陰キャラでなにが悪い!8
おむつをあてて学校に行けばおしっこを我慢しなくてもいいという天才的な発想。
√5章目 初めてのおむつ登校
「うおおおお! まさか二日連続でおもらしだなんて……!!」
千影は学校から帰って来るなり、自分の部屋のベッドにダイブしていた。
うつぶせになって、まくらに顔を押しつける。
思いだしただけで赤面ものだ。
(だけど、中井、さんにお礼言えてよかったな)
それがせめてもの救いだった。
もしもあのときトイレに来てくれなかったら、千影はまだトイレの個室で、夜になるまで息を潜ませていたかも知れない。
「これ以上迷惑かけられないし……。でも、勝手に漏らしちゃうし……でも……どうにかしなければ!」
息が苦しくなってきて、千影はまくらに押しつけていた顔を起こした。
だけどどうにかしなければと思うけど、具体的になにをすればいいのか決めたわけではなかった。
(……おむつでも充ててみる?)
冗談のつもりでそんなことを考えてみるけど、だけど意外とグッドアイディアかもしれない。
テレビとかのコマーシャルで、最近の紙おむつは通気性もいいらしいし。
そうと決まれば、財布を持ってドラッグストアにGOだ。
☆
「うわぁ、おむつってこんなに種類あるのか」
ドラッグストアの明るい店内……、その紙おむつ売り場までやってきた千影は目を丸くして驚いてしまった。
男用と女用に分かれているのは想像できたけど、年齢別に細かく分類されているし、介護用の紙おむつまである。
「さて、なにを買えばいいのだろうか」
チビで身体の凹凸に乏しい体型だから、小学校高学年のおねしょ用の紙おむつなんてよさそうだけど。
ピンクの花柄模様があしらわれていて、可愛らしいデザインをしているし。
「こんなに薄いならぱんつと代わらないなー。でも、薄すぎてちょっと不安かも?」
あんまり薄型だと、おしっこの吸収量に問題がありそうだ。
もしもおむつから溢れ出してきたら目も当てられないし。
と、なるともうちょっと分厚いおむつがいい。
「介護用かー。こっちはテープタイプなんだ。ちょっと厚手で、安心設計って感じなのかなー」
よし、
千影は決心すると、介護用の紙おむつが詰められたビニル袋を手に取る。
ゴワゴワしているから、おむつの枚数の割にかさばってしまう。
あとは、小さな身体で大きな身体で大きなビニル袋をレジに持っていけばいいが――、
(ヤバ、緊張してきた)
この年にもなって、制服姿で紙おむつを買うだなんて、ちょっと……、いや、かなり恥ずかしいことなのでは?
なんだか急に恥ずかしくなってきて、背筋を滝のような汗が伝い落ちていく。
それに、
じゅわり――、
羞恥心に熱くなった秘筋から蜜が滲み出してきてしまう。
そういえば今日は学校でうんちを漏らしてからノーパンのままだった。
……癖になりそう。
(あ、ヤバ……。ふくらはぎにまで垂れてきてる……)
おもらしのように溢れ出してきた愛液が、だらだらと内股を伝い落ちてふくらはぎをくすぐっていく感触。
早く会計を済まさないとおもらしみたいに水たまりを作ってしまいそうだ。
残された時間は、あまりにも少ない。
決意を決めた千影は、顔を真っ赤にさせながらもレジに紙おむつを出す。
こういうときは即決が大事なのだ。
……だけどさすがに恥ずかしかったので、
「お、ばあちゃんの介護に使うんですけど……、これで大丈夫ですか?」
あくまでもおばあちゃん用。
レジ打ちをしているお兄さんに、千影自身が穿くんじゃないということを暗に伝える。
ちなみにおばあちゃんは今も元気で毎日ラジオ体操をしている。ごめんなさい。
介護用ならこれで大丈夫だとお兄さんのお墨付きをもらって、しっかりと紙袋に包んでもらう。これであとは帰り道で事故に遭わないようにお祈りしながら家に帰ればOKだ。
☆
「ついにおむつ、充てちゃうんだ……」
千影が呟いたのは、翌朝のことだった。
もうすぐいつもの起床時間だ。
実はゆうべ、深夜アニメを見てからというもの緊張してほとんど寝ることができなかった。
ただでさえ濃い隈は、更に深く刻み込まれている。
「よし、着替えるか」
千影は意を決すると、パジャマを脱いで一糸まとわぬ裸体になる。
そして紙おむつを一枚取り出すと、布団の上で広げてみた。
(思ってたよりもゴワゴワしてるかも。だけどしっかりした作りになってるんだ)
足口はレース状になっていて、おしっこが横漏れしにくくなっているらしい。
そんな紙おむつに小さなお尻を乗っけて、見よう見まねでおまたを包み込んでいって、テープで留めてみる。
「……これでいいのかな?」
学園デビューする初日に使ったきりの全身を映し出すことができる鏡……姿見の前に立ってみる。
そこに映し出されたおむつ姿の自分に、千影は頬が熱くなるのを感じてしまった。
ほとんど男の子のような、チビで貧乳の体型には、そのお尻を覆っている紙おむつはあまりにも大きく見える。
「うわ、あたし、おむつ充てちゃってるんだ……」
急に恥ずかしくなってきて、無意識のうちに脚を閉じようとしてしまうけど、そうするとおむつのゴワゴワ感をより実感できてしまった。
「思ってたよりももこもこしてて、脚、閉じにくいかも」
あくまでも、ショーツよりは、だけど。
ちょっと無理をすれば脚を閉じることはできる。
「制服と合わせてみようか」
おむつの上から制服を着ていく。
スカートに覆われているお尻が大きくなって、セクシーに見える、かも?
