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羞恥の記事 (10)

かきこき太郎 2024/06/13 15:14

優柔不断で断ることが苦手な男性のウェディングドレス体験

蒸し蒸しとした時期となった6月の時期。
まだ夏本番ではないが湿気もあって汗がじんわりと浮き出てくるような季節に青山優太は満員の電車を降りて帰路に立っていた。社会人3年…まだ若手という立場でありつつも後輩も増えて仕事量は前よりも増えている。

「はぁっ…俺だってまだ歴の浅い社会人だっていうのにさ。上司も仕事を増やしていくなんて…」
「でも…それは断れる話だよな。それを全部、引き受けちゃう俺の優柔不断さがいけないんだよな」

ため息は多くなり気持ちもどんどんと落ちていくが、その原因というのは多い仕事量と断れない性分のために何でも引き受けてしまったことで、やらなくても良い業務を受け持っているのだった。それでいて悪影響が出たのち本来の仕事が遅れているのである。ほぼ毎日、上司に指摘されるような日々、言って仕舞えば悪循環という状況下でストレスは溜まっていく一方であり解消法として飲むアルコール量は自然と増えていったのだった。

「別に明日は土曜日で休みだし、ちょっとぐらい深酒をしてもいいだろ…」

家の近くにあるスーパーに入店し、アルコールのロング缶と腹持ちが良さそうな弁当をカゴに入れる。不摂生であることが頭に思い浮かんだためサラダセットもカゴに入れてレジへと進み店を出て帰り道を歩いていった。

「んっ、何だここ……?ウェディングドレス…?こんなお店、今まであったっけ…?」

思わず足を止めたのは、ライトアップされたショーウィンドウに飾られた純白のドレスが飾られているお店であった。プリンセスドレスと呼ばれる形状の肩を出したレースやキラキラと光る光沢感のある生地の重厚なドレスに目が留まったのである。

「へぇ〜こんなところにドレスショップなんてあるんだ。初めて知ったな〜まぁ近くに結婚式場もあるし、ここで買ったりレンタルしたりして式をするんだろうな」

土日や祝日となれば家の近くにあるチャペルにて祝福の鐘が鳴っているのをよく耳にするのを思い出す。自分自身、そんな幸せいっぱいのムードとは縁がないため心の中に見知らぬ新郎新婦に『おめでとう』と呟く程度であったのだが、こういったドレスを着た人はさぞ美しく仕立てられることだろう。

「こういったドレスって結構値段するよな確か…うわぁ、やっぱり高い。まぁ大体がレンタルだしそこまで費用は…んっ?」
「6月◯日?それって明日じゃん。ウェディングドレスの試着体験を行います。どなたでも大丈夫っ…へぇ〜」

closeと書いてある札が掛けられた入り口に貼られた1枚の紙。そこにはウェディングドレスの着用体験を薦める紙が貼られていた。どなたでも参加自由、料金はかからず店前に置いてあるチラシを持参すれば化粧などもできて本物の花嫁のようなブライダル体験をすることができるとの記述がされている。

「6月って確かジューンブライドってやつがあったっけ?その、6月に結婚すれば幸せになれるとか何とか」
「どなたでも、これって男でも着れるのかな…?」

最近では男性がこういった可愛らしいウェディングドレスを着て結婚式をあげるというニュースも聞いた事がある。多様性という社会だからこそそういった自由があると思うが、彼にはそういった癖もない。

「まぁ、俺には結婚なんて一生縁のない話だし。ウエディングドレスを着るような趣味も無いから関係ないか」

手前に置いてあるチラシは手にとったまま自宅へと帰る。戻すには手間なチラシ置き場であった為、家で捨てようと思いエコバッグに入れていったのだ。
翌日、天気は快晴となっており明るい日差しと朝から蒸し蒸しと暑い湿気にて目を覚ます。休日だからといって何をしたいというものは無く、動画を見ながら漁ったり家にある菓子類を食べていれば時刻はあっという間に夕方となっていった。

「今日も一日無駄にした感じがする…….はぁっ、とりあえずスーパーでも行くか」

適当に身支度をして家の外へと出る。その際、エコバッグ内には捨て忘れたチラシが入っており彼はそれをしまったままスーパーへと出かけたのであった。

「そういえばウエディングドレスの体験って今日だっけ…あ、やっているけど人全然居ないじゃん」
「まぁ、もう夕方だし予約したお客さんの体験も終わったんだろうなぁ…」

店内が見えるガラスでできた入り口の扉。昨日はよく見えなかった店内には灯りがついており中にいたのは、ピシッとしたスーツを着用した女性店員が飾られたドレスのシワなどを直している。それにしても、どれもこれも高級感を感じさせるものばかりで男である優太も昨日と同じように見惚れていた。

「あの〜もしかしてご試着希望のお客様…でしょうか?」

そんなショーウィンドウのドレスを眺めていると入り口から1人の女性スタッフが声をかけてきた。優太を今回の試着体験に来た客だと思ったのだろう。

「あっ、すみません…怪しいですよね。その、昨日たまたま此処を見かけたので、それでつい…」
「あっ、そうなんですね〜今日は試着会をやっているんですけれど他のお客様もこんな所にあったんだ!って話されていましたよ」
「あっ、そのチラシ…もしかしてご試着希望だったりします?」

女性スタッフの視線が彼が手に持っているチラシに向けられて彼女は思わず声をかける。
そう、チラシを持っている方にはウエディングドレスを着用して尚且つメイクをしてウェディングフォトまで撮ってもらえるという特典がついていたのだった。

「あっ、いえいえ!そのっ、昨日少し気になったからついチラシをとっただけで!」
「そんな遠慮されなくても大丈夫ですよ〜もうこの時間は予約されているお客様も居ませんし、それに今の時代、男性の方でもドレスを着たがる方がいらっしゃいますから!」

押しの強い女性スタッフの手により、店の中へと入っていく。此処でも断りきれない自分の性格が悪い方向へと物事を進めていった。
スッとする香りと店内にはリラックスできる聖歌のようなものが流れている。作業する他の女性スタッフは一瞬、優太に視線を送るものの奇異の目などは向ける事なくて、直ぐに笑顔を作ったのち彼を出迎えたのだった。

「えーっとですね、試着用なんですけれども…カラードレスかそれともウエディング系どちらにします?」
「えっ、、あー…白のウエディング系で….」
「ウエディング系ですね!かしこまりました、あとドレスの形なんですけれども…」

女性スタッフは持っていたパンフレットを開き、いくつかのドレスの形が描かれたイラストに指を刺して説明を行なっていく。初めて知ったがドレスにも数多く種類がありプリンセスライン、マーメイド、Aラインなどそれぞれの特徴やシルエットなどが書かれていた。

「青山さんの体型ならどのサイズでも着れそうですけれども、何か着用したいスタイルはございますか?」

(着たいドレスなんてあるわけないだろう!えっ、あー…でも、ショーウィンドウに飾ってあるタイプなら……)

「そ、その入り口に飾ってあるようなタイプ、えっーとプリンセス系のやつですかね。その、それなら着てみたいかなって….」

まるで物語に出てくるかのような重厚なスカートに豪華で煌びやかな形のドレスがふと頭に思い浮かび、着るのであれば….そういったものを着てみたいと少し、、、思ったのだ。

「あー!なるほどっ、かしこまりました!それでは試着用のドレスを用意しますので、あちらのフィッティングルームでお着替えをお願いします!」
「こちらへどうぞ、今回は花嫁の体験ということなので女性用のウエディングインナーから着替えてもらいます」

先程の女性スタッフから他のスタッフへと変わり案内されたフィッティングルームへと誘導されていく。話が進んでいく中でもう断ることは遅いだろう。彼はそのままスタッフに従って大きめの試着室へと入っていき、新品の袋に入ったショーツにロングソックスやグローブを手渡される。

「着替えが終わったらお声掛けください。直ぐ近くにおりますので」

シャーっという音と共にカーテンが閉められてポツンと1人佇む。ゴージャスな装飾がされている物置の台と大きな姿見に椅子といったシンプルな作りであり、彼は台に置かれたセットを見て深くため息をこぼした。

