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おかず味噌 2020/08/30 20:42

クソクエ 女僧侶編「着衣脱糞 ~救済へと至る道~」

(前話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/358447
(女戦士編はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/311247


「今日はここまでにしましょう!!」

「勇者」の声で「歩み」を止める。「日暮れ」にはまだ少し早いが、すでに空は「茜色」に染まり始めている。
 今日の「冒険」は「ここまで」のようだ。「頃合い」だろう。「野宿」をするのにだって、それなりの「準備」がいる。完全に「昏く」なってしまってからでは遅いのだ――。

「野営」においてもやはり、それぞれの「役割」というものは自ずと決まっている。
 ヒルダは辺りの「森」から「薪」を調達し、アルテナは「糧」となるべく「料理」に取り掛かる。「指示」を出されるわけでもなく、「話し合う」までもなく、まるでよく「訓練」された「兵士」のように、各自黙々と与えられた「仕事」をこなす。
 彼は――、周囲の「見回り」をしている。傍から見れば、あるいは単に「サボっている」だけのように思われるかもしれないが。実にそれは重要な「任務」である。
 ここは「安全」な町の中ではなく、いつ「敵」に襲われてもおかしくはない「フィールド」のど真ん中。いくら「警戒」しようとも、し過ぎるということは決してない。まさに「危険」と隣り合わせの「現場」なのだ。

 アルテナは「食材」の下拵えをしている。今宵の「献立」は「肉と野菜のスープ」。簡素な「メニュー」であるが「栄養」の面からすれば申し分ない。「味」については――、まさしく彼女の「腕の見せ所」である。
 昼間にヒルダが運よく狩った「野兎」と、道中アルテナが根気よく採集した「野草」が、その「材料」となる。「杖」を「短刀」に持ち替えて、早速料理に取り掛かった彼女であったが、そこですぐに「障壁」に行き当たることになる――。
「肉」と「野菜」は十分に揃っていたが、それだけでは「料理」にならない。そして、「肉」はその「血」を洗い落とすのに、「野菜」についても「土」を洗い流すのに、さらには「食後」に「皿」を洗うにしたって、どうしたって「それ」は必要となってくる。まさに「生命」の源であり、「生活」においても「必要不可欠」というべきそれは――、

「水」だった。

 まずはそれを「調達」してからでなければ。とても料理に取り掛かれそうにない。
――近くに「川」でもあれば良いのですが…。
 アルテナは考える。一旦「短刀」を置き「食材」をそのままにして、「水」を探すべくその場から離れようとする。
――何か「汲むもの」を…。
 アルテナは近くを見回す。「鍋」があればそれで十分だったが、やはり「必需品」であるはずの「調理器具」はなぜか見当たらない。
――あら?さっきまであったはずでしたのに…。
 アルテナが怪訝に思っていると――、

――ドカッ!!

 目の前に「水の入った鍋」が置かれた。彼女の「祈り」が天に届いたのだろうか。突然現れたそれにやや困惑気味になりながら、置かれた鍋のその「向こう」をゆっくりと見上げる――。
 そこには。「か細い腕」と「華奢な体」、「あどけない表情」の愛しい人がいた。
「勇者様…?」
 アルテナは鼓動が早くなるのを感じながらも、なるべく冷静を装って彼の「名」を呼んだ。
「探索していたら『川』を見つけたんです!料理するのに必要ですよね?」
 彼は言った。まるで「子供」が気を利かせて「親」の手伝いをして、「褒められる」のを「期待」しているみたいに。その表情は「得意げ」だった。
「あ、ありがとうございます!とても助かりますわ」
 アルテナは謝意を述べた。これで無事料理に取り掛かることができる、とそれ以上に。自分の「思っていたこと」が彼に、口に出さずとも「伝わった」ことが嬉しかった。
 まるで「以心伝心」。「魔法」なんて使わずとも、二人の「距離」を繋ぐそれは「テレパシー」のようだった。(離れてたって「以心電信」)
 アルテナはふと。またしても、「将来」についての大いなる「展望」を「夢想」していた――。


 彼女は「家」で夕食の支度をいながら「夫」の帰りを待っている。やがてドアをノックする音が聴こえると、すかさず手を止めて。まさしく「犬」のように「しっぽ」を振って、小走りで玄関へと向かう。
「おかえりなさいませ、あなた」
「労う」ように言い、単なる「二人称」である、その「呼び名」に意味を込める。
「ただいま!」
 彼は応える。変わることない「無邪気」な表情で、そこにいくらかの「逞しさ」を携えて。自らの「帰るべき場所」に還ったのだと、「安堵」して見せる。
「相棒」である「剣」を、「パートナー」である自分が預かる。今日一日彼の命を守ってくれた「相棒」に感謝しつつも、けれど今や彼の「命に次に大切なモノ」は「自分」なのだと、その「感慨」と「優越」に浸る。そしてやや冗談まじりに訊ねる。
「すぐに『ご飯』にしますか?『お風呂』にしますか?それとも――」

――ワ・タ・シ?

 言うだけで赤面しそうになる、お決まりの「台詞」である。あまりに「ありがち」で、けれど現実には言わないであろうと「夢の言葉」に、けれどアルテナは「充足」と「幸福」を感じるのだった――。


「アルテナさん?どうしたんですか?」
 彼の言葉で我に返る。「妄想」はそこで打ち止めであった。にも関わらず、アルテナの眼前には、夢と同じ「現実」があった。
「え、えぇ…。大丈夫です。少しばかり疲れているだけで…」
 アルテナは未だ「夢と現」の間を彷徨いながらも、「動揺」を抑えてなんとか答える。旅の「消耗」はそれなりにあったが、彼女の「動悸」はそれが「動機」ではなかった。
「そうですか…。今日はなるべく早く休みましょう!」
 彼はあくまでアルテナを気遣い、そう言った。どこまでも「優しい」彼。
「あ、それと――」
 彼はそこで、アルテナにある「提案」をする。
「流れがそんなに「速く」なくて、「入れそうな」場所があったんです!」
 それがさも「大発見」であるかのように、彼は言う。彼の言わんとしていることがアルテナには分かった。
「『水浴び』でもしてきたらどうですか?」
 彼は言った。それはアルテナにとって「願ってもみない」ものでありながら、けれど彼女は「迷い」を感じた――。

 確かに今日一日の「冒険」といくつかの「戦闘」を経て、アルテナは相当程度の「汗」をかいていた。体中は「ベタついて」いるし、ローブの下はひどく「蒸れている」。
「身だしなみ」にはそれなりの気を配っているつもりだし、自分ではあまり感じていないけれどやはり、「臭い」だって少なからず発生しているだろう。
 特に「下穿き」については――。「汗」とは違うもので「濡れ」、「発酵」し掛けたより強い「刺激臭」を放っているに違いなかった。
 彼の「提案」を聞くまではさほど気にならなかったが。一度その「可能性」を示唆されたとなると――、今すぐにも汗にまみれた体を洗い流し、汚れた「下穿き」を履き替えたいという衝動を抑えられなかった。

 とはいえ。自分「だけ」が良いのだろうか?アルテナは思う。
――「集団生活」において、「個」を優先するべきではない。
「神の教え」を説くまでもなく、それは人として当たり前の「ルール」だ。
 今の自分には「パーティ」の「一員」として与えられた「仕事」がある。それを「放り出して」まで、自らの「娯楽」に走るなど――。
 アルテナは「鍋」を見た。まだ「火」の入っていない静かな「水面」を見つめがら、「葛藤」が「煮詰まる」様子を眺めた。そんな彼女を見て「勇者」は――。

「あとは僕がやっておくので。これでも『ソロ』の時はよく自分で作ってたんですよ」

 彼は「腕まくり」して見せる。「任せておいて!」と、自信満々に言ってのける。アルテナはしばし逡巡したが結局、せっかくの「厚意」に甘えることにした。
「では申し訳ありませんが…、よろしくお願いします」
 アルテナは「提案」に乗り、その場を彼に任せることにした。自らの「責務」を放り出すことに少しの抵抗を感じたが、それでもやはり乙女としての「矜持」を優先することにしたのだった。

 彼におおよその「方角」を聞いて、アルテナは「水浴び」に向かう。森の木々をかき分け少し進んだ先に、目的の場所はあった。
 見るからに清浄そうな「川」が流れていた。川幅が広く、けれど「折れ曲がる」ことでそこで一旦「流れ」が停滞しているため、「勢い」はそれほど強くはない。そして何より、周囲の木々が「目隠し」の役目を果たしてくれているため、容易に「人目」につかなそうであった。
 つくづく彼は、「女心」というものを理解してくれている。彼の深い「思いやり」に感激し、またしても「惚れ直しそう」にながらも、けれどアルテナはやや「不安」にもなった。もし、同じだけの「思いやり」が別の「女性」に向けられたなら――、きっとその「相手」も彼に自分と同じ「想い」を抱いてしまうかもしれない、という危惧だった。 
 だがそんなことを今考えても仕方がない。アルテナは今は「自分だけ」に向けられたものである「厚意」を素直に受け取ることにした。

 アルテナは早速、「木陰」で衣服を脱ぎ始めた。「杖」を置き、「前掛け」を外し、「法衣」を下ろす。くしくも「あの時」と同じ手順は、彼女の「体」に「錯覚」と「混乱」をもたらす。
――少々、「催して」きましたわ…。
「下腹部」と「股間」に感じる、じんわりとした「違和感」。そういえば今日、町を出てからはまだ「一度」もしていない。これまで気づかずにいたけれど、彼女の「膀胱」には確実に「おしっこ」が蓄積され、今やはっきりと「尿意」を自覚していた。
――先に済ませてから…。
 アルテナは「水浴び」をする前の「準備」について考えた。今一度、周囲を見回してみる。辺りは「静寂」に包まれていて「水音」以外せず、どこにも「人影」は見当たらなかった。そうした「状況」が、彼女に甘い「誘惑」をもたらす。
――「ついで」に、しちゃいましょうか…。
 確かな「決意」を新たにして、アルテナは残った「下穿き」を脱ぎ去り、そのまま「川の中」へと入っていく――。

 川の水は冷たく、一瞬心臓が止まりそうであったが、彼女の「火照った体」にはちょうど良かった。「足先」から順番に、「下半身」「上半身」と慣らしていき、馴染んできたところで一気に「頭」まで水に潜る。

――――――。

 周囲の「音」が消え、完全な「静寂」に飲み込まれる。しばし「外界」から閉ざされたことで、アルテナの「心」は「空っぽ」になる。
――バシャ!!
 呼吸の限界を感じて、アルテナは水中から顔を上げる。「周囲の光景は『一変』していた」なんてことはなく、そこには数秒前と同じ「静寂」があった。
「心地良さ」のまま少しばかり泳ぐ彼女の姿は、傍から見るとまるで水の「女神」かはたまた「精霊」のようであったが。けれど、その姿を「目撃」し「目に焼き付ける」者はいない。少なくとも彼女の「知る限り」では――。(一瞬、草影に何か「動くもの」があったが、アルテナがそれに「気づく」ことはなかった)

 しばらく泳いでいると、やはり「冷たさ」のせいもあって、いよいよ「予感」が「確信」めいたものになる。かろうじて足の立つ場所まで移動し、そこでアルテナは「直立」する。
 何をしようとしているのか、彼女だけがそれを知っている。水中にある彼女の「股間」に「指令」が出される。それが「届いた」瞬間、彼女はわずかに「身震い」した。そして――。

――シュイ~!!!

