1〜3話_宿屋に泊まったらパーティの女賢者に魔法責めされて、超絶イキ地獄を味わいHPが0になった

<あらすじ>
 魔王の残党を倒すため、勇者は旅に出た。
旅先で宿屋に泊まると、なぜかパーティの女性(賢者)が攻撃を仕掛けてきた……!
彼女の意図が分からず困惑する勇者だったが……!?
*一部、過激な描写がありますのでご注意ください。

1話 新しい仲間は賢者です

 俺は勇者リット。
王国の命を受けて、魔王討伐の旅に出た。
1ヶ月前、魔王を倒すことができた。
当時のパーティは解散。
今は魔王軍の残党を根絶やしにすべく旅をしているところだ。
残党は世界に散らばっている。
根絶やしにするには、1年は掛かってしまうだろう。
もう第一線から退きたいところなのだが、王国から指令が出たので仕方がない。
そろそろ俺も結婚をしたいんだけどな。
もう33歳だぞ……。

 現在、王国から離れて1週間ほど旅をし、この大陸に巣食う残党と戦っているところだ。
洞窟に逃げ込んだ魔族である。
この魔族は、魔王軍の幹部の地位にいた。
俺は剣を握りしめながら、魔法を詠唱する。

「……雷の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん! 我が剣にその魂を集めたまえ! ……サンダーストライク!!」

 雷を纏った俺の剣が敵にヒットする。
よし……倒したぞ。
打撃も魔法も優れた、タフな相手だったぜ。
激闘の末、ようやく大技を当てることができた。

「勇者様、大丈夫ですか? 回復しますね」

 隣で心配しながら回復魔法を唱えているのは女賢者だ。
『ルー』という可愛いらしい名前である。
じつは、王国に紹介された優秀な賢者と2人で旅をしている。
この賢者がいれば、攻撃魔法も回復魔法も任せられるので非常に助かっている。

「ああ……時間がかかってしまったが、なんとか大技を決めることができた」

 雷を纏わせた剣で敵をなぎ払う俺の最大奥義……【サンダーストライク】。
1ヶ月前も、この奥義で魔王を倒したんだ。
これさえ決まれば、元幹部とは言え残党になんて負けるはずがない。


 魔王軍の残党を倒すことに成功し、町に到着した。
ここは、海の香りが漂う港町である。
この世界は、この大陸にある武力国家【カタストロフ王国】の統治下にある町が多い。
この港町も、この王国の統治下である。
俺に指令を出しているのもカタストロフ王国だ。
 先ほど、統率していた元幹部を倒すことができた。
この大陸の治安はある程度良くなるだろう。
というわけで明日は船に乗り、別の大陸で残党狩りを行なう予定である。
 それにしても、さっきの戦いで疲労が溜まってしまったぜ。
33歳……か。
身体のピークは当に過ぎている。
魔王討伐に成功し、気が抜けしまった……というのもあるな。
そんな俺のステータスは……

☆☆☆
リット
職業: 勇者
レベル92
HP 191/686
MP 103/455
【そうび】
雷鳴の剣
勇者の鎧
【魔法】
サンダー
サンダーボルト
サンダーストライク
☆☆☆

 町の【魔法屋】で俺の能力を調べてもらい、結果が出た。
【魔法屋】は魔法の習得や助言、普及など、様々な業務を行なっている。
それ以外にも、ステータスの鑑定という便利なサービスも取り扱っている。
俺のステータスが記載された巻物を眺めていると、店主のおじさんが話しかけてきた。

「さすが勇者様! 圧倒的な強さでございますね……!」

 そう言いながら、店主は俺から鑑定料の代金を受け取る。
圧倒的な強さ……と言われはしたが、ここ最近は俺のレベルに変化はない。
魔王討伐の旅でレベル92に到達したのだが、この値で打ち止めのようだ。
さきほど倒した元幹部の魔族はなかなか強かったはずだが……。
レベルには変化なしだ。
どうやら俺はもう成長しないようだな。
今日のような戦闘が続いたら、少々キツいかもしれない。
最低でも、今の能力をキープしなくては……。
自主トレを増やしてみるか?
フィジカルは年齢と共にどうしても落ちていくから、身体強化のメニューを増やして補強しよう。
魔法はもう伸び代がないな……。
これだけ頑張ってきて、覚えた魔法は3つだけだ。
まぁ……その分、集中的に磨くことができたんだけど。
正直なところ、魔王討伐に精を出していたときほどの向上心はないんだ。
でも、コツコツと鍛錬を続けないとダメだよな。
残党が相手とは言え、負けたら終わりなんだ……。

 魔王を討伐していた頃のパーティは実力者ぞろいだった。
戦士、武道家、弓使い、魔法使い、神官……。
およそ10年間、戦い続けた。
カタストロフ王国が選抜し、途中でメンバーが加わったり入れ代わったりした。
熱い気持ちを伝え合ったり、世界平和について語り合ったりした初期メンバーは離れ、若い子達が入ってきたりもした。
メンバーが死んだこともあった。
長く、苦しい道のりだった。
最終的なメンバーとは、比較的淡白な付き合いだったな。
若い子たちが参入し、年齢が少し離れてしまったというのもあるけど。
それでも全員の長所を活かし、短所を補い合い、無事に魔王を倒すことができた。
俺は【雷の勇者】として、盛大に称えられた。
魔王討伐が終われば、仲間との付き合いはなくなった。
メンバー達は今、もう別々の人生を歩んでいる。