貧乳だからお尻だけ大きくなって、ちょっとアンバランスかもしれないけど。
だけど千影がまさかおむつを充てているだなんて、誰も想像さえもしないだろう。
☆
初めて生理用品をぱんつの中に入れたときの緊張感を、何倍にも強くしたような感覚。
(こ、これは思っていたよりもレベル高い羞恥プレイ!!)
千影が早くもリタイアしたくなったのは、まだ学校にも着いていない通学路だった。
いつも通っている道のはずなのに、ちっとも気を抜くことができない。
(いつもは風だと思ってもいなかったそよ風が牙を剥いてきやがるぜ……!)
些細なそよ風にもスカートの裾を抑えてしまう。それに歩くたびにカサカサと紙が擦れる音がしていた。
もしかしたら、みんなにもこの音が聞こえているんじゃないだろうか?
(本当は、あたしがおむつを充ててるって、みんな気づいてる、とか……?)
だけどそんなことを言ったら気の毒だから、見て見ぬふりをしてる、とか……?
そう考えると急に緊張してドキドキしてきてしまう。
(やだ、耳まで熱くなってるよ)
じゅわり――、
羞恥心に、股間が熱く濡れてくる感触。
紙おむつの中は、早くも甘く蒸れようとしていた――。
☆
(ふぅ、なんとか教室に辿り着いたぜ……)
千影は自分の席につくと、額に浮き上がった脂汗を拭った。
まだ授業も始まっていないのに、とんでもない疲労感だ。
(最初っからクライマックス……!)
だけど今日は座学の授業しかないから、あとはこのままずっと座ってればいいと言うことになる。
おむつデビューする日としてはイージーモードだろう。
……だが。
ブツンッ、教室のスピーカーから短いノイズが発せられると、それはそれは怠そうな男性教師の声が全校放送で流れるのだった。
『えー、これから全校朝会を行うので、生徒たちはグラウンドに集まるように』
その放送に、教室中の生徒たちが非難の声を上げる。
たまに校長の気分次第で、もの凄い長話を聞かされることがあるのだ。退屈なことこの上ないし、立ちっぱなしなので居眠りすることさえも許されない。
(マ、マジでか……)
席について頭を抱えていたのは千影だ。
今日はもうずっと座りっぱなしだと思っていたのに、まさかの全校朝会とは。
ついてないっていうレベルじゃない。
しかも立ち上がろうとしたときに、ツキーンと下腹部に張りを感じる。
(やっば! そういえば今朝はおむつのことばっかり考えてて、トイレに行くの忘れてたぁぁぁ!!)
ここにきてまさかの尿意。
だけどクラスメートたちは早くも廊下で並んでいる。トイレに行ってる時間はなさそうだ。
もう、おむつを充てたまま、全校朝会に行くしかない――。
☆
(ヤバいっ! ヤバいっ! ヤバすぎる!!)
朝礼台に立った校長の話が、お経のように永遠と続いている。
そんななか、千影は滝のような汗を流しながら尿意と戦っていた。
なんとか立ってはいるけど、ちょっとでも気を抜いたらしゃがみこんでしまいそうだ。
膀胱はすでに水風船のように膨らんでいる。
ちょっとでもおまたから力を抜いただけで漏らしてしまいそうなほどにパンパンになっていた。
(うう、も、漏れる……! 漏!れ!そ!う!)
だけどなにも我慢する必要はないのだ。
なにしろ千影は介護用の紙おむつを穿いているのだから。
だけどいざおしっこをしようとすると、緊張しておまたに力が入ってしまう。
ただでさえ立ったままおしっこなんてしたことがない。
しかも全校の生徒が集まってるグラウンドでおしっこをするだなんて。
女の子は、人前でおしっこなんてしないし、おしっこというものははいつも座ってするものなのだ。
いきなりこんな状態でおしっこをしろだなんて、レベルが高すぎる。
(おむつ穿いてるから、おしっこしてもいいのに! でも立ったままおしっこしたことないかないし……!!)
こうして逡巡しているあいだにも、膀胱には一滴々々濾過されていき、千影の下腹部はぷっくりとおしっこによって押し広げられていく。
(も、もう漏れそう……!)
キュンッ! キュゥン!
おしっこを我慢しすぎて膀胱が痛くなってきたし、おまたがキュンキュン痙攣してきてる。
身体が警告しているのだ。これ以上おしっこを我慢すると身体に毒だぞ、と。
ヒクッ、ヒククッ!
じゅわ、じゅわわ……。
(あっ、出てきちゃう……)
ジュワッとおまたが生温かくなる感触。
こうなると、ふっくらとしたおまたをどんなに閉じてもおしっこは漏れ出してきてしまう。
この小説は同人誌の『大決壊! 陰キャラでなにが悪い!』に収録してある小説です。
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