 アルテナの「股間」の周囲に、新たな「水流」が加えられる。わずかに違う「色」の「液体」はやや「温かく」、確かな「匂い」を持っている。けれどそれもすぐに周囲の「水」と同化し、立ち消え流され分からなくなる。

 アルテナは「水中」で「排尿」をしていた――。
 
 あるいは「人としての『禁忌』を犯している」という実感がある。不用意に「自然」を「汚す」というその行為に、アルテナは少しばかりの「罪悪感」を抱くのだった。だがそれもあくまで「建前」であり、決して人に知られてはならないがけれど決して人に知られることはないというその「安堵」と、何より行為自体のその「解放感」と「快感」の前では、いかなる「理性」すらも文字通り「押し流されて」しまうのだった。

――あぁワタクシ、このような静謐な場所で「お小水」を…。

 内心でアルテナは「自戒」する。「しゃがみ込んで」ではなく「立ったまま」でする行為に、「地面」や「便器」に打ち付けられることのない「放尿」に、まるで「お漏らし」のような感覚を抱く。だがアルテナのそれは、決して「下穿き」を濡らすこともなく、その場に留まることもない。「行為」と同時に、「汚れた」部分が「清浄」に洗い流されていく。むしろ「正規」の手順を踏んだ、「排尿行為」と呼べるのかもしれない。

 やがて「水流」が打ち止められる。アルテナは再び「身震い」をして、自らの「体温の一部」が川の中に溶けていったことを自覚した。「出したもの」はすでに遠くへと流れ去り、「出した部分」を拭う必要さえなかったが。それでもやはり「習慣」からか、あるいは「念のため」、今一度よく洗っておくことにした。
 アルテナの「指」が股間に触れる。残存する「臭い」を取り去るべく「割れ目」にあてがわれた指が「何か」に触れ「濡れる」。
「川の水」によるものではない。「おしっこ」とも違う。やや「粘り気」を帯びたその「液体」はまさしく、大いなる「生命の神秘」によるものだった。

 アルテナの「ヴァギナ」は「愛液」を溢れさせていた――。

 冷たい水中にありながらも、けれどその部分は確かな「熱」を持っていた。まるで「海底火山」のように、「温水」ならぬ「女水」を噴出していた。いや「粘度」でいえば、「マグマ」と呼んだ方が的確かもしれない。その「流体」は、それだけは――、「水中」においても「流される」ことはなく、「冷たさ」の中にあっても決して「冷やされる」ことはなかった。むしろアルテナの指がそこを「まさぐる」度、それは続々と溢れ出てきて、「ヌルヌル」とした感触をいつまでも保ち続けていた。
「愛液」が「潤滑油」となって。ますますアルテナの指は「加速」する。最初は付近に触れるだけで甘んじていたが、彼女の「探求心」はやがて「水中洞穴」の深部へと向かうことになる。
 そこは他者にとって「未知」の空間でありながらも、彼女にとっては「既知」の場所。どんな「構造」をしているのか、どこに「快楽」というべき「財宝」が眠っているのかを熟知している。「ダンジョン」と呼ぶにはあまりに「探索」の進んだ「マップ」に、けれど彼女は未だに「冒険者」としての「興味」を失うことはない。
 何度も「行き来」し、「出し入れ」し、「壁」を擦り、時に「強く」時に「優しく」、あくまで「ソロ」での「冒険」を続ける。
 それだけでは物足りずに、もう一歩の手は「洞穴」からやや離れた場所にある「双丘」へと伸びる。その「頂き」に建てられた「尖塔」を、まるで「巨人」が弄ぶが如く「コリコリ」とこねくり回す――。

 やがて「ダンジョン」に、ある「変化」が訪れた。全体が小刻みに「振動」する。アルテナは「予感」を悟った。
 本来ならば――、それが本当の意味での「探索」だとしたら。紛れもなく危険の「兆候」であり、まさしく「危険信号」に他ならない。いかなる深部にいようとも、目指すべきは「出口」であり。何をおいても真っ先に「脱出」を考えるべきである。
 だがアルテナはそうしなかった。彼女の「指」はあくまで「中」に留まったまま、来るべき「衝撃」に備えるべく――むしろここにきてより「激しく」、「探求」を続けるのだった。
「振動」はついに、アルテナの体「全体」に波及する。アルテナは「つま先」に力を込める。そうでもしないと、とても立っていられそうになかった。そうしていても尚、足を滑らせてしまいそうだった。
――ああ、ワタクシ「逝って」しまいます…!!
 まさに「昇天」すべく、アルテナの「心」と「体」は身構えた。思わず目を閉じたアルテナの「瞼の裏」にあったのは――、まさしく「天国」と呼べる光景だった。

――ビクン…!ビクン!!

 アルテナの体が大きく揺さぶられる。突き抜けた「快感」に耐えるべく、アルテナは今一度足に力を入れて、「足の裏」で川底の「石」を掴んだ。

 徐々に「波」が引いていく。少しばかりの「感傷」を残しながらも、まるで「海」のそのように。何事もなかったかの如く、穏やかに去ってゆく――。
 アルテナは静かに目を開いた。そこにはやはり、さっきまでと同じ景色が広がっていた。だが心なしか全ての「音」が、「色」が、「明瞭」に感じられた。
 穏やかな「川の流れ」が、彼女の「火照った体」を冷まし、その「汚れた魂」さえも洗い清めてゆく――。

 出来ることならいつまでもそうしていたかった。だけどそういうわけにはいかない。いい加減「上がらないと」、あまり体を冷やし過ぎてしまっては「風邪」をひいてしまうかもしれない。それに、いつまでも戻らないとなると、彼に余計な「心配」を掛けてしまうだろう。アルテナは名残惜しさを感じながらも、そろそろ「引き上げる」ことにした。

 川から上がって、持ってきていた「布」で体を拭く。吸水性はあまり良くはなく、体はやや「湿った」ままであったが、あとは「自然乾燥」に委ねることにした。
「全裸」を終えるべく、足元の「衣類」を探る。そこで彼女は「あること」に気づいた。

――あら?おかしいですね…?

 アルテナのそばには彼女が「脱いだ」衣服がある。もちろん「脱ぎ散らかす」こともなく、きちんと「折り畳まれて」いる。
「前掛け」に「法衣」に、それから――。「あるもの」が「消失」していた。
 一番「最後」に脱ぎ、一番「最初」に着るべきものが――。

 それは「下穿き」だった。

「衣服」の間に挟んでおいたはずのそれが無くなっている。
――確かに、ここに置いておいたはずなのですが…。
 怪訝に思いながら、一度全ての衣類を広げてみたがやはりない。彼女の「装備」のうち、最も人目に触れることなく、最も「隠したい」その布だけが消えていた。
 やや「困惑」を感じながらも、けれど彼女はさほど「途方に暮れる」ことはなかった。
 アルテナはもう一枚の「下穿き」を取り出した。体を拭いた布に挟んでいたものだ。無くなってしまった方と同じ「純白」のそれ。(アルテナは主に「白」の「下穿き」ばかりを好んでいた)
 まだ「穿いていない」方のそれ。「汚れ」も「染み」もなく、まさに「純白」である「下穿き」に穿き替える。元よりそうするつもりだった。いくら体を「きれい」にしたとはいえ――、きれいにしたからこそ、「同じ下穿き」を穿くことは躊躇われた。
 当然だろう。「汗」と「おしっこ」にまみれたものをわざわざ穿き直したくはなかった。出来ることならついでに「汚れた下穿き」を洗ってしまいたかったが、無くなってしまったものは仕方がない。
 おそらく「小動物」か何かの仕業だろう。アルテナは考える。ずいぶんと「いやらしい」獣がいたものだ。だがそれにしては、あまりに「手口」が「鮮やか」だった。他の衣服は荒らされることはなく、「下穿き」だけを見事に抜き取られている。まるで最初からそれだけが「目的」であったかのように――。
 けれどそれはむしろアルテナにとって、好都合だった。もし「それ以外」もやられていたとしたら――。彼女は「全裸」でパーティの元へと戻らなければならなかった。そういう意味では何とか「最悪の事態」だけは免れ、まさに「不幸中の幸い」であった。

 服を着終えたアルテナは、元来た道を引き返す。

――それにしても…。
 アルテナは盗まれた「下穿き」について考えを巡らせる。
 いくら「理解」を持たぬ「獣」の「所業」とはいえ、「汚れた下着」――「おしっこ」まみれの「下穿き」を見られてしまったことを思い浮かべると、少々気恥ずかしかった。
 

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おかず味噌 2020/08/19 16:10

クソクエ 女僧侶編「想像脱糞 ~異なる者の抱える同じ事情~」

(「前話」はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/357380
(「女戦士編」はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/311247


「遅せぇよ!」

「御不浄」から「帰還」したアルテナを待ち受けていたのは――、そんな「罵声」だった。もちろん、「誰から」によるものかは明らかだ。

 鍛え上げられた「鋼の肉体」。それを「誇示」するように晒された「褐色の肌」。面積の少ない「布」によって唯一隠された「部分」は、アルテナにはわずかに及ばないまでもやはり圧倒的な「膨らみ」を湛えている。むしろ「隠されていない」分、より「直接的」に男性の「欲望」を刺激し「欲情」を駆り立てる。整った顔立ちは――「系統」こそ違えど、やはりアルテナと同じく――、間違いなく「美人」と称されるべきものであった。