「……やはり勇者様は強いですね。私はレベル50でした」

 隣で賢者が笑顔を振りまいている。
彼女は【賢者の里】から来た。
カタストロフ王国と、賢者の里は敵対関係にある。
武力国家であるカタストロフ王国にとって、力をもつ賢者達は目障りなようだ。
かつて、武力による脅しを仕掛けたこともあったそうだ。
そんなピリついた状況から今は落ち着いてきた。
賢者の里は友好の証として、この子を魔王軍残党の討伐に参加させたからな。

「勇者様、日が暮れてきましたね。そろそろ宿屋に行きましょうか」

「ああ。今日はキミも疲れただろ。どこか良い宿屋を探してくれ。お金は国王からたくさんもらっているからな」

 仲間が女というのは、なかなか慣れないな。
俺のかつての仲間は全員、男だった。
そのため、男女間のいざこざなどはなく、無難に旅を終えることができたのだが……。
……この旅は大丈夫だろうか?


 宿屋に訪れ、俺と賢者は2階の部屋に宿泊することになった。
もちろん、俺と彼女とは別々の部屋である。
部屋の中に入り、俺は装備を外した。
寝巻である布の服に着替え、購入しておいたパンと果物を一人で食べた。
……夕食は以上だ。
30代中盤にもなると、あまりたくさん食べなくても問題がなくなるのだ。

 さて……もうすっかり夜だな。
明日も朝は早い。
……寝るか。
今日もお疲れさまだ……。

「……勇者様、まだ起きていますか?」

 ノックの音がしたあとで、賢者の声が聞こえた。

「……ああ、起きているよ。どうした?」

 賢者が部屋に入って来た。
……彼女とは、かれこれ1週間ほど旅をした。
とても印象の良い子だ。
しかも童顔で可愛い。
紫色でボリューム感のあるショートヘアスタイル。
その毛先はカールしており、可愛らしさを際立たせている。
もう夜だというのに、寝巻には着替えていないな……。
露出度の高い綿でできた白い服を着ており、その上に黒いマントを羽織っている。
権威を感じられる金色の装飾を施した黒マントだ。
マントの隙間から、彼女の豊満な胸の上半分が見えているので、ついつい見てしまう。
さらに、胸の近くにはネックレスが輝いており、なんともエロさを醸し出しているぞ。
下は黒のミニスカートを履いており、その中から伸びる細い脚が綺麗だ。
少々底の厚いオシャレなサンダルを履いている。
年齢を聞いたところ、23歳だそうだ。
若くて小柄で細い体ではあるが、とても優秀だ。
しかし……こんな夜に男の部屋に一人で入って来るなんて、感心できないな。
……俺も男だ。
ずっと女っ気のない旅を続けていたので、自制心が働くか分からないぞ。
まだ若い子だから、危機感がないのだろうか……?

「……どうしたんだい? 何か用でも? 明日も早いから、もう寝た方がいい」

「ちょっと言いたいことがあります。よろしいですか?」

 言いたいこと……だって?
わざわざ部屋に言いに来るなんて……こんなことはこの1週間で初めてだな。
俺に何を言いたいのだろうか……?

「いいよ。どうしたんだい?」

「……戦闘の時に思うんですけど、勇者様の剣さばきが甘いのではないかと」

「え……そうかい?」

「はい、そうです。敵は残党とはいえ、強敵もいますよね。今日の元幹部だって強かったですよ。劣勢の場面もあったように思えました。『キミは手を出さなくていいよ』なんて言われましたけど、ヒヤヒヤしました。……勇者様には、もっと向上心を持ってもらわないと」

「まぁ……確かに」

 痛いところを指摘されたな。
俺は伸び悩んでいる……というか、もう限界なのだ。
すでに成長期は過ぎている。
それは今日、魔法屋で自分のステータスを見たときに確信した。
ただ、そんな弱音を、出会って1週間の仲間に言いたくはないな。
しかも年齢が一回り近く違う子だ。
この先、ずっと舐められてしまうかもしれない。

「……」

 彼女は、その幼さの残る顔を冷たい表情に変えて俺のことを見ている。
……いつもは従順なのに、少々攻撃的な態度である。
俺は温厚なほうだと思っているが、この態度には少々イラついてきたぞ。
……まぁ、自分の戦闘力を指摘されたことについて、わざわざ怒る必要はないか。
こんなことを言うのは虚しくなるが、彼女の分析は正確である。
さすが賢者の里で育っただけのことはあるな。
わずか一週間の旅で、それほど戦闘回数は多くなかったにもかかわらず、俺の能力を冷静に分析したというわけか。
わざわざ忠告しに来たのは、この旅を確実に成功させるためだな。

「トレーニング……しませんか? 私と」

 ……え? なんだって?
トレーニング?
こ、この子は……何を言い始めたんだ?


