田舎の元気娘と!13
田舎の元気娘と過ごす夏休み。
振り回されるお兄ちゃんの運命やいかに。
「……もう朝になっちゃったんだ」
むくり。
桜子が身体を起こしたのはもちろん真太郎の布団。
夏休みになって早くも一週間が経とうとしていた。
桜子は週に三日は真太郎の家に泊まり、一緒に寝ることにしている。
(お兄ちゃん、まだ寝てる……。寝顔、可愛いなぁ)
ときは朝の六時。
兄はいつも七時ころに起きて朝ご飯を食べているから、寝顔を堪能するのなら今がチャンスだ。
(寝顔、こんなに可愛いのに……、いつもお兄ちゃんにお世話になってばかりだなぁ……)
桜子は、兄の寝顔を見つめながら、そんなことを思う。
初めて会ったときは神社でおもらしをしてしまってお兄ちゃんにショーツを洗ってもらうことになってしまったし、おねしょをしたときも洗ってくれたし、この前は下校中に我慢できずにうんちを漏らしてしまったときは川で丁寧にショーツを洗ってくれた。
(お兄ちゃんに迷惑かけてばっかり……。あたしだってお兄ちゃんのためになにかやってあげられたらいいのに)
そんなことを考えていると、真太郎の母も起きてきたのだろう。
台所の方からフライパンやまな板を用意する音が聞こえてきた。
「そうだ、お兄ちゃんに朝ご飯作ってあげよう!」
それはシンプルだけど、とてもいいアイディアのように思えた。
そうと決まれば桜子は布団から飛び出すと、台所を目指して縁側を駆け出していた。
☆
「で、今日の朝ご飯は……、だから個性的な味付けだったわけか」
「ごめんなさい、お兄ちゃん、ちょっと失敗しちゃった」
「謝ることなんてないって。ちょっとビックリしたけど、美味しかったし」
「ほ、ホントに?」
「ああ、本当だとも」
味噌汁の具のナスがちょっと歪な形をしていたり、玉子焼きの味付けがかなり甘口だったりするけど、それは桜子が一生懸命作ってくれたという証なのだ。
それに玉子焼きは年寄り受けする味がするから、もしかしたら桜子のおばあちゃん直伝の味付けなのかも知れなかった。
「これからもお兄ちゃんの朝ご飯作る! お味噌汁、お兄ちゃんが好きな味になるように頑張るから、これからもよろしくね!」
なんて告白とも受け取れるセリフを恥ずかしげもなくいうものだから、父と母を囲んでの朝の食卓は大変微笑ましいものになるのだった。
☆
「おぱんつ、こんなに汚しちゃってるなんて……」
桜子が異変に気づいたのは、朝食を食べ終わってからおしっこがしたくなってトイレに行ったときのことだった。
白無地のこっとんショーツ……そのクロッチの裏側に黄色くネバッとしたものがこびりついていたのだ。
ちなみに夏休みに入ってからと言うもの、桜子はお兄ちゃんと寝るときもおねしょをしない日が多くなってきたから、ここ最近では二人でぱんつ一丁で寝ることにしている。
……それでもたまーにおねしょをしてしまうことがあるから、そのたびに兄にショーツを洗ってもらうことになっているのだけど。
「ぱんつ、ヌルッとしてる……?」
ちなみに今朝はショーツで寝ておねしょをしなかったので、いま穿いているショーツは一晩穿いたものということになるけど……。
桜子のショーツの裏側はヌルッとした粘液に汚れていた。
「エッチなお汁でおぱんつこんなに汚しちゃうなんて……」
それは兄に教えてもらった愛液というものなのだろう。
一晩中抱きついて寝たから、ショーツのお尻の方にまでエッチな染みができていた。
「お兄ちゃんと一緒にいると、勝手にエッチなおもらししちゃうの……。桜子、エッチな子のかなぁ……」
ショーツを見つめながらも和式便器に腰掛けて、
しょわわわわわわわわわわ!
元気よくおしっこを噴き出して、トイレットペーパーでおまたを拭く。
するとそこにはヌルリとした栗きんとんの残りかすのようなものがごっそりと取れていた。
女の子のおまたは汗だってかくしおしっこだって出る。それにエッチなお汁だって出るのだ。
「あたしのおまた、エッチになっちゃってるんだ……。お兄ちゃんのこと考えてると、なんだかおまたがむずむずしてきて……、
ああぁん!」
おまたを拭き拭きしている指先が、自分では信じられないくらいに勝手にエッチに動いて、おまたから電流が走る。
プシュッ――!