 そうした幾つもの「共通点」を持ちながら――。けれど「両者」の「性質」は、実に「対照的」だった。
 それは何も「職業」のみに起因するものではなく。「性格」や「性分」、そこから派生する「言葉遣い」及び「行動規範」に至るまで、そのほとんどを「異」にしていた。
 アルテナからすれば、ヒルダの「言動」は「がさつ」で「品」がなく、あるいは「女らしさ」と呼べるものとはあまりにかけ離れていた。
「聖職」に身を捧げる者として、本来であればいかなる「隣人」に対しても選好みすることなく、分け隔てなく接するべきところである。だが包み隠さず、あくまで「本音」として述べるならば――。
 アルテナは、その「女戦士」のことをあまり「快く」思っていなかった。

「おいおい、『大便』だったのかよ?」

「女戦士」は「遠慮」も「恥じらい」もなく、平気でそんなことを訊いてくる。その「無粋さ」と「不躾さ」に、やはりアルテナは「うんざり」させられた。
 だが同時に彼女は思う。此度のその「問い」はきっと、「考えなし」に発せられたものではなく、単なる「意地悪」として向けられたものなのだろう、と。
 確かに。アルテナの「滞在時間」は――「全裸にならなければならない」のを差し引いたとしても――あまりに「長過ぎ」であり、それは彼女のしていた「行為」が「小」ではなく「大」だと推定するのに十分なものだった。
 そうして彼女が口ごもったり、答えられずにいるその「反応」を見て「愉しむ」つもりなのだろう。だが、その手には乗らない。

「淑女というものは『身だしなみ』にそれなりの時を要するものなのです」

「答える」代わりに「言葉」を返す。まあ「男性」である「あなた」にはお分かり頂けませんでしょうが、と。「皮肉」を付け加えることも忘れない。

「へぇ~、『淑女』である『聖女様』はケツを拭くのにも時間が掛かるってわけかい?」

 ヒルダも負けてはいない。「揚げ足」を取り、勝手な「解釈」を付け加えることで、アルテナを追い込み、彼女を逃すまいとさらなる「問い」を仕掛けてくる。
 だが、それはあまりに「的外れ」な追求だった。むしろ――、

――「出てくれれば」、どれだけ良かったことか。

 半刻前。アルテナは確かに「便意」を催していた。だからこそ、わざわざ「パーティ」を待たせてまで「御不浄」に向かったのだった。今しかない、と。今ならきっと…、と。微かな「希望」と「予感」を抱いて、「行為」に臨んだのだ。
 だが「蓋」を開けてみれば――。(まさしく「蓋」を開くべく、衣服と「下穿き」を脱ぎ去り、「便器」に跨ったのだ)
 それでもやはり「出なかった」。最後の「門」さえ開かれたものの、そこから「出るべきもの」は何も通過せず。「代わり」とばかりに、数発の「ガス」がかろうじて発せられたが、それでお仕舞い。あとはどれだけ「きばって」みても、「息んで」みても、まさに「うん」ともすんとも言わなかった。
 あれほどまでに「確信」を伴っていた「便意」は一体どこに消えたのだろうか。もう「五日」も出ていない「ブツ」は確実に腹の中にあり、「出したい」という欲求はあるにも関わらず、けれど「出る!」と思い「出す」準備が整った途端、それは見事に「引っ込んで」しまう。なんと「憎らしく」、「罪深い」ことだろう。
 結局、アルテナは今回も「排便」を遂げること叶わず、「ついで」とばかりに「排尿」だけを済まし、「時間」に見合わぬ「成果」ばかりを得て、「敗走」してきたのだった。

 そんな彼女の「葛藤」と「格闘」も知らずに、さも「女戦士」は「大量(大漁)」であったかのように宣っている。アルテナは「苛立ち」を覚えた。
 そもそも普段の「食生活」から鑑みて。宗教上の理由から、そうでなくとも「美容」のため、それなりに「節制」し、主に「菜食中心」のアルテナと。
「食事」はあくまで「力の源」と、あるいは一つの「娯楽」として考え、「暴飲暴食」を厭わず、好きなものを好きなだけ食べ、主に「肉食中心」のヒルダ。
 やはり「食生活」においても対照的な「両者」において。どうして自分ばかりが「便秘」に悩まされるのか。さらには――「運動量」の違いもあるだろうが――どうして自分ばかりが「体型」を気にして尚、日々余分な「脂肪」に苛まれているにも関わらず。彼女の方はそんなことを意にも介していない様子であるのに、決して「太る」ことがないのか。そんな「不平等」と「不条理」に納得がいかず、ここでもアルテナは「神の不在」を感じざるを得なかった。

 それでも。アルテナはこのまま「無言」を、「無回答」を貫くわけにはいかなかった。ここで「何も答えず」にいるということはつまり――、彼女は「認めて」しまうということになる。出てもいない「大便」を、してもいない「排便」を、すっきりと終えたという「推定」を「確定」させてしまうことになる。そうすることでもはや、「勝敗」は決してしまう。(何に対する「勝敗」なのかは甚だ疑問であるし、こと「便秘」についてのものであれば、すでに彼女は「惨敗」なのだが…)
 だから、アルテナはせめて何かしら。たとえ「鼬の最後っ屁」であろうとも、何か言葉を返そうと試みた――。

「あなたのように、ロクに『拭かず』に済ませるわけではありませんから」

 苦し紛れの「反論」だった。というより、その「返し」は大間違いだった。言ったそばから、アルテナは後悔した。それではまるで、自分が「排便した」ことを認めたようではないか――。
 アルテナは「女戦士」を返答を待った。「鈍感」でありながらも、肝心のところで「鋭く」、目ざとい彼女がそれに気づかないはずはない。「じゃあ、やっぱり――」と、事実を「歪曲」したまま、彼女が言及してくることはもはや避けられそうになかった。

 だが。そこで「女戦士」はなぜか狼狽し始めた。一目でそうと分かるほど「解りやすく」、動揺しているらしかった。

「そ、そんなわけ…ないだろ!?ば、馬鹿じゃねぇの?」

 あまりに「稚拙」な返答だった。いや、そもそも彼女の言動には普段からどこか「幼稚」なところがあり、それについてもアルテナは日々「呆れ」させられるのだが。もはやほぼほぼ「論理」が帰着しているところからの、彼女の「崩壊」ぶりはまさしく異常だった。

「ちゃ、ちゃんと拭いてるし!!(あの時はたまたま拭くものが無かっただけで…)」

 後半の部分は聞き取れなかったが、「女戦士」はアルテナの苦し紛れの「反論」に対してごく丁寧に「回答」した。
 ちゃんと拭いている、と。いや、当然だ。いくら「がさつ」で「だらしない」彼女とはいえ、さすがに「排便」した後に「尻」を拭かないはずはないだろう。アルテナにだってそれくらいは分かっている。何もそこまで彼女を「見くびっている」わけではない。
 それに。もしも尻を拭かずにそのまま穿いたりなんてしようものなら――、

「下穿き」に「うんち」が付いてしまう――。

 たとえいくら「すっきり」と出し終えたとはいえ。どうしたって「肛門」は汚れてしまうものなのだ。それは避けられない。たとえ「聖女」であろうと、あるいは「女神」であったとしても――。
 だからこそ「尻を拭く」。それは当然の「行為」だ。もはや「儀式」と呼ぶまでもない。「脱ぐ→出す→拭く→穿く」、その一連の「動作」を含めてこその「排泄」なのであり、どれか一つを「省略」することなどあり得ない。もし万が一、「怠ろう」ものならばそれはもはや――、「お漏らし」である。
「排泄物」が「下穿き」に付着することになる。たとえそれが「少量」であったとしても不快な「感触」は免れず、そこに留まった「モノ」は「臭い」を発することになる。そしてその強烈な「芳香」は決して「内部」だけに留められるものではなく、やがて「外部」にもまき散らすことになる――。
「がさつさ」や「品の無さ」では到底説明ができない。あるいは人間としての「尊厳」さえも失い、「獣」へと成り下がる。(もちろん「獣」は「着衣」などしないだろうし、だからこそ「お漏らし」という概念もないのだろうが…)

「戦闘中」、アルテナがヒルダの「傍に立つ」機会は少ない。それは彼女たちそれぞれの「役割」が「前衛」と「後衛」、「先鋒」と「後方支援」にきれいに「分担」されているがゆえである。それでもやはり「共に旅する仲間」である以上、どうしたって「近接」することがある。
 そんなとき、アルテナはヒルダから発せられる「体臭」を感じることがある。あるいはそれも「女戦士」としての「性分」なのだろうが――、「香水」などを身に着けない彼女からは「汗臭さ」のようなものが漂っている。
 淑女の「身だしなみ」、あるいは最低限の「エチケット」として習慣的に「気を付けている」アルテナにとって、「女性」である自分から「男性」じみた「汗臭さ」がすることはまさしく耐え難いことであったが。かといって、「女戦士」が自分と異なる「価値観」を持っていることについて、とやかく言うつもりはない。
 それに。ヒルダの「体臭」についても、これといって「強烈」なものではなく十分に「許せる」程度のものであり、意識しなければ「気になる」ほどのものでもなかった。

 ましてや。ヒルダから「汗臭さ」とは違う「体臭」――「ウン臭」が漂ってきたことなどは一度もない。もちろん、彼女の「下穿き」や「尻」を直接嗅いだことなどないが、それでも「近く」にいてそれを感じないということはやはり、そんな「疑惑」はないのだろう。
 にも拘わらず。彼女は珍しく「狼狽」している。たとえいかなる「強敵」に囲まれようとも、むしろ「堂々」とし「余裕」を見せ続ける「女戦士」が。なぜかひどく「動揺」し、ひいては顔を赤らめている。その「様子」が不思議でならなかった。
 あるいは彼女としても。ありもしない「事実」を、ましてや「勇者」の前で、さも「真実」であるかのように「断定」されることに。少なからず「抵抗」と「憤り」を感じているのかもしれない。
 アルテナと同じく、ヒルダもまた「勇者」に対して。単なる「同じパーティの仲間」としてだけではない「感情」を密かに抱いていることは知っている。同じ「女」だからこそ、それが分かる。だからこそ余計にアルテナはヒルダのことを「ライバル視」し、それこそが「敵対心」を露わにしている最大の理由なのだった。