2話 旅の仲間が悪女でした

「ト、トレーニング……だって?」

 女賢者が、夜中に突然トレーニングをしようと言い始めた。

「そうです……私に勝てないようじゃ、勇者とは言えないですよね? 魔法はナシでいいですよ。私とトレーニングしましょう」

 な、なんだ?
ずいぶんと煽ってくるな……。
従順な子だと思っていたのだが、これがこの子の本性なのだろうか?
まぁ、彼女は賢者の里が友好の証として旅に参戦させたエリートだしな。
外に出しても恥ずかしくない、優秀な子というわけだ。
向上心や競争心もハンパなものではないだろう。
魔王を倒し、燃え尽き気味で、かつ身体能力のピークを過ぎた俺に不信感を持ったな。
……とは言え、あくまでも俺は勇者だ。
ここは少し言っておくか。

「いやいや、魔法なし……って、体術で勝負するつもりかい? 僕は勇者でキミは賢者。性差による身体能力の差もある。ステータスだって今日一緒に確認したじゃないか。キミはレベル50。僕は92だ。トレーニングにはならないよ。しかも、こんな夜の時間帯にわざわざやる必要はない」

 彼女の身長は155センチ程度である。
身体も細い。
俺の身長は180センチもある。
筋骨隆々というわけではないが、ちゃんと筋肉はついているぞ。

「……本番の相手は魔族です。夜にだって戦えないとダメだと思います。それに、体術的には問題ないと思います。……試してみますか?」

 賢者が構えている。
拳を握りしめて、完全に体術で戦う構えだ。
……な、なんだって? 本当に戦うつもりなのか?
こ、ここで?
俺は慌ててベッドから下りた。

「……本気なのか? やるなら、外でもいいだろ?」

「本気ですよ。……ちょっと外じゃマズいですね。それでは、攻撃しますね」

 外じゃマズい……とは、どういうことだ!?
建物内の方がマズいだろう……!!
部屋の入り口から、こちらに向かって来るぞ!
じょ、冗談ではないのか……!?
なかなか良い踏み込みではあるが、俺には彼女の動きが見えている。
余裕で反応できるだろう。
俺は両手を前に出し、向かってきた彼女の両手首をしっかりと掴んだ。

「ほら、スピードも力も、キミではぜんぜん相手にならないって……」

「へぇ……確かにそうですね。じゃあ、これならどうですか?」

 賢者がニヤリと笑う。
な、なんだ……!?

「うぼぉっ!?」

 俺の股間に衝撃が走った……!
な、なんだ……!?
もしかして、膝蹴り……か!?
これは……き、金的攻撃だ!!

「あら、大ダメージみたいですね? 手加減したんですけど……」

 俺は床に倒れてしまった。
た、立ち上がれない……というか、動けないぞ……。
仲間の俺にこんな攻撃をするなんて……ウソだろ!?

「ちょ……これは……反則……」

 う、動かない……。
本当に体が動かない!
彼女の膝が、完璧に睾丸にヒットしたのだ……!

「反則なんてないですよ。魔族相手にそんな言い訳が通用しますか? 本番だと思って戦って下さい」

 彼女の声が聞こえてくる……。
また攻撃的な発言だ。
倒れたまま必死に顔を動かすと、彼女の綺麗な脚が視界に入った。
あんなに細い脚で攻撃されたのに、こんなに大ダメージになるのか……。

「あれ? 一撃で終わりですか? 本当に軽く蹴ったんですけどね? ふふっ。もう全然ダメですね、勇者様」

 あざ笑う声が聞こえるとともに、俺の頭の上に何かが乗っかった。
まさか……頭を足で踏みつけられているのか!?
しかも、サンダルを履いたまま!
お、俺の頭を踏みつけるなんて……!!

「こ、この……」

 まだ起き上がれない……!
金的攻撃は、こんなにも回復に時間がかかるのか……!!
い、痛い……!

「まだ動けないですよね。はい、これでも付けてください」

「こ、これは……!?」

 彼女がしゃがみ込んだ。
ミニスカートの中のパンツが見えてしまったぞ……。
み、水色か……。
そんなことを考えている場合ではない!
俺はこの子に攻撃されているんだ……!!
な、なんだ……!?
彼女は豊満な自分の胸元に手を入れたぞ!?
何かを取り出した!
ぎ、銀色のリング……!?
彼女は身もだえる俺の右腕を掴み、手首にそのリングを取りつけた。

「……な、何だこれは?」

「【呪いのリング】……ですよ?」

「の、呪いのリング……!?」

「このリングを付けている間、ステータスが半分になります。レベルも半分になっていますよ。今、勇者様はざっとレベル46ってところですね。私の方が少し上になりました」

 レベルが……半分に!?
しかも、呪われているのか!?
呪われた装備品は魔法屋に行かないと外せない……!!
こんなリングを取り付けてくるなんて……!
レベルが半分になってしまったのは……マズい!!