ビックリしておしっこを噴き出してしまって、桜子は再び紙でおまたを拭っていく。
「んっしょっと!」
キュッとおまたの縦筋に食い込むくらいにショーツを上げると、
じゅわあ……、
クロッチから愛液が滲み出してくるほどに、おまたがムラムラしてきてしまう。
桜子はそんなエッチなおまたを隠すように黒タイツを穿くと、トイレから出るのだった。
☆
「今日はなにをしようか、お兄ちゃん!」
「そうだなぁ……」
トイレから出た桜子は、さっそく兄の元へと駆け寄っていた。
兄はごろんと縁側で横になっている。なんだかおじいちゃんみたいだ。
そんな兄は身体を起こすと、
「それじゃあ、今日は自由研究するか!」
「自由研究! でも、なにしようか!? 急に自由って言われても困っちゃうよね!」
「それは俺に考えがあるぞ。任せてくれ、桜子もしっかり手伝ってくれよ」
「うん! 任せてなの!」
☆
「お水よーし! お弁当もよーし! 熊よけの鈴も、蚊取り線香もよーし!」
「ついでに虫かごも持ったな! これでカブトムシを見つけても安心だ!」
桜子と二人で踏み分けていくのは裏山の奥地。
簡単に裏山というけど、田舎の裏山を舐めてはいけない。
タヌキや熊だって出るし、もっと奥に踏み込んでいけば地図にあるような山に迷いこんで大変な目に遭ってしまう。
最初は砂利で舗装されている道だけど、踏み込んで行くにつれて獣道と変わらないものになっていた。
それでも桜子は慣れたものだった。
落ちていた木の枝を振り回して道を切り開きながらも、細い獣道を進んでいく。
「やっぱり珍しい鳥さんを見たいなら、もっと奥のほうに行かないとね!」
「そ、そうなのか……!?」
桜子の小さな背中を追いかける真太郎だけど早くも後悔しかけていた。
夏休みの自由研究――。
そのテーマは、ずばり『山の珍しい生き物』
写真は真太郎のスマホを使って撮ることにした。
「おーい、桜子、まだ進むのかー?」
「この先に、カブトムシがたくさんいる木があるの! そこまで行こうよ!」
どうやら桜子は夏休みの宿題よりもカブトムシで頭の中がいっぱいになっているらしい。その気持ちも分かるけど。
ついでだからカブトムシの写真もたくさん撮って研究の一部とさせてもらうことにしよう。
☆
「ふぅ……、写真もたっぷり撮ったし、カブトムシもたくさん取ったし、ここまでやっておけば大丈夫だろ」
「うん! カブトムシ、いっぱい捕まえられたから、家に帰ったらたくさん果物あげないと!」
「それじゃ、そのカブトムシの観察日記も自由研究にできそうだな」
やれやれ、と額を流れる汗を拭ったのは、昼ご飯に一緒のお弁当を広げようとしているときのこと。
桜子が木陰にピンクのレジャーシートを敷いてくれると、真太郎は四隅に靴や石を置いて風で飛ばないようにする。
「はい、お兄ちゃん、お茶が入りましたよ~。あと今日のお弁当は桜子特製のおにぎりなの!」
「おお、こいつは上手そうなおにぎりだな」
ちょっと形が歪なおにぎりだけど、サランラップに包まれていて食べる直前に海苔を巻くようになっている。
恐らくは真太郎の母直伝のテクニックだろう。抜け目がない。
「緑茶も冷たくて、おにぎりは塩っ気が利いた梅干し……。なんか全部俺の好みのような気が……」
「お兄ちゃんのお義母さんに教えてもらったの」
「そ、そうか」
なんか今、お母さんの発音が微妙に違っていたような……、さすがに気のせいだろうけど。
だけどそのことが些細な問題なことに思えるほどに桜子のおにぎりはなかなか美味しかった。ご飯もちょうどいい力加減に握られているから、ご飯が口のなかでホロホロと崩れていく。
きっと小さな手のひらで一生懸命握ってくれたのだろう。
「うん、美味かった。たくさん汗かいたから、しょっぱいおにぎりで生き返る気分だ」
「えへへー」
頭を撫でてやると、桜子は嬉しそうに頬を赤く染めてみせる。
なぜだろうか。
出会ったときは嵐のように騒がしい田舎娘だと思っていたけど、なんだか最近になって急に可愛くなってきたような気がする。
∽∽∽
(お兄ちゃん、とっても美味しそうに食べてくれて嬉しい!)
頭をなでなでしてもらいながら、桜子は本当は嬉しさのあまりに飛び跳ねたいくらいだった。
だけどここは少しは落ち着かなくては。
出会ったときはおもらしをしてしまったし、しかもこの前はうんちまで漏らしてしまった。
兄にしっかりともう子供ではないというところを見てもらわなくてはいけない。
そのためにはおもらしなんてしてられないのだ。
(もうお兄ちゃんにおしっこかけたりなんかしないんだもん! おしっこなんて……あ……)
じゅわぁ……。
だけど身体というものは実に不自由にできていて、少しでも意識すると急におしっこがしたくなってきてしまうものだ。
それにお弁当と一緒に冷たい緑茶もたくさん飲んだし。
お弁当を食べる前にもこまめな水分補給をしてきた。
きっと膀胱にはおしっこがたっぷり溜まってたぷたぷ波打ってるしていることだろう。
「ううぅ……」
どうしよう?
お弁当を食べ終わったタイミングだし、ちょうどトイレに行きたいけど――。
だけどここは山奥。
当然トイレなんてあるはずない。
ティッシュは持ってきているから、その辺でしちゃえばいいのだろうけど。
「もしかして桜子、トイレに行きたいのか?」
「う、うん……。よく分かったねっ」
「そりゃあ……、もじもじしてるし。おしっこだけか? 大きい方は平気か?」
「うん。おしっこだけ、したい」
「そっか、それじゃあどこか適当な茂みで……」
「うん……あうっ!」
兄に手を引かれてレジャーシートから立ち上がろうとした、そのときだった。
プシュッ!
おしっこが噴き出すと、クロッチの裏側が生温かくなってしまう感触。
漏らしてしまった量が多かったのか、ジンワリとした感触がお尻の方にまで広がっていく。
「あうう! ちょっ、もう出る……かもっ」
「そ、それは……、ど、どうする!? 歩けそうか!?」
「う、うん……っ」
なんとか立ち上がって、靴を履いてレジャーシートから数歩。
だけど桜子は気づいていなかった。
足元のその先に、小石が転がっていることに。
桜子はよろめきながらも茂みへと歩いて行き――、
そこで小石に躓いてしまった。
この小説は同人誌として配信しているものです。
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