「もう、着替えるしかないんだよなぁ…はぁっ、とりあえず洋服を脱いで着替えちゃおう…」

着用しているズボンやシャツ、そしてゆっくりと下着を下ろす。封がされているビニール袋を開けていき中にあるサテン生地のショーツに足を通していった。

「こ、これ…ぜ、絶対にチンコが見えるでしょ…うわぁっ、、、ツルツルして変な感触がするっ…///」

ブリーフよりも布面積が少ない純白のサテンショーツ。何とかして玉袋と男性器を中央に寄せてこぼれ落ちないようにした後、ニーソックスのタイツと肘まで隠れるツルツルサテン生地のグローブに腕にはめて女性スタッフを呼んだ。

「お着替え終わりました?白がお似合いですよ、あっ…ガーターベルト付け方分かりませんでしたよね、今付けますから正面を向いてください」

真っ白な肌を見知らぬ女性に晒すことに羞恥心を感じる為、女性のように胸元を腕で隠したのち膨れ上がったショーツを見せつつ、スタッフは手際よくショーツから垂れるフォック付きの紐をソックスに嵌め込んでいった。

「うわぁ、すごい……これがガーターベルト……」
「はい、ソックスが落ちないようにしないと式の時に大変ですから。それじゃあ、トップのインナーをつけていきましょうね」

胴体と胸元を覆うブライダルインナー、巨乳用の大きめのカップがある白のビスチェを胴体に通した後、女性スタッフは後ろの留め具部分に触れていく。

「うぅっ、!!あのっ…苦しいですっ…!」
「我慢してくださいね〜これをつけることで綺麗なウエストのラインが出来ますからっ」

映画などで中世の女性が綺麗なスタイルを見せる為に付けていたとされるビスチェやコルセット、だが内臓が飛び出してしまうと比喩していたのが頭をよぎるが、彼自身も思わず嗚咽をこぼしてしまうほどであった。

(肋骨がき、軋むっ!あ"あ"っ、、、)

痛みに耐えながら何とか着用が終わる。はぁっ、はぁっ、と息を切らす姿に女性スタッフはクスクスと笑っていた。胸元にパットを詰め込んでいき、椅子に座る事を勧められる。そしてガラガラと台車が用意されていき、始まったのはメイクであった。

「さてとドレスを着る前にそれに似合うようなメイクをしていきましょうね♡」

化粧水が染み込んだコットンを顔に塗っていき、その上からファンデーションやシミなどを隠す下地クリームにコンシーラーが塗られていく。

「〜〜〜♪」

女性スタッフは鼻歌を歌いつつ、化粧を続けていく。女性スタッフは目の周りの塗っておりアイラインや上瞼に触れるアイシャドウのブラシが何ともこそばゆい。

「結婚式に塗るようなメイクなのであまり派手目な感じにはしないんですよね、けっこうナチュラルというか自然な感じに仕上げていくんです」
「は、はぁっ……」
「あはははっ、あまり男性には関係のないことですよね。すみませんっ、でもこうやって男の人に塗るの初めてだから緊張するな〜」
(……さっきからそんな感じは一切しないけど )

手際よく塗られていくお化粧に彼女が言っていた『慣れていない』という言葉が嘘のように感じてしまう。まぁ、ウェディングドレスを着る人なんて大半は女性なのだ。細身で肌も白い優太であるが、性別としてはれっきとした男性に化粧なんて普通はすることもないはずだろう。

「さてと最後に唇を塗って終了です!赤とピンク…最近では垢抜け用にオレンジとかをヌル人がいますけれど、どうなさいますか?」

リップクリームしか塗ったことのないのに…そんな思いを抱きつつ、ぼそっと『お任せします…』とだけ呟いた。

「う〜ん、そうだな…それじゃあ今回はこの可愛らしいピンクにしましょっ!それじゃあ、唇をウーって尖らせてください!そうそうっ!」

(あっ…やばい、、、これ、変な感じがするっ)

目を閉じているためか唇に伝わる感触はより敏感に感じており、唇を鮮やかに彩っていくその感触というのが身体に続々と伝わっていった。メイクで一番…女性らしいと感じてしまう唇のメイクに彼の心はふと動かされてしまったのである。余分な部分をティッシュで拭き、さらには馴染ませるように唇を自身で合わせながら動かしていく。

「目を開けてみてくださいっ、とっても可愛らしい花嫁の出来上がりですよ!」
「こ、これが俺なのか…ぇぇっ、嘘でしょっ…」
「嘘じゃないんです、本当なんです!さてドレスも用意できたので着ていきましょっか」

カーテンを開けられてトルソーにかけられたウェディングドレスと対面する。それは自身が店前のショーウィンドウで見ていたドレスとそっくりなプリンセスタイプの形をしているものであった。袖のないベアトップの純白のドレス。
大きく広がった裾部分のレースに加えてスカートは大きく広がっておりナイロンやサテンなどが使われているため、照明の光にキラキラと反射しているほどであった

「スカートの裾を踏まないよう気をつけてください。身体を入れたらゆっくりと上げていって後ろのジッパーを閉めていきますから」

用意されたウェディング用のヒールを履き、ゆっくりとドレスの中へ…履き慣れない靴のため先ほど着付けをしてくれたスタッフが手を取りドレスへと誘導をしていく。大きく広がったドレスの中に足を入れて胸元の部分に位置を合わせると、ゆっくりと後ろにあるジッパーが上げられていった

(うっ…ちょっと、ひんやりするかも。でも、なんかこの感触っ…全然、悪くないかも…///)

肌に優しいツルツルとした内生地に冷感を感じるものの、すぐにその感触が癖になっていく。動くたびにゆさゆさと大きく広がったレース付きのスカートが音を出していく。ウエスト部分はきつめに縛られたビスチェのおかげで綺麗なくびれが出来上がっており、何とも美しい見た目となっていた。

「ウィッグも用意したのでつけてみませんか?」

少し明るめのブラウンヘアーとなっている毛先を編み込んだりしているダウンスタイルのロングウィッグを頭から被せられていき、ドライフラワーでできた鮮やかな色合いの薄いベール付きのヘットドレスをつけていく。メイクに髪型、そして着用しているドレスと合わせてもそこにいるのは、これから祝福を受ける花嫁のような姿であった。

「大変よくお似合いですよっ、さてとお写真でもとりましょっか。せっかくですし綺麗な一枚でも」

歩き慣れない足取りは2人の女性スタッフに手を引かれてゆっくりと撮影スタジオの方へと移っていく。白色の背景をしたスペース、大きくそして明るい光を放つ照明に加えて目の前には大きなカメラが何台も置いてあった。
顔が見えるようにベールは捲られて手には結婚式などで使うような花束を持たされる。笑顔を作るように言われたのち、目の前のカメラはシャッターを切っていった。

「ご結婚おめでとうございますっ、とってもよくお似合いですよ〜」

ドレス姿の青山優太は写真を何枚も撮影されていき、データとして残った彼の表情は本当に嬉しさを感じている女性のような雰囲気をしている。
人生で初めての女装…それが彼に取っての始まりであることは、この時はまだ誰も知らない。

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かきこき太郎 2024/05/30 12:38

諜報機関の凄腕男は白バニーとなりメス堕ち快楽に包まれる

暗闇の中、腕を後ろに縛られた状態で床に長時間、床に放置されていたため、その冷たさが身体の芯までも冷やす。
冷たいコンクリートの感触を感じつつ目を閉じようとしても、ズキズキと痛む左足が強○的に覚醒を促しており、菅野結兎(ゆいと)は自身の失態に唇を噛んでいた

「まさかネズミが入り込んでいるとはな、まったく相当な腕の持ち主だよアンタ」

男の声が室内にこだましたのと同時に部屋の明かりが点滅していく。強いライトが付いたために思わず目を閉じた。暗転していた空間にいきなり強い光が灯って視界の一部がぼやけて見える。時間が経過していくとともにようやく慣れていくが、どうやら囲まれているらしい。