 果たして「彼」はどう思っているのだろう。こんなにも「下品」な話題でもって「論争」する「二人」の「女性」を見て、一体どんな「感情」を持つのだろうか。
 あるいは彼の中ではすでに、アルテナは「大便を済ませた者」であり、ヒルダは「拭かない者」であるという「既成事実」が出来上がっているのかもしれない。
 だとしたら、より「恥じる」べきなのはやはりヒルダの方だ。アルテナの行為は「隠したい」ものでこそあれ、あくまで「普通」のことであるのに対して。ヒルダのその「習慣」は――もしそれが「事実」ならば――まさしく「異常」なものである。
 あるいは普段から彼女に背中を預け、(悔しいけれど)一番「近く」にいる彼ならば何か知っているかもしれない。本当にヒルダは「拭かない」のだろうか。今も「下穿き」に「ウンスジ」を刻み付け、尻から「ウン臭」を発しているのだろうか。

 とはいえ。アルテナについてもあまり人の事は言えないのかもしれない。もちろん彼女はちゃんと「拭いている」し、その「拭き具合」を確かめ肛門に「付いていない」ことを認めてから「下穿き」を上げるようにしている。だが、それはあくまで「大」についてであり、「小」については――あまり自信がない。
 現に彼女はその「下穿き」を、本来「純白」であるはずのそれを、「薄黄色」に染め上げてしまっているのだ。それは「拭きの甘さ」から生じる問題ではない。むしろより「直接的」、「穿いたまま」でした行為――すなわち「お漏らし」によって。
 アルテナの「下穿き」には今も「おしっこ」が染み込んでいる。それはさっき「脱いだ」時に確認済みだ。いわゆる「クロッチ」の部分にたっぷりと描き上げられた「小便染み」。彼女の、彼女自身による、「粗相」の「証」。
 それだってやはり「強烈な臭い」を放つものである。もちろん「固体」と「液体」とでは話は別だろうが、「下穿きを汚している」という点においては何ら変わりはない。
 アルテナがかろうじて、その「臭い」を外部に漏らさずに済んでいるのはやはり、彼女の身に着けている「服装」によるものだろう。「下穿き」をすっぽりと覆う丈の長い「ローブ」によって、いわば「内界」と「外界」を隔てているのだ。
 だがそれもあくまで「隠蔽」に過ぎないのである。ひとたびローブの「裾」をめくり、はたまたローブの「中」に顔を差し入れようものならば――。そこはもはや「混沌」のみが支配する「世界」なのである。アルテナの「香り」に満たされた「異世界」。それを「天国」と感じるか、あるいは「地獄」と感じるかはまさしく「主観」によるところでしかないのだ。

 アルテナはふと、勇者の「反応」が気になった。彼が「自分」と「彼女」に対して、どのような「感情」を抱いているのか、ではなく。ここではより単純に「自分」と「彼女」の「秘密」について、彼がそれに「気づき」何かを「知っている」のではないかと。あくまでその「一点」につき、彼の「表情」から読み取ろうと試みた。彼は――、

 ただ穏やかに「笑って」いた。

 例の如く、日常的に「諍い」を繰り返す、彼女たち「二人」。その「双方」ないし「一方」を咎めることもせず、ただただ静かに微笑んでいた。まるで「子供同士」の他愛ない「じゃれ合い」を眺めるように(彼の方が二人よりも「年下」であるにも関わらず)、あるいは「掌上」で踊る「人形」を見つめるように(むしろ「人形」じみた見た目は彼の方なのに)。
 彼のその「優しげ」な眼差しに。溢れんばかりの「愛おしさ」を思わせる双眸に、アルテナは――、

――ジョロロ…。

 股間に「熱い水流」が迸るのを感じた。「下穿き」の中を生温かく「濡らす」もの。

 アルテナはまたしても「お漏らし」をしてしまっていた――。

「くっ…!」とすんでのところで圧し堪えたものの。やはりというか、もはや「被害」は「甚大」であった。「漏れ出た」液体が「下穿き」から溢れ出し、わずかに脚を伝っていた。それは彼女の「想い」を比喩するようだった。

――ああ、ワタクシ。「勇者様」の前で、またしても「はしたない」行為を…。

 アルテナは「罪深い」自分を恥じた。「条件反射」のように、つい「発動」してしまう自らの「癖」を「改めなければ」と思いつつも、その反面。「羞恥」にまみれた自らの「行い」を、出来ることならば彼に「見せつけたい」と願った。
 決して知られてはならない。彼に「軽蔑」され、「幻滅」されてしまう。
 けれど「知られたい」。祭具の下の自分の「本性」を。紛れもない「メス」としての「本能」の姿を。
 そんな「二律背反」の中で、アルテナは身悶え、身をよじらせるのだった――。

「はい、アルテナさん」
 ふいに彼に「名」を呼ばれることで、「女僧侶」はもう少しで「達して」しまいそうだった。けれどなんとか「理性」でもって、それを堪えた。
「あ、ありがとうございます…」
 震える声で答え、「御不浄」に行くにあたって彼に預けていた「荷物」を受け取った。
「さあ、そろそろ出発しますよ!」
 勇者の「号令」が掛かる。いつまでもここで「油を売っている」わけにはいかない。「町」に留まり続けているわけにもいかない。
――我々は「冒険者」なのだ。
 いつか「魔王城」へとたどり着く、その日まで。「彼ら一行」は「町」から「町」、「島」から「島」へと旅を続けなければならない。「打倒魔王」。それこそが彼らの真の「目的」であり、あくまでこの「パーティ」はそれまでの暫定的な「連れ合い」に過ぎないのだ。

 だが「その後」は――?念願叶って「魔王」を打ち滅ぼし、「目的」が達せられたその後は――?果たして、この「パーティ」は「解散」と相成るのだろうか。
「勇者」は「英雄」としてその名を歴史に刻み、人々の「称賛」を存分に浴びることになるだろう。「仲間」である自分と彼女についても、それは同様である。
 だがアルテナが「夢想」するのは、そのことについてではなく。あくまでごく「個人的」な「将来」についての「展望」だった。
 自分と「彼」との「未来」――。そこに微かな「淡い期待」を抱きながら、けれどそのためにはまず「魔王」に代わる「最大の敵」をなんとか出し抜かなければならない、と。勇者の「隣」を歩く「女戦士」の背中を見つめながら、決意を新たにするのだった――。

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おかず味噌 2020/08/16 20:04

クソクエ 女僧侶編「失禁と放尿 ~聖女の秘めたる信仰~」

(「女戦士編」はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/311247


――天にまします、我らが「父」よ…。

「彼女」は「祈り」を捧げる。目を閉じ、口を引き結んで。掌を合わせ、「膝をつく」のではなく「しゃがみ込んで」。頭を「垂れる」のではなく天を「仰ぐ」ようにして――。

――なぜ、貴方様はこのような「試練」をワタクシにお与えに…。

「彼女」は思う。この世に「生」を受け「生きる」上で、何と「艱難辛苦」の多いことだろう、と。「祈り」は通じず、「願い」は叶わず、いかに「信仰」を重ねようと「救い」が訪れることはない。
「神の巫女」であるはずの彼女としても、さすがに。「主」の実在を疑いたくもなってくる。なにしろ、彼女の「たった一つの願い」さえ、聞き届けられることはないのだから。

――あぁ、神よ。ワタクシは一体どれほど「耐え忍ばなければ」ならないのでしょう。

 すでに「祈り」は十分過ぎるほどに捧げている。そろそろ、いい加減――。


「あ~もう!!『うんち』出てよ~!!!」


「アルテナ」は叫んだ。神聖なる「教会」などではなく、「御不浄」なる「個室」で。「祭壇」に向かってではなく、「便器」にしゃがみ込んだまま――。

 肌を覆う「濃紺」の祭服――いわゆる「全身タイツ」のような「格好」。その「形状」、あるいは「特性上」、「排泄」をするためには一度「全て」を脱ぎ去らなくてはならない。「信仰」の「象徴」である「十字架」の修飾された「前掛け」を取り、背中の「留め具」を外して、「首元」から「足先」まで一気に脱ぐ。途中、彼女の豊満な「凹凸」にそれなりの「抵抗」を感じたが、それでもその慣れた「一連の儀式」にはさしたる「滞り」もなかった。
 脱いだ「衣服」は全て、個室の「壁」に掛けられている。「外」から見れば、「誰が」入っているのか、「行為の最中」であることは一目瞭然なのだが、それも致し方ない。

「聖職者」だって「排泄」はする――。

 それは「真理」でも何でもなく、ただ厳然たる「事実」なのである。あるいは、たとえ「女神」といえども――。
「祭服」を取り去った彼女はもはや「聖女」などではなく、そこにあるのは単なる「ごく普通」の「一人の女性」の姿であった。ただ一つ、彼女のその「美貌」がまるで「女神」と見紛うほど「美しい」ことを除けば――。

「女神」は現在、「衣服」はおろか「下着」さえも身に着けてはいなかった。「下穿き」については「最中」であるがゆえ「当然」なのだが、彼女は「胸部」を隠すための「布」さえ纏ってはいないのだ。
 それはなぜか?「問い」に対する「答え」は自明である。それはつまり――、彼女が「元々」それを身に着けない「習慣」であるからだ。

 先述の通り、彼女の「普段着」は全身をすっぽりと「覆い隠す」濃紺の祭服である。「前掛け」の大仰な「刺繍模様」を除けば、他に「装飾」の類は一切なく、その「装い」は実に「地味」一辺倒のものである。
 その「質実さ」は、「華美であれ」とする本来の「服飾」のあり方とはむしろ真向から「対立」するものであり、そこには彼女がその「身」と「人生」を賭して歩む「信仰の道」における、まさしく「神の教え」の一つが大いに息づいている。すなわち――、

