おかず味噌 2020/08/19 16:10

クソクエ 女僧侶編「想像脱糞 ~異なる者の抱える同じ事情~」

(「前話」はこちらから↓)
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(「女戦士編」はこちらから↓)
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「遅せぇよ!」

「御不浄」から「帰還」したアルテナを待ち受けていたのは――、そんな「罵声」だった。もちろん、「誰から」によるものかは明らかだ。

 鍛え上げられた「鋼の肉体」。それを「誇示」するように晒された「褐色の肌」。面積の少ない「布」によって唯一隠された「部分」は、アルテナにはわずかに及ばないまでもやはり圧倒的な「膨らみ」を湛えている。むしろ「隠されていない」分、より「直接的」に男性の「欲望」を刺激し「欲情」を駆り立てる。整った顔立ちは――「系統」こそ違えど、やはりアルテナと同じく――、間違いなく「美人」と称されるべきものであった。

 そうした幾つもの「共通点」を持ちながら――。けれど「両者」の「性質」は、実に「対照的」だった。
 それは何も「職業」のみに起因するものではなく。「性格」や「性分」、そこから派生する「言葉遣い」及び「行動規範」に至るまで、そのほとんどを「異」にしていた。
 アルテナからすれば、ヒルダの「言動」は「がさつ」で「品」がなく、あるいは「女らしさ」と呼べるものとはあまりにかけ離れていた。
「聖職」に身を捧げる者として、本来であればいかなる「隣人」に対しても選好みすることなく、分け隔てなく接するべきところである。だが包み隠さず、あくまで「本音」として述べるならば――。
 アルテナは、その「女戦士」のことをあまり「快く」思っていなかった。

「おいおい、『大便』だったのかよ?」

「女戦士」は「遠慮」も「恥じらい」もなく、平気でそんなことを訊いてくる。その「無粋さ」と「不躾さ」に、やはりアルテナは「うんざり」させられた。
 だが同時に彼女は思う。此度のその「問い」はきっと、「考えなし」に発せられたものではなく、単なる「意地悪」として向けられたものなのだろう、と。
 確かに。アルテナの「滞在時間」は――「全裸にならなければならない」のを差し引いたとしても――あまりに「長過ぎ」であり、それは彼女のしていた「行為」が「小」ではなく「大」だと推定するのに十分なものだった。
 そうして彼女が口ごもったり、答えられずにいるその「反応」を見て「愉しむ」つもりなのだろう。だが、その手には乗らない。

「淑女というものは『身だしなみ』にそれなりの時を要するものなのです」

「答える」代わりに「言葉」を返す。まあ「男性」である「あなた」にはお分かり頂けませんでしょうが、と。「皮肉」を付け加えることも忘れない。

「へぇ~、『淑女』である『聖女様』はケツを拭くのにも時間が掛かるってわけかい?」

 ヒルダも負けてはいない。「揚げ足」を取り、勝手な「解釈」を付け加えることで、アルテナを追い込み、彼女を逃すまいとさらなる「問い」を仕掛けてくる。
 だが、それはあまりに「的外れ」な追求だった。むしろ――、

――「出てくれれば」、どれだけ良かったことか。

 半刻前。アルテナは確かに「便意」を催していた。だからこそ、わざわざ「パーティ」を待たせてまで「御不浄」に向かったのだった。今しかない、と。今ならきっと…、と。微かな「希望」と「予感」を抱いて、「行為」に臨んだのだ。
 だが「蓋」を開けてみれば――。(まさしく「蓋」を開くべく、衣服と「下穿き」を脱ぎ去り、「便器」に跨ったのだ)
 それでもやはり「出なかった」。最後の「門」さえ開かれたものの、そこから「出るべきもの」は何も通過せず。「代わり」とばかりに、数発の「ガス」がかろうじて発せられたが、それでお仕舞い。あとはどれだけ「きばって」みても、「息んで」みても、まさに「うん」ともすんとも言わなかった。
 あれほどまでに「確信」を伴っていた「便意」は一体どこに消えたのだろうか。もう「五日」も出ていない「ブツ」は確実に腹の中にあり、「出したい」という欲求はあるにも関わらず、けれど「出る!」と思い「出す」準備が整った途端、それは見事に「引っ込んで」しまう。なんと「憎らしく」、「罪深い」ことだろう。
 結局、アルテナは今回も「排便」を遂げること叶わず、「ついで」とばかりに「排尿」だけを済まし、「時間」に見合わぬ「成果」ばかりを得て、「敗走」してきたのだった。

