり、つもってるな」
 厚司しかいない屋敷の隅にかすかに積もりだした埃がふと目につく。
 門真が屋敷を管理していた頃には考えられない。
「これじゃまずいな」
 二人が戻った時に屋敷が汚いとどやされる。
 そう思った厚司はその日から、手持ち無沙汰を誤魔化すために屋敷中を掃除して回るようになった。
 棚や窓枠の上から埃を叩き落とし、床を掃き拭きする。
 窓を磨く。
 庭の木を剪定し、枯れた花を取り除く。
 以前日常的に行っていた屋敷のメンテナンスをひとりで考え行っていくと、一日があっという間だった。
 疲れ果てシャワー浴びて眠る生活は、厚司にとっても都合が良い。
 どんな仕組みかわからないが、変わらずに水道も出るし火も使える。
 屋根も窓もあって雨風もしのげるし、キッチンに食料だってまだある。
 無くなったら何処かで稼いで買ってくれば良い。
 その日暮らしのような真似は慣れてる。
 厚司はそう決心して、屋敷に留まり咲夜の帰りを待った。
 
 季節の移り変わりを肌で感じるようになったある日――
 簡単に済ませた朝食の後、厚司は頭にタオルを巻きながら玄関へと歩いていく。
「今日は庭でも手入れするか……そろそろ落ち葉も増えてきたしな」
 ひとり、誰にはばかることもなくひとりごとを言いながらドアノブに手をかけようとしたその時――
 かりかり、かりかりかり
 玄関のドアを引っ掻く小さな音が聞こえて、厚司はぴたりと動きを止めた。
 
 ……誰か来たのか? 空耳か?
 厚司はまず自身の異常を疑った。
 ひとり屋敷を掃除し始めたころ、咲夜に呼ばれたような気がして振り返ったり、あまつさえ返事をしていた時があった。
 その度に咲夜がいないことへの絶望と、とうとう自分がおかしくなったことを自覚して、項垂れたものだった。
 しかし、このまま咲夜の幻と暮らす方が、ひとりよりはずっとマシかもしれない……と諦めて聞こえるままに自分を呼ぶ咲夜の声を聞いていたら、そのうち聞こえなくなってしまった。
 今はもう声色さえおぼろげだった。

 そんなことを緊張した脳の一部で考えていた時、かりかり、かりかり、とふたたびドアを引っ掻く音がした。
 厚司の胸にもしかしたらと希望が湧く。
 命からがら逃げ出して、瀕死で立つことも出来ずドアを引っ掻く咲夜の幻想に、厚司は慌てて玄関ドアを開けた。
 「よ〜ぉ、子豚ちゃん。久しぶりだなぁ」
 そこにはにやりと歯を剥き出して笑う、かなり大型の黒い犬がいた。
「クロ……おまえ」
 厚司はその特別に大きな犬の前に膝を付き、その真っ黒でにやけた面を撫でてやろうと手を伸ばす。
 情けなくぶるぶると震えた手が、滲んだ視界に映った。
「なんだよなんだよ。俺に会えてそんなに嬉しいのか子豚ちゃん。そんな熱烈歓迎だとまた味見したくなっちまう」
 クロが低くしゃがれた声で笑う。厚司の手に額を押し付けるようにしてもっと撫でろと命じている。
 手のひらに伝わるクロの体温と体毛のごわつく感触に、厚司の目からぼた、ぼた、と涙が落ちた。
 ひっ、ひっ、と情けなく漏れる嗚咽を抑えようと唇を引き結ぶと、クロの薄い舌がべろりと厚司の顔を舐めた。
「なんだぁ? メソメソしやがって。なに辛気臭い顔してやがる。坊ちゃんはどうした? あの鼻持ちならない偉そうなにおいが薄いな」
「おい、やめろ。舐めるなって」
 べろべろと顔を舐め回され、厚司の顔は自然と綻んでいく。
 それと同時に咲夜の匂いが薄いと言われたことに動揺していた。
「……そうか……やっぱり薄くなってるんだなぁ」
 厚司は泣き笑いにクシャクシャに顔を歪めてクロの首に抱きついた。
「おいおい……いったいどうしたんだよ子豚ちゃん……なんかお前痩せたか? たくさん肉がついて食い出がありそうだったのに、肉が減ってねぇか?」
 クロはペタンと尻を下ろし、憎まれ口なのか、慰めなのか分からない言葉をまくし立てた。
 厚司はクロの埃と土の臭いがする毛皮に顔を埋めて嗚咽に喉を震わせていた。
 

「そうかい、坊ちゃんは、吸血鬼同士の縄張り争いに負けて相手の傘下に入ったってことか? そんなら戻ってこねぇんじゃねぇの?」
 土やら砂やらで汚れた黒い犬――人狼のクロを厚司は風呂場で洗ってやった。
 何度も何度も土色になるお湯を睨みながら、咲夜がこの屋敷にいないわけをかいつまんで説明する。
 ざぶざふとお湯で洗われながら話を聞いたクロが、低く喉を転がすように笑っている。
「帰ってくるかもしれねぇだろ」
 熱くなる鼻の奥を誤魔化すように、厚司は短くそれだけ言うとクロの頭にザァとシャワーをかけた。
「図星だからって怒るなよ」
 シャワーを振り払うようにぶるぶると頭を振ってクロは笑っていた。
 
 夜も更けたころ。
 厚司は自身の身体に乗り上げる重みで目を覚ました。
 目を開けてみれば暗い部屋の中に黒い影がじんわりと形を作っている。
 黒い影に手を伸ばせばもふもふと乾いた毛皮の感触に、厚司は小さく息を吐く。
「坊ちゃんだと思ったか?」
 しゃがれた声がひそひそと厚司の耳元に落ちてくる。
 熱く湿った息が耳にかかり、薄い舌がべろりと舐めた。
「ん……いや……ちょっと寝ぼけただけだ」
 耳朶を舐める濡れた感触に厚司の身体がかすかに跳ねた。それを誤魔化すように太い腕がクロの身体を抱き寄せる。
 風呂に入れてやったので柔らかい胸毛に顔を埋めると、石けんと、毛皮の奥に獣の匂いがする。
 クロは厚司の反応を見逃さず、長い鼻っ面を埋めるように執拗に厚司の耳を舐める。
「あっ♡まて、やめろって」
 あからさまに快感を引き出そうとするクロの舌を避け、耳を両手で守った厚司。
 耳を覆う分厚い手を舐めながらクロは低く唸るように笑った。
「坊ちゃんに義理立てしてんのか? 帰ってくるかも分からんのに」
「もうすぐ帰って来るかもしれない」
 頑なな言い方にクロが吹き出し笑った。
「そうだよな。ヤッてるときに帰ってくるかもしれねぇな。前の時みたいに」
 くつくつと震えるクロの毛が厚司の身体をもぞもぞと撫でる。
「そうだよ。やめといた方がいいぞ、お前ぼろぼろにされたじゃねぇか」
 ムッとした声音がそっぽを向く厚司の口から漏れた。
「いいじゃねぇか。あんたは気持ちいい思いが出来て、更に待ち人まで帰って来たら万々歳だろ?」
 べろりと長く薄い舌が厚司の口の端を掠めて頬を舐めた。
 そっぽを向いたまま、クロの首に腕を回す。抱き寄せられたクロはピクピクと耳をはためかせ吐息混じりに笑いをこぼす。
「咲夜だと思っていいぞ」
 低く囁くクロの毛がさわさわと厚司の横顔をくすぐる。
「そんな事するか」
「坊ちゃんはこんな毛むくじゃらじゃあなかったもんなぁ」
 ぐつぐつと喉奥で下卑た嗤い声を唸らせるクロの長い犬の口に噛み付いて、うるせぇとくぐもった文句を言う。
 上下の牙が開いて厚司の舌を受け入れた。
 肉の厚い人の舌と、薄い犬の舌が絡まる。
「ん♡……ふぅ♡」
 厚司の喉から小さくこぼれた吐息は、甘く震えていた。
 柔らかい粘膜が絡まる久しぶりの快感に厚司の皮膚がぞわりと総毛立つ。
 ちゅぷ、ちゅく、といやらしい水音が鼓膜を震わせた。
「んぁ♡」
 柔い舌が抜けていくのを厚司の視線が追っている。
 名残惜しげに唇から覗く舌にクロは「そんなに惜しまれると嬉しくなっちまうなぁ」と低く笑った。
「なぁ、ほら子豚ちゃんよ。この邪魔な服を脱いでくれ。俺が脱がしてやっても良いが、この姿じゃぁ脱がすと言うよか破くになっちまう」
 クロの眼がニタリと細まったのが、暗がりでもわかった。
 自分で脱ぐように仕向けられ、厚司は唇を歪めたが、引き結んだまま、荒っぽい仕草で着ていた寝間着を脱ぎ捨てる。
「あ~あ~、やっぱりなぁ。少し肉が落ちてる……せっかく食いでがありそうなまるまる太った子豚ちゃんだったのに」
 わざと憐れっぽく嘆いて見せるクロが、仰向けに転がった厚司の身体に舌を這わす。
「くっ、あ♡……うるせぇダイエットしたんだよ」
「そうかそうか、そりゃぁ無駄な努力だ。食べ応えがある方が良いぞ」
 
 クロは平たく薄い舌を細かく蠢かせ、組み敷いた男の肌を舐めた。
 暖かいが、乾いていて、柔らかいが、張りのない肌。
 老いたなとクロは思ったが、ふざけた事ばかり言うこの犬が、厚司が老いたことは口にしなかった。
 以前出会って暴いた日より、そう時は経ってないはずなのに、男の肌は確実に老いていた。
 図太く見えて案外脆い所のあるのが人間だ。
 あの高慢ちきな小僧っ子がいなくて、悲しみが男の老いを加速させていると思うと、クロはそれが哀れで可笑しくて愛おしかった。
 首を舐め回し喉仏を甘く噛んでやると「うぐっ♡ん゛♡」と痛みに呻くフリをした喘ぎを漏らす。
 クロは機嫌良く舌を滑らせていくと、つるりと冷たい金属の感触。
「んあっ♡あ♡あ♡あ゛♡乳首♡ひ、ぃぃっ♡」
 ぷっくりと勃ち上がった乳首を貫通する金属の楔をクロはどうにか外せないものかと舌で弄る。
「あっ♡ひ♡ンッ♡はぁ……あ♡乳首っ♡乳首♡いいっ♡んん♡」
 楔は取れる気配も無いが、随分と好さげに鳴いている厚司を見下ろして、クロはひとまずそのまま続けることする。いまだ触れてないもうひとつの乳首に向かって顔を動かしふんふんと匂いを嗅ぐ。
「ん♡ん♡……はぁ♡♡」
 当たる呼気にさえ甘く呻く厚司に気を良くしてクロは薄く長い舌を伸ばし、楔に貫かれた乳首をべろべろと舐め回してやった。
「あっ♡ああ♡く、クロ♡クロ♡あっ♡いい♡いい♡」
 厚司は太い腕を伸ばしてクロの頭を抱えこむと長い毛にぎゅっと指を絡ませ握りしめた。
「ははっ熱烈だなぁ」
 クロは奥歯を剥き出してにぃと笑む。
 冷たい鼻先で乳首を突き、でろりと舌で舐ってやった。
 
 厚司がもぞもぞと身体を反転させる。
 膝をつき、割開くと剥き出しの尻を高く上げた。
「もう、いいっ……もう、いれてくれ」
 ねだる言葉は甘いが、声には快楽とは違う震えを帯びている。
 クロは無防備にさらされた尻穴に、べろりと舌を滑らせる。
「そんなの、良いからっ♡あっ♡あぅっ♡うぅ♡」
 尻たぶに鼻先を突っ込んでベロベロ、れろれろ、と舐め回すと、ぎゅっと閉じた尻穴が、ひく♡ひく♡と口を開く。
 発情期の雌犬のような匂いを感知して、クロは大きく肺を膨らませる。
「ご無沙汰だろう? ちゃんとひらいてやらねぇと痛い目みるぞ」
「ひぐ♡うっ♡ん、はぁっ♡だめだ♡あっ♡や、だ♡あぁあっ♡いやだっ♡」
 だらだらと唾液を垂らしひくつく尻穴を舐め、えぐってやると厚司は甘く咽び鳴いた。
「あぅ♡うう♡あっ♡待て♡待ってくれ♡あっ♡俺も、俺もしたい♡」
 厚司が枕に埋めていた顔を振り返る。手足でベッドの上を這うと、クロの下肢の辺りに顔を埋めふぅーっ、ふぅーっ、と荒く発情した息をしている。
 分厚い手がいやらしくクロの腹側の毛並みを撫でつけた。
「なんだい、ずいぶんと優しいじゃあねぇか。俺のも舐めてくれるのかい」
 クロは鷹揚に笑うとゆっくりと身体を横に倒して片足を軽く上げる。毛に覆われた陰嚢と、皮からのぞくグロテスクな赤色が呼応するようにビクッビクッと揺れていた。
「さぁどうぞ雌豚ちゃん」
 しゃがれ声が、ねっとりと甘く囁く。
 その声に操られるように厚司はクロの下肢のあいだに顔を埋めて、毛皮をまとって勃起する犬の陰茎にしゃぶりついた。
「ああ〜〜……子豚ちゃん、口ん中あったけぇなぁ。ベロがなめくじみたいに這い回って……皮とちんぽのあいだをベロベロされんのたまんねぇよ」
 クロはぐつぐつと心地よさそうに喉で唸り、うっとりと低い声を響かせている。
「なぁ、子豚ちゃんよ、金玉の根元ぐりぐりしてくんねぇか? ああぁぁ~~、それだ……いいね♡人間の手は器用だなぁ♡」
 ぐりぐりと陰嚢の根元を揉み、指圧するとビクッビクッせり上がって、毛皮からどんどんと肉色の勃起ちんぽが伸びていく。
「んぁ゛っ♡はぁっ♡はぁっ♡……ん、ふっ♡ふぅっ♡」
 長く長くなる犬の勃起ちんぽからぴゅっぴゅっとねばつく水が飛ぶ。挿入を助けるための汁を顔に浴びながら、厚司は舌でびくつく犬の勃起ちんぽを舐め、口内でしゃぶる。
「あ~あ~……雌豚ちゃんの顔がびしゃびしゃだなぁ。熱烈なご奉仕に応えてやらないと可哀そうだ」
 クロは愉快そうに身体を揺らし、首を伸ばすように上体を少し起こすとうずくまるように犬の勃起ちんぽをしゃぶる厚司の尻穴を舐めてやった。
「あ゛っ♡あうっ♡ああっ♡♡それ、いいっ♡はぁ♡舌っ♡舌ぁ゛♡いいっ♡」
 先ほどより大きくひく♡ひく♡とうねる尻穴に、鼻面を突きつけ舌を奥まで入れてやると、素直に腰をへこつかせて蕩けた声を上げている厚司に、クロが命じる。
「なあ子豚ちゃん。ここ、俺の舌じゃあほぐすのにも限界があるなぁ。もう一つある器用な人間のおててを貸してくんねぇか?」
 早くしろと、尻穴を鼻で突っついてやると、厚司は文句も言わず股の間から腕を通してくぱくぱと口を開けている尻穴に指を突っ込んだ。
「んああぁっ♡♡あ゛っ♡はぁ♡あ♡ゆび♡ゆびいいっ♡いいぃぃ♡ゆび♡」
「そうそう、上手だなぁ子豚ちゃん。指が三本も入ったらちんぽ入れてやるからなぁ。俺も手伝うから頑張ろうや♡」
 クロがにやにやと歯をむき出して笑い、舌を指とともに尻穴に入れる。だらだらと垂れる涎を注ぐように舌先でうねる腸壁を撫でてやった。
 じゅぶっじゅぶっぐちゅ、尻穴に出し入れされる太い指がどんどんと速く、同じところを刺激していくのをクロは荒く跳ねる呼気をこぼしながら視姦している。
「ああぁ゛ぁ゛♡あ゛っ♡あ゛っ♡あ゛っ♡も、もうイッ、く♡もうイク♡尻でイクぅッ♡きついっ♡♡あ゛ぁ゛っ♡キツイのくるっ♡♡ぅゔっ!♡♡あ゛ぁ゛ぁ゛~~ッ♡♡」
 まるくでっぷりとした尻が、絶頂に向かって必死にかくかくと蠢いている。喘ぐ厚司の発情しきった熱い息がはっ♡はっ♡はっ♡とクロの勃起ちんぽを刺激し、びゅくッびゅくッと透明な水分を噴き出していた。
 絶頂し倒れ込む厚司の顔が、クロの下腹部に埋まる。すりすりと擦りつけられる顔と、陰嚢の根元を指圧し続ける指が、クロを挑発していた。
「イッたばっかで悪ぃが、今度は俺の番だな」
 クロが素早く身体の向きを変えると、厚司の腰に前足をかけ、ぽっかりと寂しそうに口を開けている尻穴に長く伸びた犬ちんぽを挿入する。
「あ゛あ゛ぁぁあ~~ッ♡あ゛っ♡あ゛あ゛っ♡ふかっ♡ふかいっ♡ひっ♡ひぃ♡ぃいいっ♡」
 ぐじゅっ、ぬぢゅ、ぐりゅりゅっ
 長く伸びた勃起犬ちんぽが絶頂しうねる腸壁をこじ開けて、奥へ奥へと入り込んでいく。
 その熱く固い肉の感触に、厚司の身体がぶるっぶるっと震え、あっという間に雌の絶頂を味わう羽目になる。
「おおっ♡スゲーうねってんなぁ♡子豚ちゃんの雄マンコは♡あぁぁ~~せっまい尻穴、ぐりぐり広げていくの最高だぜ♡」
 クロの前足の爪が、きつく厚司の腰を掴む。爪が肉に食い込み、うっすらと血が滲んでいた。皮膚を破った感触に、クロは大きく口を舐める。
 長く伸びた犬ちんぽの先が、こりこりと閉じた結腸に当たる。
「ひっ♡い゛い゛♡い゛っ♡ぐっ♡うぐっ♡あ゛っ♡お゛ぐ♡あ゛っ♡だめだっ♡あ゛っ♡そご、だめっ♡」
「おっ♡おおっ♡わりぃな子豚ちゃん♡気持ちよすぎて腰止まんねぇんだ♡お゛あぁ゛っ♡んお゛ぉ゛っ♡このまま大人しく種付けされてくれ♡ああぁぁ~~出てる出てる♡」
 逃げる腰を押さえつけ、クロはかくかくと腰を振り乱す。
 ごちゅぅっとひときわ深く突き入れると、犬ちんぽの先が結腸の奥へと入り込み、こぶのように膨らんだ根元が尻穴を押し広げる。長く深い犬の射精に酔いしれクロはだらだらと口から涎を垂らして腰をへこつかせ続けた。
「お゛ぉ♡おん゛っ♡またイぐっ♡お゛ぐ♡あ゛だる゛ぅっ♡ゔゔっ♡ゔぐぅぅっ♡ゔぉっ♡ぉ゛ん゛ん゛っ♡♡♡」
 揺れる腰振りはゆるいが、ずっぽりと深く食い込んだ勃起ちんぽの熱と固さに、長く噴き出す精液に、絶頂を続けた腸壁を刺激され、厚司は何度も何度も絶頂を味わい続けることになる。
「ひぐっ♡ゔゔっ♡うぐっ♡ゔゔゔ~~ッ♡♡」
 枕に頭を沈め、泣きわめく厚司を見下ろしながら、クロは汗ばんで震える背中を何度も何度も舐めてやった。