 隣人、色を好むべからず――。

 というものである。いまだ「修行の道」の途上である「修道女」の彼女にとって、いわゆる「恋愛」は「ご法度」であり、たとえ自分に「その気」がなくとも――、むしろないのであればこそ余計に――、不用意に「異性」に「劣情」を抱かせるような「格好」ないし「行動」は「慎む」べきである、という「教え」である。
 だが他のものはともかくその「教え」についてだけは、彼女はいささかの「疑問」を呈したくもあった。
「信仰」とはつまり、日々の「祈り」によって遂げられるものであり。「祈り」とはつまり、「願い」の「可視化」に過ぎない。では何について「願う」のかといえば――人によって様々であろうが、大きく「一言」で括るならば――それは「愛」についてである。
「家族愛」、「兄弟愛」、「隣人愛」。「愛」においてはまさに多様なものがあるが、それらをやはり「一言」でいうならば、それは「人類愛」である。
 つまりは「人」が「人」に向ける「思い」、「感情」、「労り」、「労い」、「優しさ」、「慰め」、「慈しみ」、「親しみ」、「想い」。それこそが「愛」なのだ。
 であるならば、いわゆる「男女間」における「愛情」についても、それは当て嵌まるのではないだろうか。いやむしろ、本来全くの「他人同士」である「関係性」から、「逢瀬」と「接触」と時を経てこそ培われるその「愛」こそまさに、人類における「真の愛」ではないだろうか。

 アルテナはそう思っている。そして現に、そんな彼女にも「真なる愛」を真摯に捧げる「紳士」。つまりは「想い人」と呼ぶべき「存在」がいる。
 その「彼」はどこか頼りなく、ときに危なっかしくて、いつも彼女を「落ち着かない」気持ちにさせる。「庇護欲」を駆り立てられるような、あるいは「母性」すらも感じさせるような、まるで「童子」のような見た目でありながら――。
 けれどその「瞳」に宿る「意志」は強く、ひとたび「剣」を振る彼に「背中」を預け、あるいは「前衛」を任せれば、その「矮躯」には到底「不相応」な「敵」を次々と「なぎ倒して」ゆく――。
 そして、やがて「戦闘」を終えれば、また「いつも」のどこか頼りなく、「無邪気」で「幼い」だけの「少年」に戻っている――。
 そんな「彼」の「意外性」ともいえる「ギャップ」に。「はっとさせられた」経験は、一度や二度では到底及ばない。まるで彼の「掌」で思うように「転が」され、彼の「一挙手一投足」に「右往左往」させられ、いまだ知り得ない彼の「内心」に「一喜一憂」させられてしまうことが、彼女にとっては「もどかしく」もあり、けれど同時にそれ自体が「幸福」でもあった。
 つまり「一言」でいうならば――、

 アルテナは「勇者」に「恋心」を抱いていたのだった。

 とはいえ、それは「秘めたる想い」。いつか「打ち明ける」その時まで、「胸の奥」に厳重に「鍵」を掛けて「閉まっておくべき願い」。(やや、想いが「溢れ出して」しまう時もあるけれど…)
 あるいは「未来永劫」、「門外不出」のものであろうとも。「永遠」に「その時」が訪れることがなくとも。それでも彼女はただひたすらに、その「想い」を日々「醸成」し続け、その「はちきれんばかりの胸」に抱え込んでいるのだ。


 さて。やや「脱線」し掛けたが、ここで今の「状況」に話を戻すことにしよう――。

 そもそも彼女がなぜ、いわゆる「異世界」、「別時代」において「ブラジャー」と称される「婦人専用下着」を身に着けていないのか、だ。
 それについて語るにはやはり、彼女の「着衣」に話を戻さなければならない。
「質素であれ」とする彼女の「祭服」には、けれどその「見た目」において裏腹の「問題」を孕んでいる。それは彼女のその服の「形状」が――、あまりに「ぴったり」とし過ぎている、ということだ。
 それもあるいは「彼女でなければ」、さしたる「問題」ではなかったのかもしれない。たとえば彼女にとって「大先輩」にあたる、「老境」の「シスター」であったならば。それとも「年齢」は彼女とほぼ似通った「年の頃」である「若い修道女」であったとしても。もし、その者の「凹凸」がそれなりに「平坦」であったならば、やはり「問題」には至らなかったであろう。
 つまり。いわゆる彼女の「女性としての膨らみ」が、平均的な「婦人」のものと比べてあまりに「穏やか」でないことにこそ、その「問題」は起因するのだ。
「有り体に言えば」――、より「直接的」に、「控える」ことなくいうならば――、

 アルテナの「身体」は、とても「いやらしかった」――。

 眉根の垂れ下がった、そのどちらかといえば「保守的」な見た目に反して、その「肉体」はあまりに「攻撃的」であり「暴力的」ですらあった。
 全身を布で覆い隠しているにもかかわらず、いやむしろ「覆い隠している」からこそ余計に――。その「女性的な膨らみ」はより顕著に、まるでその「存在」を「誇示」するように「顕現」するのであった。
 ただ立っていても、その「丸み」は容易に窺え。あるいは「前屈み」になったりしようものならば、さらにその「部分」は「強調」され、「男性」の「視線」を「釘付け」にするのにもはや何の「遠慮」も感じられなかった。
 あるいは共に旅をする「仲間」である、「パーティメンバー」の「一人」。あまりに「過激な格好」であり「露出過多」であるところの「女戦士」と比べてみても。その「胸」も「尻」も、およそ「ひと回り」は「豊かさ」を余分に持ち合わせていた。

 彼女自身、自らのその「身体」が時に「疎ましく」思うこともあった。「欲」を禁じるべき「精神」をその身に宿しておきながら、けれどその「肉体」はまさに「欲望の権化」であるという「矛盾」。たとえ彼女に「その気」がなくとも、自らは決して意図せずとも、「男性」の視線をしきりに集めてしまうという「背反」。
 さすがに「神の巫女」である彼女に対して、あまりに「不躾」な「熱線」を送る「殿方」こそ少ないが。けれど街中においては確かに感じる、いわゆる「チラ見」という疎らな視線。
「対象」である彼女自身がそれに気づかないわけもなく。その「視線」の出所である「雄」の姿を視界の端に捉えてしまう。そして、それこそ「見なければ」いいのにも関わらず、どうしたって目に入ってしまう。一皮剥けばまさしく「獣」であるところの彼らの「衣服」のある部分――、いわゆる「ズボン」の「一点」が大きく「膨らんで」しまっているのを。

「男根」を「勃起」させている姿を――。

「町」にはあらゆる「職業」の者が行き交っている。「商人」、「鍛冶屋」、「戦士」、「武闘家」、「魔法使い」など。そうした者の中には「一目」でその「職業」と判る「格好」をしている輩もいる。
 自らの「肉体」をまるで「武器」や「防具」の一つと捉え、それを「誇示」して歩く者。「上半身裸」な者のみならず、あるいは「全裸」に近い者だって少なくはない。
 そんな「無骨」な「野郎」達が――、胸を張って堂々と闊歩する「もののふ」達が――、「修道着姿」の彼女を目にするなりどこか「気まずそう」に、場合によってはやや「前屈み」になるのである。
 だがそれは致し方ない事だ。男性の「本能」による「習性」であり、あるいは正常な「反応」に過ぎないのかもしれない。だから彼女は、そうした「欲求」を「前面」に押し出す彼らを、いちいち咎めたりなどしない。むしろこんな「肉体」をしているにも関わらず、こんな「格好」をして平然と歩いている自分にこそ「非がある」のかもしれない、と彼女は思うようにしている。

 だが「魔法使い」達については別だ。
 彼らの「格好」はそのほとんどが「厚手のローブ」である。その「装備」については「魔力」における何らかの「恩恵」を受けるためのものであるのだろうが、それのみならず彼らは自らのその「非力」な体を覆い隠すために、そうした「服装」を好んでいるのだと、アルテナは勝手にそう思っている。
 あるいは「男性」「女性」問わず、どちらでも「装備」できるその「防具類」は、まさしく彼らの「男性的魅力の無さ」の裏付けであると、やはり「偏見」じみた考えを彼女は抱いている。
 だがそんな「彼ら」もまた、ひとたび彼女をその視界に捉えた時の「反応」は実に「男性らしい」ものだった。
 分かりやすく「動揺」し始め、意識的に「視線」を逸らそうと試みる。それでもやはり「本能」と「欲求」には抗いきれず、結局何か「別の方向」を見る振りをしつつ、「チラチラ」と疎らながらも「執拗」な視線を向けてくるのだ。
 だがそれについては、彼女は「赦して」いる。理由はやはり前述の通りである。問題はその後――、彼らのその「反応」についてだ。

 彼らもまた「半裸の男達」と同じく、やや「前屈み」になり始める。あるいは自らのその「反応」を「恥じる」ように、少しでも「目立たせない」ようにするために、「腰を引く」ことで「膨らみ」を相殺しようと考える。けれどそれは、いささか「ヘン」ではないだろうか。

 すでに「描写済み」のように、「彼ら」は主に「ローブ」などを身にまとっている。それは十分に「下半身」に「余裕」のある衣類であり、「戦士」や「武闘家」たちのように「半裸」であるわけでも、「動きやすさ」を重視するがゆえの「剥き出し」の格好でもない。にも関わらず――。

 彼らもまた「腰を引く」のだ。

「普通」にしていればただそれだけで。たとえいかなる「劣情」を抱こうとも、あらぬ「妄想」に耽ろうとも、「外」から見れば「それ」は分からないはずなのに。(あるいは彼らが「異世界」「別時代」における「魔法使い」の「正装」である「『チェック・シャツ』をズボンに『イン』」する格好でもしているならば、話は別だが――。)
 それなのに――。さして「巨根」であるわけでもないだろうに(それもまた彼女の「偏見」である)、必要以上に「股間」を隠そうとするのである

「服装」と「体勢」。それでさえもはや「過剰」であろうに。けれど、その上彼らはさらなる「隠蔽」を試みようとする。
 それは彼らの持つ「武器」であり同時に「防具」でもある、「ある装備」によって行われる。

「杖」、「ステッキ」――。

「魔法」を行使する者にとってはまさしく「必需品」であり、「剣」や「盾」を持たない彼らにとっての「代替品」。己の「非力」さをカバーするものでありながら、「実力」を発揮するためにこそ用いられるもの。
 その「形状」は実に様々で――。アルテナが「所持」しているような、「霊験」あらたなかな「神木」の「幹」や「枝木」をそのまま用い、上部に「宝玉」などをはめ込んだだけの「無骨」なものもあれば。
「既製品」ともいえる、「丈夫」で「シンプル」な素材に「奇跡」の類を付与することで「デザイン」された、「コンパクト」で「スタイリッシュ」なものもある。
 そのどちらにせよ、軒並み「小柄」である彼らにおいてその「装備」はやや「長大」に過ぎ、その「矮躯」に対してやや「持て余している感」がある。
 その「杖」を用いて彼らは――、