「あ、その青ざめた顔……。このリングの恐ろしさを理解したようですね」

「……な、何が狙いだ!?」

「私たち賢者の里は、勇者の活躍の影に隠れていました。そろそろ一番にならなきゃダメなんです。みんな勇者勇者って……そろそろ賢者の方がすごいってことを知らしめないといけません」

「な、なんだその理由は……!?」

「あなたを殺せば済む話じゃないのが厄介なんですよね。ご存知だとは思いますけど、あなたを殺すと、勇者の能力は次の代に引き継がれます。この世界に新たに生まれてくる選ばれし赤子にね。いわゆる【引き継ぎ】ですね」

 そうだ……。
勇者の力には、そういうシステムがある。
俺が死んでも継承されるのだ。

「その赤子があなたよりも才能のある勇者になったら、大変です。また次の世代も賢者の影が薄くなってしまいます。あなたには、なるべく長く生きてもらおうと思っています。弱体化された状態でね。子供も産ませません。あなたが子供を産んだ場合も、その子供に【引き継ぎ】が行なわれてしまいますからね」

 な、なんだって……!?

「賢者には、【引き継ぎ】とか面倒臭いシステムはないですから。今も、賢者の里で優秀な賢者がたくさん育っています。いつかまた新しい魔王が現れるでしょうから、その時に備えているわけです。そのときに活躍するのは私たち賢者……というのが、賢者の里が勇者様を狙う趣旨です」

 な、なんということだ!!
そんな狙いがあったのか……!

「……というわけですけど、じつは私には違う目的があります」

 なんだ?
ルーの顔つきが変わった。
目力がすごい。

「……それはまたいつか、時が来たらお話ししますね」

 な、なんだ……!?
何を言っているんだ!?
この子は……賢者の里の意見に反対しているということか?
今の一瞬だけ、この子の強い意志が感じとれたぞ。
もとの冷たい表情に戻った彼女が、また自分の胸元に手を入れた。
今度は何をする気だ……!?

「こ、このっ……!」

 よし……長いおしゃべりのおかげで、金的のダメージは回復してきている!
俺のレベルは46で、この賢者は50だ。
まだ充分に俺が勝てる見込みはある……!
金的攻撃さえ注意していれば勝てる……!!

「まだ動いちゃダメですよ。はい、左手にも」

 な、なぁっ!?
胸から取り出したのが……呪いのリングだと!?
同じリングを……2個も持っていたのかっ!!

「ふふっ。これでレベル23ぐらい。私のレベルの半分以下です。もう魔王軍の残党にも勝てませんね。……戦力外ですよ、勇者様」

 俺は立ち上がりながら、目の前に座っている賢者をニラみつける。
え、笑みを浮かべているぞ……!

「キ、キミは……こんなことをして良いと思っているのか!?」

「……その『キミ』って呼び方、すごい嫌だったんですよね。あなたの部下みたいで」

 彼女も俺に続いて立ち上がりながら、右足を振り上げる。
俺の股間を蹴り上げたのだ!

「あぁっ! あああああっー!!?」

 ま、またしても……金的攻撃を受けてしまった……!
ダメだ……立っていられない……。
警戒していたのに、彼女のケリに反応できなかった……!
警戒していても彼女の攻撃が見えないほど俺の戦闘力が低下してしまっているのか!?
本当にレベルが4分の1になってしまっているんだ。
いつもの力が出ない……!
こ、これは……勝てない……!!

「……ふふっ。痛そうですね。本当に軽く蹴っているだけなんですどね。その性器……これまで使い道がなかった上に、戦闘の弱点にもなっているなんて、救いようがないですね。勇者様には恋人がいないみたいですし。……恋人がいないばかりか、男とばっかり旅をしていたせいで、ぜんぜん女の子に免疫がないですよね。1週間、一緒に旅をして分かりましたけど、レディファーストの精神のカケラもなかったじゃないですか。女性に年齢を聞くのも、デリカシーがなさ過ぎて引きましたよ。結婚していないのも頷けます。そんな感じなら、【引き継ぎ】される心配はないですねw」

 再び床に倒れて苦しんでいる俺に、彼女は容赦ない言葉を吐き捨てる。
そ、そんなふうに思われていたのか……。
金的だけではなく、メンタルも攻撃されている。
ヘラヘラと笑いやがって……!

「私の従順で媚びた演技に、簡単に騙されていましたね? ふふっ。チョロ過ぎて笑っちゃいましたよ」

 こ、この……!!
言いたい放題だな!
こんな屈辱……耐えがたい!!

「その顔、悔しそうですね。……まぁ、今日はこのぐらいにしておきましょうかね」

 お、終わりか……!?
悔しいけど、助かった……。
この状態では、まったく勝てる気がしない。
この賢者……これは立派な裏切りである。
しかも、計画的な裏切りだ。
……どうしてくれよう?
賢者の里を取り締まってもらうよう、国王に相談するか……?

「……魔法を使わないトレーニングは、これで終わりです。次は……」

 えっ!?
なんだ? 何をするつもりだ!?
つ、次……だって!?