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鶯命丹 2022/10/17 23:11

お兄様襲来!

以前書いた
「美少年吸血鬼に愛玩用兼食用の豚として飼育されることになったおっさんの話」の続きもの。

前作の販売場所は下記にて販売中

BOOTH→ https://mt-pikarya.booth.pm/items/3951973
とらのあな→ https://ec.toranoana.jp/joshi_rd/digi/item/042000041063
DLsite→ https://www.dlsite.com/bl/dlaf/=/t/s/link/work/aid/dYqdsfyugLoeia/id/RJ409445.html
pictSPACE→ https://pictspace.net/oumeitanpicsp1



あらすじ
咲夜のお兄様、トラブルメーカー寿夜(ひさや)が登場し、ふたりの仲をひっかきまわしたりわいわいしたり、えっちなパーティーに巻き込まれたり、囚われの子豚ちゃんになったりする話(の予定)です。

こちらは簡易版。
冒頭、寿夜の登場シーンあたり。
簡易版をいくつか支援者様限定公開し、完成版を本にして出す予定です。

前作の本の中に出したオリジナル設定とかありますが、大した設定でもないので、こちらだけでも問題なく読めるかと思います。


お兄ちゃん襲来!
 ある日の朝、厚司と咲夜が連れ立って食堂に行くと、ひとりの若い男が座って食事をしていた。
 厚司がその人物を訝しげに見ているあいまに、咲夜が驚いた声を上げる。
「お兄様! いつ帰ってらっしゃったんですか?」
「お兄様?」
 咲夜が珍しく目を見開き、慌てたように小走りで食事中の若い男に近づいた。
 釣られて目を開き、咲夜と、テーブルに着く青年を見比べる厚司は、確かに似てるなとひとり心中で頷いた。
 すっと涼し気な切れ長の目に、鼻立ち整った顔、青いほどの色白の肌は潤って、艶やかな黒髪を短く切り揃えている。
 端的に言えば、だいぶ美男子である。
 まだまだ子供の容姿で、まあるい頬と顎を持った咲夜が、青年期になれば目の前にいる青年のようにしゅっとスマートな輪郭になり、甘いマスクの男になるのか。と厚司はまじまじと青年を見た。
「門真は知ってたの?!」
 青年に給仕していた門真に問い詰める咲夜。
 いつもは表情を崩さない余裕の執事が眉を下げて困ったような表情をする。
「朝、屋敷の周りをひと回りする際に、玄関に座り込んでいらっしゃいました」
「もう! 来るなら来るって早めに連絡ください!」
「わかったわかったごめんてば。咲夜は相変わらずおこりんぼだなぁ」
 キャンキャンと吠えるように怒る咲夜に、暖簾に腕押し風なゆるい兄貴。
 門真の様子も、常よりも慌てるような困ってるような印象に、厚司は興味津々と三人を見ていた。

 一歩引いて周囲を見てる厚司に気付いた青年が、目を輝かせてテーブルを立つ。
「ねぇねぇ咲夜。この子はどうしたの? 新しい子?」
 犬猫でも触るつもりなのか無遠慮に近づき手を伸ばしてくる青年の手を、咲夜が掴んで止める。
「僕の子豚だから。勝手に触らないで」と咲夜は眼光鋭く兄を睨み付ける。
 しかし兄である青年は咲夜の眼光など意にも介さずへらへらと笑って言った。
「ええー! いいじゃないちょっと撫でるくらい! ねぇ君名前は? いつからここにいるの? 俺はね、寿夜(ひさや)って言うの。咲夜のお兄ちゃんだよ〜」
 あいだに立つ咲夜を無視して捲し立てる寿夜。圧倒された厚司は「厚司、です……どうも、弟さんにはいつもお世話になっております……」と辿々しく頭を下げた。
「ちょっと、子豚ちゃん。余計なこと言わなくていいの!」
 下から睨みつけられ、むぐ、と口を閉じる厚司。
「子豚ちゃんて呼ばれてるの? かわいい〜! 俺も子豚ちゃんて呼んでいい?」
「ダメです」
「咲夜に聞いてないよ〜! 良いよね子豚ちゃん。ねぇつるつるの頭かわいいね。触ってもいい?」
「ダメです」
「だから〜、咲夜には聞いてないでしょ〜! ね、良いよね子豚ちゃん」
「ダメです! 子豚ちゃんも、お兄様には近づかないようにしてね!」
「あ〜ひどいんだ〜! 咲夜そんないじめっ子だったかなぁ? しばらく会わないうちにやさぐれた?」
 キャンキャン喚く兄弟に押されて、厚司は視線を彷徨わせる。控えていた門真と目が合うも、逸されてしまった。
「あ、あー……仕事が始まりますので、これで、失礼します」
 厚司は踵を返し、頭を下げつつ、食堂から早足で逃げた。
 背後からはいまだに兄弟の騒ぐ声がする。
「朝飯、食いそびれたな……まぁ、あの喧騒の中に戻るなら一食くらい抜いたほうがましだな」
 厚司はぐるぅと呻く腹を支えて、ため息交じりに呟いた。

 
 喧騒の食堂を出て、厚司は中庭へと出る。
 今日の仕事は花を植えることだ。土を掘り返して、新しい花の球根を植えていく。
 ここに来てからすっかり庭師の仕事が板についてきた厚司は、スコップ片手に土いじりに精を出す。
 花壇の土にしゃがみ込み、黙々と作業を進める厚司の背後から、長い腕が首に巻きつき、背中にぐっと重みがかかる。
「うぉぉっ!」
 バランスを崩し膝をつく厚司。戸惑いのうちに、ざくり、と首の皮膚を噛み破られた。
「ぁぐっ! う、ぐっなに……」
 痛みにうめきながら、厚司は自分を捕らえる腕を掴む。
 腕の長さが、背にもたれかかる重さが、咲夜のものとは違う。
「あ、んたっ……っつ、咲夜のっ、ゔっ!」
 寿夜はふふ、と吐息で笑い、噛み付いた傷口からぢゅっぢゅぅっと血を啜り上げた。
 傷口に空気が触れる疼き、舌でくじかれる痛みに呻く厚司が、必死に寿夜を引き剥がそうともがく。
 しかし、寿夜の細い腕はびくともせず、厚司の身体を抱え込んでいる。
「ぅ……ゔゔっ、ぐっ……んっ、あ゛、あ、あぁっ」
 痛みに呻いていた声が、徐々に甘さを帯びる。
 身体の力が抜け、ぞわぞわとした快感が肌を粟立たせた。
 痛みの裏側から、快感がじくじくと全身を蝕み、厚司は力なく土に手をついた。
 弱った獲物をいたぶるように、寿夜の腕が不埒に厚司の身体を這い回っていく。
「や、ぅ……ぅぅっあ、やめろっんんっ!」
 ぢゅーぢゅーと血を吸われながらその身をまさぐられ、力の入らない厚司に、さらに体重をかけ覆いかぶさる寿夜。
「あっ! やだっ! いやだっ離せっ」
 ちゅぷっずりゅうっ
 滑った音をたてて、長い牙が抜けていく。
「んひ、ぃぃんっ」
 吸血鬼が、吸血のために獲物に注入する淫毒が、長い牙を抜く痛みをすら快楽として厚司を責める。
「びくびく震えて、子豚ちゃんかわいい〜! 大丈夫だよぉ。優しくするから」
 寿夜の舌が傷口をゆっくりと舐める。
「ゔ、んっ……あっ、うぅ」
 強い淫毒に侵された、厚司の身体が敏感に震えた。
 無遠慮に身体を撫で回す手に、傷口をくじる舌に、目の前に火花が散るほどの快感を拾ってしまう。
「あぐっゔ、やめ、ろっ……」
 厚司は太い腕をぐっと伸ばして体を反転させ、寿夜を自身の身体の上から転げ落とす。
「ありゃ! 逃げられちゃった。そんなへろへろでどこ行くの? 子豚ちゃん」
 寿夜はころりと転げ落ちた。
 楽しそうに笑いを含んだ声が厚司の背後から囁く。
「今から咲夜を探すより、俺とした方が楽になるよ? 子豚ちゃんのうずうずした身体いっぱいよしよしして気持ちよくしてあげるよ?」
 耳元で囁かれる声は甘く厚司を誘惑する。
 霞む視界を向ければ、美しい青年が蠱惑的に微笑んでいた。
 艶やかな黒髪、切長の瞳。色っぽい薄い唇にはありかなしかの微笑みを浮かべている。
 美しい男の顔が近づき、吐息のかかる距離で止まる。
「大丈夫、咲夜にはバレないよ……んぶっ!」
 厚司は土がついたままの手で寿夜の顔を覆うと、押し退けるようにふらふらと立ち上がった。
「っ……アンタじゃ……嫌だ」
 しかめっ面で呟いた厚司は、ふらつく足取りでゆっくりと歩き出す。
「わぁ、フラれちゃった」
 言葉の割には楽しげに、寿夜は厚司を見送った。

「なんで、こんな……広いんだよっ……くそっ、ぅ」
 厚司は館の中をこんなに恨めしく思ったことはなかった。
 以前咲夜から「お預け」を食らった時よりも、身体が疼いている。
 一歩歩くごとに歩行の振動すら、腹の奥にじんじんと響いて、数歩ごとに止まってしまう。
「はぁ、はぁ……ゔっ、ぐ」
 壁に肩をつけ、もたれていたところに背後から声がかかる。
「あれ、子豚ちゃん。どうしたの?」
 厚司は反射的に振り返って声の主を見た。その途端、耐えていたものが決壊し、顔をくしゃくしゃにして喘ぐ。
「ゔ、あ゛あ゛っ! さ、さくやぁっ」
 厚司は腕を伸ばし、咲夜の細い身体に取りすがる。それを軽く受け止めて咲夜は目を見開いた。
「どうしたの一体? こんなヘロヘロのとろとろで……ああ! お兄様にやられたのね! だから近づいたらダメって言ったのに!」
「ちが、ああっ! ちが、ううっん、ぁっ俺じゃないっ向こうがっあっ!」
 倒れ込む厚司を抱き上げ、咲夜はぷりぷりと怒りだした。
 厚司は必死に弁明するも、抱き合う温もり、衣擦れにすら敏感に反応してしまい、まともに言葉が紡げない。
「もうっ! 話はベッドで聞くから。ほら子豚ちゃん、ちゃんと捕まって。手足でぎゅぅってしがみつくの得意でしょ」
 怒りを含んだ冷たい物言いに胸が痛むが、それもすぐに快感に散ってしまう。
 厚司は必死に太い腕で咲夜の華奢な首に縋りつき、脚を浮かせて細く頼りない腰に絡める。
 咲夜は倍以上もある厚司の身体を軽々と抱きかかえ、歩き出した。
「ん゛ぉっ! おっ、お、おん゛っ! ま、って! 待ってくれっあ゛っもっと、ゆっくりぃっ」
 咲夜が歩くたび、淫毒ですっかり勃ち上がった厚司の陰茎が腹のあいだで擦れ、びりびりと甘く痺れる快感を与える。
「ゆっくりしてたら余計辛いでしょ。我慢して」
 ピシャリと叱られて厚司は黙った。
「……行くよ。ちゃんと捕まっててね」
「あ゛っ! ああっ、あ、あ、あ、ああっさ、さくやぁ゛っ! 擦れるっ、ちんぽ擦れてっ気持ちいいっあ゛あ゛っ」
「うんうん、気持ちいいね。腰へこへこしてるもんね。部屋に着く前にでちゃうかな?」
「あ゛っゔぅっ出るっ出るっ腰へこ止まんねぇっぁ゛え゛っえ゛っ出るっゔゔっぐ、っ」
 正面から抱きかかえられ、挟まれる陰茎をへこへこと擦り付け厚司は絶頂した。
「もうイッちゃったの? やっぱりお兄様の毒は強いなぁ……ほら、子豚ちゃんお部屋着いたよ。今からたくさん中に入った毒を抜かないとだからね。いっぱい頑張ってね」
「が、んばるって……」
 射精後もいまだふわふわとした悦楽の中にいる厚司が、ぼんやりと問い返す。
「もっともっとたくさん射精しないとダメだってこと!」
 