 自らの「股間」を隠そうと試みるのだ。

「神聖」なる「巨木」、あるいは「華美」で「荘厳」なそれを、自らの「陳腐」で「醜悪」な「小枝」を隠すことに用いる。まさに「神」を、「奇跡」を軽んじ、「冒涜」する行為に他ならない。

 そして――。彼らは「隠す」だけでは飽き足らず、自らの股間に「挟み込む」ように「装備」したその「棒」を用いて、あるいは「魔術」とも呼べる「儀式」を始める。

「逞しく」「立派」であるそれに、自らの「チンケな棒」を擦り付けるのだ――。

 まるで「古代」の「魔女」さながらに。「箒」ではなく「杖」に跨るようにしながら。「太く」頑強な棒に、自らの「細く」ひ弱な棒にあてがう。
 そうして「奇跡」とは程遠く、「祈り」にさえ及ばない、ただ目先の「願い」を叶えることだけに腐心する。
 果たして、その「行為」の一体どこに「救い」があるというのだろう。決して「本懐」には至らず、あくまで「代替」に過ぎないだけのその「行い」に。あるいは届くことのない「女体」の「夢」を描くのだろうか。それとも、「死骸」となっても変わらず「選ばれし存在」である「神の子」と、決して「選ばれる」ことのない「愚息」とを比較して、ある種の「憧憬」を重ねるのだろうか。

 一見して「豪快さ」や「無謀さ」とはおよそ無縁であるように思える「彼ら」は、けれどその場においては実に「大胆」に振舞う。
 周囲の者、あるいは「対象」である「アルテナ」に。「気づかれていない」とでも思っているのだろうか。自身は「無遠慮」に「視線」を向けておきながら。まるでそれが「不可逆」のものとでも思い込んでいるのだろうか。
 もしそうだとしたら――、あまりに「浅慮」である。「想像力」が欠如している。
 あるいは彼らの脳内に描き出される「光景」は、彼らにとって実に「都合よく」書き換えられ、「不都合」は排されているのかもしれない。

 次第に彼らの「息」は上がり、「愚息」からもたらせられる「快感」によって。「猫背」気味の彼らの「背筋」はピンと伸びて、ただただ「欲望」のみに従う「子羊」となる。あまりに「無恥」で「無様」である、そんな彼らの姿を見てアルテナは、

「お漏らし」をしてしまうのだった――。

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おかず味噌 2020/07/18 22:07

ちょっとイケないこと… 第十八話「姉と弟」

(第十七話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/344430


「あの夜、お姉ちゃんがパンツを洗ってるのを見てから――」

 私から追及されてもいないのに、純君は唐突に自供を始める。

「どうしてもお姉ちゃんの穿いてるパンツが気になって――」

 私が沈黙を貫いているのをいいことに、彼は滔々と語り出す。

「洗濯機に入ってた、お姉ちゃんの洗ってないパンツを――」

 私にとって知りたくない事実を、彼はのうのうと打ち明ける。

「えっ…!?ちょ、ちょっと待って、それってどういう――」

 私は驚愕のあまり、とうとう弟に訊き返してしまうのだった。


「『一回だけ』じゃ、なかったってこと…?」

 私は緩んだ括約筋を引き締め直し、体勢を立て直してから、改めて彼に問い直す。

 今度は純君の方が黙り込む番だった。まさか遮られるとは思わなかったのだろう。彼はバツが悪そうな表情をしながらも、ひどく面倒臭そうにベッドから起き上がる。

 私は正面の純君から目線を逸らしてドアの方を見る。彼に脱がされたショーパンがまるで抜け殻の如く取り残されている。その右ポケットの中に一時的に収納された、私があの夜穿いていたショーツを想う。洗濯されたことで今や清浄となった衣類を。

 そもそも今の状況は純君が姉のショーツを隠し持っていたことが元凶なのである。だけどそれはあくまでも「洗濯後」のものであって、まさか「洗濯前」のものにさえ彼が興味を抱いていたなんて。私はもはや幾度目かの頬が紅潮する感覚に襲われた。


 まあ、それはそうだろう。むしろ、当然ともいえる。

「洗う直前」つまり「脱いだ直後」の方がより直接的に情報を得られるのであって。それに比べれば「洗った直後」のショーツなど、単なる布切れに過ぎないのである。

 だけどそれは私にとってやや都合が悪い。なぜなら洗面台で手洗いをしている時に私は知ってしまったのだ。私の下着がいかに汚れてしまっているのかということを。

 私自身とっくに確認済みなのだ。あの夜見た私のショーツは汚濁にまみれていた。それは『おしっこ』によるものだけでなく、汚物による染色が幾つも付着していた。

 純君は気づいただろうか。いや、外部から見ただけなら分からないかもしれない。だが欲望に負けて思わず拝借してしまうほど興味津々である対象物の観察において、より肝心といえる内部まで確認せずに済ませるなんてことが果たしてあるだろうか。


「ねぇ、お姉ちゃんのパンツは今も汚れてるんだよね?」

 間もなく純君の口から回答が得られる。彼自身の秘めたる願望を告白するように。それを訊くということはつまり彼は気づいてしまったのだろう、姉の羞恥の秘密に。

 とはいえ、私がノーパンのまま弟の部屋を訪れたことはすでに周知の事実である。それはどこかのコンビニのゴミ箱に投棄され、とっくに消失してしまったのだから。私が今日穿いていたショーツは粗相の証拠と共にもはや完全に隠滅されたのだった。

 だから純君が言っているのはやはり、それもまた想像の産物に過ぎないのだろう。私がショーツを穿いているのだと仮定して、それが汚れているに違いないだろうと。だけどその妄想には実体が伴っている。私の下着の実態を彼は知ってしまっている。


「『おしっこ』とか、女の子だけの『汚れ』とか…」

 すかさず純君は指摘してくる。これでもかとばかりに私的な『シミ』を炙り出す。

「う、『うんち』…、とかも付けちゃってるんでしょ?」

 彼は余さず確認してしまったのだろう。姉のショーツに刻印された数多の汚辱を。

「そ、そんなわけ…ないでしょ!!」

 即刻、私は否定する。だけど本当は分かっている。あの夜、私自身もそれを見た。後方部分にくっきり描かれた茶色の一本道。肛門付近にべっとり付いた『うんち』。拭き残しによるものか、力んだ拍子に予期せず漏れてしまったものかは分からない。それでも割れ目に沿ってばっちりと、我ながら「ばっちい」と思える恥辱の一本筋。

 紛れもない、私の『ウンスジ』。

 粉みたいにカピカピになった『うんちのカス』。決して他人には知られたくない、私自身の管理不行き届き。普段の不摂生と不衛生の不可抗力による不潔なる副産物。


 それでも私はまだ諦めない。この期に及んでも尚、往生際悪くあがくことにする。

 私がショーツ内に『ウンスジ』を刻み付けていたのはあの夜だけのことであって、あの日はお腹の調子がたまたま悪かったというだけで、日常的にそうとは限らない。

 かといって人前に堂々とさらけ出せるものかといえば、あくまでも話は別だけど。少なくとも、常習的に汚物まみれのショーツを身に着けているわけではないはずだ。

 だから仮に純君に観察されたとしても、きっと大丈夫なはず。どこまでも彼の想像、恐らく不潔だという予想と、不浄であって欲しいという願望に他ならないのである。

 だけど、そこで再び彼は無情にも言い放つのだった。


「僕、知ってるよ」

 性懲りもなく純君は同じ台詞を繰り返す。揺るぎない証拠を掌握しているように。

「だって、お姉ちゃんのパンツすごく『クサかった』よ?」

 彼は回想する。私のショーツの醜悪なる芳香について、嗅覚による感想を述べる。

 突き付けられた現実はショックなんて一言では到底言い表せるものではなかった。破滅と絶望、恥辱と屈辱、嗜虐と被虐、それらが複雑に入り混じる感情なのだった。

 純君の中では「よくパンツを汚す姉」という実像が出来上がっていることだろう。女児でもあるまいし。十九歳とはいえもうとっくに大人であるはずの女子大生の姉が二度も粗相したのみならず、日常的にショーツ内に汚物を隠し秘めていたなんて…。

 もはや姉としての威厳どころか、女性としての尊厳すら完全に無くしてしまった。

 私は観念した。全ての事実を受け止め、包み隠さず事情を打ち明ける覚悟をした。


「そうだよ。お姉ちゃん、よくパンツを汚しちゃうの…」

 それについては「よく」なのか「たまに」なのか「ごく稀に」なのか分からない。日常的なショーツの状況を知る上で、あの夜だけでは明らかに情報が不足している。だが少なくとも、彼が洗濯機の中から発掘した私のショーツもそうだったのだろう。

「ちゃんと拭いてるつもりなんだけどね…」

 打って変わって弱気になりながら私は言う。まさか拭いてないなんてことはない。いつも排泄を済ませた後、トイレットペーパーで入念に拭いている。それなのに…。

「どうしても、付いちゃうの。パンツに『うんち』や『おしっこ』が…」

――私、緩いのかな?

 私は苦笑しながら純君に訊ねる。だけど彼に答えようがないことは分かっている。

「ねぇ、さっき私のお尻の穴を舐めたとき…」

――『うんちクサく』なかった?

 またしても純君に問い掛ける。それについては、さすがに彼も答えられるだろう。


「大丈夫…だったと思うよ」

 自信なく彼は答える。どうやら『うんち臭』を直接嗅がれることは免れたらしい。最底辺ともいえる質問を投げ掛けた私にとって、それは最低限の安堵なのであった。

「こんなお姉ちゃんで、ごめんね…」

 私はもう何度目かの、すっかり慣れきった謝罪をした。

――こんな、恥ずかしいお姉ちゃんで…。
――こんな、だらしないお姉ちゃんで…。
――こんな、汚らわしいお姉ちゃんで…。

――ごめんなさい。

 私は幾度となく心中で弟に詫びるのだった。


 さすがに純君も萎えただろうか、まさか姉の呆れた日常を知ることになろうとは。たとえ彼自身が秘密を暴いたにせよ、ここまで不潔な真相が待ち受けていようとは。

「じゃあ、『続き』してあげるね…」

 私は純君の顔を直視することも出来ぬまま、震える手で弟のおちんちんを掴んだ。もうとっくに時効を迎えたであろう契約を、尚も実直に履行しようとしたのだった。

 すっかり怒張を失い、萎縮し弱々しくなり掛けているはずの彼のペニスはけれど。

 今までにないくらい固く「勃起」を持続していた。

 鼓動さえも伝わってくるようだ。それほどまでに強く、己が存在を誇示していた。


――どうして…?