「どこかのスパイ?それとも、国のお偉いさんとか?俺たちが麻薬密売をしているグループって分かっていたから侵入したんでしょ?」

「答える気は無いか…それじゃあ、無理矢理でも口を動かしてもらおうかな!」

「っ、、、!?あ”あ”あ”っ!!??」

先ほどから激痛が走っている太ももに男たちは乱暴にも、鉄パイプで殴打したり傷口を抉るかのように器具でいじっていた。
着用している黒のパンツは太もも部分に大きな穴が空いている。それはちょうど、銃弾が入る程度の大きさでありズボン下にある自身の足をも、貫通させているほどであったのだ。

「幹部以外立ち入り禁止の部屋に入るから、そうなるんだよ。さてと、どこの使いか履いてもらおうかな?」

生殺しのような地獄に悶え苦しみながらも尋問は始められていく。一思いにやってくれればどれほど楽と言えるだろうか。風穴が空いた太ももを刺激し、落ちそうな意識を呼び戻される。人生で初めての任務失敗がこれほどにも屈辱的で尚且つ痛みを感じさせるものだとは知らなかった。
銃弾によって太ももが貫通しすぐにでも楽になりたいといった状況下、だがそれでも自白などをしないのは一流のスパイとして流石と言えるだろう。
そう…何1つも情報を吐かずに敵方の尋問に耐え凌ぐ男の正体というのは、こちらに銃や鈍器を向けている男たちの言う通り国からの要請を受けた諜報機関のスパイであった。

潜入任務を主としている極秘のスパイ集団、結兎は25歳という若さで一番の戦果をあげている者であり今回、薬物の濫用者が増えているという問題を解決すべく、海外を拠点とした日本で暗躍している麻薬密売組織へと侵入したのであった。
運び屋から始まって敢えてドラッグ好きな若者を演じる、屈強な体をしているが先輩を立てる後輩キャラを演じていき幹部のボディーガードなどに入っていって大元の情報源のある中核へと入り込んでいったのだ。

『あそこの部屋は重要な機密文書…まぁ、いってしまえば取引先のルートと顧客がまとめられて保管してあるんだ。もちろんセキュリティは万全で俺たち幹部でも入れない。情報は見ることはできるんだけどな』

酒に酔ったことで口を滑らす幹部、他の扉とは一際違う重厚な扉で固く閉ざされているのだが、どうやら結兎の狙っている代物があるのは、どうやらそこが当たりらしい。

(結構は近いうちがいいかもな。スパイ活動がバレないように…とりあえず、解除キーを確認するために巡回をして行こう)

監視カメラを設置していき、その都度、扉をふれたものを確認していく。それは普段、どういった人間が出入りしているのかを確認するためだった。
だが、やってくる人物は数週間かけて観察してみても1人の人物しか扉を開けようとしない。結兎はその開錠する人物をみて唖然としてしまった。その訳というのは解除キーでロックを外している人物というのはまだ小学生程度の小さな女の子であったからである。白のワンピースを着た黒髪の少女…こんな麻薬組織の中で彼女の姿なんぞ1度も見たことはなかった

結兎はそんな疑念を抱きつつも、任務を成功させるべく数週間の情報収集にて深夜の時間帯を利用し、任務決行の日に一度も間違えることなく解除キーを開けていき、中へと無事に侵入することができたのだった。

(よし、ロックは解除できた…中にあるものは一体…)

重厚なドアが開き中へと入るが、そこには何1つも存在しない、から空っぽの空間であった。パソコンも書類などを保管しているキャビネットも棚も…紙1つもない殺風景な空間。
どういう意味は理解できない、自分が気が付かない間に整理されていたのか…?必死に中を捜索していくが、それらしきものは一切見当たらないため焦りが結兎を襲う。

「くそっ…これってつまり……」

「ブラフ…いわゆる偽の保管庫ですよ。スパイのお兄さん?」

「えっ……!?あ、がっは!!あ”あ”あ”っ…うぅぅっ!!」

後ろからかけられた少女の声に思わず反応して後ろを振り向こうとしたタイミングで膝から崩れ落ちるかのようにその場で倒れた。動こうにも激しい激痛が体を襲う。生暖かい感触と痛みは主に左足の太ももからで、彼は後ろから足を撃たれたのだ

「そのまま、私の部下が来ますからゆっくりと尋問されててください。それが終わったら私があなたをゆっくり調教していきたいと思っているので」

「はぁっ……あ”あ”っ、、、く、くそぉっ……」

顔を確認しようにも手に持っていたライトは倒れた衝撃で遠くの方に転がっている。彼はズキズキと痛み足に思わず気を失ってしまったのだ。
そしてどれほど眠っていたのか分からないタイミングで強○的に開眼を余儀なくされる。集まった屈強な男たちによる尋問、もといい暴行にて結兎は捉えられていたのだ

「あー、こいつ口が固くて全然無理だわ。爪も何枚か剥がしたっていうのに」

「本当は耳たぶでも削ぎ落としたい…けれど、お嬢のお気に入りっぽいし無理か。まぁ、こいつはまんまと騙された人間なんだし?きっと碌な情報をつかめてねーだろ!あっははは!!」

「楽しそうね、そろそろ終わった?」

意識が途切れかけているような状況下にて聞き覚えのある声が聞こえた。そうだ、先ほど結兎の足に銃弾を放ち動けなくさせて、地獄のような尋問を受けさせた張本人……

「スフィン様、お疲れ様です。とりあえずあまり傷つけない方法でやったんですけど、情報を吐かなくて」

「いいわ、大丈夫。あとは私が調教して色々と吐かせようと思っているから。それよりも発信機とかは全部壊したりした?」

「はい、探してみたら監視カメラが複数個、扉付近に設置されていました。あと、こいつの手の甲に何やらマイクロチップ入っていたので取り出したのち逆探知で情報源を探ってます」

(……いったいこいつら何を話しているんだろう……)

すでに音すら聞こえなくなった結兎、それほどにまで疲弊している状態であるのはいうまでもない。
彼はうっすら開けた視界の中で口パクで話し合っている少女と男たちといった情報しか視覚情報としてにゅうすできなかったのである。

「おーい、聞こえてるかな?まぁ、聞こえてなくても別にいいか。お兄さんには、これから専属のペットになって遊んでもらおうと持っているの。確か、結兎って名乗っていたわね…決めた、あなたには可愛らしいうさぎさんの格好をさせてあげるから」

口の動きしか伝わってこない中、理解することができたのは『調教』という文字であり、結兎はそのまま意識を失っていったのであった

・・・・・

「す、スフィンお嬢様…おはようございます、、、」

「おはよう結兎。ふふっ、今日は白なのね。その色合いもとっても似合っているわ」

結兎が今いる場所、そこは潜入していた小汚いアジトではなくて庭付きの大きな屋敷のような一軒家であった。屋敷の中も広く、まるで有名な資産家が建てた豪邸の様な空間なのである。温暖な気候に加えて、生えている植物や部屋の内装は自身が生まれ育った日本とは少し作りと言えるだろう。

「ど、どうぞ……」

「うわぁ〜、今日の朝食はとっても豪華なのね!ふふっ、たった1ヶ月で給仕が様になるなんて、やっぱりスパイは器用な人が多いのかしら?」

「それにしても、あんな格好いい男がこんなにもいやらしい肉体になっちゃうなんてね〜えいっ!」

「ひゃっ、や、やめてください///」

「あっははは!ほんと、女の子みた〜い!」

食事をとっていたシェリルは、結兎の着用している衣服から見て取れる小さい果物が付いたような胸の膨らみをフォークで突いていく。

細く真っ白な腕に編みタイツで覆われたムチムチの太もも。それでいて左足には痛々しい銃弾の跡が残っており、高いヒールを履いている身体の重心は少し斜めになっている。
背丈は変わらずで胴体には光沢感のあるスクール水着かのようなレオタードを着用している。頭頂部にはうさみみカチューシャがつけられており、肩周りを露出させた大胆な格好であるバニーガール衣装を着用していたのだ。
短髪であった髪は少し伸びて肩に触れるほどのセミロングヘアーとなっており、黒髪は対照的に思える明るい金髪へと染め上げられている。