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鶯命丹 2022/09/25 13:43

淫魔ショタ×ガチムチおっさん本一部公開

淫魔ショタ×おっさん | 鶯宿 #pixiv https://www.pixiv.net/novel/series/9136994
シリーズの「淫魔ショタに会社のトイレでめちゃくちゃに犯される話」の続きです。

pictsquareで開催される
一次創作小説web展示即売会 [ .txt ] (2022年10月30日(日)0:00〜23:00)で「淫魔ショタ×ガチムチおっさん」のまとめ本を出します。
https://pictsquare.net/dixg126lqftja8m7udl49pdxr08ujgem

pixivで公開中の話と、今回のこの話の完成版、もしできたらヴィーニャと契約者の話も入れて一冊にしたいと思ってます。
♡喘ぎバージョンも作ろうかな~?と考えているのですが、需要と余裕があるかな?
データ販売の予定なので場所も取りません!イベントで買ってすぐ読める!
よろしければご利用ください。

表紙は表紙メーカー様より


以下本文(無料公開は途中まで)全文7800文字
※小スカおもらし注意



 腹の疼きに耐えながらなんとか自宅アパートのドアの前までたどり着いた。
「っふぅぅ……や、やっと着いた……」
 遠慮なく腹の奥にだされたラーイの精液が、移動のたびにどろ、どろと健介の腹の中を垂れ落ちてくる。
 その感触に、精液にすら犯されているようで、健介の身体は熱く火照り、脳内はラーイが与えてくれるどぎつい快楽の記憶にぐずぐずに支配されていた。

「おかえり」
 ドアを開けたら玄関に立っているラーイがいた。
 その姿の麗しいこと。
「ああ……ラーイッ」
 揺れる金の三つ編みに宝石の様なキラキラとした瞳を細めて笑む彼の姿を見た途端、健介は辛抱できずに持っていたカバンを放り熱い息を吐いた。
 健介は早鐘を打つ心臓に急かされ玄関のたたきに膝をつくと、成長期前の未成熟なラーイの細腰にしがみついた。
「はっはぁっ……ラーイッんっああぁっラーイッ」
 まとう薄布を捲り上げて、健介はラーイの下腹部に顔を埋めると犬のような浅ましい呼吸を繰り返す。
「どうしたの健介? 興奮してる?」
 わざとらしく問うラーイは、優しく健介のワックスで固めた髪を撫でた。
 哀れに縋る男を優しく微笑み撫でる天使……そんな絵画のような仕草であるのに、天使の股間にはバキバキに勃起したちんぽがそそり立っている。
「ああラーイの匂い、勃起ちんぽ……はっ、はぁったまんねぇっん、あぁ」
 健介はうっとりと発情した顔でラーイの勃起ちんぽに頬擦りをして、自分の顔に我慢汁を塗りたくっている。
「あーあーそんなに汁まみれになって……可愛いんだから」
 ラーイが目を細め、健介の後頭部を小さな手のひらで軽く押すと、その意味を正しく理解した健介は、大きく口を開けてラーイの勃起ちんぽを飲み込んだ。
「ふっぅぅっ、んっはぁ……は、ああっんくっ」
 ちゅぽっちゅぽっ
 いやらしい水音を立てて、健介は美味そうにラーイの勃起ちんぽをしゃぶる。
「健介ほら、僕のちんぽにちゃんとただいまって言って?」
 ちゅぶっちゅぽっねろぉ
 亀頭を唇で咥え、血管の浮いた幹に舌を絡ませながら、健介はラーイを見上げて「はっあ、はぁ、ららいまっ」と巨根を頬張ったまま挨拶をする。
「あははっ必死だね。そんなにお腹空いてたかなぁ。さっきもあげたのにねぇ」
 綺麗に撫で付けた髪をくしゃくしゃに梳かしながら、ラーイは健介の好きなように勃起ちんぽしゃぶらせてやった。
 当の健介は、髪が乱れるのも構わず、ラーイの細い腰を抱きしめ薄い背中を舐めまわしながら夢中で勃起ちんぽをしゃぶっている。
「んぶ、はぁっん゛ん゛っああ~らぁいっはぁっはんぅっ」
 唇をすぼめ、舌を絡ませ、ボコッボコッとちんぽを口の中から出し入れして、頬肉を膨らませたり、凹ませたりしている。
「こんなえっちな顔晒したまま帰ってきたの? どこかで寄り道ちんぽしてきちゃったんじゃない?」
 ラーイは鈴が鳴るような澄んだ笑い声を含みながら、健介をからかう。
「ん゛ん゛っ! しぃ、してないっはあぁ、ラーイのがいいっ。いいから、まっすぐ帰ってきたっ」
「そうだったね。健介は美少年にめちゃくちゃに犯されたい変態だったもんね」
「そうっ!そうだっ俺のこと、早くめちゃくちゃにしてくれ」
 玄関ドアに手を着いてがに股に膝を曲げて巨尻を向け、ちんぽを欲しがる淫乱な雌。自分にささげられたいやらしい淫穴に麗しい顔を近づけ、ラーイはふふっと吐息を零し笑う。
 玄関でくぽくぽといやらしくうねる尻穴から精液垂らしてねだる健介に「トイレで出して来なかったんだ? 垂らさない様に尻穴締めて帰ってきたのえっちだねぇ。いいよいいよご褒美にはめてあげるっ」ラーイは固く反り返った褒美を与えた。
「んぉお゛お゛~~ご、褒美きたっあっあ゛あ゛っはっあっいいっ気持ちいいっご褒美ぃ、いいっ」
「嬉しい? ご褒美?」
 深々と刺さったラーイの勃起ちんぽに、健介は唇をだらしなく弛ませて、腰をくねらせる。気持ちの好いところへ当たるようにぐちゅっぐちゅと卑猥な音を立てて尻を振っていた。
「嬉しいっうっゔっゔぅっ! はっあぁっはぁっあ゛あ゛っ! あっあっあ゛っぐっ」
 ガタ、ガタ
 健介の痴態に、縋られた玄関ドアがガタガタと揺れた。
「ほらほら健介。そんなにドアにぴったりくっつくと、外に健介のえっちな吠え声聞こえちゃうよ」
 夢中になって肉棒を味わう健介を、ラーイは目を細めて見下ろしている。
「あん゛っ! ん゛っん゛ん゛っゔぅ〜っ」
 言われて気づいたのか、健介は弛んでいた唇を噛み締め、どろどろの太い声を飲み込んだ。鼻の穴を広げて荒い息を吐いている。
「声我慢してる? 今日は我慢してばっかりだね。可哀想だからたくさん突いてあげるっ」
 外に声が漏れるのは嫌なのに、ベッドまで待てなかった健介の卑しさが愛おしかった。ラーイは喜色に美しい顔を綻ばせながら、健介の鍛えられたまあるい尻を掴み、自慢の肉棒を振るってやった。
「ん゛ん゛ん゛っ! んぉ゛っそごっそこお゛っおおぉ〜ッおん゛っお゛ぅっおぐっおぐっゔぐぅっ!」
「そうだよぉ。健介は、奥ごちゅごちゅされるの大好きだもんねぇ。いいでしょ〜? 抜こうとするたびに健介の雄尻、肉襞がぎゅぅぅって絡みついてきて、雄尻のフチがめくれあがってるの、とっても可愛いよ」
 ラーイは細い指を口に含み濡らすと、めくれ上がった肉淵をゆっくりと撫で上げた。
「お゛っおっごぉっん、ん゛お゛ぉおおぉ゛~~っ」
 健介の野太い吠え声が玄関に響く。がくりと垂れた首が、真っ赤に染まり汗ばんで光っている。ラーイはうまそうな首を見つめながら、めくれきゅうきゅうと甘える肉淵を揉み摩る。
 うねうねといやらしくうねる肉筒を勃起ちんぽで粟立ててやると「おん゛っお゛っンン゛」と蕩けた声を上げて悦んでいる。
「ごちゅっごちゅって勢いよく突き上げるとビクビクッて襞が震えて締まるの。はやくおちんちんでメスイキしたいって甘えてるんだよね。健介の可愛い媚び媚び雄まんこいっぱい気持ちよくしてあげるからね」
「ひっひぃっいいんっい゛い゛っい゛い゛っすき、しゅぎぃ、じゅぎっラーイッおちんぽ、じゅぎぃっい、い、ぃぃいッ」
「だよねぇ雄尻のナカ全部で僕のおちんちんに甘えて、媚びてるもんねぇ。大好きなショタのおちんちんで雄まんこぐちゅぐちゅにされて気持ちいいよね」
「おっお゛っぉぉお゛〜〜きもちいぃぃっ雄まんこきもちいい、いい、ひぃいっひぐっでうっでるっもうでるっいぐっおぐっお゛ぐっもっどぎでぐれぇっおぐぅぅぅっ」
 健介が真っ赤な首を巡らせて、ラーイを見た。
 潤んだ瞳は淫靡にとろけ、もう気持ちいいことしか考えられない雌の目をしている。その瞳に煽られるようにラーイは形の良い唇をにやりと耳まで裂いて笑った。
「いいよいいよっ奥たくさん突き上げて、あげるっほらっほらっここっここでしょ? 奥のつまってるところ、どちゅっどちゅっておちんちんで殴られるがいいんだよねぇっ」
「ひぎ、ぃいっいいっ! そこっそごぉ゛っお゛っお゛っお゛お゛ぉぉ〜ッ」
 どちゅぅっ!
 ひときわ深く、強くラーイは勃起ちんぽを突き刺すと、健介が背を反らし腰を震わせて吠えた。ラーイはそのしなる背に手を置いてそのまま激しく抽送し始めた。雌に絶頂を与えるための腰ふりだった。
「アッハ! じゅぼっじゅぼって奥のキツいところにおちんちんハマっちゃった! あは! 凄い締め付けっあっあっあっ絞られちゃうっおちんちん気持ちいいっ健介のナカにまた種付けするっ精子いっぱい出ちゃうっ嬉しいよね?」
「ゔっゔっゔれじっい゛ぃ゛っひっひ、ひいぃ~~ッひぐっゔゔっぉ、お゛お゛〜〜い゛ぃ゛ぐゔぅっ」
 腰をへこへこと揺らし、ぎゅうぎゅうと肉淵と腸壁を収縮させ、健介はイッた。
 ばたっぼたっ
 ぶるんぶるんと揺れるだけだった健介の勃起ちんぽからだらしなく精液が垂れ落ちた。
「ああ〜玄関汚しちゃって……そんなに気持ち良かった? ここ、ここだよね? ここ大好きだよね? 奥の奥、きゅってキツくなってるとこに、亀頭はめ込んでじゅこっじゅこってカリ首引っ掛けると、雄尻ぜーんぶきゅんきゅん締め付けて甘えてくるの、とっても可愛いよ」
「あ゛あ゛ぁ゛っラーイッまて、まっでっそこっそこ゛良すぎるっゔぅ、い゛っだがら゛っい゛っだからま゛っでっでるっでるっそこっそこごちゅごちゅされすぎてっでぢゃゔがらっ……あ゛あ゛あ゛っ」
「出ちゃうの? いいよっいっぱい出してい~~っぱい気持ちよくなっていいよっ」
 

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鶯命丹 2022/09/02 15:46

「美少年吸血鬼に愛玩用兼食用の豚として飼育されるおっさんの話」

↑こちらの本の第一話をまるごと載せておきます。
34000字(長くて読みづらかったらすみません)


無職になった太ったおっさんが美少年吸血鬼に拾われてスキンヘッドにされつつもペットとして可愛がられる人外ショタ攻め×スキンヘッドの太ったおっさん受けというニッチすぎる性癖エロ小説です。
【傾向】人外描写、軽度のカニバリズム的表現や、吸血行為、アナル舐め、イラマ
ショタ攻め×おっさん受け・全編ほぼエロあり・一部獣○(おっさんNTR描写あり)
・上記の傾向から信じられないかもしれませんが、いちゃラブ本です。



本の中身のうちいくつかの話はpixivで見られますので気になる方は試し読みにご利用ください。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16300601