 そんな彼女の「葛藤」と「格闘」も知らずに、さも「女戦士」は「大量(大漁)」であったかのように宣っている。アルテナは「苛立ち」を覚えた。
 そもそも普段の「食生活」から鑑みて。宗教上の理由から、そうでなくとも「美容」のため、それなりに「節制」し、主に「菜食中心」のアルテナと。
「食事」はあくまで「力の源」と、あるいは一つの「娯楽」として考え、「暴飲暴食」を厭わず、好きなものを好きなだけ食べ、主に「肉食中心」のヒルダ。
 やはり「食生活」においても対照的な「両者」において。どうして自分ばかりが「便秘」に悩まされるのか。さらには――「運動量」の違いもあるだろうが――どうして自分ばかりが「体型」を気にして尚、日々余分な「脂肪」に苛まれているにも関わらず。彼女の方はそんなことを意にも介していない様子であるのに、決して「太る」ことがないのか。そんな「不平等」と「不条理」に納得がいかず、ここでもアルテナは「神の不在」を感じざるを得なかった。

 それでも。アルテナはこのまま「無言」を、「無回答」を貫くわけにはいかなかった。ここで「何も答えず」にいるということはつまり――、彼女は「認めて」しまうということになる。出てもいない「大便」を、してもいない「排便」を、すっきりと終えたという「推定」を「確定」させてしまうことになる。そうすることでもはや、「勝敗」は決してしまう。(何に対する「勝敗」なのかは甚だ疑問であるし、こと「便秘」についてのものであれば、すでに彼女は「惨敗」なのだが…)
 だから、アルテナはせめて何かしら。たとえ「鼬の最後っ屁」であろうとも、何か言葉を返そうと試みた――。

「あなたのように、ロクに『拭かず』に済ませるわけではありませんから」

 苦し紛れの「反論」だった。というより、その「返し」は大間違いだった。言ったそばから、アルテナは後悔した。それではまるで、自分が「排便した」ことを認めたようではないか――。
 アルテナは「女戦士」を返答を待った。「鈍感」でありながらも、肝心のところで「鋭く」、目ざとい彼女がそれに気づかないはずはない。「じゃあ、やっぱり――」と、事実を「歪曲」したまま、彼女が言及してくることはもはや避けられそうになかった。

 だが。そこで「女戦士」はなぜか狼狽し始めた。一目でそうと分かるほど「解りやすく」、動揺しているらしかった。

「そ、そんなわけ…ないだろ!?ば、馬鹿じゃねぇの?」

 あまりに「稚拙」な返答だった。いや、そもそも彼女の言動には普段からどこか「幼稚」なところがあり、それについてもアルテナは日々「呆れ」させられるのだが。もはやほぼほぼ「論理」が帰着しているところからの、彼女の「崩壊」ぶりはまさしく異常だった。

「ちゃ、ちゃんと拭いてるし!!(あの時はたまたま拭くものが無かっただけで…)」

 後半の部分は聞き取れなかったが、「女戦士」はアルテナの苦し紛れの「反論」に対してごく丁寧に「回答」した。
 ちゃんと拭いている、と。いや、当然だ。いくら「がさつ」で「だらしない」彼女とはいえ、さすがに「排便」した後に「尻」を拭かないはずはないだろう。アルテナにだってそれくらいは分かっている。何もそこまで彼女を「見くびっている」わけではない。
 それに。もしも尻を拭かずにそのまま穿いたりなんてしようものなら――、

「下穿き」に「うんち」が付いてしまう――。

 たとえいくら「すっきり」と出し終えたとはいえ。どうしたって「肛門」は汚れてしまうものなのだ。それは避けられない。たとえ「聖女」であろうと、あるいは「女神」であったとしても――。
 だからこそ「尻を拭く」。それは当然の「行為」だ。もはや「儀式」と呼ぶまでもない。「脱ぐ→出す→拭く→穿く」、その一連の「動作」を含めてこその「排泄」なのであり、どれか一つを「省略」することなどあり得ない。もし万が一、「怠ろう」ものならばそれはもはや――、「お漏らし」である。
「排泄物」が「下穿き」に付着することになる。たとえそれが「少量」であったとしても不快な「感触」は免れず、そこに留まった「モノ」は「臭い」を発することになる。そしてその強烈な「芳香」は決して「内部」だけに留められるものではなく、やがて「外部」にもまき散らすことになる――。
「がさつさ」や「品の無さ」では到底説明ができない。あるいは人間としての「尊厳」さえも失い、「獣」へと成り下がる。(もちろん「獣」は「着衣」などしないだろうし、だからこそ「お漏らし」という概念もないのだろうが…)