 ふと疑問を抱く。だけどその答えを私はすでに知っている。それはある種の趣味。マトモとはいえない、的外れな性癖。あくまで真っ当とは言い難い、間違った悪癖。

 まさか可愛い弟にそんな性質があったなんて、私はその事実を認めたくなかった。だけどこの異常なる状況が、彼の発情による反応が、明確なる解答を象徴している。

 純君は姉の汚濁に愛着を感じているのだろう。私の『おしっこ』や『うんち』に、それらが付着した汚物まみれのショーツに尋常ならざる執着を抱いているのだろう。

 あるいはその趣向は○○さんと同じなのかもしれない。私に粗相をさせた張本人。彼もまた私の『おもらし』に高揚を覚えた一人なのだ。そして今では私自身さえも。


 私は、私と彼と純君に共通項を見出していた。本来、人が目を背けたくなる事象。だが動物である以上、避けて通れない現象。排泄行為や排泄物自体に抱く性的倒錯。

 まさしく「変態」といって差し支えない性癖。大っぴらに出来ない秘めたる事情。

 私と○○さんのみならず、つまり純君もまた「こちら側」の人間だったのである。

 こうしてまた一つ、私たちは姉弟揃って他人に言えない秘密を共有したのだった。

「お姉ちゃんの『おチビりパンツ』…」
「お姉ちゃんの『おもらしパンツ』…」
「お姉ちゃんの『ウンスジパンツ』…」

 やがて純君は呪文のように唱え始める。それは紛れもない呪詛の言葉なのだった。まるで呪術に掛けられたかの如く、私はすっかり彼の術中に嵌ってしまうのだった。


 私は再び純君の上に騎乗し、気丈な口調で劣情を煽情することで絶頂に誘導する。

「お姉ちゃんの『おチビりパンツ』、臭かった?」
「うん、すごく!!」

「お姉ちゃんの『ウンスジパンツ』、嗅ぎ嗅ぎしたの?」
「うん、たっぷりと嗅いじゃったよ!!」

「『おなら』は…?『おなら』も臭かった?」
「とぉ~ても!!」

「じゃあ、お姉ちゃんの『汚パンツ』想像しながら『お射精』できる?」
「できるよ…!!いっぱい出ちゃいそう」

「純君も『お精子』を『おもらし』しちゃうんだね」
「うん、いっぱい『おもらし』する!!」

 姉の誘惑に対して、あたかもそれを待ち望んでいたかのように純君は従順になる。


「お姉ちゃんも、もう漏れちゃいそう…」

 快楽と共に徐々に高まりつつある膀胱の貯蔵量に、私は間もなく放流を予告する。

「いいよ。そのままいっぱい出して!!」

 純君は優しく私の要求を承認し、姉による『放尿ショー』を固唾を呑んで見守る。

「おふぇいひゃん、おもらひ、ひひゃう」

 私は再びペニスを頬張る。それとは別に下腹部に思いきり力を込める。そして…。


――ジョボロロ~!!!!!

 私は『おもらし』をした。純君の上で、彼の顔めがけて『おしっこ』を放出した。一度目、二度目は○○さんの眼前で。三度目の正直とばかりに、今度は弟の顔面に。

 一度目、二度目と大きく違うのは、私が下半身に何も穿いていないということだ。遮られるもののない私の『尿』は、重力の影響を直接受けてほぼ一直線に落下する。そして、直下にある純君の顔に『おしっこ』が集中豪雨のように降り注ぐのだった。

 私は自ら望んで『排尿』したし、きちんとショーツを脱いだ上で膀胱を解放した。それを『粗相』と呼ぶのか、『放尿』と呼ぶのかについては諸説あるところだろう。

 だが己の意思かどうかはこの際関係なく、それが不意であろうと故意であろうと。指定外の場所でする『排尿行為』は、紛れもない『おもらし』に違いないのだった。


「ひっぱい、でひゃう…。ひぇんひぇん、とまらないよ~!!」

――ジュビビビ!!!ジュバ~~!!!!!

 思いの外、私の『おもらし』は長く続いた。全然溜まっていなかったはずなのに、予定外に『おしっこ』はたっぷり出た。私は恥を捨てて、小水の勢いに身を委ねる。

――ジョロ…。チョポ…!!ポタ…ポタ…。

 そして私が『放尿』を終えようとした時、今度は口の方で奔流を感じるのだった。


――どぴゅん!!!ドクドク…。

 純君のペニスが激しく脈打つ。ドロドロした感触と生臭い芳香が口一杯に広がる。野性味に溢れた、あるいは野菜のような青臭さを思わせる、男性器による生理現象。

 純君は精液を『おもらし』した。

 いや、そんな後ろめたい表現は適切ではないだろう。純君は立派に果たしたのだ。姉としてはむしろ「頑張ったね!」と手放しで褒めてあげるべきなのかもしれない。たとえそれが決して褒められたものではない、イケない行為の結末であるとしても。

 純君は「射精」をしたのだった。

 私の口腔に欲望の塊を解き放った。雄としての本能を見事に成就させたのである。


――ビュル…!!ピュル…!!

 まだまだ続々と精製される純君の精液を、私はゾクゾクしながら口で受け止めた。彼が私の粗相を受け入れてくれたみたいに。私の愛情を受け取ってくれたみたいに。

 ようやく純君の射精が終わる。後に残ったものは、口内を満たす残骸のみだった。本来、膣内へと放たれるべき液体。空気に触れればたちまち死んでしまう儚い存在。すぐに息絶えようとしている生命はけれど、まだもうしばらくは生きているらしい。

 口の中で彷徨う、哀れな魂。受精を目的とする、純君の元気いっぱいの子種たち。

 私は迷うことなく、それを飲み込んだ。喉の奥に引っ掛かる感触を覚えながらも、能動的に精汁を飲み終えた。清濁併せ吞むかのように。善悪すらも飲み下すように。

 純君の精子は苦かった。それもまた何かの雑誌で読んだ性経験のその通りだった。

――精子は不味い、だけど愛する人のものならば…。


 顔騎状態のまま、私は暫しの感慨に耽る。それからゆっくり純君の上から降りて、射精を終えたばかりの彼と顔を見合わせた。

 純君の顔も髪も濡れていた。それはまさしく私の『おしっこ』によるものだった。

 私はベッドにゴロンと寝転がる。シーツもまた、私の『おしっこ』で湿っていた。

 弟の横顔をチラリと窺う。彼は仰向けのまま天井を見つめて微動だにしなかった。その視線の先にあるのは限りない充足感と幸福感か、あるいは果てしない罪悪感か。脱力したような双眸に映る底知れぬ感情を、私には想像することしかできなかった。


「純君の『白いおしっこ』苦かったよ」

「お姉ちゃんの『おもらし』だって…」

 穏やかにお互いの感想を報告し合う。私と彼だけに伝わる「共通言語」を用いて。

 やがて、どちらからともなく笑い出す。どうしようもない照れ臭さと気まずさに、思わず自然と笑いがこみ上げてくる。

 私と純君は一頻り笑い合った。深夜の室内に姉弟の笑声だけが静かに染み渡った。笑い合う姉と弟。それはありふれた、ごく普通の微笑ましい姉弟の風景なのだった。


――続く――

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おかず味噌 2020/07/16 22:55

ちょっとイケないこと… 第十七話「6と9」

(第十六話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/344422


 純君は再び後方から顔を近づける。だけど今回ばかりは不浄な恥穴の方ではなく、純潔なる秘穴を彼は目指すのだった。

 純君は舐め始める。鼻先を股の間に突っ込んで、彼の舌先が私の割れ目をなぞる。

 全身に走るビリビリとした快楽の電流と同時に、少なからず理性の抵抗を感じる。
だがそれすらも抑圧された性欲という電圧の前では、もはや無抵抗にも等しかった。

 純君は舐め続ける。まるで主人にじゃれつく子犬みたく、舌での愛撫を継続する。

 とてもじゃないけれど、まだ中学生の彼に覚えさせるようなことではないだろう。あまりに時期尚早というか早熟にも程がある。それでも私の焦燥は収まらなかった。己の快楽のために弟を利用するイケない姉。それこそが私の本性であるかのように。

 それにしても。純君と○○さんの「クンニ」には、やはりいくらかの違いがある。純君の舐め方にはただ夢中さを感じ、彼のそれには余裕のようなものが感じられた。弟の未熟さを嗤うつもりはない。むしろ今ばかりは純君の方が適当である気もした。

「童貞ゆえの必死さ」というやつだろうか。私だって人のことは言えないのだけど。純君のがむしゃらさは、処女である私をガチガチに捕えて雁字搦めにするのだった。


――そこ、ちょっと違う。もう少し…。あぁ、そこ!!もっと…。

 私の意思とは相反し、思い通りにならぬ舌使い。届きそうで届かぬ、もどかしさ。

 本当ならばあれこれと指示を出して純君を誘導したいところだが、そうはしない。あくまでも彼に全てを委ねることにする。あるいはこれも教育の一環なのだろうか。自分自身で選択して傾向と対策を会得させることで、弟の成長を見守ることにする。

――そうそう!!そこだよ。お姉ちゃんは、そこが気持ちいいの!!