以下 第一話




 まったく世知辛い世の中だ。
ガシャガシャジャラジャラとやかましい音を立てる店内を背に男――東條厚司 (とうじょうあつし)は大きくため息をついた。
パチンコ店の入り口の端に寄り、財布の中身を確認すると、残金四千八百円。
この金額で、いまだ半ばの今月を乗り切れというのか……いや、今月どころではない。
「あぁぁ……困ったなぁ……」
財布を握ったまま、とりあえず短く切った程度の傷んだ髪をガリガリと掻きむしった。
 不況のあおりを受けて在籍していた会社が倒産。無職となり、今後の給与の保証はない。
どうやって生きていけばいいのか途方に暮れた厚司は、現実を直視出来ず、とりあえず目についたパチンコ店へ入店し……そしてただでさえ心もとなかった残金を減らして、今に至る。
「なんでパチンコなんかやっちまったんだ。俺は」
後悔先に立たずとは言うものの、明らかに自業自得すぎて目も当てられない。
己の愚行を呪いながら、丸く肥えた背中を更に丸めてとぼとぼとパチンコ店を後にした。
 「あー。やっちまった」
駅前の喫煙所に立ち寄り、紫煙と一緒に大きなひとり言を呟いた。
喫煙所は無人ではない。呟くつもりなどなかった不安が、口からこぼれてしまったことに厚司は気付いていなかったが、周囲の人間は手の中の端末に熱中しながらも、ひとりで喋る小汚い中年と距離を取るべくいそいで一服を済ませて、そそくさと立ち去っていく。
「あーあー……まいったなぁ」
ひとり残された喫煙所に厚司の嘆きが寂しく響いた。
最後にふうーとため息をついて、煙草を吸い殻入れに捨てて喫煙所を離れた。
 とりあえず仕事でも探そうか。
そのためにまず、履歴書を書いて……
履歴書書くの何年ぶりだ?つーか履歴書買いに行かないと……
今後の展望を思い浮かべながらだらしなく太った体を揺するように、ダラダラと歩く。
ズリ、ズリ、と重い足を引き摺るように歩くので、靴底の減りが早い。年季の入ったスニーカーの足音が夕暮れの街に響く。
背中を丸めて、自宅のアパートに一番近いコンビニへ寄ろうと歩く途中、目に入った小さな不動産会社の入り口のドアに、求人募集の張り紙が目に入った。
そこには『住み込みで屋敷・住人の管理、世話をしてくれる方募集。年齢・資格・経歴不問』と書かれている。
マンションの管理人のような仕事だろうか?と近づいてよくよく見ると、マンションの管理人業に明るくない厚司でも分かるほどの良い時給であり、更にかなりの好条件である。
「給料も良いし、食費に家賃水道光熱費は会社持ちだぁ?……なんだよこれ。スゲーいいじゃねえか」
明日からの暮らしにも困るような状態としては願ったり叶ったりというもの。
早速電話でもして面接にこぎつかなければとチラシに目を走らせるが、連絡先が記載されていない。
「困った。相手さんが書き忘れたのか?」
そうつぶやくと同時にがらりと不動産会社のガラス戸が開く。
目の前には小柄な老人がひとり、厚司を見た。
「あんたこの張り紙が気になるのかね」
厚司が尋ねるより先に、老人が張り紙を指して言った。
「え……あ、ああ。そうです。まだ募集してますか?」
いきなりの事で面喰いつつも厚司は答える。
「ふーん……」
老人は気の無いような返事をしながら、厚司にじろじろと無遠慮な視線を送る。
上から下まで、品定めするような視線に少しムッとしながらも、厚司は作り笑いを浮かべて、おとなしく老人の言葉を待った。
「まあ、中にお入んなさい。とりあえず旦那さんに連絡しよう」
老人は言って、店内へと促すように顎をしゃくった。
「失礼します」
「ああ。ちょっとそこに座って待っててよ」
促されるまま店内に入ると、革張りの応接ソファーに腰掛けるよう勧められた。
向かいにあるソファーの奥。シンプルで無機質な事務机に向かった老人は、キャスター付きの椅子を軋ませて座り、これまたシンプルな白い電話の受話器を取り上げてどこかへ電話をかける。
「……ああ、カドマさん。私です、猿渡です。……ええ。例の張り紙。希望者が来ました。ただね、ちょっと年食ってるんですわ」
猿渡と名乗った老人は、目の前にその年食った本人が居るのもかまわず告げた。
確かに年食ってるが、爺に言われたくねえ!と内心憤慨するも、収入のために厚司は怒りを飲み込む。
「分かりました。じゃあお待ちしてます。はい、はい、どうもー」
間延びしたあいさつの後、猿渡は受話器を置きながら「カドマさんがね、迎えに来てくれるから。あんたここで待っとりなさい」と言って席を立ち、店の奥へと消えた。
「……ああ、はい」
厚司の一応の返答は、小さな事務所にむなしく響いた。
 手持ち無沙汰に店内をキョロキョロと見回していた厚司の元に、猿渡は盆に乗せた茶器を持って現れた。
「とりあえずお茶どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
盆から茶たくへと移される、グラス製の茶碗。小麦色の液体は麦茶だろうか。
応接テーブルに置かれた涼し気な茶碗を見た途端、厚司は喉の渇きを自覚し、早速茶碗の中身を飲み干した。
あっという間に茶碗を開けた厚司に、向かいのソファーに腰掛けた猿渡は無言のまま急須から麦茶のおかわりを注ぐ。
「あ、ああ。どうもすみません」
無言こそ卑しさを非難されているようで、丸い背中を更に丸めるように、厚司は頭を下げて再び茶碗を持ち上げた。
しんと静まり返った店内に、カチコチと秒針の音だけが響く。
気まずさに、何か話題をふろうかと、厚司が口を開けるより早く猿渡が言った。
「あんたはなんでアレに応募しようとしたんだい」
相変わらず品定めするような視線に辟易しながらも厚司は愛想笑いを浮かべて答えた。
「実は、以前勤めていた建築会社が倒産しまして。次の仕事をどうしようかと思ってるところにあの張り紙が目に入りまして……どうやって連絡をしようかと思っていたところでした」
「へぇ、ああそうですか」
自分で聞いておいてずいぶんそっけない言い草だとイラついたが、厚司は我慢して会話を続ける。
「あの張り紙、連絡先が書いてないですけど。良いんですか?」
「ああ、良いんですよ。私が見てますからね」
不愛想な物言いにまたもむかっ腹が立つが、生活費生活費と呪文を唱えて、麦茶と一緒に飲み込んだ。
そこに、からからから、とガラス戸の開く音がして、猿渡がさっと素早く立ち上がる。
思わず釣られて立ち上がり、背後を振り返ると、仕立ての良いスーツに身を包んだ老紳士が立っていた。
「ああ!カドマさんお待ちしとりました」
厚司への態度とは打って変わって、猿渡は愛想よく挨拶をしながら男の方に近づいていって、大袈裟な仕草で握手を求めた。
求められた男はにこやかに微笑みながら猿渡の手を上品な仕草で握り「お待たせしました、猿渡さん。こちらが求人希望の方ですか?」と厚司を見た。
その視線に厚司は勢いよく頭を下げた。
「はじめまして!東條厚司と申します」
厚司のしゃちほこ張った挨拶にも、カドマは丁寧にお辞儀を返しながら、懐から名刺ケースを取り出して名乗った。
「はじめまして東條さん」
厚司が「お名刺拝見させて頂きます」などと畏まって受け取り見るとそこには『暁月家(ぎょうげつけ)家令 門真実次( かどまさねつぐ)』と書かれていた。
「家令、ですか?」
見慣れぬ単語を呟くと、門真はにっこりと微笑んで「長く暁月家に仕えております」と頷いた。
「つきましては東條さんのご都合が宜しければ、このまま我が主人の元へご案内させて頂きたいのですが、いかがですか?」
「大丈夫ですよ。この人無職だって言うからね」
門真の問いに何故か猿渡がハキハキと答えた。
厚司はなんでお前が答えんだよ!と憤ったが、それよりも先に聞いておかねばならないことがあった。
「予定は無いので大丈夫です。しかし今履歴書を持ってなくて……」
申し訳ないと頭を掻く厚司に、門真は優しく言った。
「大丈夫ですよ。東條さんのお人柄を直接見させて頂きますので。では、早速参りましょうか」
門真は優雅にガラス戸を開けて、厚司の退出を促した。
「あ、はい!宜しくお願いします」
促されるままそそくさとドアをくぐる厚司は、目の前に止められた黒塗りの車の美しさに面食らった。
背後では「では猿渡さん。また宜しくお願いします」「ええ、ええ、はい。お任せください」と猿渡のやたら張り切った声が聞こえる。
「さぁどうぞ。お乗りください」
丁寧に開けられた後部座席に恐縮しきり、乗り込む厚司。
腰を落ち着けたタイミングで静かに閉まるドア。
洗礼された身のこなしに、これと同じものを求められるのでは……と言い知れぬ不安に怯える厚司。
静かに開く運転席に、門真が乗り込み振り返って、厚司に笑いかけた。
「そのように緊張されなくとも、大丈夫ですよ」
「あ、はい……大丈夫です!」
一体何が大丈夫なのか……自分の心中でツッコむ厚司を乗せて車はなだらかに走り出した。


 街をぬけ、緑あふれる小高い丘を登って行くと、ひらけた土地に豪奢な鉄の門扉が現れた。
何処かにセンサーでもあるのか、門扉は一人でに開き厚司を乗せた車を招き入れる。
門の中は美しく整えられた園庭となって、来訪者の目を楽しませる作りになっていた。
優雅な庭に、呆けたような顔で見入っていると、車は静かに停車し、門真が穏やかに告げた。
「お疲れでございましょう。到着致しました」
「えっ!ああ、はい!お疲れ様です」
慌てて背筋を伸ばして返答する厚司に微笑んで、門真は運転席から降り素早く後部座席のドアを開けた。
「ありがとうございます……」
恐縮しながら車から降りると、清々しい木々の空気の中にその屋敷はあった。
英国のカントリーハウスとはこのようなものであろうかと名前だけのイメージで、目の前の館を見る厚司。
質素というには立派すぎる館ではあるが、全体的にこじんまりとした印象を受ける、落ち着いた風合いの屋敷であった。
それでも、安アパート暮らしのしがないサラリーマンにはついぞ縁のない豪邸には変わりない。
まじまじと屋敷の外観を見上げる厚司を横目に見ながら、煮詰めた玉ねぎのような濃厚なアメ色の扉を開けて、門真は入室を促した。
「し、失礼します……」
ぺこぺこと頭を下げながら入室すると、洒落た玄関ホールに圧倒される。
キョロキョロと室内を見回す厚司の元へ、軽やかな足音が駆けて来た。
「門真!戻ったの?」
「はい、旦那様。ただいま戻りました」
優雅にお辞儀をする門真の視線の先を見て、厚司は目を見開いた。
そこには、まるで少女漫画から抜け出したような美少年が立っていた。
耳元で切り揃えられた黒髪はきらめく夜空のようなつやで陽光を反射し、新雪のように白い肌にまろやかな頬、薄く小さい唇。すらりと伸びた手足は健康的で、糊のきいた白いシャツと黒い吊りズボンが少年を上品に飾っている。
「あなたが新しい従業員さん?」
にっこりと、花のほころぶような微笑みを浮かべた少年が厚司に近づき、きらきらとした瞳で見つめる。宝石もかくやという程にきらめく黒い瞳に、厚司は思わずたじろいでしまう。
「え、あの……えっと、そう、ですね?」
確かに、求人に応募しているので従業員という立場になるのだろうが、まだ決定ではないし……などと思案するも、天使のような美しさの少年に見つめられて思考がまとまらない厚司は助けを求めて門真を見た。
「東条さん、こちらが私たちの主、暁月家ご当主、咲夜様でございます」
動揺している厚司に門真は助け舟を出す。
「咲夜様。こちらが今日から働いていただく東条厚司さんですよ。きちんとご挨拶なさってください」
「はじめまして、厚司さん。僕が当主の咲夜です。今日からよろしくお願いします」
門真に促され、美少年は厚司に向かって丁寧な所作でお辞儀をする。
「……はっはい!!東条厚司です!よろしくお願いいたします!」
まるで映画か、童話のワンシーンのような洗礼された空気に厚司は一瞬呼吸も忘れて魅入っていたが、なんとか現実を思い出し、場違いな大声で粗野な挨拶をかました。
「すごい。元気で素敵ですね。こちらこそよろしくね厚司さん」
厚司の態度にも嫌な顔せず、微笑む咲夜。
「あ、の!しかし面接など何もしなくても良いのでしょうか!」
美少年の笑顔の破壊力に動揺しきりの厚司が、ドギマギと大声を上げる。
その言葉に門真と咲夜が顔を見合わせてのち、のたまった。
「いいよ。厚司さん良い人そうだし。ねえ、門真」
「ええ。旦那様が宜しければ、私は何も異論はございません」
主従は優雅に微笑んで厚司を見ていた。
「ようこそ暁月家へ」

 挨拶を済ませた後、厚司は門真に自室へと案内された。
「本日はお疲れでしょうから、業務は明日から教えます。夕食の時間になりましたら、お迎えに上がりますので、それまで部屋でお寛ぎくださいませ」
そこは従業員の部屋にしては美しく整えられている。
ゲストルームのようだった。
「い、良いんですか?」
あまりの好待遇に落ち着かない様子を見せる厚司に、門真は頷いて言った。
「明日からたくさん働いて頂きますから。今日はゆっくりお休みください」
「あ、ありがとうございます……明日から、頑張ります」
頭を下げた厚司に門真は優しい声で「ええ、明日から」と返答した。
ではごゆっくり。と添えてドアが閉まる。
離れていく足音は全く聞こえなかったが、たっぷり離れたであろう間を取って、厚司は備え付けのベッドに倒れ込んだ。
「あああー!緊張したー!」
大きく息を吐いて伸びをする。しっかりと弾むスプリングが厚司の重量を優しく受け止めて心地良い寝心地だった。
寝転がって部屋の中を見回すと、上品な調度品が目に入る。壊したりしたら大ごとだと、想像だけで嫌な汗が背中を伝う。
気を取り直して部屋を明るく照らす大きな窓に近づく。
窓からは中庭だろうか?まるで公園にあるような噴水を中心に、整えられた生垣と咲き誇る花々があり、それらを見て歩く厚司の新たな上司、咲夜が居た。
教養のない厚司には、花の種類などバラだとかチューリップなどくらいしか区別がつかず、手入れが大変そうだと、風情の無い感想しか浮かばなかった。
「しかしあんな美少年がこの世に存在するなんてなぁ。金持ちで顔もいいとか……神様ってやつは依怙贔屓だなぁ。俺なんか安アパートに安月給でモテた事もなく生きてきたってのによ」
聞こえないことを良い事にぶつくさとぼやく。
ふと生垣に生える花を見ていた咲夜が顔を上げた。
「あ」
咲夜はまっすぐに数ある部屋の中から厚司を見つめて、微笑みながら手を振った。
「ど、どうも」
タイミングの良さに心臓が痛むほどに脈打つ。
思わず聞こえもしないのに声に出して挨拶をして頭を下げ、窓から離れた。
「ああーびっくりした……」
再びベッドに倒れ込む。
部屋に差し込む光がゆっくり薄暗くなっていく。
落ちていく夕日につられるように、眠気が瞼を重くしていき、厚司はいつの間にか眠りについていた。
 コツコツ。コツコツ。
硬い音にぱちりと意識が覚醒する。
部屋の中はすっかり暗くなっていて、厚司は慌てて起き上がった。
「は、はいっ!」
こけつまろびつドアに取り付いて勢いよく開けると、ドアの前には咲夜が立っていた。
「あ!起きた?ご飯だよ」
「す、すみませんっ!ねむっちまって……」
笑顔で告げる咲夜に冷や汗をかきつつ謝ると「いいんだよ。よく眠れた」と、にこやかに言われた。
「は、はい。ぐっすり寝てました」
恥ずかしさに頬を掻きながら答えた厚司の手を取って咲夜は元気よく小走りで廊下を進む。
「よく眠れたなら良かった。今日は厚司さんの歓迎会だからご飯が豪華だよ」
楽しみだね。と無邪気な様子に、最初に会った時よりも親しみを感じて厚司はホッと息を吐く。
そしてたどり着いた食堂で再び緊張に身体縮こませることになった。
「……す、すごいですね」
長いテーブルに、真っ白なテーブルクロスがかかり、その上には所狭しとおいしそうな食事が並んでいる。
「お待たせしました。厚司さん。どんなものがお好きか分からなかったのですが、ささやかながら歓迎の意を表して食事をご用意させて頂きました」
配膳をしていた門真が、二人に気付き告げる。
「い、いや……充分ですよ……他の方はまだ来てないんですか?」
美しく配膳されたテーブルを横目に見ながら、厚司は恐縮して聞いた。
「他の方?」
厚司の横にいた咲夜が聞き返す。自分を見てほしいと言うように厚司の手を掴んで引きながら。
「ええ。だ……旦那様のご家族とか、他の従業員の人とか……」
まるで宝石のようなつぶらな瞳に見上げられ、さらには言い慣れぬ『旦那様』などという尊称を使う気恥ずかしさから、視線をさまよわせて厚司が聞くと、少年は朗らかに「他の人は誰もいないよ」と言った。
「えっ?!いない?……誰も?」
「うん。ここには僕と、門真。あと厚司さんの三人だけ。だからそんな緊張しなくて大丈夫だよ」
さあ座って食べよ!と強く厚司の手を引いてテーブルの下座に導く咲夜と、素早く椅子を引く門真。
「座って座って!ねえ門真、僕の椅子もこっちに持ってきて」
下座に厚司を強引に座らせて、咲夜はその右横に椅子を持ってくるようねだる。
「さあ厚司さん。たくさん食べてね」
早速持ってこさせた自分の椅子に腰かけ、はなやかな笑顔で咲夜は食事を促した。
「は、はい……い、いただきます」
控えめに手を合わせて目の前に注がれたスープに手を付けた。
「う、うまっ……」
一口食べて、思わず声が上がる。
厚司の反応に気をよくした咲夜が得意げに胸を張る。
「そうでしょう!門真は料理が上手なんだ。さあどんどん食べてね」
己の手柄のように言う咲夜が、手当たり次第に皿を寄せて厚司の前に置いていく。
「ああ、ありがとうございます……でも、ちょっと多すぎやしませんか?」
テーブルに並ぶ料理はどう見ても3人分を越えている。いくら厚司が巨漢でも食べきれる量ではない。
「申し訳ございません。つい張り切りすぎてしまって」
「大丈夫だよ。厚司さんは身体が大きいから食べられちゃうよ」
はにかみながら謝る門真に、咲夜がにこにことフォローする。
「いくらなんでも……だ、旦那様は食べないんですか」
頬杖をついてにっこりと厚司を見つめる咲夜に、食事を勧める。咲夜の前にはカトラリーさえ用意されていなかった。
「僕はさっき食べちゃったから、お腹いっぱいなんだ。だから厚司さんが全部食べていいんだよ」
「か、門真さんは……」
「私も先ほどいただきましたので」
笑顔で、有無を言わさぬ空気が食堂に満ちる。
左右から見張るような主従に気圧され、厚司はとにかく目についた皿を空にしていく作業に没頭した。