「戦闘中」、アルテナがヒルダの「傍に立つ」機会は少ない。それは彼女たちそれぞれの「役割」が「前衛」と「後衛」、「先鋒」と「後方支援」にきれいに「分担」されているがゆえである。それでもやはり「共に旅する仲間」である以上、どうしたって「近接」することがある。
 そんなとき、アルテナはヒルダから発せられる「体臭」を感じることがある。あるいはそれも「女戦士」としての「性分」なのだろうが――、「香水」などを身に着けない彼女からは「汗臭さ」のようなものが漂っている。
 淑女の「身だしなみ」、あるいは最低限の「エチケット」として習慣的に「気を付けている」アルテナにとって、「女性」である自分から「男性」じみた「汗臭さ」がすることはまさしく耐え難いことであったが。かといって、「女戦士」が自分と異なる「価値観」を持っていることについて、とやかく言うつもりはない。
 それに。ヒルダの「体臭」についても、これといって「強烈」なものではなく十分に「許せる」程度のものであり、意識しなければ「気になる」ほどのものでもなかった。

 ましてや。ヒルダから「汗臭さ」とは違う「体臭」――「ウン臭」が漂ってきたことなどは一度もない。もちろん、彼女の「下穿き」や「尻」を直接嗅いだことなどないが、それでも「近く」にいてそれを感じないということはやはり、そんな「疑惑」はないのだろう。
 にも拘わらず。彼女は珍しく「狼狽」している。たとえいかなる「強敵」に囲まれようとも、むしろ「堂々」とし「余裕」を見せ続ける「女戦士」が。なぜかひどく「動揺」し、ひいては顔を赤らめている。その「様子」が不思議でならなかった。
 あるいは彼女としても。ありもしない「事実」を、ましてや「勇者」の前で、さも「真実」であるかのように「断定」されることに。少なからず「抵抗」と「憤り」を感じているのかもしれない。
 アルテナと同じく、ヒルダもまた「勇者」に対して。単なる「同じパーティの仲間」としてだけではない「感情」を密かに抱いていることは知っている。同じ「女」だからこそ、それが分かる。だからこそ余計にアルテナはヒルダのことを「ライバル視」し、それこそが「敵対心」を露わにしている最大の理由なのだった。

 果たして「彼」はどう思っているのだろう。こんなにも「下品」な話題でもって「論争」する「二人」の「女性」を見て、一体どんな「感情」を持つのだろうか。
 あるいは彼の中ではすでに、アルテナは「大便を済ませた者」であり、ヒルダは「拭かない者」であるという「既成事実」が出来上がっているのかもしれない。
 だとしたら、より「恥じる」べきなのはやはりヒルダの方だ。アルテナの行為は「隠したい」ものでこそあれ、あくまで「普通」のことであるのに対して。ヒルダのその「習慣」は――もしそれが「事実」ならば――まさしく「異常」なものである。
 あるいは普段から彼女に背中を預け、(悔しいけれど)一番「近く」にいる彼ならば何か知っているかもしれない。本当にヒルダは「拭かない」のだろうか。今も「下穿き」に「ウンスジ」を刻み付け、尻から「ウン臭」を発しているのだろうか。

 とはいえ。アルテナについてもあまり人の事は言えないのかもしれない。もちろん彼女はちゃんと「拭いている」し、その「拭き具合」を確かめ肛門に「付いていない」ことを認めてから「下穿き」を上げるようにしている。だが、それはあくまで「大」についてであり、「小」については――あまり自信がない。
 現に彼女はその「下穿き」を、本来「純白」であるはずのそれを、「薄黄色」に染め上げてしまっているのだ。それは「拭きの甘さ」から生じる問題ではない。むしろより「直接的」、「穿いたまま」でした行為――すなわち「お漏らし」によって。
 アルテナの「下穿き」には今も「おしっこ」が染み込んでいる。それはさっき「脱いだ」時に確認済みだ。いわゆる「クロッチ」の部分にたっぷりと描き上げられた「小便染み」。彼女の、彼女自身による、「粗相」の「証」。
 それだってやはり「強烈な臭い」を放つものである。もちろん「固体」と「液体」とでは話は別だろうが、「下穿きを汚している」という点においては何ら変わりはない。
 アルテナがかろうじて、その「臭い」を外部に漏らさずに済んでいるのはやはり、彼女の身に着けている「服装」によるものだろう。「下穿き」をすっぽりと覆う丈の長い「ローブ」によって、いわば「内界」と「外界」を隔てているのだ。
 だがそれもあくまで「隠蔽」に過ぎないのである。ひとたびローブの「裾」をめくり、はたまたローブの「中」に顔を差し入れようものならば――。そこはもはや「混沌」のみが支配する「世界」なのである。アルテナの「香り」に満たされた「異世界」。それを「天国」と感じるか、あるいは「地獄」と感じるかはまさしく「主観」によるところでしかないのだ。