その姿は一目見て、女性と見間違えるような風貌であるが発する声色はやや低いし、なにより下腹部のレオタードの鼠蹊部はもっこりと膨れ上がっていた。元の身体と比較して見る影も無くなった男らしい結兎の体躯…それは、麻薬組織のボスの一人娘であるシェリルが、あの時、結兎を自宅へと連れて帰ったのち傷の治療と並行して強○的な女体化を進めたからである。

「ほら、結兎?こっちにいっらしゃい。貴方も食事をとっていないでしょう?私がご飯を食べさせてあげるわ」

「っ、、、あ、ありがとっ…ございます」

テーブルにて食事をとる彼女は手招きをするため、その場に跪く結兎。彼女は使い捨てのビニールの手袋をつけたのち差し出してきたのは、白い液体がついたスティック状の人参であり、彼はノーハンドでそれに口をつけていった

「ふぅっ、、、んっ…お、ぉうぇ…」

「美味しい?貴方、この味が大好きで堪らないのね〜うちの男達も結兎の為にいっぱい出してくれたんだから」

「んっ、、ちゅっ…ちゅるる…んっ、、、」

下でその白い体液のついたスティックをしゃぶり歯で人参を噛み切る。正直、味なんぞ先ほどしゃぶった白い液体のおかげで味わうことは不可能だった。
そして、彼女はスティックについた液体をペット用の容器に半分ほど移して飲むように指示する。
臭いニオイを放つ液体…それは、結兎自身もたまに放出させる男のザーメンであった。

「ほら、朝からちゃんとご飯取らないと倒れるわよ?ふふっ、いつも見たく無様に飲みなさい」

ザーメン塗れの容器の中に、まるで吐瀉物かのような粗悪な粥が盛られる。これが、メスウサギ奴○とかした結兎の食事であり、それを一日3食食べさせられるのだ。
そしてそれ以外は休む暇もなく調教…もといい、本部に近いアジトに連行させられて幹部達の性処理に使われるのである。

移動は自分を海外で輸送した時に使った大きめのキャリーケースに詰められて移動させられる。口にはギャグボールが噛ませられ、尻穴にはバイブなどをその時の気分で挿入させられる。判断は全て自身を引き取ったスフィンという、麻薬密売グループのリーダーの娘でありながら高い頭脳にてNo.2にまで上り詰めた少女の匙加減だ。

彼女が生理など機嫌が悪ければ当然、乱暴に扱われる。朝から始まった幹部たちの性欲処理だけに収まらず清潔感が微塵もない下っ端の男たちの性欲の捌け口もさせられるのだ。

一度脱走を試みた時がある。彼女が住まう屋敷は文字通り、スフィンと数名の侍女しかいないため脱走は容易であると思った。しかし、不自由な足に加えて彼女は結兎の身体にGPSも埋め込んでいたのだ。

『飼い主の目を盗んで脱走だなんて。全く、もうちょっと本格的な調教とわからせが必要そうね』

そういって強○的な女体化を進める治療が進んだのと同時にチョーカーのような首輪もつけられた。それは、反抗的な感情や思考に反応してスタンガンのような電気信号を発生させるものであり、飼い主に抵抗する兎は程なくして重々なペットとなったのである。

連れてこられた場所はどこにでもあるようなオフィスビルであり、そこが彼らの本拠地。そこで日本のラブホテルのような作りとなったベットルームにて、帰るまで監禁となる。
ノックして次々とやってくる浅黒く体格の良い外国人、乱暴な性処理は苛烈極まりないものであり、無理やり行われるフェラや尻穴への挿入行為にて出血をしたのか数えきれない。

「くそっ…な、なんでこんな羽目に…はぁっ、あ”っ♡ちょっ、、、もうやめっ」

ずらし挿入にて繰り返す尻穴での性行為。放出された男たちの欲望は掻き出すこともできずそのままレオタードに染み込んで、お漏らしをしたかのように股下でボタボタと垂れていたのであった。

『こいつ、男のくせにいい反応をするよなっ、おい!もっと奥までしゃぶれよ』

『そういえば向こうでは結構いい仕事をしていたらしいぜ、なんでも俺たちを捕まえようとしていたらしいんだと』

外国人同士の会話であるが男たちの会話は結兎の脳内ですぐ翻訳される。自身を嘲笑しているものだとはっきり理解することができた。男らは構わず口や尻を侵していき、小ぶりな胸もパイズリなどで使用していき1日を終えるのであった。

「ヤッホ〜今日もまたすごく可愛がってもらったんだね〜」

放心状態でベットの上で倒れ込む結兎。体全体をソースがかけられたかのようにドロドロにザーメンが付着しており、お尻からは大量失禁でもしたかのような精子が深い色を作った尻から垂れ流れている。

「みんなに人気なような何よりだよ、私がこんな可愛い姿にさせてあげたおかげだね。あ、そうそう!他の幹部の人からさ、もうちょっと爆乳にして欲しいって言われたんだよね〜あと、オチンチンもいらないってさ」

「結兎ちゃんには、もっと大きいおっぱいを作ってあげるね?それと、この邪魔な粗チンはもう、バイバイしちゃおっか!」

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かきこき太郎 2024/05/22 18:51

取材そしてウェディングドレスと女装

「えっ、ウェディングドレスの取材ですか?」

会議が終わり女性編集長に少し残って、と言われて対面して話を聞いていく。そこで告げられたのは件のブライダル系の記事の執筆に関する話であった。雑誌の特集記事としてブライダル系を書く、まさか男である自分が選ばれるとは、及川義景は少しばかり呆然としてしまった。

「そそ、テレビとかを見てさ、芸能人の結婚ニュースが多いじゃん?それで何だかブライダル系の仕事をしている友人から客が少し増えたよ〜って話があったのさ」

「は、はぁ……」

「それで特集でも組もうと思ったわけ。女性向けの記事になるから奈良さんも連れて行きなさい」

「あくまで及川くんがメインで考えるわけだけど、女性目線も必要になると思うからさ。そういった引き出しのトーク回し上手いし」

奈良さん。奈良千里さんは、清楚で物腰も柔らかい長い黒髪の女性。専門学校を卒業してすぐに先輩方について仕事ぶりを学んだわけだが、一番最初に教えてもらったのは彼女であった。

「とりあえず、奈良さんには教えてあるからさ。来週の取材、よろしくね〜」


「というわけでよろしくお願いします。まさか自分が購読している雑誌から取材をされるなんて思いもしませんでした」

ドレスに囲まれたフィッティングルームの近くに設けられた丸型の椅子と机。対面して座り2対1という状態で、ショートカットの黒いスーツを着た女性の話を聞いていった。聞き役は勿論、同行してくれた奈良千里である。

「今の流行りですけど、あちらのドレスとかが人気ですね〜」

「可愛い…肩周りの膨らみが凄く可愛いですね、何だかお姫様みたい」

女性として憧れなのだろうかと思ってしまうほどに横目で見る奈良千里はうっとりと飾られたドレスを眺めていた。及川も話の要点を纏めている手を止めて改めて室内に飾られているドレスをまじまじと眺めていく。純白のドレスが多く飾られる中で、奥にあったのはお色直しなどで着用するカラードレスであった。

(うわ、すごい綺麗だな…っていうか、こんなにドレスってあるんだ……)

下調べはしたものの、やはり実際の商品をマジマジと眺めてみるのとでは情報量として段違いで違う。ドレスの重厚感、それぞれに使われる生地の違い…
プリンセスタイプにマーメイドタイプなどといった着用する人それぞれに美しさを引き出すドレスの形状の違いなど、身近ではない女性用品の知識を吸収して行って要点を纏めていると女性2人の会話はいつの間にか、大きく盛り上がっていた。

「そういえば、そちらから事前に伺っているんですけれど今回、ドレスを実際に着用するって……」

「あぁ、それでしたらこっちの若い男性が試着させていただきます」

えっ?いま、なんていった?