 厚司はシャワーを済ませて、重だるそうに体を左右に揺らしながら歩き、ベッドにごろりと倒れ込んで大きく息をつく。
「く、苦しい……食い過ぎた……」
笑顔で行われる責め苦のような食事を終えて、厚司は自室として与えられた部屋に戻ってきた。
結局、というか当然というか、長いテーブルに並べられた料理は三分の一程食べたところで辞退した。
悲し気に眉をひそませる咲夜を見ると心が痛み、限界を伝えてから二回ほど「もう少し食べられるかなぁ」なんて言ってはみたが、やはり完食は不可能だった。
「うう……最近特に腹が出てきたって言うのに……また肥えちまった」
自虐的に膨れた腹を叩きつつ厚司はあくびをした。
シャワーで温まったからか、厚司は眠たげに目をまたたかせ、うとうとと重くなる瞼を手で押さえた。
「ふ、あぁ……そろそろ寝るか」
少し早いが、このまま瞼を閉じて眠ってしまおう。と厚司が眠る体制を取った所でコンコンコン。と軽やかな音が響いた。
ハッとしてベッドから起き上がり、ドアを開けると目の前には咲夜が、自身の身長程あろうかというくらい大きなテディベアを抱いてしょんぼりと立っていた。
「どうしたんです?旦那様」
厚司は眠気を殺してなるべく優しく聞こえるように、目の前でうつむく少年に声をかける。
もじもじと照れくさそうにしたのち咲夜は小さい声で呟いた。
「あのね。なんだか怖くなってきちゃって……こっちで一緒に寝てもいい?」
潤む瞳がチラチラと遠慮がちに厚司を見ている。
「えっ!えーっと……あぁー……門真さんのところは……」
「ここがいい……」
いくら子供と言えど……むしろ相手が子供だからこそ、今日会ったばかりの人間とベッドに一緒に寝るのは憚られる。良い断りの文句を探そうと言葉を濁す厚司に「絶対迷惑はかけないから!寝相も大人しくしてるから!お願い……」そう言ってテディベアごとしがみつき、うるうると目に涙を貯めて、咲夜は厚司を見上げた。
泣いてる子供を無碍にできず厚司は渋々部屋へ招き入れた。
「狭くても文句なしですよ」
「うん!大丈夫!」
さっきの涙はどこへやら、ニコニコと機嫌よく厚司のベッドに上がり込みもぞもぞと布団の中へ潜り込むとぎゅっとテディベアを抱きしめて厚司へ可愛らしい笑顔を向ける。
「今日だけですよ」
厚司は毒気ない笑顔に釣られて苦笑しながら、空いたスペースに潜り込む。
「じゃあ電気消しますね」
「はぁい」
ベッドヘッドにあるリモコンの消灯ボタンを押すと、軽い電子音の後部屋の電気はすぅと消えた。
真っ暗な部屋の中、二人の息遣いだけが響く。
「おやすみなさい厚司さん」
「おやすみなさい」
小さな声で囁く咲夜に挨拶を返して、厚司は目を閉じた。
 ――目を閉じてどれくらい経ったのか……もぞもぞとする気配に厚司はふと意識が戻った。
身体にぴったりと寄り添うぬくもりを感じる。薄く目を開けると胸元に埋まる様に咲夜がしがみついていた。
人外のような美しさの少年でも、子供は子供か。
寝ぼけた頭で厚司は思う。
両親や家族がおらず、広い屋敷に使用人一人と暮らす子供は寂しいのだろうとひとり納得して胸元にいた咲夜を抱きしめてやる。
そうされるのを待っていたように、咲夜は厚司の首に腕を回しぎゅうっと抱き着いてきた。
子供にしては低い体温を温めてやろうとその背中をそっと撫でてやる。
更にぎゅうぎゅうとしがみついてくる咲夜の息が首にかかりこそばゆかったが、厚司は我慢して背中を撫でる。
ぬる。と首筋に熱く濡れた感触がしたと思った、その時。
がじり。と強い痛みが首に走った。
「いて!」
反射で首を引こうとするも、がっしりと巻き付いた咲夜の腕のせいでまったく身動きが取れない。
「ちょっと!なにを……っうあ!」
痛みで目がちかちかと明滅していた厚司が声を上げる。
自身の首元からじゅっ、じゅっ、ずぅぅっ、とおぞましい音がする。
「いっ、ひっ……いっ!」
じゅうぅっ、ずずっ、ずぞっ
啜る音が響くたびに、厚司の喉から引きつれたような悲鳴がこぼれる。
痛みに食いしばった顎が痺れ、自身の中身が啜りだされる感触にぞわぞわと鳥肌が立つ。
「やっ、めろ……はっなせぇっ……んあっ!」
咲夜の背中に回していた手が、せめてもの抵抗に夜着を力いっぱい引くが、小柄な少年の身体はびくともしない。それどころか戯れに厚司の首筋をべろりと舐めて、傷口をいじくった。
「い、ってぇ……やめ、ろってぇ……」
ずぞ、ずぞぞ、ずずっ
昼間に見た洗礼された上品な面持ちの少年の出す音とは思えない、はしたない音が暗い部屋に響く。
その音が激しくなるにつれて、厚司は痛みではない別の感覚に身体をこわばらせるようになっていく。
「うっ……なん……これ」
じゅう、と首を吸われる度にゆるんだ口元から情けない嬌声がこぼれ、快感に背筋が震えた。
ちゅぅっ、とひときわ大きな音を立てて、首筋から唇を離した咲夜は、額を合わせるように厚司の顔を覗き込んでにやりと唇をゆがめた。
「気持ち良くなってきたかな?」
咲夜のゆがめた唇の内側が、薄暗い部屋よりも黒く赤く光っている。
「な、なに……なんなんだ。おまえ」
くらくらと酩酊する思考を追い払うようにまばたきを繰り返す厚司の頬を両手で包んで、咲夜は更に笑みを深くする。
「何って……食事だよ。僕は吸血鬼で、君はそのご飯。分かるかな?」
聞き分けの無い子どもに言い聞かせるように優しい声音で咲夜は囁く。
「な、なん……きゅうけつ、きって」
目の回るような浮遊感に襲われて言葉がうまく出てこない厚司を慰めるように、咲夜ははくはくと空しく動く唇に口づけをした。
「ぐっ!ぅう!……んっ……おぁ」
合わさった唇から、鉄さびのようなえぐみが厚司の口内に広がる。
その味を追うように、咲夜の唇からぬるると舌が差し込まれる。
ぬちゅ、ぐちゅ、といやらしい水音が二人の合わさった唇から漏れ、子供の舌と思えぬ質量を持った淫靡な舌が、厚司の口内を蹂躙した。
「んおっ!おおぉっ」
ずるる、と厚司の口内から抜けていく咲夜の舌は、人間の舌とは似ても似つかない太さと長さで唾液の糸を垂らしている。
暗い部屋においても、輝くように美しい咲夜のかんばせから、グロテスクに垂れ下がる巨大なナメクジのような舌が、もう一度べろりと厚司の唇をなめた。
「ひっ……」
小さく悲鳴を上げた厚司の唇に、咲夜はにやりと意地悪く嗤ってついばむようなキスをする。
「怖がらなくていいんだよ」
甘くささやくサクランボのような唇が、厚司のかさついた厚い下唇を挟んで優しく引く。
ちゅぷ、ちゅっ、とかわいらしい音を立てて下唇を吸う咲夜はうっとりと目をつぶっている。
その表情は幼気で、赤子が母の乳を吸うような満足げな表情をしている。
唇を吸われるくすぐったさと、その安心しきった咲夜の表情に、常軌を逸した現実を忘れさせ、厚司は張りつめていた息を少し吐き出した一瞬。
がぶり、と厚司の下唇に咲夜の尖った牙が食い込んだ。
「んんぅっ!」
食い破った厚司の唇に、むしゃぶりつく咲夜の表情は恍惚として妖しく、美しかった。
「ふっ……うう、んっふぅ」
じゅる、じゅるるっ、と穴の空いた唇を強く吸われているのに、厚司の喉から漏れるのは苦痛の呻きでは無く、甘い喘ぎであった。
吸われる度にぞくぞくと身体に淫楽が広がり、ぶわりと汗が浮く。痛みは全くなかった。
混乱する厚司の思考を読んだように、咲夜は唇を離し「気持ちいいでしょう?吸血鬼に血を吸われてると凄く気持ち良くなれるんだよ」と悪戯を告白するようにはにかんで告げた。
掬い上げるように厚司の顎を両手で包んで、まるで犬を可愛がるように譲りながら、咲夜は蠱惑的に笑んで続ける。
「キスでこんなに気持ち良いんだから、本番は、どうなっちゃうんだろうね」
「……ほん、ばん」
麻酔をした後のように痺れる下唇のせいでうまく言葉が喋れない厚司を嗤って、咲夜は誘うように下半身をピッタリと擦り付けた。
「ほら、僕のこれを君の中にズボズボしながら、君の血をチュウチュウ吸うんだよ。考えただけできゅんきゅんしちゃうね」
にやにやと下卑た嗤いを浮かべながら情交のように腰を蠢かす咲夜。
「うっ……んあっ!やめ、やだっあぁっ」
擦り付けられる咲夜の陽物に、厚司の陽物も淫らな悦びを拾ってしまう。
「そんなトロトロな声で言われてもなぁ」
快楽に震える身体で、抵抗を示すも嘲笑われただけだった。
「ほら脱いじゃおー」
そういうと咲夜は素早い動きで厚司の下着を剥ぎ取り、放り投げた。
「ひ、やだ!はなせ!」
「無駄な抵抗はやめて、くぱぁしてね」
咲夜の胴体ほどあろうかという脚を軽々と持ち上げて、厚司の尻穴を曝く。
「おい!おいやめろぉ!まてっ」
ジタバタと暴れる巨漢を難なく抑え込み、咲夜は高らかに宣言した。
「じゃあいただきまーす」
「まっ!ああ!ふ……んっあぁっ」
べろぉ……べろぉ……
長い舌を使って、優しくねっとりと尻穴を舐める咲夜。
まるでナメクジが厚司の尻を這い回るように舐っていく。
「や、あっああっ……うっ、ううっん」
這い回る舌に翻弄されるように、厚司の身体が淫靡にくねる。
ちろちろ、ちろちろと舌を細かい動きに変えると「ああっあっあっあっ」と細かく甘やかに鳴いた。
「ほら、気持ちいいでしょう。次は指入れて広げるから、自分で足持って」
咲夜に指示をされ、とうとう厚司は従順に自らの膝裏に手を入れて、咲夜の前にまだ閉じた蕾をさらけ出した。
「そう、良い子だね。今からもっと気持ちよくしてあげるからね」
咲夜は満足そうに微笑んで厚司の太ももを撫でた。
体毛の多い厚司の太ももはふさふさとした感触で咲夜を楽しませる。
「足、もじゃもじゃ」
からかうように笑われて、厚司の顔にかあっと赤みが走った。
「うるせ、っ!……あっああっ」
文句を言おうと厚司が口を開いた瞬間、咲夜は厚司の慎ましく閉じた蕾にかぶりついた。
ぞぶ、ぞぶ、ぞぶ、と甘噛みする様に口全て使って尻穴を愛撫する。
「ひっ、ひぃっいっ……いぃっ!」
ちゅぷ、ちゅぷ、と舌先を使って、ノックするように突くと、厚司の穴はきゅぅきゅぅと甘えるように咲夜の舌先を締め付けた。
「ああっ……ふっあふっ、うあっん」
蕩けた嬌声と共に腰がくいっくいっと上がり、咲夜の舌に押し付けるように身体が反応する。
咲夜は右手の指をじゅぶとしゃぶり、舌先と一緒に厚司の尻穴へずると差し入れた。
「あうっううっ、うぁっ」
ずるずるる、ずるずるる、と指を浅く抜き差ししながら、舌で肛虐の限りを尽くす。
媚薬の役割を果たす唾液を尻穴に塗りたくられ、厚司の身体は快楽に跳ねるだけの傀儡に成り下がる。
「うぉっ、んぉぉ!おお、んぅっ」
「そろそろ良いかなぁ」
悦に入り身を捩る厚司を見て、咲夜はいやらしく両の目を細めて自身の陽物を取り出した。
それは舌と同じく人間の子供とは思えぬ質量を持って、麗しい思春期前の少年の身体に、不釣り合いにそそり勃っていた。
「……う、うわ……」
身に余る淫楽に呆けていた厚司が、それを見て悲鳴に近い声を上げた。
それを聞いて咲夜はにっこりと微笑みかける。
「大丈夫だよ。痛くないって。むしろもっとしてって縋るようになるよ」
得意げに陽物を扱きながら、咲夜はぴとりと厚司の尻穴に当てて擦り付ける。
つるつるとした亀頭に尻穴を撫でられて、厚司の身体は大きく震えた。
「じゃあいくよ」
軽く告げた後、咲夜はズブズブと厚司の胎内へ陽物を突き刺した。
「うぐ、んっ……」
ずぐ、ずぐ、と尻穴が捲られ、陽物が厚司の腹の中に収まっていく。
尻たぶにぴったりと、咲夜のつるりとした腹が当たり、あの凶悪な陽物が全て厚司の胎内に収まった事を知らせた。
「ほら、全部入ったよ……じゃあ動くね」
咲夜は厚司を褒めるようにふさふさの太ももを優しくさすって、腰を浅く動かして、小さな抽送を開始する。
じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ
「んぉっうっうー……んっおお!」
粘膜を粘膜で擦り合わせる快感に厚司の口からはひっきりなしに喘ぎが漏れた。
「おんっおっおんっんんっ!」
「ふふっ、ピストンに合わせた吠え声、可愛いねぇ。噛んじゃお」
「おおっ!ふぉぉっそれ、はぁっああっ!」
持ち上げた内腿にガブリと噛みつかれじゅる、じゅぶ、と啜られながら突き上げられると、身体が弾けそうなほどの激しい愉悦が、厚司を襲う。
喘ぎだけでなく唾液が、だらしなく開きっぱなしの唇からどろどろと垂れた。
ひと突き毎に、ひと啜り毎に、ビクッビクッと身体が痙攣し、息をするのもままならない厚司が叫ぶ。
「も、もう、やめっ……あめだぁっ!いっ、ひぃっ……いくっ、出るっ」
厚司の嬌声に合わせるように一層強く齧り付き、ピストンを早めてやると全身をきゅぅうと硬直させて、厚司はオーガズムを迎えた。
「…………っ!っんふっ、ふぅっうっま、……あって!とまっ」
絶頂にあっても止まらない刺激に厚司は手を伸ばしもがく。
「僕、まだいってないから」
無情にそれだけ言うと咲夜は再び厚司の血を啜り、自身の陽物を扱き上げるために厚司の尻穴を攻めた。
「ああっしぬ!うっうっしぬぅ」
「死ぬの?そうかな……大丈夫じゃない?まだこんなに血が詰まってる」
厚司の揺れる腹を撫でながら、咲夜は嗤っている。
「食べごろの子豚みたいに、肉がぷよぷよに詰まってる」
さわさわと肥えた腹を撫でられて、厚司の身体は滑稽に震えた。
「ふぅっ……うっ……し、ひにたい、もう死にたいぃ、ひっいい」
厚司は首を激しく振って駄々をこねるように咽び泣いた。
「ふふっ、なぁに死にたいの?子豚ちゃんは」
咲夜は自身の快楽の為だけに腰を振り、厚司を追い詰めていく。責め立てられ、愚かしくも淫らに身をくねるさまは、熱に炙られた海鮮のようだった。
「こんなにきもちいいのに死んでいいの?」
「んっひぃ!いいっ……気持ちいい、いま死ぬぅっいま、しっ、にたいぃ」
じゅぷ、じゅぷずぶ、ずぶ、ずぷっ
粘着質な水音は止まず、快楽に追い立てられる厚司は咲夜へと縋るように手を伸ばす。
「可哀想に、怖くなっちゃった?僕のテディ貸してあげるね」
哀れなその手に、咲夜は持ってきたテディベアを抱かせてやった。
縋るものを得た厚司は、テディベアをぎゅうと抱えてくぐもった鳴き声をあげている。
「可愛いー!いい歳した小汚い子豚ちゃんがテディを抱いてる」
嘲笑らう声さえ、鈴が鳴るような美しさで、咲夜は肛虐を続けていく。
「ふっ……はぁ……そろそろ、出すね……っあっああっ」
「んぐっ、うぅっふ、ふぅぅぅっ」
厚司の身体はぐんとのけぞり、二度目の絶頂を迎え、ぎゅうっぎゅむと咲夜の陽物を締め付ける。その尻穴の蠢きに、咲夜も胎内に精を吐き出した。
はぁ、はぁと荒い呼吸をこぼしながら、咲夜はゆるゆると絶頂の余韻を楽しむように腰を振るう。
「あ、僕のテディが……」
呟かれた言葉に、厚司はふと埋めていた顔をずらしてテディベアを見た。
「……あ」
そして気づいた。大きなテディベアの足に白く粘ついた精液が跳ねている。
「……あ、これ……俺……わ、わるい」
激しい情事の後、思考も口もうまく回らない厚司が、オロオロと動揺するのを見下ろして、咲夜はにやりと意地の悪い笑みを浮かべ、まだ尻穴にすっぽりと収まっていた陽物を乱暴に抜き去った。
「ぐっうっ!」
いきなりの刺激にうめいた厚司を、強い力でひっくり返し、うつ伏せになった尻にまだ硬度を保った陽物を突き刺した。
「ぐぁっ!あっ、や、めっらめ、ぇっえっ」
いまだ淫楽の余韻に健気に収縮する尻穴に、咲夜は容赦無くじゅく、じゅく、と凶器を突き立てる。
厚司の悲痛な声は下敷きになったテディベアに吸収されていく。
「僕のテディを汚して!悪い豚ちゃん!お仕置きだよ」
ぐちゅっぐじゅっぐちゅっ
「あだっ!あ"っあ"っあ"ぁぁっやめっや、やらっやらぁっあっあっしぬっしぃっ、ぐっぅぅっ」
強い快感が、激しい殴打のように厚司の胎内を抉る。
厚司の目に涙が滲む。弛んだ唇からは唾液が落ち、情事によって上がった体温により垂れた鼻水も、テディベアのふわふわの毛が優しく受け止めてくれた。
うつ伏せにされたせいで、揺さぶりに合わせて厚司の陽物は、テディベアの柔らかい毛にくすぐられ甘やかな快感をとろとろに濡れた亀頭に施していた。
「テディにちんちん押し付けて、いやしい子豚ちゃん」
「ふっ、んんっくぅ、ぐっぅぅっ」
厚司の分厚い背中に、重みがかかる。
肩甲骨辺りに唇を寄せてぢゅうっと吸うと、組み敷かれた厚司が甘い鳴き声をあげて悦ぶ。
「んんっ!うあぅ、あぅっうぅ……」
「可愛いねぇ子豚ちゃん。背中にもお肉たっぷりだ」
咲夜はいやらしく口角の上がった唇を大きく開け、がぶりと厚司の背中の肉に噛み付いた。鋭い牙が肉を破って貫き、中からどろりと暖かい血が溢れる。
口の中に広がる甘い血を、一滴残らず啜り上げながら、咲夜は快楽を求めて陽物を奮う。
「ふっ……うぅ、ふぅっふぅ」
飢えた獣のような息遣いで、溢れる血を喉を鳴らして飲み込んでいく。
喉が潤う。胃が満たされる。下腹がひきつれるように気持ちいい。ぬるぬるで温かい粘膜で自身の陽物を扱き、快感を追う。咲夜は性欲と食欲の満たされるこの時間が大好きだった。
「やめっ!あ"あ"っらめっかむの、やめっおっおぉぉっしぬっ、しぬっしぬぅいぐっいぃぐっいくっ」
猛る欲望のままに肉を噛みしめた痛みも、吸血の催淫効果で蕩けるような悦楽に変わり、咲夜を悦ばせる従順な喘ぎになる。
貪っていた背中の肉から唇を離し、咲夜は優しく囁いた。
「死ぬほど気持ちいいねぇ……子豚ちゃん」
そう呟いてから咲夜は再び、血の滴る分厚い肉に力いっぱい噛み付いた。
ぶちぶち、ぶちっと肉の繊維をちぎる音が、咲夜の歯に伝わる。
「ひっ!い"いぃっ、ぐぅぅっうぅっうっうっ」
肉を強く噛みちぎられ絶頂を迎えたのか、厚司の身体がびくっびくっと跳ね、胎内がねだるようにぎゅう、ぎゅうと収縮する。
咲夜は、そのきつく陽物を締め付ける尻穴の蠢きに甘えて吐精する。
口の中に残る肉を噛み砕き、飲み込んで、どくどくと血の溢れる傷口を長い舌を使って舐めしゃぶる。
「んっ……うっ、うぅ……」
咲夜の舌に合わせてくぐもった声が小さく埋めく。
「ごめんねぇ、つい子豚ちゃんが可愛くてお肉まで食べちゃった……」
てらてらと血に汚れた口元を、長い舌でぺろりと舐めながら咲夜はへらりと笑って詫びる。
だが、組み敷いた厚司からはなんの返答もない。
「……あれ?子豚ちゃん?……死んじゃった……?」
背中に耳を当てると、どくどくと早鐘を打つ鼓動が聞こえ、咲夜はほっと息を吐いた。
「良かったぁ、生きてた……じゃあ、もうちょっと食べちゃうね」
そう言って咲夜は再び抉った傷口に顔を近づける。
射干玉のような黒髪が、さらさらと落ちて厚司の、肉の多い背中にかかる。
興奮により潤む黒曜石の瞳は組み敷いた獲物を食い荒らす獣欲を宿して妖しく光っていた。
でろり
果実のような唇から、グロテスクな舌が躍り出た。
ぞろ、ぞろ
巨大なナメクジのように這い回る舌は、汗の浮いた背中を存分に舐った後、まるで楽しみに取っておいた好物を味わう様に執拗に傷口をくじり回した。
はっ、はっ、はぁ……
この世のモノとは思えないほど美しい少年の、犬のように浅ましい呼吸と、淫蕩な水音だけが暗い部屋に響く。
その宴安は夜明けまで続いた。