 アルテナはふと、勇者の「反応」が気になった。彼が「自分」と「彼女」に対して、どのような「感情」を抱いているのか、ではなく。ここではより単純に「自分」と「彼女」の「秘密」について、彼がそれに「気づき」何かを「知っている」のではないかと。あくまでその「一点」につき、彼の「表情」から読み取ろうと試みた。彼は――、

 ただ穏やかに「笑って」いた。

 例の如く、日常的に「諍い」を繰り返す、彼女たち「二人」。その「双方」ないし「一方」を咎めることもせず、ただただ静かに微笑んでいた。まるで「子供同士」の他愛ない「じゃれ合い」を眺めるように(彼の方が二人よりも「年下」であるにも関わらず)、あるいは「掌上」で踊る「人形」を見つめるように(むしろ「人形」じみた見た目は彼の方なのに)。
 彼のその「優しげ」な眼差しに。溢れんばかりの「愛おしさ」を思わせる双眸に、アルテナは――、

――ジョロロ…。

 股間に「熱い水流」が迸るのを感じた。「下穿き」の中を生温かく「濡らす」もの。

 アルテナはまたしても「お漏らし」をしてしまっていた――。

「くっ…!」とすんでのところで圧し堪えたものの。やはりというか、もはや「被害」は「甚大」であった。「漏れ出た」液体が「下穿き」から溢れ出し、わずかに脚を伝っていた。それは彼女の「想い」を比喩するようだった。

――ああ、ワタクシ。「勇者様」の前で、またしても「はしたない」行為を…。

 アルテナは「罪深い」自分を恥じた。「条件反射」のように、つい「発動」してしまう自らの「癖」を「改めなければ」と思いつつも、その反面。「羞恥」にまみれた自らの「行い」を、出来ることならば彼に「見せつけたい」と願った。
 決して知られてはならない。彼に「軽蔑」され、「幻滅」されてしまう。
 けれど「知られたい」。祭具の下の自分の「本性」を。紛れもない「メス」としての「本能」の姿を。
 そんな「二律背反」の中で、アルテナは身悶え、身をよじらせるのだった――。

「はい、アルテナさん」
 ふいに彼に「名」を呼ばれることで、「女僧侶」はもう少しで「達して」しまいそうだった。けれどなんとか「理性」でもって、それを堪えた。
「あ、ありがとうございます…」
 震える声で答え、「御不浄」に行くにあたって彼に預けていた「荷物」を受け取った。
「さあ、そろそろ出発しますよ!」
 勇者の「号令」が掛かる。いつまでもここで「油を売っている」わけにはいかない。「町」に留まり続けているわけにもいかない。
――我々は「冒険者」なのだ。
 いつか「魔王城」へとたどり着く、その日まで。「彼ら一行」は「町」から「町」、「島」から「島」へと旅を続けなければならない。「打倒魔王」。それこそが彼らの真の「目的」であり、あくまでこの「パーティ」はそれまでの暫定的な「連れ合い」に過ぎないのだ。

 だが「その後」は――?念願叶って「魔王」を打ち滅ぼし、「目的」が達せられたその後は――?果たして、この「パーティ」は「解散」と相成るのだろうか。
「勇者」は「英雄」としてその名を歴史に刻み、人々の「称賛」を存分に浴びることになるだろう。「仲間」である自分と彼女についても、それは同様である。
 だがアルテナが「夢想」するのは、そのことについてではなく。あくまでごく「個人的」な「将来」についての「展望」だった。
 自分と「彼」との「未来」――。そこに微かな「淡い期待」を抱きながら、けれどそのためにはまず「魔王」に代わる「最大の敵」をなんとか出し抜かなければならない、と。勇者の「隣」を歩く「女戦士」の背中を見つめながら、決意を新たにするのだった――。

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