全く聞いていない情報に戸惑いを見せる。自分がドレスを着る……?奈良はニコニコとした表情のまま話を続けていき、しまいには向こうのスタッフさえも盛り上がって意気投合しているほどであった。

「ちょっ!?待ってくださいよ!僕、男ですよ?しかもドレスなんて女性用しか……」

「書くのは貴方なんでしょ?実際に体験してどんな感じとか身をもって知った方がいいじゃない」

「そうですよ〜!昨今はそういう男性のドレスで式を挙げる方も居るぐらいですし。及川さん、結構小柄男性ですから女性用のドレスも難なく着れると思いますよ!」

そういうものなのか…
しかし、奈良千里が言った言葉に思わず押し黙ってしまったのが明暗を分けただろう。「実際に体験してどんな感じとか身をもって知った方がいい」その言葉は彼自身も同意であり、しかも今回、編集長に任されたのは自分であった。

「は、はい……分かりました。き、着ます。着させてもらいますっ……」

こんなことになろうとは思いもしない現実。及川はそのまま席を立ち、フィッティングルームへと場所を移動していったのだった。

「さてと、あまり時間もないしお着替えをして行きましょっか!」

「あの、本当に下着も脱がないといけませんか…?は、恥ずかしいんですけどっ///」

「ごめんね〜そうでもしないとドレスの後ろ姿とか綺麗に見えないからさ。大丈夫、試着用の下着とかも販売しているし!」

そういって先のスタッフは純白のショーツをこちらに手渡してきた。ツルツルとしたナイロン素材の下着、水着のサポーターよりかはペニスを隠せるだろうか。早めに脱ぐように言われてカーテンが閉められる。用意されているのはどれも純白であり、ドレスなどを綺麗に着るための補正下着のような役割をしたものなのだろう。

(うぅ、、、もう、どうにでもなれっ///)

恥ずかしながらも男性用下着を下ろしていき白いフルバックショーツへと履き替えていく。ナイロン素材でひんやりとしたお尻の感触、前面部分には淡い花柄模様があしらわれている。

(不格好だなっ///早くショーツとえーと、このコルセット?みたいなのを着ないとっ……)

用意された椅子に座りガーター付きのソックスを履いていき、ビスチェを上げていく。真っ白な身体に同じぐらいの白い補正下着を着用した男の姿はあまりにも恥ずかしい姿に見えて仕方ない。少しサイズの小さいショーツのおかげで勃起したペニスは外へ飛び出る心配がないのだが、それでも膨らみを宿した股間のおかげで些か不自然な全体像を呈している。

「あ、あの〜着れました///」

「おぉ〜似合ってますね〜中性的な容姿だからとっても!」

褒めたつもりだろうが、一歳嬉しくない。そればかりか恥ずかしい限りだ。スタッフの女性達はそんな気持ちも知る由もなくテキパキと細かい作業を初めていく。
先ほどよりも人数が1人増えた2人体制、途中から入ってきた女性スタッフはブライダルインナーを着用した及川を見てニッコリと笑みを浮かべる。それがどれだけ恥ずかしい思いを募らせるものなのか、彼氏しか分かりえないものだろう。

用意された純白の高いハイヒールを履いていく。小柄な背丈から見える景色が一転するのと同時に履きなれない感覚に思わずよろけてしまってスタッフに支えられて椅子に座った。

「さてと、補正下着も着れたことだし早速ドレスを着て…そう思ったと思うけど、これからお化粧をして行きますので。さぁさぁ、座ってくださ〜い」

高級感のあるドレッサーを前にして用意された椅子に腰掛ける。もう、何も反抗する気も起きない及川は用意されたパレットに目を向ける。

「……たくさん、あるんですね。ブライダル系のコスメ」

「えぇ、いろんなお客様もいるし。それぞれ似合う色合いもあるから。けれど、そんなにケバいメイクはしませんよ?あくまでナチュラルにそして綺麗にね……♡」

「あっ……♡や、やめっ……♡」

化粧水を垂らしたコットンで顔を拭いた後、クッションのような物が顔全体に塗られていく。ファンデーションだ、女性スタッフの手つきはだいぶ優しく思わず変な声が出てしまうほどに

「お化粧とかはこっちで決めてたりますけど、髪型とかはどうします?」

「か、髪ですか……?」

「短髪だと女性っぽくないんですし、ロングとかショートとかの髪型で」

急に言われても何がいいのかさっぱり分からない。なんとかして頭の中で思い浮かべようと思考を巡らせたところ、ぼんやりと1人の女性の輪郭が浮かび上がってきた。

(奈良さんの髪型……)

肩口まで伸びる黒髪……いつも自分が見ていた髪型が及川の脳裏に過ぎり、そのことを口にする。

「黒髪でその、肩ぐらいまで伸びたものでお願いします。えーっと、今日同伴してくれた女性のような髪型で……」

「へぇ〜そうっか……好きな人と同じ髪型ですね、畏まりました!」

自分で言ってて恥ずかしい、一歩間違えれば変態とも思われかねない発言に女性スタッフはニコニコとした表情を見せるだけだった。
そうしてメイクはどんどんと進んでいく。電動のシェーバーで目の周りの産毛や眉を短くカットしていき、アイメイクやアイブロウなどが始まっていく。

「付けまつ毛もつけて行きましょ、涙袋はほどほどにね」

サラサラと目頭から目尻にかけて線が引かれる感覚が伝わってくる。先ほどから瞼を閉じているが、ラインが引き終わるのと同時に瞬きをしてみれば、普段とは違ったずっしりとした重たい感触を感じていた。

(ま、瞼が重たい…つけまとか涙袋とかをつけるとこんな感じなんだっ///)

日頃から女性用のコスメなども記事として取り扱う、だが今回のように自身の顔を使ってのフルメイクなどは初めてのことであった。
ほっぺた中央付近に鮮やかなピンク色が塗られる、白系のドレスを着るためか少し控えめのチーク。そして艶のある真っ赤なリップグロスを丁寧に塗られていった。

「それじゃあ、要望だったウィッグをつけて行きますね〜ちょっと、キツくなるかも知れませんけど」

(あ、あれ…これなんだか…)

すでにヘアメイクが出来上がったウィッグを被っていく。櫛で解かされながら今の姿を見た時、及川は言葉を失ってしまった。

「奈良さんみたい……」

きっと彼女がこのような晴れ姿を着る時になれば、このような見た目になるのだろうと鏡越しで妄想してしまうほどに雰囲気が似ていたのだ。後ろで満足げな表情を作るスタッフ、耳にはイヤカフが付けられていき、いよいよドレスを着る事に…

ガタガタとトルソーに飾られたウェディングドレス。それはどうやらパニエ付きの代物のようで裾のスカート部分は大きく広がりを見せていた。

「ゆっくりでいいですよ、裾を踏まないように…はい、それじゃあ、ジッパーをあげていきますね〜」

両腕にパフスリーブの袖を通していき、腕には網目状のロンググローブを着用していった。後ろのジッパーが閉まる感覚がどんどん腰がしぼめられていく感覚と一緒に身体に伝わる。少し息苦しさを感じるが、それでもウエストラインが綺麗になったその身体は男である身としても感銘で声を失ってしまうほどであった。

「さてと、それじゃあ行きましょっか。新郎役の人も向こうで待っているので」

新郎?それは一体誰だろう、考えてもいなかったが腕を取られてゆっくりと前を歩く足は止められそうにない。顔の見えるショートベールを揺らしながら幕があげられたフィッティングルームを出ていき、撮影スペースとなっている場所へと向かうのだが、そこにいた新郎役の人はまさかの自分の先輩が立っていたのだ

「あら、すごく可愛い見た目になったのね。及川くん?」

そういう奈良千里こそ、カッコいい装いへと変わっていた。白のスーツに髪の毛を一本にまとめている。胸元の目根の膨らみは如何せん隠せなかったようだけど、その姿は男装の麗人のような雰囲気を醸し出していた。