 厚司は意識が浮上すると共に、身体中にジクジクとした痛みが走るのに気付いた。
この痛みの原因はなんだ……とぼんやりする思考で考える。
二日酔い……いや、昨日は酒は飲んでない……はず……。
そういえば昨日俺は何を……パチンコに行って、金に困って……帰り道に変な求人を見つけて…………
「うわぁぁぁっ!」
筋立てて考える内に昨日の、昨夜の恐ろしい出来事を思い出して絶叫しながら起き上がる。
「ぐっ……うう、いってぇ……」
跳ね起きた瞬間、身体中の痛み……特に背中がひきつれるように痛み、厚司は蹲った。
「おはよう。昨日は可愛かったよ」
隣から涼しげな声が聞こえて、厚司はそちらに向き直る。
無垢な裸をシーツで覆っただけの姿で、横臥の状態で微笑む咲夜の姿を見て、厚司は悲鳴を上げる。
「うわぁあぁっ!」
逃げようともがいて、シーツで足をもつれさせベッドから派手に転がり落ちた。
「うお!おあぁっ!」
「あらら大丈夫?」
ベッドから頬杖を付いて、咲夜は楽しそうに言った。
「う、るせぇこの化け物めっ……っあぁ?……」
威勢よく立ち上がり、咲夜に向き直った厚司は、悪態をついた瞬間膝から崩れ落ちた。
咄嗟に付いた腕がぶるぶると異常な程震えて、身体を支えていられずぐしゃりと上半身が落ちた。
「ダメだよぉ!そんな急に動いたら立ちくらみするに決まってるじゃん」
けらけらと笑いながら咲夜はベッドから降り、産まれたままの姿で厚司の元へゆっくり近づく。
そして、まるでぬいぐるみでも抱えるような軽やかな動きで厚司を持ち上げ肩に担いだ。
「昨日はちょっと無理しちゃったからね。今日は大人しくしてた方が身の為だよ」
昨日の事を思い出して、厚司はかっと顔に血が集まるのを感じた。
「き、昨日って!お前があんな事するからじゃねぇか!」
大声で怒鳴ると頭がクラクラしたが、厚司は怒りで意識を保つ。
「ははっごめんねぇ」
「ごめんねじゃねぇよ!つーか何処行こうとしてんだ!」
部屋のドアを開けようとしてる咲夜に厚司は驚き、静止をかける。
「何処って門真の所だよ。子豚ちゃんも洗って、ベッドもシーツ変えないとぐちゃぐちゃに汚れてるし。子豚ちゃんの体液で」
「お、俺のだけじゃねぇだろ!」
「えぇー。殆ど子豚ちゃんのだと思うけどなぁ。僕、全部子豚ちゃんの中に出したし」
「お、おまえっおまえ……」
怒りで言葉が出て来ない厚司は、疲労にぶるぶる震える腕を振って少年の華奢な背中や、小さな頭を殴るも全くダメージになってないようだった。ならばと足をジタバタさせて蹴っ飛ばしてやろうとしたが、担がれた時に抱え込まれていて全く動かない上に、動かそうとするたび内腿がぶるぶる震えてしまう。
「ひっ!な、なん……」
更には、突然尻穴から何かが滴る感触に厚司は身体を強張らせた。
「ほら、僕の子種汁が子豚ちゃんの雌穴から溢れちゃうよぉ」
「んひぃ!やめろ!やめろぉ」
下卑た笑いを含んだ声がしたと思ったら尻穴にズブズブと何かが埋まる感触に厚司は涙声で抗議した。
「ほら、ぐちゅぐちゅしてるでしょう?これみんな僕の汁なんだよ?このまま押さえておいてあげるから廊下を汚さない内に門真にきれいにしてもらおうね」
「うっうっ、うぐっ……ぬ、けよ!ゆびぃっい、ひっいっい!」
歩く振動で胎内を抉られ、厚司の身体は散々昨日覚え込まされた快感に痺れ、情けなく喘ぐ。
「ほらほらもう着いたからね。泣かないで子豚ちゃん」
ガチャリとドアの開く音がして、厚司の背中から穏やかな声が聞こえてきた。
「おはようございます旦那様。おや、わざわざ運んで下さったのですか。捨て置いて頂ければ私が回収しましたのに」
「おはよう門真」
声の主の門真は、あられもない主人と厚司の姿を見ても特に驚いた様子もない。
しかし厚司は昨晩の情事の名残りが残る裸を抱えられ、あまつさえ尻穴に指を突っ込まれている状況に、ぎゅっと身を縮め息を潜めていた。
コツコツと、小さな足音を立てて門真が近づいてくるのが、背中越しでもわかる。
「……おや、まだ生きてる」
「ひっ!」
肩越しからぐるりと顔を覗き込まれ厚司は悲鳴を上げた。思わず咲夜の首にしがみつき、肩口に顔を埋めて隠す。
「吸い殺さなかったんですか?珍しい」
門真の問いに咲夜は瞳をキラキラと輝かせて「僕、この子を飼おうと思うんだ」と宣った。
「飼う、ですか」
「飼う、だぁ!?」
咲夜の言葉に二人の男はそろって同じようなリアクションをする。二人の反応に気を良くした咲夜は続ける。
「そう!この子豚ちゃんにご飯をあげて、運動させて健康にして、その健康な血を吸うの!名案でしょ」
「名案ですね」
「名案じゃねぇよ!」
またも二人の男はそろってリアクションをした。今度は正反対のリアクションだが。
「つまり養殖という事ですね」
「そうそう!養豚場の豚なの。畜産だよ」
「そういえば今までやった事ありませんでしたね、畜産」
主の提案に首肯する門真と、否を唱える厚司。
「反対!俺は反対だ!嫌だ!」
「どうして?子豚ちゃんは美味しくて健康的なものが食べられて、僕に血を吸われるだけの簡単なお仕事をしてれば死ぬまでずっと、何不自由なく暮らしていけるんだよ?」
「その血を吸われるのが嫌なんだよ!」
「えっ?なんで?全然痛くないでしょ?むしろトロトロふにゃふにゃになるくらい気持ちいいのに?」
「それだよ!それ!無理矢理ヤラれて気持ち悪いだけだってんだよ!」
心底不思議そうに首をかしげる咲夜に抱えられたまま、厚司は断固拒否の姿勢で怒鳴る。
「えぇー……嫌そうには見えなかったけど」
「う、うるせえ!」
「しかし困りましたね。このまま飼育を拒否されると殺処分しかありません」
言い争いに埒が明かないと思ったのか、門真が一言、抑揚のない声で言った。
「さつしょぶん」
物騒な言葉に、厚司は改めて自らの異様な状況に思い至った。
「ええ。我々の秘密を知られてしまったので、殺すしか」
厚司の言葉に門真はうんうんと頷きながら、悲痛そうに眉をひそめていたが、その瞳は無機質で特に何の感情も見えない。
「ええー!飼いたいよー。ちゃんと可愛がる!大事に面倒見るからぁ!餌も豪華なのあげるし、綺麗にお風呂にも入れてあげるし、服だって着せてあげるからぁ!」
「いいえ、旦那様。相手が嫌だというのに飼育することは出来ませんよ。可哀そうでしょう。職を失いその日暮らしになったとしても、自由なまま死にたいと望む者もいるのです」
咲夜が可憐な唇を尖らせて拗ねるのを、門真はゆっくりと首を振って窘める。
「さあ旦那様。私が始末してまいりますのでそれをこちらへ」
「や、やだ!それなら僕が血を吸い殺すから!どうせ血抜きするでしょ?!もったいない!」
咲夜は手を伸ばす門真から、厚司を抱えた小さな体をひねって隠すようなしぐさをする。
「抜いた血だってちゃんと使いますよ。料理に入れたり、後で朝食にもお出しします……ですが、まあ抜いて頂けるなら手間が省けてようごさいます」
もったいないと言われたことに憤慨するように言う門真。咲夜はあっさりと部屋へと踵を返して歩き出す。
「じゃあ僕、部屋で吸いきって「なりますっ!!俺喜んで豚になります!!」
咲夜の言葉を遮って、厚司は高らかに宣言した。
命の価値の前に、人間の尊厳など二の次なのだ。
厚司の宣言を聞いて、主従は二人とも満足げににっこりと笑う。
「本当?!良かったぁ。じゃあこれからよろしくね。僕の子豚ちゃん!」
「良かったですねぇ旦那様。さあ、そうと決まれば浴室の準備が出来ていますので早くご入浴なされませ。お風邪を召されます。厚司さんが」
「はあい」
門真に浴室へ行くように促され、咲夜は素直にドアへと戻る一瞬、立ち止まって従者を振り返る。
「ああ、そうだ。子豚ちゃんの部屋、ベッドぐちゃぐちゃに汚れちゃったから綺麗にしてあげて。あとテディも洗っておいて!子豚ちゃんが精子ぶっかけちゃったの」
「おまえ!なんで言うんだよ!」
咲夜の発言に、厚司が慌てて彼の口を塞ごうともがくが、咲夜の体幹ピクリともぶれず、まったく影響がない。
「気になさらないで大丈夫ですよ。旦那様のお食事の後始末は慣れてますので」
「そうだよ。門真はプロだよ、あれくらい余裕余裕。もっとぐちゃぐちゃな時もあったし」
「……いったいどんなことをしたんだよ、それ」
顔をしかめる厚司に、主の代わりに門真が答えた。
「お食事中興奮した旦那様が、お相手を酷く食い荒らしまして。いったい何をどうしたのか、肉片が部屋中に飛び散っていた時はさすがに驚きましたねえ」
「やだなあ。そんな昔の事まだ覚えてるの門真は。若気の至りだよぉ」
恥ずかしそうに照れる咲夜を横目に見て厚司は「……聞くんじゃなかった……」と青い顔で呟いた。


