WsdHarumaki 2023/02/23 20:16

弟の憂鬱:銃を持つ男【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(14/50)

第三章 弟の憂鬱
第四話 銃を持つ男

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に居た黒髪の少女レオノーアに出会う、ミナリアは封印を解く仕事をまかされて【赤の洞窟】の攻略を成功させた、祠(ほこら)にはまっていたルビーを手に入れる。

 金属製の筒の重さは剣の数倍はある。俺の銃は太く長く重い、扱いが難しく馴れるために何年も訓練が必要だ。俺はそれを子供の頃から扱っていた。

「火薬と鉛弾が入った袋だ」
 親父が銃の使い方を教えてくれる。奥深い山奥で獣を倒すために銃を使う、俺の国では、それが当たり前の職業だ。俺はその生活を捨てた、いや逃げた。自分ではもっと大きな事が出来ると信じた。傭兵に志願して国を出る。

 結果は散々だ。傭兵として戦場で功績を挙げても名声は上がらない。単に使い捨ての駒として重宝された。俺はそこも逃げるように別の国へ向かう。

 ギルドから複数の依頼を貰いながらのんびり生活している。今は仕事の掛け持ちが多い。

「ミナリアか? 」
 ギルドに行くと金髪の美しい少女が居る。ターゲットの一人だ。まだ若く苦労を知らなさそうな彼女は洞窟のドラゴンに殺ろされそうになっていた。

「まだギルドで仕事を受ける気か?」
 俺は心底驚く、あの状況を経験してもまだ働きたいのか? 普通なら親元に逃げて帰る。

「オスカーさん、報酬をお渡ししたいです」
 笑う彼女は年相応にかわいい仕草で俺に袋を渡そうとする。俺は首を横にふる。

「お前が倒した、お前が使え」
「……あの小さい声で話をしますが……大金です」
 秘密めかして俺に小声で説明する。どうやらルビーを渡したい事が判ると、俺は二階を指さす。

「このギルドの二階は貸し切りで利用できる、そっちで話をするか? 」
 ミナリアは素直な顔でうなずく、警戒心が無いと言うか男と二人きりになるのを心配していない。俺は彼女と二階の部屋を借りる事にした。なにやら案内人のマリアが俺を睨んでいる。平気だ、変な事はしない。手で合図しながら俺は二階に昇る。

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 俺は袋の中身を見ると考え方を変えた。高額なルビーが複数個ある。

「これを貰っていいのか? 」
「当然です、報酬です」

 ニコニコ笑う彼女は無邪気なのか、宝石の価値が判らないのか嬉しそうに俺に袋を渡す。俺は前から武器を作りたかった。俺は彼女に礼を言うと袋を受け取る。

「大事に使わせて貰うよ、また仕事があるなら手伝う」
「ありがとうございます、次もお願いします」

どうやら俺はミナリアに信頼されたらしい。

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