「あなたに魔法の指導をしますからね」

「ま、魔法の……指導!?」

 俺に魔法の指導だと!?
たしかに……賢者である彼女の方が、使える魔法の数は圧倒的に多いだろう。
しかし、この子は今、計画的な裏切り行為を実行したんだ。
指導するなんて本気で言っているわけがない……!
ふ、ふざけたことを言いやがって……!!
魔法……そ、そうだ、魔法だ!
俺の魔法を放てば……この状況を打開できるかもしれない!

「……雷の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん……我が全身にその魂を集めたまえ! ……サンダー……ボルトッ!!」

 倒れながらも、全力で魔法を唱えた。
俺の全身から雷が発生する。
無数の雷が彼女を襲うぞ!
俺がこれまで鍛え上げてきた雷魔法だ!
俺は……雷の勇者なんだぞ!!
バカにしやがって……!
しかし、呪いのリングが厄介だ。
ダメージを与えて、怯んだ隙に逃げる!!
 ……よし! 魔法が直撃した!

「ふふっ。……無駄ですよ」

 わ、笑っている……だと!?
無数の雷は彼女に直撃……したはず!!
けど、彼女は微動だにしない……!
まさか……ノーダメージかっ!?
いくら俺のレベルが下がっているとはいえ……そ、そんなはずはない!
な、なぜ……!?

「あなたが【雷の勇者】として名高いのは確かですが……雷属性の魔法しか使えないのであれば、その対策は簡単ですよね」

 そう言いながら、胸元のネックレスをつまんで強調する。
よく見てみると、俺はそのネックレスに見覚えがあった。
たしか、雷属性の魔法の無効化するレアアイテム……

「か、【雷のネックレス】……!!」

「そうです。向かってくる雷に反応して、無効化するバリアを張ってくれるんですよ。ネックレスが光ったのが見えませんでしたか? 注意力がないですね」

「なっ!?」

 確かに……見逃していた!
あ、焦っているのか、仲間の裏切りに!
それとも、彼女のナメた挑発に乗ってしまっているのか!?

「勇者様が使える魔法が雷系統だけであることは、魔法屋で確認が取れています。これで勇者様の魔法が私に効かないことが証明されたわけですね」

「うっ! く、くそう……!!」

「悔しがっていますね? 私はずっと、雷のネックレスを装備していましたよ? ……本当にこの1週間、私のことを全然見ていなかったんですね。おっぱいはチラチラ見ていたくせに、仲間の装備品はチェックしていなかったんですか?」

「うぅっ!?」

 ネックレスを装備しているのは知っていた……!
しかし、彼女の言う通り、なんのネックレスかは知ろうともしていなかった。
あと、俺がおっぱいを見ていることは気づかれていたのか……。
は、恥ずかしい!

「あ、もしかして……おっぱいばっかり見ているのがバレて、恥ずかしがっているんですか? 顔が……赤くなっていませんか? もしかして勇者様……その年齢で童貞ですか?」

「うっ! うぅっ……!?」

 は、恥ずかしい……!!
これは恥ずかしいぞ!
こんな……一回り近く若い子に!!
何か……何か言い返さないと!

「そんなに顔を赤くして……図星だったみたいですね。この1週間、どおりでチョロいな……って思っていたんですよ。ふふっ。情けない」

 彼女が笑っている……。
くそっ! 俺を……あざ笑っている!

「じゃあ……魔法でトレーニングしましょう。賢者たる者、魔法で男を操る術も身につけていますから、覚悟してくださいね」

 男を……操る!?
な、何をするつもりだ……!?
嫌な予感しかしないっ……!!


3話 突然の超絶イキ地獄

 俺は賢者の目の前で倒れている。
彼女は俺を金蹴りで攻撃したあげく、童貞であることを……あざ笑った。
反逆されたのだ。
まったく予期していなかった事態に、俺は動揺を隠せていないだろう……!
彼女は右手を頭上にかざして集中し始めた。

「な、何をする気だ……!?」

「重力の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん……我が右手にその魂を集めたまえ! 浮遊魔法……フワフワ・ニナール!」

「あ……あぁっ!?」

 そんな!? 俺の身体が浮かび上がる!
か、身体の自由が効かない……!
床から10センチほど、浮かされてしまったぞ!

「あはっ。レベルが下がっているから、簡単に効いちゃいますね」

 彼女は浮き上がった俺を見てヘラヘラと笑っている……!
その顔から幼さは消え、悪い大人の表情になっている!!
じ……自由に動けない!
手足をバタつかせているだけで、どうにもならないぞ!?

「遊戯の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん……我が両手にその魂を集めたまえ。傀儡魔法……アヤ・ツール」

 ま、また魔法を唱えた!?
お、俺の手が勝手に動いてしまう……!!
手だけじゃない! 体全体が勝手に動いてしまうぞ!?
傀儡魔法……だって!?
こんな魔法は初めて見た……!!