 「着いたよ。やっぱり裸だと冷えるねえ」
咲夜に抱えられて入った浴室は、広い浴槽にたっぷりと湯が張られていて、あたたかな空気が充満していた。
「おい、いい加減降ろせよ……」
「はいはい。滑らないようにしてね」
ざらついた石の感触が、厚司の足に当たり、長い事浮いていた足がようやく地上に降りることが出来た。
ほっと息を吐いたのもつかの間、背後に回った咲夜が素早い手つきで厚司の尻を割り開いて、無遠慮に肛門に指を突っ込んできた。
「おっ、ぐっうぅ!いきなり、なにすんだ!」
刺し貫かれた衝撃で、上半身が前のめりに倒れる。壁に備え付けられた鏡にもたれかかるように手をついてなんとか激突は免れた。
「そうそう、ちょっと前かがみになると楽だよ。今、ナカにある僕の汁を掻き出してあげるからね」
咲夜がぐじゅ、ぐじゅ、と指を蠢かすたびに、何かが這い出るような感覚に厚司は呻いた。
「うっ、ぐ……きもちわりぃっ……ちょ、まてっじぶ、んでやる!やめろ、あっ」
「大丈夫大丈夫。僕これも上手だからね。すぐ終わるよ」
咲夜は慰めるように、厚司の背中や腕を、空いた手で撫でまわした。
身体を撫でられながら、尻穴をほじられて厚司の肌がぞわぞわと粟立つ。
「寒い?シャワー出そうか?」
咲夜が壁に取り付けられた蛇口をひねると、頭上から熱い湯が落ちてくる。
「大丈夫だよぉ。すぐに綺麗になるからね」
甘やかすように優しく囁き、手で撫でる代わりにシャワーヘッドで温かい湯をかけながらぐちぐちと尻をくじられると、誤魔化しようのない快感が身体中を走り、とうとう厚司は抵抗を口にすることもやめてしまった。
「は、はっはぁっ……ん、ぁっ、あぁっ」
シャワーの水音の合間に一定のリズムで響くねばついた音が、厚司の耳を○す。
羞恥に下げた視線には、シャワーで流されていく白濁が見えた。
「そろそろいいかなー。どうする、子豚ちゃん」
尻穴をくじる速度がゆっくりになり、咲夜が厚司に聞いた。
「な、なにが、だよ……」
嫌な予感がする。
湯の熱と、快感とで赤く染まった顔を背後に向けると、シャワーヘッドを持った咲夜が、美しいその顔に喜色をたたえて微笑んでいた。
「このままお尻ぐちゅぐちゅしてイキたいか、それとも僕の子種汁はもうなくなったからこれもおしまいにするか」
バラ色の小さな唇が、にんまりと横に伸びて、いやらしい笑みの形に変化する。
「どうする?選ばせてあげるよ」
ずる、ずると緩慢な指の動きが、厚司の尻穴をくすぐり続けている。
断るべきだ。今すぐその指を抜けと言ってやるべきだと思う。
しかし、厚司の思考とは裏腹に、尻は咲夜がゆるゆると動かす指の動きを追うように揺らめいて、好い所に刺激が欲しいとねだっている。
「ふっ、んんっ!そ、そこっああっ……」
厚司の逡巡を見透かすように、咲夜の指が快楽のツボを刺激する。
突然強く流れる悦楽の電流に痺れ、ゆるんだ唇からだらしなく舌が垂れた。しかしその刺激も長くは続かず、溺れる前に波のように引いて行ってしまった。
「ねえ、決まった?」
美しい異形はぱっくりと裂けるように開いた唇から長く太い舌を出して、ねろりと厚司の背を舐る。
「っ、して、ほしいっ。尻……イかせてくれっ」
這いまわる舌に翻弄されるように痙攣する厚司の背中に口づけを落として、咲夜は尻穴に埋まった指を蠢かし、射精を促してやった。
「前にねえ、象の繫殖のために射精をさせるところを見たことがあるんだ。お尻の穴に腕を突っ込んで、こう、ガシガシ動かすんだよ」
「んああっ!あっあぅっ、うっ……ううっ、ふぅっ……」
待ち望んだ強い悦楽の波に溺れ、あられもない声で鳴きながらも、厚司は喋る咲夜の言葉を聞いていた。
目の前にある鏡越しに、喜色を湛えた黒曜石の瞳と目が合う。
「その時、無理矢理射精させられる象さんは可哀そうで、でもとっても卑猥だなって思ったんだ」
「ふっ!ううっんっっ……んっぐうぅ、ううっ」
指使いが明確に厚司を追い詰め、鏡越しに見ていた咲夜の顔を見つめていられず、快感で眩む視界をぎゅっと閉じた。
「それに比べたら、ちゃんと子豚ちゃんの意見を聞いてあげて僕はとっても優しいよね。ねえ?」
「あっああっ!あっああぁっ」
えぐられている箇所が燃えるように熱く、厚司の身体は絶頂の兆しをとらえた。
「ねえ?僕、優しいよね?善くしてっておねだりする子豚ちゃんの事、善くしてあげてるもんね?」
強者の問いかけが、言外に語る。
己を支配している者が誰なのか、しっかりとその目に、心に刻みこんでおけと命令する。
「ああっ!いいっ、すげっ……いくっいくっ……やさし、いっいっいぃっ……」
厚司は、閉じていた瞼を開けて鏡越しに咲夜を見た。
可憐な瞳に色欲の光を灯したその目を見つめながら、思考が白くはじけるような強い快感に飲まれ、厚司は絶頂に達した。
「あ!イった?子豚ちゃんのお尻、僕の指をぎゅんぎゅん締め付けて可愛いよ。子種ほしいよぉって言ってるみたい。でもせっかく出したもんねー。子種汁を啜るのはまた夜にねぇ」
咲夜は嬉しそうにはしゃいで、ちゅっちゅっとかわいらしいリップ音を立てて厚司の尻たぶにキスを落とす。
「う、や、めろって……いいだろ、もう」
「そうだね。今度はちゃんと身体を洗おうか」
息も絶え絶えに言う厚司の言葉に、あっさりとしたがって、咲夜はその戯れをやめて立ち上がる。
「じゃあこっち向いて。それで頭をこっちに下げて」
厚司にも立ち上がるように促して、咲夜は備え付けられていたソープを手に取った。
泡立つ両手を厚司の方へ伸ばしてかがめと言う。どうやら頭を洗う気らしい。
「い、いやいい。自分で洗える」
「いいから、ほら」
一瞬ためらったが、抵抗したところで逃れられないのは散々学習した厚司はあきらめて咲夜に頭を差し出した。
「よしよし。綺麗にしてあげるからね」
ご機嫌に弾んだ声で、咲夜は厚司の全身を洗っていく。
ぬるぬるの小さな手が自身の身体を這いまわるのに、わずかに快感を拾わなくもなかったが、腹に力を込めてやり過ごす。
「じゃあ流すね」
全身まるまる洗われて、熱いシャワーを浴びせられると本当に自分が犬かなにかになったようで、厚

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鶯命丹 2022/08/27 12:49

○校生×用務員のおっさん(コミッション改変)

タイトルに精一杯の抵抗を感じますね。

こんにちは
以前コミッションでお渡しした作品をそのままの形では公開出来ないものだったので(ジャンル的な意味で)改変し、投稿・公開致します。
改変に改変を重ねすぎて、まったく面影のないものになりました。

若い男に抱かれる年相応にちょっとたるんだ坊主頭の用務員のおっさんのいちゃラブ用務員室SEXです。




佐藤加津沙(さとうかずさ) ○校生美少年
坂本博雅(さかもとひろまさ) 40代用務員
 
 それは、よく晴れた昼休みの事だった。
「佐藤君、好きです……あの、よかったら付き合ってください」
 俺は校舎の裏で、偶然にもとんでもないものを目撃してしまった。
 俺から見えるのは、俯くように告白している女の子と、その正面に立つ男――和津沙の背中だった。
「ごめん……気持ちは嬉しいけど、俺付き合ってる人がいるんだ」
 和津沙がどんな顔をしてその言葉を言ってるか俺からは見えないが、沈んだ物言いだけが耳に届いた。
 俺は慌ててその場から逃げる。
 人の告白を盗み見て、いい訳がない。
 それがたとえ、恋人が告白されていた状況だったとしても。


 俺は晴れた校庭をぼーっと見つめながら、さっきの出来事をつらつらと考えた。
 和津沙はうちの高校に通う2年生。
 学年でも目立つ、モデルのようなスマートな、いわゆるイケメンて奴だろう。
 若い女の子たちが和津沙を見て、きゃーきゃー黄色い声を上げてるのを何度か見た事がある。
 黒髪はいつもつやつやと光ってるし、白い肌はすべすべで、若いってスゲーなと思うが、俺は自分が高校生の時、あんなに綺麗な肌をしてただろうか?
「いや、あれは若いだけじゃねぇな」
 独り言を呟きながら、俺は和津沙のことを考える。
 あいつの大きな二重の瞳は、いつも黒く澄んでて綺麗だし、なんかこう、やさしげに垂れてて、甘いマスクっつーのはこういう奴の事を言うのだと、思う。
「なんつーか大人びてるっつーか……懐が深いっつーか……高校生ってあんな感じだったか?」
 ぼんやり自分の学生時代を思い出すが、柔道部に勤しみ肌の事など気にしたことも無かったし、髪なんか、バリカンでガーッと刈ってたから坊主だった。
 男子校だったから女子なんか通学路ですれ違うだけでも意識して緊張しまくってたし……
「やっぱあいつが特別なんだよなぁ……」
 和津沙はいったい、俺のどこがよくて一緒にいるんだか。


