WsdHarumaki 2023/05/03 23:31

白の洞窟:侵入【魔女のミナリア、洞窟へ行く】(38/50)

第八章 白の洞窟
第三話 侵入

あらすじ
 魔女のミナリアは洞窟に住む黒髪の少女レオノーアに出会う、呪いのために閉じ込められているレオノーアは、洞窟の封印の解除をミナリアに頼む、赤と青と黒の洞窟は攻略すると最後の洞窟はミナリアの父親の屋敷内に存在していた。

「ミナリアが屋敷に戻るの? 」
 雇った銃使いのオスカーはむっつりした顔でうなずく。私は安心する、まだ未成年の子供を危険な場所で働かせているだけで心臓に悪い。

「良かった、いつなの? 娘の部屋を用意しないと」
「まって下さい、今回は洞窟攻略のためです」
 私はその瞬間に体が固まる。なぜ洞窟の事を知っているの? 目の前の男は落ち着いた様子だが、洞窟に居る女性の正体を理解しているの?

「――何を言ってるの判らないわ」
「お屋敷内に洞窟があり封印を解く必要が……」
「そんなものはありません! 」
 私は感情的になると怒鳴る。手が震える、心臓の鼓動が激しくなると気分が悪い。私は執事を呼び寄せるために呼び鈴を鳴らした。

「――お話はありません、帰って……」
 銃使いのオスカーは立ち上がると部屋を出て行く。私は混乱をしていた、理由が判らない、なぜ洞窟の事を知っているのか? 誰かが漏らした?ミナリアは母親に会いたいのだろうか?

「奥様どうなされましたか? 」
「厄介ごとよ、娘が白の洞窟に居る精霊に近寄ろうとしている、警戒をして」
「判りました、人を雇います」

 これで出入りは制限できる筈だ。オスカーが私を裏切る場合は面倒だが、金を積めば辞めさせる事もできる。ギルド経由の仕事だ、雇い主が苦情を言えばギルド側も対応してくれる。悪質な場合はギルドからの追放もある。

「母上、ミナリア姉さんが戻ってくるのですか? 」
 嬉しそうな長男のリュカが笑って応接室に入る。私はまた悪寒がしてくる、夫は白の洞窟の女性と結ばれた、生まれた子供がミナリアだ。魔女の力があるのは遺伝なのかもしれない。本当の母親が人ではないと知れば彼女はどう思われる?

「もし壊れてしまったら……」
「何が壊れるのです? 」
「なんでもないわ、ミナリアは戻りません。」

 不審そうな息子を安心させるように抱きしめる。何故かリュカは体を強ばらせていた。

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「奥様、大変です! 」
「何事です? 」
 執事が慌てたように廊下で待っていた。寝ようと仕度をしていたらメイドが私を呼びに来た。真っ青な執事は、洞窟がある館に侵入した者が居ると報告をする。

「坊ちゃんが招き入れたようです」
 私は急いで服を着替えると白の洞窟がある館に向かう。

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