「あははっ! この魔法も簡単に効いちゃいますね。……さぁ、自分の服を全部脱がしてください」

 彼女は俺を、あざけるように笑っている……!
そんな彼女の前で、俺は空中にいながらも、自らの手で自分の服を脱がして全裸になってしまった。

「そんな……!! あ、悪夢だ!」

 勝手に身体が動いてしまう……!
彼女に操られているんだ!
下着も含め、俺が着ていた服は床に散らばっている……。

「ふふっ。さて……これから勇者として、そして男としての尊厳を奪ってあげますね。自分は無様で無力な童貞なんだと思い知らせてあげますから」

「な、何を……する気だ……!?」

 は、恥ずかしい……空中に浮かされて、全裸だなんて……。
傀儡魔法とやらのせいで、自分の意思で身体を動かすことができなくなってしまった……。
俺はアソコを隠すことができず、賢者にさらしてしまっている。

「ほら、私のスカートの中……見たいですか?」

 なっ!?
彼女は自分の黒いミニスカートを少しだけ捲り上げ、フトモモを見せてきた……!
ほ、細くてスベスベしていそうなフトモモだぁっ!!
チラチラと水色のパンツも見えている!!

「あ……勃ってきましたね。こんなことぐらいで勃つなんて、さすが童貞ですね」

「う、うぅっ……!!」

 は、恥ずかしい……!
どうしても、どうしても見てしまうっ!

「こっちはどうですか? 勇者様はおっぱいの方が好きなんですよね?」

 そう言いながら、彼女はマントを脱ぎ始めた。
彼女は上半身に、白色の綿製の服を着ている。
肩も、おっぱいの上半分も見える露出度の高い服だ。
その服の位置をズラし、ブラジャーを少し見せた。
ブ、ブラジャーも水色だ……!
おっぱいの上半分にプラスして、ブラジャーも見えるのはエロい。
しかも、胸の谷間が強調されるように、おっぱいの横から手を添えているじゃないかっ!
こ、これは……妖艶さが際立つぞ。

「ふふっ。……もう完全に勃ちましたね。ホントに単純で笑えてきます。そのまま自分で処理して下さい」

 彼女が命令した途端、俺の右手が勝手に動いた。
そのまま自分の勃起したチンコを握りしめた……!?
ま、まさか、まさか……!!

「ああっ! ああぁっ!?」

 俺の右手はチンコを握りしめたまま高速で上下に動き、マスターベーションを開始した。
空中に浮かびながら、こんなことを……!
ゆ、勇者の俺が……信じられない!

「そ、そんな……!!」

「ぷっ。楽しそうじゃないですか。目線はこっちですよ」

 賢者はさらに胸元を強調する。
少し前かがみになって、谷間を強調しているぞ!
す、すごい……なんて綺麗で大きなおっぱいなんだ!
こんなにじっくり見てもOKだなんて……!!

「あ、あはぁっ……! お、おっぱいぃっ!」

 た、たまらないっ!!
なんて柔らかそうな胸だ!
あの美しいおっぱいを俺のものにしたいっ!!
顔を挟んで欲しい!!
夢にまで見た、ぱふぱふだぁっ!!
俺のチンコも……挟んでくれぇっ!!
そ、そのまま押し倒したい……!
う、うぅっ……! うううぅっ!
しゃ、射精するぞっ……!!

「お、おっぱい! おっぱいっ……!! あああああっー!!」

「あ……出ましたね。汚い液体が床に向かって飛びました。おっぱいおっぱい叫んじゃって、バカみたいですね」

 ゆ、誘惑されてしまう……!
彼女のおっぱいに顔を埋めて、チンコも挟んで、この子をめちゃくちゃにしたいと思ってしまった!
ダ、ダメだ! このままではダメだ……!

「それでは、もう1回」

 ……もう1回!?
まさか……連射ということか……!!

「……ム、ムリだ!」

 連射なんて、20代だったとしてもなかなかキツいぞ!

「……ムリ? そうですか……勇者としてだけではなく、男としても衰えていますね。せめてオナニーぐらいがんばって下さいよ」

 うぅっ……!
蔑むような目線で厳しいことを言ってきた……。

「傀儡魔法の応用です。かなり難しいですけど……」

 また傀儡魔法か……!
応用って、何をする気だ!?
彼女は両手の人差し指を俺の方に向け、小刻みに動かし始めたぞ!?
……あ、ああっ!!
俺は何もしていないのに!
か、勝手に射精感が襲ってきた……!!

「私は体内の構造を熟知しています。手も触れずに魔力だけであなたの体を操作して、無理矢理イカせることができるんですよ」

 射精したての俺のチンコが、再びフルボッキになっている!
チンコには、何も触れていないのにっ!

「うわぁっ!! ウソだろ! そんなバカな……!」

「はい、出しちゃいましょう。ちゃんと私のことを見ながらイッてくださいね」

 で、出る……!!
こ、このまま連続で……絶頂を迎えてしまう!
彼女が一歩近いてきた!
嫌でも、その美しいカラダを見てしまう……!!

「あああぁっー!? で、出ちゃうっ!! 出ちゃう……!!」

 言われた通り、彼女のことを凝視してしまっている……!
大きなおっぱいを凝視しながら、またしても射精してしまう!!

