エレベーターパニック!2
支援者様向けの短編小説を更新していきたいと思います!
今回の更新と、次の更新の2回を予定してましたが、ちょっと長くなったので次の更新の3回を予定しています!
楽しんでもらえたら嬉しいです。
・ヒロイン
椎菜梢(しいな こずえ)
中学2年生。
小柄で、女性的な膨らみは控えめ。
地元の中学校に通っている。
通学距離は、片道15分程度。
自宅はマンションの15階。20階建て。
家族構成は父と母。一人っ子。
体型・髪型・服装など。
身長150センチ。
髪型:黒髪ロング。
制服:桃色のブレザー。ワインレッドのスカート。スカートは超ミニ。
ショーツ:水色と白のしましまショーツ。
・季節は春。
靴下:黒。
靴:ローファー。
あまり運動することが好きではない。
便秘気味な生活を送っている。
出てきてくれるのは、2週間に1回くらい。
お腹がパンパンで苦しい生活を送っている。
購買の自動販売機で売ってる牛乳を買って飲んでみる。
180mlのパック入り。ストローを指して、チューッと一気に飲む。
牛乳があまり得意ではない体質。
お腹を壊す……というほどではないけど、牛乳を飲むとお腹が痛くなってしまう。
だけど――。
結果から言ってしまえば、梢のお腹は沈黙を守ったままだった。
昼休みも。
そして5時限目、6時限目の授業中も。
二週間ものあいだ詰まっている大腸はそうそう簡単に動いてくれることがないらしい。
(少しでもお腹が痛くなったらいいなって思ってたのに)
せっかく牛乳を飲んだというのに、まったくの音沙汰なし。なしのつぶてというやつだ。
「はぁ……」
梢はお腹に二週間分の不快感を抱えたまま、午後の授業を憂鬱な気分で聞き流すことにする――。
☆
そしてついにお腹からの返信がないまま、帰りのショートホームルームが終わって、放課後になってしまう。
(はぁ……。今日も出なかったよ)
人知れずに溜め息をついて、梢は重たいお尻を持ち上げると立ち上がった。
カバンを持って教室をあとにする。
家に帰ったらトイレに籠もってみよう――。
そんなことを考えながら。
お腹が張っていると、昇降口で靴を履きかえるのも一苦労だ。
それでも顔をしかめながら外履きに穿き替えて、校門を出て学校をあとにする。
これから徒歩15分は、トイレの不毛地帯だ。
家に帰るまで、公衆トイレはおろか茂みさえもない。
(もしもお腹が痛くなったら……どうしよう?)
そんなことを考えながら歩いていると。
きゅるる……。
(えっ?)
梢は、自らの身体に起こった変化に戸惑ってしまった。
あんなにも望んでいた茶色い予兆が、いまになってこみ上げてきたのだ。
それはかすかな予兆だったけど、梢が足を止めてしまうには十分なものだった。
(やだ。いま痛くなってこられても困るのに)
ここから15分はトイレ不毛地帯。
もしもなにかアクシデントがあって急にお腹が痛くなっても、どこにも助けてくれるトイレはない。
(家に帰るまで、もつ、よね?)
きゅるるっ。
自分のお腹と相談しながら、梢は再び帰路を急ぐ。
まさか下校中にお腹が痛くなってくるだなんて。
少し歩いたから、大腸が刺激されたとでもいうのだろうか?
それにもしかしたら、お昼に飲んだ牛乳が今更になって効果が出てきたのかもしれない。
(うん、これくらいなら、我慢できそう)
お腹が痛くならないような、絶妙なペースで歩き続けることしばらくの時間が経つ。
20階建てのマンションは、もう視界に入っていた。
あと歩いて5分とかからない距離。
だけどここで駆け出すわけにはいかない。
もしも走ったりなんかしたら、大腸に衝撃が加わって、本格的にお目覚め……と、いうことも充分に有り得る。
(慌てずに、急がずに……っ)
ぎゅるるっ、ぎゅるっ。
茶色い予兆をいなしながら、なんとかマンションの入り口まで辿り着く。
マンションの入り口は、カードキーで開く自動ドアになっている。
財布に入れてあるカードキーで開ける。慌てずに。
あとは――。
4基あるエレベーターが自宅のある15階まで運んでくれる。
(ふぅ……)
梢が安堵の吐息をついたのは、エレベーターの15階のボタンを押して、ドアが閉まったときのことだった。
これであと数秒後には、自宅のある15階に着いているはずだ。
もう、ここまでくれば安心。
そう思った、その瞬間だった。
ぎゅるるるる!
ごぽっ、ごぽぽっ。
「はぅぅ!?」
大腸が急に蠢動をはじめた感覚に、梢の顔色は一瞬にして真っ青になっていた。
安心して気を抜いたのがまずかったのだろうか?
だけど焦る必要は何一つない。
エレベーターはぐんぐんと昇り続け、梢は心地のいい浮遊感に、再び安堵の吐息をつく。
「もう5階……。6、7、8、9、10階……」
エレベーターには梢一人しか乗っていないことをいいことに、梢はぼんやりと口を開けてエレベーターの階数が上がっていく。
あと、5階……。
そうすればあとトイレまであともう少しだ。
……だが。
そんな安心しきっている梢をあざ笑うかのように、ガタン……ッ、エレベーターはなぜか急停止してしまう。
「えっ?」
梢は、一瞬なにが起きているのか理解することができなかった。
もしかしたら認めたくなかっただけなのかもしれないけど、それは梢自身にもわからないことだった。
「エレベーター……、もしかして、止まってる……の?」
数秒経ってから理解する。
乗っているエレベーターが急停止したのだと。
だけど閉じ込められたという現実を、梢はすぐに認めることができなかった。
「す、すぐに……動く、よね……?」
自分に言い聞かせるように呟く。
それから……10秒、20秒、30秒……。
ぎゅるるるる……っ。
お腹から軋むような不吉な音が鳴り響き、梢はギュッとお腹を押さえる。
だけどそれは気休めに過ぎない。
牛乳によって蠢動をはじめた大腸は、この程度では収まってはくれない。
「あっ、おっ、ぉぉぉ……!」
ぎゅるる!
ごぽっ、ごぽぽ!
エレベーターが止まってちょうど1分。
大腸が捻れるかのような痛みに襲われ、梢はだらだらと冷や汗を流してしまう。
顔面は蒼白になり、カクカクと膝が笑いはじめる。
「ひ、非常ボタン……押して、いいの……!?」
非常時のときのための非常ボタン。
しかし梢はそのボタンをいままで一度たりとも使ったことがなかった。
非常時に使うということは、それは非常事態でなければならないのだろう。
だけど、お腹が痛いこの状況が、はたして非常事態といえるのだろうか?
もう少し待てばエレベーターが動き出すかもしれない。
それなのに、お腹が痛いからといって非常ボタンを使っても、本当にいいのだろうか?
「お腹が痛いからボタンを使うなんて……あっ、うう!?」
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