 俺、坂本博雅はこの高校の用務員として勤める立派も立派。成人して二十年は経つ大人である。
 容姿は至って普通だ。別にイケオジとかでもなんでもない。
 長い事柔道やってて若い頃はそれなりに鍛えていたが、今は寄る年波に勝てず腹の出たおっさんであり、洒落もなんも分からず楽だからと言う理由で、高校の頃からずっと坊主頭のガタイのでかいおっさんだ。
 用務員として長く学校事務に関わってきたが特筆するような事もなく、細々と生きていた俺が、なんの因果なのか在学中の学生、佐藤和津沙と懇意になり、なり過ぎて付き合う事になっている、はたから見ると犯罪者ギリギリのおっさんだ。
 恋人の和津沙は綺麗な男で、テレビで見る下手なアイドルよりかよっぽど容姿が整ってる。
 恋人という贔屓目を抜きにしても、和津沙の笑顔はキラキラしていて、誰にでも優しくまさに好青年だ。
 あんなのに微笑まれたら、どんな奴だってイチコロだろう。
 記憶の中で、俺に笑いかけてる和津沙の綺麗な顔を思い浮かべ、ため息混じりに呟いた。
「なんだってこんな俺なんかにしたんだろうなぁ」
「なんの話?」
 記憶の中で思い浮かべていた顔が突然目の前に現れ、俺は息を呑んだ。
「ばっ! ばかやろ! 入る前にノックしろよ!」
 動揺して椅子から立ち上がる俺を見て、和津沙がくすりと笑った。
「何回かノックしたけど、返事が無かったから」
 綺麗な顔が、いたずら好きの子どものようににやにやしている。
「返事が無かったら入るなっての。何してるかわかんねぇだろ……まぁいいや、そこ座れよ」
 俺は笑う和津沙から目を逸らして、用務員室に備え付けのソファーに座るよう促した。
「コーヒーか? 緑茶か?」
「緑茶がいい」
 ティーパックをひとつ開封し、マグカップに入れてポットからお湯を注ぐ。
 あっという間に滲む緑色を和津沙に渡してやる。
「熱いからな、気をつけろよ」
「うん。ありがとう」
 和津沙は微笑むと受け取ったマグカップにふーふーと息を吹きかける。
 イケメンはそんな仕草もサマになってるな。
 俺は自分の分のコーヒーを持って、ソファーの横に置いてあるデスク、その対になるキャスター付きの椅子に座れば、ギィと耳障りな音が出た。
 そこで和津沙が顔を上げ、不思議そうな顔で俺を見上げる。
「こっちおいでよ。マサさん」
 和津沙は形の良い唇の端を上げて、ソファーの自分の隣をぽんぽんと叩いた。
「いや、いやいや……ここは学校だしな。そこ狭いから」
 動揺して、口をつけたコーヒーが熱く上唇が火傷したが、平静を装ってずずっと啜ってしまった。
 最初に触れた上唇だって火傷したんだ。
 口の中も同じようにヒリヒリと痛む。しかし熱がるのも、痛がるのも忘れ、俺はマグカップを上げたり下げたりを繰り返す。
「大丈夫だよ。いつもここ、誰も来ないじゃん」
 和津沙はにこにこと、上機嫌な顔で俺が隣に来るのを待っている。
「やめろ……そんな顔で見るなって」
 まぶしい笑顔に顔を逸らすが大きな二重の目がキラキラと、俺を見ているのを視界の端で感じる。
「俺、マサさんと一緒に座って話したいな」
 静かな和津沙の声が、ほんのりと甘えを含んでぽつりと言った。
 ちらりとそちらを見ると、バッチリ目が合った。
 俺と目があった瞬間、和津沙はにっこりと嬉しそうに目を細める。
 あんまり嬉しそうに笑うので、俺はため息をついて和津沙の隣に腰を下ろす。
「やった! マサさん俺のわがまま聞いてくれるから好き」
 すかさず和津沙は俺にピッタリと寄り添い、長い腕でするりと俺の腰を抱く。
「おいっ近いってっ! もうちょっと離れろよ」
 俺はデカい身体をなるべく縮こませて和津沙から距離を取ろうとするが、ガタイは急に小さくならねえし、狭いソファーもデカくはならない。
「なんで? 誰もいないんだし、いいじゃん」
 和津沙は悪びれる様子もなく、俺の首筋に顔を寄せてスゥーッと大きく息を吸った。空気の流れがくすぐったい。
「おいっ! なんで嗅ぐんだよっやめろって」
 俺は身体をひねって和津沙の肩を押すと、軽い身体はすんなりと動き、距離をとることに成功した。
 だがしかし、俺から離された和津沙は、叱られた子犬のような顔をして大きな瞳を潤ませている。
「ダメ? 俺、マサさんの匂い好きなのに……」
「う……そんな顔すんな……俺が悪いみてぇじゃねえか……」
 普段穏やかにほほ笑んでいることの多い和津沙の顔が曇るのは、苦手だ。
 俺はその弱弱しい顔に絆されて、突っ張っていた腕を緩めると和津沙の身体を抱きしめる。
「マサさん!」
 和津沙の息をのむ声が、胸に当たってくすぐったい。
「俺がお前の泣き顔苦手なの、わかってしてるだろ」
 和津沙の肩に顔をうずめて、俺も大きく息を吸ってやる。
 制服の下から和津沙の匂いがして、下っ腹の奥がぎゅうっと呻いた。
 和津沙の頭がもぞもぞと動いたので、腕を緩めると、にんまりとほくそ笑む顔が俺を見上げていた。
「俺だって、マサさんのその顔で見られるのダメだもん」
「そ、その顔ってどんなだよ! 俺がブサイクなのはいつもだろ」
 今、自分がどんな顔しているかわからず、動揺する。
 和津沙のように見られるきれいな顔だったら良かったが、あいにく俺はそうじゃない。
「ど、どんな顔だ? お前が嫌いだって言うなら、しねぇようにする……」
 和津沙に不快な思いをさせてたんなら謝りたい、が、なかなかショックで、つい顔面に力が入っちまう。
 しかめっ面の俺を見て、和津沙はぶっと吹き出した。
「おっおい! なんで笑うんだよっ」
 人の胸に顔を埋めてくつくつと震えている和津沙に文句を言うと、はぁーっと息を吐きながら笑う和津沙。
「違う違う! マサさんは可愛いよ! ダメって言うのは、俺のこと大好きって顔で見てくる顔が、ちんぽにキてダメって意味」
「はぁ!? そんなか、んぶっ! おっおぃっかず、あっ……」
 いったい何ふざけたことぬかしてんだ! と怒鳴ってやるために開いた口に、和津沙の薄く柔らかい唇が吸い付いた。
「んぅっおいっくっうぅ……はぅっあっ」
 つるりと柔らかい和津沙の濡れた舌が、俺の口内を暴れまわる。
「はぁっはっ! あぐっ、うぅっンッ、やめっはぁっ」
 驚いて息を呑む俺の口内に、和津沙の舌がぬるぬると侵入する。いやらしく動きまわりちろちろと、俺の上顎をくすぐり、歯を舐めた。
「んっあじゅっ! はぁああっこんあっとこぉっおふっ」
 柔らかすぎる和津沙の舌に翻弄されて、縮む俺の舌を和津沙はじゅぅっと吸って、舌を絡める。
「うっんぅ……ンンッ、ぅぐぅっふ、ふぁ……はぁ」
 大胆な動きと舌の甘さに、俺の身体全部がびりびりとしびれるような快感に酔った。恐る恐る、和津沙の舌に舌を絡めると、くすりと笑った気配がした。
 ちゅっと小さな音を立てて離れた唇。
 俺は、キスの余韻にぼんやりとした視界で和津沙を見た。
 すっと通った和津沙の鼻先が、俺の鼻先に触れる距離。
「それ。その顔大好き。その蕩けた顔、もっと見せて」
 興奮で滑らかな頬を赤く染め、にやりと男らしく笑った和津沙に、俺の下っ腹が戦慄いた。
「でも、こんな……学校だぞ。もう少しで仕事上がりだから……」
 俺がぼそりと呟くと、和津沙は笑みを深くしてさも当然のように言った。
「そんなの待てるわけないでしょ」
 そう言って笑う和津沙は、花みたいに綺麗だった。
 その輝きに何にも言えず、俺がぽかんと口を開けて見つめていると、和津沙は再びキスをくれた。
 和津沙の形の良い唇が、ゆるく開きながら俺の唇を食む。
「んっはぁっ……好き、好きだよマサさん。待てなんて言わないで。すぐほしい」
 はむはむと、小鳥みたいに唇をついばみながら和津沙が強請る。
 反論しようと口を開いた瞬間に、ぺろりと口の中に舌が入ってきた。
「おぉっんっ! んぶぅっ!」
 抵抗のような声を上げたけど、和津沙はお構いなしにちゅぷ、ちゅぷ、と俺の口の中で舌を遊ばせている。
 そのきかん坊の舌を捕まえようと、俺も舌を伸ばす。
「はっはっ……あっンンッ、マサさっぅ……好き、好きだ……」
「ふっあ、ぐっ待て……んひっ! ひぅっあっあっ待て、んぁっ」
 夢中で舌を絡め合っているうちに、和津沙は俺の膝上に跨ぐように乗り上げていた。
 膝に預けられた和津沙の重みに、俺の心臓がぎゅうと痛む。
 和津沙の長くしなやかな腕が、俺の首に優しく絡まった。
「和津沙……」
 反射的に、俺も和津沙の細い腰を抱きしめて、ぴったりと寄り添う。
「ふふふっマサさん、可愛い」
 和津沙は吐息混じりの笑い声をこぼし、つやつやの舌を伸ばして俺の歯を舐めた。
「んふっ、ああ、マサさん」
 和津沙との深いキスに夢中になりながら、俺は薄く目を開ける。
 こんなに近くで見ても、こいつは綺麗だ。見惚れていたら、瞼が薄く開き和津沙の澄んだ瞳と目が合う。
「ぢゅっんぉっ!」
 驚く俺の頭をぎゅっと抱いて、いたずらっこのように笑った和津沙が唇をぱっくりと開く。真っ赤に熟れた口内が見えた。
 なんだかいけないものを見てしまったように感じて、慌てて目をぎゅっと閉じる。
 その隙に、カプリと俺の唇を口に含んだ和津沙は、ちゅう、ちゅう、と可愛らしい音を立てて唇を吸ってくる。
「あっあっんぶっ、あじゅさぁ……」
 吸われて伸びた唇で舌っ足らずに和津沙を呼ぶ。
「マサさん、可愛い……ねぇ、べろ出して?」
 ねだる和津沙の甘い声に逆らえず、俺は羞恥を飲み込んでそろそろと舌を伸ばす。
 俺の舌先に和津沙の舌先が触れ、ツンツンとつついてくる。
「ふぅ、んぁ……あじゅっあうっふぁ……んぃっ」
 固くした舌先でつつかれると、くすぐったくて、気持ちよくて、情けない声が漏れた。
 眉を寄せた顔の俺を至近距離で見つめ、和津沙は色っぽく目元を染めて言う。
「べろ気持ちいいね」
 それに俺が答える前に和津沙のすらりと長い指が、するすると俺の作業ツナギを脱がしていく。
「お、おい! 待てっなにしてんだよ!」
「マサさんのツナギ脱がしてる」
 慌てる俺を蠱惑的な目線で見つめる和津沙。
 その視線に二の句が告げず、俺は間抜けに口を開けたり閉じたりするしかできなかった。
「マサさん迷ってる。気持ちいいのと、こんな場所でってので、脳が揺れてるでしょ」
 そんな間抜けな俺に、和津沙は蕩けるような甘い笑みで俺の本心を着く。
 和津沙の桜貝のような爪が、はだけてむき出しになった俺の鎖骨ををなぞる。
「んっ、くぅ……んひぃっまて、ダメだってぇ……」
 和津沙に指摘された通り、俺の否定の声は情けないほど弱々しい。
 和津沙の指は楽しそうに鎖骨を撫でて、更に下へとジッパーを下ろしていく。
 むき出しになった俺の乳首を優しく引っ掻いた。
「うひっ! いっいぅっ……かぅっああっダメだってっ声、声でちまうっひぃンンッ」
 乳首を引っかかれ、口から零れた俺の言葉は、和津沙の潤んだ口内に飲み込まれ、舌で舐め回される。
「ふぅっうっ、んっ」
 ちゅぷ、ちゅく、と合わさる粘膜の立てる卑猥な音がいやに耳に残る。
「あっ! あうっぃぃっうひっくっぅぅっ」
 指先でぐにぐにと乳首を潰され、こね回されると全身がぞわぞわと粟立って、俺は夢中で和津沙の腰を抱き寄せた。
 ごりごりっと勃起したちんぽが布ごしに擦れた。
「んぉぉっうっ」
「んぁっ……ふふっマサさんてば。ダメって言いながら、ガチガチのかっけー大人ちんぽになってるよ」
 からかうように言った和津沙の顔は、頬が染まって色っぽい。
「お前があんなキスするからだろうが……」
 むくれたような物言いをしてしまう俺に、和津沙はにたりといやらしく笑った。
「気持ち良かったよね。ベロチュー」
 和津沙はするすると身体を下げていきながら、手早く俺のツナギを脱がしていく。
「おいっまてって! これ脱いだら俺素っ裸なんだぞ!」
 慌てる俺を無視して、和津沙の指がどんどん器用にツナギを脱がして、俺はとうとうパンツ一枚と、靴下というなんとも間抜けな格好に剥かれた。
「誰か来たら、言い訳できねぇじゃねぇか……」
「大丈夫。さっき入ってくるとき鍵閉めたから」
 和津沙が微笑んで安心してと言った言葉に俺は驚いた。
「いつの間に……全然気付かなかった」
「マサさんぼーっとしてたもんね」
 和津沙の指先が、下着越しに俺のちんぽの先端をくりくりといじくる。
「あっまてっおっほ、おぉっん! さ、さわるなってっく、うぅっンンッ」
「下着濡れちゃってるよ」
「はぅっ、ふぅ、ンッし、仕方ないだろっ! あっき、気持ちいいんだからっああっ」
 和津沙は俺の亀頭を攻める手を止めず、にんまりと笑ってとんでもないことを言い出した。
「じゃあ俺が、責任取ってあげる」
 そう言って和津沙は下着から俺のちんぽを取り出し、ためらうことなくその先端に口付けた。
「あっうぉっ! やめっ和津沙っ! んぉぉっおっおぅ食うなっそれ、ダメだっあっあっ汚いだろっぉあっ」
 和津沙の赤い唇が、ぢゅっ、ぷちゅっ、と俺のちんぽをしゃぶり、柔い舌がぬるぬると絡んでくる。
「まっぁぁっあっあひっ……いぃんっあめ……ンッだめだってっ、んぁっくっうぅ」
 
 ぐぼっぐぼっぐぼっ
 ぶちゅっちゅっ、ぐぢゅぅ
 
 和津沙が一生懸命頭を動かして、俺のちんぽを上下に扱く。すべらかな頬がぽこぽこと膨らんだりへこんだりしてすごくいやらしい。
「おぁぁっ! あっあっあっンッ……だっめっ、ぁあっかずっあっまてぇっえっあえぇ、ぁっ」
 ぬるぬるの口内で感じる熱と快感、若く綺麗な和津沙にこんなことをさせてるという罪悪感。
 そのはざまで俺は必死に腰を引くが、和津沙の腕ががっしりと腰にしがみついていてこれ以上離れない。
「逃げないでよ、マサさん」
 ぢゅぅっと音を立てて、和津沙は口から吐き出すと、にんまりと笑いかけてくる。
「逃げるなって……あっ、ぁぁっまっ! 待てっ待ってくっおっおおっゔっん"ん"っ」

 ぢゃぅぅっぢゅぼぼぼっ
 ぢゅぼっずろろろろっ
 
 再び和津沙の口内へ飲み込まれる俺のちんぽが強く吸い上げられた。
「ンッほっほぉっおぉっ、おぁっあっらめっぁぁっすぅ、のっぉおんっ! すうのっだめだっあっあっあぁぁっ!」

 ずっずっずぼぼぼっ
 じゅる、じゅるるっ

 強く吸われ、快感にぎゅぅと背中を丸める俺を更に追い詰めるように、和津沙は長い指でちんぽを握り込み、激しく上下に扱く。

 ぢゃぅぅっぢゅっ
 ぬちっぬちゃっぬちゅぬちゅぐぢゅっ
 
「あっああっ! だっ、だぇっあっあっあ"っ! ぁゔぅっ、まっまてまて、まてっえぐっうっかずぅっでうっでるでるでるっゔっぐちっはなせってぇ」
 このままでは口に出してしまうっ。
 俺は必死に和津沙の肩を押すが、快感でうまく力が入らない上に、身体は勝手に快感を求めて情けなく腰がへこつく。
「はなっ! あっあっあっあぁぁあ、あじゅっゔっゔっぎもちっいいっいぃぉっおぉぉんっ、も、もう、もうでるっでるっはなせ、うぐっはなせぇっゔゔっぐっ」
 口では離せと言いつつも、身体は気持ちいいに夢中になってしまった。無様にケツをへこへこと浮かせてしまう。
「ゔぐっあ"っああぁぁっだめっあっきもちいいっかずっかずさっだすっぅっあっだすぞっお"っお"っおぉん"っ」
 快感がどっとはじけて、俺はとうとう和津沙の口内に射精してしまった。
「あっあっあっ、ん"あぁっ……か、ずっ和津沙、ほらっ出せ。ぺってしろ」
 俺は身体を起こし、和津沙の口元にティッシュを押し付けた。しかし和津沙は桜色の指先で口元を拭うとごくりと喉を上下させた。
「えっ、なっ!? 飲んだ? なんで飲むんだよ! 汚いだろ!」
 かっと顔中が燃えるように熱くなる。耳まで熱い。
 とんでもないことをしでかした和津沙はけろりと笑って「マサさんのだし、平気だよ」とすっとんきょうなことを言っていた。
「なっ、なんでぇ……」
 俺は恥ずかしくて頭を抱え込む。
「マサさんごめん。嫌だった?」
 そんな俺を和津沙はぎゅっと抱き締めて、背中を優しく擦ってくれる。
「い、いやなわけじゃ、ないが……お前にそんなことさせて俺の良心が痛むんだよ」
 素っ裸で頭を抱える俺を抱きしめていた和津沙の腕が弛む。
「それって、マサさんは俺に悪いことしたなぁって思ってるってこと?」
 ぴったりとくっついていた和津沙の制服の感触が、少し離れた。
 俺は顔を上げて和津沙をチラッと見る。和津沙の大きな垂れ目が、じっと俺を見つめていた。
「まぁ、そう……そんな感じだ」
「じゃあさ、お詫びに俺のしたい事もさせてよ。それでおあいこにしよ」
 和津沙が、また身体をぴったりと寄せてぎゅうぎゅうと抱きついてきた。
「俺は、飲むなって言ったのに、お前が勝手に飲んだんだろーが……ったく。なんだよ、お前のしたい事って」
 訳の分からん屁理屈でわがままを言う和津沙を抱き締めかえすと、和津沙はにっこりと嬉しそうに笑った。
「このままここでえっちしよ」
「やっぱそれかよ……無理だって。ゴムもローションもねぇし……」
 反論する俺をよそに和津沙は制服のポケットから小ぶりなポーチを出すとファスナーを開けて「じゃーん! ここにありまーす」と心底楽しそうに言いやがる。
 和津沙の手には小分け包装のローションと、ゴムがそれぞれ数枚。用意周到さに呆れて物も言えない。
「ちゃんとあるから、心配しないで。ほらほらマサさん足開いて」
 和津沙は嬉々として体毛の濃い俺の足を撫で回した。
「んっ、はぁ……一回だけだぞ。それにあんま、その……激しくすんなよ……音とか、声とか、外に聞こえたらまずいし」
 言い出すと聞かない和津沙に、精一杯しかめっ面で忠告するも、和津沙は嬉しそうにうんうんと頷きながらローションのパックをまとめて二つ開け、どろどろと手に溢している。
「ちょっとひやっとするよ」
 予告通りひやっとした感触が俺の尻穴に触れ、ぬるぬるぬるぬる、塗り広げられていく。


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