「お二人ともよくお似合いですよ〜さてと、お写真でも撮りましょうか!」

「写真だってさ、とりあえず2人のやつをとってあとで個人の写真を撮ろう。何だか本物のカップル、新郎新婦みたいでいいね」

ニッコリと笑みを浮かべる千里の表情に頬を染めてしまう及川、その表情というのは乙女のようであり薄っすらと赤面させた表情は個人撮影でも熱が冷めることはなかった。
そして販売された雑誌の表紙はなんと女装した彼が使われる事になる、購読した者はきっと女装男性が写っているとは知らないだろうが、書店で見かけるたびに及川は恥ずかしそうに顔を赤らめるのであった

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かきこき太郎 2024/05/19 15:22

遅刻した少年は女子高生のスカートに触れて…

平日の11時、ほとんどの人間が学校なり会社なりで退屈な授業や仕事など休むことなく時間を潰している最中、男子高校生の奥川相馬は少し遅れた登校をしていた。
駐輪場で自転車を止める。春先の学校ではあるが、みな休みことなく登校をしており屋根付きの駐輪場は相手おらず桜の木の下で自転車を止めた。

「……んっ、あーまじで学校休みたいっ」

一つ小さくため息をつく。彼がなぜ遅れて登校をしたのか、それは遅刻でもなんでも無い自身の病気が関連するものが起因して午前中に受診に出かけていたのであった。
花粉症、暖かい時期になればくしゃみにスッキリとしない鼻水などで苦しむ日々を送っており、彼は毎日薬を飲んでいたのだ。そして今日もまた状態を報告して薬のを処方…本来であれば1時間目の授業か2時間目の始まりには出席できただろう。しかし、予想外なことに院内は大勢の人で溢れかえっていたために彼の問診は予想外に遅れたのだ。急足で学校へと向かう、だが時間というものは早く感じられてスマホの時計を見れば時刻は11時を示しており、すでに4時間目の授業の時間であったのだ。

「今日は体育だっけ?あー、バスケしたかったな〜」

昇降口で上履きへと履き替えれば、小さくもボールが体育館で跳ね返る音が聞こえる。5体5のバスケのゲーム、運動が好きな奥川にとって体育館で行われるバスケなどは唯一、花粉症の被害を避けてできるスポーツなのだ。

「とりあえずカバンでも置いてみんなが戻ってくるのを待っていますか……あ、ここって女子が着替えている場所じゃん」

ガラガラっと教室のドアを開けたのは良いが、室内から感じられる甘い匂いと教室の机に置かれた女子の制服の数々に足が止まった。机の上に置かれた女子制服の数々。綺麗に畳まれたものもあれば乱雑に置かれた制服もある、そして自身の机の上にもスカートとワイシャツは置かれていた。興味本位からだろう、足は教室の中へと入っていき聞き手で制服を摘んでいき、鼻を近づけて見ればすぐにその匂いが伝わっていった

「誰のものなんだろう……あ、この匂いって」

襟元から漂う香水の匂いですぐに持ち主が頭に浮かんだ。明るい栗毛の女子高生でクラスメイトの一ノ瀬真琴(まこ)の私物、発育の良い身体付きに加えて綺麗に整った小さな小顔。それ加えてスカートの丈や制服の第一ボタンを外したセクシーな見た目で肌を露出させる校内でも有名なギャルが自分の席を利用するなんて……

「女子は体育だし……別にいいよなっ……?」

やってはいけない背徳的な行為であることは重々理解している。しかし、彼の手の動きは止まらなかった。制服のズボンを履いたまま一ノ瀬が使用しているスカートを上げていく。細身のウエストであるためにサイズは合わずフォックを閉めることができないが、スカートの丈の長さは着用してまじまじと理解することが出来た。

「こんな、短いのをいつも履いているんだ…これって下着とか見えないのかな?」

「見せパンとかスパッツを履くからあまり気にしないかな〜?っていうか、フォックとか壊れるしスカート脱いでくれる?」

予期しない人物の声に思わず手が止まり、すぐに動悸が早くなっていく。

「ねぇ、こっち向いてよ。奥川くん」

ゆっくりと後ろを向いて声をかけてきた女子生徒が誰かを確認していく。スマホをこちらに向けて嗜虐的な笑みを浮かべる女子生徒。だが、目だけは笑っておらず冷え切った眼差しを向けていたのは学校指定のジャージを着た、このスカートの持ち主である一ノ瀬真琴の姿があった。

「学校を朝からサボってこんなことするんだ〜奥川くんって普段はあまり目立たないけど、結構ヤンチャな感じなんだね〜」

「い、いやっ!これはそのっ…」

おかしい、彼女らはいま校庭でサッカーの授業中であったはずなのに

「サッカーなんてサボるに決まってるじゃん、適当に生理って伝えて抜け出してきたらまさかクラスの男子生徒が自分のスカートを履いているなんてね〜」

「ちなみに写真は撮ったから。これ、クラスの友達にいっちゃおうかな〜外で体育している子達も、みんなドン引き…これでみんなから変態呼ばわりだね」

にっこりと笑う姿が可愛らしい……なんて危機的な状況にいるのに、なぜこうも自分は悠長な思考を巡らせることができるのだろうか。今はただ、許してもらうしかない…まさか、朝から上手くいかない1日に苛立ちと悔しさを浮かび上がってくるが、今はそれよりも、この状況をなんとかしないといけないだろう

「ごめん、その一ノ瀬さんの言うことをなんでも聞くから……その、クラスメイトにはバラさないでほしい」

「ふ〜ん、その”なんでも”ってことは、どんなお願いでも聞いてくれるの?」

「な、なるべく現実的な範囲でっ!犯罪とかはそのっ……うん、それ以外なら何でもする!」

「ふ〜ん、それじゃあ今日の放課後、ちょっと残ってもらえる?夕方の4時、待ち合わせは女子更衣室の前でね。遅れたらこの画像をクラスのグループラインに一斉送信するから」

許してもらえるなら何をしたっていい、その時までそう思っていた。
そして日が暮れて夕方の4時となる。彼女に言われた通り少し時間を潰して女子更衣室前で待っていれば、遅れてやってきた一ノ瀬真琴が大きめの紙袋と近くのディスカウントストアの袋を手に持ち待ち合わせ場所に現れたのである。

手を連れてそのまま女子更衣室へと入っていき、必然的に奥川までも室内へ連れてられていく。
作りは全く一緒であるため驚くことは少ないのだが、男禁制とも言える女子更衣室に入ることは恥ずかしさと緊張が織り混ざってドキドキと鼓動が収まらない。

「大丈夫だよ、今日は外部活しか練習ないらしいし。更衣室は使われないからさ。さてと、女子のスカートを履いた奥川くんにいいプレゼントを持ってきたんだよ〜」

そういって彼女が紙袋の中から取り出した代物。
それは今、彼女が着ている女子の学生服一式であった。紺色のチェック柄プリーツスカートに同系色のリボン、ワイシャツもご丁寧に女性用でボタンの位置が違っている。

「文化祭のコスプレ用に運動部の友達が持っていたんだ〜サイズ的にも多分ちょうどいいし」

「もう、言いたいことわかるよね?ほら早く着替えてよ、そんなにスカートが履きたかったんでしょ〜?」

ニヤニヤとした笑みを向けられる。彼女は決して「着ろ」とは言わなかった。屈辱的だ、自分が下した命令ではなくて…そう……

「あ、ありがとうございますっ……///お、女の子の制服がっ……き、着たかったからっ……///」

わざと自分の口で言わせ着用している男性用の制服を脱いでいく。
彼女からの辱め、それはきっと女装であり尚且つ、『奥川相馬が女子の格好をしたいから手伝ってあげる』という女性上位の関係の中で辱めを与えたかったのだ。

「足とか体毛薄いね〜これならその真っ白な生足を露出しても全然大丈夫かもっ。でも、女の子になりたいんだったらちゃんと剃らないと〜」

渡された黄色のビニール袋を受け取り中に入っているソックスと上下セットの紫色のランジェリーを着用していく。
隠すことは許されない、真っ白な肌を同い年の女の子の前で露出させていく。小さくも先端が勃起した乳首や興奮のあまりか勃起させたペニスも一ノ瀬にまじまじと眺められていく。