「う、うわああぁっ!! き、気持ち良いー!!」

「あ……また汚いのが飛び出ましたね。床が汚れました」

 気持ち良かったが、少しだけ痛みが走った。
うぅ……おっぱいから目が離せない……。

「それにしても、精液が減りましたね。色も薄くなった感じがします。どんどん減っていくんですかね? 試しに、もう1回イカせてみましょうか?」

 なぁっ……!?
また人差し指を動かし始めたぞっ!
それと同時に射精感が込み上げてきた!
3連続なんて、経験したことがないっ!
か、勘弁してくれぇ……!!

「あああぁっ!! い、痛いぃっ……!!」

 気持ち良さとともに、痛みが生じる!

「も、もうやめてくれ!! あっ!? あ! ぎゃあああぁっ……!!」

「あ、出た出た!」

 い、痛いぃっ!!
射精の瞬間が一番痛いぞ……!!

「……やっぱり、また精液の量が減りましたね。色も透明に近づいてきました。射精するまで、ちょっと時間も掛かりましたしね。って、勇者様……痛がっていますか? へぇ~、痛いんですね。……じゃあ、もう1回」

 う、嘘だろ!?
まだ続ける気か……!?
あ、悪魔か!? この女!!

「そ、そんなっ!! お、お願いだ……! もうやめて……」

「やめませんよ。はいっ」

「うわあああぁっー!! い、痛いぃっ……!! で、出るぅ……!!」

「やっぱり時間が掛かって掛かっていますね」

「だめだめだめだめぇっ!! う、う、うわあああぁっ!!」

「あははっ。また出た。なんか楽しそうじゃないですか。もう精液は完全に透明ですね。はい、もう1回」

 彼女は、空中に浮かびながら悶える俺を見て笑っている!
ひたすら指を動かしているぞ……!!

「……あぎゃあああっ!! 許して! 許してぇっ……!! もうやめてぇっ!! ま、また出ちゃうっ……!!」

「やめません」

「……ぐああぁっ!!? い、痛いぃっ!! ぎゃあああぁっ!!」

 ……げ、激痛だっ!!
い、痛い! 痛すぎる!!
うぅっ……もう……精液が出ているのかどうか分からなくなってきた……。

「……さらに時間が掛かりましたけど、また出ましたね。もう本当に少量です。あれ……勇者様、どうしたんですか? なんかぐったりしていますね。空中でぐったりしていて、なんだかマヌケですよ。せっかく私が魔法を指導しているのに、休憩してはいけませんよ。もう1回ぐらい精液を出しておきましょうか」

「……や、やめて! こんなこと! 許してくれぇっ!」

 ……ダ、ダメだ!
あと1回でも射精させられたら、おかしくなってしまう!!
激痛のあまり、気を失ってしまうぞ……!
本来、こんな短時間で何連続も射精できるものではないっ!

「やめて欲しかったら、この旅のリーダーを私に譲ると誓って下さい。一切、私のジャマをしない……と誓うんです。あと、残党を倒した後も、無力化されたまま寿命が尽きるまで、賢者たちの監視下で生きる……と。これも誓って下さい」

「なっ!? そんな……そんなことを誓ったら俺の人生は……この世界は……? もしまた魔王が復活したら……」

「は? つまり……私たち賢者では力不足だと言いたいわけですね。……賢者をなめないで下さいよ。今だってこうして、あなたは私に負けた上に無力化されているんです。……また射精させないと分からないようですね?」

 ふ、ふざけるな……。
お前こそ、勇者を舐めるな……と言いたい。
言いたいが、射精は怖い。
射精は怖いが……こんなことが許されて良いはずがない!

「……あれ? なんですか、その反抗的な目は。本当にもっと射精させちゃいましょうか。私は今、ようやく準備運動が終わったって感じなんですよね。このまま明け方まであなたを射精させ続けても問題ないぐらい魔力が有り余っていますよ」

 なっ……!?
……なんてヒドいことを考えるんだ……!
そんなことをされたら、俺の身体はもちろん、精神までもが崩壊してしまうっ!!
ダ、ダメだ……いったん言うとおりにしよう。

「す、すまん……それは勘弁してくれ……。もう限界なんだ……」

「『申し訳ございません、これからはルー様の言うことに従います。先ほどの約束にも従います』……ですよね? 自分の意思で、ちゃんと土下座しながら言ってください」

 そう冷たく言い放つと、彼女は傀儡魔法を解いた。
俺は地面に倒れる。
くっ! 立ち上がれないぞ……。
連続射精で体に負担が掛かり過ぎているな。
あ……彼女が高圧的な雰囲気で俺を見下ろしている……。
あぁ……怖い……!
自由を奪われて、射精させられるのが怖い!!
もう身体は自由なのだが、自分の意思で土下座してしまう……!

「……も、申し訳ございません、これからはルー様の言うことに従います。先ほどの約束にも従います」

 大丈夫、大丈夫だ……。
隙を見て逃げ出そう。
情けない判断ではあるが、逃げ出して王国に助けを求めるぞ!!
……こんなことを知ったら、国王が黙っていないはずだ!
どうにかして、今の状況を王国に伝えないと……!