 私は心中で的中を告げる。口に出さない代わりに、肉体がビクビクと反応を示す。脚がガクガクと震えて、お尻が突き出されることで、さらに敏感な部分に命中する。

「ダメ!お姉ちゃん、イっちゃいそう…!!」

 私は絶頂を予告する。もう間もなく、その感覚が来訪しそうになったところで…。


「えっ…?」

 唐突に彼の愛撫が中断される。同時にせっかく高まった快楽の潮流が引いてゆく。

「どうしたの…?」

 私は怪訝に思いながらも純君に問う。彼の機嫌を損ねる発言でもあったのか、と。

「どうして、止めちゃうの…?」

 不安を感じつつも純君に訊く。彼を幻滅させる何かが現実に引き戻したのか、と。

「さっきの『お返し』だよ」

 悪戯っぽい口調で彼は言う。私がさっき途中で止めたのを根に持っているらしい。

 だけど、あれは純君がイケないのだ。私の厚意による行為を「気持ち良くない」と言い切ったのは彼の方なのだ。

 それでも、やっぱり申し訳なかったとは思う。「おあずけ」にされるというのは、こんなにも辛く苦しいものなのだと私は知った。


「お姉ちゃんのこと、ちゃんとイかせて!!ね?ね?」

 私は恥を捨てて、純君に「おねだり」する。お尻を振りながら、弟に媚びを売る。

「だ~め」

 尚も意地悪そうに純君は言う。

「じゃあ、もう寝よっか?」

 ここぞとばかりに彼は告げる。「おやすみ」と。先刻の挨拶に応答するみたいに。いくら因果応報とはいえ、私は殴打したくなる。だがその感情をぐっと堪えながら。

「お姉ちゃんが悪かったから!!だから、お願い…」

 自己の不履行を詫びた上で、彼に許しを請う。

「もうちょっと、なの…。だから、お姉ちゃんの『オマ○コ』舐めて!!」

 わびさびの情緒もなく、満を持して陳情する。


「じゃあ、僕のも舐めてくれる?」

 そこで純君は交換条件を出す。私はブンブンと頷き、彼の提案を飲むことにした。

 室内を逆戻りして、純君はベッドに仰向けになる。彼の上に私は反対向きで跨る。まるで数字の「6」と「9」のように。だがその比喩はあまりにも陳腐な形容だった。

 純君のズボンを下ろす。脱がす前からすでに彼のそこがはちきれんばかりに固く、大きくなっているのが分かる。ひどく窮屈そうに衣服からの解放を待ちわびている。

 純君のペニスが勢いよく飛び出す。大人になりきれていない皮被りのおちんちん。またしてもそれを口に咥える。まるで愛着のある玩具を口に入れる乳幼児のように。

 純君のアソコの蒸れたような香り。私の唾液の乾いた匂いをわずかに含んでいる。それを自ら舐め取るみたいに、私は呼吸すらも忘れてただただ夢中でしゃぶりつく。

 他ならぬ弟から経験不足を指摘されたことで、一度は自信を喪失し掛けたものの。それでも今ばかりは余計な思考を停止して、趣向を凝らして、試行錯誤を繰り返す。

「お姉ちゃん、すごく気持ちいい…」

 純君は言う。心の底から充足しているみたいに。私は姉としての人権を取り戻す。


――ブチュ!チュロロ…。チュパッ!!

 卑猥な音色が室内に響き渡る。私の口と純君の陰茎が淫靡なハーモニーを奏でる。

 真夜中に行われる、不純異性交遊。姉弟によって演じられる、狂騒じみた協奏曲。今もし両親が部屋に入ってきたとしたら、どのような言い逃れも許されないだろう。協調する我が子を見て彼らはどんな顔をするだろう。それについては考えたくない。だけどリスクを○す綱渡りの状況が私自身をさらに昂らせ、より貪欲にさせてゆく。

「ねぇ、早く…。お姉ちゃんのも舐めて」

 自暴自棄になりながら愛撫を請う。自分の指でアソコを開いて、ここだと教える。

 純君の呼吸が荒くなる。私の口淫によるものか、彼自身の興奮によるものなのか、おそらくその両方だろう。

 私の呼吸も荒くなる。吐息が当たることで、愛液が潤滑油の如く次々と溢れ出す。

――ピチュ!チュピチュピ…。ズボッ!!!

 不意に純君は指による愛撫を始める。さらにそれを膣内に挿入してくるのだった。


「あぅ…!!」

 私は思わず甘い声で喘いでしまう。まるで子供のペニスを思わせるような細い指。彼はそれを出し入れしたり、中で動かしてみたりする。一本で十分に解し終えると、続いて二本三本と加えられ、徐々に太さと速さを増してゆく。

「純君、気持ちいいよ…」

 お返しとばかりに私は呟く。さらに言動だけでなく、行動によってもそれを返す。

 ベッドに両手を付き、頭を上下させることで刺激を加える。舌を使い、唇を用いて間断なく快感を与える。激しい動きによって、ベッドがギシギシと軋む音を立てる。

「ねぇ、お姉ちゃん。やっぱり僕…」

 そこで純君は、またしても苦しそうに呟く。

「お姉ちゃんの『中』に入れたい…」

 あろうことか彼は、ペニスによる挿入を要求してくるのだった。


「それだけはダメ…!!」

 断固として私は拒絶する。それだけは絶対に。いかに勢いに身を任せたとしても、すでに幾つもの倫理を失くしたとしても、その一戦だけは越えるわけにはいかない。その防衛線だけが、とっくに異常である姉弟の関係性を唯一正常に留めているのだ。

「ちゃんと最後まで口でしてあげるから」

 その言葉は純君に向けたものでありながらも、私自身に対してのものでもあった。

――私だって…。

 仮に相手が弟でなければ、私自ら懇願していたことだろう。だが肉親である以上、それは出来ないのだ。私が処女であるとか関係なく、たとえ何度目の行為だろうと、いかに経験豊富を求めていたとしても、その経験だけは一生してはならないのだ。

 純君だって分かっているはずだ。だけど分かっていても、ツラいのは理解できる。だからこそ私は出来るだけのことをしてあげたいと思った。口を膣の代わりにして、今度こそ彼を射精に導いてあげたいとそう思った。


「もうちょっと、なんだ。もうちょっとで…」

 それでも純君はまだ足りないと言う。私の「フェラ」だけでは物足りないのだと。

 だがそう言われたところでどうすればいいのか。いかに経験が足りないとしても、今の私に出来るのはこれが精一杯なのだ。

「お姉ちゃん、『エッチなこと』言って…」

 純君は思わぬ要求をしてくる。口淫でイケないのだったら、かくなる上は言葉で。本来、口とは食事のためともう一つ重要な役割がある。それはつまり伝達の機能だ。

 挿入が無理なら想像で。想像だけなら、いくら飛躍したところで構わないだろう。

「お姉ちゃんの『オマ○コ』に、純君の『おちんちん』が入っちゃうよ?」

 ありもしない空想を、あり得るはずもない状況を、さも現実の如く私は実況する。

「ほら?お姉ちゃんの『オマ○コ』、あったかい?」

 口内を膣内に見立てて幻想を生み出す。唾液を愛液であるかのように錯覚させる。彼が姉に求める「エッチなこと」というのは、果たしてこういうことなのだろうか。


「うん…。でも、そうじゃなくて」

 純君は遠慮がちに言う。どうやら違ったらしい。予想外の不正解に私は赤面する。

「お姉ちゃん。『おもらし』した時、どんな感じだったの…?」

 なるほど、そういうことか。やはり彼は姉の羞恥の失敗にこそ興味があるらしい。

「すごく、恥ずかしかったよ…」

 私は答える。出来れば、その事実に関してはそっとしておいて欲しかったけれど。それで純君が満足するならば、と。私は粗相の詳細について正直に語ることにした。

「情けなくて。もう大人なのに…、って」

 彼は沈黙のまま私の告白を聞く。昔読んであげた童謡の結末を待ちわびるように。

「『あっ』って思った時にはもう遅くて…。ショーツの中が急に温かくなって…」

 私は回想する。○○さんと二人だけの秘密を、包み隠すことなく弟に打ち明ける。


「『おしっこ』が、どんどん溢れてきちゃって…。全然止まってくれなくて…」

「そんなに出ちゃったの?」

 そこで初めて純君は口を挟んだ。

「うん…。こんなに溜まってたんだって…」

 便器内でする時はそうでもないのに。床に広がる『尿』はあまりにも大量だった。

「音は?どんな感じ?」

「えっ…?『じょわ~』って感じ?」

 まさか音についてまで描写させられるとは。私はやや照れ臭くも擬音で表現する。

「に、匂いは…?」

「えっ?そりゃ、クサかったよ。ほら、理科の実験の時のアンモニア臭ってやつ?」

 あり得ないほどの羞恥をごまかすように、おどけた口調で私は言う。


「お姉ちゃんの『おしっこ』の匂い…」

 ゆっくりと咀嚼するみたく純君は呟く。そしてついに辛抱堪らなくなったらしく、自分の手で勃起したおちんちんをしごき始める。私の口に当たるのもお構いなしに、むしろ私の口の動きが休止しているからこそ、自分自身で射精に導こうとしている。

「お姉ちゃんのここ、ちょっと『おしっこ』の匂いがする…」

 私の股間を嗅ぎながら純君は言う。そんなはずはない。ちゃんと洗ったのだから。あるいはそれすらも彼の想像の産物であり、姉に対して思い描く偶像なのだろうか。

「やめて、嗅がないで!恥ずかしいよ…」

 彼の妄想に付き合ってやることにする。『おしっこ』まみれの股間を嗅がれているという状況を創造する。それは私自身にとっても、とても高揚する想像なのだった。

「だめ!お姉ちゃんの『おもらしマ○コ』舐めちゃだめ!!」

「クサイ」と言いながらも純君は構わず舐め回す。架空の『尿』を舐め取るように。だが与えられる快楽は紛れもなく現実であり、本当に私はやや催してくるのだった。


「そんなに舐めたら、お姉ちゃんまた出ちゃいそうだよ…」

 私は尿意を訴える。その要請により彼の陰茎が射精の態勢を整えたのが分かった。

「いいよ。僕の顔の上で『おもらし』して!!」

 純君は言う。まるで自分の顔面が便器であるかの如く、私の『排尿』を許諾する。

「でも、純君の顔に掛かっちゃう…」

 私は最後の言い訳をした。あくまでも自分の意思ではなく仕方なかったのだ、と。この期に及んでも誰かのせいにする私は、救いようのない卑怯者なのかもしれない。

「いいよ。お姉ちゃんの『おしっこ』、いっぱいかけて!!」

 純君は覚悟を決めたらしい。私は下腹部に力を込める。いくら催してきたとはいえ膀胱の『尿』の貯蔵量は少しばかりで、そうでもしないと出てくれそうになかった。

「実は、僕…」

 そこで純君は。私から何ら追及されていないのに、唐突に自供を始めるのだった。


――続く――

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