「ふふっ、ちゃんとここは立派なの持っているんだね〜でも、経験とかないんでしょ?宝の持ち腐れじゃん、女の子になるだったら将来的に手術でチョッキンしなよね〜」

あくまでもバカにした姿勢は崩さない。Bカップほどのブラジャーにショーツにはあまり手入れをしていない陰毛のはえたペニスが収納されているが、大きくなった状態では全てを収め切ることはできないようで、亀頭部分や玉袋が顔を出していた。

「さてと早く制服を着てくれるかな?下着姿を見られたいんだったら別だけど」

言われなくてもわかっている、そんなつもりでシャツに袖を通していきスカートを履いていく。
元の所有者は少しばかり恰幅が良かったのだろうか、ウエスト部分に多少のゆとりを感じさせるチェックスカート。どうやらスカートの丈は既にいじられているようでウエスト部分を折り曲げて丈を短くする手法をとらなくても良い状態であった。立った状態で丈を確認してみれば、目の前の一ノ瀬よりか短い。太ももの中間地点、少し屈んだり歩いたりすれば中に履いているショーツが捲り上がってパンチラしてしまう。

「恥ずかしい?ほら、スカートからセクシーな下着が見えてるよ〜」

指先でつまんでひらひらと煽りを入れる。何とも卑猥な様相を呈しているものだと心の中で感じながら、写真を撮られたり女みたく甲高い声で嫌がれ、などのディレクションが入った

「あっははは!おもしろ〜い、でもさやっぱり女子高生なんだったらお化粧が必要だよね〜ほら、そこのパイプ椅子に座りなさい」

スカートを折りたたみながらゆっくりと椅子に腰をかける。自然と膝を閉じて内股気味になってしまうのを指定され恥ずかしさのあまり顔を赤くするが、一ノ瀬はそんな姿に終始、笑みを浮かべていた

そうしてカバンの中からメイクポーチを取り出していく。黒のペンケースのような形をしているが、友達との落書き…いや、彼女達からすればデコレーションともとれるはず。

「男の子にメイクするなんて初めてだわ、ほ〜ら女の子になっちゃうよ〜なんてね♡」

「あっ……やっ、やめっ……」

今更やめてといって手を止める人間でないことは重々理解している。ひんやりとした下地のクリームが顔全体を馴染ませながら広げるように塗られていく。頬、鼻、目周辺、そしておでこなど

「肌が白いし全然荒れてないからコンシーラーとかいらないかも?ふふっ、ほらファンデを塗っていくね」

優しい肌触りのクッションが顔全体触れられていった。先ほど塗られたクリームの上をコーティングするかのように化粧をされていく。

「さてとアイメイクを始めていこっかな?女の子みたいにクリッとした感じに仕上げてあげるね。よく覚えるんだよ〜?」

筆先のくすぐったい感触が目頭付近に触れていき、スーッと目尻の方へ流れていく。
まるでノートのように他人の顔にメイクをしていく彼女。慣れた手つきで全く修正などせずにアイプチをしたり下瞼に涙袋をつけていく。

「次はアイシャドウだね、どんどん女の子っぽくなっていくよ〜色はどうしよっか?私的にはピンクで可愛らしく仕上げた方がとってもいいと思うんだけど」

知らない、知ったこっちゃない……でも、彼女の意思に沿った答えを言わないとっ……

「ぴ、ピンクで……可愛らしくっ……」

「うん、了解!それじゃあ、マスカラはボリュームにして。付けまつ毛もせっかくだし、つけてあげるね〜」

瞼の上をピンク色のアイシャドウが塗られていく。ラメの入ったキラキラとしたコスメであり、ビューラーで高く挙げられた眉毛の上にボリューム感を見せるよう、ぐっと押し付けられた付けまつ毛とマスカラによって見た目はどんどん一ノ瀬真琴のようなギャルへと変身していった

チークも頬に塗られて残すものは唇のみ……

「はい、私の持っているリップグロスから好みのやつを選ばせてあげる。とりあえず、腕を出して?色がわかるように塗ってあげるからさ」

ぐいっと腕を引っ張られ袖捲りをさせられたのち、手の甲へとリップグロスが塗られていく。
どれも透明感のある艶の入ったリップグロスであり、赤とピンク色の5つの色合いのものが描かれている。

「早く選びなよ〜ほら、手前からさ1番って感じで…」

急かされるように声をかけられ、震える指で一番真ん中の色を指した。
発色良い桜色のピンクのリップグロス、一ノ瀬はすぐさまそのグロスで唇の上をなぞっていく。

「あっ…あぁっ、いやぁっ……」

「ほら、唇を馴染ませる感じに…うん、そうそう。可愛いよ〜ソウちゃん♡」

化粧をされただけで女性のような喘ぎ声が漏れ出してしまう。恥ずかしいはずなのに、嫌なはずなのに……

「ほら、近くのお店で買ってきたコスプレウィッグをつけてあげる。私と同じ色合いだよ〜長さもメイクもお揃いだね〜まるで姉妹みたい♡」

ゆらゆらとブラウンウィッグが頸や肩に触れる。彼女が持っている手鏡を見れば完璧な女子生徒がそこにいた。短いスカートに真っ白な身体。うっすらとシャツからは紫色のランジェリーが透けて見えており、今の自分がどれほど恥ずかしい見た目をしているか、熱が浮かび上がってくる。

「記念撮影をしよっか!ほら、ギャルピースをして〜」

両手を顔の横につけてそのままピースをしていく。もちろん強○的に笑顔でだ。2人揃ってポーズをして何枚もスマホのカメラで撮影していく。

「あっははは!おもしろ〜い、そうだ!今からプリクラでも撮りに行かない?」

「えっ……だめだよ〜着替えはせずにこのまま行くの!ほら、可愛い女の子の姿はこれから何度もしてもらうつもりだから早く慣れてね〜」

たった一度の過ちによって起きた羞恥な女装。
それが彼女の気が済むまで続いていき、彼は卒業まで写真をばらされるのではないかという恐怖を抱きながら強○女装をさせられる学校生活を送っていくのであった

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かきこき太郎 2024/05/18 18:58

メンズメイクをしたかった少年は母親から可愛い女装メイクをさせられる。

「あれ、拓真。何してるの?」

朝のパートの仕事から帰ってくると中学3年生の息子、鈴村拓真が洗面台で鏡を見ながら睨めっこをしていた。
何をしているのだろう、夕方の時間帯に髪の毛を弄る理由も特に思い浮かばない。高校生であれば、これからアルバイトなので軽く身なりを整えるという意味で洗面台で睨めっこをしている理由もわかるのだが、彼はまだ中学生であり彼が高校に進学するまで残り1ヶ月ほどの猶予は残っている。

「あっ、おかえり〜……んー、なんか上手くいかないな」

「えっ、一体何を……あら、それってお化粧?」

洗面台の横に置かれたボックス状の黒のポーチ。それはどう見ても女性用の物であり、男が使用するには些か可愛らしく感じる。それにそのポーチは2つ上の高校生である娘、拓真の姉に当たる少女の私物であった。
そして拓真が今、何をしているのかというと洗面台の前でお化粧をしていたのである

「んー、これぐらいかな?いや、でも……なんか不恰好だし」

「拓真……その、もしかしてそういう趣味というか癖があるの?あれだったら、ご飯前か寝る前に話を聞くけど……」

「………ち、違うわっ!あーもう、母さんは知らないの?美容男子ってやつだよ!」

少し慌てながら母親の言葉を否定し、ポーチの中からメイク落としのウェットティッシュを取り出して顔についた化粧を綺麗に落としていく。それが終われば、何か説明をしたいような表情を浮かべたので、拓真の後についていきリビングへと向かったのだ。

椅子に座り息子の拓真からの話が始まる。
何やらcmや動画サイトとかで肌が綺麗な男子、そして美容系を意識している男性はモテると目にした彼は自分なりに美容系男子高校生になるべく、姉から事情を説明してメイク道具を借りて化粧をしていたのだ。