「はい、OKです。この誓いを破ったら、容赦しないので覚悟しておいて下さい。……こんな誓いを立てるなんて、もう【勇者】なんて名乗れないですよね。これからは私が先陣を切って魔王軍の残党と戦いますので、足手まといにならないように気を付けて下さい」

 彼女は自信満々な声が聞こえてくる……。

「……もちろん、呪いのリングは外してあげませんからね。さっきの目つきを見ていると、解除したら私を襲って来そうですし」

 そうだ……逃げ出して魔法屋に頼めば、このリングは外せるんだ。
まだ充分、希望はある。

「じゃあ、ゆっくり休んでくださいね。この部屋には結界を張らせて頂きます。今の勇者様のレベルではとても破れないですよ。……逃げようとしてもムダですからね」

 なっ……!? け、結界だって!?
彼女は部屋の中にいくつかの石を置いていく。
魔力を込めているぞ……結界石か!
これでは部屋から出られない……。
ぬ、抜け目ないな……!
これでは王国に助けを求められない!

「……さっさと勇者様を賢者の里に連れ込みたいところなんですけど、今はカタストロフ王国の手前、勇者様と残党狩りをしないといけません。あの王国と全面戦争になってしまったら、賢者側の被害は避けられません。賢者の里に勇者様を連れて行くのは、残党狩りの後です」

 俺を……里に連れて行く!?
残党狩りの後って……

「この旅を終わらせるのに1年は掛かるでしょう。その頃には、私は本来のあなたの力も越えているはずです。賢者の里もさらに力を付けますよ。王国を圧倒できるほどに! ……最終的に賢者は、王国を転覆させます。変な希望は捨てることです」

 な、なんということだ……!!
そんな計画があったのか……!
周到に計画されているみたいだぞ……!

「あなたを無力化できました。……ついに、ついに賢者の時代がきますよ。もしこの計画を誰かに言ったら……分かっていますよね?」

「うっ……!!」

 土下座した状態ではあるが、俺は思わず股間の方を見てしまった。
彼女に威圧されると、アソコが心配になってしまう……。

「ふふっ。私に怯えていますね? その調子なら、大丈夫そうです。……それじゃあ、また明日」

 彼女は床に落ちたマントを拾い、部屋から出て行った。
出て行くときに、詠唱をし、結界を完成させたようだ。
俺は視線を再び股間に向け、自分の小さくなったイチモツを見た。
俺は……賢者の傀儡になり……屈辱を味わった。
……くそうっ!!
悔しくて、俺は床を叩いた。
旅の途中、絶対に隙はできる……!
諦めないぞ、俺は!
賢者の里がどの程度の力をつけているのかは分からない。
ただ、彼女の話によれば、王国を転覆させるのは、まだ先の話だろう。
長期戦になってしまうが……俺は諦めない!!
……ん?
なんだ? ドアが……開いたぞ?
俺は顔を上げて確認する。

「……何をしているんですか? もしかして、床を叩いたんですか? そういう態度は関心しませんね。下の階の人に迷惑ですし」

 け、賢者がまた……俺の部屋の中に入ってきた!
まだ廊下にいたのか……!
あ、ああ……詠唱している!
また詠唱してしまっているぞ……!!

「……傀儡魔法……アヤ・ツール」

 また傀儡魔法だ!
ウ、ウソだろう……!?
再び勃起させられてしまったぞ!
ま、まさか……

「う、うわあああ! そんな! そんなぁ……!! もうやめてくれぇっ!!」

「ダメですよ。物に当たるなんて、最低です。デリカシーがない上に童貞で、さらにはモラルも欠けているなんて……」

 ああっ!
また人差し指を動かしているっ!!
……怖い! 怖いぃっ!

「あぁっ!? ああああぁっ……!!」

 しゃ、射精感が生じてきた!
もう何度目だ!?
痛い! 痛いぃっ!!
しゃ、射精させられてしまう……!!

「うっ!? ああぁっ! いぎゃああぁっー!!!」

 俺の性器に、激痛が走った……!
もう……痛みで訳が分からない。
視界が歪んできた……。
精子が出た……のか?

「……あれ、ちょっと血が混じっていませんか? このまま続けていくと、使い物にならなくなっちゃいますよ。ちゃんと良い子にしていれば、こんなことしませんからね、勇者様。……って、聞いていますかー?」

 意識が遠くなっていく……。
もう……俺のHPは……0かもしれない。
朦朧とした状態で目の前の彼女を見る。
従順で可愛いと思っていた賢者は、壮大な計画を企んでいる悪女だった……。
俺はこの子に、何度も射精させられてしまった……。
手を触れられることなく、何度も何度も……。
俺はこの子に……勝てない。
恥ずかしい……情けない……。
俺のモラルまで指摘されてしまった。
俺にこんなことをして、彼女は道徳心のカケラもないくせに……。
将来、本当に賢者の時代が来てしまうのか?
……寿命が尽きるまで、俺は賢者の傀儡なのだろうか……?

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