WsdHarumaki 2023/01/20 22:29

プロローグ(改)

 私たちは魔法を使うために美しい石を利用する。魔女見習いのミナリアは、敵に向かって魔法を使う。手にある小さな原石が蒸発した。私の世界ではこの石の質で魔力の強さ決まるから常に補給が必要。

 はじめのゴブリンを倒しても次から次と木陰から顔を出す。

「こっち来ないで!」

 叫びながらルビーの小粒を手に握り呪文を唱えて魔法を使う、原石だと威力が無いが相手を退けられるくらいは出来る。ゴブリンの集団は凶暴な顔で私を狙ってくる。魔法使いの私では剣で退治はできない、あのゴブリンの汚染された手で触られただけで私は熱が出ると思う。ひ弱な私は必死に宝石を握りしめた。

「業火追撃」
 呪文で私の前方に炎のカーテンが出来るとゴブリンの皮膚が燃え上がる。さすがルビー。値段が高いのは伊達じゃない。焼けただれた皮膚を痛そうにかばいながらゴブリンは逃げる。

 ふらふらと立ち上がるが足が萎えたのか震えていた。なんでこんな事になったのかと私は涙をにじませながら街へ帰ろうと道を探すことにした。

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「家を出て行きなさい」
 継母は無情に私に宣言した。再婚した継母はお父さんとの間に子供を作り長男が生まれてお父さんは息子を愛し甘やかした。お父さんが事故であっけなく死ぬと家督は弟が継ぐことになる。私の遺産は無かった。本来なら適齢期になると私は自動的にどこかの家に嫁に貰われるのだが、お父さんが死んだことで、私の縁談話はうやむやになった。。

 私が魔女なのも問題の一つ。

 希有な才能を持つために嫁として不適格と判断されてしまう。もし夫と喧嘩にでもなれば、旦那を焼き殺してしまうのではないか、とでも思われてるのかもしれない。それでもお父さんが居れば強引に嫁がせただろう。

 もっとも私も嫁ぐ気は無い。

 私はそんな人生を考えて無い、魔法学校で勉強するのを夢見ていた。だが継母は財産が食い潰されるのを嫌うように感じた。私に働けと言うのだ。継母との仲が悪いのは当然だが、弟が出来てからは彼女と顔を会わせないようにしていた。ほぼ赤の他人レベルの関係なのも災いする。

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 嫁ぎ先のない私はお父さんが亡くなった後、家を追い出されてしまった。

「どこに行けばいいの……」
 私のような、それなりの家の娘は世間知らずで街中に居る娘達よりも無知で無能。働く事を考えていない私は適当に魔法で金儲けとか安直に考えていた。人生を舐めていたと思う。仕事ですぐに稼げるのには経験が必要だ。

 継母は私を追い出すときに冷たく言い放つ。
「ギルドがあるでしょ、仕事をさがしなさい」

 継母からしばらくは暮らせるお金をもらうと、宿屋に泊まる。継母は私から見ても悪人ではない。それでも恩知らずだ。一応仮にも好きな男の娘なのに、なんで大切にしないんだろうか? きっと私がかわいくて綺麗で頭が良いから嫉妬しているんだ、と夢想して自分を慰める。

 ギルドから簡単な仕事を貰った私は、右往左往しながらも簡単な配達の仕事をこなした。本当に簡単だ、書類を届けるだけなのに、予想外だったのは道中でゴブリンに襲われてしまった事だ。街の外は物騒で、か弱い私のような若い娘が気軽に出歩いて良い場所ではない。私は半泣で道具屋から購入した宝石の原石を使う。使ってしまえば勿論、消費する。

「……どうしよう……」

 うっすらと辺りが暗くなってくる。私は途方にくれながら歩いていると洞窟を見つけた。街に帰れないなら洞窟の中で野宿よ。と、覚悟を決めた私は光の魔法を使った。光の魔法は安価なガラス玉を使って照らせる。柔らかな光で照らされたその壁面には、大小様々な種類の宝石が輝いていた。どうやらここは宝石の洞窟だったようだ。思わぬお宝の山に、私は自分の人生を変えるチャンスだ、と喜んだ。

続く

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