「なるほどね〜でも、今の姿でもだいぶ可愛いと思うけど」

「いや、細かいところとかさ。その、鼻先のデキモノとか頬のシミみたいなやつとか……」

思春期となれば肌が荒れる事は多々ある。彼なりに不安な事も多いようで、それが原因でモテないのは少し可哀想だと母親として心が動いた。

「わかったわ、明日のお昼頃、お母さんがお化粧をしてあげる。やっぱり女性がやった方がキレイになるしアドバイスも出来ると思うから」

「そ、そう?まぁ、今春休みだし別にいいけれど……」

そうしてガサゴソとポーチの中にコスメをしまい部屋へ戻っていく。
自分が学生の頃では考えられなかった事、なんて思いながら拓真の母親は夕食の準備へと取り掛かった。しかし、拓真自身も予知していなかっただろう……まさか自分がお古のセーラー服を着させられてお化粧をされる事になろうとは……

「さてと、昨日の続きって感じかしら?お化粧を始めようね〜」

「ちょっ!?な、なんで姉さんのお古のセーラー服を着せられてんだよっ!?俺、そういう意味で化粧する気じゃ……」

拓真と母親しかいないリビングにて彼の嘆きに似た声が響く。
それもそのはず、彼の格好というのは紺色を基調としたシンプルなセーラー服を着させられていたのだ。袖口に小さなほつれも見える、クリーリングしてシワ一つない状態であるが、甘い香りがするのはソレを所有している人物というのが、女子高生である姉であり彼女の洋服と一緒に保管されているからだろう。

「お姉ちゃん、身体大きかったしちょっと小柄な拓真にはぴったりのサイズよね〜ほんと」

「ふふっ、ごめんね〜拓真。お化粧するのは良いんだけど、あまり男性にやったことなんて、お母さん、経験ないしさ。だからイメージを掴むために女の子の洋服を着てもらったのよ」

「そ、それはわかったけれど…でも、これじゃあ……」

これではただの女装と何ら変わらない。自分が求めていたのは、韓流系の透き通った中性的なファッションメイクなはずなのに。
セーラー服を着て男子にしては少し長めのショートカットの髪型では、見た感じ女子生徒にしか見えない。
これなら化粧なんてやめるべきだろうか、いや……母親なら自分の気持ちを汲んでくれるはず!

「はぁっ……じゃあ、お願いするよ。絶対に女の子みたいなメイクにはしないでね!!」

「うん、大丈夫だよ〜お母さんに任せない♪」

不安しか感じられない中で母親はメイクを開始していく。少し伸びた髪の毛は髪留めで斜めに固定した後、コットンに染み込ませた化粧水で顔表面についた汚れをきれいに拭き取っていった

「肌が綺麗で羨ましいな〜女子みたいにもちもちのお肌だし、お母さんも拓真みたいな肌が欲しいかも」

コットンで汚れを取っていく彼女は独り言のように呟いていく。肌の状態を母親に褒められていき、なぜだが恥ずかしさを感じてしまうが、彼女は気にせずに次の工程へと進めていく。

「下地を塗っていくからね〜クリームとファンデーションかな?あと、コンシーラーも」

ひんやりとした指のヒラについた液体が鼻先と頬、そしておでこなどについた後、広げるように塗られていく。綺麗に範囲を広く塗られていき、動きが止まれば次はクッションのような感触が当たった。ファンデーションだ。

(こんな感覚なんだ……なんだか、化粧が肌に染み込むように押し込んでいく感じで……)

下地クリームの塗られた箇所にクッションが当てられていき、細かい箇所や塗り潰せなかった部分をコンシーラーで消していく。
ここまでは良かった、自分もやりたかった化粧であるためにきめ細やかな化粧というのは初心者ではそう簡単に出来ないものであるのだから。

だが、ここで拓真の母親はそれ以上の工程へと動き始める。

「さてと、、、それじゃあ目の方もいじっていこっか?」

「……えっ!?今日はメンズメイクって話じゃ!?」

「だって拓真の顔があまりにも可愛くて〜お願い!今日1回だけ、お母さんにメイクさせて!」

いやだと拒否をしよう……っと思っていたけど、喉奥にまで言葉で出てきてすぐにソレを引っ込めてしまう。あれだけ女装をしたくない、そう思っていたのに彼は少しその後の姿に興味を持ってしまったのだ。

(俺の女装姿ってどうなるんだろう……)

母親は拓真へのメイク中、しきりに可愛いという言葉を連呼していたのである。言葉というものは特別な力があるとどこかの誰かが言っていた。言霊というものも存在している中で、彼は母親の提案を呑んだのだった。

「……わかった、今日だけだからね?」

「ありがと〜!お姉ちゃんにも負けない可愛い姿にしてあげるからね!」

そこまで求めていないのだが……そう、言いたかったけれどノリノリな母親の水を差すと思って何も言わずにメイクされていく。

「さてと、眉毛もちょっと細くしたいからシェーバーで剃って……付けまつ毛とかつけてみる?」

「もう、好きにして……」

振動するモーター音が近づいていき、眉毛に触れてそのままジョリジョリと毛を剃っていく。
それが終われば、今度はアイメイクを始めるようで、「どんな色合いがいいか」とか「マスカラは何がいいか」なんて言葉を拓真に投げかけていった。

(わかるわけ無いだろ!メイクした姿がどうなるかなんて!)

ロングなりボリュームなり、カールタイプなり色々なタイプのマスカラを掲示されるが、今日初めて知るようなものばかりで希望を言えるわけもない。

「それじゃあ、ロングタイプで塗っていこっか。ビューラーを使ってまつ毛を上げていって……」

器具でまつ毛を引っ張りそのまま上へと向けたあと、そのままマスカラを塗っていく。

「アイラインを引いていくよ?動かないでね、ずれちゃうと目に入っちゃうかもしれないからさ」

優しい筆先のような感触が目頭の辺りからスーッと目尻へと引かれていき、何度か修正を加えて納得のいく線が引けたようだ。
キャップを閉じる音が聞こえた後、次は別のものを開ける音が聞こえる。それはどうやらアイシャドウで目の周りを専用のブラシで拓真を彩っていった。

「ふふっ、春だから可愛いピンク色を塗っているよ〜可愛い可愛い♡」

ノリに乗った母親の口から発せられる言葉は何処か楽しそうな声色をしている。

(可愛いか……ちょっと、嬉しいかも……)

自然と口元が緩んでしまうのに気がつき、きゅっと口角を元に戻していく。だが、その様子は母親に見られていたようで彼女が小さく笑った声が聞こえた。

「さてとチークと唇に色をつけて化粧は終わりかな?はーい、唇をきゅっと前へ突き出してね〜そうそう、キスをする感じに…」

(うぅっ///なんだかこれが一番恥ずかしいかもっ///き、キスをする感じってこうかな?)

目を閉じているために今の自分の姿が分からない。とりあえず、言われた通りに唇を塗りやすいようにしていき、ゆっくりと少年の唇をピンク色のグロスがなぞられていった。

「はい、完成だよ。ほら、洗面所に行こっか」

「う、うん…」

目を閉じたままの拓真の腕を掴み、ゆっくりと鏡のある洗面台へ連れていき、彼女の合図とともに目を開けていった。

「……嘘、これが……えっ?」

薄めであるが春らしいピンク色のメイクが施された可愛らしい顔のセーラー服の美少女が1人。

「何だかお姉ちゃんにそっくりの見た目ね、とっても可愛いわ。姉妹みたい」

「ねぇ、拓真?これから夕飯の買い物に行こうと思っているんだけどそのままの格好で行かない?」

そんなの恥ずかしいに決まっている…それなのに拓真は首を縦に振って同意を示した。靴箱から姉がしようしている替えのローファーを履いて玄関を開けていく。

本来の目的とは違ったお化粧。メンズメイクとは程遠い可愛い今時の女子メイクであるが、彼がそのあと化粧にはまり女装にもハマっていくキッカケとなっていくのであった。

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